PENTAX Super-Multi-Coated TAKUMAR F2.5/135mm 後期型

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PENTAX Super-Multi-Coated TAKUMAR F2.5/135mm 後期型

外観からは全く見分けがつかない、Super-Multi-Coatedタクマー135mmF2.5レンズの前期型と後期型。
レンズの銘板の表記は全く同じ、外見もほぼ同じ、紛らわしいことこの上ないのですが、何故この様な戦略をとったのか、知っている方がいらっしゃったら是非お教え願いたいと思います。

前期型と後期型の2種類の写りの感じはどちらも似ていて、少し柔らかめで線の細い、しっかりとした描写になります。かなり細かな部分まで描写して、開放側ではボケ味もきれいで、Super-Multi-Coatedタクマー135mmF2.5は、デジジタル一眼レフ・カメラにおあつらえ向きのレンズではないでしょうか。前期型と後期型、どちらも似た描写をしてくれますので、携行性等も考慮して好みに合わせて使い分ければ良いのではないでしょうか。

とは言っても、外見は瓜二つ描写も似ている前期型と後期型ですが、中身を覗いてみると全く違うレンズであることが分かります。

先ず、前期型 PENTAX Super-Multi-Coated TKUMARE F2.5/135mmのレンズ構成はエルノスター型4群5枚となっています。
エルノスター(Ernostar )はルートヴィッヒ・ベルテレが1923年エルネマン在籍時A.クルーグハルト(A.Klughardt )とともに発明したレンズで、名称は"エルネマンの星"の意。当初設計されたのはエルノスター10cmF2とエルノスター12.5cmF1.8である。これらのレンズは当時世界最高速(写真レンズにおける"高速"とは、低照度の撮影条件下で高速シャッターが切れる、すなわちF値の小さな明るいレンズであることを意味する)であり、エルネマンのカメラエルマノックスに装着されて夜間の手持ち撮影を可能にした。1925年には映画撮影機用のエルノスターF1.0、写真機用に画角40度を持つエルノスターF2.9が設計され、1929年には写真機用に画角40度を持つエルノスターF1.6が設計された。後にゾナーの原型となりました。
エルノスター型レンズは中望遠レンズに適した特性を持っており、現在でも中望遠レンズの設計のお手本として普及している。

そして、今回紹介する「後期型」では6群6枚に設計変更しテレフォト型となっています。
テレフォトタイプは、現代の望遠レンズの主流と言えます。
望遠レンズで問題となるのは広角レンズとは逆にフィルムからレンズまでの距離が長くなるために、レンズの全長も長くなり、またピント合わせの際の繰り出し量も膨大なものとなり撮影に支障をきたすことになります。
そこで広角レンズのレトロフォーカスとは逆の発想で、主光学系の後ろに凹レンズを配して実焦点距離よりもレンズの全長を縮めたのが「テレフォトタイプ」(望遠型)とと言われるものです。
このほかに、対称型レンズ構成の「長焦点型」、これとはまったく別の反射鏡を使った「反射望遠型(ミラーレンズ、レフレックスレンズ、カタジオプトリックタイプ)」と言ったタイプが有ります。

このように、外見は瓜二つ、中身は全くの別人!面白いですね。
ペンタックスのオールドレンズには、この様に思わずニヤッとしてしまうレンズたちが結構あって、こういった様々なバージョンが私の様なオールドレンズファンにとっては堪らない魅力となっているような気がします。

【製品概要】
販売開始 : 1973年~
レンズ構成 : 6群6枚 テレフォト型
レンズコーティング : 7層マルチコーティング
マウント : M42スクリューマウント
焦点距離 : 135mm
最短撮影距離 : 1.5m
開放F値 : f2.5
最小絞値 : f22
絞り羽根枚数 : 8枚
フィルター径 : 58mm
重量 : 約472g

参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=Gztz-P0fWR0
https://www.youtube.com/watch?v=ITpvyC3fGiM
https://www.youtube.com/watch?v=jS0_p_aZVSE

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    Fortune Lens

    2022/12/10 - 編集済み

    135/3.5に隠れた、135/2.5前期、後期、見分けが付かないのは知りませんでした。
    後期型が6群6枚だから、多少重いのでしょうね!
    前期型のエルノスター使って見たいですね

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      ta-ke

      2022/12/10

      Fortune Lensさん、コメント有難う御座います。
      よく見ると細かい部分で違いが有るものの外見はそっくりですが、分解クリーニングをすると全く違うレンズだと言う事が良く解りますね。
      開放値F2.5の魅力は何と言ってもきれいなボケ感を出せる事だと思います。
      望遠撮影の魅力は勿論のことですが、個人的には適度な距離感からのポートレート撮影が魅力的なレンズだと思います。レンズ構成が違うにも拘らず、前期型と後期型にはそれほど大きな違いがあると感じさせない仕上がりかと思います。

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