PENTAX  smc PENTAX-M F1.4/50mm

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PENTAX smc PENTAX-M F1.4/50mm

この、smc PENTAX-M F1.4/50mmというレンズの系譜は、初代Super-Takumar F1.4/50mmに始まります。
1964年に販売が開始された初代のレンズは、有名な6群8枚のレンズ構成というものでしたが、一年後に6群7枚構成へと再設計されています。初代は3枚貼り合わせという複雑な手法を用いていたのですが、2枚貼り合わせへと製造工程の簡略化を図り、同時にトリウムレンズ(アトムレンズ)を採用しました。この新シリーズは性能がとても良かったことから、ペンタックス社内で標準レンズの基準となり、今回紹介する1977年発売のMレンズまで基本的に同じ設計が続くことになりました。

1971年に登場したSuper-Multi-Coated TAKUMARシリーズは、それまで単層だったレンズコーティングが多層コーティングに変更され、PENTAX ESで採用されたTTL開放測光システムに対応したレンズとなりました。
翌年には鏡筒の設計変更を行い、絞り羽根も6枚から8枚に変更、ヘリコイドリングの形状も変更されてSMC TAKUMARシリーズとなりました。

そして、ついに1975年、ペンタックスはねじ込み式のM42スクリュウーマウントに別れを告げ、バヨネット式のKマウントに変更されました。
このとき登場したのが前回紹介したSMC PENTAX F1./50mmです。光学系はSMC TAKUMARと同じでした。

そして今回のレンズとなる1977年発売のsmc PENTAX-M 50mm F1.4に繋がっているのです。このレンズを一言でいうと、コンパクト化を図るため鏡筒設計を見直しています。フィルター径も前シリーズが52mmであったものが、49mmとなっています。

このレンズのやわらかなボケ味は、ペンタックの標準レンズの系譜とも言える大変魅力的なものですが、絞り込んでやるとメリハリのあるしっかりとした描写力に加え、マルチコーティングレンズのおかげともいえる艶やかなカラー再現力は、ペンタックスレンズの優秀さを裏切ることなく引き継いでいるようです。

余談にはなりますが、ペンタックスレンズを面白いと思うのは、何時もの事なのですが短期間で同じようなレンズを設計変更して発売する事ですね。そこの所はメーカーとしての何らかの理由は有るのでしょうが、外部の消費者には分からない部分も多く購入のタイミングを計りにくいと思いますね。一方、コレクターにとっては、面白い所でもあるのではないでしょうか。
ただ、このsmc PENTAX-M F1.4/50mmというレンズはそんなペンタックスレンズの中にあって7年ほどに及ぶ長寿命のレンズであったという点でも興味深いレンズです。

参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=QQmXlYwLHr8
https://www.youtube.com/watch?v=k3Cyzi7UnoU
https://www.youtube.com/watch?v=prnCVxeNs3I
https://www.youtube.com/watch?v=-rlDO5Qj6cU

【製品概要】
販売開始年       1977年
レンズ構成       6群7枚 (前3群3枚 後3群4枚) 変形ダブルガウスタイプ
焦点距離        50mm
開放F値         F1.4
最少絞値        F22
絞り羽根枚数      8枚
最短撮影距離      45㎝
フィルター径      49mm
重量          238g

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