2021/1/11 蛤石アーカイブ

初版 2021/01/11 17:59

改訂 2022/09/07 12:43

公開日:2021/1/11

飛騨市に伝承される民話に登場する"蛤石"は、古川城址・飛騨河合の専勝寺で観ることができます。(飛騨民族考古館展示の蛤石は閉館後の行方を確認していません)何処からか運ばれてきたかは想定でしかないのですが、天生金山から産した球状岩に岩相が似ているとされています。天生金山は江戸時代初期から昭和戦後まで稼行した金鉱山で、資料が少ないため詳細は不明です。坑道内より球状岩を産した記録がありますが、現物の確認をできていません。

飛騨市古川町野口の宮川に架かる高山本線鉄橋の橋脚付近に分布する花崗岩質片麻岩〜ミグマタイトには球顆が点在しています(2018.10撮影)。露頭として観察できる球状岩産地としては飛騨帯では稀少です。神岡鉱山栃洞坑道内や南平の伊西型片麻岩にも球状岩の産出が報告されています。宮川町万波川からは転石を採取し確認しました。

岐阜県・富山県・福井県に分布する飛騨変成帯からは球状岩が数多く発見されています。未だまだ調べねばなりません。

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球状岩は世界的にみても非常に珍しい石です。
その産地は大変な山奥や無人島であったり、産出範囲が極狭く採り尽くされたり、ただ1個体の報告であったり、転石で露頭が不明であったりと、実際に採取することの困難な石だったりします。
確認された露頭の多くは国や自治体の天然記念物に指定されている場合も多く、その成因は解明されていません。

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