2019/11/19 美杉町の球状岩

初版 2019/11/19 18:03

改訂 2022/09/07 12:43

公開日:2019/11/19

今年の三重県は記録的な豪雨でした。美杉町は降雨量日本一と言われた大台ケ原山に比較的近く、雨が降るとすぐに不通となる名松線でも有名です。球状岩を産出する沢の様子が気がかりで、車を走らせます。

丹生俣の東又川砂防堰堤付近は河床が大きくえぐられ、荒れています。貯留部にゴロゴロしていた球状岩の礫は流され、かなり少なくなった感じです。ただ、気になっていた"岩"は健在でした。豪雨の流れにも耐えたようです。

美杉町の球状岩は下多気の八手俣川からも産出し、津市の天然記念物に指定されています。場所は”亡櫓橋付近の転石”とされていますが、MieMu津村先生によれば平成11年度の崖崩れ防止工事の現場写真に球状花崗岩の露頭が写っている、津市の記述では平成14年の県道美杉嬉野線の工事にて採取されたとあり、いずれにしろ現在はコンクリートに覆われてしまったようです。現地では欠片も確認することはできません。保存されている標本は新鮮な破断面で、円磨された痕もなく、工事で破砕された転石が天然記念物指定されたのかもしれません。

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球状岩は世界的にみても非常に珍しい石です。
その産地は大変な山奥や無人島であったり、産出範囲が極狭く採り尽くされたり、ただ1個体の報告であったり、転石で露頭が不明であったりと、実際に採取することの困難な石だったりします。
確認された露頭の多くは国や自治体の天然記念物に指定されている場合も多く、その成因は解明されていません。

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