生物ドローンカメラ@昭和初期の中等教育用理科図解参考書

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最近はドローンを使って一般人でも割と気軽に空撮ができるようになったが、かつては伝書鳩に專用のカメラを取り付けて撮影させていたことがあった。明治40年(1907年)、ドイツ人薬剤師J.ノイブロンナーが初めて考案した「鳩カメラ」は、パノラマ撮影用だったそうだ。
http://blogbu.doorblog.jp/archives/52402641.html
いわば「生物ドローンカメラ」といったところだが、いくら軽量機とはいえかなりデカいし、こんなじゃまくさいものを取りつけられて、ハトにはさぞや災難だったことだろう。

今回は、前にジュラルミンのところ
https://muuseo.com/home/734046
を取り上げた昭和十年代の中等教育理科の図解参考書から、その「寫眞機」項に載っている図版を眺めてみることにしよう。ここに鳩カメラが出てくる。1枚目のページ中の「3」のハトと6枚目のページの左上のハトは構図がそっくりでカメラの向きとか右側に鉛管がくくりつけられている脚とかも似通っていて、ぱっと見まるっきり同じ写真のようにも見えるが、よ〜く視ると前者は頭から何か被せられているようだ。

8枚目にご参考までに掲げておいた「航空寫眞」解説には、「之〈これ〉は歐洲大戰以來,大いに發達して來たものであるが,今日では,平時に必要缺〈か〉く可〈べか〉らざるものとなつて來た」とあるが、図版の方はキャプションに「軍用鳩の體につける寫眞機」とあるように、新聞社などの民間企業ではなく陸軍の鳩を撮ったものとおもわれる。背負いケージや車輪つきの鳩小屋の図が写真ではなくイラストなのは、恐らく「撮影場所を特定されては困る」とか、何かしら軍機に引っかかるからなのだろう。

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    Jason1208

    2020/06/24

    今をときめく大新聞社の社屋ビル屋上は、昭和40年代初めまで、伝書鳩の鳩小屋だったそうですし、諜報活動への伝書鳩利用は分かりやすいですね。

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  • Jason1208さま:ご覧くださりありがとうございます☆
    ハトは軍事・民生のどちらにもかなり利用されていたようですね。しかしドイツやアメリカの話はともかく、日本における鳩カメラのことはあんまり語られていないような気がします……黒岩比佐子氏の『伝書鳩 もう一つのIT』(文春新書)
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166601424
    とか、吉田和明氏の『戦争と伝書鳩 1870―1945』(技術評論社)
    http://www.shahyo.com/mokuroku/consciousnes/man_history/ISBN978-4-7845-0909-6.php
    とか読めば何らかの情報は出てくるのかもしれませんが、どちらも未読なのでわかりません。

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