見出し用図案カット@19世紀末の工業技術研究団体機関誌

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工学院大学の前身「工手學校」は明治中期の初め、現場で指導的役割を果たす技術者を育てることを目的として実業界有力者などから寄附を募って設立された教育機関だった
https://www.kogakuin-koyukai.jp/about/history/
が、その同窓会を起源にもつ「工談會」は工業技術者を業界横断的に募って、情報交換や親睦交流をはかる研究団体として我が国の技術立国化をささえる原動力になった。その機関誌として明治22年(1889年)に創刊されたのが今回取り上げる『工談雜誌』…
https://mykoho.jp/article/%E5%85%B5%E5%BA%AB%E7%9C%8C%E4%B8%8A%E9%83%A1%E7%94%BA/%E5%BA%83%E5%A0%B1%E3%81%8B%E3%81%BF%E3%81%94%E3%81%8A%E3%82%8A-%E4%BB%A4%E5%92%8C%E5%85%83%E5%B9%B49%E6%9C%88%E5%8F%B7/%E4%B8%8A%E9%83%A1%E7%94%BA%E3%81%AE%E5%81%89%E4%BA%BA-%E5%A4%A7%E9%B3%A5%E5%9C%AD%E4%BB%8B-9/
…なのだけれども、図版研が数冊だけ架蔵している明治30年代初めの同誌本文の見出しのところに使われている活版の図案カットがかわいいので、それを拾い出してみよう。この雑誌をこーゆー視点でみて面白がっている物好きは、先にも後にもいないだろうww

当時同誌を拵えていたのは日本最初期の有力印刷所だった東京・京橋の「集英舎」で、ここに掲げたカットはいずれも同社の備えていたものということになる。こういうのは「電気版」「電鋳版」などと呼ばれる電気で鋳造した銅版なのだが、細い線が実に鮮明で、植物や小鳥、道具類などを図案化したデザインがなかなかたのしい。1枚目と7枚目の右側のは楕円の親子罫に咲き乱れる花と舞うミツバチがあしらわれていてぱっと見同じようだが、拡大してみるといろいろ違うことがわかる。8枚目だけは20世紀が明けてからの号にだけ載っているのだが、間が1年分以上抜けているので19世紀末からあったデザインかどうかは、概ね揃いでお持ちの国会図書館か東京大学大学院の明治新聞雑誌文庫にでも出かけてみないとわからない。

こういったレトロな飾り枠のゴム印とかあったらたのしいよね、と内輪で話が出てはいるのだが、製品化するとなるとある程度の数を発注しないとならないため、資料蒐集資金のやりくりだけでいつも苦心しているていたらくの図版研では、なかなか実行に移せないでいる。

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