建具金物のいろいろ@大正前期の工業辞典

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二十世紀の初めに企画された、我が国初の総合百科辞典の草分け『大日本百科辭書』シリーズのひとつとして出された工業系辞典に載っている、当時使われていた建具金物あれこれ。複雑な仕組みのものは内部の構造も描かれている。
黄色っぽく見えるのは紙が焼けているのではなく、高品位のマット塗工紙にクリーム色の背景色を乗せてある。このような見開き図版ページは綴じ方が工夫されていて、三千ページ近い厚冊にもかかわらずノドのところも問題なく見られるようになっている。
こうした細かいパーツ類は時代によって機構も形状もかなり異なり、また今日まで伝わっている現物は極く限られるので、どのような種類があったのかを一目で識ることができるこのような図版資料が遺されているのは、なんともありがたいことだと思う。
なお国会図書館デジタルコレクションには明治四十四年版が公開されているので、それの「建具金物」項のところをリンクしておくとしよう。
http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/845406/436
ところで、『東京都図書館協会報』に収録されている平凡社取締役氏のご講演記録
https://www.library.metro.tokyo.jp/pdf/15/pdf/tla89.pdf
によればこの版がでた翌年に同文社は倒産してしまったそうだし、図版研架蔵のものは初版刊行時期が違うので、これは後刷りなのかな? とも思うのだが、奥付にある発行者は相変わらず「東京市神田區表神保町貳番地」の「株式會社同文社」になっている。その辺の事情は今のところさっぱりわからない。
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