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Slapp Happy “Casablanca Moon”
この前はHenry Cowをご紹介しましたが、今回はSlapp Happyを紹介します。Slapp Happyは独逸Hamburgで結成された独・英・米混合バンドです。元々は、BremenのWümmeに来ていた英国人作曲家Anthony Mooreが、独逸のFaustのスタジオで、アヴァンギャルド/実験的なアルバムを録音にしていましたが、Polydor Recordsに「駄目❗️もっと売れるようなものを作ってくれ!」と言われてしまい、Anthonyは、彼の米国の友人Peter Blegvadが丁度Hamburgに来ていたので、彼に「何かもっとポップな曲を書いて欲しい」と嘆願します。それで出来た曲が20分超えの”Just A Conversation”ですが、2人はヴォーカルが出来なかったので、当時のAnthonyの恋人(後に妻となる)Dagmar Krauseに歌ってもらうことにします。ここに来てSlapp Happyが誕生します。トリオになったSlapp HappyはPolydorに”Just A Conversation”をレコード化を持ちかけますが、予想に反して、PolydorはこのシングルをリリースすることOKします、まだ1972年だったのに! この年の5月にWümmeに戻って、デビューアルバム”Sort Of”をFaustのメンバーの助けも借りて録音し、そのアルバムは同年後期にリリースされたが、売れなかった!と言うのも、Slapp Happyはライブを演ることを拒んでいたからです。このデビューアルバムをリリースして直ぐに、Faustのサポートでセカンド・アルバムの録音に入ります。ここに、彼等の最も良く知られた曲”Casablanca Moon”が出来る訳ですが、”Sort Of “に比べて、よりソフィスティケートされ、アートぽっい作品になりました。ハーモニーにも重点が置かれ、歌詞もシリアスで詩的になっています。しかしながら、Polydor Recordsは、Slapp Happyのこの路線を良しとせず、自己中的な内容だとして、アルバム・リリースを拒否します。そう言うこともあって、メンバーは1973年初頭に英国へ行きます。そして、例のお蔵入りしそうなアルバムのカセット・テープをVirgin Recordsに渡します。Virginは彼等の音楽を気に入り、契約を結びます。ただ、Dagmarの独逸語アクセントの英語のヴォーカルが心配で、Robert WyattやNMEの記者Ian MacDonaldにも聴かせてみましたが、全然大丈夫とのことで、1973年末にSlapp Happyを正式に承認しました。直ぐにSlapp Happyほ1974年初頭にOxfordshireのVirgin RecordsのManor Studioに入り、セカンドアルバムの再録音に取り掛かります。セッション・ミュージシャンやアレンジャーも導入し、1974年5月にVirgin Recordsから、本作品であるセカンド・アルバムをリリースします。音楽誌からも概ね高評価を得ています。一方、1980年になって、漸く、Recommend Recordsは、Faustと一緒に録音したオリジナルが、原題”Casablanca Moon”を逆読みしたタイトル”Acnalbasac Noom”でリリースできるようになりました。また、1974年6月にSlapp Happyを、レーベルメイトでもあるHenry CowやRobert Wyattと共に、LondonのHyde Parkでジョイント・コンサートに出るように企画されていましたが、直ぐに却下されています。その後、アルバムも3枚程出していましたが、1975年に解散しています。その後も時々、再結成の話がありましたが、皆、短期間で終わっています。
それで、本作品”Slapp Happy (通称”Casablanca Moon)”ですが、私は大学生の頃、友達にダビングしてもらったのを何度も何度も聴いており、久しぶりにレコードで聴いて号泣しています(半嘘)。兎に角、A1 “Casablanca Moon”のタンゴ調の曲は素晴らしい出来で、いつになっても色褪せないように思います。どの曲もキャッチーなメロディとアコースティックな楽器で奏でられており、何と言うか、世間一般の「ポップ・ミュージック」とは違う、もう一つの別の「ポップ・ミュージック」にあるような音楽です。一応、Avant-Popとジャンル分けしましたが、聴いていても、決して難解でなく、優しく包み込んでくれる、そんなポップ・ミュージックです。あと、A5 “Dawn”もノリが良くて大好きな曲ですね。コケティッシュなDagmarのヴォーカルは彼等の音楽に欠かせない「楽器」ですね。私には独逸語のアクセントは良くわからないですが、彼女の声質は曲に良くマッチしていると思います。またB3 “The Drum”での、タブラの音に乗せて歌うDagmarの天使のような声とPeterの低音のダミ声のハーモニーは興味深いです。B4 “Haiku”はなんでしょうね、Peterのダミ声が前面に出ているだけではなく、パーカッションもコミカルで面白い曲です。まあ、このアルバムには個人的に色んな思い入れがあるので、あまり客観的なことは書けませんが、皆さんも、未聴ならば、是非とも聴いてみてください。パラレル・ワールドのポップ・ミュージックが堪能できますよ。因みに、メンバーはAnthony Moore (Kbd), Dagmar Krause (Lead-Vo), Peter Blegvad (Vo)とクレジットされていますが、多分他の楽器や他のミュージシャンもゲスト参加したいると思われます。また、Slapp HappyとSteve Morseでプロデュースしています。
A1 “Casablanca Moon” (2:45)
A2 “Me And Parvati” (3:22)
A3 “Half Way There” (3:14)
A4 “Michaelangelo” (2:33)
A5 “Dawn” (3:17)
A6 “Mr. Rainbow” (3:49)
B1 “The Secret” (3:28)
B2 “A Little Something” (4:30)
B3 “The Drum” (3:34)
B4 “Haiku” (3:01)
B5 “Slow Moon's Rose” (2:53)
A1 “Casablanca Moon” (2:45)
https://youtu.be/NC4r3rYHkaI?si=qQGbO-takE6c01DD
A2 “Me And Parvati” (3:22)
https://youtu.be/sZV205gAyNM?si=h7G_l5-yMXpJ4gme
A3 “Half Way There” (3:14)
https://youtu.be/xVuhqKvTYRY?si=23SFvVY0n1ot8mCs
A4 “Michaelangelo” (2:33)
https://youtu.be/1OY6sjzXx3E?si=LL8t1ksfkYvxRyJi
A5 “Dawn” (3:17)
https://youtu.be/SDGslJPSsgE?si=WowkJN09Gonz5i-G
A6 “Mr. Rainbow” (3:49)
https://youtu.be/jfOP7MvzAZs?si=Pkco2Mgdt6Db1T8x
B1 “The Secret” (3:28)
https://youtu.be/37FA3eyOWac?si=TzGt0lPEkkMyxM8p
B2 “A Little Something” (4:30)
https://youtu.be/ThBwPpzMju0?si=MH9hzKrDyd5krSZp
B3 “The Drum” (3:34)
https://youtu.be/BaDBTL9kKjs?si=DTgB74SpzAyOE3Bw
B4 “Haiku” (3:01)
https://youtu.be/CwRxtjdH3Lc?si=fe4hmVhcRN_rb1TQ
B5 “Slow Moon's Rose” (2:53)
https://youtu.be/rRUGxlGOdps?si=XNjsTpkfLBny0Rj_
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