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陰猟腐厭 “s/t”
日本地下音楽界の最後の謎、陰猟腐厭 (インリョウフエンと読む)のファーストアルバムが登場です。このバンドは自動書記としての即興演奏をコンセプトに活動しているからか、作品名や曲名は一切付けず、また、その読みにくいバンド名も人が忌み嫌う漢字を4つ選んで、それで語呂の良いように並べたと言う徹底した無意味主義を押し通しています。メンバーは増田直行 (G), 大山正道 (Kbd)と原田淳 (Dr)の3人組で、結成は1978年,横浜で。3人は、高校生の時に,シュールレアリズム研究会に属しており、何の取り決めもなく、その場で演奏するバンドとして活動。初のレコードが、「妥協せず」と言うソノシートで、執拗に同じフレーズを繰り返す演奏の途中に,活動家がマイク・ジャックし、演説を始めたけれど、PAの人が、面白がって、エフェクトかけて、変調したりしたにも関わらず、そのまま演奏は続けられたと言うハプニング的な「事故演奏」がそのまま収められてると言う代物でした。それがCragale Records (クラゲイル)の一枚目のリリースになります。そんな得体の知れないバンド(バンドと言っていいのかな?)は当時の東京や横浜にはいなかったですし、勿体ぶった即興演奏とも関係が無かったと思います。その後、数十年経って、漸く、時代が追いついたのか、過去の演奏からのベスト盤的アルバムもリリースされました(初めて,曲名が記載されていた!)。
それで、本作品ですが、このアルバムには当初、真っ白なジャケとラベルで、何のクレジットも情報もない状態でリリース予定でしたが、これでは流通できないとの批判を受け、メンバーらがマジックの手書きでバンド名を書いたと言う逸話があります。A面と思しき片面にはドラムとキーボードとギターが中を浮く雲のように絡んだり、離れたりする即興演奏が刻まれており、もう片面にはリコーダーとオモチャのピアノ及び鉄琴(?)のポツポツした調べの小曲とダイナミックなドラムが曲を先導する讃美歌のようなちょっと長目の曲が刻まれている。当然、タイトルとかクレジットとか録音などに関する情報等は一切無いのですよ。しかしながらB面と思わしき曲はドラムが凄くて、私のタイプですね。本来なら、A面の演奏が現場の音に近いとは思いますが。決して緩い訳ではなく、剥き出しの音楽の「意味性」を軽々と超えているところが凄いです。そんな音楽の無意味性を聴いてみてください。難解な音楽ではないので。
A “Untitled”
B1 “Untitled”
B2 “Untitled”
[別のアルバム”初期作品集 = Early Works 1980-82”]
https://youtu.be/o2YD2PH4N_s?si=g5Klypvo8DKxPzBY
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