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Wild Man Fisher & Smegma “Sing Popular Songs”
おっと、これはとんでもないブツですね。Smegmaについては今までも紹介してきていますので、補足する程度にしますが、Wild Man Fisherこと本名Lawrence Wayne Fischerについて少し詳しく紹介したいと思います。Fisher(Fischerとの表記もある)は、1944年11月生まれのアカペラをやる米国のストリート・パフォーマーで、ホームレスでしたが、西ハリウッドやサンセット・ストリップでよくやっていたそうです。後に「アウトサイダー・アートのゴッドファーザー」とも呼ばれるようにもなりました。彼は、10代の頃に統合失調症と双極性障害と診断されており、家族にも暴力を振るったりした為、精神病院にかかったり、入院したりしていました。退院後、R&BシンガーのSolomon Burkeが、彼にWild Manとニックネームを付けて、ツアーに連れて行ったりしています。それで、1967年から、Fisher は服薬を続けながら、ハリウッドでストリート・パフォーマーをして、小銭を稼いでいました。それを、偶々Frank Zappaが見つけ出し、1968年に、Zappaのプロデュースで、2枚組アルバム”An Evening with Wild Man Fisher”をレーベルBizarre Recordsからリリースしています。しかしながら、彼は、Zappaの娘Moonを突然ガラス瓶で殴ったことから、Zappaとは絶縁しています。その後、1974年に、Fisherは、Smegmaのゲスト・ヴォーカリストとして、本作品でもあるアルバム”Sing Popular Songs”に招かれて、参加しています。1975年には、Fisherの新曲を収録したシングル”Go To Rhino Records"をリリースしています。この2年後、Fisherは初ソロアルバム”Wildmania”をリリースし、1980年代になると、Barnes & Barnesコメディアンのコンビと一緒に2枚のアルバム”Pronounced Normal” (1981)と”Nothing Scary” (1984)をリリースしています。また、1986年には、Barnes & Barnesが書いた曲”It’s A Hard Business”を歌手/女優のRosemary Clooneyとデュエットしています。しかしながら、Fisherはその時点でもまだホームレスだったり、モーテル暮らしだったりしています。1998年には、Captain BeefheartのバンドのドラマーRobert Williamsと共に、アルバム”Date with the Devils Daughter”を作製、また、1999年には、Rhino Recordsから、100曲入りで20頁のブックレット付き2枚組CD “The Fischer King”を出しており、後者は数週間でソールドアウトしています。2000年代初頭になると、Fisherは、自身のドキュメンタリー”Derailroaded: Inside the Mind of Wild Man Fischer”の撮影を開始し、2005年3月にSouth by Southwestで初上映しています。DevoのMark Mothersbaughは、「Fischerこそが純粋なロックンロール・アイコンだ!」と表明しています。また、2004年には、Dennis EichhornのアメコミThe Legend of Wild Man Fischerの題材にもなっています。2003年に、Fisherは6ヶ月間に及ぶ強迫神経症で、誰か親しい人に殺されるとの妄想に取り憑かれ、一度はストリートに戻ってきたものの、結局、Van Nuys開放型精神病棟を受診し、最後は、2011年6月16日に、Fisherは、66歳と言う若さで、心不全の為、Ronald Reagan UCLA Medical Centerにて亡くなっています。 ちょっと前置きが長くなってしまいましたが、Wild Man Fisherの生涯は上述の通りです。それで本作品”Sing Popular Songs”ですが、脱力系のSmegmaの演奏をバックに、嗄れたダミ声で歌いまくるFisherが、もうグダグダで最高です。参加メンバーは、Fisher以外に、The Ace Of Space, Amazon Bambi, Bev, Cheez-It-Ritz, Chucko Fats, Danton Dodge, Dennis Duck, Dr. Id, Dr. Odd, Electric Bill, Jason, Ju Suk Reet Meate, Dana, Reed Burns, The Reverend Toadeaterと言うLAFMS周辺総動員と言う感じで、豪華です。大部分の録音は1974年-1975年にSmegmaの本拠地Pasadenaで行われていますが、B3 “Breakfast With Bananas”はTemple CityのPumkin Worksでライブ録音で、B4 “Auto Suk #2”はSan Diegoで1973年にリリースされた”Smegma Xmas Video”からの抜粋で、B6 “Fill The Boot”とB7 “The Party's Over”はCoronadoのJerry Lewis Fight M.S. Local Telethon 74でのライブ録音です。収録曲はA面5曲/B面7曲ですが、A面などは、A2のメドレーを除くと、1分未満の曲が殆どで、ここら辺にもSmegmaらしさを感じますね。確かに、B面に収録されている曲は、聴いたことのある曲もありますが、多分、米国のローカルな歌なんか なんだろうなと想像しますし、またB4 “Auto Suk #2”なんかはムーディーに歌っている曲もあります。しかしながら、お互いが共にグダグダなので、とても「親しみ易い」歌に聴こえませんね。しかし、まあ、FisherとSmegmaとは相性バッチシなので、ほぼほぼ予想通りだとは思いますが、この味わいは他では出せないだろうなあと感心してしまいます。そんな2者の相乗効果を堪能してみては如何ですか❓緩くなりますよー❗️ A1 “Stigmatize Your Mind” A2 “Midnight Train/Rock-n-Roll Star/Say It” A3 “Jimmy Durante” A4 “Dandylion Flower” A5 “Please Like Us” B1 “Potato War” B2 “Stino” B3 “Breakfast With Bananas” B4 “Auto Suk #2” B5 “When The Saints Go Marching In” B6 “Fill The Boot” B7 “The Party's Over” https://youtu.be/53ZJOqScdcA?si=igGMX09a-7GTpbpP #WildManFischer #Smegma #SingPopularSongs #BirdmanRecords #StreetPerformer #Avant-Garde #アカペラ #SlowLifeAvant-Garde #Schizophrenia #LAFMS #RhinoRecords #FrankZappa #LawrenceWayneFischer
Vocalization / Experimental / Avant-Garde Birdman Records 不明Dr K2
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V. A. “Schau Hör Main Herz Ist Rhein”
西独の1980年前後で、各地方都市でも、パンクやNeue Deutsche Welleやインダストリアルやノイズやらが勃興して、自主制作レーベルが乱立しました。その一つに、工業都市Mainzを中心とした一帯にWahrnehmungen (「ヴァールネームンゲン」と発音)と言うレーベルがありました。それが、後にSelektionとなる前身だったのです。それで、このアルバムまでは、カセット作品をリリースしてきましたが、ここで、このレーベルは、ライン川周辺の都市(Mainz, Frankfurt, Wiesbaden)の音楽を集めたコンピ・アルバムをLPとしてリリースしています。それが、本作品“Schau Hör Main Herz Ist Rhein (「シャウ・ヘール・マイン・ヘルツ・イシュト・ライン」と発音。「見て、聴いて。ライン川こそ我が心」の意らしい?)”です。参加グループは、Fröhliche Eiszeit, P16.D4, No Aid, Jean Gilbert, Toto Lottoの5組です。それぞれをご紹介していきます。 先ずは、Fröhliche Eiszeit (フレーリッヒ・アイズツァイト)です。このバンドは、Bernd Hasenfus, Carl F. Peter, Manfred Hasenfus, Stefan Winczenczから成る4人組で、1979年〜1982年にMainzで活動していました。リズムはBOSS DR-55を使って、シンセのピコってる音とサックスらしき音やフリーキーなギター/怪しいシンセ、更には音吐き捨てるようなヴォーカルが特徴な曲が特徴。宅録バンドなのかな?如何にも独らしい異形の音楽。 A1 “Realität !?!” A2 “Die Welt Ist Die Mehrheit” A3 “Mädchen In Der Eisbar” P16.D4 (ペー・ゼヒツェーン・ダー・フィアー)は、この頃は、Ewald Weber, Gerd Poppe, Ralf Wehowsky, Roger Schönauerから成る4人組になっており、Wahrnemungenの中心バンドで、1979年〜1990年でMainzで活動していました。この頃は、宅録だけじゃ無くて、ライブも積極的にやってました。この頃のノイズ/インダストリアル・グループにしては、珍しく初期から生ドラムも使用。しかしながら、同時に、物音系の音やシンセも堂々使っており、実験的アプローチが伺えますが、クラリネットなんかも使っており、この頃に既にハイブリットな音楽をやっています。 A4 “Pix” (Tapes, Feedback, Vo) A5 “Ereignisse” (B, Drs, G, Vo, Echo, Fuzz, Synth, Perc, Melodica) A6 “Chinin” (Sax, Clarinet, Echo, Loop, Vo) No Aid (ノー・エイド)は、Anne Strubel (Drs) Axel (G), Gerd Neumann (Synth), Renate von Brevern (B), Steffen Schütze (Vo)から成る5人組。どちらかと言うと実験パンクを演っているバンドですが、ギター中心のサウンドとアジるようなヴォーカルが特徴。シンセの音も隠し味ですね。 A7 “Streetface-Mindmirror” B1 “Anarchie 2017” Jean Gilbert (ジーン・ギルバート)は、人物名ではなくて、Mulk (Instruments, Tapes), Pogo (Vo), Steffen Schütze (Instruments, Tapes)の3人組グループ名で、テープ音やマシンリズム/シンセのパルス音に重ねて、Gをフリーキーに掻きむしたり、爪弾いたり、更にアジるようなヴォーカルや語るようなヴォイスを乗せたりしています。このコンピの中では、Gが前面に出ているのが特徴ですが、シーケンスも用いています。 B2 “Elektrostuhl” B3 “Fröhliches Waidwerk” B4 “Weltkrieg” Toto Lotto (トト・ロット)はi 、1979年〜1982年初期に活動していたバンドで、メンバーはBernhard Wicke (Drs), Christoph Anders (Vo, Synth, Metals, Sax), Hans-U. Dietzel (Vo, G, Perc), Rüdiger Jestel (G), Walter Kranl (B)の5年組で、B5では、生ドラムのリズムやシンセの反復音に語り口調のヴォーカル、更にはギターノイズも加えたりで、面白い。B6ではベースが効果的。 B5 “Verkauf Deine Braut !” B6 “Ohne Worte” と言う内容で、1980年前後の独で出てきたグループ、特にライン川沿いの都市から出てきた実験的ポップ/ノイズ・ミュージックに重きを置いたグループの最初期の貴重な音源を聴くことができます。この中では、P16.D4が一番活動歴が長くなっているのですが、彼等の尽力で、このコンピができたのは、非常に重要と考えられます。歴史的資料としても重要ですね。そんな重要なコンピですので、当時の独の地下音楽を知る意味でも是非聴いてみて下さい‼️面白いですよー。因みに8頁のブックレットも付いていますので、それを眺めるのも楽しいですよ❗️ YouTubeにアップしてある曲のみ貼っておきます。 A1 Fröhliche Eiszeit “Realität !?!” https://youtu.be/_iAWnnvtlFo A3 Fröhliche Eiszeit “Mädchen In Der Eisbar“ https://youtu.be/mT9tjuvkaGM A5 P16 D4 “Ereignisse“ https://youtu.be/gmH-k14qGLQ B2 Jean Gilbert “Elektrostuhl“ https://youtu.be/vUVFijpvxVA B3 Jean Gilbert “Fröhliches Waidwerk“ https://youtu.be/0X8stHvv4Bc B4 Jean Gilbert “Weltkrieg“ https://youtu.be/lkV0CS_04KQ B5 Toto Lotto “Verkauf Deine Braut !“ https://youtu.be/gzKEFxaJgQA #VariousArtists #SchauHörMainHerzIstRhein #Wahrnemungen #Mainz #Frankfurt #Wiesbaden #CompilationAlbum #TheFirstVinyl #Industrial #Experimental #Punk #Noise #Primitive #FröhlicheEiszeit #P16.D4 #NoAid #JeanGilbert #TotoLotto
Experimental / Punk / Avant-Pop Wahrnehmungen 不明Dr K2
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Wire “A Bell Is A Cup... Until It Is Struck”
当時、仲の良かった女友達と「Wireを全部集めようぜ!」とばかりに、Wireのレコードを漁っていた時期に購入したものだと思います(うろ覚え)。Wireオリジナルのアルバムとしては6枚目に当たる”A Bell Is A Cup... Until It Is Struck”です。この頃は、アルバム等をMuteから出していた、所謂「Mute期」の代表的作品です。今一つ、ジャケ写の意味が分かりませんが、彼等らしいシュールな構図だと思います。彼等のバイオグラフィーについては、以前にも書いてありますので、それをご参照下さい。この時期は、Domeやソロ等の活動がひと段落して、ビート・コンボとして再結成された時期で、1985年〜1992年を指します。メンバーは、初期からの鉄壁の4人で、Colin Newman (Vo, G), Graham Lewis (B, Vo), Bruce C. Gilbert (G), Robert Gotobed (Drs)です。また、この時期のプロデュースはGareth Jonesが担当しています。内容はポスト・パンクを通過した「新しい」ポップ・ミュージックと言った方が良い出来で、もうA1 “Silk Skin Paws”のサビからして泣けます。それと、Gotobedのドラムがミニマムで、一切の余計なオカズとかを入れていないのが、凄いです。それ故に、ドラムの良さが100倍良く聞こえます。それから、曲の途中で、効果的なシンセやシンセで使ったホーン音が入ってくるのですが、これは誰が演奏しているのでしょうか? またGilbertのギターワークも素晴らしいです。歌詞は相変わらず、シュールと言うか何か想像/暗示させるような一風変わった単語を使っています。実を言うと、これを購入した時、Wireの”154”のような、凝りに凝った曲を期待していたので、「Mute期」のWireはイマイチだなと思っていて、当時はそんなに聴き込んでいなかったのです。しかし、今回、聴き返してみると、この時期のWireの音楽は、ミニマムで単純なんですが、これこそが、彼等が辿り着いた「究極」の音楽なのではと思えてきます(と言うのは言い過ぎかな?)。そんな無駄を削ぎ落としたビート・ミュージックを演奏している「Mute期」のWireも是非とも聴いてみて下さい❗️因みに、このアルバムに収録されている”Kidney Bingos”は初め見た時に、”Kidney Bongos”だと思っていましたが、その女友達から指摘されて、成程と納得した覚えがあります。 B2 “Kidney Bingos” https://youtu.be/6OrxQ5cKaOQ [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLF0yIDuA63HWT_HPzJTC8rRcOBqGw2d94 #Wire #ABellIsACup...UntilItIsStruck #MuteRecords #16thStudioAlbum #BeatCombo #MinimumMusic #PopMusic #PostPunk #ColinNewman #GrahamLewis #BruceC.Gilbert #RobertGotobed
Post Punk Mute Records 不明Dr K2
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Zoviet France “Shouting At The Ground”
皆さんは、Zoviet Franceなる奇妙な名前のグループを知っていますでしょうか? またの表記として、:$OVIET:FRANCE:, Soviet France, :Zoviet-France:, :zoviet*france:とも表される謎のノイズバンドなのですが、イングランド北東部のNewcastle upon Tyneから、1980年に現れ、様々な匿名を用いて活動、その後、現在まで活動を続けている息の長いバンドです。どうも、多数のメンバーが関わっているらしく、元々はBen PontonとMark Warrenの2人によって結成されていますが、彼等2人に加えて、Neil Ramshaw, Peter Jensen, Robin Storey (Rapoon名義でも活動), Lisa Hale, Paolo Di Paolo, Mark Spybey (Dead Voices on Air名義でも活動), Andy Eardleyと言った多数のアーティストが関わっているようです。しかも、1982年からリリースを開始していますが、凝ったハンドメイド・パッケージも特徴的で、タールを染み込ませた紙やアルミホイル或いはズタ袋などで梱包されていた作品もあり、それだけで、当時のノイズファンは購入したと言う経緯もあります。また、セカンドアルバム”Mohnomishe”から2枚組LPsと言う豪華版でリリースをしており、その点も他のグループと異なる姿勢を取っていました。また、彼等は、ライブよりも録音物に拘っており、ライブは1990年になって、漸く行うようになっています。この位しか、彼等についての情報はないのですが、ここら辺で勘弁して下さい(申し訳ない!)。因みに、先述のStoreyとSpybey及びEardleyは2005年に新グループReformed Factionを結成しています。 本作品は、カセット作品を混えても13作目のZoviet Franceの作品なのですが、やはり2枚組LPsと言う豪華な内容になっています。A面5曲B面6曲C/D面1曲ずつとなっていますが、曲の境目は極めて分かりづらく、ほぼほぼ全体で一つの「曲」と考えた方が良いかも知れません。それで、A面は、茫漠としたダークなアンビエント調の曲で始まり、次に辺境の弦楽器の弾き語りのような曲へと繋がり、そこから段々とリチュアルな曲へ。力技と言うよりもアトモスフィリックな曲から成ります。B面はいきなり、民族楽器のような簡素な笛(?)の音で開け、その音を加工した音に続いていきます。ここでは少し、インダストリアルな匂いも。更に弦楽器や笛などの合奏から成る民族音楽調の曲やそんな曲の一部さをショート・ループ、そうしてダルシマーのような弦楽器の弾き語りのような曲へと続き、そこに機械音のような音が絡んできて、さながらインダストリアル・リチュアルな雰囲気へと。そしてB面最後は、逆回転に笛の音の合奏曲で締めます。まるでウロボロスのような展開です。一方、C面は、まるで人骨の笛のような朗々とした音色とバックに流れるアンビエンスから始まり、そこに逆回転したリズムが入ってきて、更にチベットの声明な声が続いていたかと思うと、やがてフェード・アウトしていく。聴き応えのある1曲です。D面は不吉なダーク・アンビエントから始まり、変調されたうめき声のような声明が入ってきて、呪詛を唸る。そこにトライバルなパーカッションが入ったり、抜けたり。何だか恐ろしくも不吉な曲です。正直、それまでZoviet Franceをちゃんと聴いたことがなかった(もっとパワーのあるノイズ・ミュージックが好きだったので)ので、今回、聴き込んでみて、彼等の素晴らしさを堪能することができました。多分、「ノイズ」のイメージよりも「リチュアル」とか「ダーク・アンビエント」として聴くのが、正解かも知れませんね。そんな通好みのZoviet Franceですが、ノイズに凝り固まっている方にこそ、聴いてもらいたいものです❗️ https://youtu.be/ztfjpwtXY3g #ZovietFrance #ShoutingAtTheGround #RedRhinoRecords #2LPs #Experimental #Ritual #Ambient #BenPonton #MarkWarren #UK #NeilRamshaw #PeterJensen #RobinStorey #LisaHale #PaoloDiPaolo #MarkSpybey #RecordingBand #擬似民族音楽
Experimental / Ambient / Ritual Red Rhino Records 不明Dr K2
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Diamanda Galás “Malediction And Prayer”
久々に出ました。最凶の歌姫Diamanda Galásの13枚目のアルバム“Malediction And Prayer”を紹介します。Galásについては既にバイオグラフィーは書いてありますので、ここでは割愛させて頂きます。それで、本作品ですが、何と❗️Galásのピアノの弾き語りなんです。しかも、彼女が1996年11月〜1997年6月まで行っていた国際ツアーのライブ録音からチョイスされていると言う、ちょっと珍しい作品なんです。なので、彼女の「生」の音楽を充分に堪能できます。渋い歌声から高周波の高音の叫び声やスポークンワード或いは呟き声/囁き声までを織り交ぜた、彼女のヴォーカリゼーションは凄いの一言です。元々は英国のMuteが権利を持っていたのですが、限定と言うことで、敢えてLP2枚組として、Asphodelからリリースされています。それで、話しを元に戻すと、彼女の歌だけではなく、ピアノ演奏の腕前も達者で、所々にブルースの臭いと言うかホンキートンクっぽいフレージングや彼女が影響を受けたであろう米国カントリー調の味付けも感じますが、彼女の生い立ちがギリシャ系米国人であることからも、ある種無国籍風にも聴こえます。強いて言うならば、シャンソンが近いかも知れません。しかしながら、削ぎ落としたライブ音源故に、声が生々しくて、こちらがピリピリしますね。それで今回、初めて気が付いたのですが、D1は”Keigome Keigome”なんですね。曲は全く違いますが、日本の「カゴメ・カゴメ」のことでしようか? そんなことを思いながら、このヘビーなピアノの弾き語り「呪いと祈り」を久しぶりに聴きました。彼女のこう言う面もちゃんと体験しておかないとね❗️ LP1 A1 “Iron Lady” (4:43) A2 “The Thrill Is Gone” (5:36) A3 “My World Is Empty Without You” (4:26) B1 “Abel Et Caïn” (5:32) B2 “Death Letter” (4:40) B3 “Supplica A Mia Madre” (4:13) LP2 C1 “Insane Asylum” (7:11) C2 “Si La Muerte” (5:21) C3 “25 Minutes To Go” (4:35) D1 “Keigome Keigome” (4:32) D2 “I'm Gonna Live The Life” (4:25) D3 “Gloomy Sunday” (3:52) https://youtu.be/Ss71WiyM0YM?si=KnTqF0_UQ1XVEFa #DiamandaGalás #MaledictionAndPrayer #Asphodel #MuteRecords #13ThAlbum #2LPs #Piano #Vocal #LiveRecording #弾き語り
Piano & Songs Asphodel (Mute Records) 不明Dr K2
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Henning Christiansen “Abschiedssymphonie”
これまた、謎物件ですねぇ。どうも、Henning Christiansenは、フルクサス運動に関わっていたデンマークのコペンハーゲンの作曲家で、現代音楽家の一人と言うことば分かりました。Discogsによれば、1972年からレコードをリリースしており、また、彼は2008年12月10日にMønで他界しています。その間にも色々なコラボレーターと共作をしていますが、彼の経歴はそれ以上はよく分かりませんでした。それで、本作品ですが、Christiansen自身は作曲・ピアノ演奏・録音をこなしており、他に、韓国のマルチメディア・アーティストNam June Paikがピアノとヴァイオリンを、独逸人の前衛芸術家Joseph Beuysが電話(!)を演奏していています。と言うことは、3人とも、フルクサス関係のダダイストと言うことでしようか?(厳密にはBeuysは違いますが) その関係で、Christiansenは正当な音楽教育を受けていない2人に演奏を頼んだ言うことでしょう。ポロンポロンとゆっくりと爪弾かれるリリカルなピアノやまた時に激しく連打されるピアノに、電子的変調を掛けられたもう一台のピアノや電話の音、或いは波や金属質な電子音や声などが絡んで、不思議な音風景を醸し出しています。特に大きな盛り上がりもなく、またミニマルでもない、一種「中庸」の音楽ですが、そこはそれ、この3人で単にそれだけで終わる訳でもなく、しっかり好き勝手な音を出しています。そして、録音だけでもChristiansenの他に、Ernst Kretzer、Esben Christiansen、Lorenzo Mammi、Thomas Stelterと言う豪華な布陣で行っており、ミックスもChristiansenとJean Martinで行っています。それだけポスト・プロダクトが重要と言う曲と言うことだと思います。と言う訳で、現代音楽、それもフルクサス関係の音楽ですが、耳を開放してみれば、その面白さを聴取できると思いますので、是非ともチャレンジしてみて下さい❗️ https://youtu.be/3_FWe1g3zwA #HenningChristiansen #Abschiedssymphonie #EditionBlock #ModernClassic #NumJunePaik #JosephBeuys #Composition #Piano #Violin #Telephone #Fluxus #DanishComposer #Post-Production
Modern classic / Experimental Edition Block 不明Dr K2
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The Sonics “Original Northwest Punk”
2023年2発目は、このThe Sonicsにしました。この手の古い音源はちょっと苦手なんですが、まあ年初めでもありますので、選んでみました。The Sonicsは、1960年にWashington州Tacomaで結成されたロックンロール・バンドで、プロト・パンクとかガレージ・ロックとかと今では言われています.元々は学祭のダンスバンドだったらしいのですが、The WailersのペーシストBuck Ormsbyによって見出されました。それで その元々は、音楽一家の家庭で生まれたLarry Parypa (G)がまだ10代の頃、Mitch Jader (Drs)とStuart Turner (G), Jerry Parypa (Sax)がオリジナル・メンバーで、母親が、リハではBassで時々ヘルプしていましたが、1961年に兄のAndy Parypa (B)が加入し、SaxはTony Mabinに交代しています。Turnerが兵役で取られると、元The WailersのRich Koch (G)が加入し、また、Marilyn LodgeがVoで加入しています。また、ドラムもJaderに代わって、Bill Dean (Drs)が加入します。しかしながら、1963年になると、KochとLodgeが脱退し、Ray Michelsen (Vo)として加入。一方、音楽の違いから、Deanも脱退し、The SearchersのBob Bennett (Drs)が代わって加入。Gerry Roslie (Kbd)とRob Lind (Sax)も加入して、前のSax奏者Mabinを辞めさせます。そして、Gerry Roslie (Kbd)が、リードシンガーになります。これらのメンバーチェンジは1964年まで続きますが、1964年に漸く、よく知れたメンバーとして落ち着き、地元のヴェニューでギグを始めます。すると、すぐにThe WailersのBuck Ormsbyに見出されで、The WailersのレーベルであるEtoquette Recordsと契約し、ファーストシングル”The Witch”を1964年にリリース。このシングルは地元では大ヒットして、ラジオでも良く掛けられていたそうです。それもあって、1965年初頭には、Etiquette Recordsより、デビューアルバム“Here Are The Sonics”をリリースします。この時の録音では2トラックの録音機材と1本のマイクでドラム音を中心になるように録音されています。続く、セカンドアルバム”Boom”を1966年2月に録音されており、よりライブ感を出すように、カントリー&ウエスタン志向のWiley/Griffithスタジオで、防音壁を剥がして録音されています。1966年後半に、SonicsはJerden Recordsに移籍し、Larry Levineと共にアルバム”Introducing the Sonics”をリリースしますが、レコード会社の上の人が、もっと磨き上げた音にするようにと言ったとかの噂があり、それでよりモダンな音で録音していますが、「最低のクズ」とかと言われて、セールス的にも失敗でしたし、本人達も不満でした。1966年〜1968年はバンドとしての活動は余り行っていません。その時に、新しいメンバーでSonicsを名乗っているミュージシャンがいましたが、後にJim Brady and the Sonicsと改名しています。一方、オリジナルのSonicsは1972年にちょっとだけ再結成を果たして、ライブを行っており、その時のライブ録音はアルバム”Live Fanz Only”としてEtiquette Recordsよりリリースされています。そして、1980年には、Gery Rosie を中心に新生Sonicsとして、過去の曲もアレンジして収録したアルバム”Sinderella”をリリースしています。この時期は、1970年代のパンクと1990年代のグランジへの影響もあって、米国や欧州で様々な再発盤が出されています。しかしながら、LarryとAndy Parypa兄弟はまだ音楽を続けてましたが、Roslie, Lind, Bennettは音楽からは引退していました。と今回も、長くなってしまいましたので、ここまでにしておきます。 それで本作品なんですが、Discogsで調べても出てきませんので、ブートの可能性も高いです。まあ、A1 “The Witch”とA5”Psycho”は初期のヒット曲ですので、それだけでも価値があると思います。しかしながら、これが一本のマイクで録音されているとは驚きです。またB1 “Live Light”のしっとりしたバラードも聴き処ですね。基本的は1960年代のロックってそんなに好きではないのですが、その一つの理由として、あの暑苦しいヴォーカル・スタイルが苦手っていうのが大きいと思いました。でも、全体としては1960年代を象徴するようなガレージ・サウンドで、好きな方は多いかも。そんなThe Sonics、聴いてみてちょ❗️ First Album “Here Are The Sonics” https://youtu.be/VwbcTTlaKXo #TheSonics #OriginalNorthWestPunk #Bootleg #Garage #Proto-Punk #LarryParypa #AndyParypa
GARAGE ROCK Tsubota Steel & Pipe 不明Dr K2
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Nord “ L∴S∴D∴”
もう一つの日本のノイズのオリジネーターNord (「ノール」と発音)は、1979年に片山智と及川洋によって結成されましたが、1980年にLP”Nord”をリリース後、1983年の分裂。両方がNordの名を冠したことで、便宜上「片山Nord」と「及川Nord」と呼ばれています。片山Nordは都内でライブを中心に活動して、今に至りますが、及川Nordは分裂後、宅録中心の活動になります。今回は、その及川Nordが出したアルバムの一つ” L∴S∴D∴”について紹介します。先述のように及川Nordは、ライブは演らず、宅録でのカセットやLPなどのリリースだけになっています。その中には4本組カセット”Psycotron - 1”やカセット作品”NG Tapes”の他、本作品を混ぜて、2枚のLPを出してはいますが、1980年中頃に、その活動が収束して、リリースも無くなっており、現在もその活動については不明のままです。今回、紹介するアルバムLP” L∴S∴D∴”も、及川Nordの作品の一つで、L∴S∴D∴RecordsのLPとしてはファーストに当たります。都合、4曲入っていますが、どうも”LSD”と言う曲はA面とB面に2つに分断されて、収録されているようです。音的には、アナログ・シンセによる電子音が中心になっていますが、A2は、軟体生物のようなシンセ・パルスに段々のファズ・ギターが絡みつくバイオ・ノイズとも言える曲で、単なるノイズの垂れ流しでは無いのだなと感心しました。また、B1では、60年代のサイケデリック・ロックの楽曲が不明瞭に流れてきて、段々の電子パルス・ノイズに置換されていくと言う構造も聴取でき、及川氏が1960年代のサイケの影響下で、このようなノイズ・ミュージックにたどり着いたのでは?と思わせられます(本人も認めていました)。更にはテープによる具体音も不明瞭ながら加味され、伊のM.B.などのような同時代性を感じます。更にB面最後の曲は、気味の悪い悪夢のようなアンビエントっぽい作品で、これにはパルス音は無いので、余計に異様な曲になっています。 分裂前とかなり異なる音像になっており、彼が創作活動を続けていたら、どうなっていたか?が興味深いところではあります.入手は困難ですが、サイケとノイズの関係について少しでも知りたいのであれば、是非聴いてみることをお勧めします。 “L∴S∴D∴”A面 https://youtu.be/biaEDIa7-Z4 #Nord #LSD #LSDRecords #及川洋 #HiroshiOikaws #宅録 #Noise #Electronic #Synthesizers #Pulse #Psychedelic
Noise L∴S∴D∴ Records 不明Dr K2
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V.A. “To The Shores Of Lake Placid”
これも謎物件。何でこんなん、持っているん?と。コンピなんですが、メンツを見ると、ネオ・アコ系が多いので、多分、「勉強」の為に、購入したのかな? ここら辺のグループはちゃんとは聴いていないですよ。それでちょっと調べてみました。このシリーズは、1979年に、Bill DrummondとDavid Balfeが英国Liverpoolで立ち上げた、Zoo Recordsの企画もので、本作品は4番目みたいです。このレーベルもThe Teardrop ExplodesやEcho & The Bunnymenなどの所謂ネオ・アコ専門のようです。それでは収録グループと曲について紹介していきたいと思います。 A1, B7はBig In Japanです。メンバーは、最初、Bill Drummond (G, Vo), Kevin Ward (B, Vo), Phil Allen (Drs)で1977年に結成され、その1ヶ月後に、Jayne Casey (Vo), Holly Johnson (B), Ian Broudie (G)が加入しており、それで、WardはBからVoにシフトしています。このコンピの中では唯一、知っていた曲 (B6) ”Suicide A Go Go”はキャッチーな名曲です。A2はThose Naughty Lumpsで、メンバーはBobby Carr, Gerry Culligan, Kev Wilkinson, Martin Cooper, Pete Younger, Tony Mitchellのようですが、アルバムを1枚だけ出しているようです。ヘナヘナな演奏なのに、タイトルがIggy Pop’s. Jacketなんてイカしてる。A3, B5, B8はThe Teardrop Explodesで、メンバーは、最初、Julian Cope (Vo, B), Ian McCulloch (G; 後のEcho & the Bunnymenのリーダー)及びPete Wylie (G; 後にWah!を結成)でしたが、直ぐにJulian Cope (Vo, B), Gary Dwyer (Drs), Mick Finkler (G), David (Organ)となります。Copeは各国のサイケの探求もしていて有名ですね。コーラスワークがカッコいいフォーキーな演奏。キーボードもgood❗️B6とB8はオルガンとギターのリフが何とも良い味を出していますね。A4, A5, B7はEcho & the Bunnymenで、1978年に結成されたLiverpool のバンドで、オリジナルメンバーはIan McCulloch (Vo, G), Will Sergeant (G), Les Pattinson (B)で、“Echo”と名付けられたドラムマシンを使っていましたが、1980年にPete De Freitas (Drs)が加入しています。A4での、アコギとオルガンとIanのさっぱ詰まったVoがグッときます。A5ではミディアムテンポなんですが、キャッチーな曲。B7はノリ良いネオ・アコの典型的な曲で、ノリも良いです。A6, B4は、Lori & The Chameleonsで、メンバーはBill Drummond, David Balfe, Lori Larteyですが、シングル2枚を出している以外の詳細は不明です。A6 ドコドコなリズムに、Loriの透き通るようなVoで昇天しそう。ホーンもいい感じです。B4はコーラスワークとオルガンの短い曲です。A7, B3 はThe Turquoise Swimming Poolsで、メンバーは、David Balfe, Hugh Jones, Troy Tateですが、単独でのリリースは無いようで、詳細不明です。ピアノなどの鍵盤楽器と簡素なドラムに、叙情的なコーラスワークは映えます。特にB3は効果的なギターも入っています。 B面に行きます。B1はWhopperで、メンバーはBuff ManillaことGary Dwyer, Kevin StapletonことJulian CopeとMilkことDavid Balfeで、即席バンドのようでl、リリースはないです。この手のコンピでは珍しく、シンセ・ベースにホーンと呟くようなVoが切ないですね。B2はDalek (I Love You)です。オリジナル・メンバーはAlan Gill (G, Vo), Dave Balfe (B, Vo, Synth), Dave Hughes (Kbd), Chris Teepee (Drum-machine, Tapes)ですが、ここではAlan GillとDave HughesのデュオにChris Hughesがヘルプしています。Derek I名義で、3枚のアルバムと8枚のシングルをリリースしていますが、詳細は不明です。浮遊感のあるVoとピアノやシンセによる叙情的なメロディが哀愁を誘います。 これを聴けば、1982年のネオ・アコの「現在形」が分かりますので、この手の音楽に興味ある方は、是非聴いてみてください! Echo & The Bunnymen “Read It In Books https://youtu.be/65pl_MCO5Ts The Teardrop Explodes “Sleeping Gas” https://youtu.be/aSDQkfB7_mg [semi-full album] https://youtube.com/playlist?list=PL3kphwSDovHIE-qAE-FqT_D4yEmMNjX0Q #ToTheShoresOfLakePlacid #VariousArtists #ZooRecords #Compilation #Neo-Acoustic #BigInJapan #ThoseNaughtyLumps #TheTeardropExplodes #EchoAndTheBunnymen #LoriAndTheChameleons #TheTurquoiseSwimmingPools #Dalek(ILoveYou)
Post Punk / Neo-Acoustic Zoo Records 不明Dr K2
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Christoph Heemann “Magnetic Tape Splicing”
皆さ〜〜ん、覚えていますか?独逸のNurse With WoundことH.A.N.S. (Hirsche Nicht Aufs Sofaの略語)の中心的存在であったChristoph Hermann先生のことを❗️H.N.A.S.が1993年に解散した後、彼は、英国のThe Legendary Pink DotsのEdward Ka-Spelとコラボをやっており、やがて、このコラボはMimirと言うユニットになります。更にHermannは独逸人ミュージシャン/パーフォーマーのLimpe Fuchsや当時米国に住んでいたJim O’Rourkeともコラボを開始しています。それとは別に、Hermannは英国のドローン作家Andrew ChalkとデュオMirrorを結成して、多くのリリースを、ハンドメイド包装で活動していましたが、2005年に活動停止しています。また、Current 93のDavid Tibetのとも交流もあった為、Current 93に参加して、やがてメンバー扱いになっています。それが1990年代という訳です。また、彼は、Af UrsinのVan Luyckとも2004年にコラボユニットIn Camera を開始しており、4枚の作品をリリースしており、これらの作品は、即興性の観点から見て、本来の「電子音響音楽」1であるだということみたいです(私は未聴)。それで、ソロとしての活動ですが、H.N.A.S.解散後、活発になり、数多くのTV出演以外にも、Texas, Chicago, TorontoやTokyoで頻繁にライブ・パフォーマンスを行なっています。ソロ作品には、”Invisible Barrier “(1992), “Aftersolstice” (1994), “Days of the Eclipse” (1996), “Magnetic Tape Splicing” (1997), "The Rings of Saturn"(2010)と名付けられ、本作品もこれらに含まれています。最後の作品は、Heemannが好きだった独逸人著者のW. G. Sebaldの小説のタイトルの隠喩だそうです。それで、本作品ですが、ソロ名義になっており、両面とも、ランダムに針飛びさせたレコードの具体音のテープを、更にランダムに切ってコラージュしたかのようなミュージック・コンクレート作品となっております。Nurse With Wound的ではありますが、こちらの方が即物的な出来になっています。ネタバレすると両面に1曲づつ収録されているのですが、共に5分もなく、なんで12インチしたんや?と疑問が湧きます。確かに内容は高水準なのは分かるんですが。この頃の音響系アーティストはどうもこう言う一種の「ぼったくり」みたいな作品が多かったですね。それも限定にして、それなりの高い値段で売ると言う、、、まあ、それでも宜しければ、聴いてみても良いかも? https://youtu.be/7tf13I7uqYU #ChristophHeemann #MagneticTapeSplicing #RobotRecords #MusiqueConcrète #45RPM #H.N.A.S. #SoloWork
Experimental music Robot Records 不明Dr K2
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Andreas Dorau und Holger Hiller “Guten Morgen Hose”
これは!ATA TAK、最強の2人、Andreas DorauとHolger Hillerのコラボ作!見つけた❗️地味なジャケだったので、気付かなかったよぉ。今、小柳カヲルさんの「クラウトロック大全」で調べたら、DorauはHillerにギターを習っていたとのこと。ビックリです。じゃあ、これは師弟対決(?: まあ、対決ではないですが)❗️読みにくい独逸語のライナーが裏ジャケにあるのですが、細か過ぎて読めません。どうも、両面とも一種のオペラとか歌劇のようです(ホントは良く分からないですが)。配役はJohnnyがAndreas Dorau, HosenchorがJochen Liedisch (& Moritz Reichelt, Hagar Groeterr), LucyがClaudia Kaloff or Erica Kochs, Die HoseがHolger Hiller, Der TeppichがSol Rubioとなっています。あ面とB面でやや配役が代わっています。取り敢えず、少々調子っ外れなメインVoはオペラチックに歌うと言うか抑揚を付けて喋ると言うかなんですが、バックの演奏がもう、Hiller丸出しの複雑怪奇或いは荒唐無稽なアレンジで、そこにスパイス的にDorauが味付けしていると言った感じでしょうか? で、出来上がったのが、この”German New Opera”とも言うべき破茶滅茶な歌劇ですね。 確かにストリング・シンセなんかの使い方はまだクラシックのような面もありますが、個々の音は、Hiller的に分断された音をサンプリングして切り貼りしているようです。企画ものかもしれませんが、ほんと面白い内容になっています。7㌅シングルもあるみたいですし、ジャケ違いもあるようですが、この一枚、持っていても損はないです。そんな一枚ですね。 A “Guten Morgen Hose” B “Guten Morgen Hose” https://youtu.be/auH4A9ZHzVw?si=SLszJZ5dY8ilc401 #AndreasDorau #HolgerHiller #GutenMorgenHose #ATATAK #12inchSingle #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #ModernOpera #Avant-Opera
Neue Deutche Welle (German New Wave) ATA TAK 不明。Dr K2
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Frieder Butzmann Und Laurence Nagana ”Bunte Flügel”
独逸ニューウェーブ界(NDW)或いは独逸実験音楽界の名匠ことFrieder Butzmannが、Laurence Naganaと一緒にリリースしたカセット・ファースト・アルバムのLP再発盤です。実に19年も経っての再発です。Frieder Butzmannについては前回も紹介していますので、そちらを参考にして下さい。録音されてのは、1969年から1979年にかけて、Laurence Naganaの力を借りて作り上げています。内容ほ凄まじいの一言。奇想天外な音楽て、音の偏執狂的コラージュ、へなちょこなサックスやピアノ、それに自身のすっとん狂なヴォーカル、兎に角、アイデアをそのまま勢いで録音したであろう産物です。もう表現せずにはいられなかった衝動がビンビン伝わってきます。リマスタリングされているのか、音はかなりクリアです。まあLaurenceの役割はよく分かりませんでしたが。私なんかは、こう言う道を外した音楽を作れませんので、もうただただ驚愕するばかりです。なので、皆さんも、実験的なポップミュージック(?と言って良いか?よく分かりませんが)に触れてみたいのであれば、このアルバムはマストですよ❗️ ちょっと探しましたがYouTubeには本作品はなかったので、同時期の他の動画を貼っておきます. https://youtu.be/Qq95wV6oOEs #FriederButzmann #LaurenceNagana #BunteFlügel #Reissue #Eisengrau #FirstAlbum #WeirdPopMusic #ExperimentalPop #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #BrokenMusic
Neue Deutche Welle (German New Wave) Eisengrau 不明。Dr K2
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David Prescott “From Chance To Probability”
実は、これも謎物件なんですよー。いつの間にか購入していました。なので、ちょっと調べてみました。Prescott氏、ボストンに居を構える宅録アーティスト(Home Taperとも言う) なんですが、何と❗️あのルーマニアの現代音楽の巨匠Iancu Dumitrescu氏とのスプリット作品も残しているではないですか❗️それで、彼が言うには、1981年になって、Moogなどのアナログ・シンセが比較的安価になって、誰もがKlaus SchulzeやClasterのような音楽ができるようになったということ、そしてそのような音楽を大学のラジオ局で発信出来るようになったこと、更には、1983-1984年にはTascamなどの会社が、4トラックのカセットMTRを販売し、自宅で録音が可能になったことで、宅録文化が形成されつつあったと言う訳です。彼の認識では、そんな宅録文化は1986年にピークを迎え、同時にメール・アートのように、昔なら発表することも叶わなかった音楽を流通させることが可能になり、家から離れたところに住んでいる仲間(例えばZan HoffmanやMinobu など)とも郵便を通じてコラボできるようになったとのことみたいですが、私の認識ではそのような宅録文化とメールミュージックは1981ー1983年頃では?と言う感覚です。とまあ、アマチュア電子音楽家が活動し易くなったのは事実で、今ではBandcampなどで、一億総「音楽家」時代に突入した訳です。PCとちょっとした機材があれば、誰でも自分の音楽ャ音楽擬を配信できるようになった訳です。と言う訳で、彼は1980年代〜1990年頃まで宅録音楽家として活動していたみたいです。Generations Unlimitedは彼のレーベルでしたが、Conrad Schnitzlerのカセット作品を沢山扱っています。一時期、休止期がありましたが、2014年からレーベル活動を再開しているようです とまあ、そんな活動をしてきたDavid Prescottですが、本作品は、彼のソロとしてはファーストアルバムになります。A面/B面に一曲づつ長尺の曲が収められています。多分、シーケンサーやリズムマシンは使っておらず、ウニョウニョした抽象的なアナログシンセの多重録音と思われる曲からなります。彼がConrad Schnitzlerにシンパシーを抱いていたのが、分かるような内容です。多分、Conrad Schnitzlerが好きだったのでしようね。ここら辺の宅録文化は一度、検証してみたいですね。と言うことから分かるように、もし、Conrad Schnitzlerが好みであれば、今回紹介したDavid Prescottの作品も気に入ると思いますよ。一度、聴いてみて下さい、 本作品はYouTubeに無かったので、Ianc Dumitrescuとのスプリット作品より。 https://youtu.be/XmhaaU9pSWw #DavidPrescott #FromChanceToProbability #GenerationsUnlimited #Home-Taper #宅録 #ElectronicMusic #MaliArt #MailMusic #Synthesizers #Abstract
Electronic music Generations Unlimited 不明。Dr K2
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Feine Trinkers Bei Pinkels Daheim “Apfelmost Und Essig”
これまた謎々物件。恐らく独逸モノとして購入したものと思われます。初め、どちらがアルバムタイトルでどちらがバンド名か分かりませんでした 苦笑)。調べた結果、Feine Trinkers Bei Pinkels Daheim (以下、FTBPDと表記)がバンド名でした。とは言うものの、実は、独逸の元建築家Jürgen Eberhardのソロユニット名で、1989年から活動していたそうです。一時期、Oswin Czerwinskiも加わってデュオで活動していましたが、2004年からは再びソロになっています。このFTBPDは結構、沢山のリリースを行っており、Audiofile Tapes (米), Vinyl Communication (米), Drone Records (独)などからもリリースされています。アルバムとしては、初のLPが本作品”Apfelmost Und Essig (直訳すると「サイダーと酢」)”が最初だと思います。FTBPDの意味を調べようとしましたが、何だかよくわからない意味でしたので、和訳は出来ませんでした。それでFTBPDの音楽は、オブジェなど非楽器を使って、それを電子的に取り込み、変調/再グループ化/重ねたりして、ある種のサウンド自体を構築すると言うスタイルみたいです。こちらも家電系実験音楽ですね。それで本作品ですが、柔らかい黄色い和紙に包まれた黄色盤で録音情報や曲名は一切書いてありませんが、Discogsには曲名が記載されています。また、この時期はJürgenとOswinのデュオで、ゲストにChris Sigdellも参加しています。A面に3曲、B面に2曲、収められています。電子音ではなく、アコースティックな音を加工していますので、電子音らしき音は含まれていませんが、ガサガサ、ゴソゴソとした音が心地よいドローンの上で遊んでいるかのような音楽です。まあ、「音響系ノイズ」の範疇に入る音楽だと思います。音の扱いがかなり巧いので、相当なスキルを持っていると思います。それも建築家の前歴があるからでしようか?もし、この盤を見つけたら、一度は聴いてみても良いかと思います。隠れた「名匠」ですね。それではそのチャンスを得られることで、チャオ❗️ YouTubeにこの作品は無かったので、ライブ音源を貼っておきます。 https://youtu.be/Uj4rwCBZ8rQ #FeineTrinkersBeiPinkelsDaheim #ApfelmostUndEssig #EpilepticRecordings #German #Electro-AcousticNoise #AmbientNoise #Drone #JürgenEberhard #OswinCzerwinski #ChrisSigdell #Germany
Electro-Acoustic Music Epileptic Recordings 不明。Dr K2
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V.A. “Der Biß (Soundtrack Zum Film)”
このアルバムも全然記憶にありません。独逸モノと言うことだけで購入したものと思います。しかし、このアルバムは”Der Biß”と言う映画のサントラ集だったみたいです。どんな映画かはちょっと不明ですが、監督はClaude Chabrolで、1970年8月に公開された作品で、Stéphane Audran, Jean-Pierre CasselとMichel Bouquet.が主演と言うことでしょうか?シリーズもので、ちょっぴりスリラー的要素があるみたいです。その内容ですが、ん〜、どうも精神的にいかれた母親が息子に暴力を働き、怪我をさせてしまう。そこで父親が親権を守ろうとして、息子を地方病院に入院させ、母親をロッジに移します。それで母親が親権を奪い返そうとして、怪我をさせられた使用人の青年が、恋人と一緒になって、母親に罰を与えるみたいなプロット(ホントかな?)です。この映画は、元々、フランス語で制作されており、仏、伊、ベルギーが舞台になっています。なお、原作はCharlotte Armstrongです。興味のある方は原著を読んでみてください。 それで本サントラですが、A1とB6 ベルリンのバンドUnlimited Systemsで、メンバーはMarianne Enzensberger (Vo), Ian Wright (別名J.C. Wright; Electronics, Tapes), Ulrike Reetz (別名Ulli Reetz (Sax), Lena Japan (G)の4人組です。メンツから分かるようにベースはシーケンサーでその上にムーディーなsaxとMarianneのややドライなVoが乗るポップな曲ですね。B6はドライブ感がありますね。A2とB1 ベルリン生まれのMarianne Rosenbergは独逸の歌手ですが、バックの演奏はウニャウニャしたシンセから始まり、やがて気怠いコード進行の曲になり、朗々と歌っています。出自は如何にもNDWっぽい曲です。B1の方はVoがKate Bushっぽいです。A3 Die Gesundenで、Mabel AschennellerとEschi Rehmのデュオで、元々はドラマーがいたみたいです。所謂、A~Haみたいな音で、ドラムマシンとシーケンサーをバックにどうも2人が交互に歌っているようです。A4 NYCのシンガーソングライターのDavid Peelで、スカムなパンクサウンドを聴かせてくれます。憎み切れないC級のパンクサウンドです。B2 Tecnovilleは、André Bach, Berna van Baarsen, Herman Lohmeijer, Herman Voogd, Mark Tegefossの5人組ですが、詳細は不明。抑制されたようなVoで、細かく刻むドラムがポストパンクっぽいです。勿論生ドラム入りです。B3 Gerd Pasemannは、Aroma Plusなどのバンドにもいたアーティストで、あのMax Goldtともバンドメイトでした。重いキックにシンセとギターか被るスタイルですが、最後に男性の呟きが続いてきます。 と言う訳で、そんなに有名なバンドが揃ってはいませんが、独逸の地下映画とそのサントラの文化には触れられると思いますよ。皆さんも聴いてみて下さい。 Unlimited Systems “Ich Beiß Mich Selbst” https://youtu.be/KVBV6gMkQWI Marianne Rosenberg “Nägel Aus Eis” & “Rhapsodie In Blut” https://youtu.be/laKPQfuAy1Y Die Gesunden “Kalte Liebe” https://youtu.be/4sfTzd34Xog #VariousArtists #DerBiß(SoundtrackZumFilm) #Schnick-Schnack-Tonträger #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #UnlimitedSystems #MarianneRosenberg #DieGesunden #DavidPeel #Tecnoville #GerdPasemann #SoundTrack #FrenchMovie
Neue Deutche Welle (German New Wave) Schnick-Schnack-Tonträger 不明。Dr K2