Nord “ L∴S∴D∴”

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もう一つの日本のノイズのオリジネーターNord (「ノール」と発音)は、1979年に片山智と及川洋によって結成されましたが、1980年にLP”Nord”をリリース後、1983年の分裂。両方がNordの名を冠したことで、便宜上「片山Nord」と「及川Nord」と呼ばれています。片山Nordは都内でライブを中心に活動して、今に至りますが、及川Nordは分裂後、宅録中心の活動になります。今回は、その及川Nordが出したアルバムの一つ” L∴S∴D∴”について紹介します。先述のように及川Nordは、ライブは演らず、宅録でのカセットやLPなどのリリースだけになっています。その中には4本組カセット”Psycotron - 1”やカセット作品”NG Tapes”の他、本作品を混ぜて、2枚のLPを出してはいますが、1980年中頃に、その活動が収束して、リリースも無くなっており、現在もその活動については不明のままです。今回、紹介するアルバムLP” L∴S∴D∴”も、及川Nordの作品の一つで、L∴S∴D∴RecordsのLPとしてはファーストに当たります。都合、4曲入っていますが、どうも”LSD”と言う曲はA面とB面に2つに分断されて、収録されているようです。音的には、アナログ・シンセによる電子音が中心になっていますが、A2は、軟体生物のようなシンセ・パルスに段々のファズ・ギターが絡みつくバイオ・ノイズとも言える曲で、単なるノイズの垂れ流しでは無いのだなと感心しました。また、B1では、60年代のサイケデリック・ロックの楽曲が不明瞭に流れてきて、段々の電子パルス・ノイズに置換されていくと言う構造も聴取でき、及川氏が1960年代のサイケの影響下で、このようなノイズ・ミュージックにたどり着いたのでは?と思わせられます(本人も認めていました)。更にはテープによる具体音も不明瞭ながら加味され、伊のM.B.などのような同時代性を感じます。更にB面最後の曲は、気味の悪い悪夢のようなアンビエントっぽい作品で、これにはパルス音は無いので、余計に異様な曲になっています。
分裂前とかなり異なる音像になっており、彼が創作活動を続けていたら、どうなっていたか?が興味深いところではあります.入手は困難ですが、サイケとノイズの関係について少しでも知りたいのであれば、是非聴いてみることをお勧めします。

“L∴S∴D∴”A面
https://youtu.be/biaEDIa7-Z4

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