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招き猫カゲキ団 “第一歌曲集”
以前に、日本のインディーズ出自のバンドとして、恐らく一番成功したのが、Zeldaではないか?と言って、Zeldaのアルバムを紹介していたと思うのですが、今回は、そのZeldaのVoの高橋小夜子とBの小嶋さちほから成るスピンオフ・ユニット招き猫カゲキ団の10㌅EP”第一歌曲集”を紹介します。どこかで読んだと記憶しているのですが、レーベルのTelegraph Recordsが方向性か金銭面かで行き詰まっていた時に、このEPを出したら、何とかレーベル存続が出来て、うまくいったとのことで、正にTelegraph Recordsにとって救世主であったようです。メンバーは先述の高橋小夜子と小嶋さちほの2人ですが、このEPでは、他に、鈴木ヨーコ(G), 渡邉雅美(Drs)が参加しており、また、小山まさのり (Bell, Back-Vo), 小貫隆信 (Cymbal), 小西造次 (泣きG), 小杉均 (Hihat), 地引雄一 (オルゴール)もゲスト参加しています。曲によって演奏する楽器も代えているので、それらも含めて、各曲を紹介していきますね。 ★A1 “人形” (3:48)では、オルゴールに導かれて、やがてオムニコードの調べに乗せて、Voが静かに、そしてハキハキと歌っており、2人のコーラスワークも冴えています。 [小嶋さちほ(Vo, オムニコード), 高橋小夜子(Vo, オムニハープ)] ★A2 “砂漠のマリアンヌ” (3:42)では、民族音楽調のタムを多用したDrsとピアノに、小夜子のVoのちょい一生懸命なVoが切羽詰まって歌っていますが、サビ以降は素晴らしいアンサンブルを聴かせてくれます。 [高橋小夜子(Vo, Drs, Piano), 小嶋さちほ(B, Vo, Piano), 鈴木ヨーコ(G), 渡邉雅美 (Drs)] ★B1 “森のおくりもの” (2:20)は、アコーディオンとDrsとClarinetによるワルツで、サビのコーラス部分は秀逸です。時にファルセット気味なVoも良い塩梅! [高橋小夜子(Vo, Clarinet), 小嶋さちほ(B, Vo, オムニコード&ハープ), 鈴木ヨーコ(G, B, Vo), 渡邉雅美(Drs, B, Vo, アコーディオン)] ★B2 “幻夜” (4:43)は、落ち着いたゆったりした曲ですが、Drsとオムニコードに合わせて歌う小夜子のVoとさちほのコーラスが心地よいです。バックの演奏も良くアレンジされています。 [高橋小夜子(Vo, オムニコード), 小嶋さちほ(B, Vo, オムニコード&ハープ), 鈴木ヨーコ(G), 渡邉雅美(Drs)] 久しぶりに聴いてみたのですが、やっぱりに「歌もの」にフォーカスしている点で、内省的で感受性豊かな音楽だなぁと感心しました。このユニットが、この1枚しか録音物を残さなかったのは残念です。Zeldaとは方向性は違いますが、こう言う「遊び心」のある音楽は、大切に聴いていきたいと、改めて思いました。10㌅、45回転、全4曲入りなので、聴き終わっても、またすぐに聴きたくなりますね。耳が疲れた時には、この作品を聴いてみて下さい!また、おまけに彼女らのライブ音源も貼っておきますので、聴いてみて下さい。 [full EP] https://youtu.be/IQcXTOh7IRw?si=UjTSAYqnfbHjn-md [おまけ: Live at Four Vally on Sep. 4, 1983] https://youtu.be/iXk3ruxoZaE?si=9LGKzPSJX4rQFA1Z #招き猫カゲキ団 #第一歌曲集 #TelegraphRecords #JapaneseUnderground #Spin-OffUnit #Zelda #WorldMusic #Folk #Acoustic #歌謡 #10inchEP #高橋小夜子 #小嶋さちほ #鈴木ヨーコ #渡邉雅美 #Guests #小山まさのり #小貫隆信 #小西造次 #小杉均 #地引雄一
Post Punk / Folk / World Telegraph Records 不明Dr K2
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Chrome “Into The Eyes Of The Zombie King”
久々に入手しました!Chromeの8枚目のスタジオ・アルバム” Into The Eyes Of The Zombie King”です。これは、Damon Edgeが、Helios Creedと袂を分かって、渡仏し、そこでChrome名義で制作したアルバムですので、レーベルも仏のMosquitoになっており、またHelios Creedの名前もクレジットされていません。Chrome或いはDamon Edgeのバイオグラフィーは以前に書いてありますので、そちらをご参考にして下さい。それで、本作品の参加メンバーは、Damon Edge (Lead-Vo, Synth, Echo-G, T.V., Treatments [Effects]), Remy Devilla (G), Renaud Thorez (B, Fretless-B), Patrick Imbert (Drs, E-Drs), Fabienne Shine (Back-Vo, Vo)から成っております。因みにFabienne ShineはDamon Edgeの奥さんで、正式に1980年に結婚しており、Damon Edgeは、1983年から、渡仏してParisに居を移し、そこでChromeを名乗って、1995年にEdgeが亡くなるまで、欧州を中心に活動しています。本作品は、そんな中でのアルバムのひとつと言うことになります。ただ、EdgeはCreedと喧嘩別れした訳ではなく、米国CAのアパートで亡くなる前から、「俺が死んだら、お前がChromeの名で続けてくれ」と言っていたそうで、その後は、Helios CreedによるChromeの活動は続けられています。因みに、1996年に、雑誌Alternative Pressが公表した「過去20年間でインスピレーションを受けたアングラ・バンド100選」にChromeも入っていたそうです。また、別れた奥さんのShineは、1997年に、アルバム”No Mad Nomad”をリリースし、2004年には、CreedのChromeで一緒に活動し始めています。 それでは、本作品” Into The Eyes Of The Zombie King”の内容(両面4曲ずつ)について、各曲をご紹介していきますね。 ★A1 “And Then The Red Sun (The Story Of A Cyclops)” (4:50)は、Chromeらしいリズム隊のビートと音色に、エフェクトVoと捩れるようなGが乗ってくる曲で、ミニマル気味に続いた後、フェイドアウトします。 ★A2 “You Can't Do Anything” (3:50)は、強力なビートにGの単音弾き(ソロ?)と不明瞭なエフェクトVoが乗ってくる曲で、怪しさ満点/カッコ良さも満点です! ★A3 “Walking And Looking For You” (5:25)は、若干テンポダウンした重めの曲で、シンセのパルス音とGが曲を構成し、そこにエフェクトVoが乗っています。間奏のGソロ(?ノイズ?)がChromeらしいです。 ★A4 “Into The Eyes Of The Zombie King” (4:15)は表題曲ですが、強烈なビートに、ノイズらしき反復音が絡み、更にGがスパイスとして挿入され、Voは不明瞭で殆ど聴こえず、インスト曲っぽい仕上がりです。 ★B1 “Trip The Switch” (5:33)も、強靭なリズム隊を中心に、Gが思いっきり曲を牽引しており、強迫的なエフェクトVoが扇動しており、特にカッコ良い曲です。後半のShineのコーラスもバッチリです! ★B2 “It Wasn't Real” (4:52)は、捩じ切れるような電子音の中から、DrsとBとGが怪しげな雰囲気でフェイドインしてくる曲で、そこに呟くような不穏で聴き取り辛いエフェクトVoが絡んできます。 ★B3 “Humans In The Rain” (4:07)も、強力なリズム隊に不気味なGと粘着質なエフェクトVoが絡む曲で、この手の曲は初期の頃から聴くことができますね。 ★B4 “Don't Move Like That (Don't Dance Like That)” (3:30)は、性急なビートに単純化されたGとエフェクトVoが乗ると言うノリの良い曲で、本作品を締めています。 総じて、Chromeと言うバンドは、Damon EdgeとHelios Creedの化学反応によって、最大限の魅力を発揮するのだなぁと思いました。別に、この作品がつまらない訳ではなく、Damon Edgeの個性だけでは、ちょっと予定調和的になってしまうと感じた次第です。個々の曲自体の雰囲気等は、確かに「Chrome的」ではあるのですが、個人的には、Helios Creedの個性とぶつかることで、より魅力的になるように思われ、最後の〆がちょっと緩いと感じました。ただ、アシッドな感覚は充分に感じられますので、Chromeマニアの方はこの1枚、持っていて損はないですよ!後、その「Chrome的」と言うのは、恐らくリズム隊、特にDrsによるのではないかと今回、確信しました。 [original album: 曲順が異なります] https://youtu.be/BuHf0wzh44s?si=WEtVJdLv_-G2YPG5 [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kh4PzAWeOkeGRrzHHZZ_yuqJBk41cRcBM&si=SvWriER8gp_9EyX9 #Chrome #IntoTheEyesOfTheZombieKing #Mosquito #8ThAlbum #StudioAlbum #AcidRock #Psychedelic #EffectedVoice #France #USA #WestCoast #DamonEdge #RemyDevilla #RenaudThorez #PatrickImbert #FabienneShine
Acid Rock / Psychedelic Mosquito 2350円Dr K2
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Sadie Sads “Angora”
私は、ここら辺の前後関係は良く知らないのですが、ちょっと何かの知識を聞き齧って、多少、興味を持ったので、当時、とりあえず買ってみた記憶はあります。そんなSadie Sadsのファースト・シングル”Angora”を今回は取り上げてみたいと思います。音は全然覚えていなかったので、今回、聴き直した訳です。先ず、Sadie Sadsについて調べてみました。Sadie Sadsは1982年に、Sad (Vo)を中心に結成され、メンバーは、Sad (Vo), Igarashi (G), Kazumi (B), Kan (Drs)で、Igarashiこと五十嵐義秀 (Yoshihide Igarashi)はこの前にはNubileに在籍していました。それで、彼等は一応、ポジ・パン(Positive Punk)に分類されるものの、やはり異端的な存在です。と言うのも、Voは創作言語による無国籍風唱法であり、また、日本のアングラ・シーンでいち早くメタル・ジャンク(又はパーカッション)の導入し、インダストリアルな硬質な音作りも特異でした。更に、ライブではスライドを用いての舞踏的な要素を取り入れており、単にポジ・パンに括れない存在だったそうです。そうして、1984年に、本作でもあるデビュー・シングル”Angora”を自主制作レーベルTelegraph Recordsの傘下のWechselbalg Syndicate (ヴェクセルバルク・シンジケート)よりリリース、翌年には、同レーベルからセカンド・シングル”Angora D.”と唯一のアルバム”Box With Little Doll”をリリースしています。その間にも、Sadie Sadsは、Auto-Mod主催のライブ企画「時の葬列」にも参加しており、その中で、ライブ企画”Bloody Valentine”での偶発的な事故による流血パフォーマンスを展開しており、今では伝説となっているようです。彼らの音楽性は徐々にダンサンブルなものへと変化していきます。そうして、1987年にはバンド名をSadsに改め、ホーンセクションを取り入れたファンク・サウンドへと変化を遂げますが、やがてバンドは終焉を迎えます。 以上がSadie Sadsのバイオグラフィーになりますが、本作でも、上記のメンバーで制作されています。プロデュースは、Auto-Modのマネージャー兼レーベルの共同創設者である宮部知彦 (Miyabe, Tomohiko)と彼等でやっています。それでは、本作の各曲をご紹介していきましょう。 ★A “Angora”では、まだメタパーは使われていないようですが、ドライブするリズム隊を含め、電線のようなGや創作言語を絞り出すように歌うVoも含めて、結構カッコ良いです。 ★B “Id”は、メタル・ジャンクのフリーな演奏とそのバックに咆哮のような音が鳴っていますが、途中から、通常のパンド演奏に変わり、トライバルなリズム隊とひたすらリフを弾き続けるGに、呪術的Voが良く映えるのですが、再び、最初のメタル・ジャンク演奏とバンド演奏が交互にカットアウト/カットインされており、興味深いです。 まぁ、A面は聴く分には、ポジ・パンと言っても、それ程的外れではないですが、個人的にはB面のメタル・ジャンク演奏とバンド演奏をポスト・プロダクションしている所に興味を持てました。私自身もメタル・ジャンク演奏はしていましたが、案外、メタル・ジャンクの音をそれっぽく録音するのは難しいんですよ。そこら辺がちょっと残念だったかな?とも思いますが、このバンドの先進性を感じることができました。今度は、LPボックス、聴いてみようかな? [full single] https://youtu.be/0VuGja8nk1g?si=Nh5lJSftxuP_eMED #SadieSads #Angora #Id #WechselbalgSyndicate #TelegraphRecords #FirstSingle #7InchSingle #1982-1985年 #JapaneseUnderground #PositivePunk #GothRock #Experimental #時の葬列 #MetalJunks #創作言語 #SlideProjector #Sad #Igarashi #Kazumi #Kan #Sads #TomohikoMiyabe
Positive Punk / Experimental Wechselbalg Syndicate / Telegraph Records 不明Dr K2
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Devo “Shout”
最近、Devo熱がまた上がってきて、ついつい買ってしまいました。今回は、スタジオ・アルバムとしては6枚目”Shout”をご紹介します。実は、このアルバムは、出た時に、ちょっと気になっていたんですが、その時は「まぁ、Devoはもういいかぁ」と思ってスルーしていたんですよ。そんな訳で、久しぶりに、このアルバムをヤフオクで落札しました。Devoのバイオグラフィーは以前に書いてありますので、そちらをご参照下さい。 本作品でのメンバーは、Mark Mothersbaugh (Vo, Kbd, Synth, G), Gerald Casale (Vo, B, Kbd, Synth), Bob Mothersbaugh (Bob1号: Lead-G, Vo), Bob Casale (Bob2号: Rhythm-G, Kbd, Synth, Vo), Alan Myers (Drs)で、それ以外にEmulatorのプログラミングの補助として、Will Alexander (Programming Consultation), Al Horvath (Emulator Programs), Bill Wolfer (Emulator Programs)も加わっています。内容も両面とも5曲ずつと収録されています。それでは、各曲をご紹介したいと思います。 ★A1 “Shout” (3:15)は、かつての”Devo Corporation Anthem”を想起させるシンセで始まり、大胆なDrsとSynth-Bでノリの良い曲になります。シンセも大々的にフィーチャーされています。 ★A2 “The Satisfied Mind” (3:06)は、ヴォコーダーVoも使ったイントロから始まり、迫力あるリズム隊とシンセのリフから成る曲で、Voのメロディ・ラインは不変! ★A3 “Don't Rescue Me” (3:04)は、完全にシンセとシーケンスを使ったシンセポップになっていますが、飛び道具のシンセや唐突な終わり方はDevoですね。 ★A4 “The 4th Dimension” (4:26)は、ちょっと落ち込んだ雰囲気で始まりますが、曲としてはシーケンサーも使ったシンセポップです。如何にもDevoな変なアレンジは細かい箇所にちょっとだけ。 ★A5 “C'Mon” (3:16)は、生Drs(?)を使ったシンセポップですが、細かいアレンジやシーケンスの絶妙さ或いはGソロにDevoっぽさを感じます。 ★B1 “Here To Go” (3:15)は、イントロの変態さにDevoらしさを感じますが、ほぼ全部打ち込みなのかな?曲調やGソロやDrsソロはDevoっぽい。 ★B2 “Jurisdiction Of Love” (2:58)は、怪しい感じの打ち込みによるシンセポップですが、コーラスとか間奏のGの音色とかにDevoを感じます。 ★B3 “Puppet Boy” (3:08)も、出だしのVo等は、如何にもDevoっぽく、その後、ちょい変なシーケンスのシンセポップになっていきます。特にこの曲はDevoのイメージそのままな感じです。 ★B4 “Please Please” (3:00)も、一聴、シンセポップなんですが、細かい所がちょい変なんですよ。例えば、ヴォコーダーVoのコーラスとかサブ・シーケンスに乗ってくるシンセとか。 ★B5 “A U Experienced?” (3:08)は、Jimi Hendrixのカバーですね。その為、Gの比重が他曲より多いです。逆回転も含んだアレンジからは、完全にシンセポップ化してしまい、原曲は欠片しか残っていません。 本作品は一回聴いただけでは、その良さは分からないなあ。一聴すると、やたらDrsが大胆なシンセポップ或いはシンセをふんだんに使ったポップロックみたいな演奏にしか聴こえないし。しかしながら、デビュー当時のDevoの変態的アレンジや演奏が凄過ぎて、本作品では、それ程ズレている部分が目立たず、本当に細かいところに、そんなDevoっぽさを感じるだけなので、時代が彼等に追いついてしまったのではないだろうか?と考え込んでしまいました。でも、この作品がリリースされたのが1984年と言うことを考えると凄いのだけれども。まあ、再結成したDevoも、今では、初期の曲ばかり演奏しているみたいですし、仕方ないのかな?ちょっと寂しいな。なので、Devoの変態性を少しでも感じていたいと思うコアなファンの方だけにはお勧めします❗️ B5 “A U Experienced?” (MV) https://youtu.be/qonTIZGu27w?si=bhnQN6_FtVKtmtrK [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nTtIBRyH6k79Z2JAcPHyIZQQsz2W0cAtU&si=JIwvn3snMkl5cFmE #Devo #Shout #WarnarBrothRecords #6ThStudioAlbum #TechnoPop #ElectroPop #SynthRock #Synthesizers #Emulators #JimiHendrix #CoverSong #MarkMothersbaugh #GeraldCasale #BobMothersbaugh #BobCasale #AlanMyers
Electro Pop / Synth Rock Warner Broth. Records 550円Dr K2
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Bill Nelson “A Catalogue Of Obsessions”
ちょっと気になり出したBill Nelsonのソロ作品を集めようかなぁと思って、思わず、ポチりました。本作品”A Catalogue Of Obsessions”は、1985年にリリースされた4枚組ボックス・セット”Trial By Intimacy (The Book Splendours)”の1部として制作されています。その他3作品として、このボックス・セットは、”The Summer Of God's Piano”, “Chamber Of Dreams (Music From The Invisibility Exhibition)”, “Pavilions Of The Heart And Soul”から構成されており、この時点では、全て未発表曲から成っており、また、先述のボックス・セットは、Nelsonの写真集”The Arcane Eye”とパックになっています。彼自身の言葉によれば、これらの作品は「音のスケッチ・ブック」であり、未発表曲集ではないとのことです。多分、思い付いたメロディをそのまま、宅録で曲らしく録音していったものを集めたと言う意味だと思います。なので、音質や完成度は敢えて無視してリリースされていたのだと思います。Be-Bop DeluxeからRed Noiseそして、ソロと言う風に変遷してきたBill Nelsonの1980年代の活動において、このボックス・セットは一つのエポック・メイキングな作品であり、それ故に、このアルバムもその1/4を構成しているので、重要な作品であることが理解出来ると思います。まあ、Nelson本人は、「音のスケッチ」と言っているので、このような短い曲のオンパレードになっているのだとは思いますが。内容としては、本作品には、両面10曲ずつ収録されています。それでは、各曲について紹介していきましょう。あっ、因みに、Nelsonは、3回結婚しており、現在の妻はYMOの高橋幸宏の娘Emikoさんです(あんまり関係ないですね、すまん!)。 ★A1 “Sex Party Six” (4:44)は、ゆっくり走る機関車のような電子リズムとミニマルなシーケンスになだらかなメロディの曲で、時々インドっぽくて牧歌的。 ★A2 “Wider Windows For The Walls Of The World” (2:16)は、やや金属質なリズムマシンとマリンバによる異国情緒漂う曲です。打ち込みのセンスが良い。 ★A3 “Time In Tokyo” (3:05)は、ややスローで、日本的と言うよりチャイナ的なメロディのエレクトロな曲ですが、YMOの「駄目な」部分を感じてしまいます。 ★A4 “Happily Addicted To You” (1:03)は、ハープのようなシンセのアルペジオとアコギの組合せが斬新な曲です。 ★A5 “Snakes With Wings” (2:09)は、スローでやや重めの曲で、シーケンスの上のサブメロ・シンセが心地良い。タイトルは「龍」のことかな? ★A6 “The Boy Pilots Of Bangkok” (2:29)は、機械的な音色リズムマシンに何となくYMOチックなメロディがちょっと残念な曲。でも打ち込みのセンスは良い。 ★A7 “Erotikon” (1:49)は、重めのリズムとシーケンスに針のようなメロディと緩やかなメロディの攻めが合いが面白い曲です。 ★A8 “Birds In Two Hemispheres” (1:45)も、嗚呼、YMO的だなぁと思ってしまうような電子音楽です。シンセ・ソロは良いのにぃ! ★A9 “Windmills In A World Without Wind” (2:24)は、ノンビートのアンビエントな曲ですね。電子音系クラウトロックっぽいかな?潜水艦の中のような感じ。 ★B1 “Love's First Kiss” (1:41)も、ゆったりとしたアンビエントな曲ですが、リズムなあって、女性のナレーション入りです。 ★B2 “Initiation Of The Heart's Desire” (2:01)は、アルペジオ・シーケンスが心地良い曲で、ややアンビエント風かな? シンセのメロも良い。 ★B3 “Edge Of Tears” (1:49)は、ゆったりとしたアンビエント風アレンジの優しい曲です。流れるようなリズムが心地良いです。 ★B4 “Test Of Affection” (2:28)は、弦楽四重奏を思わせるようなシンセのダビング音に乗せて、くすぐったいようなシーケンスと晴れやかなメロが効いた曲。 ★B5 “Words Across Tables” (1:51)は、逆回転のリズムマシンとシーケンスに合わせての、シンセのメロディが印象的な曲です。 ★B6 “A Promise Of Perfume” (3:09)では、リズムマシンとシーケンスとアコギの絶妙な組合せを堪能できます。 ★B7 “This Dangerous Age” (2:05)では、波状の多層化したシーケンスに合わせて、なだらかなシンセがソロを弾きまくります。 ★B8 “The Glass Breakfast” (1:53)も、弦楽四重奏的シンセに、SE的電子音と優しいメロディのシンセから成る曲です。 ★B9 “Talk Technique” (2:12)では、コチャコチャしたリズムマシンとシーケンスに柔らかいシンセのメロディと男児と男性Voがハマります。 ★B10 “The Last Summer For Dancing” (2:10)でも、逆回転リズムマシン同期の正回転スネアとシンセのメロが冴えています。凝ってる曲だなあ。 ★B11 “View From A Balcony” (1:55)は、静かな波の如く湧き上がる電子持続音とメロから成るアンビエントな小曲で、これでアルバムを締めています。 聴いた感じの総合では、A面は大体がYMOの陰がチラチラ見えるリズミックな曲が多い印象で、A面最後辺りからB面は、ゆったりしていて、リズムマシンを余り使用しないアンビエントな雰囲気が強いですね。個人的には、アンビエントな曲にはYMOっぽさが無いので、安心できます(YMOファンのリスナーさん、ごめん!)。まあ、Nelson自身がスケッチ的なアルバムと言っているように、曲はあくまでも思い付いたメロとかシークエンスを試して、そこに肉付けしましたと言う感じなので、これらの短い曲(の素)を更に発展は出来ると言うことなのでしょう。その意味では、多彩なアレンジで面白かったです。他の3部作も聴いてみたくはなりますね❗️ クレジット曲順 A1 “Sex Party Six” (4:44) A2 “Wider Windows For The Walls Of The World” (2:16) A3 “Time In Tokyo” (3:05) A4 “Happily Addicted To You” (1:03) A5 “Snakes With Wings” (2:09) A6 “The Boy Pilots Of Bangkok” (2:29) A7 “Erotikon” (1:49) A8 “Birds In Two Hemispheres” (1:45) A9 “Windmills In A World Without Wind” (2:24) B1 “Love's First Kiss” (1:41) B2 “Initiation Of The Heart's Desire” (2:01) B3 “Edge Of Tears” (1:49) B4 “Test Of Affection” (2:28) B5 “Words Across Tables” (1:51) B6 “A Promise Of Perfume” (3:09) B7 “This Dangerous Age” (2:05) B8 “The Glass Breakfast” (1:53) B9 “Talk Technique” (2:12) B10 “The Last Summer For Dancing” (2:10) B11 “View From A Balcony” (1:55) https://youtu.be/aK1_63mkfxY?si=BimtgPbeK-KLUg6i #BillNelson #ACatalogueOfObsessions #CocteauRecords #SoloAlbum #TrialByIntimacyTheBookSplendours #BoxSet #NewWave #ExperimentalPop #AllInstruments #TheSummerOfGodsPiano #ChamberOfDreams #MusicFromTheInvisibilityExhibition) #PavilionsOfTheHeartAndSoul #PhotoBook #TheArcaneEye #SoundingTheRitualEcho #Multi-Instrumentalist
Synth Pop / Experimental Pop Cocteau Records 2574円Dr K2
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After Dinner “s/t”
皆さんはもうご存知でしようか?今も関西のみならず、海外でもソロ活動を続けているHacoさんや音響のマッドサイエンティストとも呼ばれ、最新のマイクBAROm 1で”Utsunomia Mix”を支えている宇都宮泰さんが在籍していたバンドAfter Dinnerを! Wikiにも載っていませんでしたので、ちょっと調べてみました。結成は、1981年で神戸でHacoさんを中心に。そうして、1982年には、Hacoさんに、小森御幸(G, Drs), 志村学(Kbd), チャカ (B)を加えて、宇都宮泰さんのMUEスタジオにて、デビュー・シングル“After Dinner” c/w “夜明けのシンバル”を制作し、かげろうレコードからリリースしています。このシングルは、独逸国営放送で永久保存盤となったそうです。翌年、1983年には、MUEプロデュースにて、Hacoさんと小森御幸、志村学らの演奏に加え、管楽器/弦楽器の導入、前田笛風、川口雅明、奥田亮による民族楽器を用いた即興や、Hacoによるテープ構成作品など、アコースティックな音色と実験的なアナログ・テクノロジーが融合したファ-スト・アルバム”Glass Tube”をKang-Gung Recordsからリリースします。瞬く間に、Fred Frith, Chris Cutler, Robert Wayatt等の海外のアーティストから支持を得、Sounds誌では、「美味なヴォイスと共に伝統とエレクトロニクスがうまく落ち着いている」と好評価を得てます。1984年には、アルバム”Glass Tube”とファ-スト・シングルを合わせた構成の海外盤アルバム”After Dinner”を英国Recommended Recordsよりリリースしており、Marquee誌にて「日本の伝統的美意識をクリスタルのような結晶世界に封じこめたアフタ-・ディナ-の自主制作盤は、その音の魅力だけで海外リリースの壁を突破した」と高評価されています。After Dinnerは、Hacoさんの歌を核としながら、ニューウェイヴ、電子音楽、民族音楽、フィールド・ワークなど様々な要素が混ざりあう、独自の迷宮的音世界を構築しており、また、そのメンバー編成は、録音やライヴに応じて、自由自在に変わることがあったらしいです。そした、1987年には、仏MIMIフェスに参加を機に、初の欧州ツアーを、Haco (Vo), 横川タダヒコ (B, Vln), 井上一路(Perc, 和太鼓), 黒田清一 (B, 篳篥), 泉陸彦 (G), 山形秀行 (Drs), 宇都宮泰 (Tapes, Engineer), 林皇志 (Sub-Engineer)と言うメンバーで敢行しています。その際、英国Londonの現代芸術協会(ICA)でのライブを対して、英国Melody Maker誌は、「あいかわらず西洋ポップスべったりだった日本の音楽シーンを覆そうとする小さな底流を築いた」と評されています。1988年には、国内外でのライブ音源をHacoさんが自ら編集した作品”Souvenir Cassette”を日本のZero Recordsと英国Recommended Recordsからリリースしています。この時期、彼女達のライブでは、テープ同期やヴィジュアルの導入、ワイヤレス・ヘッドフォン、4スピーカー・システムによる実験的PAなどが話題のひとつでしたが、宇都宮さんが脱退した為、演奏形態や録音に新たな変化が生じています。1989年には、Hacoさんを軸にし、一色洋輔 (Kbd), 北田昌宏 (G: 元INU), 横川タダヒコ (B)の参加、及び多彩なゲスト・ミュ-ジシャンとの緻密な共同作業によって生みだされたセカンド・アルバム”Paradise of Replica”をスイスRecRec Musicと日本のZero Recordsからリリースします。RecRecの評では「明朗になったり、悲哀を感じたり、心象風景のチャンネルが瞬時に切りかわる航海のよう」とされ、そのポップで映像的なサウンドが各界で賞賛されています。同年、欧州19都市を巡るツア-をHaco (Vo), 横川タダヒコ (B), 一色洋輔 (Kbd), 福島匠 (Vln), 川崎義博 (Engineer)で行い、大評判だったとのこと。1990年には、Fred Frith主演のドキュメンタリー映画”Step Across The Border”(Nicolas HumbertとWerner Penzel監督作品)の中で、MUEスタジオでの録音風景やHacoさんのピアノの弾き語り等のシーンも含まれ、話題となっています。同年、フランス、ベルギー、イタリア、オーストリアの国際フェスに出演しており、メンバーは1989年と同じです。1991年には、カナダのヴィクトリアヴィル・フェスティヴァルに出演(Haco (Vo), 横川タダヒコ (B), 志村哲男 (笙), 川口雅明 (Drs, Banjo), 岡本大介 (Trombone, Kbd)と言うメンバーで参加しています。同年、アナログ盤”After Dinner”のCD再発の際、”Souvenir Cassette”の中から、5曲とライブ・トラック4曲を合わせた”After Dinner/Live Editions”を英国ReR Megacorpからリリースしています。このCDの国内盤は、Locus Solusが1997年から配給をしています。ただ、これを最後に、After Dinnerは活動に終止符を打っています。その後、Hacoさんや他のメンバーはソロや新しいプロジェクトで活躍していますが、2001年には、Hacoさんのプロデュースで、セカンド・アルバム”Paradise Of Replica”のリマスタリング盤と、ジョシュア・マッケイ (MACHA)、テリー・テムリッツ、SKIST、パスカル・プランティンガによるリミックス4作を加えた統合盤CD “Paradise Of Replica / Paradise Of Remixes”がBad News Recordsから国内で、米国Detector及び英国ReR Megacorpより海外でもリリースされています。また、2005年には、After Dinnerの1982年のデビューシングルと1984年の国内アルバムがリマスタリングされ、紙ジャケ仕様で復刻され、CD+mini CDセット”Glass Tube + Single”として、Disk Union傘下のレーベArcangelioから再発されています。 それで、今回は、彼女達の1984年作のファースト・アルバム”Glass Tube”と1982年作のセルフ・タイトルのシングルを統合したセルフ・コンピ・アルバム”After Dinner”をご紹介します。多分、この時の参加者は、Haco (Vo, Kbd, Synth, Perc, Tapes, Miniture-Koto, Taisho-Goto, Plastic Flute, Tape-Splicing), 小森御幸/Miyuki Komori (G, Fretless-G, B, Drs, Perc, Vo), 宇都宮泰/Yasushi Utsunomia (Tapes, Vo, Synth, Taisho-Goto, Drs, B, Glass Tube, Peros), Chaka (B, Perc, Vo), 横川タダヒコ/Tadahiko Yokoyama (B, Vln), Masaharu Ito (Marching Drs, Soprano Sax), 志村学:Manabu Shimura (Piano, Vo), Tanii Yokokawa(Vln), 川口雅明/Masaaki Kawaguchi (Snare, Surumondal), Yukio Fujimoto (Field-Playing of Sound Object), Toru Shimamura (Field-Playing of Sound Object), Yoko Inui (Field-Playing of Sound Object), Ayuma Torii (Field-Playing of Sound Object), Teppei Maeda (Indian Pipe, Vo), Ryo Okada (Tabra), Kaname Nakagawa (Alto Sax), 黒田清一 /Seiichi Kuroda (Tenor Sax)と思われます。内容は、A面5曲/B面4曲で、シングルの曲はA1とB1です。それでは、各曲を紹介したいきましょう。 ★A1 “After Dinner”は、太鼓と笙及びヴァイオリンをバックにHacoさんの初々しいVoが乗る曲で、途中にDrsや物音系Percが無骨に鳴り響く中、時々テープ音等の音も聴取できるパートもあります。 ★A2 “Sepia-Ture I”は、不思議なリズムの構成に、Hacoさんの優しく語るようなVoが乗っている曲で、良質なポップソングになっています。 ★A3 “An Accelerating Etude”は、虫の音のフィールド録音から始まり、不明瞭なリズムと自在なVoから成る不可思議な曲です。細部にまで凝りまくった録音になっており、それを気付かせることなく、聴かせるのは驚異です! ★A4 “Soknya-Doll”は、物音系PercとBに、HacoさんのコケティッシュなVoで子守唄のように歌う曲で、鉄琴や弦楽器等の色んな音が混じり合い、一聴、下手に聞こえるかもしれませんが、かなり緻密に作り込まれています。 ★A5 “Shovel & Little Lady”は、タンバリンの弾語り(?)から成る小曲で、物音系音も時に挿入されます。冒頭で、本曲がバイノーラル録音されていることがアナウンスされます。曲自体は何だか儚い感じですね。 ★B1 “Cymbals At Dawn”は、軽快なマーチのリズムから成るポップソングですが、朗々と歌うHacoさんのVoと男性Voの対比に時代を感じますが、時に逆回転等のギミックを入れており、単なるポップソングには終わりません。 ★B2 “Glass Tube”は、足踏みオルガンとアコギの爪弾きをバックに、HacoさんのVoが優雅に聴取でき、その後、物音系の音やフィールド録音にヴァイオリンも絡みますが、それすらも加工され、最後には、マーチっぽいポップソングへと再び変容していきます。 ★B3 “Dessertは、アコギとタブラや物音系PercにSaxが段々と絡み合って、盛り上がっていきます。一種の宅録的な発想の曲ですが、かなり緻密です。そして、唐突に終わります。 ★B4 “Sepia-Ture II”は、ワルツのリズムに乗って、輪舞のように踊る音やVoがなんとも優雅な一曲ですね。そして、当時の時代性に異議を唱えるべく、アコースティックな肌触りで、アルバムを締めています。 本作品を聴いて、先ず思ったのが、「難解」な音楽だと言うことでした。確かに、シングルの2曲(A1とB1)は、比較的聴き易いのですが、アルバム収録曲は、どれも複雑な構成や緻密な録音が為されており、素直に聴くには情報量が多過ぎると感じました。ただ、逆にそう言う緻密さ/難解さを有した音楽であることが、当時、海外からも評価された一因ではないかな?とも思います。また、HacoさんのコケティッシュなVoと複雑な曲構成の対比も面白く、色んな聴き方の出来るアルバムだと思います。日頃、私が思っている「ポップ・ミュージックこそが、一番難解な音楽である」を再確認できた作品でもあるので、その真意を知りたい方は、是非とも入手して、体験してみて下さい❗️ クレジット A1 “After Dinner” A2 “Sepia-Ture I” A3 “An Accelerating Etude” A4 “Soknya-Doll” A5 “Shovel & Little Lady” B1 “Cymbals At Dawn” B2 “Glass Tube” B3 “Dessert” B4 “Sepia-Ture II” https://youtu.be/3CahygtsXQE?si=qHpL0SXRtkbgPnek #AfterDinner #SelfTitled #RecommendedRecords #SelfCompilation #Album #GrassTube #AvantPop #Experimental #Haco #MiyukiKomori #YasushiUtsunomiya #Chaka #TadahikoYokoyama #MasaharuIto #ManabuShimura #TaniiYokokawa #MasaakiKawaguchi #YukioFujimoto #ToruShimamura #YokoInui #AyumaTorii #TeppeiMaeda #RyoOkada #KanameNakagawa #SeiichiKuroda
Experimental Pop / Alternative Recommended Records 4800円Dr K2
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Cindytalk “Camouflage Heart”
ついつい入手してしまいました。Cindytalkのファースト・アルバム”Camouflage Heart”です。Cindytalkについては、そのバイオグラフィーは前回、書いてありますので、そちらをご参照下さい。この時点でのメンバーは、Gordon Sharp (Vo, Instruments), David Clancy (Instruments), John Byrne (Instruments)の3人で、クレジット上、誰がどの楽器担当とは明記されていません。 それでは、各曲について、ご紹介していきましょう。 ★A1 “It's Luxury” (3:40)は、最初、ドラムマシンだけで、途中からGやBやVoが入ってきて、ダークで引き摺るようなゴスい曲になります。 ★A2 “Instinct (Backtosense)” (4:03)は、スローなリズムに時に呻き、時に叫ぶようなSharpのVoで持っていく闇落ちの曲で、陰惨さが漂います。 ★A3 “Under Glass” (1:57)は、カッコ良いGのリフと変則ドラムに、Peter MurphyのようなVoが乗ってきます。Saxも一味加えています。 ★A4 “Memories Of Skin And Snow” (5:42)では、何だかインダストリアルなリズムに、遠くで聴こえるフリーキーなGと単調なB、それにシアトリカルで語り、呟き、そして叫ぶVoが乗り、かなりダークでゴスいです。 ★A5 “The Spirit Behind The Circus Dream” (4:34)は、は、思わせ振りなBのリフと芝居がかったVoが印象的なダークな曲で、悪魔との密約を交わしているよう。最後のピアノも悲しげです。 ★B1 “The Ghost Never Smiles” (6:42)は、心臓の鼓動キック音にホーンのような音やバッキングVoと共に、抑揚の激しいシアトリカルなVoが自在に歌いまくる曲で、途中から歪んだGも入ってきます。 ★B2 “A Second Breath” (1:50)は、感電しそうなGと演劇的で語りのようなVoとディレイの聴いたホーンらしき音から成るノンビートな小曲です。 ★B3 “Everybody Is Christ” (4:08)は、ジワジワと迫る低音から、突然、自在に弾かれるGとリズムG、それらに叫ぶような苦悶のVoが痛々しいです。これまたダーク。途中のシンセも効いてます。 ★B4 “Disintegrate... “ (4:35)では、ポロンポロンと爪弾かれるリリカルなピアノで始まり、囁くような或いは朗々としたVoと共にパルス音も聴取でき、しっとりと終わります。 この時期のCindytalkは、結構、ゴス・ロックっぽいなと言う印象ですが、エキセントリックなVoと比較的簡素な演奏の組み合わせも相性良く、マッチしていますね。ただ、今一つパンチには欠けるような気もしますが、、、。それと思っていた程、実験的なことはやっておらず、返って、それが本作品のロック的なものを支えているのだと感じます。ゴス・ロック好きな方は、そんな彼等の原点を是非とも体験してみて下さい❗️ A3 “Under Glass” (MV) https://youtu.be/Q1B77fMns98?si=_GpRI9sCHXTM95_W [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLHX-EKRpHg2zvKPhOd3jMnHKNOkXSpnRl&si=ybpDe5jBA3w4D3b_ #Cindytalk #CamouflageHeart #MidnightMusic #FirstAlbum #UK #Dark #GothRock #Industrial #GordonSharp #DavidClancy #JohnByrne
Goth Rock / Industrial Midnight Music 1486円Dr K2
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SPK “Machine Age Voodoo”
今回は、ハイパー・ヴィジュアルからメジャーへ行ってしまったSPKが方向転換を決めた問題作”Machine Age Voodoo”を紹介します。私の持っているのは、日本盤ですので、海外盤とはジャケが違います。また、SPKのバイオグラフィーは以前に書きましたので、そちらを参考にしてください。ただ、調べていて驚いたのは、本作品は、名作” Zamia Lehmanni - Songs Of Byzantine Flowers”よりも2年程早く作られていたと言うことです。これにはちょっと驚きました! でも、次々とスタイルを変えていくのは、SPKの真骨頂のようにも思えますね。話を戻すと、何故、SPKの本作品”Machine Age Voodoo”が問題作かと言うと、一つは、かなり分かり易い形で、「ダンス・ミュージック」に舵を切ったと言うこと、もう一つは打ち込み及び女性Voを多用することで、いわゆる「ノイズ・ミュージック」からの脱却を試みたと言うことでしようか。この作品では、基本的には、Sinan Leong (Vo)とGraeme Revell (All Instruments)の2人で、作曲・編曲・作詞・プロデュースが行われており、その他に、Phil Scorgie (B), James Kelly (G), Jeff Bartolomei (Kbd), Sam McNally (Kbd), Graham Jesse (Sax), Mary Bradfield-Taylor (Vo)がヘルプで入っているに過ぎない点も特筆すべきでしょう。あと、メタパー(メタル・パーカッション)の使用云々も言われてますが、そんなに目立つ訳ではないので、それ程取り上げることはないでしょう。また、このアルバム収録曲”Metal Dance”が大ヒットしたことも、オールド・ファンからは「ちょっと違うんじゃね!」と非難されたこともありました(因みに、Neil Hillが自死し、その2日後に、拒食症の合併症でnée NikitenkoことMargaret Hillの亡くなった、その次の月に、このシングルはリリースされています)。それで、本作品は、”Blondie meets Kraftwerk”とか”Mixed Disco-Pop and Sweet Vocals with electronic experimentation (電子楽曲に乗った甘いヴォーカルとディスコ・ポップの混合物)”とまで言われていました。それが良いか悪いかは別として、こう言う方向性も、(ポスト)インダストリアル・ミュージックにはあることを示した作品なのでしょう。内容はA面4曲/B面5曲で、この中にはシングルカットされた曲が2曲(A1 “Junk Funk”とB3 “Metal Dance”)含まれています。どの曲も打ち込みによる強力なマシンリズムとシンセ音とやや甘めの女性ヴォーカルから成っています。まあ、確かにヴォーカルのメロディは如何にもメジャー受けしそうなメロディですし、バックの演奏も、Graeme Revellの音楽的才能が開花したキャッチーな楽音から成っていますので、これが受けない訳が無いとも言えますし、MTVで流れていても、全然違和感はないでしょう。そうして、1888年に、SPKは解散して、Revellは1989年から、映画/映像音楽の道に進み、それなりの成功を得ています。しかしながら、私が信じられないのは、映画音楽に進んだことではなく、この作品の後に4枚目のアルバム”Zamia Lehmanni: Songs of Byzantine Flowers”を1986 年にリリースしていることです❗️そんなSPKの変貌振りを見てみる/聴いてみる意味でも、一度は体験しておいた方が良いかも? とにかく、音楽的には素晴らしい作曲能力ですから❗️ “Metal Dance” 12inch Version https://youtu.be/3jKBMm0V3Hc [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_k4Emo6vHEi47ipff5KNkcTYKcnlrDeXHs #SPK #MachineAgeVoodoo #ElektraRecords #ThirdAlbum #DiscoPop #SynthPop #Post-Industrial #MetalPercussions #打ち込み #FemaleVocal #SinanLeong #GraemeRevell
Industrial / Dance Music Elektra records 不明Dr K2
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Aroma Di Amore “Koude Oorlog”
これまた「謎物件」です。ベルギーのニューウェーブ・バンドAroma Di Amoreを紹介します。これは、当時、非英語圏のバンドに関心があって、購入したものだと思いますが、今回、その背景なども調べてみました。先ず、彼等の内、コアメンバーと言われているのが、Elvis PeetersことJos Verlooy (Vo), Fred AngstことGerry Vergult (G), Lo Meulenこと本名Lode Vandermeulen (B)の3人で、結成は1982年で、その時には、コアメンバー以外に、Andreas Smits (Organ, Synth)やFrits De Cauter(Sax)も在籍しており、Luc Van CapellenとMiet Van Spittaelと言ったメンバーも極初期には関係していたようです。それで、彼等は結成後、直ぐに、Humo’s Rock Rallyと言うコンテストに参加、ファイナルまで残ります。そして、Antwerpの伝説的ヴェニューDe Muzeでライブ・デビューしてから、40年間もベルギー国内外で活動し、2022年にBrusselsABで最後のライブを行って、その活動を停止しました。その間に、6枚のアルバム、数多くのマキシ・シングルやシングルをリリースし、何百回と言うライブもやってきましたが、毎回、ファンや音楽メディアによって支えられてきています。そして、2018年には、フラマン語とオランダ語の音楽についてのエキビジョン(Lang lebe de muziekとSint-Pietersabdij)で、彼等はその代表として選ばれており、活動停止した2022年には、彼等の1980年代のレコードを全て詰め込んだボックスセット”Zwarte Doos”がリリースされています。資料のフラマン語は良く分からないので、大体の流れは以上のようになります。 それで、今回、紹介するのは、1984年にリリースされたAroma Di Amoreのファースト・アルバム“Koude Oorlog”です。ファースト・アルバムと言っても、ミニアルバムで、A面4曲、B面3曲が収録されています。歌詞は全てフラマン語と思われます。ドラムは生かマシンかはちょっとよく分かりませんが、多分、マシンかな? 曲調は、シンセを多用した、典型的な1980年代初頭のニューウェーブで、比較的ミニマルな流れと吐き捨てるようなヴォーカルが特徴的でしょうか。A1 “Het Gesticht”, A3 “Koning Der Belgen”やB2 “Wir Haben Es Nicht Gewußt”のビート感覚やポップなハーモニカ/オルガンなんかはカッコいいです。A2 “De Schaarmeester”のベース・シンセの使用や多分「ふざけている歌詞」のヴォーカルもいい感じです。逆に、B3 “Een Mens Met Een Mes”のような気怠い陰鬱な曲とサックスのメロディも懐かしいですよね。まあ、こう言った「オモチャ」みたいなニューウェーブって、この時代には流行りましたが、そこにフラマン語を持って来たのが特徴でしょうか?皆さんも気に入るかもしれませんよぉー❗️ https://youtu.be/voMsEC44N8k #AromaDiAmore #KoudeOorlog #PlayItAgainSamRecords #NewWave #BelgianRock #FirstAlbum #FlemishLyrics #Synthesizers #Organ #DrumMachine #ElvisPeeters #FredAngst #LoMeulen #AndreasSmits #FritsDeCauter #LucVanCapellen #MietVanSpittael
NEW WAVE Play It Again Sam Records 不明Dr K2
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The Gun Club “The Las Vegas Story”
また、出ましたよ、The Gun Clubです❗️今回は、彼等の4枚目のアルバム”The Las Vegas Story”を紹介しましょう。何故か、私の場合、The Cramps (勿論、私は好きですが)よりもThe Gun Clubのレコードの方を多く持っているんですよ。The Gun Clubのバイオグラフィーは、以前に書いてありますので、そちらを参照して下さい。この時のメンバーは、Jeffrey Lee Pierce (Vo, G, Bells, Montage, Piano [B1]), Kid Congo Powers (G, Feedback Effects, Slide-G, Whirlies, Maracas), Terry Graham (Drs), Patricia Morrison (B, Back-Vo, Maracas)で、A3 “Eternally Is Here”及びA4 ”The Stranger In Our Town”において、Mustang Dave Alvinがリードギターで客演しています。因みに、このアルバムをリリースしているAnimal Recordsと言うのは、BlondieのChris Steinが、The Gun Club, Iggy PopやJames White & The Blacks等の米国地下音楽をリリースしていく為に、Chrysalis Recordsの傘下に作ったレーベルです。また、B1 “Master Plan”とB2 “My Man's Gone Now”だけ、1950年代の他のアーティストのカバー曲みたいで、他の全曲、Pierceの作詞・作曲です。それで、内容ですが、如何にも「ザ・アメリカ」と言う雰囲気ですね。と言ってしまうと元も子もないのですが、スライド・ギターの使用やカントリー&ウエスタンに独特のコード進行やメロディに、どうしてもアメリカさを感じてしまいます。そう言う意味では、The Crampsよりも米国的ですね。それで、後から気が付いたのですが、A1 “The Las Vegas Story”は23秒の「語り」のみから成る曲(?)で、始めはイントロと思ってましたが、何か一曲少ないぞと言うことで、気が付きました。それと、このアルバムでも異色な曲でもあるB1 “Master Plan”は何とPierceがピアノの弾いて、ジャジーにしっとりとした曲に仕上げています。それで、彼等の「米国的」と言うのは、曲調がカントリー&ウエスタン調だけではなく、これらを歪み系エフェクターを通したギターで演奏しているところではないかと思う訳です。そう言った演奏自体が、如何にも「米国的」なんだと思う訳です。このアルバムもカッコいい曲が目白押しなので、もし、米国的な音楽に興味があるのであれば、是非とも体験してもらいたい1枚です❗️(因みに、裏ジャケのPierceの顔写真は中性的でカッコいいですが、その後、太っちゃいましたね) B3 “Bad America” (Live) https://youtu.be/mrpgn54CJkI [full album & live tracks] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mSHN6d2koCFWnVZy4-v-3c28ukToqbtZQ #TheGunClub #TheLasVegasStory #AnimalRecords #Chrysalis #AmericanRock #Rockabilly #Country&Western #JeffreyLeePierce #KidCongoPowers #TerryGraham #PatriciaMorrison
Alternative Rock / Rockabilly / Country & Western Animal Records 不明Dr K2
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Haruomi Hosono with Friends of Earth. “S-F-X”
細野晴臣、このお方については、もう説明の要らないでしょう。と言う訳にもいかないないので、簡単に(?)かい摘んで紹介していきたいと思います。東京都港区生まれのボンボンで、最初は漫画家を目指していましたが、立教大学在学中にBをはじめ、数多くのバンドを経た1969年、エイプリル・フールのBとしてメジャー・デビュー。その後、大瀧詠一、松本隆、鈴木茂とはっぴいえんどを結成。日本語ロックの礎を築きます。1973年のはっぴいえんど解散後、ソロ活動と並行して鈴木茂、林立夫、松任谷正隆とキャラメル・ママ(のちにティン・パン・アレーと改名)を結成します。ソロ活動としては、1973年に1stアルバム”Hosono House”は、当時、狭山市のアメリカ村で宅録にて作製しており、その後もコンスタントにソロ名義でアルバムをリリースしていきます。シンセサイザー・コンピュータを用いた音楽やディスコへの興味が高まっていった1978年、元Sadistic Mika Bandの高橋幸宏、当時スタジオ・ミュージシャンでもあった坂本龍一とYellow Magic Orchestra(YMO)を結成しています。YMOは当初、細野氏の単発の企画ものでしたが、1980年にブレイクし、メディアへの露出が目立つようになっていきます。同時に、細野氏はヴィデオ・ゲーム・ミュージックの世界でも活躍し、アルバムを出しています。1983年のYMO散開後は、Non StandardとMonadoの2つのレーベルを立ち上げています。Non StandardからはPizzicato FiveやWorld Standardを輩出しており、Monacoはより実験的な音楽をサポートしています。YMO時代からの多忙に加えて、日本のバブル崩壊以前の消費社会に幻滅し、1980年代後期にはワールド・ミュージック、1990年代にはアンビエントにアプローチしていきます。自身のレーベルDaisyworld Discsを1996年に創設し、2002年よりYMO時代の盟友、高橋幸宏とSketch Showを結成し、フォーキーなエレクトロニカ・サウンドに取り組んでいます。Sketch Showは、坂本龍一ともコラボレートしており、ライヴやコンピレーション・アルバムでは3人でHuman Audio Sponge (HAS) として活動も行っており、2007年にはHASとしてのライブ活動のほか、YMOとしても”Rydeen 79/07”を発表し、更にはHASYMOとしても活発に活動をしています。一方で、2005年9月に狭山稲荷山公園で行われたハイドパーク・ミュージック・フェスティバルではアルバム”Hosono House”の曲を演奏しており、以降、東京シャイネスやHarry Hosono Quintetなどのユニットを結成し、カントリー&ウェスタンスタイルのライブ活動を行なっています。2008年3月には、平成19年度芸術選考の大衆芸能部門で文部科学大臣賞を受賞しています。殆どWikiを頼りにコピペしただけですが、細野晴臣氏の略歴は以上です。 今回、紹介するのは、1984年にリリースされた10枚目のソロアルバム”S-F-X”です。私は元々、YMOアレルギーがありますので、ここら辺の音楽はそんなに聴いてはいないのですが、ジャケ写で購入しました。それで、正式名称はHaruomi Hosono with Friends of Earthとなっていますが、このFriends of Earthは特定の人物ではなく、シンセやドラムマシンなどの機材自体或いはそのオペレーター(Eiki Nonaka)のことらしいです。それで全体の印象ですが、YMO的な部分とそこから逸脱しかけている部分はありますが、正直に言うと、どうにも中途半端な英詞で歌ったり、メロディの端にフュージョン臭いアレンジが滲んでいたりと、ちょっと私的には苦手な部分も感じました。A面B面3曲ずつで、ほぼほぼ5分台の曲から成ります。確かに、使っている機材は凄いのですが、何か複雑なことやり過ぎているようにも感じます。とは言っても、凄い機材で複雑な曲が書けて、演奏できるのはプロの特権でもある訳ですから、それはそうとして評価したいところですね。あと、多分、殆どのパートは打ち込みとコンピューターで作られているのではないでしようか? だとしたら、細野晴臣氏の音楽力は相当凄いですね。そのことを実感できるだけで、本作品を聴く価値はあると思います❗️それと、この時代に、かなり直角的なリズム(特にインスト曲)を使っている点も先見性がありますね。それとB3 “Dark Side of the Star”のリリカルなピアノ演奏に、細野氏の「その後」を感じます。あと、因みに、インサートの細野晴臣氏のポートレート、メチャクチャカッコいいです。別人みたい❗️ A1 “Body Snatchers” A2 “Androgena” A3 “SFX” B1 “Strange Love” B2 “Alternative 3” B3 “Dark Side Of The Star” A3 “S-F-X” https://youtu.be/fO6ICzFEOsA [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kwhMY9A6u6v9d34PrhtqPFVZ4tsQ5vpdc #HaruomiHosono #FriendsOfEarth #S-F-X #Non-Standard #ElectronicMusic #Electronic #Synthesizers #Instrumental #VocalTracks #打ち込み #Computer #YMO
Electronic music Non-Standard 5775円Dr K2
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Dead Can Dance “Garden Of The Arcane Delights (深遠なる庭園にて)”
さてさて、今回はちょっと毛色の変わったバンドを紹介しますよ。Dead Can Danceです。それで作品は、彼等の12㌅EP “Garden Of The Arcane Delights (深遠なる庭園にて)”です。先ず、彼等のバイオグラフィーを簡単に書いておきます。Dead Can Dance (以下DCDと表記)は1981年8月に、豪州Melbourneにて、Paul Erikson (B)とLisa Gerrard (Vo, Perc: 元Microfilm)を中心に、Marching GirlsのSimon Monroe (Drs)とBrendan Perry (Vo, G)とが加わって結成されました。翌年5月には豪州を離れ、英国Londonに移り、Brendan PerryとLisa Gerrardは、the Isle of Dogsを名乗り、そこにPeter Ulrich (Drs)が加わり、そこで、インディー・レーベル4ADと契約しています。しかし、その時の契約では、Paul EriksonとPeter Ulrichのデュオの形態でしたが、録音は全員(5人)で行われ、1984年2月にデビュー・アルバム”Dead Can Dance”をリリース。そこでは、ニューギニアの儀式的仮面がジャケ写に使われたことで、注目を浴びます。同年8月に、本作品でもある12㌅EPをリリース、この時に彼等自身は否定していますが、「ゴス(Gothic)」と形容されています。1985年11月に、DCDはセカンド・アルバム”Spleen and Ideal”をコアメンバーであるGerrardとPerryに加えて、Cello, TromboneやTympaniなどのセッション・ミュージシャンと共に作り上げます。このアルバムは英国インディーチャートの2位になっています。しかし、1989年に、2人のコアメンバーは、物理的に別々の場所に移りますが、DCDとしては活動しています。その後、6枚目のアルバム”Into The Labyrinth”を1993年9月にリリースすると、これが大当たりで、ビルボード200に入り、4ADの稼ぎ頭になります。そんなDCDでしたが、1998年に、次のアルバム”Spiritchaser”に向けて録音を開始し、1999年初頭にリリース。その後、ツアーを組んでいましたが、突然、この2人は別れてしまい、ツアーもキャンセルとなってしまいます。その後、2人はそれぞれソロアルバムを出しており、ここで一旦、DCDは解散となります。しかしながら、2005年に、DCDは限定で再結成され、アルバムやツアーをこなします。限定であったはずですが、その後も、順調に活動を続けていきます。2021年にはCovid-19パンデミックでツアーをキャンサルしています。また、北米及び欧州ツアーについては、2022年9月に予期せぬ健康上の理由でキャンセルしています。 と言う訳で、DCDの最初期の作品である“Garden Of The Arcane Delights (深遠なる庭園にて)”の内容について紹介していきます。4曲入り45回転の12㌅EPで、A面B面それぞれ2曲ずつ入っています。A1 “Carnival Of Light (光の祭典)”は、Gerrardの歌い上げるような伸びやかなヴォーカルとギターのカッティングが特徴的なリチュアルな曲、A2 “In Power We Entrust The Love Advocated (愛の信託)”もPerryの伸びやかな歌声に優しいギターの音色が絡み合う割りかしポップな曲から成ります。一方、B1 “The Arcane (神秘)”はPerryの歌うダークな雰囲気の曲でドラムとギターの対比が面白いです。B2 “Flowers Of The Sea (海に咲く花)”では 再び、Gerrardの歌と、ドラムとパーカッションと弦楽器とから成る土着的な(少しトルコ辺りの民族音楽的雰囲気あり)曲になっています。当時の噂ではポジ・パン(ポジティブ・パンク)とかの括りだったと思いましたが、寧ろ、Coilとかのペーガン・フォークみたいなリチュアルな印象が強かったですね、それもアンチ・キリスト教的な! その流れで、捉えれば、分かり易いかも?こんな音楽が当時はポジ・パンと言われていたのもおかしな評価ですね。なので、そう言う風に聴いてもらえると面白い音楽だと思いますので、是非とも❗️ A2 “In Power We Entrust The Love Advocated (愛の信託)” https://youtu.be/qKciAhgdZBI [full album & BBC sessions] https://youtube.com/playlist?list=PLHP7bAjOIkpAq4OVkLxrbM2k-6Oy2KGoV #DeadCanDance #GardenOfTheArcaneDelights #深遠なる庭園にて #キングレコード #4AD #EP #PositivePunk #Gothic #RitualMusic #LisaGerrard #BrendanPerry #Australia #PaulErikson #SimonMonroe #PeterUlrich #AntiChristism
Goth Rock キングレコード (4AD) 不明Dr K2
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The Soft Boys “Wading Through A Ventilator”
また、発掘しました。Robyn Hitchcock率いるThe Soft Boysの12㌅ミニアルバムを紹介します。先ず、The Soft Boysのバイオグラフィーを少し。その母体になったバンドは、英国Cambridgeで結成されていたMaureen and the Meatpackersなどで、その後、Dennis and the Expertsになりますが、1976年に、The Soft Boysとなります。その時のメンバーは、Robyn Hitchcock (Vo, G), Rob Lamb (G), Andy Metcalfe (B)とMorris Windsor (Drs)でしたが、中でもLambは、ラジオ番組のDJで、音楽評論家でもあるCharlie Gillettの異母兄弟であったそうです。しかしながら、1976年にだった4回のライブの後、Lambは脱退し、Alan Davies (G)に代わりますが、今度は、そのDaviesの代わりに、Kimberley Rew (G)に代わります。そして、1979年には、Metcalfeに代わって、Matthew Seligman (B)が加入しています。同年にThe Soft Boysとしてのファースト・アルバム”A Can of Bees”を出しています。バンドは、1981年にセカンド・アルバム”Underwater Moonlight”をリリースした後に解散してしまいますが、ただ、計3枚のセルフ・コンピ・アルバムやライブ盤が1983年まで出ています。Rewは、Katrina and the Wavesを結成して、より大衆向けのポップスよりの音楽を始めますが、Hitchcockは、1984年にRobyn Hitchcock and the Egyptiansを、The Soft BoysのメンバーであったMorris Windsor (Drs)とAndy Metcalfe (B)とで結成し、それまでの風変わりでシュールな路線でやっていきます。そして、そのHitchcockのバンドはツアーと録音を約10年程続けて、1994年に解散しています。そうして、2001年に、”Underwater Moonlight”20周年記念として、Metcalfe以外のメンバーで再結成し、2002年には新作”Nextdoorland”をリリースしますが、2003年には、バンドは再度解散しています。Hitchcockはその後もソロアーティストとして活動を続けています。 それで、このミニアルバム“Wading Through A Ventilator”は、実は1977年に録音したもので、それを1984年にリリースしたと言う代物です。なので、メンバーは、Robyn Hitchcock (Vo, G), Alan Davies (G, Vo), Andy Metcalf(e) (B, Vo), Morris Windsor (Drs, Vo)の4人です。A面B面各3曲ずつ収録されていますが、The Soft Boysを語る際には、Hitchcockの歌詞が重要なんですよ。彼は、音楽を始めた頃(1970年頃)、Bob DylanやJohn Lennon, Syd Barrett, Captain Beefheart, Martin Carthy, Lou Reed, Roger McGuinn, Bryan Ferryが好みで、その中でも、彼はDylanに特に強い影響を受けたと言うことらしいです。その為か、彼は、独自のシュールで、英国独特の漫画的な歌詞を書くことで注目されていましたから。また、The Soft Boysはパンク/ニューウェーブ期に出てきたことから、パンクバンドとの認識もありますが、その出自はサイケと言われています。ただ、個人的には、ここで聴かれる音楽は、小気味良いビートに乗ったパワーポップのように聴こえますが、ガチャガチャしたギターサウンドがサイケの「古典」と言われる所以かも知れないです。歌詞カードがないので、内容までは分からないですが、Hitchcockの声質はやや高音に伸びのあるように思えます。未発表曲3曲を含む、このミニアルバムは彼等の弾けるようなポップネスを感じることもできますので、一度は聴いてみても良いのではないでしょうか? A1 “The Yodelling Hoover” https://youtu.be/M2NZtYusS3U B3 “Wading Through A Ventilator” https://youtu.be/mdBW2BGhpwA #TheSoftBoys #WadingThroughAVentilator #DeloreanRecordCompany #PowerPop #PsychedelicRock #MiniAlbum #UnreleasedTracks #RobynHitchcock #AlanDavies #AndyMetcalf #MorrisWindsor #BobDylan
Power Pop / Psychedelic Delorean Record Company 不明Dr K2
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Psychic TV / Z’ev “Berlin Atonal Vol. 1”
このスプリットアルバムを購入したのは、Psychic TVを聴きたかったのでも、Genesis P-Orrifgeのお○んちんを見たかった訳でもなく、ただただ、Z’evの音楽が聴きたかったからなんです。と言う訳で、独逸のBerlin で開催されたフェス”Berlin Atonal (ベルリン無調)”に出演したバンドの内、当時とんがっていた元T.G.のGenesis P-OrridgeのバンドPsychic TVと本名Stefan Joel WeisserことZ’evが選ばれて、このようなライブ録音アルバムの第1弾として本作品がリリースされています。因みに、このシリーズのレコードはVol. 3までで止まっています。先ずはそのフェスBerlin Atonalについて少し紹介します。このフェスは未だベルリンの壁があった1982年から、実験的な音楽アプローチに対するリスペクトが浸透している西ベルリンのKreuzbergで始まり、一旦1991年に休止。2013年に再始動しています.その元々のフェスは、当時からパンクスやアナーキストが集まるライブハウスSO36を会場にして、先鋭的て革新的なパンド(例えば、Einstürzende Neubauten, Psychic TV, Test Dept., 808 State, Nick Cave & The Bad Seeds, Clock DVA, Z’ev, 初期Depeche Modeなど)が集結して成り立っていたフェスであったそうです。音/音楽に対する実験性とそのアートフォームの交換の場として機能していました。その後、ベルリンでは、TresorやBerghainなどの先鋭的クラブ・カルチャー或いはテクノ・カルチャーが花開き、音楽だけではない総合的なフェスとなって復活しています。今回は、その最初のBerlin Atonal フェスからの2組のグループ/アーティストの、ほんの一端を記録したアルバムと言うことになります(意外とPsychic TVはこの後も取り上げららているので、何かコネがあったのだろうか?) それで、今回(Vol.1)で、取り上げられたのは、Psychic TVとZ’evです。ここでは各グループ/アーティストのバイオグラフィーは省略します(また別の機会に単体で紹介していきますね)。先ずはPsychic TVですが、まだ音楽性が確立していない過渡期なのか、単調なビートを刻むドラムの上に、Genesisの呪詛のような叫び声のようなヴォーカルが乗り、更にギコギコしたヴァイオリンやフリーキーなギターなんかが、ぐだぐだにまとわりつくと言うカオティックな音楽2曲が収められています。もう一方のギターの弱々しいリフで辛うじて曲が成り立っています。因みに、この時のメンバーは、Genesis以外には、元妻のPaula P-Orridge, John Gesling, Geff Rushton, Peter Christopherson, Alex Fergussonとなっています。それで、Z’evサイドは、”Titan Night”と題されたメタパー連打の独演会であり、裏ジャケでは、鉄材で組んだ鉄柱からメタパーを吊るしてのパーカッションとしてのメタル・ジャンクをひたすらリチュアルかつトライバルに乱打しまくっていますが、後半はもっと大きな鉄製の大きな箱(?)も連打しており、彼の打楽器奏者としての力量を目の当たりにします。素直にZ’evのメタパー演奏はカッコいいです。実は、私もメタル・ジャンクを集めていた頃、ホームセンターで鉄柱を買ってきて、それを組んで、鉄板を鎖で吊るして録音していた時期がありますが、それはこの時のZ’evのセットと音を真似てみたんですが、意外とメタパーでかっこよく録音するのはむずいと痛感しましたねぇ。まあ、その話しはまたの機会に。それで、本作品は、呪詛的なPsychic TVと、まだ一味違ったトライバルなメタパー演奏を収めた貴重な記録なので、当時が気になる方は、一聴お願いします。追記) Z’evは独逸語では「ツェフ」と読まれて紹介されてましたw Z’ev “Titan Night” https://youtu.be/m5NQCkJIeWQ Psychic TV “Nursery Time”〜”Skinhead Moonstomp 84” https://youtu.be/m5NQCkJIeWQ #PsychicTV #Z’ev #BerlinAtonal #AtonalRecords #Berlin #SO36 #GenesisP-Orridge #ExperimentalMusic #RitualMusic #MetalPercussions #SplitAlbum #LiveRecording
Experimental Music / Ritual Music Atonal Records 不明Dr K2
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Skeleton Crew “Learn To Talk”
ご存知、Fred FrithとTom Coraの超絶テクの2人で全パート完全演奏デュオSkeleton Crewのファーストアルバムです。これを購入したのは、来日ライブを観て、そのライブの凄さに感激したからなのですが、やはり実際に観た後に音だけでは物足りなくて、買ったは良いですけど、余り聴いていなかったんです。今回、久しぶりに聴いてみました。先ずはバイオグラフィーを少し。Skeleton Crewとは1982〜1986年に、Fred FrithとTom Coraをコアメンバーに活動していたアヴァン・ロックバンドで、後にZeena Parkinsが加わっています。元々は、Fred Frithが1981年中盤にMassacreを解散して、英国人Frithは米国人チェリストTom CoraとドラマーFred Maher及び米国人ギタリストTim Schellenbaumと4人組で新バンドとして出発しようとしていました。その初ライブの2週間前になって、MaherとSchellenbaumが2人が肺虚脱になってしまい、FrithとCoraは2人だけでやろうと、つまり2人だけで全パートを演奏することを決意します。Frithは、G, Vln, Kbd, Bass-Dr, Hi-HatをCoraはCello, B, 自作Drsとその他、足で演奏できる楽器を担当しての演奏になりました。これが思いの他、上手くいったので、2人はこの形態での即興デュオとしてSkeleton Crewを始めます。このデュオでの演奏は、多くのオーディエンスを魅了し、一体彼等はどうやって演奏したいるんだと皆が覗き込むようにしていたとの記事もありました。実際に、私も来日公演を観に行きましたが、物凄いテクニックとテンションでした。1982年5月にZürichでM.A.K. Festivalが最初のライブでしたが、その時に、2人はThe MuffinsのDave Newhouseに一緒にやらないかと誘って、トリオとしてのツアーもやっていますが、ツアー終了後、Daveは脱退し、再び2人はデュオとしてツアーを行っています。本作品でもあるファースト・スタジオ・アルバム”Learn To Talk”の製作をスイスで行っています。「たった2人のワンマン・バンド」と評されていましたが、1984年後半にZeena Parkinsが電気ハーブ, Kbd, Perc担当で加入して、1986年に、セカンド・スタジオ・アルバム”The Country of Blinds”をスイスで作製しています。この録音後、このバンドは直ぐに解散していますが、Frithよると「我々は普通のロックンロール・バンドのような音楽をやりたかっただけだけれども、その点から言うと、今は目的が無くなったように思えるからさ。」と言っています。 それで本作品ですが、先述のようにたった2人での「ロックンロール」とのことですけど、まあFrithが普通にロックする訳でもなく、ライブを観た時は、2人が両手両足を使って、ギターやチェロを弾きながら、バスドラ叩いたり、ハイハットを刻んだり、オルガン弾いたと思ったら、今度は歌歌ったりして、凄い緊迫した演奏(Interplay)を繰り広げていました。その後に、本作品を購入して聴いた時は正直、そのライブの緊張感が伝わって来ず、ちょっと残念に感じました。その後、余り聴かなくなったのですが、今回、聴き直してみて、多分、全部即興ではなくて、かなり綿密な作曲と演奏をやっているのだなぁと改めて認識し、その上で、2人の超絶テクによる凄まじさを目の当たりにして感心した次第でおります。あと、所々にフォークロアなメロディとか先述の大統領演説とかのテープ音源とかもインしてきて、当時としてはかなり過激な表現であったのも思います。なお、このアルバムでは、Side FreeとSide Dirtに分かれていて、それに応じた曲がそれぞれの面に収録されているとのこと(私には余り違いは無かったですが、確かにSide Dirtの方が粗い感じに録音されてるなあとは思いました)。そんなトンデモないデュオSkeleton Crewのファースト・アルバムを皆さんも、聴いてみて下さい。頭デッカちな音楽ではありませんので、大道芸を見る感じで聴いて頂ければと思います。マスト・アイテム❗️ “We’re Still Free” https://youtu.be/t4k152OuDs4 “Learn To Talk” https://youtu.be/boXsovQYPxg #SkeletonCrew #LearnToTalk #RiftRecords #RecommendedRecords #FredFrith #TomCora #Composition #FreeImprovisation #TwoMens’Band #Multiinstrumentalist #Guitar #Cello #Organ #Bass #Drums #Vocal #Violin #PoliticalSong #RadicalSong
Progressive Rock / Avant-Rock Rift / Rec Rec 不明Dr K2