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- 29F 器械展示室_家電その他民生用器械の部屋
- 来たるべきオリンピック大会場想像図@昭和初期の子ども向け科学雑誌
来たるべきオリンピック大会場想像図@昭和初期の子ども向け科学雑誌
昭和12年夏、子ども向け科学雑誌のカラー口絵として巻頭を飾った、その3年後に東京市内で開催予定だった我が国初のオリンピック大会の、当時最尖端の科学技術の粋を集めた「來るべきオリムピツク大會場」想像図。目次では「一九四〇年オリムピツク競技場」という題になっている。
テレタイプや大型のファクシミリなど、今やすっかり過去の遺物となってしまった器械装置が並んでいるが、これが当時の「近未来」として若者の胸をときめかせていたのだ。左下の黒っぽい図はよくみると「家庭におけるテレビジョン」と書いてある。当時のディスプレイ装置は以前にも紹介した
https://muuseo.com/lab-4-retroimage.jp/items/90
ように非常に画面の小さいブラウン管しかなかったので、どうやらこれはプロジェクターで壁か映写幕に投影する方式のもののようだ。残念ながら最後の行がちょん切れてしまっている下欄外の解説文によれば、超短波で送波するため東京からせいぜい横浜市内くらいまでしか受信できないものの鮮明な画像が期待される、とある。後に三国同盟を結ぶドイツやイタリアよりもアメリカの旗が、日の丸と並んで大きく描かれている辺りに、一般にとってはまだ平和そのものだった当時の雰囲気が読み取れる。
それにしても、この図版を手に取って眺めながらわくわくしていた少年たちが数年後にたどったであろう運命をおもうにつけ、つくづく未来がどうなるかなんてわからないものだ、と考えてしまう。今直面しているCOVID-19パンデミックだって、今年の初めに誰がこんな状況を予想していただろう。1年先に延期された東京オリンピックが果たして開催できるかどうかだってわからない。ましてや、我が身や世の中が5年先、10年先にどうなっているかなんて、到底わかりっこないのだ。