Wolf Eyes “Dreams In Splattered Lines”

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久しぶりに、Wolf Eyesのアルバムをご紹介しましょう!モノは、彼等の2023年現在の新譜“Dreams In Splattered Lines”です。Wolf Eyesはもう多量の作品が出ていますので、何枚目のアルバムかは不明です。それで、彼等のバイオグラフィーについては、既に書いてあると思いますので、そちらを参考にして下さい。現在のメンバーはNate Young (Vo, 自作electronics, Drum-Synth, Harmonica, Sequential Circuit Pro-One)とJohn Olson (改造リード楽器, Feedback Electronics, Synth [ARP Odyssey]) で、OlsonはAmerican Tapesを運営しており、何百作品も実験的音楽等をリリースしています。今回のアルバムは、Wolf EyesのDIY電子音楽25周年記念として、ダダ運動体Fluxusの前衛性及び米国中西部の鬱々とした生活とで制作されたとのことです。このコンセプトは、別のアルバム”Difficult Messages”(また、別に紹介します)にもあり、そこでのコラボとか出来た曲とかは、不安定なサウンド・コラージュによるシュールな夢模様であり、そこに含まれるヒットソングは、音のフローラや全滅した動物などのテラリウム(槽)へとトランスフォームされたものであるらしいです。それはまるで、熱狂を夢見たように、1960年代のシュールレアリスト達が皆、誰も知らない地下世界で、異形の電子ブルース・ミュージシャンへと収束していったことと関係しているとのことです(解説より)。
 とまあ、Wolf Eyesにとっては、記念すべきアルバムであることは確かなようです。内容としては、A面7曲/B面6曲が収録されており、A1はShort Handsとのコラボ曲で、A2は抜粋とのことです。それでは、各曲について紹介していきます。
A1 “Car Wash Two”は、Short Handsとのコラボですが、不明瞭なループ音とスモッグのようなノイズ、その背後にロックンロールな演奏が微かに聴こえます。
A2 “Radio Box (抜粋)”では、ラジオから取られたジャジーなSaxの演奏と微細な電子パルスがこんがらがっています。意外とLAFMSっぽいかも?
A3 “Plus Warning”は、ループによる不安定な反復音とジャズっぽいSax(?)のような演奏の混合物です。
A4 “Engaged Withdrawal”は、いきなりなシンセのような電子音と語りのようなVoと金属質なノイズがごちゃ混ぜになっている曲です。
A5 “Exploding Time”は、再びループによるリズムと多層化していくクラリネット(?)の演奏テープから成る曲です。
A6 “My Whole Life”では、またまた語りのようなVoと電子音で始まり、やがてリズムボックスやシンセ音に取って代わられていきます。
A7 “The Museums We Carry”でも、リズムボックスとベースらしき低音と共に、語り調のVoが被っていきます。何となくMinimal Manっぽいかも?
B1 “Pointerstare”は、管楽器や電子音が如何わしい似非民族音楽で、変調・加工された呻き声で、更に盛り上がります。
B2 “Comforts of The Mind”では、ポツポツとした加工ループによるスカスカな拍子の背後に、ラジオようなフィードバック音が微かに聴取出来ます。
B3 “In Society”は、ジャム・セッションのループらしき音に、オモチャの楽器やはしゃぎ声なんかを入れて、闇鍋で煮込んだような曲です。
B4 “Find You (Vocal)”では、しょぼいリズムボックスと飛び道具的な電子音や管楽器の上に、語り調Voが乗っていきます
B5 “Days Decay”も、リズムボックスとシンセのパルス音と語り調Voから成る曲で、鬱病に掛かったDevoのようにも聴こえます。
B6 “Dreams in Shattered Time”では、何だか「熱中症に罹ったSmegma」のような鬱々とした演奏を繰り広げて、このアルバムを締めています。
 そう言えば、最近、SNS上での彼等の発言の端々にpsycho-jazzと言う言葉が使われていますが、正にそんな感じがピッタリな脱力系/不安神経症系の音楽(少なくとも、以前のtrip hopではないです)を奏でています。後、ちょこちょこ書いていますが、LAFMSとかの米国西海岸の闇/地下みたいな音楽との共振性を感じまして。そう言う意味では、また彼等の別のルーツを聴いたように思います。なので、その辺に興味があるリスナーさんは一度、聴いてみては⁈ しかしながら、個人的には、Wolf Eyesの最近の機材の充実振りと如何にも「アメリカン」な音楽/音楽実験に驚いてしまいました。彼等の自由度は底無しですね❗️

[Wolf Eyes live at Rochester, NY, 2023/05/23]
https://youtu.be/-SEGZaZqi7I?si=iDe-zZel5BtzCbpv

[full album]
https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_n3Nvaj6dRPdeyW0TLRFu16VdyUDUjqjvo&si=fsAydVc3wc9sev2f

[BandcampのURLを貼っておきます]
https://wolf-eyes.bandcamp.com/album/dreams-in-splattered-lines

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