-
Diamanda Galás “You Must Be Certain Of The Devil“
Diamanda Galásは、忘れた頃にやって来る!と言う訳で、ギリシャ系米国人の彼女の6枚目のスタジオ・アルバムになる"You Must Be Certain Of The Devil"を今回はご紹介します。彼女のバイオグラフィーは、以前に書いていますので、そちらをご参照下さい。それで、本作品”You Must Be Certain Of The Devil”なのですが、これは、3部作"Masque Of The Red Death"の3番目の作品に当たり、1番作"The Divine Punishment"と2番作”Saint Of The Pit"とで完成するとされています。この3部作は、1988年に3枚組CDとして、Mute Recordsよりリリースされています。この3部作は、彼女の兄弟であり、作曲家でもあるPhilip-Dimitri Galásが、丁度1作目を制作中にHIVに感染して、AIDSを発症した事と関係して、彼女はAIDSに関する作品を作ろうと決意し、作り上げたもので、AIDSに関する啓蒙や活動家としての参加と関係しているようです。しかしながら、彼女の弟は、1986年に、その3部作の完成を見るまでに他界してしまったとのことです。それで、本作品についてのクレジットですが、本作品には、Diamanda Galás (Vo, Hammond Organ, Piano, Synth, B-Kbd)の他に、Charlie Terstappen (Drs), F. M. Einheit (Drs [B2], Chains [A2]), Naut Humon (Sampler), Kurt Schmidt (G [A2,A4]), Peter Zimmermann (Perc)がゲストで参加しています。両面4曲ずつ収録されており、45回転のミニ・アルバムの体裁を取っています。それでは、各曲についてご紹介していきましょう。 ★A1 “Swing Low Sweet Chariot” (2:44)は、Galásの高周波ファルセットの独唱が気狂いじみたように響き渡ります。 ★A2 “Double-Barrel Prayer” (5:02)は、A1に連続して、Drsとシーケンスによる楽曲へと進む曲で、呪文のような多重化したコーラス(歌詞の朗読)や声帯をむき出しにするようなGalásのVoも混在してカオスへと雪崩れ込んでいきます。 ★A3 “Let's Not Chat About Despair” (4:59)は、這いずり回るB-Synthとピアノの上で、狂気のVoがパンしながら放射しまくり、やがて物音系ノイズも挿入されます。後半、GalásのVoは語り調になりますが、この時点で聴く者はカオスの中に放り込まれることに。 ★A4 “Birds Of Death” (5:15)では、Drsとcelloらしき持続低音による演奏をバックに、Galásが自由自在に叫ぶように歌いまくっています。バックの演奏は益々不穏になり、高揚するVoの迫力、そして最後のストリング・シンセやGやPercで緊張感はピークになります。 ★B1 “You Must Be Certain Of The Devil” (4:57)では、意外にも1950年代のポップス調の演奏ですが、Galásは相変わらず高周波Voで歌っており、コーラスも1人で担当しています。演奏と歌のギャップによって、彼女の凄まじさがより浮き彫りになっていきます。 ★B2 “Let My People Go” (3:21)は、Galásによるピアノの弾き語りですが、全ての悲哀を飲み込むような迫力があります、恐ろしいくらいに! ★B3 “Malediction” (4:18)では、シンプルなロック調のリズム隊に、Galásの狂人的なVoが悪意を撒き散らすが如く歌われ、更に多重録音によるコーラスやピアノも加わり、カオスの中に突っ込んでいきます。最後にはシンセも加わり、高周波Voと共にフェイドアウトしていきます。 ★B4 “The Lord Is My Shepherd” (1:32)では、歌うと言うよりも呼吸するように呪詛を吐く唱法を試しており、無伴奏となっています。 しかしながら、Diamanda Galásのアルバムは、毎回、分かってはいるものの、凄まじく狂的であり、混沌としており、取りつく島もなく、圧倒されるばかりです。それは、彼女が精神疾患とか言う訳ではなく、シラフでそう言った表現が出来ることが素晴らしいと、毎回、感嘆してしまいます。以前にご紹介した3部作の"The Divine Punishment"と”Saint Of The Pit”とを聴いた時から全然変わっていませんね。また、余り言われていませんが、彼女の歌詞にももっと注目が集まっても良いのではないでしょうか?まぁ決して明るい歌詞ではないですが、何か(恐らくはAIDS?)に対する呪詛のように、ある単語や言葉のパタンを繰り返したりするのは、彼女の唱法にマッチしているのだと思います。因みに、A2は、ミサ曲から、B1は旧約聖書の一部から歌詞が取られているようです。このアルバムも完成度は高いので、是非是非、彼女の壮絶な世界を体験してみて下さい! https://youtu.be/UsVW14its94?si=RJM5i_s-eHTXGSnP [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLaUZvzqQ0efQ77Vjah4PVkPlLpRQoDc8C&si=Tll82rX9cm09PESJ #DiamandaGalás #YouMustBeCertainOfTheDevil #MuteRecords #6ThAlbum #Trilogy #MasqueOfTheRedDeath #ForAIDSPatients #Philip-DimitriGalás #TheDivinePunishment #SaintOfThePit #Experimental #Vocalization #Organ #Piano #Synthesizers #Bass-Synth #Guests #CharlieTerstappen #F.M.Einheit #NautHumon #KurtSchmidt #PeterZimmermann
Avant-Garde / Vocalization Mute Records 不明Dr K2
-
The World “First World Record”
The Worldと言っても、グラインドコアのVVorld (最近、New Worldと改名したらしい)とは違いますよ。The Worldは、米国CAのOaklandのポスト・パンク・バンドのことです。私も、全然、知らずに購入しましたので、調べようと思ったのですが、中々、良いソースが無くて、正体は不明でした。最初の作品が2016年に出ていますので、恐らくその前に結成されたのだろうと思います。メンバーは、Andy Jordan (G, Whistle, Harmonica), Alexa Pantalone (Sax, Bongos), Stanley Martinez (Sax, Wood Block), Amber Sermeno (B, Vo), Elyse Schrock (Drs, Vo)の5人組で、今回は、ゲストにBrett Eastman (Perc)も参加しています。その後、2018年にセカンド・アルバム”Reddish”を出して、2020年1月に解散しています。Pantaloneは、2008年にソロ作品を出していますし、SermeñoとJordanはThe World以前にはNaked Roommateにも参加しているようで、特に、Jordanは1999年にはThe Cutsのメンバーとして作品も出しています。Schrockは、The Worldの前には、2015年にFleeceに参加しています。Sermenoは、2017年まではRaysに参加しています。The Worldについては、これ位しか分かりませんでした(すまん!)。と言う訳で、本作品についてご紹介しましょう。メンバー及びゲストは前述の通りで、内容は両面とも6曲ずつ収録されています。では、各曲をご紹介していきましょう。 ★A1 “Hot Shopper” (1:58)は、ちょっとコミカルでちょっとシリアスな焦燥感溢れるポストパンクな曲ですが、Saxがポイントかな? ★A2 “Itch” (1:57)も、バタバタしたリズム隊に変なリフのGとSaxのアンサンブルで、Voもちょっとヌケたような惚けた感じの曲です。タイトルが「痒み」って? ★A3 “Some Like It Hot” (4:00)は、割と正統派のSax入りのポストパンクな曲で、先ず思い浮かべるのは、X-Ray Spex辺りの曲調なんですが、女性Voには、精気とか覇気が無いですね。 ★A4 “Loser” (2:04)も、ちょいとLo-Fiな録音で、この曲では、Voは頑張ってます。SaxとGも良い塩梅です。 ★A5 “Chet Baker” (0:56)は、ツービートなアップテンポで走るパンキッシュな短い曲で、疾走感が心地よい。 ★A6 “Ghost Town” (2:41)は、ドタバタしたリズム隊に、GのリフとSaxのメロディが上手くハマっています。Voの覇気の無さは無関心さの裏返しなのかな? ★B1 “Namaste” (2:09)では、ズンドコビートに、SaxとGのカッティングが少しコミカルに支えて、それにやややる気のないVoで歌っています。 ★B2 “La La Coach” (2:22)では、Saxに導かれて、直線的ビートを叩き出すリズム隊と不可思議なGとVoが一味違います。 ★B3 “Cool” (1:40)も、アップテンポな曲で、全体のアンサンブルはバッチリです。でも、何となく、ちょっとコミカルな所がアメリカンですね。 ★B4 “New Pearls” (1:47)も、ややアップテンポですが、アレンジが特異です。ひょっとしてわざとそうしてる? 間奏のSaxはフリーキーで、カッコ良い! ★B5 “Gary Panter” (1:08)もツービートで疾走する曲ですが、間奏のBがゴリゴリしていてカッコ良いです。 ★B6 “I Fell In Love With A Slumlord” (2:42)も、ズンドコ・ビートの曲で、ユーモアな要素も聴取出来きます。 総じて、このThe Worldは、X-Ray Spex系譜のポストパンクな曲を奏でていますが、録音自体がややLo-Fiっぽくて、また何処となくコミカルな要素も持ち合わせていて、そこら辺が、英国X-Ray Spexの辛辣さと違って、アメリカンなんだなあと思います。しかも、The Worldは西海岸だし、、、。そこら辺のさじ加減が持ち味或いは滲み出る個性だと思います。Lo-Fiさはガレージからの影響もあるのかな?と。そう考えると、解散してしまったのは、ちょっと残念ですね。もう少し、このバンドでの作品を聴いてみたかったです。皆さんもそうでしょ? B1 “Namaste” (2:09) https://youtu.be/w0puQOnBiTw?si=EgrJBcjROw7jAruo [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_ls7ZmKp6wJg5WoY1_8YlBD9rBp_OD7qBs&si=a32Nzvh3d4H3S2N3 #TheWorld #FirstWorldRecord #Upset!TheRhythm #FirstAlbum #2010年代 #ClearVinyl #USUnderground #PostPunk #Garage #Sax #FemaleVocal #AndyJordan #AlexaPantalone #StanleyMartinez #AmberSermeno #ElyseSchrock #Guest #BrettEastman
Post Punk Upset! The Rhythm 580円Dr K2
-
Snatch “Shopping For Clothes”
皆さん、Snatchって覚えていますか? NYCのパンク・ガールズ・デュオで、Judy NylonとPatti Palladinが1980年代初頭にやっていました。私自身も、高校生か大学生の頃に、Snatchの名前は聞いていたのですが、実際の音楽を聴いたことがありませんでしたので、今回、偶々入手した12㌅EPを紹介したいと思います。 先ず、Snatch(と言うか、彼女らそれぞれの)のバイオグラフィーを書いておきます。Judy Nylon (本名Judith Anne Niland)は、米マルチメディアアーティストで、1970年にLondonに行っていますが、1970年半ばには、米国Patti PalladinとパンクバンドSnatchを結成しています。Nylonは、当然、NYCとLondonのグラムロック、パンク、No Waveの影響を受けていましたが、彼女自身はそれらを録音してはいません。しかし、1982年に、彼女はAdrian Sherwoodとの共作アルバム”Pal Judy”を出して、話題になっています。一方、Palladinは、Nylonのアルバム”Pal Judy”に、"Trial by Fire"と言う曲を共作して、自身のバックバンドCrucialで参加もしています。そんなSnatchは、実は英国音響仙人Nurse With Woundのナース・リストにも関わっており、NWWの1980年のアルバム”To the Quiet Men from a Tiny Girl”のアートワークの一部を担当しています。Snatchは、1978年に、Brian Enoとの共作曲”R.A.F.”をEG Recordsのコンビ・アルバム”First Edition”に提供していますが、この曲にはバーダー・マインホフ(独逸赤軍派)の身代金要求メッセージがカットアップして使われています。また、Nylonは、Brian Enoの曲”Back In Judy’s Jungle”のモチーフにもなっており、Enoの1974年のアルバム” Taking Tiger Mountain (By Strategy)”からの抜粋”China My China”でも彼女が歌っているビデオがあります。なお、Enoは、1975年作”Discreet Music”の裏ジャケに、アンビエント・ミュージックの確立に影響を与えた人物の1人としてJudy Nylonを挙げています。一方、Palladinは、The HeartbreakersのJohnny Thundersとも関係を持っており、Thundersの1978年作ソロ・デビュー・アルバム”So Alone”と1985年作アルバム”Que Sera Sera”に参加、そして1988年ではThundersとPalladinはコラボ・アルバム”Copy Cats”をJungle Recordsからリリースしています。また、2人はFred Wise & Ben Weismanの”Craw Fish”のカバー曲を1984年に録音、オリジナルのレーベルPostcard Recordsとの和解後、Alan Horneが立ち上げたSwamplands Recordsからリリースしています。また、Palladinは、1980年辺りで、英国Flying Lizardsのメンバーになっており、1981年のアルバム”Fourth Wall”に参加しています。また、Palladinの曲”The Nuns New Clothes”は、London Recordsが1983年に出したコンピ・アルバム”The Batcave: Young Limbs And Numb Hymns”に収録されています。一方、Nylonの方は、1970年代には、VelvetsにいたJohn Caleとコラボしており、1974年には、Caleのソロアルバム”Fear”の中の曲”The Man Who Couldn't Afford to Orgy"にスポークンワードで参加、ライブや他の録音にも参加しており、Caleの1987年作のライブアルバム”Even Cowgirls Get the Blues”にも参加しているのが確認できます。また、PalladinとNylonは、Johnny Thundersの1978年の初期のライブで、バッキング・ヴォーカルをやっています。 とまあ、Judy NylonとPatti Palladinは、それぞれ重要な場面で登場し、活躍している訳ですが、肝心のデュオSnatchに関しては、今一つよく知られていませんし、録音物も多くはありません。唯一のセルフタイトルのアルバムは、1983年にPandemoniumからリリースされています。また、シングル/EPは長い活動歴にも関わらず3枚だけです。その中で、今回、ご紹介する12㌅EPは、先述のように、John Caleのプロデュースで録音されています。そして、A面は、LAのドゥアップ・グループThe Coastersの曲のカバーで、B2では、Brian Enoとの1978年共曲”R.A.F.”に使用したヴォイス・サンプルを流用しており、その最後はロックト・グルーヴとなっています。それでは、各曲を紹介していきましょう。 ★A “Shopping For Clothes” (5:16)では、原曲の断片をサンプリングしてバックトラックを作り、2人(メインはJudy Nylon?)がスポークンワードっぽく歌うと言う曲で、それにGノイズやフリーキーなSaxを少し加えて、異形の「ジャズもどき」な曲に再構成しています。 ★B1 “Joey” (3:12)は、コンガとエレピらしき音によるエスニックなリズムに2人が歌っている曲になっていますが、何故か「似非エスノ」な臭いがします。 ★B2 “Red Army” (4:49)は、四つ打ちキックとファンクっぽいBに、バーダー・マインホフの録音や2人による朗読が乗り、更にシンセらしき電子音やGノイズが挿入される曲で、個人的には、吉野大作&プロスティテュートの名曲”M.U.R.A.”との差異が興味深いです。 何となく、No WaveとNYCの狂気(これはJohn Caleによるものか?)が混ざった、とんでもない音源だと感じました。素っ気ないジャケも余計に拍車をかけています。勿論、B2の政治的アウト感もそうなんですが、A面のサンプリングを上手く使った「似非ジャズ」への変換/ カバーが素晴らしく、全く原曲を感じさせない極めて冷徹なノリに感動すら覚えました!こりゃあ、LPも買わなきゃだな。 https://youtu.be/FCHrW2R4FGc?si=m6mJVr_B2SXkgs8P #Snatch #ShoppingForClothes #Joey #RedArmy #FetishRecords #1980年 #12inchEP #NewYorkUnderground #Experimental #NoWave #PseudoJazz #PseudoFunk #GirlsDuo #PattiPalladin #JudyNylon #Producer #JohnCale #TheCoasters #CoverSong
Experimental / No Wave Fetish Records €12.00Dr K2
-
The Cramps “…Off The Bone”
The Cramps。曲は良く知ってるようで、意外とレコードで持っていないバンドの一つです。かく言う私もレコードは本作品しか持っていないのですよ。と言う訳で、先ずはThe Crampsのバイオグラフィーについて調べてみました。The Crampsとは、夫婦でもあるLux Interior (本名Erick Purkhiser)とPoison Ivy (本名Kristy Wallace)を中心に、1976年から2009年までアクティブに活動して、Psychobilly (サイコビリー)の大本になった米国のバンドで、彼等2人以外は頻繁にメンバー・チェンジをしています。1972年に、InteriorとIvyは、米国CAのサクラメントで出会い、お互いに共通の趣味・嗜好やレコード・コレクション等から、バンドThe Crampsを結成しようとします。ステージ名については、Interiorは自動車の広告から取って、Ivyは、彼女が夢で見たロールシャッハ・テストから取って、最初は、Poison Ivy Rorschachと名乗っていました。それで翌年1973年にOhio州Akronに移り、1975年にNYCに移ってきて、CBGB等のライブハウスで、The RamonesやBlondie等のNYパンク・シーンに飛び込んでいます。最初のラインナップは、Poison Ivy Rorschach (G), Lux Interior (Vo)に加えて、Bryan Gregory (G)と彼の姉妹のPam "Balam" (Drs)から構成されていました。しかしながら、短期間の内にDrsが2回代わっており、後にNervous Rexに加入するMiriam Linnaに代わり、その後1977年9月には、Electric EelsのNick Knox (Drs)に代わっています。それで、1970年代末から、彼等は、リハーサルの場をThe Fleshtonesとシェアし、CBGBやMax’s Kansas Cityに定期的に出演するようになります。1977年には、MemphisのスタジオでAlex Chiltonプロデュースで2枚のシングルを出し、その後、I.R.S.Recordsと契約しています。それで、The Policeのサポートアクトとして、初の英国ツアーも敢行。1978年6月には、カリフォルニア州立精神病院で患者の前でフリーコンサートを行い、その様子をCAのTarget Videoが撮影しており、後に”Live at Napa State Mental Hospital”としてリリースされます。その後、再び東海岸へと戻り、New Jersey の1940年代風スイング・クラブに出たりして、NYCでシングル2枚分を録音しており、これらは、1979年に出たEP”Gravest Hits”で再録されて出ています。一方、Chiltonは、Memphisに彼等を呼び寄せ、ファースト・アルバム”Songs the Lord Taught Us”を制作しています。1980年になると、彼等は西海岸LAに居を移し、そこで、The Gun ClubのKid Congo Powers (G)を誘って、セカンド・アルバム”Psychedelic Jungle”を制作しますが、レーベル側と揉めてしまい、その時にNYのペパーミント・ラウンジでのライブを録音したアルバム”Smell of Female”も含めて、1983年までは何もリリース出来なくなりました。そんなこともあってが、Kid Congo Powersは段々疎遠になっていき、代わりにKnoxの従兄弟でThe Pagansに居たMike MetoffがセカンドGとなりました。ただ、ライブ要員としてだけです。それで、The Crampsは、大々的な英国ツアーを1984年に行ない、ハマースミスでのショー4公演をソールドアウトさせています。その時に録音した "Thee Most Exalted Potentate of Love"と"You Got Good Taste"は、ラジオ番組The Midsummer Night's Tube 1984で放送され、先述のアルバム”Smell of Female”は、英国アルバムチャートも74位まで上がります。そして、1985年には、ホラー映画”The Return of the Living Dead”に、”Surfin' Dead"と言う曲を提供しますが、ここでは、Ivyは、Gと共にBもプレイしており、1986年作アルバム”A Date With Elvis”でも彼女が弾いていたのですが、どうもしっくり来ない為、アルバムのプロモーション・ツアーの時に、正式なベーシストとしてJennifer "Fur" Dixonを加入させています。そうして行った英国ツアーは、どこもソールドアウトで、大成功でしたが、米国では、録音物をちゃんと出してくれるレコード会社を見つけるのが難しかったみたいです。彼等のシングル"Can Your Pussy Do the Dog?"は、英シングルチャートに初めて入っています。その後、1986年にやっと、Satan's Cheerleadersに在籍していたCandy del Marがパーマネントなベーシストとして加入しています。彼女のプレイは、ライブアルバム”RockinnReelininAucklandNewZealandxxx”で初めて聴くことができます。その後1990年には、スタジオ・アルバム”Stay Sick”をリリースし、1990年2月の英国アルバムチャートで62位になっています。ただ、Candy del Mar (B)とKnox (Drs)は1991年に脱退してしまいます。しかし、シングル"Bikini Girls with Machine Guns"は英国トップ40に入り、ヒットしています。The Crampsは、1990年代〜2000年代に多くのシングルやアルバムを色々なレーベルから出していますが、1994年に、Warner Brothers傘下のThe Medicine Labelと契約し、初期のMax’s Kansas Cityでのライブ音源を500枚限定の12㌅EPでリリースすると告知しています。同年1月初旬には、CBGBでシークレット・ライブも行なっています。そして1994年に、Conan O'Brienが司会の米国TV番組Late NightでTVデビューしています。曲は”Ultra Twist”です。1995年には、シリーズもののTV番組Beverly Hills, 90210に出演し、ハロウィンのエピソード"Gypsies, Cramps and Fleas"を語り、"Mean Machine"と"Strange Love"の2曲を演奏しています。The Crampsはそうしてロックの殿堂入りを果たしますが、その時に、Interorはボロボロのバスドラを頭に被ったまま、ライブをしています。しかしながら、2001年1月10日に、オリジナルのセカンド・ギタリストBryan Gregoryが、心臓発作の為、49歳の若さで他界します。The Crampsは、2002年に、最後のアルバム”Fiends Of Dope Island”を自身のレーベルVengeance Recordsから出しています。2006年夏には、最後の欧州ツアーをやっており、その年の11月4日に行ったArizinaのTempeでのライブが最後となりました。そうして、2009年2月4日に、Lux Interiorは、大動脈瘤破裂で突然死を遂げてしまい、The Crampsは解散となります。 大体の流れは以上のようになります。それで、本作品は、英国のIllegal Recordsが既出の曲を集めたセルフ・コンピ・アルバムであり、参加メンバーは、Lux Interior (Vo), Poison Ivy (G), Bryan Gregory (G), Congo Powers (G), Nick Knox (Drs)となっていますが、GregoryとCongo Powersとは重なっていないです(B4-B8はCongo Powers参加)。しかも何故かベースレス(その理由は良く分かりません)。内容は、A面7曲/B面8曲となっており、彼等の初期の名曲揃いの選曲となっています。それでは、本作”…Off The Bone”の各曲を紹介していきます。 ★A1 “Human Fly”は、もう彼等の代表曲と言うか古典曲ですね。グレッチをロカビリー風に弾くIvyとファズGのGregoryの対比が面白い!ベースレスなんだよね。 ★A2 “The Way I Walk”も、有名な曲!ロッケンローな雰囲気とヴードゥーの呪文をプレスリーが歌っているようなLux InteriorのVo、もう痺れるねー! ★A3 “Domino”も、プレスリーのゾンビのようなLuxのVoとIvyのG、堪りませんね。如何にもアメコミ的な音楽です。KnoxのDrsもドコドコしていて良い。 ★A4 “Surfin' Bird”は、アップテンポな代表曲で、InteriorのVoは、今にもパンツ下ろしてそうな感じで、プレスリーに失礼だよと突っ込みたくなる!間奏での2本のGの捩れ具合、グチャグチャ具合もサイコー! ★A5 “Lonesome Town”は、静かめの曲で、2本のGが興味深いし、意外にまともに歌い上げるInterorも珍しい。ただ、不穏な瞬間は見え隠れする。 ★A6 “Garbageman”も、代表曲!IvyのグレッチとGregoryのファズGの組合せはいつもサイコーだし、間奏の激烈なGソロもカッコ良い。それにしても、このリフはカッコ良すぎる! ★A7 “Fever”は、一転、怪しげで、如何にもアメコミ的不気味さとか静けさを醸し出してますね。InteriorのVoは、まるで熱病にうなされているような感じ!? ★B1 “Drug Train”も、如何にもThe Cramps的なロッケンローですね。バックに入ってくる乱チキ騒ぎ的SEも良い具合です。 ★B2 “Love Me”は、ややアップテンポなロッケンローで、変な「間」のブレイクが何とも言えず、The Crampsっぽい!最後がまたくどい? ★B3 “I Can't Hardly Stand It”も代表曲で、Ivyのリフに、Interior のプレスリー顔負けの歌い方には中毒性がありますね。こんな罰当たりなVoは他には皆無! ★B4 “Goo Goo Muck”も、有名な曲で、何となく夏を感じることの出来る曲ですが、多分、IvyのGリフがそう感じさせるのでしょう! InteriorのSE的アジも良い! ★B5 “She Said”では、口の中に脱脂綿一杯詰めたようなInteriorの白痴的Voはいつ聴いてもサイテーでサイコー! アップテンポなパックの演奏もサイコー! ★B6 “The Crusher”もヘビーでご機嫌なロッケンローの代表曲。これを聴くと、The Crampsを教えてくれたいつも友人K君を思い出すなぁ。 ★B7 “Save It”も、Interorの馬鹿馬鹿しい程のやり過ぎなVoとIvyのGのリフとか、やっぱり一番しっくりくるなぁ。Congo Powersの変なGソロもカッコ良い!ブレイクの呼吸は何? ★B8 “New Kind Of Kick”は、似非ヴードゥーな雰囲気が最高のロッケンローな曲です。間奏のGソロが、また痺れるぅー! まあ、このレコードはThe Crampsの良いとこばっかり集めたアルバムですので、皆んな、絶対聴いたことあると思いますよ、しかもどの曲もカッコ良い!痺れまくりじゃないですか❗️1980年代初頭に初めて聴いた時は、プレスリーのモノマネか?とも思ったのですが、ステージングやライブパフォーマンスを観て、これは只者ではないな!と感じました。そう言えば、1990年代に、故)田野さんに誘われて、The Crampsの来日公演を川崎クラブチッタに観に行ったのも良い体験でした。そんな訳で、このアルバム、聴いてみますか? A1 “Human Fly” (2:12) A2 “The Way I Walk” (2:38) A3 “Domino” (3:05) A4 “Surfin' Bird” (5:03) A5 “Lonesome Town” (2:55) A6 “Garbageman” (3:32) A7 “Fever” (4:16) B1 “Drug Train” (2:33) B2 “Love Me” (1:57) B3 “I Can't Hardly Stand It” (2:39) B4 “Goo Goo Muck” (3:02) B5 “She Said” (3:11) B6 “The Crusher” (1:48) B7 “Save It” (3:01) B8 “New Kind Of Kick” (3:28) https://youtu.be/6tXtPPmggdw?si=_iw_ZN8yGF_teo_1 #TheCramps #OffTheBone #IllegalRecords #SelfCompilation #Album #Psychobilly #Garage #PunkRock #LuxInterior #PoisonIvy #BryanGregory #CongoPowers #NickKnox
Psychobilly / Garage Illegal Records 不明Dr K2
-
The Vacant Lots “Interiors”
これは、謎物件ですねー。The Vacant Lotsの2023年現在での最新作が、このミニアルバム”Interiors”です。謎なので、ちょっと調べてみました。メンバーは、Jared ArtaudとBrian MacFadyenのデュオで、どうも米国のエレクトロ・ポスト・パンクとされているようです。もう少し詳しく書くと、The Vacant Lotsは、先述の2人によって、米国Vermont州のBurlingtonで結成されており、現在はNYCで活動しています。彼等は、しばしば、Minimalist, Rock’n’Roll, サイケ, パンクとかと言う言葉で評されることが多いようで、彼等自身も「ミニマルとは最大限の効果だ!」と言う美学に基づいて活動しており、そのサウンドには、ネイティブ・アメリカンのドラミング、インドのタンプーラ、初期のロックンロール、The Gun ClubやTelevisionからの影響も伺われるようです。2010年に、2人は、有名な英国のサイケ・バンドSpacemen 3/EARのSonic BoomことPeter Kemberの誘いで、KemberのバンドSpectrumの米国ツアーに参加、翌年2011年には、The Vacant Lotsは、Mexican Summerと契約し、彼等のファースト・シングル"Confusion" b/w "Cadillac”をリリースしています。その翌年、The Vacant Lotsは、Austin Psych Fest 4に招聘され、2011年夏には、NYCのThe Bell Houseで開催されたDean Wareham Plays Galaxie 500 Songsで、Warehamのサポートを行っています。2012年には、再び、Austin Psych Fest 5でプレイし、The Reverberation Appreciation Societyと契約し、セカンド・シングル"High And Low" b/w "Let Me Out”をリリースしています。2013年1月には、The Growlersとツアーを行い、2月には、サード・シングル”6 AM”を英国Sonic Cathedral Recordsからリリースしています。そうして、2013年10月には、彼等は、Alan Vega (Suicide)の曲"No More Christmas Blues"をカバーしたトラックを、Cleopatra Recordsがリリースしたコンピ・アルバム”Psych-Out Christmas”に収録しています。2014年2月に、メンバーのJared Artaudは”Empty Space”と言う詩集も出版。同年夏に、The Vacant Lotsはデビュー・アルバムを出すことを宣言しており、同年7月1日に、デビュー・アルバム”Departure”を英国Sonic Cathedralよりリリースしています。このアルバムはSonic Boomがミックスとマスタリングを行っています。同年5月21日には、The Vacant LotsとAlan Vegaは、Fuzz Club Recordsより、スプリット10㌅を出しています。更に、同年6月〜7月に、彼等は、The Brian Jonestown Massacreと英国ツアーを行い、9月には、彼等のシングル集とリミックスをコンパイルした10㌅レコード”Arrival”をスペインのAyo Silver!からリリースしています。同年9月22日には、サード・シングル”Paint This City”をSonic Cathedralからリリース。その後、2015年3月15日にNYCのWebster Hallで行われたSuicideのライブで、彼等はサポート・アクトをしています。また、この年に欧州ツアーも敢行、この時に、The Brian Jonestown MassacreのAnton NewcombeとコラボEP”Berlin”も作製、2016年11月にリリースしています。2017年4月21日には、彼等のセカンド・アルバム”Endless Night”をMetropolis Recordsからリリースしており、最後の曲”Suicide Note”ではAlan VegaがVoで参加しています。2019年8月には、彼等は、Anton Newcombeと共に、セカンドEP”Exit”をリリース、その中のシングル曲”Bells”は英国Vinylシングルチャートトップ40で9位になっています。そうして、2020年6月26日に、サード・アルバム”Interzone”か英国Fuzz Clubからリリースされ、ダンスとサイケの融合と評されました。彼等は、このアルバムで、スイスのデザイナーIvan Liechtiによるアートワークを取り入れています。2020年10月16日に、Fuzz Clubは、The Vacant Lotsの”Departure”のリミックスをリリース、同月30日にはA Recordingsは”Berlin”と”Exit”を含むダブル・アルバム”Damage Control”をリリースしています。2021年には、Jared Artaudは、亡くなったAlan Vegaのアルバム”Mutator”を共同プロデュースやミックスを行っています。2022年9月30日に、The Vacant Lotsは、4枚目のアルバム”Closure”を、Fuzz Clubよりリリースし、そこからのシングル”Thank You”と"Consolation Prize"は、BBC6でのIggy Popの秘密ラジオ番組でもオンエアされています。その頃、彼等はサイケバンドThe Black Angelsとの北米ツアーをサポートしており、The Jesus and Mary Chainの公式アフターパーティーであるLevitationフェスでも演奏しています。 とまあ、これがThe Vacant Lotsの活動のあらましになりますが、一応、メンバーと担当を書いておきますと、Jared Artaud (Vo, G, B, Synth, Produce, Mix, Song Writing)とBrian MacFadyen (Electronics, Drs, Vo, B, Synth, Produce, Mix, Song Writing)のデュオです。今回のミニ・アルバム”Interiors”も、Fuzz Clubからリリースされていますが、12㌅EPで45回転となっています。それでは、本作品の各曲を紹介していきます。 A1 “Amnesia”は、いきなりカッコ良いコード進行のシンセと強力なビートで始まり、やや憂いの帯びたArtaudのVoが心地良い曲です。 A2 “Paradise”は、シンセのパルス音的なコードで始まり、この後MacFadyenのVoが乗ってきますが、1980年代のファンカラティーナっぽい曲となっています。 A3 “Ashes”では、強力なマシンリズムが全面に出ており、ダンサブルにアレンジされています。Voは、MacFadyenで、最後のギターソロもカッコ良いです。 A4 “Evacuation”は、何処となくThe Jesus & Mary Chainを想起させるような曲で、VoはArtaudです。 B1 “Destruction”は、これまたしっとりしたドリーミーな曲で、MacFadyenのVoもぴったりです。 B2 “Scars”では、また強力なリズムとギターで始まり、シンセもバックを固めますが、ギターが結構前面に出ていますね。ここから残りはArtaudがVoです。 B3 “Endgame”は、何処となくドリーミーな時のSuicide調の曲ですが、マシンリズムはダンサブルです。シンセのリフがカッコ良い! B4 “Damaged Goods”は、緩やかなシンセで始まる、ややスローな曲ですが、ギターのリフがサイケっぽいです。 こうして聴いてみると、確かに、ベース・ラインとかはミニマルなんですが、アレンジが凝っている為か、それ程、反復しているようには聴こえません。確かに、SuicideやThe Jesus & Mary Chainっぽい曲もあるのですが、彼等は彼等成りのミニマルでサイケな曲を作っているのだと確信しました❗️先達の音に捉われない現代的な音作りをしているように思います。なので、上記のパンドが好きで有れば、一度聴いてみる価値はありますよ‼️ここら辺は、欧州のシンセ・ウェーブとかとは決定的に違いますね。そこもまた興味深いです! [PV “Paint This City”] https://youtu.be/-UlBPQbw8Kg?si=X0aa2xAVRBsnBGHY [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_l9NpzJmcgCC0Ymq9tz_TF80MiskNJgLIw&si=3r2Fsfao1pp1fagZ [BandcampのURLも貼っておきます] https://thevacantlots.bandcamp.com/album/interiors #TheVacantLots #Interiors #FuzzClubRecords #5ThAlbum #PostPunk #Electronic #Psychedelic #AlanVega #Suicide #ElectroPunk #Minimal #TheBrianJonestownMassacre #AntonNewcombe #IggyPop #TheJesus&MaryChain #TheBlackAngels #JaredArtaud #BrianMacFadyen
Post Punk / Electronic Fuzz Club Records 3410円Dr K2
-
Wolf Eyes “Dreams In Splattered Lines”
久しぶりに、Wolf Eyesのアルバムをご紹介しましょう!モノは、彼等の2023年現在の新譜“Dreams In Splattered Lines”です。Wolf Eyesはもう多量の作品が出ていますので、何枚目のアルバムかは不明です。それで、彼等のバイオグラフィーについては、既に書いてあると思いますので、そちらを参考にして下さい。現在のメンバーはNate Young (Vo, 自作electronics, Drum-Synth, Harmonica, Sequential Circuit Pro-One)とJohn Olson (改造リード楽器, Feedback Electronics, Synth [ARP Odyssey]) で、OlsonはAmerican Tapesを運営しており、何百作品も実験的音楽等をリリースしています。今回のアルバムは、Wolf EyesのDIY電子音楽25周年記念として、ダダ運動体Fluxusの前衛性及び米国中西部の鬱々とした生活とで制作されたとのことです。このコンセプトは、別のアルバム”Difficult Messages”(また、別に紹介します)にもあり、そこでのコラボとか出来た曲とかは、不安定なサウンド・コラージュによるシュールな夢模様であり、そこに含まれるヒットソングは、音のフローラや全滅した動物などのテラリウム(槽)へとトランスフォームされたものであるらしいです。それはまるで、熱狂を夢見たように、1960年代のシュールレアリスト達が皆、誰も知らない地下世界で、異形の電子ブルース・ミュージシャンへと収束していったことと関係しているとのことです(解説より)。 とまあ、Wolf Eyesにとっては、記念すべきアルバムであることは確かなようです。内容としては、A面7曲/B面6曲が収録されており、A1はShort Handsとのコラボ曲で、A2は抜粋とのことです。それでは、各曲について紹介していきます。 A1 “Car Wash Two”は、Short Handsとのコラボですが、不明瞭なループ音とスモッグのようなノイズ、その背後にロックンロールな演奏が微かに聴こえます。 A2 “Radio Box (抜粋)”では、ラジオから取られたジャジーなSaxの演奏と微細な電子パルスがこんがらがっています。意外とLAFMSっぽいかも? A3 “Plus Warning”は、ループによる不安定な反復音とジャズっぽいSax(?)のような演奏の混合物です。 A4 “Engaged Withdrawal”は、いきなりなシンセのような電子音と語りのようなVoと金属質なノイズがごちゃ混ぜになっている曲です。 A5 “Exploding Time”は、再びループによるリズムと多層化していくクラリネット(?)の演奏テープから成る曲です。 A6 “My Whole Life”では、またまた語りのようなVoと電子音で始まり、やがてリズムボックスやシンセ音に取って代わられていきます。 A7 “The Museums We Carry”でも、リズムボックスとベースらしき低音と共に、語り調のVoが被っていきます。何となくMinimal Manっぽいかも? B1 “Pointerstare”は、管楽器や電子音が如何わしい似非民族音楽で、変調・加工された呻き声で、更に盛り上がります。 B2 “Comforts of The Mind”では、ポツポツとした加工ループによるスカスカな拍子の背後に、ラジオようなフィードバック音が微かに聴取出来ます。 B3 “In Society”は、ジャム・セッションのループらしき音に、オモチャの楽器やはしゃぎ声なんかを入れて、闇鍋で煮込んだような曲です。 B4 “Find You (Vocal)”では、しょぼいリズムボックスと飛び道具的な電子音や管楽器の上に、語り調Voが乗っていきます B5 “Days Decay”も、リズムボックスとシンセのパルス音と語り調Voから成る曲で、鬱病に掛かったDevoのようにも聴こえます。 B6 “Dreams in Shattered Time”では、何だか「熱中症に罹ったSmegma」のような鬱々とした演奏を繰り広げて、このアルバムを締めています。 そう言えば、最近、SNS上での彼等の発言の端々にpsycho-jazzと言う言葉が使われていますが、正にそんな感じがピッタリな脱力系/不安神経症系の音楽(少なくとも、以前のtrip hopではないです)を奏でています。後、ちょこちょこ書いていますが、LAFMSとかの米国西海岸の闇/地下みたいな音楽との共振性を感じまして。そう言う意味では、また彼等の別のルーツを聴いたように思います。なので、その辺に興味があるリスナーさんは一度、聴いてみては⁈ しかしながら、個人的には、Wolf Eyesの最近の機材の充実振りと如何にも「アメリカン」な音楽/音楽実験に驚いてしまいました。彼等の自由度は底無しですね❗️ [Wolf Eyes live at Rochester, NY, 2023/05/23] https://youtu.be/-SEGZaZqi7I?si=iDe-zZel5BtzCbpv [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_n3Nvaj6dRPdeyW0TLRFu16VdyUDUjqjvo&si=fsAydVc3wc9sev2f [BandcampのURLを貼っておきます] https://wolf-eyes.bandcamp.com/album/dreams-in-splattered-lines #WolfEyes #DreamsInSplatteredLines #Disciples #WarpRecords #NewAlbum #Experimental #Abstract #Noise #PsychoJazz #TapeLoop #JazzySound #ElectronicBlues #NateYoung #JohnOlson #Hand-MadeElectronics #MutatedReed #Synthesizers #DrumSynth #Software
Experimental / Psycho-Jazz / Abstract Disciples 2680円Dr K2
-
Wolf Eyes “Difficult Messages”
ええっと、このアルバム”Difficult Massages”は、一応、Wolf Eyesの名義でリリースされたセルフ・コンピとなっていますが、よくよく見てみると、全曲、違う名義での曲をコンパイルしたものとなっており、レーベルは共に英国Warp Recordsの傘下です。また、このアルバムには、A5版のブックレットが付いていますが、内容はダラダラと綴られた日記みたいな感じです。それで、Wolf Eyesについては、以前にもそのバイオグラフィーは書いてありますが、元々は1996年にNate Youngを中心に米国Detroitで結成され、現在では、YoungとJohn Olsonのデュオになっています。また、1993年冬に、Gretchen Gonzales (G), Bryan Ramirez (G, Vo), John Olson (Drs, Sax)で、Universal Indiansを結成、その後、色々とメンバー・チェンジがありましたが、1998年に、元Couch and GalenのAaron "Mike Ephron" Dilloway (G, Open-Reeled Vo)で加わり、現在では、Dilloway, Gretchen Gonzales, John Olsonと言うメンバーになっています。ここら辺の事情はややこしいので、またの機会に解説します。それで、この作品に収められているバンドの殆どが、詳細不明であり、本作品にしか参加していないようなので、恐らく、大部分は、NateとOlsonがでっち上げたバンドではないか?と思います(分かる範囲で少し説明しておきます)。内容はA面6曲/B面5曲が収録されています。そんな、Wolf Eyes(?)のアルバムですが、取り敢えず、各曲を解説していきます。 A1 Wolf Eyes “Phone Intro”:当たり前ですが、YoungとOlsonのデュオです。単調なベースとディレイをかけたVoから成る意味不明な曲です。 A2 Short Hands “Dank Boone”:詳細不明。Lo-Fiなサイケ・ロックな曲ですが、結構、シンセの宇宙音が入るのが特徴かな? A3 Time Designers “Passive Tempos”:詳細不明。左右にパンを振ったリズムマシンから成る曲で、単純ですが、面白いです。 A4 Gretchen “Locked Rivers”:Gretchen Gonzalesのことで、Universal Indiansにも参加しています。怪獣の鳴き声のようなギターらしき音が響き渡ります。更に弓弾きの音も加わってきます。 A5 Stare Case “Lost Head”:Stare CaseはYoungとOlsonが、2010年に始めた別ユニットで、American Tapes等から多量の作品を出しています。ボンボンとしたベースが反復リズムを刻み、虚なVoと途中からシンセ音や浮遊するSaxによる効果音が混在していきます。 A6 U Eye Trio “Courted Reverb”:詳細不明。正体不明の芋虫のようなリズムをベースに、変調テープや管楽器やら弦楽器の音が混じり、更にぶっきら坊なVoも! B1 Short Hands “3rd Night Tax Edit”:詳細不明。ダルなギターの弾き語り風(Vo無し)に、シンセの効果音が混在した緩々サイケな曲です。 B2 Animal Sounds “Michigan Red Squirrel”:Wolf Eyesの2人に、Alex Moskosが加わったトリオです。笑い袋とエコーを掛けたフリーキーなSaxに、突如、無関係にシーケンスが入ってきます。 B3 Wolf Raven “Tulsa Once”:詳細不明。磁気テープのノイズによるテープ・アッセンブリーな曲で、所謂「電波系」ですね。 B4 Universal Eyes “Tense Lapse”:2018年から始まったOlson, YoungによるWolf EyesとAaron Dilloway, Gretchen Gonzales, OlsonによるUniversal Indiansの合体バンドです。B3に連続して始まり、シンセと法螺貝(?)、テープ音、Sax等がごった煮になった混沌曲です。 B5 Invisible Thread “Feedback 6”:OlsonとYoungによる別名義で、2020年頃から3本のカセット作品を出しています。アンプを使った低音フィードバックと、ディレイを掛けたノイズ等が反復したり、崩れたりする得体の知れない曲で、本作品は締められます。 この作品を聴いて思ったのは、次世代の”LAFMS”的なポジションに、彼等は位置しているのではないか?と。つまり、限られた人数で、自由にバンドらしきものを形成して、あるコンセプトに沿って、自由に音を出すと言う原初的欲求に忠実に動いていると感じたからです。しかも、そこから紡ぎ出されるのが、緩い音/ノイズ/音楽である点でも、如何にも「アメリカン」な音楽なんですよね❗️また、このアルバムと対になる作品に”More Difficult Messages”もあるようですので、気になる方は是非是非❗️ [U Eye Trio version] https://youtu.be/BqpWJDIc-po?si=9GteL4SSt0OOM6ir [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lqxFbMJQdMZA_w83VMnFDzGS8M063Nf3s&si=4eQc6vyeYWW2nuoL [BandcampのURLを貼っておきます] https://wolf-eyes.bandcamp.com/album/difficult-messages #WolfEyes #DifficultMessages #Disciples #LowerFloorMusic #SelfCompilation #Experimental #Noise #PsychJazz #NateYoung #JohnOlson #ShortHands #TimeDesigners #Gretchen #StareCase #UEyeTrio #AnimalSounds #WolfRaven #UniversalEyes #InvisibleThread #UniversalIndians #GretchenGonzales #AaronDilloway #AlexMoskos
Experimental / Noise Disciples / Lower Floor Music 2980円Dr K2
-
Pere Ubu “Ray Gun Suitcase”
やっぱり買っちいますね。そうです。Pere Ubuの1995年作のアルバム“Ray Gun Suitcase”です。スタジオ盤としては13枚目となります。とにかくコンスタントに出しているPere Ubuは凄いです。バイオグラフィーは既に書いてありますので、そちらを参考にしてください。今回のメンバーは、David Thomas (Vo), Jim Jones (G), Michele Temple (G, Synth), Robert Wheeler (EML Electrocomp 101 Modular Synth), Scott Benedict (Drs, Perc)に加えて、Paul Hamann (B [B5], Bells [A5]), Garo Yellin (Cello [A3, A6, B4, B6]), Scott Krauss (Drs [A3, A6, B4, B6])もゲスト参加しています。David ThomasとPaul Hamannとが、2016年6月にSumaでリミックスしています。元々は、1995年にCDでのみでリリースされていましたが、Records Store Dayに合わせて、白盤かつLPフォーマットでリリースされています。リミックスはその時に、ThomasとHamannによって行われており、両面とも6曲ずつ収録されています。 それでは各曲について紹介していきます。 ★A1 “Folly Of Youth”は低音の聴いたノリの良い曲で、歌詞はタイトルと関係がありそう。フリーキーな部分もあり、初期のPere Ubuっぽい部分もあります。 ★A2 “Electricity”では、土俗的ドラムと謎なシンセ/テルミンと共に、Thomasの語りのようなヴォーカルが聴けます。最後には、カッコ良いビートと謎の電子音が交差します。 ★A3 “Beach Boys”では、アコギとリズムに合わせて、「Thomas節」とも言うべきヴォーカルを披露してます。ギターソロもあり、ちょっとした悲しさと力強さが入り混じった曲です。 ★A4 “Turquoise Fins”はやや陽キャな曲で、ちょいアヴァンでもある。如何にもPere Ubuっぽい。 ★A5 “Vacuum In My Head”はブルージーな曲で、ギターとベースが効いています。またもや「Thomas節」炸裂です。初期の名曲”Over My Head”を思い出します。 ★A6 “Memphis”ではチェロとギターのメロとThomasのヴォーカルで泣かされます。名曲❗️ ★B1 “Three Things”は、ちょいスパニッシュな曲で、ThomasのVoが冴えています。途中で出てくるファズギターがカッコ良いです! ★ B2 “Don't Worry”は独特のベースラインとチェロとギターのインタープレイが良いです。Thomasのヴォーカルもヘナヘナですが、それがまた良い。最後はプルージーに決めます。 ★B3 “Red Sky”も、ちょいアッパーなカッコ良い曲で、Thomasのヴォーカルの重ね録りが効果的です。★B4 “Montana”はアコーディオンが哀愁たっぷりで、Thomasのヴォーカルと良く合ってます。ちょっと悲しい曲で、如何にもPere Ubu的です。チェロも良いです。 ★B5 “My Friend Is A Stooge”はアッパーで陽キャな曲ですが、Thomasのヴォーカルは何となく悲しさを醸し出しますね。フリーキーに鳴っているのはクラリネット? ★B6 “Down By The River II”ではいきなりギターのミュート奏法とThomasのヴォーカルから始まりますが、次第に盛り上がっていく様子は、このアルバムの最後の曲に相応しいです。チェロも良い感じです。 以上が、このアルバムの説明(?)ですが、やっぱりPere Ubuは、悲しくて可笑しい曲とDavid Thomasのヴォーカルとがマッチしている音楽であり、また謎のテルミンらしき電子音はお家芸なんだなと痛感しました。しかしながら、バンドであることで、カッコ良い曲も生み出せるし、今回はヴァイオリンが入って、更に良くなってました。何だろ?悲劇と喜劇を一緒にやっているような音楽と言えば良いのかな? とにかく、このアルバムも完成度高いので、聴いてみてください‼️ A3 “Beach Boys” https://youtu.be/GLaW3jON9Zs [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lIqtd8w_R2nk00fKQMeenRPGfUZdCt52M #PereUbu #RayGanSuitcase #FireRecords #PostPunk #AvantRock #StudioAlbum #RecordsStoreDay #DavidThomas #JimJones #MicheleTemple #RobertWheeler #ScottBenedict #Guests #PaulHamann #GaroYellin #ScottKrauss
Post Punk / Avant-Rock Fire Records (Tim/Kerr Records) 2650円Dr K2
-
Muslimgauze “Veiled Sisters”
やっと出ました。死してなおかつ人気が持続しているMuslimgauzeです。今回は、1993年に2枚組CDとしてリリースされたアルバム”Veiled Sisters”が、何と❗️3枚組LPsとしてリマスタリングして再発されましたので、このアルバムを紹介していきたいと思います。正直に言いますと、私はそんなにMuskimgauzeを熱心に聴いていた訳ではありませんが、それでも、やはり、このユニットには興味がありますので、今回、購入しました。バイオグラフィーは以前に書いてありますので、今回は省略しますが、Muslimgauzeと言うのは、英国人Bryn Jonesのソロユニットで、1999年1月14日に真菌感染による敗血症で他界していると言うことは知っておいて下さい。それで内容なのですが、ちょっと全部一気に聴き通すのはキツかったですねぇ。このアルバムでは、主に、リズムボックスが使われており、そこにタブラなどの打楽器やギター(?)などの弦楽器或いはアラビア語の会話などのテープが加えられており、あくまでも、リズムボックスの単調だが特徴的なリズムが曲の主体を成しています。そう言うこともあって、3〜4曲ずつ「組み」で作られている、このアルバム(元々、CD2枚分)をキッチリ聴き通すのは大変でした。寧ろ、BGM的に聴いた方が良かったかも。そう言う意味では、アンビエントの要素が強いのかな?とも思いました。この時期、Jonesは多くのレーベルからリリースのオファーがあった為、それをこなして作品を作ること自体にフラストレーションを抱かえていたらしく、そう言う背景も関係しているのかなと想像してしまいます。それにしても、リズムボックスの打ち込みだけで、「アラビック」な雰囲気を作り出してしまうJonesの才能は凄いと確信しました。しかも、彼は生涯一度も中東には行っていなかったのに。「反シオニズム」や「パレスチナの自由」と言うかなり過激な政治的作品を作っていたJonesが、今のイスラム国(IS)などの活動を見たらどう思ったかを知りたいところではあるが、、、。そんなことを夢想しながら聴いていました。Muslimgrauzeの作品は多いので、どれから聴いたら良いか分からない方もいると思いますが、少なくとも、この作品はヘビー・リスナー向けですね。 A1 “Shamal Aquabah”/A2 “P.L.O. Flag”/A3 “Veiled Sisters”/A4 “Dust” https://youtu.be/IjKrNkVGmXw B1 “Submit To Sharia”/B2 “Qasidah Murmur”/B3 “Lebanon” https://youtu.be/IVU-5HhlZEw C1 “Oil Field”/C2 “Mohajir” https://youtu.be/QE57Jw7beGY D1 “Shaitan Verse”/D2 “Cholera”/D3 “Kalyusha”/D4 “Ingreswallah” https://youtu.be/FLTOv44cick E1 “Hindunation”/E2 “Fiefdom”/E3 “El Minzah Kiff” https://youtu.be/MPrGPNMzmFQ F1 “Pasha”/F2 “Farouche Charpoy”/F3 “Halal”/F4 “Sadu”/F5 “Zupol” https://youtu.be/xRCuA3Q2t5Y #Muslimgauze #VeiledSisters #SoleilmoonRecordings #ALTER #Reissue #Remastering #Ritual #Ambient #Arabic #Islamic #RhythmMachine #BrynJones
Ritual / Ambient ALTER (Soleilmoon Recordings) 5800円Dr K2
-
Chrome “3rd From The Sun”
久しぶりに米国西海岸最強のハイパーサイケデリック・ガレージ・オルタネイティブ・バンドChromeのアルバムを紹介します。フルアルバムとしては6枚目に当たる”3rd From The Sun”です。彼等のバイオグラフィーは前回までのを参照して下さい。また、本アルバムでのメンバーは、Hilary Stench (B), John Stench (Drs, E-Drs), Helios Creed (G, Electronics, Vo), Damon Edge (Synth [Moog], Electronics, Vo)となっていますが、勿論、曲作りやミキシング及びプロデュースはEdgeとCreedの2人です。それとEdgeと結婚する仏シンガーFabienne ShineがB面2曲でバッキング・ヴォーカルとして参加しています。また、この時期、初期Chromeの音源を纏めた6枚組の”Chrome Box”がSubterranean Recordsからリリースされていますが、そのボックスの面に描かれたGehenna Lionが、大々的に本作品の表ジャケにもなっています。 それで内容ですが、ドラムの録り方が、4枚目のアルバム”Red Exposure”に少し似ていて、初期のガレージっぽいバシャバシャした音ではなく、ややファットな音色になっています。しかし、疾走感や重さは保たれており、変調Voやプランジャー全開のギターのリフからは、正しく”Chrome”節とも言える独特の音楽になっています。なので、この時期のChromeの音作りとしては、一応の完成形ではないかと思います。それと、ゲストのShine嬢の声は曲の不気味さも相まって、ピッタシです。ただ、収録曲がやや少ないのが、ちょっと物足りないですね。とは言え、安心して聴くことができると言う意味でも期待通りの出来だと思います。なので、唯一の国内盤”Red Exposure (赤い露光)”が好きな方なら、抵抗なく聴くことで出来ますので、是非とも聴いてみてください。でも、まあこの作品はどちらかと言うととコレクターズ・アイテムに近いかも? https://youtu.be/CJbyFMMlIDY #Chrome #3rdFromTheSun #Don’tFallOffTheMountain #Psychedelic #Garage #Electronics #AlternativeRock #DamonEdge #HeliosCreed #HilaryStench #JohnStench #WestCoast
Alternative Rock Don’t Fall Off The Mountain 不明Dr K2
-
Bush Tetras “Things That Go Boom in the Night / Das Ah Riot”
James Chance & the Contortionsで、スライド・ギターを担当していたPat Placeが、The Contortions脱退後、結成したのが、このBush Tetrasです。その時期、私はスライドギターだけしか演奏できなくてバンドなんか出来ないだろうと勝手に思い込んでいて、全然興味が湧かなかったんですよ。時を経て、AppleMusicでアルバムを聴いて、ビックリしました!「ちゃんとギター、弾けるやん❗️と。先ずはバイオグラフィーを簡単に。初めにBush Tetrasは1979年にNYCで結成されたポストパンク或いはアヴァン・ファンク・バンドです。彼等の作品として一番有名なのは、シングル曲”Too Many Creeps”で、このギザギザしたリズム、薄く切るようなギター、ぶっきらぼうなVoに特徴付けられます。メンバーは、Cynthia Sley (Vo), Pat Place (G), Laura Kennedy (B), Dee Pop (Drs)で、最初期には、Adele Bertei (Vo)とJimmy Joe Uliana (G)も居たようです。勿論、PlaceはThe Contortionsのオリジナルメンバーであったので、Bush Tetrasは真面目にやっていませんでした。まあ適当にダラダラやっていただけです。それで、名前の由来ですが、可愛らしいアフリカ人のことを”bush babies”と呼んでいたことと、ある種の魚を”neon tetra (その他の地域では違う読み方もあったらしい)”と言う名前を繋げて、Bush Tetrasとバンド名にしたとのことで、何かトライバルな雰囲気がら気に入って、その名前にしたらしいです。バンドのデビューは、1980年に99 Recordsからリリースされた7㌅EP “Too Many Creeps”で、ビルボードチャート・クラブプレイ部門で57位となります。その後、本作品でもあるシングル”"Things That Go Boom in the Night"が英国レーベルFetish Recordsより、1981年にリリースされ、英国インディーチャートで43位になっています。その後も、そこそこの人気を得て、レコードを出していきますが、1983年にKennedyとPopが脱退し、代わりにBob Albertson (B)とDon Christensen (Drs)がすぐに加入しますが、直ぐにバンドは解散してしまいます。1989年に、ROIRがライブ・カセット・アルバム”Better Late Than Never (Original Studio Recordings 1980-1983)”をリリースしています。その後、彼女たちは再結成をして、活動を復活させていますが、ここではその辺りのことは省略させて頂きます。 ちょっと長くなりましたが、彼女らの活動は上記の通りです。それで、彼女らのセカンド・シングルが本作品になります。A面”Things That Go Boom in the Night” (通称Boom”)もBメンバー”Das Ah Riot”も全盛期の彼女らのタイトでカッコいい曲になっています。跳ねるように前のめりになるタイトなリズムを保ちつつ、ギターがその隙間に切り込んで、沢山の刀を振り回すようなサウンドと物憂げと言うか突き放した感じのクールなVoのコンビネーションがめちゃくちゃカッコいいです。カウベルのようなパーカッションもポイント高いです。個人的にはB面の曲の方が好みですが、今度は何とかアルバムを手に入れたいところですね。もし、このシングルを見つけたら、即購入ですよ❗️ “Das Ah Riot” https://youtu.be/k01s8kAFXbA #BushTetras #ThingsThatGoBoomInTheNight #DasAhRiot #FetishRecords #Ex-TheContortions #PatPlace #CynthiaSley #LauraKennedy #DeePop #NoWave #Avant-Funk
No Wave / Avant-Funk Fetish Records 1800 円Dr K2
-
Pere Ubu “20 Years In A Montana Missile Silo”
連投、失礼します。またまたPere Ubuの登場です。もうトータル何枚目かはよくわかりませんが、このアルバムの前にちょっとした事件がありました。2003年にPere Ubuの前身バンドRocket from the Tombsが再結成して、2017年5月にClevelandで、コンサートをやったと言うのです。勿論、David Thomasもメンバーでしたから参加はしていますが、Peter Laughnerは参加はしていなかったので、代わりにRichard Lloyd(後にTelevisionに加入)が参加して、2017年までバンドは続いたみたいです。それで、その年の9月末に、Pere Ubuは本作品をリリースします。この時のメンバーはDavid Thomas (Vo), Keith Molinè (G), Gary Siperko (G), Kristof Hahn (Steel G: The Swansのメンバーでもある), Darryl Boon (Clarinet, その他), Robert Wheeler (analog Synth, Thermin), Gagarin (Digital Synth), Michele Temple (B), Steve Mehlman (Drs, その他)で、Roshi Nasehiが1曲Backing-Voで参加しています。この頃はDavidはPere UbuとRocket From The Tombsの二足草鞋を履いていた訳ですが、そのヴァイタリティとクリエイティヴィティには驚かされます。そして、本作品ですが、初心に帰ったような、スピード感のあるノリの良い曲が収められています。一言で言うと「カッコいい」曲が満載ですね。多分、David以外のメンバーが若返ったからだとは思いますが、それでもDavidがそれに付いていくだけでない、リードしている感すらあります。近年では、Davidは椅子に座って歌うことが多いようですが、MCとかも含めて、その存在感は相当なものと思いますね。そんな訳で、決して守りに入らず、常に攻めで言ってるPere Ubuを聴いてみて下さい。その意味で、この作品はお勧めですよ。 A1 “Monkey Bizness”’(2:18) A2 “Funk 49” (1:57) A3 “Prison Of The Senses” (2:11) A4 “Toe To Toe” (1:34) A5 “The Healer” (3:18) A6 “Swampland” (1:50) A7 “Plan From Frag 9” (3:18) B1 “Howl” (2:59) B2 “Red Eye Blues” (1:51) B3 “Walking Again” (4:36) B4 “I Can Still See” (4:10) B5 “Cold Sweat” (3:39) B2 “Red Eye Blues” (1:51) https://youtu.be/LnMdI_qLTX0?si=09eAB-2nvt-7BYHQ [full album] https://youtube.com/ playlist?list=OLAK5uy_ncZ26rE_EbJuWzaICkOjjcp2bZVeRyg5E&si=26euluvaEl372EBY #PereUbu #20YearsInAMontanaMissileSilo #CherryRedRecords #17ThStudioAlbum #AvantRock #ArtRock #DavidThomas #KeithMolinè #GarySiperko #KristofHahn #DarrylBoon #RobertWheeler #Gagarin #MicheleTemple #SteveMehlman #Guest #RoshiNasehi
Avant-Rock / Art Rock Cherry Red Records 不明Dr K2
-
Pere Ubu “By Order Of Mayor Pawlicki (Live In Jarocin)”
いゃ〜もうPere Ubuだけは外せませんね。これも買った記憶は余り無いのですが、探し当てました!2枚組かつライブ盤なのですが、収録曲が、初期の名曲ばかりだったので、多分、即購入したのではないかなと思います。もうPere Ubuのバイオグラフィーは散々書いていますので、省略させて頂きます。ライブ自体は、2017年にポーランドのJarocinで行われたものですが、”Codex”と”My Dark Age”の2曲だけは、2016年の仏Marseilleでのライブテイクが使われています。この時のメンバーはMichele Temple (B, BackVo), Steve Mehlman (Drs, Piano, BackVo), Gary Siperko (G), Tom Herman (G, BackVo), Robert Wheeler (Synth, Thermin), David Thomas (Vo, Musette, Mix)です。オリジナルメンバーは最早David Thomasだけなんですが、現メンバーでも初期の曲を上手く再現していると思います。まあ、ライブ音源なので、アレンジや雰囲気ほ変えているとは分かるんですが、そう言う意味では、David Thomasさえいれば、Pere Ubuは成り立つってことなのかな? まあそれを言っちゃお終いなんですが、、、。あと面白いと思ったのは、DavidのMCで、かなり癇癪持ちみたいなと言うかうるさい頑固ジジイのような口調で捲し立ててるのがよく分かります。しかしなから、名曲”Final Solution”で締めているのが、ポイント高いですね。またセカンド・アルバム”Dub Housing”収録曲を演っているのも新鮮でしたね。特に”Caligari’s Mirror”のライブヴァージョンも良かった!てな訳で、Pere Ubu好きには堪らんアイテムですよ、この作品は!ファンは勿論、Pere Ubu初心者さんも是非とも聴くべきですよ! 因みに盤はハーフブラック・ハーフレッドの特殊盤です。 ◼️LP1 A1 “Intro” (0:45) A2 “Heart Of Darkness” (3:48) A3 “On The Surface” (2:51) A4 “Petrified” (2:30) A5 “Real World” (4:11) A6 “Rhapsody In Pink” (3:2 B1 “Modern Dance” (3:26) B2 “Navvy” (2:59) B3 “Small Was Fast” (4:22) B4 “Over My Head” (3:52) B5 “Long Walk Home” (2:41) ◼️LP2 C1 “Codex” (5:25) C2 “My Dark Ages” (6:43) C3 “Rounder” (3:40) C4 “Dub Housing” (5:28) D1 “Fabulous Sequel” (3:41) D2 “Vulgar Boatman Bird” (3:39) D3 “Caligari's Mirror” (4:13) D4 “Final Solution” (6:36) LP2 D4 “Final Solution” (6:36) https://youtu.be/5eSyLmbWI3A?si=VoQSYhrulqF_1lS3 [full albums] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lm6TG3DFVQ4K1r2dND5phyIFk6Q_n_2p8&si=Fn-in5-s1vIAkeA5 #PereUbu #ByOrderOfMayorPawlicki #LiveInJarocin #CherryRedRecords #AvantRock #ArtRock #LiveAlbum #2LPs #Poland #France #DavidThomas #MicheleTemple #SteveMehlman #GarySiperko #TomHerman #RobertWheeler
Avant-Rock / Art Rock Cherry Red Records 不明Dr K2
-
Pere Ubu “The Tenement Year”
毎度、お馴染み、Pere Ubuの”The Tenement Year (安宿時代)”です。この時の編成は、Tony Maimone (B), Scott Krauss (Dr), Chris Cutler (Dr, Perc, Noises), Jim Jones (G), John Kirkpatrick (Melodeon), Allen Ravenstine (Synth EML, Sax, Vo), David Thomas (Vo, Trombone, Spike)と言う第二期のメンバーです。それにしても、タイトルの付け方からして、Pere Ubuらしいですね。この作品では軽妙で自在なシンセと、ポップなビートが主体を成しており、これぞPere Ubu❗️と言う感じです。ギターが、Mayo Thompsonでなくなっただけでこんなに違うのかなぁ?と思う位、分かり易い音楽になるとは!バンドってこう言うものなんですね。しかしながら、矢張りPere Ubuと言えば、David Thomasと言う程、彼のヴォーカルは”Pere Ubu”チックなんですが、彼の声質や歌詞は聴いたら一発で分かる位、独特かつ癖のあるものだと思います。良くも悪くも。そんなPere Ubuのひねくれまくった音楽は、Allen Ravenstineの「如何にも!」と言うシンセの演奏以外にも、Jim JonesのギターワークもPere Ubuの自在なギターワークも忘れてはなりません。そして何よりもタイトなリズムを叩き出すChris Cutlerのドラム!もう溜まりませんねぇ。David Thomasのトロンボーンも弾けていますが、兎に角、歌詞が逆説的自己否定なので、それだけで泣けます。そんな「泣き」のアルバム、聴いてみてください。 A1 “Something's Gotta Give” (5:13) A2 “George Had A Hat” (4:02) A3 “Talk To Me” (3:28) A4 “Busman's Honeymoon” (4:35) A5 “Say Goodbye” (4:58) B1 “Universal Vibration” (2:43) B2 “Miss You” (4:21) B3 “Dream The Moon” (3:25) B4 “Rhythm King” (4:26) B5 “The Hollow Earth” (4:15) B6 “We Have The Technology” (3:03) [“Miss You” John Peel Session] https://youtu.be/yGoNT7S48zo?si=ZDG2arCqPqTez_gg [full album + live tracks] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nD4QHH0rfSA_Tna9d02T21lXPuqFhawcA&si=DAyE1xYrtzhNWFGz #PereUbu #TheTenenentYears #Fontana #7ThAlbum #DavidThomas #AvantRock #ArtRock #MayoThompson #JimJones #TonyMaimone #ScottKrauss #Chris Cutler #JohnKirkpatrick #Melodeon #AllenRavenstine #EMLSynth..
Avant-Rock / Art Rock Fontana 1980円Dr K2
-
Hunting Lodge “Nomad Souls”
皆んなー!覚えているかな?当時、Fool’s Mate「世界の音楽」で秋田昌美さんか絶賛紹介していたHunting Lodgeを❗️それまでは、インダストリアル・ミュージックと言えば、英国モノが主流でしたが、このHunting Lodgeの登場で、米国にもインダストリアルあり!と認識させられました。Hunting Lodgeは、Lon C. Diehl, Richard Skott, Carla Nordstrom (別名Karl Nordstrom)によって1982年にミシガン州Port Huronで結成されています。彼等の活動もアンダーグラウンドで、その実態は今ではよく分かりませんが、ちょっとだけ分かる範囲で紹介したおきます。彼等の最初のギグは、1982年9月に、Harrington HotelのHarrington Ballroomで行われていますが、その時のライブ音源をラジカセで録音されており、1983年初頭には彼等のファーストリリースとして世に出されています。1983年初頭にCarla NordstromがSFに引っ越したので、バンドを抜けています。1986年にはHelmut RobinsonがDrで加入していますが、バンドは1989年に解散しています。因みに、彼等のレーベルS/M Operationsと言うレーベルも、1982年にLon C. DiehlとRichard Skottが運営していました。最初は雑誌を出版する版元だったのですが、やがて、DIYなレーベルに変わっていきました。1980年後半には活動が途絶えてしまいますが、2018年には独逸のレーベルEasy Listeningと協力して復活しています。当然と言えば当然ですが、S/M OperationsからはHunting Lodgeのカセット作品が多数リリースされています。 それで本作品なのですが、これはHunting Lodgeの2枚目のLP(セカンド・ヴァイナル)になります。彼等はインダストリアルと言ってもリズミックで、トライバル・ミュージックと言うべき音楽を演っています。曲によってはメタパーらしき音も聴取できます。A1”Nomad Souls”やB4”Become A Commercial - Interrupting”ではRichard KinneeとSteve KishがPercで参加したり、B1”The Wolf Hour”ではJohn Steinborn (Dr)とRoselle Williams (Vo)が参加しています。また、A1はthe Harrington Ballroom.での1984年2月のライブ音源で、B4はMoon Basementでの1984年4月のライブ録音です。ドコドコとしたリズムが中東辺りの音楽の引用を思わせ、正にトライバルで、ヒプノティックな音楽ですが、Muslimgsuze程、イスラムな感じはなく、寧ろ都会に息づいたインダストリアルな印象の方がしっくりきますね。「アーバン・トライバル」と言っても良いのではないでしようか?後期SPKとの類似性も聴取可能かと思います(だからか、SPKのレーベルから出しているのは?)。そこら辺がお好きな方には、是非とも聴いて欲しいですね。さあ、踊りましょ‼️因みに、Richard Skottは近年、Witch of Malibとしても活動を再開したみたいです “Live at Lodge day 91,1983 https://youtu.be/iPztbeR_A94 [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kb0pzwtKS5vAXWdG90Q4g3Bvx6ZbspbIE #HuntingLodge #NomadSouls #SideEffect #S/MOperations #Tribal #Industrial #RhythmMachine #Drums #MetalPercussions #RichardSkott #WichtOfMalib #LonC.Diehl
Industrial / Experimental Side Effekt Rekords (S/M Operations) 不明Dr K2