-
a.P.A.t.T “We”
a.P.A.t.T.と聞いて、ピーンとくるリスナーさんは少ないかと思います。私自身も、何でこのアルバム、買ったのか?良く覚えていません。まぁ謎物件な訳です。それでちょっと調べてみました。a.P.A.t.T.というのは、どうも、英国リバプールで、2002年に結成されたアヴァン・ポップとマルチメディアの為のアンサンブルのことみたいです。このアンサンブルには、Kling KlangやZombinaのメンバーが関わっているようです。詳しい結成までの経歴やメンバー等は良く分かりませんが、失敗と成功を繰り返しながら、凡ゆる方向へ向かって成長してきたらしいです。なので、音楽だけではなく、映像やその他の表現分野に渡る活動をしてきており、単にアヴァンギャルドや現代音楽というだけではなく、ライブ・バンドとしての活動にも重きを置いています。そのような背景もあるのか?関係あるかどうか分かりませんが、2016年〜2022年間のメンバーは、Ana Crusis, Boss A Nova, Boss DR-5, Col Legno, Commodore 6/4, Dorothy Wave, Ed Room Dyasono, Empress Play, General MIDI, Mic Lead, Mr Phil, Oscar Later, Private Dancer, Relative Minorと言うように偽名(しかも機材の名前を文字っているお茶目さ)だらけで、曲によって、その組合せは変わることもあり、リスナーや観客を困惑させ続けてきており、チャートとは無関係な立ち位置で活動していたらしいです。ただ、メンバーの中で、General MIDIなる人物がメインに作曲を担当しているので、この人が恐らくリーダー的存在ではないかと思われます。それで、彼等は、1970年代のアートロック~1980年代のシンセポップ〜ポストロック〜硬派なチェンバー・ミュージックまで取り込んで、最終的にモダン・サイケでコーティングされたようで、どこか人を食った様相も見せるキッチュでストレンジなぶっ飛びポップ・サウンドを毎回、作品に刻み込んできました(人を食った様相は、メンバーの名前からも想像できると思います)。特に、2008年にリリースしたアルバム” Black & White Mass”は、ポップ・ミュージックのギリギリの線で留まったアヴァンギャルドな作風として名を馳せ、BBC Radio 1では「今週のアルバム」として毎日放送されていたとのこと。そんな意味で、彼等は、The Beatles, Pink Floyd, Cardiacs, Radioheadと同様の大いなるアイデアを持って、それを実践できるバンドであると評価されています。彼等は、主にBandcampで作品を発表していますが、その中でも、本作品は、フィジカルになった作品の内、6作目に当たります。そして、今回は、米国CA出身女性シンガーDyasonoをゲストとして迎えて、a.P.A.t.T.流の捻くれスウィートな女性ポップス曲”It Keeps Going”を筆頭に、これまでに無かった新味も加わって、端から端まで自由に行き来しています。そんな彼等の”We”は前作から8年振りでリリースされました。そんなa.P.A.t.T.の各曲を紹介していきたいと思います。 ★A1 “The Great Attractor” (7:50)は、BとDrsで始まり、そこにエレピが乗ってきて、ヒステリックなVlnやGが絡んできます。途中で雰囲気が変わり、複数のVoによる歌物になりますが、レコメン系に近い音作りをしていますね。マーチのリズムや性急なテンポやらに代わっていく複雑な曲構成がスリリングです。 <General MIDI作> Bossa Nova(Drs), Private Dancer (Vln), Boss DR-5 (Fretless-B, E-Piano, Vo), General MIDI (Vo, G, Distorted-B, E-Piano, Synth), Dorothy Wave (Vo), Empress Play (Sax, Piccolo) ★A2 “It Keeps Going” (3:01)は、バックはGeneral MIDIが演奏していますが、軽快なポップスになっており、DyasonoのキュートなVoを上手く活かしています。 <General MIDI&Dyasono作> Dyasono (Vo), General MIDI (All Instruments) ★A3 “I Sigh: You Sigh” (3:37)は、逆回転で始まり、正確無比なDrsとシーケンサーとBがイントロとなって、クラリネットも加わり、変調男性VoやVlnが入ってくる複雑な曲です。最後にダレますが、直ぐ復活します。 <Dorothy Wave, General MIDI, Bossa Nova, Mark Greenwood作> Dorothy Wave (Synth), Bossa Nova (Drs), General MIDI (Synth, Vo), Empress Play (Clarinet), Ana Crusis (Vln), Mark Greenwood (Vo) ★A4 “Porca” (2:53)は、ブローするSaxやVlnなんかも含む欧州ラテン系の熱い演奏で、スパニッシュな女性Voが乗っていると思ったら、急に曲調が代わり、ピアノとストリングス・シンセのしっとりとした演奏になります。 <General MIDI&a.P.A.t.T.作> Bossa Nova (Drs), Boss DR-5 (B), Private Dancer (Vln), General MIDI (Vo, Piano, Farisa-Organ, 5-String-B), Empress Play (Vo, Sax), Dorothy Wave (Clarinet) ★A5 “Solipsisim” (3:04)は、語り調のVoのイントロから、クラリネットとアコーディオン様のシンセの合奏になったり、エレピや女性Voのパートに代わったり、戻ったりと忙しない複雑な曲です。最後にはVlnも絡んできます。 <Oscar Later&General MIDI作> Oscar Later (Vo), General MIDI (Drs, Upright-B, Synth), Dorothy Wave (Clarinet), Col Legno (Vln), Relative Minor (Vo) ★B1 “Cigarettes And Margerine” (4:05)は、一聴すると、エレポップのようなシンセを多用した曲で、メジャー級女性Voをメインにしている為か、かなり本格的な雰囲気で、可愛らしい出来になっていますが、SE的シンセ音も散見されます。 <Empress Play作> Empress Play (Vo, Synth), Bossa Nova (Drs), General MIDI (Vo, Synth), Boss DR-5 (G) ★B2 “Study/Relax To Mid-Fi Chill/4am Beats To” (1:36)は、一転して、指パッチンのリズムとピアノの弾き語りから成る小曲で、何となく物憂げで寂しげです。 <General MIDI作> General MIDI (Synth) ★B3 “Plump In The Mud” (3:17)は、シンセBと生ドラムとストリングス・シンセのバックに、朗々と歌う男性Voが乗る大らかな曲ですが、後半には、SE的シンセ音やGソロも聴取できますが、いきなりアップテンポに変わります <Boss DR-5&General MIDI 作> Bossa Nova (Drs), General MIDI (Vo, Synth, Perc), Boss DR-5 (G, Synth), Dorothy Wave (Vo), Empress Play (Synth) ★B4 “Walking Around Proper Looking At Things” (0:18)では、アップテンポのリズム隊にシンセとGを合わせた短い曲ですが、何だかCardiacsっぽい喧騒を感じます。 <Boss DR-5 作> Bossa Nova (Drs), Boss DR-5 (G, Bass-Synth), General MIDI (Synth), ★B5 “Titus The Bellows” (1:54)では、SP盤のような音質のジャジーな曲で、アコーディオンやクラリネットが小気味良い雰囲気を出しています。 <Boss DR-5作> Boss DR-5 (G), General MIDI (Drs, Upright-Bass, Accordion), Empress Play (Clarinet) ★B6 “Young People Are Old People From The Future” (2:45)は、締め殺された鶏(?)で始まる落ち着きの無い曲で、ストリングスを多用していますが、突然、曲調がアップテンポに変わったり、楽器も度々変わり、疾走していき、やがて変拍子の曲調に変わり、目まぐるしい展開になっています。 <General MIDI 作> General MIDI (Vo, Drs, Philicordia, Synth, Glockenspiel, Tape wriggles), Empress Play (Clarinet, Piccolo, Flute), Ana Crusis (Vo, Vln) ★B7 “The People You Know” (2:13)では、ピアノとリズム隊に合わせて、朗々と歌う男性Voがゴージャス感を醸し出しています。しかし、Gの伴奏やピアノも時に崩れるのが面白いところです。 <General MIDI&Boss DR-5 作> Bossa Nova (Drs), Boss DR-5 (G, B, Stylophone, Vox Continental), General MIDI (Vo, Piano) ★B8 “Doom II: Hell On Earth” (3:37)は、デスVo入りのストーナーロックで、やがて阿鼻叫喚な音地獄へと落ちていきます。これには、ビックリしました! <Col Legno&General MIDI 作> Bossa Nova (Drs), Boss DR-5 (G), General MIDI (Vo, B, Synth), Empress Play (Synth), Commodore 6/4 (Sax) 曲自体の構成が非常に複雑で、転調やテンポの変換或いは使用楽器等が一曲の中で頻繁に変わるので、初め聴いた時には、曲間が良く分かりませんでした。しかしながら、そんなこととは無関係に、プログレっぽい展開、特に、レコメン系プログレをポップ・ミュージックの領域に反映させていますので、次はどう来るのかな?と中々楽しめます。メンバー名が全て偽名であることなんかも加味すると、The HomosexualsやEtron Fou Leloublan辺りに近いのかなあとも思いますが、a.P.A.t.T.の方が、これらのバンドの音楽よりももっとポップネスを感じますし、最後にストーナーロックまで持ってきたのには驚きました。そうですねー、一番、近いのが、初期のCardiacsですかね。難解と言うよりも、寧ろ凄く面白くてユーモアのある音楽なので、これは皆さんに是非聴いて欲しい1枚です❗️ B7 “The People You Know” (2:13) https://youtu.be/1JQ1fPRdw5k?si=XbY1i_tNc9aFn37b [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mJ73tnG1p1I-qaV9GhLnZtiOwminEbric&si=hyQgARpiO9SdQxqm [BandcampのURLを貼っておきます] https://apatt.bandcamp.com/album/we #a.P.A.t.T. #We #NineXNine #Postmusic #DurEtDoux #UKUnderground #6ThAlbum #AvantRock #Experimental #AlternativeRock #Electro #AnaCrusis #BossANova #BossDR-5 #ColLegno #Commodore6/4 #DorothyWave #EdRoomDyasono #EmpressPlay #GeneralMIDI #MicLead #MrPhil #OscarLater #PrivateDancer #RelativeMinor
Avant-Rock / Experimental Nine x Nine 2640円Dr K2
-
W.A.T. “World According To (Eindhoven 1983-1985)”
W.A.T.と聞いて、パッと音楽が思い出すことが出来る方は少ないと思います。今回は、蘭のポスト・パンク・バンドW.A.T. (World According To)のセルフ・コンピ・アルバム”World According To (Eindhoven 1983-1985)”を紹介します。正直、私もこのバンドのことは全然知りませんでしたので、ちょっと調べてみました。W.A.T.とは、A.M.A.H. Keultjes van MeursことAd Van Meurs (G, Vo)とF.J.G.M. van den NieuwenhofことFrank van den Nieuwenhof (B), Ankie Keultjes (Kbd, Vo)によるバンドで、1982年に蘭Eindhovenで結成されています。当時はドラムレスであったので、BOSS Dr-55リズムマシンを使っていたらしいですが、アルバムの録音では生Drsを使っているようです。またシンセはアナログのPro Oneシンセを使っており、それにアルペジオの打ち込みをしていたとのことです。翌年1983年には、6曲入りデビュー・ミニアルバム”Defreeze”を蘭のレーベルPlurex Recordsからリリースし、RotterdamのDe Dielen で行われたフェスPandora's Music Boxに出演、また仏ReimsでのフェスMusiques de Traversesにも出演しています。そして、ラジオ局VPROのニューウェーブ等を掛ける番組Spleenにも出演したりしています。その後、1985年にはセカンド・アルバム”We” (音はテクノではないです)を蘭のテクノ・レーベルPrimeからリリースし、同年には蘭のレーベルから、6曲入りサード・ミニアルバム”Thin Blue Notes”もリリースしています。その後1988年に、バンドは解散し、Ad Van MeursはThe Watchmanとして活動していくことになります。 以上がW.A.T.の略歴なのですが、この位しか分かりませんでした(すまん!)。それで、本作品は、彼等が出した3枚のアルバムから曲をセレクトして、纏めたセルフ・コンピ・アルバムと言うことになります。内容的には、A2, A4, B2, B3はファースト・アルバム”Defreeze”から、A1, A3, A6, B1, B4, B5はセカンド・アルバム”We”から、A5, B6はサード・アルバム”Thin Blue Notes”からセレクトされており、両面共6曲ずつ収録されており、ベルギーのレーベルStroomからのリリースとなっています。それでは、各曲をご紹介していきましょう。 ★A1 “Love Suspect” (3:34)は、ややファンクっぽいリズム隊に、伸び伸び弾かれるGと良く通る女性Voから成るポストパンクな曲で、新鮮です。 ★A2 “Get Famous” (4:46)では、シーケンスと語るような女性Voで始まるニューウェーブっぽい曲で、その後にタイトなリズム隊と単音弾きのGで疾走しています。 ★A3 “Wax” (3:39)は、大胆なDrsと這い回るBにアルペジオGから成るポストパンクな曲で、時に入るシンセがニューウェーブっぽいかな? ★A4 “Defreeze” (4:07)は、機関車のようなリズム隊とシーケンスするシンセに、浮遊感漂う女性Voが心地良い曲で、ニューウェーブだなぁと。ミニマルなBと間奏のシンセが絶品! ★A5 “Thin Blue Notes” (4:37)は、いきなりのアコギとGで始まり、ちょいとマカロニ・ウエスタン調のアンサンブルで、洗練されていてシャレ乙。間奏のGもグー! ★A6 “The Captain” (4:24)は、やや落ち着いた曲で、シンセのメロは良いし、Bのリフはちょいファンク調。カッコ良い! ★B1 “THX” (3:42)は、蠢くようなBラインとDrsを中心に男性Voが女性コーラスと共に歌うポストパンクな曲で、間奏のGもそれっぽい。 ★B2 “Art Lovers” (4:58)は、タイトなDrsとGの刻みと躍動的なBから成る曲で、ここではメインは女性Voで、時にラップ調にもなり、スライドGも挿入され、良い塩梅です。 ★B3 “Ivanhoo” (4:27)は、やや焦燥感を感じさせる曲で、女性Voです。GとBの噛合せが絶妙で、中半〜後半のシーケンスの挿入も良い味付けです。 ★B4 “Hossa” (4:25)では、Gのアルペジオの中、コンガ等を使ったファンク調のリズム隊が始まり、重ねられたGが伸び伸びと弾いているインスト曲です。 ★B5 “Sangatte” (4:59)は、ミニマルなGのリフに囁く女性Voが中心となった落ち着いた曲です。メロも良く、中半からの盛り上がりもグー! ★B6 “Conspiracy In The Dark” (4:32)は、めっちゃカッコ良いノリの良い曲で、歪んだGが新鮮です。Voは女性で、バックの演奏には疾走感があります。 総じて、「軽いニューウェーブ」と言うよりも、ソフィストケートされたポストパンクな曲が多い印象ですが、歌詞が全部英詩で、そこがちょっと残念な所ですね。しかしながら、曲作りやアレンジは卓越しており、かなり聴き易く、また演奏の細部にも凝っている所をビンビン感じます。BOSS Dr-55と記載がありましたが、どうも生Drs(誰が叩いているかは不明)を使って録音されているようで、少なくとも、このようなチープなリズムボックスは使われていません。なので、蘭のバンドですが、これが英国のバンドだったら、もっと評価されていたのではないでしょうか?ポストパンク・ファンの方には是非とも聴いて欲しい一枚です❗️ B6 “Conspiracy In The Dark” https://youtu.be/XoIh6v_qRrw?si=gdJI6q2BPtBccU4g [Bandcampでfull album聴くことができます] https://stroomtv.bandcamp.com/album/world-according-to #W.A.T. #WorldAccordingTo #Eindhoven1983-1985 #Stroom #SelfCompilation #PostPunk #NewWave #Holland #DutchUnderground #Defreeze #We #ThinBlueNotes #RhythmBox #Drums #AMAHKeultjesVanMeurs #AdVanMeur #FJGMVanDenNieuwenhof #FrankVanDenNieuwenhof #AnkieKeultjes
Post Punk / New Wave Stroom 3872円Dr K2
-
Plus Instruments “79/80”
君はPlus Instrumentsを知っているか? 蘭の前衛アーティストTruus de Groot (トゥルース・ド・グルート)が1978年に蘭の地方都市Eindhovenで活動開始したプロジェクト名のことで、+ Instrumentsとも表記されます。今回は、彼女の初期音源を纏めたアルバム”79/80”を紹介しようと思います。de Grootは、元々、1979年にNasmakと言うポストパンク・バンドのVoでした。その頃は、蘭でもパンクが勃興していましたので、Nasmakの立ち位置はニューウェーブと言ったところみたいです。それで、de Grootは、もっと実験的な音楽をソロでやっていきたいのと、蘭の小さな場でやっているよりも、もっと大きな場でやりたいと思っていました。その頃、彼女は名前をTruusからTrussに変えており、それでソロの時には、Truss + Instrumentsと言う名義を使っていました。その時には、壊れたシンセやハンドメイドの電子楽器等やkraakdoosと言う楽器などを使って、宅録でノイズ的音楽をやっています。彼女は、1979年に、BandT + Instruments名義で、Bregt Camphuijzenと共にシングル”Special Agreement”を出しており、まぁ、これが彼女のソロとしてのデビュー作品となります。彼女は、BritポップとWhite Noiseのアルバムと欧米間の感性を持ち合わせており、いわゆるガールズ・ポップと凶暴なエレクトロニクスの間の立ち位置でした。その後、1980年には、Truss + Instruments名義で、カセット作品”79/80”(同名異作)を自主制作で出しています。それで、先述の理由で、1980年11月に、米国NYCに渡り、Lee RanaldoやJames Sclavunos等のアーティストからの援助で活動しています。その中で、Lee Ranaldo (G)とRhys ChathamグループのDavid Linton (Drs)と共に、Plus Instrumentsの最初の国際的ラインナップとして、1981年に、アルバム”Februari - April '81”を出しています。このラインナップは6ヶ月弱しか続かないかったみたいで、その後、彼女は、米国のビートニックに興味を示し、Teenage JesusのJames SclavunosとGun Club/Panther BurnsのJim Duckworthと共に活動することになり、ツアーや録音等も行っていましたが、やがて、このメンツでの創造性は低下していきます。その後、リリースは暫く無くなりますが、本人は余り気にしていなかったようです。しかしながら、2011年に、de Grootのソロ名義Truus Plus Instrumentsとして新録のアルバム”Dance With Me”をリリース、その後、2013年には、Vinyl On Demandより、過去作品のセルフ・コンピ・アルバム”Exile In Paradise (1982 – 2011)”と新録のアルバム”Trancesonics”も出ています。 以上が、Plus Instrumentsのバイオグラフィーのあらましなのですが、今回、ご紹介するアルバム”79/80”は、Truus de Grootのソロ・プロジェクトPlus Instrumentsとしてのアルバムと言うことになります。彼女は、Korg MS-20 SynthとRhythm Box及びEcho Machine(これらは、彼女の友人Wally van Middendorpから借りた機材), Putney SynthとCrackle Synth (これらは彼女のメンターMichel Waisviszから借りたシンセ), G, プラスチック製のオモチャのG, Flute, TV, Organ, マイクを使っており、この頃は、The Shadow Ring, Throbbing Gristle, Wolf Eyes, Toleranceの間を埋めるのが、Plus Instrumentsと評されていました。内容ですが、両面7曲ずつですが、A1, A2, A5はワン・トラックで、A4, A6, B2-B4, B6, B7はピンポンで、A3, A7, B1, B5は4トラックでの録音となっています。また、先述の彼女の一番最初にリリースしたカセット作品”79/80”に収録されている曲(A1-A3, A6, A7, B1, B2, B7)も入っています。実は、de Grootは、1980年に、Nasmakのファンとして、わざわざ地方都市EindhovenにやってきたNigel Jacklinと知り合って、何時間も彼女のアパートで録音しており、それで制作したカセットを彼のレーベルAlien Brains Tape Catalogueから1980年に極少数リリースされていたらしいです。同時期、de Grootは、Amsterdamに上京して、メンターWaisviszにシンセを借りただけでなく、4チャンネルのオープンリールのあったSTEIMスタジオも使わせてもらう機会を得て、また、レーベルFriend and Plurexを運営していたMiddendorpにもKorgのシンセやリズムボックスやエコーも借りて、彼のアパートで録音をしていたそうです。そんな状況で録音された曲を今回、新たにセレクトし、コンパイルして、同じ”79/80”と言うアルバムとしてリリースに至ったとのことです。それでは、各曲を紹介していきましょう。 ★A1 “Lucky Day” (6:40)は、ヘロヘロのテープに録音されたヘロヘロのリズムマシンとシンセ音に彼女の語り調のVoが被る曲で、時にハウリングも挿入される脱力ポップ⁈ ★A2 “How?” (4:29)では、複数のシンセの音が重なり合い、そこに、女性Voやらチープなリズムマシンやらシンセ音やらが被ってきます。音質は悪いけども、懐かしき1980年代初頭の音楽ですね。 ★A3 “Herhalingen” (1:53)では、単調なキックに、テープ音やエコー処理音或いはシンセ音等が被ってきて、すぐにリズムは無くなります。 ★A4 “True Love Stallion” (1:59)も、ハウリング音とシンセ音それに通奏低成るノンビートな小曲ですが、後半にワルツのリズムが聴取できます。 ★A5 “Ectr“ (1:58)は、不明瞭なテープ処理から始まり、これまた不明瞭なリズムマシンと語り調Voやら電子音やらが絡む小曲です。 ★A6 “Improv 1” (1:26)は、グルグルなシンセの単音弾きからガチャガチャした電子音へ繋がっていく曲です。 ★A7 “Dance” (3:13)も、不明瞭なリズムマシンとパルス音に、自由に歌う女性Voと(本当に)適当なGが合わせる曲で、最後にGをボロンボロン弾いて終わります。 ★B1 “Music-Zak” (5:18)は、単調なリズムマシンと背景の緩やかなシンセ音から成るミニマル曲で、次第にオルガン等の音も増えていくのですが、虚無感が凄い! ★B2 “So” (2:31)は、強迫的になっていくアップテンポのリズムマシンと自在な女性Voに、電子音がバックで暴れている曲で、焦燥感を煽ります。 ★B3 “Improv 2” (4:23)は、体操のような女性Voとオルガン(?)の不協和音から成るビートレスな曲で、何とも言えない不安とか不条理を感じます。 ★B4 “Drama” (2:25)は、可愛らしいリズムマシンと割と明確なシンセによるメロディと時折入る男性Voから成る曲で、作品中、最も「楽曲」らしいです。 ★B5 “O Ja” (1:08)は、シンセのパルス的な音によるリズムと多重録音された女性Voから成る曲です。 ★B6 “Mountain” (3:07)は、背後のヤバそうな雰囲気の中、きつ目のリズムマシンが鳴り響く曲で、リズミックですが、ダンサブルではないです。 ★B7 “Stratangle” (1:59)は、チョコマカしたリズムマシン及びバックの電子音と、リズムのズレた女性コーラス(多分多重録音による)が被る小曲です。 まあ、録音方法もモノラル一発録りから4チャンネルの多重録音までがあるので、仕上がりも曲毎で大きく異なっていますが、一貫して、ポップ・ミュージックの文法から外れてしまう感覚が彼女の中にあって、その逸脱振りが非常に興味深いです。シンセの音も篭り気味だし、リズムマシンもチープだし、それだとしても、余りある程の魅力的な曲が並んでいます。とにかく面白いので、一度体験してもらうのがよろしいかと! A2 “How?” https://youtu.be/e6BOSi0M860?si=nG39yt5tSehbAZwY A3 “Herhalingen” https://youtu.be/cN7oJxYD2To?si=tXP-w02qC1nL0SVn A7 “Dance” https://youtu.be/2vRWeZtkdT4?si=X88-2LjTy1RUZ91l [BandcampのURLを貼っておきます] https://plusinstruments.bandcamp.com/album/79-80 #PlusInstruments #79/80 #DeadMindRecords #Holland #NewYork #Primitive #Experimental #EarlyWorks #Synthesizers #Electro #Guitar #RhythmBox #ToyGuitar #Organ #Flute #TV #Microphone #EchoMachine #宅録 #TruusDeGroot #TrussDeGroot#Nasmak #AlienBrainsTapeCatalogue #NigelJacklin #WallyVanMiddendorp #Mentor #MichelWaisvisz
Experimental / Electro / Primitive Dead Mind Records 4048円Dr K2
-
Sigh Libra “Hidden Beauty”
Sigh Libra (サイ・リブレかな?)と聞いて、直ぐに分かる方はヘビーリスナーさんかと思います。これも、謎物件です!それで、ちょっと調べてみました。Sigh Libraと言うのは、ラトヴィアの女性エレクトロニック・アーティストAgata Melnikova (アガタ・メルコヴァ)のソロユニットで、2016年に最初のシングルがリリースされていることから、その前くらいから活動しているものと推測されます。フィジカルとしては、本作品がセカンド・アルバムになります。どうも彼女の音楽は、ポストモダンなアンビエントやニューエイジ辺りと言われており、彼女自身も、Erik Satie, Mylene Farmer, 初期のLaurent Boutonnat及び1990年代のダンス・ミュージックからインスパイアされているらしく、そう言う意味では、正に「新世代」音楽ですね。なお、前作”Sea To Sea”と本作品をリリースしたレーベルRvng Intl.は、Visible Cloaks, Julia Holter, Holly Herndonらの傑作もリリースしている米国NYCのブルックリンの実験的音楽シーンを牽引する名門レーベルとのことです。調べても、これ位しか分かりませんでした(すまん!)。 と言う訳で、本作品”Hidden Beauty”についてご紹介します。内容は両面とも5曲ずつ収録されており、全て彼女が1人で作製しています。 ★A1 “Le Chat”は、浮遊感のある曲で、軽いビートに天使のようなVoとエコーの効いたシンセらしき音が秀逸です。 ★A2 “Amber”で、簡素な構成ながらも、使われる音色は厳選されており、そこにエコーの効いたウィスパーVoが浮遊しています ★A3 “Daybreak”では、シンセによる優しいミデイアム・ビートに乗って、これまたシンセによる装飾音とウィスパーVoが自在に漂います。 ★A4 “Aqua”では、水の音を模したシンセとキックによるビートに、柔らかなメロディと時にVoが入ってきます。 ★A5 “Clocks”は、キックとシーケンスに、ウィスパーVoが乗る曲で、Voは大きく包み込むようで、胎児の心音のようでもあります。 ★B1 “Zephyr”は、重厚ながら柔らかいポリシンセのリフに合わせて、簡素なシーケンスとウィスパーVoから成る小曲です。 ★B2 “Carte Blanche”は、「気配」の音からビートが始まり、少し東洋風な飛び跳ねるメロディとシーケンスが聴取できる曲です。音色はあくまでも優しいですね。 ★B3 “Dégel”は、ディレイの効いたリズムに、流れるようなシーケンスと天使のようなVoから成る曲で、そのVoの自由度は高く、曲構成も充分練られています。 ★B4 “Coco De Mer”は、バンブーサウンドによるリズムに合わせて、優しいメロディが聞こえてくる曲で、要所要所でウィスパーVoが聞こえてくるのが堪らないです。 ★B5 “Tambourine”では、低音パルスのようなリズムとシーケンスに、ギター?琴?らしき音や笛の音らしき音が重なって、そこに浮遊感のあるVoが入ってきます。 全体としては、アンビエントな雰囲気のテクノと言うかチル・ウェーブな音楽が詰まっていて、しかもビート感もそこそこあるので、本当に「天使の音楽」だと思いました。また、明確なメロディではなく、幾重にも重なった音からメロディらしき音が聞こえると言った構成で、一聴、複雑に聴こえますが、全然難解な音楽ではありません。彼女の声も楽器として用いられているようです。そんな彼女の「優しい」音楽を聴いてみて下さい❗️ B4 “Coco De Mer” https://youtu.be/L66_5ONuxUI?si=zSOgkC0JymjTtJhx [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lA2E6cs8dljqWFsObB5Obr_YPkqvYVkcM&si=WRmz-00uRtqLazND [BandcampのURLも貼っておきます] https://signlibrachannel.bandcamp.com/album/hidden-beauty #SighLibra #HiddenBeauty #RvngIntl. #Latvia #2ndAlbum #NewAge #Ambient #Electro #Experimental #AgataMelnikova #FemaleArtist
New Age / Electro Rvng Intl. 3850円Dr K2
-
The New Blockaders / Knurl “Trash Ritual”
金属ノイズと聞いて、直ぐに思い浮かぶ2組が、英国The New Blockaders (以下、TNBと表記)と加Knurl (ナールと読む)と言っても過言ではないでしょう。当然、両者のキャリアは全く異なりますし、TNBはそれこそノイズ・ミュージック黎明期から活動していますが、Knurlは、1990年代から国際ノイズ・シーンに登場してきました。しかしながら、Knurlは、始めた当初から、メタル・オブジェを演奏することに強く固執して活動しており、その実力は確かなものと思います。そんな2組が、最近、英国で一緒にライブを行ったことは知っていたのですが、まさか、録音までしていたとは!とちょっとビックリしました。それで、TNBのバイオグラフィーについては、今までにも記載しているので、今回はKnurlのバイオグラフィーについて少々書いてみたいと思います。Knurlというのは、加Ontario州トロントで活動しているAlan Bloorのソロノイズ・ユニットのことで、1994年から音楽活動を始めています。一貫して、スクラップ・メタルや自動車のスプリング、ノコギリの刃、その他の工場機器の廃棄物などのメタル・ジャンクを使ってのノイズ・ミュージックを作り続けており、そのインスピレーションの源は、Bloorが溶接工として働いていた経験からくるものです。そうして、彼は、そう言う音を、より速くより強靭にする為に、一度、メタル・ジャンクからオブジェを作り、そこにコンタクトマイクを仕込んで、エフェクターに繋いで、演奏するスタイルを確立しています。実は、Bloorはパートナーと共に1990年代に来日しており、その時のジャパン・ツアーに、私も帯同しているのですが、その時代には、演奏の終盤になると、トースターを「演奏」していました。また、彼は、フォーマットに捉われず、沢山の作品をリリースしていますので、興味のある方は、是非とも聴いてみて下さい。 それで、今回は、何かのフェスだと思ったのですが、Knurlが英国に渡り、同じメタル・ジャンク使いとして、コラボ・ライブを行ったのは、2022年に其々の音源を制作していたことの結果なのでしよう。そんな記録として、今回のスプリットLPと、その時のコラボ・ライブCDがリリースされたのだと思います。因みに、TNBは、Richard Rupenus (A1, A2, CD), Mark Durgan (A1, A2), Michael Gillham (A1, A2, CD)及びLee Stokoe (CD)が参加、一方、KnurlはAlan Bloor (B1-B4, CD)のソロでとなっています。と言う訳で、各曲を其々紹介していきましょう。 LPのA面は、TNBが、“Antimaschine”として2曲を収録しており、LPのB面はKnurlが4曲を収録しています。それでは、TNBからです。 ★A1 “Funktiönstorung (張り詰めた関数?関数張力?)”は、生々しい金属音を無慈悲にぶち撒けたような騒々しいノイズ・ミュージックであり、恐らく殆どエフェクトは使っていないと思われますが、精々、ディストーション位でしようか? しかも、外マイクでの録音のようで、コンタクトマイクも最小限ですね。マスタリングもバッチリですが、それが返って、直接、神経に刺さりますね。 ★A2 “Zusammenbruch (崩壊)”は、A1との境目が確認出来ず、ほぼA面で1曲と言う感じです。サブタイトルにも”Antimaschine”とありますから。 次はB面のKnurlの曲です。 ★B1 “Effect Of Concentration”は、如何にもKnurlらしい、メタル・オブジェの演奏で、コンタクトマイクとエフェクターを使い、地響きのようなサウンドスケープを表出しています。 ★B2 “A Discrete Point”も、B1とほぼ連続して始まり、土石流のようなノイズ・ミュージックを放射しており、この曲もKnurlらしいです。 ★B3 “Disturbance As A Variation”は、ややくぐもった音ですが、ミリ単位での音も聴取出来る「轟音にして繊細な」ノイズ曲となっています。 ★B4 “Lending Probability To A Belief”は、ハイパー・メタルなノイズ曲で、恐らくチェーンとかを使って演奏しているようで、展開がかなり速いですね。 ★最後は、TNB + Knurlのコラボ・ライブCDで、“Live At The Auxiliary, Middlesbrough, Feb. 2023”についてです(どうも、このCDは初回限定らしく、その為か、LPの方は、黒い外袋にデザインのジャケ写が貼り付けております)。内容は「凄まじい‼️」の一言ですね。生音に近いTNBとアンプ出力でエフェクト掛けたKnurlのメタル・ジャンク・ノイズの阿鼻叫喚地獄のようです。ハウりまくっても気にせず、両者が突き進んでいく様は、宛ら、メタル・ソリッド・ギアの如し。やはり、アプローチは違っても、進むべき道は一つと言うことでしようか?出来れば、爆音で聴きたい1枚です! 今まで、有りそうで無かった組合せなので、どんな感じかなあと半分心配していましたが、スプリットLPもコラボ・ライブCDも大満足です!Knurlももう30年選手なので、そんなことは杞憂に終わりました。もう轟音祭り、メタル・ジャンク祭りで、これは2023年でもベストな作品と考えましたよ。皆さんも早めに入手することをお勧めします❗️ LP A面: The New Blockaders “Antimaschine” A1 “Funktiönstorung” A2 “Zusammenbruch” LP B面: Knurl B1 “Effect Of Concentration” B2 “A Discrete Point” B3 “Disturbance As A Variation” B4 “Lending Probability To A Belief” CD: TNB + Knurl 1. “Live At The Auxiliary, Middlesbrough, Feb. 2023” *まだ、本作品の動画はYouTubeにアップされていないので、各グループ其々の動画を貼っておきます。 The New Blockaders “……” III from コンピ・アルバム“Concrete World Vol.2” https://youtu.be/DLQk1ca4Cto?si=3xDqAoF6rIizAtl- Knurl “Part 2” from CDR “Dichromatism” https://youtu.be/_wG3HNdSYuE?si=PPfMjiQI_BFo04EK #TheNewBlockaders #TNB #Knurl #TrashRitual #4iBRecords #SplitLP #CollaborationLiveCD #LiveAtTheAuxiliaryMiddlesbroughFeb2023 #UK #Canada #MetalJunks #MetalObjects #Noise #HarshNoise #RichardRupenus #MarkDurgan #MichaelGillham #LeeStokoe #AlanBloor
Noise / Experimental 4iB Records 5647円Dr K2
-
EYE “Honolulu/Saigon”
EYEって言っても、あの山塚さんではないです❗️こちらは本名Laurène Exposito (ローレン・エスボジート)言う仏人女性アーティストのことです。元々、Jean Primaultとのシンセ・ポップ・デュオPrismaとして、カセット・シングルを出してデビュー、その後、Jean PrimaultとのデュオでClaus Comediとして2017年と2019年にカセット作品を2作を、自身のレーベルWaving Hands Recordsからリリース。その前には、Micro Cheval名義で、Terror BirdとのスプリットLPを仏パリのレーベルSVN SNS Recordsから出しています。その後、2016年に蘭レーベルKnekelhuisからEYE名義で初のLP”Sabine”をリリースし、2019年にセカンド・アルバム”Metamujer”を同レーベルからリリース、本作品がEYEとしてのサード・アルバムで2023年11月では最新作となります。因みに、この蘭のレーベルは、有名DJのNina Kravizも注目しており、現行・再発関係無しに良質なシンセ・ポップやインダストリアルをリリースしているらしいです。Expositoのことを調べてもこの位しか分かりませんでした(すまん!)。まあ、そう言う訳で、本作品”Honolulu/Saigon”について、その内容を紹介したいと思います。今回も、彼女1人で、作曲・演奏・録音・ジャケのレイアウトをやっており、やっていないのは、マスタリングだけと言う家内手工業的作品になっていますが、彼女はクラブ・カルチャーを通過しているのが、今までの宅録女子とは違うところでしようか? しかも、シンセとリズムマシンとVoのみで、かなり無駄な音を削ぎ落としています。また、本作品は過去のカセット作品の曲も新曲も両方合わせての作りにもなっており、両面6曲ずつ収録されています。 ★A1 “Mata El Meta”は、軽快はリズムマシンとオルガン風の簡素なシンセ、それにこれまた簡素なベースラインに、コケティッシュな女性Voから成る曲です。 ★A2 “Ti Amo”も、エレクトーンのリズムマシンのようなリズムに直線的なシークエンスと可愛らしいVoから成る曲です。 ★A3 “Jeannette”も、簡素で軽めなバックに女性Voがノリノリで弾け気味な曲。歌詞は仏語かな?あと、シンセと言うよりオルガンっぽい音が如何にもな感じです。 ★A4 “Le Croquis De La Femme”は、リバーブの効いたリズムマシンに、素朴なシンセによるバックの演奏が、これまた効いているインスト曲です。 ★A5 “La Mort De La Maîtresse”でも、昔のエレクトーンみたいな演奏で、無駄が一切ありません。途中から出てくるシンセや呟くようなVoが、懐かしさすら想起させます。 ★A6 “Le Croquis De La Femme (demo)”は、ちょい良いリズムマシンに、やはり簡素極まりないシンセによる演奏から成るインスト曲です。デモ曲とは思えませんね。 ★B1 “Put Down”も、まるで簡素なエレクトーンの伴奏によるウィスパーVoによる弾き語りのような曲で、徹底しています。歌詞は英語のようです。 ★B2 “Carousel”は、ややアップテンポのボサノバ調のリズムのインスト曲で、これまたスカスカてキュートな電子音がキュートです。 ★B3 “AAM”は、ちょいとリズムマシンの録り方に凝っており、シンプルなシンセと語り調の仏語Voが印象的な曲です。途中のシンセの多層性はキュンときます! ★B4 “Bad Jazz”は、クチュクチュしたシンセのSEで始まり、出しゃばらないリズムマシンとオルガンっぽいシンセから成るインスト曲で、今時の高校生の方がもっと凝った曲を作れるのでは?と思わせる位、シンプルです。 ★B5 “Your Face Is A Picture”は、独特のベース・ラインに合わせて、ウィスパーVoが語り掛けてくれる曲です。リズムはアシッドテクノで、ちょっと異色です。 ★B6 “Fou De Toi”は、一転して元通りのエレクトーン演奏のような柔らかいインスト曲となり、アルバムを締めています。 総じて、余り構えて聴くような音楽ではなく、シンプルな演奏と浮いているような女性Voから成る、かなり贅肉を削ぎ落とした曲が収録されており、ある意味、Young Marble Giantsのようなスカスカな音楽です。ただ、このような音楽をアルバムとして聴かせる程の力量もあると思われ、何処までこの路線で行けるかは楽しみですね。また、そんなにシンセっぽい音を使わずに、どちらかと言うとオルガンとかエレクトーンのような素朴な音色に終始しているのも興味深いです。結構、中毒性のある音楽ですので、要注意です❗️まあ、アルバム・タイトルの意味は最後まで不明でしたが、、、。 B5 “Your Face Is A Picture” https://youtu.be/3OIJoNFr_FA?si=tXfjrP2fdaEgc40- [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_n2f0RO5mqYtq-4Os3bvcX6S3hLxVfB7Yw&si=7SvVougNXW3Qx9SK [BandcampのURLも貼っておきます] https://knekelhuis.bandcamp.com/album/honolulu-saigon #EYE #LaurèneExposito #Honolulu/Saigon #Knekelhuis #3RdAlbum #SoloUnit #ElectroPop #MinimalWave #Electone #Organ #Synthesizers #FemaleVocal #SimpleIsBest #Prisma #ClausComedi
Electro Pop / Chanson Knekelhuis 4180円Dr K2
-
Östro 430 “Punkrock Nach Hausfrauenart”
皆さんは、Östro 430 (発音は「エストロ・フィーア・ドライ・ヌル」かな?)と言うバンドを知っているだろうか? 何を隠そう、Neue Deutsche Welleの時代に現れた全員女性のパンキッシュなバンドなんです。それが、2023年になって、新譜を出したと言うことで、いつもお世話になっているSuezan Studio (小柳カヲルさん)が個人輸入した分から通販でポチりました。先ずは、このバンドのバイオグラフィーを書いておきます。Östro 430は、1979年に、独Düsseldorfで、Martina Weith (Vo, Sax), Bettina Flörchinger (Kbd), Marita Welling (Drs), Monika Kellermann (B)の4人によって結成された全員女性のパンク・バンドです。1980年にMonika Kellermannが脱退して、代わりにOlivia Casali (B)が加入し、1980年5月3日に、Neuss郡のクラブOkie Dokieで、パンク・ファンジンSchmierがが主催したフェスに出演しており、それが縁で、彼女らは、バンドVorgruppeと国内ツアーを行っています。また、同年には、コンピ・アルバムLP”Schallmauer-Sampler”にÖstro 430の3曲が収録され、翌年1981年には、Östro 430の8曲入りEP”Durch Dick & Dünn”がレーベルSchallmauerからリリースされます。この時のメンバーは、Proll-BuhことMartina Weith (Vo, Kazoo), Bettina Flörchinger (Kbd), Marita Welling (Drs, G, Vo), J.J.ことOlivia Casali (B, Vo)とクレジットされています。このEPのリリース後に、Marita WellingとOlivia Casaliが脱退し、代わりに、Gisela Hottenroth (B), Birgit Köster (Drs)が加入します。そうして、1983年に、ファースト・アルバム”Weiber Wie Wir”をリリースしますが、このアルバム制作前に、それまでメンバーだったRalf Küpping (G)は脱退し、残りの4人で完成させています。しかしながら、小さな自主制作であったレーベルもこのアルバムをリリースした後に消滅しています。それで、1984年5月25日に、DüsseldorfのFreizeitstätte Garathで最後のコンサートを行い、バンドは解散してしまいます。ただ、1999年5月28日に、DüsseldorfのクラブTor 3で、1回だけリユニオン・コンサートを行っています。その後、2020年に、Östro 430のスタジオ録音ベスト盤”Keine Krise Kann Mich Schocken (Die Kompletten Studioaufnahmen 1981 - 1983)”が、独Tapete Recordsからリリースされ、再評価が高まってきます。そうして、翌年2021年8月に、Östro 430はハンブルクで再結成コンサートをやり、2023年には、本作品でもある新作アルバム”Punkrock Nach Hausfrauenart”をリリースして、復活しています。再結成時のÖstro 430は、Martina Weith (Vo, Sax), Bettina Flörchinger (Kbd, Synth), Anja Petrerssen (Vo, B), Sandy Black (Drs)と言うメンバーになっています。 大体のÖstro 430の流れはこのようになります。それでは、2023年時点での最新作アルバム”Punkrock Nach Hausfrauenart”の内容を紹介していきましょう。本作品には、Östro 430のメンバーとして、Martina Weith (Vo, Sax, Accordion), Anja Petrerssen (Vo, B), Bettina Flörchinger (Kbd, Synth), Sandy Black (Drs)が参加しており、その他にもStoppok (Banjo, Choir, Voice), Bela B. (Choir, Voice), Annette Grotkasten (Choir, Back-Vo), Kai (Choir, Back-Vo), Marki (Choir, Back-Vo)がゲストで参加しています。 ★A1 “Alte Männer”は、吐き捨てるような独語VoとSaxから成るアップテンポなパンキッシュな曲です。最後のコーラスがまた良い! ★A2 “Klugscheisser”は、ややポップ調で、シンセのリフとサビのコーラスも効いてますね。また、エレピを使っているのも、如何にもÖstro 430っぽい! ★A3 “Bleib Hier”は、ややダークな曲調ですが、サビでのVoで一気にそんな雰囲気が吹っ飛びます。そんな元気一杯の曲! ★A4 “Fick Das System”は、アップテンポで、Voもかなりバンキッシュの曲ですが、ピロピロしたシンセが独特のユーモアを醸し出し、またコーラスもグー! ★A5 “Kiribati”は、何やら雰囲気のある曲ですが、アコーディオンやSaxがブルージーに効いてますね。サビのコーラスが耳に残ります。 ★B1 “Dein Hintern”は、やや重めのベースに導かれて、ドコドコしたDrsと独語Voが印象的です。間奏のシンセもグーです。 ★B2 “Wörterpolizei”は、タイトでアップテンポな曲でカッコ良い曲です。サビでのエレピが懐かしい! ★B3 “Gegen Den Strom”は、アコーディオンとシンセで始まるワルツ調の曲で、何処となく悲しげですが、Voは堂々としています。 ★B4 “Lass Los”は、またゴリゴリしたベースで始まるアップテンポな曲で、イントロ等でのSaxがグーです。 ★B5 “Giftig”も、ポップで跳ねるような曲ですが、何だかスパイ映画に出てくるサントラのような雰囲気もします。 ★B6 “Lahmarschfête”は、鼻歌で始まるものの、アップテンポな怒涛の曲で、ひたすらカッコ良いです。 Weichの独語歌詞のVoが、昔から変わらず、パンキッシュかつ朗々と歌っているのが、嬉しい限りです。彼女達の変わらないモチベーションの高さが分かります。ギターレスのバンドなのに、パンクであることを続けている最強のバンドです❗️ また、どの曲も良く出来ていますので、NDWファンのみならず、全てのリスナーさんに聴いて欲しいアルバムです!Let’s Listen‼️ 因みに、バンド名Östro 430は、女性ホルモンのエストロゲンとDüsseldorfの番地から取ったとの噂です。 [A4 “Fick Das System” live version] https://youtu.be/YiT0Vmt5aVM?si=WQ-CnaCZWe9gsezP [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nuvx3qs-5-R1NK86CQrIEtiUzkIeXog_4&si=mUd6vh5BOPM0Vu-8 #Östro430 #PunkrockNachHausfrauenart #TapeteRecords #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Punk #FemaleBand #3rdAlbum #MartinaWeith #AnjaPetrerssen #BettinaFlörchinger #SandyBlack
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Punk Rock Tapete Records 4290円Dr K2
-
V.A. “Silberland Vol 2: The Driving Side Of Kosmische Musik (1974-1984)”
またまた、やってくれました!良質なジャーマン・ロックのアルバムを再発し、継承を手助けしてくれる独レーベルBureau Bが、Silberlandシリーズの第2段として、1974年〜1984年と言う括りで、”Kosmische Musik (Cosmic Music)”のコンピ・アルバムを2枚組のヴォリュームでドーンっと出してくれました(因みに第1弾は”Psychedelik Musikのコンピでした)。これらの曲をコンパイルしたのは、Gunther Buskies氏で、クラウトロックからNDWまで結構、幅広く集めたのではないでしょうか!それでは、各アーティストと各曲について簡単に紹介していきましょう。 【LP1】 ★A1 Harald Grosskopfは、WallensteinやAshra或いはKlaus SchulzeのソロアルバムでDrsを担当しており、1981年〜1983年にはNDWバンドLilli Berlinでも活動している人物で、一方でソロ活動もしており、ファーストソロアルバム”Synthesist”では大々的に電子音楽をやっています。ここでは、1986年作セカンド・ソロアルバム”Oceanheart”からの曲“Eve On The Hill (抜粋)”で、四つ打ちキックにシーケンスと伸びやかなシンセ・メロで、英国ニューウェーブっぽくにも聴こえる。余り独っぽくはないかな? ★A2 Clusterはマルチ奏者Dieter MoebiusとHans-Joachim Roedeliusのデュオで、1971年、Berlinで結成されていますが、シンセポップとアンビエントの両方の源流とされている最重要バンドです。ここでは、1979年作のアルバム”Grosses Wasser”からの曲“Prothese”で、ヘンテコなシーケンスとDrsの同期演奏にGや奇声のような合いの手Voからなります。 ★A3 Conrad Schnitzlerも、ご存知、独逸音楽界の切っての奇人変人で、多作家としても知られ、またカセット・コンサートでも有名です。ここでは、メジャーレーベルRCAが1980年に出した12インチEP “Auf Dem Schwarzen Kanal”からの曲“Elektroklang”で、彼らしいミニマルなシーケンスとマシンリズムに変調Voが語りのように乗っかり、時にシンセSEが挿入されています。遊び心に溢れています。 ★A4 Youは電子音楽を目指して、1977年にUdo Hanten (Synth)とUli Weber (G)で結成されたデュオで、別名Yourovisionとも呼ばれます。その後、Albin Meskes (Synth)が加入し、最終的にはHagenとMeskesのデュオになりました。また、アルバムには先述のHarald GrosskopfがDrsでも参加しています。ここでは1980年作のファーストアルバム”Electric Day”からの曲“Son A True Star (抜粋)”で、中々アップテンポでミニマルなシーケンスに多層化する泣きのシンセから成ります。ドラムは生Drsかな? ★A5 Thomas Dingerは、お馴染みKlaus Dingerの弟で、Neu!やLa Düsseldorfに在籍していますが、ソロアルバムは”Für Mich”だけです。ここでもそのアルバムからの曲“Für Dich (抜粋)”で、お馴染みのNeu!等直系のハンマービートに簡素なシーケンスとシンセと言う多幸感に溢れたトラックですが、彼は49歳で夭折しているんですよね(何か運命の悪戯っぽい?)。 ★B1 Asmus Tietchensは独音楽界の生き証人で、1965年からシンセとテープループで実験音楽を始め、1980年代初頭には、エレクトロ似非ポップをアルバムを出し、またその後は、音響系、アンビエント、インダストリアル、ミュージック・コンクレート等のあらゆる実験音楽作品を出しています。ここでは1982年作”Spät-Europa”からの曲“Bockwurst Á La Maîtresse”で、マシンリズムにフランジャーを効かせたシンセから成り、やや不穏な雰囲気です。所謂、似非シンセ・ポップ! ★B2 Moebius, Plank, Neumeierも、Clusterのシンセ奏者Dieter Moebius、Guru GuruのドラマーMani Neumeier、独音楽界の稀代のプロデューサーConny Plankによる大傑作アルバム”Zero Set”からの曲“Search Zero (抜粋)”で、タイトな生Drsや打楽器を中心に、SE的なシンセやGなどの音が入り、不明瞭なメロディも聴取できます。また少しダブ的ミックスも!音の録音はPlank色が強いです。 ★B3 Heiko Maileは豪州生まれの独逸人ミュージシャン/映像作家で、1983年にはシンセポップバンドCamouflageを結成していますが、ソロ活動も行っています。ここでは、未発表曲のセルフ・コンピ・アルバム”Demo Tapes 1984-86”からの曲“Beat For Ikutaro (Tape 52) (抜粋)”で、これまた宅録的シンセ・ウェーブっぽいです。簡素なリズムマシンに線の細いシーケンスとSE的シンセ音です。 ★B4 Lapreは1983年に、Peter Preuß (G)とRudolf Langer (Synth)によって結成されたデュオで、独地下音楽界で活動し、1984年に2本のカセット作品(”Flokati”と”Tedan”)を残しています。ここでは、カセット作品”Flokati”からの曲“Flokati”で、こちらも宅録っぽい感じで、低音はBなのかな?ちょっとメジャー寄りなメロディと言うか弾きまくってます。勿論、リズムマシンとシーケンスはミニマルですが。 ★B5 Adelbert Von DeyenはBerlin Schoolのエレクトロ・ポップミュージックとPink Floydの音楽、両方に影響を受けて、1970年代にDieter Schützとのセッションを繰り広げてきたBerlin在住のミュージシャンで、ファーストアルバム”Sternzeit"を1978年にSky Recordsから出しています。ここでは、1980年作のサード・アルバム”Atmosphere”からの曲“Time Machine”で、結構、アップテンポで、ミニマルなベースライン及び生ドラムと朗々としたシンセとの対比が面白いです。 【LP2】 ★C1 Günter Schickertは、1962年にトランペットを学び、その後、1967年にギターに転向、1971年にはフリージャズをやり始め、1973年にエコーギターのセッションをやり、1976年にAxel StruckとMichael LeskeとでGAMを結成。ここでは、1979年にSky Recordsより出したファーストソロアルバム”Überfällig”からの曲“Puls (抜粋)”で、Gをドラムマシンに合わせてミニマルに弾いており、時にスネアが入ったり、テープ音やリードGが入ったりで、ちょっと異色ですね。 ★C2 Faustはもう何も言うことはない程、有名ですが、ここでは、Giorgio Moroderのスタジオで1974年に録音した未発表曲を集めたアルバム”Punkt.”に収録されている曲“Juggernaut”で、これも異色曲で、GとDrsとBのジャムセッションから成ります。パックで唸るようなシンセ音がKosmische Musikなのかな? ★C3 Moebius & PlankもClusterのDieter Moebiusと名将Conny Plankががっしり組んで、1980年にSky Recordsより出たアルバム”Rastakraut Pasta”からの曲“Feedback 66 (抜粋)”で、Gのやや重いリフとミニマルな生Drsから成り、そこにシンセ?G?のメロディが挿入されて、薄らヴォイスも!? ★C4 Roedeliusも超有名なアンビエントの源流とも言われるClusterの片割れです。ここでは、Farfisa製オルガンとRevox-A77 テープエコー、それに借り物のシンセ1台だけで録音した曲“Band 068 3 Bock Auf Rock (Nicht Verwendetes Stück)”で、リズムマシンにエレピ〜チェンバロ的シンセの禁欲的なミニマルな演奏から成ります。 ★C5 Serge Blennerは仏生まれで、作曲とハーモニーをMulhouse音楽院で学び、1975年に独に移住、多くの作品を残しています。ここでは、1981年作の彼のセカンドアルバム”Magazin Frivole”からの曲“Phonique”で、再び、力強いマシンリズムに上下するシーケンスと明瞭でメロディアスなシンセがイかすシンセ・ウェーブ的音楽です。 ★D1 Moebius & Beerbohm。ClusterのDieter Moebiusとベース奏者のGerd Beerbohmのコラボ作品は2つ(“Strange Music”と”Double Cut”)ありますが、ここでは1982年作のファースト・コラボアルバム”Strange Music”からの曲 “Subito”で、いきなり生Drsの強烈なビートとシンセ音で始まり、弾けています。簡素なBのリフも聴こえます。 ★D2 Tyndallは先述のLapreの片割れRudolf LangerがJürgen Krehanと1980年から始めたデュオで、当時は典型的な電子音楽と言う認識で、4枚のアルバムを残しています。ここでは、1980年作ファースト・アルバム”Sonnenlicht”からの曲“Wolkenlos (抜粋)”で、またまたアップテンポな宅録シンセウェーブ風な曲です。ベース・シーケンスとマシンリズムに、大胆で美しいシンセ音がオーロラのように被っています。 ★D3 Pyrolatorもご存知だと思いますが、本名Kurt Dahlkeで、Der Planの頭脳にしてシンセ奏者で、ソロアルバムもコンスタントに出しています。ここでは、1981年作セカンド・ソロアルバム”Ausland”からの曲“180°”で、如何にもPyrolator的なユーモアに満ちたマシンリズムとシーケンスとシンセのリフから成るアップテンポな曲です。また女性の喘ぎ声入りです。 ★D4 Die Parteiは、The WirtschaftswunderやSiluetes 61で活躍しているNDW界の奇人変人Tom Dokoupilと画家/写真家/サウンドアーティストのWalter Dahnのデュオで、ここでは、1981年作の唯一のアルバム”La Freiheit Des Geistes”からの曲“Guten Morgen In Köln”で、リズムマシンとベース・シーケンスとGからなりますが、そのバックではかなり無茶なオルガンも聴取できます。実はミニマルですね。 ★D5 Deutsche Wertarbeitは、1970年代から活動している独プログレ・バンドStreetmarkの女性シンセ奏者/Kbd奏者のDorothea Raukesのソロユニットで、ここでは、1981年にSky Recordsより出た唯一のアルバム”Deutsche Wertarbeit”からの曲“Auf Engelsflügeln (抜粋)”で、心地よいシーケンスと包み込む分厚いシンセ音に、リズムマシン音が加わっていき、やがてピアノの調べや合唱(?)も! 聴き通してみて、個人的には、面白かったのですが、レーベル側が意図した”Kosmische Musik”への架け橋になっているか?と言うと、ちょっと違うんじゃないかな?とも思えました。確かに、電子音楽系クラウトロックからNDWまでカバーしていますが、そのミッシングリングとなるkey groupは余りはっきりしていないようです。しかしながら、この時期の独の音楽シーンを俯瞰できたと言う意味では大変面白かったです❗️なので、プログレとかニューウェーブとかのジャンル分け関係無しに、シンセとかによる電子音楽の成り立ちに興味がある方は是非一聴してみて下さい‼️楽しめると思いますよー。 LP1: A1 Harald Grosskopf “Eve On The Hill (抜粋)” A2 Cluster “Prothese” A3 Conrad Schnitzler “Elektroklang” A4 You “Son A True Star (抜粋)” A5 Thomas Dinger “Für Dich (抜粋)” B1 Asmus Tietchens “Bockwurst Á La Maîtresse” B2 Moebius, Plank, Neumeier “Search Zero (抜粋)” B3 Heiko Maile “Beat For Ikutaro (Tape 52) (抜粋)” B4 Lapre “Flokati” B5 Adelbert Von Deyen “Time Machine” LP2: C1 Günter Schickert “Puls (抜粋)” C2 Faust “Juggernaut” C3 Moebius & Plank “Feedback 66 (抜粋)” C4 Roedelius “Band 068 3 Bock Auf Rock (Nicht Verwendetes Stück)” C5 Serge Blenner “Phonique” D1 Moebius & Birthday “Subito” D2 Tyndall “Wolkenlos (抜粋)” D3 Pyrolator “180°” D4 Die Partei “Guten Morgen In Köln” D5 Deutsche Wertarbeit “Auf Engelsflügeln (抜粋) LP2: D2 Tyndall “Wolkenlos (抜粋)” https://youtu.be/lvg8SG7Dwm0?si=I4GN2uGBHHXp-UUL [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kaYxQSGAS-rEFQtHmQrMggph75CjOIW_I&si=oukTyY_DMngcouPc #VariousArtists #SilberlandVol.2 #TheDrivingSideOfKosmischeMusik #1974-1984 #German #Krautrock #NeueDeutscheWelle #Electronic #CosmicMusic #HaraldGrosskopf #Cluster #ConradSchnitzler #You #ThomasDinger #AsmusTietchens #MoebiusPlankNeumeier #HeikoMaile #Lapre #AdelbertVonDeyen #GünterSchickert #Faust #Moebius&Plank #Roedelius #SergeBlenner #Moebius&Beerbohm #Tyndall #Pyrolator #DiePartei #DeutscheWertarbeit
Krautrock, Electronic, Experimental Bureau B 4298円Dr K2
-
Merzbow “Cloud Cock 00 Grand”
Merzbow、誰もが知る「ノイズ・ミュージック」の先駆者、秋田昌美氏のノイズ・プロジェクトであります。今までも、紹介してきましたが、今回は、自身のレーベルからの初のCDとしてリリースされた”Cloud Cock 00 Grand”のレコードでの再発盤(2LPs)を紹介したいと思います。ここで、個人的なことを言わせてもらうと、1990年代のチープ・エレクトロニクスで爆音ハーシュ・ノイズを量産していた頃も良いのですが、やはり、私はそれ以前の何か分からない/得体の知れない音をひたすら紡いでいた頃の音楽(=ノイズ・ミュージック)が大好きです。その意味で、今回、取り上げた”Cloud Cock 00 Grand”は元のCDが1990年作と言うこともあって、丁度、過渡期で面白いのでは?と思い、購入しました。元のCDとは、曲順が若干違っています。それと、これのオリジナルの作品では、初めてマスターにDATを使ったとのことです。既に、この作品の前に、50枚組CDボックス”Merzbox”にて、一度リマスターはされているのですが、それとは別に、2021年に秋田氏によってリマスターされています。バイオグラフィーは以前に書いたものを参考にして下さい。 では、本作品”Cloud Cock 00 Grand”の最新リマスター盤を紹介してみたいと思います。 A “Brain Forest For Metal Acoustic Concrete”は、1990年1月9日に録音され、同年4月17にミックスされた曲で、正しく、初期のアッセンブラージュ的な具体音やアコースティックな楽器音の組合せとカットアップ的手法や逆回転などのスタジオ・テクニックをフルに活かした予測不可能な音楽となっています。 B “Spinnozaamen”は、1989年10月23日と12月8日に録音され、1990年4月17日にミックスされた曲で、捻れるような音(ノイズ)や電子音(多分、フィードバック音?)とカットアップの手法やテープ操作が施されたメリハリのある音楽になっています。A面よりもややハーシュな要素を感じますが、最後に「環境楽器」の音で、この曲を締めますね。 C1 “Autopussy Go No Go”は、1989年10月19日に録音され、1990年4月17日にミックスされた曲で、忙しないノイズのOn/Offから成るループと宇宙へ飛び出しそうな音/ノイズとドラムのキック音も僅かに聴こえてきます。しかし、秋田氏の言語感覚は冴えていますね(Autopsy「病理解剖」とPussy「女性器」を合体させるだなんて!)。 C2 “Postfix”は、1988年12月14日に録音され、1990年4月17日にミックスされた曲ですが、オリジナルには、これと対になる”Modular”なる曲が収められていました。この曲もアコースティックな「環境楽器」やグニャグニャのテープ音の残涙やエフェクターの発振音などが、ランダムにミックスされており、位置によってはシンセらしき音も聴き取れます。 D “Spinnozaamen (Another Mix)”は1989年10月23日と12月8日に録音され、2019年にミックスし直された曲(ヴァージョン)で、B面とはまた異なった感触の仕上がりになっています。確かに、ガタガタとしたカットアップ的なミックスやフィードバック音と思われる電子音やFound Metalsの音等も聴取され、過剰な情報量のノイズ断片が複雑にミックスされています。 いやはや、たっぷり堪能しました❗️特に、この時期に特徴的なアコースティックな音の電子的に処理された音とが突拍子も無く繋げられており、その構造の複雑さと「音楽」としての体裁がしっかり感じられるところが、やはり良いですね!なので、ハーシュ・ノイズを放出するMerzbowしか知らない方は、是非ともこの時期の録音物を聴くことをお勧めします‼️しかも、演奏・録音・ミックス・マスタリングを秋田氏一人でやっているところにも注目して欲しいですね。 [Merzbow boiler room live Tokyo] https://youtu.be/fR_8gpJCT4I?si=1wtD_QcdLFx8b5Nh [original full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nmDUaYKHgc4Arxs9cV0UTui5esufva6-g&si=NDCb0V5PJFzizRoR #Merzbow #CloudCock00Grand #Urashima #ZSFProdukt #Reissue #Remastering #LimitedEditions #299部 #DoubleLPs #FirstCD #Noise #Experimental #Assemblage #CutUp #EnvironmentalInstruments #TapeManipulation #Electro-Acoustic #Japanoise #MasamiAkita
Noise / Experimental / Collage Urashima (ZSF Produkt) 3366円Dr K2
-
The Vacant Lots “Interiors”
これは、謎物件ですねー。The Vacant Lotsの2023年現在での最新作が、このミニアルバム”Interiors”です。謎なので、ちょっと調べてみました。メンバーは、Jared ArtaudとBrian MacFadyenのデュオで、どうも米国のエレクトロ・ポスト・パンクとされているようです。もう少し詳しく書くと、The Vacant Lotsは、先述の2人によって、米国Vermont州のBurlingtonで結成されており、現在はNYCで活動しています。彼等は、しばしば、Minimalist, Rock’n’Roll, サイケ, パンクとかと言う言葉で評されることが多いようで、彼等自身も「ミニマルとは最大限の効果だ!」と言う美学に基づいて活動しており、そのサウンドには、ネイティブ・アメリカンのドラミング、インドのタンプーラ、初期のロックンロール、The Gun ClubやTelevisionからの影響も伺われるようです。2010年に、2人は、有名な英国のサイケ・バンドSpacemen 3/EARのSonic BoomことPeter Kemberの誘いで、KemberのバンドSpectrumの米国ツアーに参加、翌年2011年には、The Vacant Lotsは、Mexican Summerと契約し、彼等のファースト・シングル"Confusion" b/w "Cadillac”をリリースしています。その翌年、The Vacant Lotsは、Austin Psych Fest 4に招聘され、2011年夏には、NYCのThe Bell Houseで開催されたDean Wareham Plays Galaxie 500 Songsで、Warehamのサポートを行っています。2012年には、再び、Austin Psych Fest 5でプレイし、The Reverberation Appreciation Societyと契約し、セカンド・シングル"High And Low" b/w "Let Me Out”をリリースしています。2013年1月には、The Growlersとツアーを行い、2月には、サード・シングル”6 AM”を英国Sonic Cathedral Recordsからリリースしています。そうして、2013年10月には、彼等は、Alan Vega (Suicide)の曲"No More Christmas Blues"をカバーしたトラックを、Cleopatra Recordsがリリースしたコンピ・アルバム”Psych-Out Christmas”に収録しています。2014年2月に、メンバーのJared Artaudは”Empty Space”と言う詩集も出版。同年夏に、The Vacant Lotsはデビュー・アルバムを出すことを宣言しており、同年7月1日に、デビュー・アルバム”Departure”を英国Sonic Cathedralよりリリースしています。このアルバムはSonic Boomがミックスとマスタリングを行っています。同年5月21日には、The Vacant LotsとAlan Vegaは、Fuzz Club Recordsより、スプリット10㌅を出しています。更に、同年6月〜7月に、彼等は、The Brian Jonestown Massacreと英国ツアーを行い、9月には、彼等のシングル集とリミックスをコンパイルした10㌅レコード”Arrival”をスペインのAyo Silver!からリリースしています。同年9月22日には、サード・シングル”Paint This City”をSonic Cathedralからリリース。その後、2015年3月15日にNYCのWebster Hallで行われたSuicideのライブで、彼等はサポート・アクトをしています。また、この年に欧州ツアーも敢行、この時に、The Brian Jonestown MassacreのAnton NewcombeとコラボEP”Berlin”も作製、2016年11月にリリースしています。2017年4月21日には、彼等のセカンド・アルバム”Endless Night”をMetropolis Recordsからリリースしており、最後の曲”Suicide Note”ではAlan VegaがVoで参加しています。2019年8月には、彼等は、Anton Newcombeと共に、セカンドEP”Exit”をリリース、その中のシングル曲”Bells”は英国Vinylシングルチャートトップ40で9位になっています。そうして、2020年6月26日に、サード・アルバム”Interzone”か英国Fuzz Clubからリリースされ、ダンスとサイケの融合と評されました。彼等は、このアルバムで、スイスのデザイナーIvan Liechtiによるアートワークを取り入れています。2020年10月16日に、Fuzz Clubは、The Vacant Lotsの”Departure”のリミックスをリリース、同月30日にはA Recordingsは”Berlin”と”Exit”を含むダブル・アルバム”Damage Control”をリリースしています。2021年には、Jared Artaudは、亡くなったAlan Vegaのアルバム”Mutator”を共同プロデュースやミックスを行っています。2022年9月30日に、The Vacant Lotsは、4枚目のアルバム”Closure”を、Fuzz Clubよりリリースし、そこからのシングル”Thank You”と"Consolation Prize"は、BBC6でのIggy Popの秘密ラジオ番組でもオンエアされています。その頃、彼等はサイケバンドThe Black Angelsとの北米ツアーをサポートしており、The Jesus and Mary Chainの公式アフターパーティーであるLevitationフェスでも演奏しています。 とまあ、これがThe Vacant Lotsの活動のあらましになりますが、一応、メンバーと担当を書いておきますと、Jared Artaud (Vo, G, B, Synth, Produce, Mix, Song Writing)とBrian MacFadyen (Electronics, Drs, Vo, B, Synth, Produce, Mix, Song Writing)のデュオです。今回のミニ・アルバム”Interiors”も、Fuzz Clubからリリースされていますが、12㌅EPで45回転となっています。それでは、本作品の各曲を紹介していきます。 A1 “Amnesia”は、いきなりカッコ良いコード進行のシンセと強力なビートで始まり、やや憂いの帯びたArtaudのVoが心地良い曲です。 A2 “Paradise”は、シンセのパルス音的なコードで始まり、この後MacFadyenのVoが乗ってきますが、1980年代のファンカラティーナっぽい曲となっています。 A3 “Ashes”では、強力なマシンリズムが全面に出ており、ダンサブルにアレンジされています。Voは、MacFadyenで、最後のギターソロもカッコ良いです。 A4 “Evacuation”は、何処となくThe Jesus & Mary Chainを想起させるような曲で、VoはArtaudです。 B1 “Destruction”は、これまたしっとりしたドリーミーな曲で、MacFadyenのVoもぴったりです。 B2 “Scars”では、また強力なリズムとギターで始まり、シンセもバックを固めますが、ギターが結構前面に出ていますね。ここから残りはArtaudがVoです。 B3 “Endgame”は、何処となくドリーミーな時のSuicide調の曲ですが、マシンリズムはダンサブルです。シンセのリフがカッコ良い! B4 “Damaged Goods”は、緩やかなシンセで始まる、ややスローな曲ですが、ギターのリフがサイケっぽいです。 こうして聴いてみると、確かに、ベース・ラインとかはミニマルなんですが、アレンジが凝っている為か、それ程、反復しているようには聴こえません。確かに、SuicideやThe Jesus & Mary Chainっぽい曲もあるのですが、彼等は彼等成りのミニマルでサイケな曲を作っているのだと確信しました❗️先達の音に捉われない現代的な音作りをしているように思います。なので、上記のパンドが好きで有れば、一度聴いてみる価値はありますよ‼️ここら辺は、欧州のシンセ・ウェーブとかとは決定的に違いますね。そこもまた興味深いです! [PV “Paint This City”] https://youtu.be/-UlBPQbw8Kg?si=X0aa2xAVRBsnBGHY [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_l9NpzJmcgCC0Ymq9tz_TF80MiskNJgLIw&si=3r2Fsfao1pp1fagZ [BandcampのURLも貼っておきます] https://thevacantlots.bandcamp.com/album/interiors #TheVacantLots #Interiors #FuzzClubRecords #5ThAlbum #PostPunk #Electronic #Psychedelic #AlanVega #Suicide #ElectroPunk #Minimal #TheBrianJonestownMassacre #AntonNewcombe #IggyPop #TheJesus&MaryChain #TheBlackAngels #JaredArtaud #BrianMacFadyen
Post Punk / Electronic Fuzz Club Records 3410円Dr K2
-
Onyon “Last Days On Earth”
これは何で購入したのか?良く分からないですが、多分、ちょっと視聴して気に入ったから購入したのでしょう。ただリリースされたばかりで、Discogsにも載っていないと言う有り様で、調べるのにちょっと苦労しました。と言う訳で、独LeipzigのポストパンクバンドOnyonのファースト・フル・アルバム”Last Day On Earth”をご紹介します。と言っても、良く分からないと思いますので、ちょっと調べてみました。この作品の前に、1本のカセットEP作品”Onyon”を、独のレーベルU-Bac & Flennenより2022年1月に出しているのですが、これが大当たりして、米国Trouble In Mind Recordsからの米国版を同年6月に、このカセットをリイシューし、そうして、今回のファースト・アルバムのリリースに至ったらしいです。結成の経緯とは不明ですが、メンバーは、Florian Schmidt (B, Harmonica, Vo), Mario Pongratz (Drs, Vo), Maria Untheim (Kbd, Vo, Tambourine), Ilka Kellner (G, Vo)で、4ピース・バンドです。前作では、1980年代のミニマル・シンセ・サウンドと1960年代のガレージ・サウンドとが融合したようなサウンドで、Devo, Kleenex/Liliput, X-Ray Spexからの流れとThe IndexやThe Seedsからの影響も感じられ、また同時に、現行のバンドThe StachesやThe Cosmetics等ともリンクしているようです(ここら辺については知識なしです)。Voは、元々はKellnerとUntheimとかシェアーしており、独逸語と英語半々の歌詞だったそうです。この位しか調べられませんでした(すまん!)。 それでは、Onyonのファースト・アルバム”Last Day On Earth”を紹介していきますね。両面とも6曲づつ収録されています。 A1 “Alien Alien”は、しっかりしたビートを刻むリズム隊とオルガンっぽいKbdが効いていて、かつGも変な音色/フレーズですが、ツボを押さえています。UntheimのVoもキッチュで良い! A2 “Talking Worms”も、皆、ちゃんと演奏しているのですが、突然テンポが変わったり、またGがヘナヘナなフレーズを弾いたりします。Voの多重録音も良い! A3 “Egg Machine”は、決して上手くは無い演奏ですが、ちょいドスの効いた女性Voもカッコ良い。コーラス(男)やハーモニカもグー! A4 “Goldie”は、レトロな雰囲気の曲で、大々的にKbdがフィーチャーされており、独逸語の歌詞です。 A5 “Two Faces”は、パンキッシュな曲ですが、躓くようなブレイクが入り、Bの変なフレーズで繋いでいきます。 A6 “Dogman”もファズGで、パンキッシュと言うかガレージですね。サビから入るKbdがグッと来ます!この曲も独逸語の歌詞ですね。 B1 “Blue Lagoon”は、やや重めのリズムで、Voの多重録音が効いてますが、サビでのGの崩しが面白いです。 B2 “Yahtzee”は、チューニングの狂ったようなGのカッティングで始まり、途中で出てくるシンセが効果的です。 B3 “Invisible Spook”は、KbdとGで始まるガレージな曲ですが、Voとコーラスの組合せがやはり良いです。 B4 “I Would Like To Eat The Newspaper”は、Drsで引っ張っていくような展開で、それにKbdが入るのが怪しげでグーです。しかし、Gのフレーズは相変わらず変! B5 “O.U.T.”は、またまたガレージ色の強い曲で、Percも入っていますが、何だかやっぱりG、どころかBも変なアレンジになっています。 B6 “Mower”でも、ヘンテコなGに合わせるように、KbdやBやDrsが頑張っています。まあ、上手くはないんですが、そこがまた痺れます! これは、とんでもないバンドだと思いました❗️まあDevoと言うよりもKleenex辺りに、パンクやガレージの粉末を振り掛けたような音楽なんですが、とにかく、Gのアレンジと言うか音色もフレーズもヘンテコです!確かに、バンド・サウンドとしては、各人、そんなに上手くはないですが、それでもリズム隊やKbdはちゃんと曲の土台を演奏しています。が、しかし、ギターはやっぱりヘンテコです。なので、中毒性のある音楽ですよ、これは❗️これは、是非ともライブを観てみたいですね!でも、思ってた以上に、メインVoはUntheimなんですね。それに殆どの曲が英詞でした。そこら辺はちょい残念。 B5 “O.U.T.” [session take] https://youtu.be/S18bFXBuVS0?si=iGDgPjarrFkHFyHk [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lFCZ6OM_u3eskNHmPDITbiP7rsY97nlZ0&si=1S79dJVJdNT-fEjv [BandcampのURLも貼っておきます] https://onyon.bandcamp.com/album/last-days-on-earth-2 #Onyon #LastDayOnEarth #TroubleInMindRecords #FirstAlbum #Germany #PostPunk #Garage #Organ #Herky-JerkySound #FemaleVocals #FlorianSchmidt #MarioPongratz #MariaUntheim #IlkaKellner
Post Punk / Electronic Trouble In Mind Records 3520円Dr K2
-
Wolf Eyes “Dreams In Splattered Lines”
久しぶりに、Wolf Eyesのアルバムをご紹介しましょう!モノは、彼等の2023年現在の新譜“Dreams In Splattered Lines”です。Wolf Eyesはもう多量の作品が出ていますので、何枚目のアルバムかは不明です。それで、彼等のバイオグラフィーについては、既に書いてあると思いますので、そちらを参考にして下さい。現在のメンバーはNate Young (Vo, 自作electronics, Drum-Synth, Harmonica, Sequential Circuit Pro-One)とJohn Olson (改造リード楽器, Feedback Electronics, Synth [ARP Odyssey]) で、OlsonはAmerican Tapesを運営しており、何百作品も実験的音楽等をリリースしています。今回のアルバムは、Wolf EyesのDIY電子音楽25周年記念として、ダダ運動体Fluxusの前衛性及び米国中西部の鬱々とした生活とで制作されたとのことです。このコンセプトは、別のアルバム”Difficult Messages”(また、別に紹介します)にもあり、そこでのコラボとか出来た曲とかは、不安定なサウンド・コラージュによるシュールな夢模様であり、そこに含まれるヒットソングは、音のフローラや全滅した動物などのテラリウム(槽)へとトランスフォームされたものであるらしいです。それはまるで、熱狂を夢見たように、1960年代のシュールレアリスト達が皆、誰も知らない地下世界で、異形の電子ブルース・ミュージシャンへと収束していったことと関係しているとのことです(解説より)。 とまあ、Wolf Eyesにとっては、記念すべきアルバムであることは確かなようです。内容としては、A面7曲/B面6曲が収録されており、A1はShort Handsとのコラボ曲で、A2は抜粋とのことです。それでは、各曲について紹介していきます。 A1 “Car Wash Two”は、Short Handsとのコラボですが、不明瞭なループ音とスモッグのようなノイズ、その背後にロックンロールな演奏が微かに聴こえます。 A2 “Radio Box (抜粋)”では、ラジオから取られたジャジーなSaxの演奏と微細な電子パルスがこんがらがっています。意外とLAFMSっぽいかも? A3 “Plus Warning”は、ループによる不安定な反復音とジャズっぽいSax(?)のような演奏の混合物です。 A4 “Engaged Withdrawal”は、いきなりなシンセのような電子音と語りのようなVoと金属質なノイズがごちゃ混ぜになっている曲です。 A5 “Exploding Time”は、再びループによるリズムと多層化していくクラリネット(?)の演奏テープから成る曲です。 A6 “My Whole Life”では、またまた語りのようなVoと電子音で始まり、やがてリズムボックスやシンセ音に取って代わられていきます。 A7 “The Museums We Carry”でも、リズムボックスとベースらしき低音と共に、語り調のVoが被っていきます。何となくMinimal Manっぽいかも? B1 “Pointerstare”は、管楽器や電子音が如何わしい似非民族音楽で、変調・加工された呻き声で、更に盛り上がります。 B2 “Comforts of The Mind”では、ポツポツとした加工ループによるスカスカな拍子の背後に、ラジオようなフィードバック音が微かに聴取出来ます。 B3 “In Society”は、ジャム・セッションのループらしき音に、オモチャの楽器やはしゃぎ声なんかを入れて、闇鍋で煮込んだような曲です。 B4 “Find You (Vocal)”では、しょぼいリズムボックスと飛び道具的な電子音や管楽器の上に、語り調Voが乗っていきます B5 “Days Decay”も、リズムボックスとシンセのパルス音と語り調Voから成る曲で、鬱病に掛かったDevoのようにも聴こえます。 B6 “Dreams in Shattered Time”では、何だか「熱中症に罹ったSmegma」のような鬱々とした演奏を繰り広げて、このアルバムを締めています。 そう言えば、最近、SNS上での彼等の発言の端々にpsycho-jazzと言う言葉が使われていますが、正にそんな感じがピッタリな脱力系/不安神経症系の音楽(少なくとも、以前のtrip hopではないです)を奏でています。後、ちょこちょこ書いていますが、LAFMSとかの米国西海岸の闇/地下みたいな音楽との共振性を感じまして。そう言う意味では、また彼等の別のルーツを聴いたように思います。なので、その辺に興味があるリスナーさんは一度、聴いてみては⁈ しかしながら、個人的には、Wolf Eyesの最近の機材の充実振りと如何にも「アメリカン」な音楽/音楽実験に驚いてしまいました。彼等の自由度は底無しですね❗️ [Wolf Eyes live at Rochester, NY, 2023/05/23] https://youtu.be/-SEGZaZqi7I?si=iDe-zZel5BtzCbpv [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_n3Nvaj6dRPdeyW0TLRFu16VdyUDUjqjvo&si=fsAydVc3wc9sev2f [BandcampのURLを貼っておきます] https://wolf-eyes.bandcamp.com/album/dreams-in-splattered-lines #WolfEyes #DreamsInSplatteredLines #Disciples #WarpRecords #NewAlbum #Experimental #Abstract #Noise #PsychoJazz #TapeLoop #JazzySound #ElectronicBlues #NateYoung #JohnOlson #Hand-MadeElectronics #MutatedReed #Synthesizers #DrumSynth #Software
Experimental / Psycho-Jazz / Abstract Disciples 2680円Dr K2
-
Wolf Eyes “Difficult Messages”
ええっと、このアルバム”Difficult Massages”は、一応、Wolf Eyesの名義でリリースされたセルフ・コンピとなっていますが、よくよく見てみると、全曲、違う名義での曲をコンパイルしたものとなっており、レーベルは共に英国Warp Recordsの傘下です。また、このアルバムには、A5版のブックレットが付いていますが、内容はダラダラと綴られた日記みたいな感じです。それで、Wolf Eyesについては、以前にもそのバイオグラフィーは書いてありますが、元々は1996年にNate Youngを中心に米国Detroitで結成され、現在では、YoungとJohn Olsonのデュオになっています。また、1993年冬に、Gretchen Gonzales (G), Bryan Ramirez (G, Vo), John Olson (Drs, Sax)で、Universal Indiansを結成、その後、色々とメンバー・チェンジがありましたが、1998年に、元Couch and GalenのAaron "Mike Ephron" Dilloway (G, Open-Reeled Vo)で加わり、現在では、Dilloway, Gretchen Gonzales, John Olsonと言うメンバーになっています。ここら辺の事情はややこしいので、またの機会に解説します。それで、この作品に収められているバンドの殆どが、詳細不明であり、本作品にしか参加していないようなので、恐らく、大部分は、NateとOlsonがでっち上げたバンドではないか?と思います(分かる範囲で少し説明しておきます)。内容はA面6曲/B面5曲が収録されています。そんな、Wolf Eyes(?)のアルバムですが、取り敢えず、各曲を解説していきます。 A1 Wolf Eyes “Phone Intro”:当たり前ですが、YoungとOlsonのデュオです。単調なベースとディレイをかけたVoから成る意味不明な曲です。 A2 Short Hands “Dank Boone”:詳細不明。Lo-Fiなサイケ・ロックな曲ですが、結構、シンセの宇宙音が入るのが特徴かな? A3 Time Designers “Passive Tempos”:詳細不明。左右にパンを振ったリズムマシンから成る曲で、単純ですが、面白いです。 A4 Gretchen “Locked Rivers”:Gretchen Gonzalesのことで、Universal Indiansにも参加しています。怪獣の鳴き声のようなギターらしき音が響き渡ります。更に弓弾きの音も加わってきます。 A5 Stare Case “Lost Head”:Stare CaseはYoungとOlsonが、2010年に始めた別ユニットで、American Tapes等から多量の作品を出しています。ボンボンとしたベースが反復リズムを刻み、虚なVoと途中からシンセ音や浮遊するSaxによる効果音が混在していきます。 A6 U Eye Trio “Courted Reverb”:詳細不明。正体不明の芋虫のようなリズムをベースに、変調テープや管楽器やら弦楽器の音が混じり、更にぶっきら坊なVoも! B1 Short Hands “3rd Night Tax Edit”:詳細不明。ダルなギターの弾き語り風(Vo無し)に、シンセの効果音が混在した緩々サイケな曲です。 B2 Animal Sounds “Michigan Red Squirrel”:Wolf Eyesの2人に、Alex Moskosが加わったトリオです。笑い袋とエコーを掛けたフリーキーなSaxに、突如、無関係にシーケンスが入ってきます。 B3 Wolf Raven “Tulsa Once”:詳細不明。磁気テープのノイズによるテープ・アッセンブリーな曲で、所謂「電波系」ですね。 B4 Universal Eyes “Tense Lapse”:2018年から始まったOlson, YoungによるWolf EyesとAaron Dilloway, Gretchen Gonzales, OlsonによるUniversal Indiansの合体バンドです。B3に連続して始まり、シンセと法螺貝(?)、テープ音、Sax等がごった煮になった混沌曲です。 B5 Invisible Thread “Feedback 6”:OlsonとYoungによる別名義で、2020年頃から3本のカセット作品を出しています。アンプを使った低音フィードバックと、ディレイを掛けたノイズ等が反復したり、崩れたりする得体の知れない曲で、本作品は締められます。 この作品を聴いて思ったのは、次世代の”LAFMS”的なポジションに、彼等は位置しているのではないか?と。つまり、限られた人数で、自由にバンドらしきものを形成して、あるコンセプトに沿って、自由に音を出すと言う原初的欲求に忠実に動いていると感じたからです。しかも、そこから紡ぎ出されるのが、緩い音/ノイズ/音楽である点でも、如何にも「アメリカン」な音楽なんですよね❗️また、このアルバムと対になる作品に”More Difficult Messages”もあるようですので、気になる方は是非是非❗️ [U Eye Trio version] https://youtu.be/BqpWJDIc-po?si=9GteL4SSt0OOM6ir [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lqxFbMJQdMZA_w83VMnFDzGS8M063Nf3s&si=4eQc6vyeYWW2nuoL [BandcampのURLを貼っておきます] https://wolf-eyes.bandcamp.com/album/difficult-messages #WolfEyes #DifficultMessages #Disciples #LowerFloorMusic #SelfCompilation #Experimental #Noise #PsychJazz #NateYoung #JohnOlson #ShortHands #TimeDesigners #Gretchen #StareCase #UEyeTrio #AnimalSounds #WolfRaven #UniversalEyes #InvisibleThread #UniversalIndians #GretchenGonzales #AaronDilloway #AlexMoskos
Experimental / Noise Disciples / Lower Floor Music 2980円Dr K2
-
Diamanda Galás “Broken Gargoyles”
今回は、Diamanda Galásの2023年夏時点での新作”Broken Gargoyles”を紹介します。彼女のバイオグラフィーは既に書いてありますので、そちらをご参照下さい。今回は彼女の名前しかクレジットされていませんが、実はコラボレーターとして、NYCのサウンド・デザイナーDaniel Neumannが全面的に協力しています。それと、本作品は、独逸の詩人Georg Heymの1911年の詩”Das Fieberspital”, ”Die Dämonen der Stadt”, “Der Blinde”, “Der Hunger”の4作品に基づいて、作製されており、それらに対してのDiamanda Galásの解釈と、それを具現化するのに、Neumannが携わってきたらしいです。なので、一種のコンセプト・アルバムですね。なので、内容もA面1曲“Mutilatus”とB面も1曲“Abiectio”と言う長尺の曲が収録されています。それで、本作品は、Diamanda Galás (All Vo :A面 “Das Fieberspital” [6’37”-7’25”と9’43”-9’56”]を除く)とDaniel Neumann (Sound Design, Mix, Electronic Processing, Edit)によって作製されていますが、ゲストとして、Robert Knoke (Vo :A面 “Das Fieberspital” [6’37”-7’25”と9’43”-9’56”]), Teagan Faran (Vln, Viola :B面), T.J. Troy (ジェット・エンジンのカバー, Astro Disc, Timpani, Thunder Sheet: B面), Daniel Neumann (Vermona Modular Synth: B面), Christopher McIntyre (Trombone: B面)も参加しています。また、豪華なブックレットが付いているのですが、Dr. Julia Meierが、”Die Kalte Blecherne Wüste Der Todesdämmerung: The Cold, Metal Desert Of The Twilight Of Death”と言うタイトルで、Luca Zanchiが、”Polyképhalos Nomos: A song Of Many Heads”と言うタイトルで、Thomáš Jirsaが、”Taken From Facing The Faceless: The Erased Face As A Figure: Aesthetic And Historical Experience”と言うタイトルで、それぞれの曲のコンセプトの解説やその具現化仕方について書いています。なので、聴く前の予習と聴いた後の復習をして下さい。そんな危険なアルバムです❗️ それでは、各曲(各面)を紹介していましょう。 A “Mutilatus”: その意味は、The Mutilated、即ち「切断されしもの」であるようです。そして、狂気の歌声を多重録音し、自らが弾くピアノの断片や内部演奏と「何か」を加工した抽象的な音、打撃音などが立ち現れる音(ノイズ)による一大絵巻物を聴いているように感じます。途中で男女の会話形式になる部分で、ゲストのRobert Knokeが出てきています。その後には、呪詛のようにやや潰れた声で、Diamanda Galásが語り掛けるのには、背中が震えました。またその後に聴こえてくるお経のような多層化した声や不吉なピアノの旋律、そして何かが現れるのを待っているかのような雰囲気はずっと続き、最終的にはピアノの音で終わります。全体として、Daniel Neumannのサウンド・クリエーションが素晴らしいです。 B “Abiectio”は、Abjection、即ち「失望」或いは「卑下」「投棄」と言う意味です。軋むような音に狂気を体現したかのような声。弦楽器をバックにDiamanda Galásの呪詛が続きます。その背後には値の知れない「音」(=気配)が白虎しています。やがて、声と気配が絡み合い、再び呪詛の語りが続きます。捨てられた「もの達」の恨み節、弦楽器の不協和音、何かのノイズ、ピアノの打撃音等々が入れ替わり、立ち上がってきて、空間はどんどん捻れていきます。そうして、漸く最後に、金属音らしき音で終わります。 正直、かなりヘビーな作品でした。それだけDiamanda Galásの表現したかった世界と言うのが、ヘビーだったのでしょう。これは、間違い無く、彼女の大傑作なので、是非聴くべきだと断言します‼️あと、このアルバム 作製時は、丁度、コロナ禍のパンデミックの最中で、Galásはサンディエゴに、NeumannはNYCに住んでいたのですが、それを物ともせずに、2020年7月23日にNYCのギャラリーで、2021年7月17日には独のハノーバーで、作製途中の作品としてサウンド・インスタレーションを行なっています。その想いも、この作品の完成度を後押ししていたのでしょう。マスト❗️ A “Mutilatus” https://youtu.be/Wlk2bbZWUUQ?si=BmioInxih-O65U3g B “Abiectio” https://youtu.be/9IC_PemiwZU?si=al5BdqWbJtdeHQre [BandcampのURLも貼っておきます] https://diamandagalas.bandcamp.com/album/broken-gargoyles #DiamandaGalás #BrokenGargoyles #IntravenalSoundOperations #Greek-AmericanFemale #Avant-Garde # #VoicePerformance #Mutilatus #Abiectio #DanielNeumann #Booklet #Photos #Text #RobertKnoke #TeaganFaran #T.J.Troy #ChristopherMcIntyre
Avant-Garde Intravenal Sound Operations 5400円Dr K2
-
Eiko Ishibashi & Jim O’Rourke “Lifetime Of A Flower”
今回は、泣く子も笑うEiko Ishibashiこと石橋英子さんと世界を股にかけて日本在住のJim O’Rourkeさんのコラボ・アルバム”Lifetime Of A Flower”を紹介します。もう皆さんはこの2人のバイオグラフィーはある程度知っていると思いますが、恒例に従い、簡単に紹介しておきます。石橋さんは、千葉県茂原市出身の音楽家/作曲家で、2000年〜2010年の間、吉田肇率いるバンド、PanicsmileにDrsで参加していますが、Drs以外にも、Piano, Flute, Vibraphone等の楽器も演奏するマルチ奏者でもあります。一方で、灰野敬二、突然段ボール、山本精一、吉田達也、坂本慎太郎、七尾旅人、町田康、秋田昌美 (Merzbow)、Jim O’Rourke、山本達久、前野健太、豊田道倫、星野源等といったミュージシャンと共演し、セッションもこなしています。映画のサントラ・ドラマの音楽も担当し、2021年には映画”Drive My Car”の音楽も担当。この作品は、第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門へ正式出品され、脚本賞、国際映画批評家連盟賞、エキュメニカル審査員賞、AFCAE賞を受賞しており、2022年に石橋さんもサントラ賞を受賞しています。話しが少し前後しますが、石橋さんは、2006年にアルバム”Works For Everything”でソロ・デビューを果たしており、米国レーベルDrag Cityから2013年に、ソロアルバム”Imitation of life”リリースしています。石橋さんは、ちゃんとした曲も出来るのですが、日本のノイズ・ミュージシャンMerzbowこと秋田昌美さんや変拍子ドラマー吉田達也さん或いはK2ことわたくしともコラボをやっており、その音楽的許容量は途轍もなく大きいです。また、Jim O’Rourkeと山本達久とのトリオカフカ鼾やコサカイ・フミオと私とは、スーパー・ノーウェーブ・バンドRNAもやっています。一方、Jimさんは、米国Chicago出身で、現在、日本に住んでいるマルチ奏者/作曲家/プロデューサーで、ジャンルレスに活動したおり、ポスト・ロック、アンビエント、ノイズ、テープ音楽などもこなし、更にはシカゴ音響派と関わり、即興シーンにいた後に、2000年にNYCに移り、そこで数多くの即興音楽グループなどとコラボを行っている一方で、1999年〜2005年には、ノイズ・ロック・グループSonic Youthのメンバーとしても活躍しています。またソロとしては、1997年作”Bad Timing”〜2015年作”Simple Songs”をDrag Cityレーベルから、より伝統的な曲から成る一連の作品のリリースで有名です。2人とも活動の幅が半端ないので、ここら辺で止めておきます。 それで、本作品“Lifetime Of A Flower”ですが、このアルバムは、石橋さんとJimさんがキュレートした20世紀・21世紀芸術祭での独Dortmund展覧会の作品”Flowers”の為に作製された音楽です。この作品では、パラメーターはセットしてありますが、その先のプロセスは制御されていないので、その後どんどん変わってしまう訳です。日本家屋の庭に種を蒔いて、展覧会期間中にその植物が育っていく様子を撮影したのだそうです(間違っていたらごめんなさい!)。本作品は両面とも1曲ずつ(と言うか、多分便宜上2つに分けた?)です。なお、本作品は、2022年4月30日〜9月25日の間に録音されています。それで内容なのですが、先ず感じたのは、全ての音(楽器か非楽器かに関わらず)がフラットに配置され、鳴っていると言うことです。フィールド録音の音も物音もフルートもシンセも全く区別無く、同一空間に配置され、等価の音として用いられているように聴こえます。また、それは決して無機質な感じは無く、有るべくして有る所に配置され、曲自体が一つの生命体のようにも聴取できます。そこら辺がセンスと言うかある種の能力なのだと確信しました。元々がそう言う植物の成長に合わせた音を使ったサウンド・インスタレーションだったのですから。決して、万人受けする音楽ではないですが、この2人にはこう言う面もあるのだと知っておいて良いでしょう‼️なのでマストです❗️ [Live at CAP10100 (Torino) in 21/04/2023] https://youtu.be/SWDL5rs7XLw?si=q4dQao_7EVs8Jv4w [BandcampのURLを貼っておきます] https://eikoishibashijimorourke.bandcamp.com/album/lifetime-of-a-flower #EikoIshibashi #JimO’Rourke #LifetimeInAFlower #Week-EndRecords #Soundtrack #Ambient #Abstract #SoundInstallation #石橋英子
Abstract / Experimental / Soundtrack Week-End Records 2850円Dr K2