V. A. “Klar! 80 - Ein Kassetten Label aus Düsseldorf 1980-82”

0

これは❗️これに反応するリスナーさんは、相当のNeue Deutsche Welle (NDW: German New Wave)のファンの方ですね。しかも、2023年に出たばっかりで、まだDiscogsに写真は載ってませんでした(データは探せば載っています)。元々の話しをすると、その昔(1980年前後)に盛り上がったNDWがあるのですが、今まで紹介してきたのは、その中でも比較的有名で、名前もそれなりに通っているバンドなんですが、ここに収められているバンドなんかは全くの無名で、しかも、当時は、DüsseldorfにあったTape Klar!と言う、カセットを扱う自主制作モノのお店の名前だったのです。このお店は、Rainer Rabowskが経営しており、1980年10月〜1982年4月の間にカセット・レーベルとしても運営しています(最後には12㌅EP3枚組も出している)。例えば、誰かが、自分の作品をカセットでダビングして作ったとして、それを、このお店に持って行くと、何本かを買取りして、このお店で売ってくれると言うシステムであったようで、差し詰め、日本で言うところの「フジヤマ」に近いかと思います。なお、インナーには阿木譲氏のインタビュー写真も掲載されており、それが発行されたRock Magazineは、当時の私には「聖書」でした。そんな独逸のカセットカルチャーを支えたTape Klar!ですが、中には、元DAFのChrislo Haasと元Einstürzende Neubautenで、後にMania Dを結成するBeate Bartel のデュオCHBBなどのような隠れた傑作も扱っています(因みにこの2人はその後、Liaisons Dangereusesを結成しています)。そんなNDW最盛期のサンプラーが、独Bureau Bの尽力のおかげで、今回、LPでリリースされました❗️有難う、Bureau B!と言う訳で、各曲を紹介していきます。
A1 Strafe Für Rebellion “Blaue Mig”は、DüsseldorfのBernd KastnerとSiegfried Michail Syniugaのデュオで、1979年結成。一時期解散状態でしたが、2014年に新作を発表し、復活。何だかよく分からないBとテープ音?Organ?から成るラジカセ録りの小曲。A2 Rotor Stern Belgrad “Ta Ku Say”は、当時はDüsseldorの正体不明のバンドでしたが、後にRainer Rabowski, Charly Morrow (Vo), Axel Grube (Mix)によるトリオと判明しました。重いキックの強烈なマシンリズムに呟きのようなヴォーカルと最小限のSynthが加わっている、ミニマルで「ダンサブル」な曲です。A3 Und Piloten “Umsturz”は全く情報無しです。ヘンテコなリズムに、合っているかどうかわからないような低音シンセ、それが無くなったら、生Drsとシーケンスに引き攣ったようなVoが! A4 Strafe Für Rebellion “Alpha Waves”は、A1のバンドで、この曲は、ディレイを掛けたBらしき音とそのバックのOrganの不協和音からなります。A5 Europa “Dein Zauber”は、メンバーが、Franz Bielmeier (G, Perc), Klaus Audersch (Drs, Vo), Peter Stiefermann (B), Petra Kleinsorg (B, Vo), Rolf Appelbaum (G, Vo), Viridiana Audersch (Synth, Perc, Vo)から成るバンドで、やや軽やかでミニマルなリズムに、深いリバーブで沈んでいるSynth、それに独特の独逸語の歌がハマりますねー。このコンピでは一番まともかな? A6 Ralf & Ernie “Ralph & Ernie”は、B2のバンドEraserheadのRalph EikenrothとErnie Müllerのデュオのこと。電気的(電子的ではない!)な通奏低音と時に乗っかる電子音による実験的な曲です。子供の声のテープ音もグーです。A7 Xao Seffcheque Und Der Rest “Mir Fehlen Die Worte”は、先日亡くなったNDWの仕掛け人Xao Seffchequeのバンドで、メンバーはAndreas Brüning (Sax, G, Clarinet), Frank Mart (G), Rainer Mackenthun (Drs), Ralph Albertini (Sax), Xao Seffcheque (Vo, Electronics, G, Casio)です。曲は、ノリの良いファンク調の反復する音楽で、Seffchequeの雲のようなVoと時折り入るSaxが上手く作用しています。これもまともな曲!
B面に行きます。B1 Rainer Rabowski, Axel Grube & Ralph Albertini “Rara, Axel & Ralph”は、店主のRobowskiとmix担当のGrube、そしてSaxのAlbertiniのセッションでしようか? セッションにしては良く合ってます。雰囲気はアフリカンですが、如何にもと言う所が独逸っぽい。結構、Sax吹きまくってます。また、ちょっとしたダブ的ミックスもあり。B2 Eraserhead “OT”は、Ernie Müller, Ralf EikenrothとJoachim Hohのトリオで、同名異種のバンドと間違えないように! 何だ、これ?音はラジカセ録りで、DrsとG?Synth?の短い反復音が重なって、最後はDrsとシーケンスだけに成る。やっぱりNDWの奥は深い! B3 P. Projekta & G. Ranzz “M4”は全く情報無しです。Synth-B?エレクトーンのB音?らしき重低音に、引き攣ったGが乗る曲で、やはりラジカセ録りの為か音は悪いか、面白い音です。B4 CHBB “Mau-Mau”は、先述のChrislo HaasとBeate Bartelのデュオで、多分、この中では一番の有名かと思います。何と!生Drs入りで、マシンと同期演奏。単調なリズムにテープ音やSaxやSynthらしきノイズが塗してある曲。こりゃCHBBのカセット集めなきゃ! B5 Roter Stern Belgrad “Blas Dein Knie Ein”もA2のバンドのことで、力強いビートに電話での会話などをコラージュした曲で、流石、色々聴いてる店主だけのことはあると言う感じです。B6 Blässe “Taktlose Klapperschangen”は、後にNeubauten にも参加するAlexander Von Borsig (Alexander Hacke: B, Synth, G), Michael Richard Hirsch (Synth), Brigitte Bühler (G, B), Bernward Malaka (B), Xao Seffcheque (Drs, Synth), Eva-Maria Gößling (Sax)から成るフェイク・ジャズ・バンドで、曲自体はプリミティブな部分と洗練された部分が程よくミックスされて、段々、ノイズっぽい音に浸食されていきます。SaxとDrsがキモかな。
とにかく、面白い音楽と言うか音を聴くことができますね。録音レベルも様々ではありますが、それ以上に興味深い音楽がこの時期にあったのだなと確信しました。また名前しか知らなかったバンドの音楽を聴く事が出来て、満足です。この作品はマニア向けではありますが、NDWに興味のある方にサンプラーとして聴いても良いと思いますので、是非❗️

CHBB (red) 1981 (本作品とは直接関係ないです)
https://youtu.be/-qgS1R70Q3E

それと、阿木譲氏によるKlar!のインタビューです。
https://youtu.be/8JRQj51f6UY

[取り敢えず、BandcampのURLを貼っておきます]
https://bureaub.bandcamp.com/album/v-a-klar-80

#VariousArtists #Klar!80 #EinKassettenLabelAusDüsseldorf1980-82 #BureauB #Remaster #TapeKlar! #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #CassetteCulture #Underground #StrafeFürRebellion #RotorSternBelgrad #UndPiloten #Europa #Ralf&Ernie #XaoSeffchequeUndDerRest #RainerRabowski,AxelGrube&RalphAlbertini #Eraserhead #P.Projekta&G.Ranzz #CHBB #Blässe

Default
  • File

    4AD

    2023/08/29 - 編集済み

    Strafe fur Rebellion は LP持ってましたが、今は売ってしまったかもしれません。暗いですよね。 ROCK MAGAZINE も フールズメイトも 私には難しすぎて レコードレビューを中心に見てました。 それにしても阿木さんは亡くなる少し前に事件起こして懲役くらって なんか残念で気の毒な方でした。 ロックマガジンの主宰としての功績は絶大ですね。

    返信する
    • File

      Dr K2

      2023/08/30

      あの時代は2大巨頭でしたね。阿木譲と北村昌士。東京では、阿木譲の人気がイマイチでした(私の偏見かも知れませんが)、が私個人的には阿木譲のRock Magazineは好きでしたねー。特にNDW特集の巻はバイブルでした。ただ、亡くなってからのVanityの音源で商売し始めた残党は何だかなぁーと思います。

      返信する