番外編3 カナリヤレコード 1950年代<続編>

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カナリヤレコードの続編です。

前回分はこちら
https://muuseo.com/chirolin_band/items/18

日本ビクター50年史(1977年発行)に「カナリヤレコード工業株式会社」に関する
記述がありましたで、続報として掲載致します。

画像1 
ビクター関係会社として掲載されています
①本店、②営業所、③は設立年月日、④株主構成、⑤営業内容 です。
設立は1958年8月21日となっています。
ピクチャー・レコードはもっと前から発売されていましたから、石川無線電機との提携
(レコード・タイムス1957年4月号掲載)の後、日本ビクターの子会社として再スタート
したのが、この日付なのでしょう。
社名もここから「カナリヤレコード工業株式会社」 になったのかもしれません。
営業内容は「レコードの製造および販売」となっていますが、他のレコード会社と比べると
その姿が見えて来ます。

画像2
同じビクター関係会社の「アール・ブイ・シー(RVC)」の会社紹介です。
「レコード,音楽テープなどの『企画制作』,製造および販売」
となっており、この中の『企画制作』がカナリヤレコードにはありません。
つまり録音や原盤作りはやらない「工場」ということになります。
ビクターはそもそも自社工場を持っていましたので、わざわざ「カナリヤ」を
傘下に加えた目的は「ピクチャーレコード」のノウハウだったのかもしれません。
(これは単なる推測です)

画像3
これが前回ご紹介した「レコード年鑑1960年」に「プレス専門工場として」
という但し書き付きで掲載されていた会社のことなのでしょう。

画像4
日本ビクター50年史の奥付です。
発行が1977年9月13日ですので、少なくともこの時点ではカナリヤレコード工業が
存在していたことになります。

#アナログレコード
#レコード資料

番外編3 カナリヤレコード 1950年代
1950年代に、当時珍しかったピクチャー・ディスク(童謡のSP盤)を販売していた会社です。画像は実物写真と1955〜1957年のレコードタイムス誌のリスト、広告、ニュース記事です。当時、レコードだけではなく蓄音器(カナリヤベビーホーン)も販売していたようです。最後の企業プロフィールは、レコード年鑑1960年版(音楽之友社)に掲載されていたものです。このプロフィールを見ていて思うのは、「どうもこれは東洋化成(株)のことではないか」ということです。 東洋化成について簡単にご紹介しますが、創業以来現在に到るまで一貫してアナログ・レコードを製造している会社です。一時期は、アナログ・レコードは東洋化成でしかプレスできない、という最後の一社になっていました。もちろん、レコード全盛時代も数多くのメーカーのプレスを受託していました。 ネットで調べてみると、「開運なんでも鑑定団」にこのカナリヤレコードと蓄音器が出品されたようで(2020年)、鑑定結果と共に「1953年に東洋化成が生産した」との鑑定士コメントが番組ホームページに掲載されていました。ですが、ここで新たな疑問も湧いてきます。東洋化成の創業は1959年ですから、1953年にはまだ存在していないのです。 そこで、直接東洋化成に問い合わせをしてみました。すると、「カナリヤレコードは東洋化成設立の前に作られた会社で創業者は東洋化成と同じ、その後も当時の東洋化成の隣に立地していた言わば兄弟会社だが、会社としては別ものだった」との回答を頂きました。 なるほど、兄弟会社とは言え、あくまで別企業ですから「カナリヤレコードを東洋化成が作った」という表現は適切でないわけですね。(60年前のことに関する問い合わせに回答していただいて、大変ありがとうございました) まだまだSP中心のレコード店にあっては、記事にもある通り、フル・カラーのピクチャー・ディスクは大変人目を引いたことと思います。 続編はこちら https://muuseo.com/chirolin_band/items/186?status_to=open #アナログレコード #レコード資料
https://muuseo.com/chirolin_band/items/18

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