Tim Hardin / Bird On A Wire (US, Columbia, C 30551) <June 1971>

0

Tim Hardin / Bird On A Wire (US, Columbia, C 30551) <June 1971>
(SIDE 1) P AL 30551-1A
(SIDE 2) P BL 30551-1A
 
 Tim Hardinの7作目にして、最高傑作とも言われる1971年の作品です。

 Tim Hardinは"Reason To Believe"などの初期作品群のためフォーク・シンガーと見なされていますが、Ray Charlesに「Lightnin' Hopkins、俺に続く3人目のブルース・シンガー」と絶賛されたようにブルース色が強く、またBob Dylanより早くエレクトリックを取り込み、またジャズに傾倒し自分の音楽との融合を図り自らをジャズ・シンガーと呼んだ、先進的にして天才型のアーティストです。このアルバムも、Joe Zawinulやフュージョン時代のTony Levinなどが参加し、一方でBen Keithなんかも参加し、ジャズともフォークとも言えない不思議な音楽を作りあげています。

 しかし、このアルバムを忘れがたいものにしているのは、アルバム全体に満ちた哀感です。絶望的なトーンで、独り言のような歌が続き、最後の「愛の賛歌(Love Hymn)」と題された美しい曲で初めてHardinが妻子に逃げられたことが明らかになります。「彼女は友人とL.A.に行ってしまった」「でも、彼女とひとつだった頃、ダミオンが生まれた」「愛はダミオンになった」・・・見開きの内側の男の子がダミオンなんでしょうね。

 実人生では最後まで破滅型の人生を歩みました。商業的な成功を得られず、麻薬に漬かり、妻子に逃げられ、overdoseで亡くなったときTim Hardinはまだ39歳でした。友人に見つけられたのは1980年12月29日、ジョン・レノンの死の直後のため、彼の死は話題にすらなりませんでした。

https://www.youtube.com/watch?v=Khxh3sAFfXE

Default