ダイアスポア・ツイン/ズルタナイト

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二つの結晶が結合成長した「双晶」という形態のダイアスポアです。

高熱に曝されることで脱水し、細々と砕けてしまう性質を持っているため「四散」を意味するギリシャ語“diaspora”から命名されました。

一般的にあまり耳にする機会のない石でありますが、アルミニウム鉱石であるボーキサイト中に本種が含有されていることから、巡り巡って姿を変え、我々の生活に溶け込んでいる身近な存在と言えるのではないかと思います。

コランダム(ルビーとサファイア)と近しい化学組成を持つほか、高品位なものは研磨が施され『ズルタナイト』という商品名で流通する宝石でもあるのです。

一部の、特にトルコで産出するダイアスポアの中には変彩性をもつ個体がいるようで、使用する光源の種類によってアレクサンドライト顔負けのカラーチェンジを目にすることができます。

このV字型の彼もそうです。
平常時の蛍光灯から、火明りの白熱光へ切り替えることで色相が反転。
慎ましい青緑色だったものが、花薫るロゼピンクや上品なワインレッドへと装いを変じるのであります。

極めつけにブラックライト。
紫外線を照射することで、ルビーの如く明瞭な赤色蛍光を発するのでした。

カラーチェンジ石における価値で言えば、本家には到底敵わないでしょう。
しかしこの石のように明瞭な形状と透明度を兼ね備えた原石ともなると、例えアレクサンドライトでもそうそうお目にかかれるものではありません。
かの皇帝の宝石でも叶えられない美しさが、この鉱物には備わっているのであります。

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    shm

    2020/03/09

    元の色がグリーン…、凄く貴重なものをさらっと😳

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    • ありがとうございます!
      変化前の色に着目していただけるとは流石です。
      パッとしない色調なのであまり注目されないと思っていましたが、捨て置くには惜しいほど味のあるオリーブ色なので言及して頂けて嬉しいです😆

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      shm

      2020/03/10

      イエローかカラーレスしか見たことがなく、グリーンはその存在は知っていましたが画像でも見たことがありませんでした💦
      貴重なものを拝見できありがとうございます😀

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