PENTAX Auto-Takumar F3.5/35mm

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PENTAX Auto-Takumar F3.5/35mm

「小さいレンズ」がお好きな方、スーパータクマーやSMCタクマーより一回り小さい設計の“Auto Takumar F3.5/35mm”レンズは、数あるタクマーレンズの中でも一番小さな広角レンズです。

一眼レフに付けてみると、このレンズの小ささが良く解ります。
“Auto Takumar F3.5/35mm”レンズの構成は、レトロフォーカスであり、適度な解像感で味わい深い写真を撮ることが出来ます。
PENTAXの古いレンズに共通して言えることですが、やはりコーティングの技術がまだまだの時代で、極僅かしかコーティングを施されていない為、逆光に極端に弱いことはやむ終えない事でしょう。
レンズフード等でハレーション対策をしっかりと行う必要があるレンズです。
但し、フィルター径が46mmと、おおくのPENTAXレンズ49mmと比べ一回り小さいことから、フィルターやフードは他のスーパー・タクマーなどと供用することができません。

【絞動作の違い】
絞りの作動に関する言葉で、プリセット・自動・半自動とありますが、このレンズは半自動方式です。

[プリセット] 使う絞り値をまず決め、絞りの開け閉めは自分で行う
(レリーズと連動しない)

[自動] 使う絞り値をセットするれば、レリーズ時にカメラが自動で絞り込んでくれる
        (レリーズが完了すると絞りは開放に自動で戻る)

[半自動] レリーズ時に自動で絞り込んでくれるが、絞りを開ける作業は自分で行う

実際の“Auto Takumar F3.5/35mm”の「半自動絞り方式」の使い方ですが、絞り環操作すると絞り羽根は閉じていきます。
撮影前にチャージレバーをその都度操作します。そうすると、カチッと音がして絞りが開放状態にセットされるので、ピント合わせを行います。
シャッターボタンが押し込まれると後方のマウント面から飛び出ている「絞り連動ピン」が押し込まれるので、そのタイミングで瞬時に絞り羽根が設定絞り値まで絞り込まれます。
この様に、チャージレバーをいちいち操作して開放状態にセットする作業が撮影の都度発生するのが「半自動絞り方式」です。

【Auto Takumar F3.5/35mmのレトロフォーカスについて】
光学系は4群5枚のレトロフォーカス型構成ですが、第2群〜第4群までは、3群4枚のテッサー型構成を基本としています。
つまりテッサー型構成の直前にバックフォーカスを稼ぐ目的で、1枚光学硝子レンズを追加した設計概念が「レトロフォーカス型」と言えます。
よく、この当時のレトロフォーカス型光学系を採用したオールドレンズを指し「オールドレンズらしい甘い描写」と評価されることが多いでのですが、レトロフォーカスの名称から来る連想から「レトロ (古めかしい)」的な感覚で受け取ってしまうことがある様です。
しかし、正しくは「RETRO (後退させる) FOCUS (焦点)」ということであり、古い印象としての「レトロ調」違うものです。
あくまで、バックフォーカスを稼ぐ為に開発された光学系なのです。
今回の“Auto Takumar F3.5/35mm”に関して言えば、光学系の基本成分にテッサー型が使われているので、その描写性は鋭いピントと期待してしまいそうですが、実際には直前に配置されている第1群レンズ (前玉) の影響から残存収差の問題も多く発生するようなので、期待通りにはいかないようです。

【Auto Takumar F3.5/35mmレンズ概要】
レンズ構成 : 4群5枚
画角 : 63度
最短撮影距離 : 0.45m
最小絞り : 22
絞り形式 : 半自動(開放セットは手動・絞り込みは自動)
フィルター径 : 46mm
大きさ : 53mm(最大径)×33mm(全長)
重さ : 135g
当時価格 : 11,500円

参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=W-eturAWtWM&t=3s
https://www.youtube.com/watch?v=PNOiukWnD7w
https://www.youtube.com/watch?v=mmujJtuw6wI

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