P16.D4 “Kühe In 1/2 Trauer”

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以前に少し紹介しました、独逸が世界に誇る実験ノイズ・グループP16.D4(独逸語読みなら「ペー・ゼヒツェン・デー・フィア」でしようか?)が、自身のレーベルSelektion(「ゼレクツオーン」と読む)からリリースした正式なファーストアルバムが、本作”Kühe In 1/2 Trauer (「キューヘ・イン・ハルブ・トラウアー」と読む)になります。まず、その名の由来なんですが、元々彼らはProgressive Discoからイニシャルで、P.D.を名乗ります。更にメンバーの発展的変換から、自らをP16.D4と名乗るのですが、それはPがアルファベットの16番目の文字で、Dが4番目の文字だからだそうです。彼等は、地方の工業都市Meinzで、1980年1月にP.D.として結成され、現代音楽に影響を受けただけでなく、フリーミュージック、パンク、ディスコ、サイケや実験音楽をも取り入れた新しい音楽を作成してきたそうですが、その年末にはP16.D4とPermutative Distortionに分裂し、そこから前者が頻繁に活動していくことになったそうです。そのP16.D4ですが、メンバーはRalf WehowskyとRoger Schönauer及びEwald Weberが最初でしたが、本作のあとStefan E. Schmidtが加わりました。彼等はインダストリアルと不協和音の間で、執拗なテープ操作やループの作成、実際の演奏やコーラスとかライブ録音とかを加工し、コラージュのように音と音を切り貼りしながら、非常に緻密な音響的ノイズ・ミュージックを作り出しました。その成果がよく分かるのが、1982年にリリースされた本作品だと思います。本作は本人達に言わせるとダダイズムの自由奔放なところと表現主義の厳格なところとの混合物であるとのこと。しかし、私が最も驚いたのは、Ralf曰く、「我々は7秒間の録音をするのに2週間かけることもある。」と言う音に対する執念です。ライブ活動はこの時期は余りやっておらず、専ら、音の実験室における密室録音作業に励んでいたようです。また、過去のライブ音源(カセットとかで録音したもの)とかを他の音源と同列に再生してカット・インしたりするアイデアにも舌を巻きました。そう言う意味で、本作は、英国Nurse With Woundとはまた異なるベクトルを持った、非常に緻密で論理性をも感じさせるサウンド・コラージュ・アルバムとなっています。個人的には、彼らが余りシンセなどの電子楽器を安易に使っていないこともあって、この頃から、私はすっかりファンになってしまい、1995年に、RLWことRalf Wehowsky氏とのコラボ7㌅をリリースすることが出来たのは大変嬉しかったです。因みにRalf自身の本職は法律関係の仕事をしているらしいですが、今でもRLW名義で作品をリリースしています。そんな訳で、このアルバムはほんとに完成度が高い作品なので、是非とも聴いてみて下さい。

A1 “Default Value: Störeingabe” (3:48)
A2 “5/4/3/2/1/Wand” (1:11)
A3 “Ekstase Des Sozialismus” (5:13)
A4 “He's Afraid Of The Way The Glass Will Fall - Soon - It Will Be A Spectacle: The Fall Of A Crystal Palace. But Coming Down In Total Blackout, Without One Glint Of Light, Only Great Invisible Crashing” (6:39)
A5 “Dumpfes Begleitegfühl” (4:05)
B1 “Kühe In 1/2 Trauer” (6:21)
B2 “Paris, Morgue” (3:19)
B3 “Anselm Weinbergs Flucht In Den Odenwald” (5:33)
B4 “Rückplötzlich (Scheitze)” (2:48)
B5 “Hammer/Zange/Hebel” (3:00)

https://youtu.be/V_DTW2Al5s4?si=L7dRLQ5dyV0-ntuV

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