Tuxedomoon “Desire”

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当時・米国、今・欧州の実験的ポップ・バンドTuxedomoonを紹介します。Tuxedomoonは、パンク・ムーブメントと共に米国サン・フランシスコから現れたバンドで、当時、私はRock Magazine別冊で、その名を知り、早く聴いてみたいと切望していたバンドの一つです。それでは先ず、彼等のバイオグラフィーを見てみましょう。1977年に、アーティストのコミューンであったThe Angel of Lightに属していたSteven Brownが、SF市立大学電子音楽科で、Blaine L. Reiningerと出会ったことから、Tuxedomoonは生まれました。それで、Brownの協力者であり、後にマネージャーになるTommy Tadlockの家で、実際の音出しをし始めます。その時、Reiningerはe-VlnとGを弾いてましたが、Tadlickは「Teatment Mountain」と呼ばれるツール(エフェクト装置)を作ったりして貢献します。それで、パンクが出てきた1970年中盤に、2人は、「他のどんなグループにも似ていないことを唯一のルールとする」との約束で活動を始め、当初は、Vln, Sax, Polymoogシンセを使っており、Voもスクリーミング・スタイルでした。ドラムはいなかったのですが、そこに、Peter Principle (B)が加わり、Gregory CruikshankやVictoria LoweがVoとして参加したりしていました。更にコンサートの為にパフォーマンス・アーティストWinston Tongと映像作家Bruce Geduldigが加わります。その為、彼等のコンサートは"theatrical electronic cabaret"とも呼ばれてました。1979年に、彼等は電子音楽屈指の名曲と言われた”No Tears” EPをリリース、その年にThe ResidentsのレーベルRalph Recordsと契約、1980年に、デビュー・アルバム”Half-Mute”を出しています。なお、Lowe (Vo)はEPの前に脱退しており、また正式なメンバーではないですが、Michael Belfer (G)とPaul Zahl (Drs)が参加しています。それで、彼等はデビューアルバムのリリースの後に欧州ツアーを敢行し、その後、NYCに引っ越します。1981年にセカンド・アルバムでもある本作品”Desire”をリリースした後に、オランダやベルギーで好評だったこともあり、Rotterdamのアーティスト・コミューンで数カ月過ごし、その後、ベルギーのBrusselsに拠点を移します。そこでは、最初、Plan Kと言うライブ・スペースに身を寄せます。彼等は、Maurice Bejartのバレー曲を書き、それを1982年に、サード・アルバム”Devine”としてリリースしますが、その前後からReiningerはソロ活動を始め、1983年に脱退します。それで、Frankie Lievaartが代わりに加入、またLuc van Lieshout (Trumpet)が加入します(その後、直ぐに、Ivan Georgievに代わります)。そんな中で、彼等は4枚目のアルバム”Holy War”を1985年にリリース、最も売れた作品になります。しかしながら、Tongが脱退し、残ったSF組のBrownとPrincipleも続けて脱退。結局はマルチ奏者のGeorgievがバンドを立て直して、1986年にアルバム”Ship of Fools”をリリースし、無事ツアーもすることが出来ましたが、その後、1990年代には約8年間、一緒に演奏することはなかったので、半ば解散状態となり、2000年に再結成され、以前の曲を演奏します。そして、2004年に新作アルバム”Cabin in the Sky”をリリース。その後も順調に活動を続け、2015年には、10枚組LPボックスの”The Box”もリリースされています。しかしながら、Bruce Geduldig (映像)が2016年3月に63歳で他界し、Peter Principle (B)も翌年7月に63歳で他界しています。以上がTuxedomoonのあらましになります。
それで、セカンド・アルバムでもある本作品を紹介します。先ず、この時の録音に関与したメンバーは、Steve Brown (Horns, Vo, Kbd), Blaine L. Reininger (Strings, G, Kbd, Vo), Peter Principle (B, Perc, G), Winston Tong (Vo, Back-Vo)4人で、ゲストにAli Robinson (Cello)とVicky Aspinall (Vln)も参加しており、クレジットにはBruce Geduldig (Lights, Film, Mise En Scène)の名前も見られます。ドラムレスの編成なので、リズムボックスを使っています。多分、このアルバムを何の情報も無しに聴けば、米国のバンドとは誰も思わないと言う位、「欧州的な」フレージングや楽器編成を体験することが出来ます。そうですねぇ、ロックと言うよりも、一種の室内楽のような印象も有ります。ベースがボトムを支え、それに効果的なMoogシンセのフレーズや、伸び伸びとして、ラウンジ風のSaxが絡んでくる曲が多く、どちらかと言うとギターは控えめです。インスト曲もありますが、Voもがなり立てる訳ではなく、やや演劇調でしようか? それにしても、当時、このようなバンドが米国SFから出てきたことに驚きますね。なので、ちょいと変わったシャレ乙な音楽を聴きたければ、このアルバムも一度は聴いてみて下さい。ハマるかも❗️

クレジット曲順
A1 “East”
A2 “Jinx”
A3 “• • •”
A4 “Music #1”
A5 “Victims Of The Dance”
A6 “Incubus (Blue Suit)”
B1 “Desire”
B2 “Again”
B3 “In The Name Of Talent (Italian Western Two)”
B4 “Holiday For Plywood (Holiday For Strings)”

“No Tears”
https://youtu.be/1GwdHe5nQSQ

[full album]
https://youtube.com/playlist?list=PLBD27CAC86FA83826

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