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The Serfs “Half Eaten By Dogs”
私は、このバンド、全然知らなかったのですが、試聴して良かったので、即購入しました。なので、先ず、The Serfsについて調べてみました。The Serfsは、元々、オハイオ州シンチナティで、2010年代後半に結成された3人組で、メンバーは、Dylan McCartney, Dakota Carlyle, Andie Lumanですが、それぞれが別のサイド・バンド(The Drin, Crime of Passing, Motorbike)を並行してやっており、この地域の新しいアングラ・シーンには欠かせない存在です。それで、彼等は、最初のカセットアルバムを2019年に独のミニマルシンセ・レーベルDetriti Recordsからリリース、その後2022年に、シアトルのレーベルDreamから彼等のファーストLP”Primal Matter”をリリースしています。そうして、2023年に、本作品であるセカンドLP”Half Eaten By Dogs”をシカゴを拠点とするTrouble In Mindから出しています。その作品は、モダニスト達が、Total ControlやCold Beat等の未来指向のバンドを米国中西部へグッと引っ張り上げるようなもので、ポスト・インダストリアル或いはインダストリアル・ロック・バンドであるSkinny Puppy, Dark Day, This Heat, Factrixによるグライムと同様の衝撃があったようです。 調べてみましたが、この位のことしか分かりませんでした(すまん!)。過去の作品を聴いてみると、ポストパンクと言うよりも打ち込み系ロック、即ち、インダストリアル・ロックと言う方がしっくりくる感じでした。それで、本作品についでの文章がありましたので、引用します。「この作品は、スカスカの異教徒のヴィジョンに焦点を当てており、それは、氷のようなシンセのハーモニーが、滲み出すケミカルなリズムとボコボコに穴の空いたロックの様式に統率しているようなもので、そうすることで、サイケな憂鬱さも体現できます。そう言うのは抽象的な歌詞にも反映されており、その内容は、自然的厄災と超自然的厄災とが運命的に決まっていることも、また、より可視化された音楽シーンの運命も含んでいると言うことです。」とのこと。実際、彼等は、陰気なドラムやギターとインダストリアルなシンセの予定調和を越えて、方向転換していますし、この作品ではSaxやハーモニカ、Fluteなんかも使っています。まあ、つべこべ言わずに聴いてみましょう。本作品の参加メンバーは、Dylan McCartney (Vo, Perc, G, B, Drs, Synth, Electronics, Harmonica, Flute), Dakota Carlyle (Programming, Electronics, Synth, B, G, Vo), Andie Luman (Vo, Synth)で、ゲストとして、Eric Dietrich (Sax [A5]), Luke Cornett (G [B4]), Bradley Kennedy (Perc [A2])も参加しています。また、内容も両面とも5曲ずつ収録されています。それでは、各曲について紹介していきたいと思います。 ★A1 “Order Imposing Sentence” (3:08)は、いきなりサーフ系ロック・アンサンブルで飛ばすチューンで、カッコ良すぎます。時に入ってくるSE的シンセ音やオルガンも最高です! ★A2 “Cheap Chrome” (3:37)は、性急なマシンリズムとミニマルなシーケンスに、シンセによるメタ・メロディと複数のVoが重なる曲で、ちょっとだけSuicideを想起しますね。 ★A3 “Suspension Bridge Collapse” (4:10)は、LFOシンセとディレイを掛けたマシンリズムから始まり、ミニマルなシーケンスとドリーミーなメロディそしてインダストリアルなシンカッションに、深いエコーを掛けた単語切りのVoから成る曲で、甘くも硬派な印象です。 ★A4 “Beat Me Down” (3:30)は、反復するシンセのリフに、生DrsとGが加わり、ミニマル・ロックな曲で、VoはJesus & The Mary Chainのようで、結構、カッコ良いです。 ★A5 “Spectral Analysis” (4:35)は、A4と連続して、マシンリズムが淡々と流れる中、Bと共に、緩やかなシンセのメロディとディレイを掛けた語り口調とVoが乗ってくる曲で、郷愁を誘うSaxと共に「新しい工業音楽」を感じさせます。 ★B1 “Club Deuce” (5:30)では、シンセで作ったリズムのシーケンスとミニマルなB-Synthに加えて、シューゲイザー風女性Voがメインに入ってきます。微かな男性の語りもワンポイントで。何処かポップになり切れないインダストリアルを感じます。 ★B2 “Electric Like An Eel” (3:47)は、ロック調のマシンリズムに、不思議なシーケンスと地を這うB-Synth、そこに突き放すようなVoが乗る曲ですが、曲はミニマルで、シンセの音色もグーです! ★B3 “Ending Of The Stream” (3:00)では、フランジャーの掛かった低音持続シンセに、土俗的生DrsとVo、それに流れるようなシンセとGが加わり、シンセ版ポストパンクのような曲に仕上がっています。 ★B4 “The Dice Man Will Become” (4:07)は、アップテンポな生DrsとBかつドリーミーなパワーポップな曲で、ノリも良く、シンセも秀逸で、思わず踊りたくなります。 ★B5 “Mocking Laughter” (4:28)は、直線的なキックとBで始まり、ポストパンクなVoが乗ってくる曲ですが、脇を固めるGやシンセが嘗てのFactory系のバンド・サウンドを想起させると同時にドリーミーさも感じます。 私的には、凄く好みのサウンドで、インダストリアルと言う程、悪意や攻撃性は無く、寧ろ、セカンドの頃のSuicideの淡い感情や1980年代のポストパンクやパワー・ポップ或いはガレージのロックっぽさを上手く自分達のテイストとして消化していると感じました。なので、確かにミニマルな曲は多いですが、シンセ・ウェーブよりももっと「ロック」に近いとも思えますし、インダストリアルともインダストリアル・ロックとも全く異なる「歌心」があるように感じます。そう言う意味では、結構、掘り出し物でした❗️多分、好きな人にはピッタリハマると思いますので、先入観無しで聴いてみて下さい!ありそうで無かったサウンドです。 https://youtu.be/_nX6wZz7uLU?si=qQKplt2sOsJc_HWh [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nQmflopNqtRhxj1Xe2wOVqaSoPGanSn9g&si=SpkBrPrVQDfGDDO2 [BandcampのURLも貼っておきます] https://theserfsmusic.bandcamp.com/album/half-eaten-by-dogs #TheSerfs #HalfEatenByDogs #TroubleInMindRecords #3rdAlbum #USA #CincinnatiUnderground #SynthPunk #PostPunk #MinimalWave #PowerPop #Garage #打ち込み #Shoegazer #Synthesizers #DylanMcCartney #DakotaCarlyle #AndieLuman #Guests #EricDietrich #LukeCornett #BradleyKennedy
Synth Punk / Post Punk / Minimal Wave Trouble In Mind Records 2900円Dr K2
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Group Rhoda “Wilderless”
Group Rhodaとは、米国CA州Oakland在住のMara Barenbaumのソロ電子音楽プロジェクトのことで、2009年頃から活動を開始しています。そうして、2012年に、ファーストアルバム”Out of Time, Out of Touch”をNight School Recordsから出し、その翌年にはセカンド・アルバム”12th House”をNot Not Funから出しています。同年には、Max + Maraと言うデュオで、Dark Entriesより、唯一のアルバムLP “Less Ness”を出しています。因みに、Max + Maraは、Mara Barenbaum (Synth, Vo)とMax Brotman (Synth, Vocoder)から成るデュオで、Barenbaumはその半分、即ち、シンセとドラムマシンを担当しています。このデュオについては、もしアルバムを入手しましたら、その機会にでも 詳細を紹介したいと思います。そうして、2017年には本作品でもあるサード・アルバム”Wilderless”を、2020年に、(今の時点で最新の)4枚目のアルバム”Passing Shade”をDark Entriesから出して、Group Rhodaとしての活動も、順調に進んでいます。その為、彼女は、Oaklandのエレクトロ・ミュージック・シーンの統合メンバーとしても重要視されており、執筆やライブ・パフォーマンスにも力を入れているそうです。 と言うのが、Group Rhodaの略歴で、割と最近のアーティストであることが分かりました。このソロプロジェクトの3作目”Wilderless”は、San FranciscoのRoom 5にて、Mark Pistelによってミックスされており、BerkeleyのFantasy Studiosにて、George Hornによってマスタリングされています。A面4曲/B面3曲が収録されています。それでは、各曲についてご紹介していきましょう。 ★A1 “Trespass” (5:32)は、アシッドなベースラインとマシンリズムに、空虚さを滲ませるVoとシンプルなシンセのリフで淡々とした曲となっています。余り余計な音が無いのが特徴かと感じましたが、後半は豊かな電子音が花開いています。 ★A2 “Ice House” (5:06)も、同じくシンプルで柔らかなシンセとマシンリズムに、淡々としたVoから成る曲ですが、Synth-Bの音色がA1と同じですね。曲自体は、打ち込みなのに、意外に複雑だと思います。 ★A3 “June” (4:27)は、やや切羽詰まった曲調ですが、決して叫んだりすることはなく、あくまでも柔らかい声のVoを聴かせてくれます。ポリ・シンセの使い方が絶妙に上手いですね。曲も打ち込みにしては複雑で、楽しめます。 ★A4 “Mexi Meri” (3:28)は、ドリーミーな曲調で、マシンリズムとSynth-Bと優しく浮遊感のあるVoで、シンプルに聴かせてくれます。ドラムマシンのオカズの入れ方なんかも秀逸です。 ★B1 “Agua De Florida” (5:32)は、怪しげと言うかアラビックな曲調で、ディレイを掛けたVoが素晴らしいです。特に、後半のベースラインはカッコ良く盛り上がりますね。 ★B2 “Sea Or Be Sea” (5:08)も、アラビックなメロディが紡がれる曲で、ふわふわの抱き枕を抱いているような心地良さが感じられる打ち込みによる曲で、これがマシンリズムとシーケンサーとシンセで作られているのに驚きますね。 ★B3 “Scia” (5:50)は、ややアップテンポな曲ですが、攻撃的な印象等は無く、あくまでも彼女の優しさの範囲は越えてはいません。ただ、ブリブリしたSynth-Bの音色や複雑なシンセのリフやドラムマシンの打ち込みなんかも聴取できて、興味深いです。 天は二物を与えず、とは言うものの、Mara Barenbaumには、緻密な曲作りと天使のような柔らかい声質のVoと言う二物が与えられ、本作品は、それらを遺憾無く発揮している傑作だと思います。あくまでもソフトで優しいシンセ・ウェーブとしてですが。それと、ちょっとだけ気になったのは、Synth-Bの音色が、どの曲も殆ど変化が無かったことで、そこら辺は好き嫌いが分かれるかもしれませんが、私的にはちょっと残念でした。ただ、打ち込みながらも、曲構成は、1980年代のシンセ・ウェーブのミニマルさはなく、かなり複雑な譜面でプログラミングしているので、こう言うところが、1980年代のシンセ・ウェーブとは大きく違うところなんだなと感心しました。個人的には、こう言う曲構成も好きですね。なので、女性Voもののシンセ・ウェーブでの「新」ジャンルに興味のある方は是非体験してみて下さい❗️ A4 “Mexi Meri” https://youtu.be/__4AInDTwWY?si=QluGuiGhySOylTW_ [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_legTbDusVwECJvHBAtyhKb-J7pIGEAU48&si=RcKaW6AlCoD542wo [BandcampのURLも貼っておきます] https://grouprhoda.bandcamp.com/album/wilderless #GroupRhoda #Wilderless #DarkEntries #USUnderground #OaklandElectroMusicScene #LivePerformance #Writing #SoloProject #宅録 #ThirdAlbum #SynthWave #ElectroPop #Synthesizers #DrumMachine #MaraBarenbaum #Max+Mara
Synth Wave / Electro Pop Dark Entries 1100円Dr K2
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The B-52’s “Mesopotamia”
この前、The B-52’sのファースト・アルバムをご紹介しましたが、いつものように通販サイトを眺めていたら、The B-52’sのアルバムがありましたので、その後、どう言う風に変わっていったかを知りたくて、思わずポチりました。それが、3枚目のスタジオ・ミニ・アルバム”Mesopotamia”です。このミニ・アルバムでの特徴は、プロデュースがTalking HeadsのDavid Byrneがやっていることなんですね。当時と言えば、Talking Headsもアフリカン・リズムを大々的に取り入れて、ビッグバンド化していた時期でしたので、その傾向があるのかなあ、ホーン類やPercを多量に導入し、多重録音しているのかなとも思ってました。ただ、David Byrne自身は、このプロデュースをやる上で、レーベル側との衝突があったらしく、その結果、6曲入りのミニアルバムになったとのことです。それと、それまではDrsに専念していたKeith Stricklandが、KbdやB, Marimba等の楽器の演奏にシフトして、代わりにゲストのYogi HortonがDrsを演奏している点も大きいのではないでしようか?また、The B-52’sにとっても、セルフタイトルのファーストやセカンドアルバム”Wild Planet”に収録されている曲は、デビュー前からライブで良く演奏していたもので、今回はゼロから曲作りをすると言う意味でも大変だったらしいです。と言う訳で、本作品の参加者と担当楽器は、Cindy Wilson (Vo), Fred Schneider (Vo), Kate Pierson (Vo, Kbd, B, Organ, Bird Calls), Ricky Wilson (G, Kbd, B, Organ), Keith Strickland (Kbd, B, Drs, Organ, Piano, Marimba, G)の他に、ゲストとしてDavid Byrne (Fretless-B, Synth, G, Perc), Yogi Horton (Drs), Ralph Carney (Sax), Roberto Arron (Sax), David Buck (Trumpet), Charles Rocket (Accordion), Steve Scales (Perc)も参加しています。録音は、1981年9月にNYCのBlank Tape Studioで行われています。それでは、David Byrneプロデュースの3枚目のスタジオ・ミニアルバム”Mesopotamia”の各曲を紹介していきましょう。 ★A1 “Loveland” (5:00)は、タイトなリズム隊に、Cindyの元気一杯のVoが弾けている曲で、Gの刻みやシンセ音も心地良く、音も全体に厚くなっていますね。 ★A2 “Deep Sleep” (3:29)は、リズムマシンと生Drsに生ピアノやシンセ/Gが交互に絡み、囁くような2人の女性Voが入ってくる曲で、落ち着いた感じですね。 ★A3 “Mesopotamia” (3:49)では、タイトなリズム隊(DrsとSynth-B)に、単音弾きのGと男女Voが入ってきて、如何にもB-52’sらしいです。 ★B1 “Cake” (5:48)でも、リズムは強烈で、低音シーケンスとオルガンに、女性2人のVoが弾けています。隠し味のマリンバもですが、ホーンやGのコード弾きは新境地ですね。 ★B2 “Throw That Beat In The Garbage Can” (4:30)でも、打ち込みSynth-Bと生Drsのリズム隊に、FredのVoがメインで、女性コーラスがサブな曲ですが、シンセの音色とかフレーズが何故かDevoっぽい。 ★B3 “Nip It In The Bud” (3:32)は、最初のG一髪、カッコ良いビート感のある曲で、CindyのVoやGのフレーズもイカしています。しかし、こんなにG弾きまくっている曲はB-52’sには珍しい。 こうして聴いてみると、ファースト辺りの曲と印象がかなり違います。唯一、今までのキッチュさを感じたのは、タイトル曲のA3ですね。かと言って、Talking Heads色/アフリカン色もそんなに感じませんでした。リズム隊はタイトでしっかりしており、ダンス・ミュージックとしては成立していますので、ご安心を!大雑把に言ってしまうと、友達のパーティ・バンドが大ホールのダンス・バンドになった?と。そこら辺の楽器の音色とかアレンジの妙は流石、David Byrneプロデュースと言うところでしよう。ただ、個人的には、あの紛い物っぽいアメリカンなキッチュさが好きだったので、少々残念な気もしました。まあ好き嫌いは分かれるとは思います! https://youtu.be/A_wg-4A05mc?si=Po_9PxGf7n-aEuXt [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLkeXnBQNUnE25PsQ68wCiaRGM1RWKnJDe&si=nSzhMhGLTNS-mqt2 #TheB-52’s #Mesopotamia #WarnerBrosRecords #ThirdAlbum #Mini-Album #NewWave #SynthPop #CindyWilson #FredSchneider #KatePierson #RickyWilson #KeithStrickland #Producer #DavidByrne #Guests #YogiHorton #RalphCarney #RobertoArron #DavidBuck #CharlesRocket #SteveScales
New Wave / Rhythmic Music Warner Bros. Records 1400円Dr K2
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Xex “Xex:Change”
いきなりXexって言われても、訳分かんないよねぇー。元々、私がここら辺に注目していたのは、米国レーベルDark Entriesが、盛んに1980年代のシンセ・ポップ音源(その殆どがミニマル・ウェーブと言われる形態であり、2000年以降、欧州とかでは人気のジャンルでもあります)の発掘をやっていたからなんです。いわゆる、その頃って、安価なシンセとドラムマシンの使用と国際的カセット・カルチャーとが見事に結び付いていた時代だったと思います。だから、何の情報も無しに、Bandcampとかで視聴して面白かったバンドの音源を探していたのです(まぁ、郷愁に浸るだけですが)。それで、今回は、米国NewJerseyのXexの未発表音源LPと1981年のライブDVDと言うお得なセットをご紹介したいと思います。 先ずは、Xexのバイオグラフィーを分かる範囲で書いておきます。Xexは、全員がシンセ(とドラムマシン)を担当しているNJ州South Riverのバンドで、結成は定かではないですが、高校同級生のトリオ編成だったのが、Rutgers大学の友達も加えて、Xexが結成されたようです。その時のメンバーは、Alex Zander (Drum Machine, Vo), Jon-Boy Diode (Synth, Vo), Thumbalina Guglielmo (Synth, Vo), Waw Pierogi (Synth, Vo), Cookie Ruggerio (Vo, Synth)とのことで、シンセもARP等を使っていたようです。そうして、1980年に、彼等はファースト・アルバム”Group:Xex”を自分達のレーベルWhat's That Music Recordsから出しており、その目的の1つが、最も暗くて深いレーガンの時代からのタイムカプセルみたいなものを考えていたようで、もう1つの目的は未来志向だそうです。まあ、その後は続かず、知らない間に消滅しており、すっかりXexのことは忘れ去られていました。しかし、1998年に、DJ Tom Smithが、その唯一のアルバムをラジオ局WFMUの音楽ライブラリーから見つけてしまい、バンドのメンバーの許可を得て、2004年にそのアルバムをCDの形態でSmack Shire Recordsから出しています。こんな動きがあって、Dark Entriesも、2011年に、このアルバムを再びLPとしてリイシューし、更にメンバーに協力してもらい、未発表音源を発掘・コンパイルして、本作品であるアルバム”Xex:Change”を2013年にリリースしたとのことです。しかも、1981年4月9日に地元ライブハウスHurrahで行われたライブ動画をDVDとして付けてのリリースです。これは貴重ですよぉー。それでは、Xexの本作品のLPの各曲を紹介していきましょう。DVDについては全体をご紹介することにします。 ◼️LP ★A1 “Fast Food” (4:23)は、重めのドラムマシンと直線的シーケンスに、男女のVoがポツリと歌う曲で、シンセソロも簡素で、微笑ましいです。 ★A2 “Trust In Machines” (3:29)は、やや複雑なリズムセクションに、女性Voが精気無く歌う曲で、シンセのSE的リフがポイントですね。 ★A3 “Fun In The Sun” (5:24)は、スローテンポなドラムマシンとシーケンスとホワイトノイズのPercに、女性Voが淡々と歌う暗い曲で、間奏のシンセが何故か悲しげです。 ★A4 “Vietnam Vet” (3:41)は、重めのSilicon Teensみたいな曲で、野卑な男性Voと女性コーラスから成りますが、やはり軽やかさ不足が特徴でしょうか? ★B1 “Heartbeat” (5:21)は、結構凝ったシーケンスとドラムマシンに、男女Voの掛け合いとシンセのリフが乗る、垢抜けた曲で、心地良いです。曲自体はミニマル。 ★B2 “Form Follows Function” (4:44)も、同期させたシンセでリズムとシーケンスを打ち込んでいますが、コード進行は3コードのロッケンローですね。この曲でも男女Voの掛け合いが聴けます。 ★B3 “Dance For The Limbless” (6:50)は、四つ打ちキックのダンサブルなリズムに、多層化した女性VoとSE的シンセや宇宙音が乗る曲で、タイトル通りで、ミニマルで催眠的! ◼️DVD - Live At Hurrah April 9, 1981 1 “St. Vitus Dance” 2 “Fashion Hurts” 3 “Times For Love” 4 “Rome On $5 A Day” 5 “Form Allows Function” 6 “Compact Love” 7 “Heartbeat” 8 “Svetlana” 9 “Dance For The Limbless” 実は、DVDは、今回初めて観ました。映像では、女性2名を含む5人で演奏しており、その内、男性1名がE-Percを担当、女性1名はVoのみで、シンセは男性2名と女性1名が担当しています。しかも、シンセ奏者は曲によってシンセはそのままに、シェアして演奏しており、またシーケンサーは使っておらず、ベースラインは手弾きのようです。ただ、キックだけはドラムマシンのようです。いやーここまで、ローテックとは思いませんでした。また、その為か、曲も単純なものが多く、演奏も決して上手くはない、寧ろ下手です。しかしながら、「B-52’s meet Kraftwerk」のような雰囲気は、当時の米国ハイティーンの流行を反映しており、大変興味深いものです(学芸会的なノリではありますが)。そんなXexですが、LPでは、結構ちゃんとした演奏で、ややダークな曲が多く、なんか、DVDのバンドとは別物かも?と思う程、違います。それぞれ、面白いと思いますし、LPでの素っ気ないVoの掛け合いや重めのビートなんかも、ミニマル・ウェーブとして楽しめますので、そこら辺のバンドの発掘音源に興味があるリスナーさんにはお勧めしますよ❗️ [LPの曲のまとめは無かったので、各曲を別々に貼っておきます] A1 “Fast Food” (4:23) https://youtu.be/w-TApqa2LUY?si=Va2_VremSFzNsJjY A2 “Trust In Machines” (3:29) https://youtu.be/CQfGEzGmI0I?si=VJHTQVZC_C4sZI3M A3 “Fun In The Sun” (5:24) https://youtu.be/m2YIYySDc7w?si=nknt3CMChsz9yqiw A4 “Vietnam Vet” (3:41) https://youtu.be/hdipem6kpRU?si=kJpc_6rpAvLlJJ0a B1 “Heartbeat” (5:21) https://youtu.be/jjmVDzXyMLU?si=lRj_qqUDeOQZ48Jx B2 “Form Follows Function” (4:44) https://youtu.be/blxv7yTLFbE?si=i6FvAMbOlcEdc9Iw B3 “Dance For The Limbless” (6:50) https://youtu.be/VVhuSQlHn0s?si=U_mwp8Nel0FygeQ0 [Live at Hurrah, Apr. 9, 1981] https://youtu.be/uR_5R1-ymSE?si=XREekX9CljH5yxz- [BandcampのURLも貼っておきます] https://xexgroup.bandcamp.com/album/xex-change #Xex #Xex:Change #DarkEntries #AmericanUnderground #NewJersey #PreviouslyUnreleased #SynthPop #MinimalWave #Synthesizers #DrumMachine #ElectronicPercussions #NoGuitar #Vocal #AlexZander #Jon-BoyDiode #ThumbalinaGuglielmo #WawPierogi #CookieRuggerio
Synth Pop / Minimal Wave Dark Entries 1000円位?Dr K2
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Flipper “Love”
これは、1980年からのファンとしては、買っちゃいますよねー!米国パンクの中でも、「クズ」と言う意味では「真」のパンク、Flipperのスタジオ・アルバムとしては4枚目”Love”、しかも白盤❗️まあ、当然、CDは持っていたのですが、やっぱりVinylとなると買っちゃいますね。スタジオ・アルバムとしては4枚目ですが、ライブ・アルバムも混ぜると、8枚目になります。 Flipperのバイオグラフィーは、あんまり書いていなかったかもしれませんので、ちょっと書いておきます。結成は、1979年、CAのSan Franciscoです。Flipperは、元SleepersのRicky Williams (Vo)、元Red CommandのTed Falconi (G)、それにNegative TrendのWill Shatter (B)とSteve DePace (Drs)で結成されましたが、Williamsはバンドが何か録音を始める前にドロンしています。それで、Bruce “Loose” Calderwood (Vo)が代わりに加入、LooseとShatterは曲によってパートをチェンジするようになります。因みに、Falconiは元ベトナム帰還兵で、非常にユニークなGを当時から弾いています。それで、Flipperの最初の音源は、SFの新興レーベルSubterranean Recordsの7㌅コンピ・シングル”SF Underground”で、これがリリースされたのは、1979年後半で、次に、1980年には、Flipper単独のシングル”Love Canal”/“Ha Ha Ha”がリリースされます。1981年に、名曲”Sex Bomb”を含むセカンド・シングルが出て、パンクスの間でバンドの悪評が高まっていきます。翌年1982年に、ファースト・アルバム”Album - Generic Flipper”がSubterranean Recordsよりリリース、同時に、シングル"Get Away"/"The Old Lady that Swallowed the Fly"もリリースされます。この頃になると、SFでも定期的にライブをやるようになりますが、他のパンクバンドが、速いハードコア・パンクへ向かうのに対して、Flipperは、遅く沈み込むような曲を演奏しています。しかし、パンクスからは賞賛され、至る所にFlipper Rulesとスプレーで落書きされています。1983年には、Rick Schmidtの自主制作映画”Emerald Cities”にFlipperの曲3曲のライブ映像が使われています。1984年には、名曲”Sacrifice”等を含むセカンド・アルバム”Gone Fishin’”がSubterranean Recordsよりリリースされます。また同年には、カセットレーベルROIRから、CBGBでのライブ音源から成るライブアルバム” Blow'n Chunks”がリリース、これは1990年にはCD再発されています。そうして、1986年には、ボードゲーム付き2枚組ライブアルバム”Public Flipper Limited”がリリースされますが、1987年12月9日に、Will Shatterが薬物過剰摂取で他界してしまい、レーベル側は、バンドのシングルやレア音源を集めたアルバム”Sex Bomb Baby”をその年に出しています。一旦、バンドは休止していますが、1990年に、シングル”Some Day"/"Distant Illusion"を、1991年には、新たなライブ・アルバム”Nürnberg Fish Trials”を出します。この時には、John DoughertyがBで参加しており、1992年には、新メンバーで新レーベルDef Americanよりスタジオアルバム”American Grafishy”をリリースします。しかしながら、この年に、一番最初のVoだったRicky Williamsもヘロインの過剰摂取で他界してしまい、また、新BだったDoughertyも1997年に薬物で他界してしまいます。その後、バンドの新作リリースは止まりますが、2002年に、Bruceは、自らの名前をLoseからLooseに変えて、杖をついて、しかもバンド名はNot Flipperと名乗って、Berkeleyで一夜限りのライブを行います。この時には、以前手伝ってもらったBruno DeSmartassがBで参加しており、その後も、このラインナップで2006年からライブを再始動します。2006年12月に、Bruno DeSmartassの代わりに、元NirvanaのKrist NovoselicがBで加入し、英国、アイルランド、全米のツアーを敢行しています。なお、2000年にリリースされたNirvanaトリビュートアルバム用に録音した "Scentless Apprentice"は、セットリストに加えられています。そうして、2008年にNovoselicを加えて新録が開始され、2009年5月19日に、ツイン・アルバムがリリースされます。1つは、本作品でもあるスタジオ新録アルバム”Love”、もう1つは、新旧の曲を集めたライブアルバム”Fight”です。共に、シアトルのJack Endinoがプロデュースしています。しかしながら、Novoselicが家庭の事情で、2009年9月までに脱退しなければならないとアナウンスし、FrightwigにいたRachel Thoele (彼女はゴッホの娘らしい)がBとして加入します。2008-2009年に、Flipperが今まで出した作品のCDリイシューが盛んに行われましたが、2015年10月に、BにBruno DeSmartass、VoにScratch Acid / Jesus LizardのDavid Yowを迎えて、SFで2日間ライブを行っています(因みに、Bruce Looseは2015年に他界しているようで、杖をついていたのも、事故で脊椎を痛めたのだとか?)。そうして、2019年に、Flipperは結成40周年を迎え、バンドは今後、パーマネントなBは置かず、Steve DePace, Ted Falconi, David Yowの3人でやっていくと宣言します。Bとしては、Rachel ThoeleやMinutemenのMike Watt、Krist Novoselicがその都度ヘルプで入るような感じですが、No ParentsやMike Watt & The Secondmen, Quiらのサポートの下、ThoeleをBに添えて欧州ツアーを考えているとのことです。 以上がFlipperの略歴となりますが、今だに現役なのが凄いです。また、Flipperに影響を受けたバンドには、Nirvana, American Hardcoreの著者Moby, Black FlagのHenry Rollins等がいますし、The MelvinsやR.E.M., Unsaneは、Flipperの曲のカバーもしています。それで、本作品”Love”についてですが、メンバーは、先述の通り、Bruce Loose (Vo), Ted Falconi (G), Krist Novoselic (B, Back-Vo [A2]), Steve DePace (Drs, Back-Vo [A2])の4人で、演奏としては一番安定していたのではないかと思われます。では、各曲をご紹介していきましょう。 ★A1 “Be Good, Child!” (1:44)は、とにかくドライブするリズム隊と吐き捨てるようなVo、それにアップピッキングでノイズのようなG、全てがカッコ良い! ★A2 “Learn To Live” (3:05)も、やや落ち着いたテンポですが、次々吐き出されるVoはパンクそのもの。しかし、Gはどんなリフを弾いているか不明で、それに対し、Bの音色はゴリゴリしていてグー! ★A3 “Only One Answer” (6:15)は、Flipperらしい曲で、スローで沈み込んでいくようなミニマルなBラインと必死でそれに争うDrs、ギラギラのノイズを振り撒くGと毒づくVo。完璧だ! ★A4 “Live Real” (2:36)も、A1と同様にドライブするリズム隊とノイジーなGのコントラストがカッコ良い。 ★A5 “Triple Mass” (2:41)は、変則的なBラインで始まり、それを突き崩そうとしながらも、ビートをキープするDrs、それらとは関係なさげなGに、ニヤリとするVoが叫びまくります。 ★A6 “Love Fight” (4:52)も、多分、表題曲なんでしょうが、スペシャルなものは無く、ひたすら単調でノイジーな坩堝の中でBruceが叫びまくります。 ★B1 “Transparent Blame” (2:26)は、珍しくGから始まりますが、タイトなリズム隊と伸び切ったゴムのようなGに、唾を飛んでくるようながなり声。相変わらず、単調なんですが、心地よい。 ★B2 “Why Can't You See” (6:33)は、もうFlipperの真骨頂とも言えるスローダウンな曲です。逆に言えば、この曲だけ聴いてもらっても良い位です。ダラダラしているが強迫的なGと一言一言しっかりと叫ぶVoは、何とも説得力があるではないか! ★B3 “Night Falls” (3:33)は、タイトでドライブ感のある曲で、録音自体良いのもありますが、多分、Novoselicの加入による影響ではないかと思われます。新境地かな? ★B4 “Old Graves” (8:55)も、モロFlipperな曲ですが、タイトルとマッチしており、不気味な様相を呈しており、本当に沼地にズブズブ沈み込んでいくように錯覚します。珍しく、Voにはエフェクトが掛けられており、それが返って怪しげでもあります。 ここに書いた紹介は、筋金入りのFlipperファンである私の単なる美辞麗句なのかもしれませんので、余り当てにはしないで下さい。それから、本作品では、Novoselicの加入で、ドライブする曲が多めのようにも思えます(FalconiのGは相変わらずだけど)。でも、A3やB2, B4が好きな方は多分、Flipperを好きになれると思います。確かに、最初の2枚のアルバム位までは、本当にクズな演奏を繰り広げていましたが、ここまでくると、単にクズと言うよりも、もはや貫禄すら感じますね。クズ王、即ち、彼等の音楽こそ濃厚パンクエキスの抽出物です!まぁ、聴いたことのない方は一度、聴いてみて下さい❗️ https://youtu.be/-IAYiVhcuqw?si=UNfUH2c0dpsAekpk #Flipper #Love #MVDAudio #2009年 #Repress #2014年 #4ThStudioAlbum #WestCoastScene #AmericanUnderground #Punk #TruePunk #Legend #BruceLoose #TedFalconi #SteveDePace #KristNovoselic #Nirvana
Punk MVD Audio €12.00Dr K2
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Devo “Oh, No! It's Devo”
またまた、ヤフオクで競り落としました。Devoの5枚目のスタジオ・アルバム”Oh, No! It’s Devo”です。ここら辺のDevoには当時、関心が薄れていたこともあって、買っていませんでしたので、まあ、Devoが私(達)にとって何者だったのか?も知りたくて、今更ながら聴くことにした訳です。前回、次のアルバム”Shout”を聴いていた訳ですが、その時に思ったのは、「漸く、時代がDevoに追い付いた」でした。これはDevoの歩みが遅くなったのか?それとも我々の歩みが早くなったのか?は分かりませんが、漸く、普段見聞きするポップスのレベルが、1980年代前半のDevoを理解可能なレベルまでになったのではないかと思いました。では、今回はどうでしようか?楽しみですね。後、1990年代に聞いた噂ですが、ある方が「Devoを日本に呼んでくれませんか?」と、あるプロモーターに尋ねた所、「Devoねぇ、、、う〜ん」と渋ったとか。この逸話もDevoの立ち位置らしいなぁと、その時は思いました。まあ、それは別として、2023年暮れには、Super Dommuneで、Devoの特集も組まれていましたので、Devoって、時代によって、その評価が変わり易いバンドなんだと思います。 本作品の参加メンバーは、変わらず、Mark Mothersbaugh (Vo, Kbd, Synth, G), Gerald Casale (Vo, B, Synth-B, Kbd), Bob Mothersbaugh (Lead-G, Vo), Bob Casale (Rhythm-G, Synth, Vo), Alan Myers (Drs)の5人で、その他にAnnerose Bücklers (Back-Vo [B6])がゲスト参加しています。内容的には、A面5曲/B面6曲となっており、前作からシンセを大々的に導入していますね。それでは、本作品収録の各曲について紹介していきます。 ★A1 “Time Out For Fun” (2:48)では、シーケンスと生Drsに合わせて、Devo流のシンセのリフとVoが乗ってきますが、コーラス部分はグーです。 ★A2 “Peek-a-boo!” (3:01)のタイトルは「いないいないばあ」は意味ですけど、そこら辺も含めて、Devoっぽいですね。やはり、シーケンスと生Drsに、ちょい変なアレンジのシンセとVoから成る曲です。 ★A3 “Out Of Sync” (3:34)でも、Bはシーケンスに取って代わられ、それに生Drsで、曲の殆どでシンセが使われていますが、コード進行がDevoっぽいですね。 ★A4 “Explosions” (3:01)では、アレンジがDevo的で、中々楽しめる曲です。GeraldはBを弾いているみたいですし、コーラスワークなんかも楽しいです。 ★A5 “That's Good” (3:23)は、如何にもDevo的なリズム隊と、簡素なシンセのリフと恐らくMarkの独特のVoで、前作との連続性を感じます。 ★B1 “Patterns” (2:57)は、曲の骨格とアレンジが中々Devo的なんですが、曲調はやや悲しげかな?ここで漸く、Gのリフを聴くこと出来て、嬉しい限りです。 ★B2 “Big Mess” (2:42)も、出だしからモロDevoの曲調で、往年のDevoの未発表曲と言っても通用しそうです。個人的には、こう言う曲を待っていた! ★B3 “Speed Racer” (2:38)でも、Voと濁声のコーラスの掛け合いは、往年のDevoを想起させる曲で、チープなシンセのリフも味わい深いです。 ★B4 “What I Must Do” (2:34)も、Devo的なアレンジをビンビンに感じる曲で、Drsとシーケンスによる同期演奏やシンセの音色及びVoのメロディラインが懐かしさすら感じます。 ★B5 “I Desire” (3:13)は、ちょっと正攻法で攻めているシンセポップのようですが、やっぱり一筋縄では行かないのがDevoで、間奏のGソロやコーラスワークなんかもそれっぽいんですよ。 ★B6 “Deep Sleep” (3:24)では、独特のシーケンスと曲調で押し切るDevo流のロックを聴かせてくれます。この曲は、このアルバム前後のMarkの不睡眠症用音楽(“Musik For Insomniaks”等)のアイデアから生まれたのかな?と深読みしてしまいます。 やはり、Devoのここら辺の曲は慣れ親しんでいないことや初期のようにロックのフォーマットでは無く、シンセバンド化している為、リスナーの方が、何だか不完全燃焼な気分になりますねぇ(私だけかもしれませんが)。やはり、初期の破天荒なシンセの使い方や曲の変態性からすると、物足りない感じは残ります。しかし、Devoらしさは、アレンジの細かい所なんかには発見出来ますので、ちょっとは安心します(特にB面)。しかし、どんどんマトモになっていくDevoにちょっと残念さを感じざるを得ません(或いは今回のユニフォームがイマイチだったのかな?)。でも、単にヒット曲が無いと言うだけで、この作品を聴かないのも勿体無いので、気になる方は一度は聴いてみてちょ❗️あと、私が「Devo的」とか言っているのは、一種の変態的アレンジなんかのことですが、ずっとDevoを聴いてきたリスナーさんには何となくわかるかな? B6 “Deep Sleep” [live version] https://youtu.be/rs1KZpFeOSs?si=pmiCKMNstYUf0kEy [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lLguIf2b4kjbqNgUZBX0rlaH6AITRZAxU&si=0XXtxSTqmcImb8Kv #Devo #OhNo!It’sDevo #WarnerBrothRecords #5ThStudioAlbum #ElectroPop #NewWave #SynthRock #Synthesizers #MarkMothersbaugh #GeraldCasale #BobMothersbaugh #Bob1号 #BobCasale #Bob2号 #AlanMyers #AnneroseBücklers
Electro Pop / Synth Rock Warner Broth Records 1000円Dr K2
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Devo “Shout”
最近、Devo熱がまた上がってきて、ついつい買ってしまいました。今回は、スタジオ・アルバムとしては6枚目”Shout”をご紹介します。実は、このアルバムは、出た時に、ちょっと気になっていたんですが、その時は「まぁ、Devoはもういいかぁ」と思ってスルーしていたんですよ。そんな訳で、久しぶりに、このアルバムをヤフオクで落札しました。Devoのバイオグラフィーは以前に書いてありますので、そちらをご参照下さい。 本作品でのメンバーは、Mark Mothersbaugh (Vo, Kbd, Synth, G), Gerald Casale (Vo, B, Kbd, Synth), Bob Mothersbaugh (Bob1号: Lead-G, Vo), Bob Casale (Bob2号: Rhythm-G, Kbd, Synth, Vo), Alan Myers (Drs)で、それ以外にEmulatorのプログラミングの補助として、Will Alexander (Programming Consultation), Al Horvath (Emulator Programs), Bill Wolfer (Emulator Programs)も加わっています。内容も両面とも5曲ずつと収録されています。それでは、各曲をご紹介したいと思います。 ★A1 “Shout” (3:15)は、かつての”Devo Corporation Anthem”を想起させるシンセで始まり、大胆なDrsとSynth-Bでノリの良い曲になります。シンセも大々的にフィーチャーされています。 ★A2 “The Satisfied Mind” (3:06)は、ヴォコーダーVoも使ったイントロから始まり、迫力あるリズム隊とシンセのリフから成る曲で、Voのメロディ・ラインは不変! ★A3 “Don't Rescue Me” (3:04)は、完全にシンセとシーケンスを使ったシンセポップになっていますが、飛び道具のシンセや唐突な終わり方はDevoですね。 ★A4 “The 4th Dimension” (4:26)は、ちょっと落ち込んだ雰囲気で始まりますが、曲としてはシーケンサーも使ったシンセポップです。如何にもDevoな変なアレンジは細かい箇所にちょっとだけ。 ★A5 “C'Mon” (3:16)は、生Drs(?)を使ったシンセポップですが、細かいアレンジやシーケンスの絶妙さ或いはGソロにDevoっぽさを感じます。 ★B1 “Here To Go” (3:15)は、イントロの変態さにDevoらしさを感じますが、ほぼ全部打ち込みなのかな?曲調やGソロやDrsソロはDevoっぽい。 ★B2 “Jurisdiction Of Love” (2:58)は、怪しい感じの打ち込みによるシンセポップですが、コーラスとか間奏のGの音色とかにDevoを感じます。 ★B3 “Puppet Boy” (3:08)も、出だしのVo等は、如何にもDevoっぽく、その後、ちょい変なシーケンスのシンセポップになっていきます。特にこの曲はDevoのイメージそのままな感じです。 ★B4 “Please Please” (3:00)も、一聴、シンセポップなんですが、細かい所がちょい変なんですよ。例えば、ヴォコーダーVoのコーラスとかサブ・シーケンスに乗ってくるシンセとか。 ★B5 “A U Experienced?” (3:08)は、Jimi Hendrixのカバーですね。その為、Gの比重が他曲より多いです。逆回転も含んだアレンジからは、完全にシンセポップ化してしまい、原曲は欠片しか残っていません。 本作品は一回聴いただけでは、その良さは分からないなあ。一聴すると、やたらDrsが大胆なシンセポップ或いはシンセをふんだんに使ったポップロックみたいな演奏にしか聴こえないし。しかしながら、デビュー当時のDevoの変態的アレンジや演奏が凄過ぎて、本作品では、それ程ズレている部分が目立たず、本当に細かいところに、そんなDevoっぽさを感じるだけなので、時代が彼等に追いついてしまったのではないだろうか?と考え込んでしまいました。でも、この作品がリリースされたのが1984年と言うことを考えると凄いのだけれども。まあ、再結成したDevoも、今では、初期の曲ばかり演奏しているみたいですし、仕方ないのかな?ちょっと寂しいな。なので、Devoの変態性を少しでも感じていたいと思うコアなファンの方だけにはお勧めします❗️ B5 “A U Experienced?” (MV) https://youtu.be/qonTIZGu27w?si=bhnQN6_FtVKtmtrK [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nTtIBRyH6k79Z2JAcPHyIZQQsz2W0cAtU&si=JIwvn3snMkl5cFmE #Devo #Shout #WarnarBrothRecords #6ThStudioAlbum #TechnoPop #ElectroPop #SynthRock #Synthesizers #Emulators #JimiHendrix #CoverSong #MarkMothersbaugh #GeraldCasale #BobMothersbaugh #BobCasale #AlanMyers
Electro Pop / Synth Rock Warner Broth. Records 550円Dr K2
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The Velvet Underground with Lou Reed “1969 Velvet Underground Live With Lou Reed”
久々にThe Velvet Underground (以下、Velvetsと表記)のアルバムを聴いてみようと思います。とは言っても、1974年にリリースされたライブ・アルバム”1969 Velvet Underground Live With Lou Reed”です。これは日本盤だと1枚のLPに短縮されてしまっているのですね(調べるまで知らなかったです)。私のは米国盤の再プレス盤ですので、2枚組です。Velvetsのバイオグラフィーは、以前にも書いてありますので、そちらをご参照下さい。本作品では、1969年10月19日、Texas州DallasのEnd of Cole Aveでのライブ(A1, B2, C2, D5 & intro D1)と1969年11月のCA州SFのThe Matrixでのライブ(A2-B1, B3-C1, C3-D4)の音源をまとめた内容となっており、この時のメンバーは、Sterling Morrison (G, Vo), Lou Reed (Vo, G), Maureen Tucker (Perc), Doug Yule (B, Organ, Vo)となっています。因みに、1969年と言うのは、Velvetsの4枚目のスタジオ・アルバム”Loaded”を録音中の年でもあります(リリースは翌年1870年です)ので、”Loaded”収録曲も、本作品には収められています。なお、本作品には、A面4曲/B面5曲/C面3曲/D面5曲がそれぞれ収められています。おっと、その前に、[1]はファースト・アルバム”The Velvet Underground & Nico”に、[2]はセカンド・アルバム”White Light/White Heat”に、[3]はサード・アルバム”The Velvet Underground”に、[4]は4枚目アルバム”Loaded”に、[VU]はコンピ・アルバム”VU”に、[AV]はコンピ・アルバム”Another View”に収録されている曲で、[?]は出典不明としています。それでは、各曲についてご紹介していきましょう。 ◼️LP1 ★A1 “Waiting For My Man” (7:00)[1]は、有名な代表曲ですね。簡素なDrsにルーズな2本のGが絡むと、やっぱり良いですわぁ。BPM上げての終わり方もグー! ★A2 “Lisa Says” (5:46)[VU]は、しっとりとしたスローな曲ですが、サビでのReedのVoが演奏と共に盛り上がるのはサイコー!後半の軽快なビートも良いです。 ★A3 “What Goes On” (8:47)[3]は、直線的なビートが効いた曲で、ひたすらジャカジャカかき鳴らすGと後半のYuleのオルガンはカッコ良いです! ★A4 “Sweet Jane” (3:58)[4]は、やや甘めのバラードですが、今なら見向きもされない程、演奏自体は下手くそです。でも沁みるんだよなぁ。 ★B1 “We're Gonna Have A Real Good Time Together“ (3:12) [AV]は、軽快な疾走感のある曲で、割とポップ色が強いですね。歌詞自体は単純極まりないけど。あと間奏Gは後のMarsへと受け継がれますね。 ★B2 “Femme Fatale” (3:01)[1]も、彼等の代表曲ですが、この曲はやはりNicoが歌った方がしっくりくる。 ★B3 “New Age” (6:31)[4]も、スローテンポで落ち着いた曲ですが、サビになる時だけ盛り上がります。しかしながら、最後のビートの効いたパートも捨てがたいです。 ★B4 “Rock And Roll” (6:00)[4]は、疾走感のあるカッコ良い曲ですが、偏執狂的な演奏は鬼気迫るものがありますね。でもカッコ良いです。 ★B5 “Beginning To See The Light” (5:26)[3]も、割とビートの効いたポップン・ロックですが、歌詞は単純なので、一種の呪文のようです。サビでハモるところはゾクゾクしますね。 ◼️LP2 ★C1 “Ocean” (10:46) [VU]では、Tuckerにしては、珍しくシンバルを叩きまくってはいますが、ビートの方はBとかがキープしています。次第にオルガンも加わり、Drsもドタドタしてきて、盛り上がっていきます。 ★C2 “Pale Blue Eyes” (5:50)[3]は、タンバリンでリズムを取るTuckerとBのYule、それにMorrisonのGがゆったりしたテンポを刻み、Reedのやや気怠げなVoとユラユラしたGから成る曲で、良い雰囲気です。 ★C3 “Heroin” (9:42) [1]も、時代を象徴する、彼等の代表曲の一つですが、ヘロったReedの囁くようなVoにユラつくGのアルペジオで静かに始まりますが、サビに近づくと高揚してきます。このセックスのような対比/緩急がこの曲の最も面白いところで、最後はまるで射精したかのように終わります。 ★D1 “Some Kinda Love” (4:44)[3]のMCは別にして、曲自体は、如何にもVelvetsらしい簡素なリズム隊と単純なビートを刻むGに、味のあるReedのVoが盛り上げていくものです。 ★D2 “Over You” (2:15) [?]も、軽快なリズム(Tuckerはシンバルを使っています)ですが、ポップ・ミュージックのセオリー通りに演奏しても、Velvetsらしさは残りますね。 ★D3 “Sweet Bonnie Brown/It's Just Too Much” (7:50) [?]の前半は、アップテンポなロッケンローなんですが、転調がVelvetsらしく、オルガンやGソロも良い味を出しています。後半になると、テンポはそのままに、Bがプレスリーのようなフレーズを叩き出し、ノリノリな正当派ロッケンローに移行します。 ★D4 “White Light/White Heat” (8:32)[2]も、彼等の代表曲の一つで、個人的には結構好きな曲ですね。コーラスワークとVoの掛け合いにはゾクっとします。長めのグチャグチャなGソロも後進に与えた影響は大きいと思います。 ★D5 “I'll Be Your Mirror” (2:17)[1]は、TuckerのタンバリンのリズムとYuleの控えめなのにツボを押さえたBとMorrisonのGに乗せて、透き通るようなコーラスとVoで、あっという間に終わってしまいます。 と言う訳で、Velvetsのライブを堪能しましたが、これを買った時には、余りピンと来なくて、正直、あんまり聴いていませんでしたが、今回、聴き直しで、やっぱりVelvetsには演奏能力とは違うベクトルでの魅力があるのだなあと感心させられました。知ってる曲も知らない曲も何かVelvets臭があり、それが彼等の魅力なんだろうと思います。決して、音が良いライブ盤ではないですが、そんなことを考えると、改めて、Velvetsの魅力を再認識させられたと言う感じです。 クレジット LP1 A1 “Waiting For My Man” (7:00) A2 “Lisa Says” (5:46) A3 “What Goes On” (8:47) A4 “Sweet Jane” (3:58) B1 “We're Gonna Have A Real Good Time Together“ (3:12) B2 “Femme Fatale” (3:01) B3 “New Age” (6:31) B4 “Rock And Roll” (6:00) B5 “Beginning To See The Light” (5:26) LP2 C1 “Ocean” (10:46) C2 “Pale Blue Eyes” (5:50) C3 “Heroin” (9:42) D1 “Some Kinda Love” (4:44) D2 “Over You” (2:15) D3 “Sweet Bonnie Brown/It's Just Too Much” (7:50) D4 “White Light/White Heat” (8:32) D5 “I'll Be Your Mirror” (2:17) D4 “White Light/White Heat” https://youtu.be/mVhGzWb2ci0?si=-T_IqPFJwgEbSZ7v *注意: 一応、Vol.1 とVol.2としましたが、本作品のLP1とLP2とは異なります。ダブっている曲もあります。 [Vol.1 album] https://youtube.com/playlist?list=PLokvsi1OMd-funNmAeMOi2TUcpG1RRL_k&si=TUwOoOPxHSFONhrJ [Vol. 2 album] https://youtu.be/8vXZPRO-1Gs?si=tiiMCxeGRvrL2gDS #TheVelvetUnderground #LouReed #1969VelvetUndergroundLiveWithLouReed #Mercury #LiveAlbum #1969年 #EndOfColeAve #Dallas #TheMatrix #SanFrancisco #Repress #ArtRock #PopMusic #Psychedelic #DougYule #MaureenTucker #SterlingMorrison #LouReed
Art Rock Mercury 不明Dr K2
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John Cale “Honi Soit”
前々から興味のあったVelvet Undergroundですが、ちょっと横道に逸れて、創設メンバーのJohn Caleを聴いてみようと思いましたので、ヤフオクでポチりました。Lou Reedの方は名(迷)作”Metal Machine Music”や”Berlin”で少しは聴いていたのですが、John Caleに関しては全くちゃんと聴いていなかったので、今回が初めてと言うことになります。Caleのバイオグラフィーについては、簡単に書いておきます。John Cale、本名John Davies Caleは、英国ウェールズCarmarthenshireのGarnantで、炭鉱夫の父親と学校教師の母親の間に生まれました。7歳の頃、聖公会の牧師と音楽教師から性的悪戯をされていますが、その頃には、Ammanford教会でオルガンを弾いています。それで、BBCは、彼が初めて作曲したアダム・カチャトリアン風のピアノ曲トッカータを録音しています。13歳になると、彼はViolaの才能に目覚め、ウェールズ国立青年オーケストラに参加、その後、ロンドン大学Goldsmiths校で、音楽を専攻し、学士を取得しています。また、彼は、1963年7月に、あるフェスで初期のFluxusのコンサートを企画したり、短編映画”Police Car”にも携わり、1963年7月には、新しく結成された前衛集団の為、”Fluxus Preview Review”の中に2曲を提供しています。また、同年には、英国て行われたJohn Cageのピアノとオーケストラと為の最初のコンサートで指揮をしています。それで、Aaron Coplandの勧めで、彼は音楽修行の為に米国、特にTanglewoodに行くことになります。それで、NYCに到着したCaleは、1963年9月に、John Cageによって企画された、Erik Satieの”Vexations”と言う18時間40分も掛かるピアノ「マラソン」に参加しており、その様子はTV番組I’ve Got A Secretで放映されています。後に、Caleは、John Cageの落ち着いた芸術的風貌が、 Cage自身の書籍にはよく表れていると述懐しています。一方で、Caleは、La Monte Youngの永遠音楽劇場でも演奏しており、この時の影響で、ドローンをThe Velvet Underground (以下、Velvetsと表記)にも活かされていると回想しています。Caleは、前衛音楽としてロック(The Who, Kinks, Small Faces等)を聴いて親しんだきたこともあって、その年にLou Reedと彼のルームメイトAngus MacLise及び同級生のSterling Morrisonと共に、Velvetsを結成しています。その後、MacLiseが直ぐに辞めた為、Moe Tuckerを正式メンバーとします。Velvetsの話しは過去にしていますので、そちらをご参照下さい。極々簡単に言いますと、Lou ReedとJohn Caleの音楽性の溝が大きくなり、Caleは、1968年に脱退しています。ただし、1970年にVelvetsが”Ocean”と言う曲を録音している時に、Caleはオルガンで参加しており、アルバム”Loaded”にこの曲は収録されています。それで、Velvets脱退後、Caleは、プロデューサーとして活動し、The StoogesのデビューアルバムやNicoの3部作”The Marble Index“ (1968年作), Desertshore (1970年作), The End... (1974年作)等をプロデュースしています。それ以外にも、ソロアーティストとしても活動しており、1970年に、ソロとしては、ルーツ・ロックなファースト・アルバム”Vintage Violence”を出していますが、1971年2月には、より実験的なアルバム”Church Of Anthrax”をミニマル・ミュージックの開祖Terry Rileyとのコラボで出しています。また、1972年には、後に映画のサントラとなる作品”The Academy in Peril”を映画の完成前に作っており、翌年には、アルバム”Paris 1919”を出しています。Caleはこの時期に、Jennifer Warnes, Modern Lovers等のプロトパンク・バンドのプロデュースや、更にはPatti Smith, Squeeze. Sham 69のプロデュースも行ったり、Island Recordsのスカウトもやったりしています。しかし、Caleは、1974年ロンドンに戻り、ダークでおどろおどろしい曲調が多いアルバム3部作”Fear” (1974年作), “Slow Dazzle” (1975年作), “Helen of Troy” (1975年作)を僅か1年間で出しています。この時には、ライブも再開したおり、有名なElvis Presleyの"Heartbreak Hotel"の強烈に歪んだカバーもやっています。そして、Kevin Ayers, Nico, Enoと共にライブアルバム”June 1, 1974”を出しています。その後、1977年には、ノルウェーの劇作家Henrik Ibsenによる演劇”Hedda Gabler"をベースにしたEP”Animal Justice”をリリースしています。そのラウドで荒々しく迎合しないライブは当時のパンク・ロック・シーンに受け入れられていきます。時に、彼は13日の金曜日のジェイソンのような被り物でライブをやったり、鶏の首を切ったりと過激な演出もしていますが、これは彼によると、コカインの大量接種によるものとされています。その後、彼は英国パンクバンドのプロデュースをやっていますが、1979年12月には、パンクロックへのオマージュとして、”Sabotage/Live”をリリースしますが、同年CBGBで行われた3回以上のライブ音源が使われており、そのアグレッシブなVoや演奏は、このアルバムを全くの「新曲」のように聴かせています。また、同年になると、Caleは、ピアノやARPシンセを使うようになり、4枚目のアルバム”You're Never Alone with a Schizophrenic”で披露しています。この時期には、DeerfranceやIvan Král及びJudy Nylonと一緒にライブをやっており、後に(1987年)、ライブ・アルバム”Even Cowgirls Get the Blues”をリリースします。1980年に、CaleはA&M Recordsと契約し、よりコマーシャルな方へ舵を切り、本作品でもある7枚目のソロアルバム”Honi Soit”を1981年にリリースし、Mike ThorneのプロデュースやAndy Warholのカバーアート等も得ますが、この音楽性では成功せず、A&M Recordsとの関係は終わります。その為、彼は、ZE Recordsと契約し、1982年にアルバム”Music for a New Society”を出しますが、これは、彼の初期の洗練された曲調とその後のおどろおどろしい曲調が上手くブレンドした作品となり、隠れた傑作とも評されます。その後、1984年に、9枚目のスタジオ・ソロアルバム”Caribbean Sunset”をZE Recordsから出しますが、これは前作よりもずっと受け入れ易い仕上がりとなっており、音楽評論家からは悪い反応でしたが、蘭アルバムチャートにもチャートインしています。その後、ライブアルバム”John Cale Comes Alive”を出して、1985年に商業的成功を狙ったアルバム”Artificial Intelligence”をBeggars Banquet Recordsからリリースします。このアルバムはシンセやドラムマシンをふんだんに使ったポップ志向の強いもので、編集者Larry "Ratso" Slomanともコラボしましたが、全く成功しませんでした。唯一の”Satellite Walk”が若干ヒットした位です。同年、Caleは、Kurt Vonnegutのショートショート”Who Am I This Time?”のドラマ化の際に音楽を付けたりもしています。そうして、Caleは再び、プロデュース業を始め、ベルギーのポップ歌手LioやHappy Mondays, Element Of Crime等のアルバムに携わっています。この時期、彼の下の娘のこともあって、録音やライブからは離れていましたが、1989年に、Enoの協力の元に復帰し、アルバム”Words for the Dying”をリリースしています。このアルバムでは、詩人Welshman Dylan Thomasが1982年に書いたフォークランド紛争に関する詩を用い、2つのオーケストラと2つのピアノソロが収録されています。まだまだ、彼の活動は続くのですが、一旦、ここまでとして1990年以降については、またの機会に書くことにします。 それで、本作品”Honi Soit”について紹介します。先述のように、John Caleがポップ路線に舵を切ったアルバムで、Mike ThorneがPC処理とプロデュースを行い、Andy Warholがジャケのコンセプトを出した作品でしたが、商業的には成功しませんでした。そんな作品ですが、これはCaleにとって7枚目のスタジオ・ソロアルバムで、参加者はJohn Cale (Lead-Vo, G, Viola, Kbd), Sturgis Nikides (G, Back-Vo), Jim Goodwin (Kbd, Synth, Back-Vo), Peter Muny (B, Back-Vo), Robert Medici (Drs, Back-Vo), John Gatchell (Trumpet)で、A面5曲/B面4曲が収録されています。それでは、各曲について紹介してしきましょう。 ★A1 “Dead Or Alive” (3:51)は、かなりポップ色が強く、意外にもJohn Caleが朗々と歌っています。またトランペットのメロディが心に残ります。 ★A2 “Strange Times In Casablanca” (4:13)は、ややしっとり系のポップスで、若干のVelvets感がありますが、バックのシンセの低音がちょっと不気味ですね。 ★A3 “Fighter Pilot” (3:10)では、いきなり女性コーラスで、ビックリしますが、そこだけ変拍子なんですね。曲自体はポップで、CaleのVoも良く通っています。 ★A4 “Wilson Joliet” (4:23)は、ややしっとりした落ち着いたバラード調のポップスで、CaleのVoも抑揚をあり、聴かせて、最後に「狂気」を垣間見ます。 ★A5 “Streets Of Laredo” (3:34)も、一聴、変拍子?と思われる譜割で、如何にもCaleらしいですが、間奏のViolaが中々良いです。 ★B1 “Honi Soit (La Première Leçon De Français)” (3:20)は、PercとスライドGのイントロがスリリングで、途中のトランペットも効果的な「アメリカン」な曲ですね。バックのコーラスも良い塩梅です。 ★B2 “Riverbank” (6:26)は、しっとりして落ち着いたピアノ中心のバラードで、気怠いVoもマッチしていますね。ただ曲構成は当たり前過ぎて、ちょっと残念です。 ★B3 “Russian Roulette” (5:15)は、ハードボイルドなカッコ良い「アメリカン」なロックで、Gのリフや歌い方やVoに、特に「アメリカン」を感じますね。 ★B4 “Magic & Lies” (3:26)では、ピアノの弾き語りで始まり、やがて曲の盛り上がりで他の楽器も入ってきます。曲自体は良いのですが、もう少しCaleっぽさが欲しかったですね。 と言う訳で、アルバムとしては、確かにポップ・ミュージック路線ですが、決してこれが駄目とは思えなくて、程良いポップネスを感じることが出来て、良く出来た作品であると思います。A面では、このポップネスにCaleっぽさも感じられますし。多分、Mike Thorne (この人はWireの最初の3枚のアルバムをプロデュースしています)のプロデュース力もあると思います。なので、John Caleのポップな面を堪能したい方にはお勧めします❗️ A3 “Fighter Pilot” https://youtu.be/CG9ohNojpPo?si=ODc1T0SdxCV-Fi_4 [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_m5W4g2nBwdxc08TCIjXMvkrFRB2xUzJ54&si=rhGcHqh_hJwNwnud #JohnCale #HoniSoit #A&MRecords #SoloAlbum #7ThStudioAlbum #ArtRock #PopRock #Commercial #SturgisNikides #JimGoodwin #PeterMuny #RobertMedici #JohnGatchell #MikeThorne #AndyWathol #TheVelvetUnderground
Art Rock / Pop Music A&M Records 1980円Dr K2
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Devo’s Gerald V. Casale “The Invisible Man”
先日のDommuneでDevoの特集がありましたが、私は丁度、自分のライブがあった為、観ることができませんでした!残念❗️と言う訳でもないのですが、Mark Mothersbaughと並んで、Devoのブレインの1人でもあるGerald V. Casaleのソロアルバム”The Invisible Man”を紹介します。この作品は、元々、Record Store Dayの為に作られています。先ずは彼個人のバイオグラフィーを紹介しておきます。Gerald Vincent "Jerry" Casale (元々の姓はPizzute)は、米国ニューウェーブ・バンドDevoの創設者/ベーシスト/ヴォーカリスト/ソングライターであり、Bob2号ことBob Casaleは実の弟です(Bobは2014年2月17日に61歳で他界)。Gerald V. Casaleは、Ohio州Ravenna生まれで、初めのバンドThe The Numbers Band (別名: 15-60-75)でベースを弾いていた彼は、考え方の違いでよく口論になっており、それでバンドを脱退しています。彼はKent州立大学で芸術(特にパーフォーミング・アートやファッション)について学んでいました。1960年代後半には、自称ヒッピーでしたが、1970年5月4日の銃撃事件を機に、ヒッピーを辞め、1973年に、Bob Lewisと共に、「退化」のコンセプトで、Devoを始めます。その時のメンバーは、Casale (B), Mark Mothersbaugh (Vo), Markの兄弟Bob (Lead-G), Jim (Electronic Drs)でしたが、Gerald Casale (B)は、Bob Casale (Second-G), MarkとBob Mathersbaugh兄弟, Alan Myersと共に、バンドを段々と堅固なものにしていきます。1978年10月14日には、TV番組Saturday Night LiveにDevoは出演しており、同年、デビュー・アルバム”Q: Are We Not Men? A: We Are Devo!”をリリースしており、露出が大きくなっていきます。まあ、その後はDevoのバイオグラフィーと同じになるので、Casaleのソロ・アーティストとしての経歴を紹介します。2005年から、彼はJihad Jerry & the Evildoersというソロの為のバンドを、Devoと並行して、始めます。このバンドは、Devoよりもハードでブルース・スタイルの音楽をやっており、Hard-Core Devo時代1974-1977年)の多くの曲を新たにアレンジし直して演奏しています。このバンドは、Gerald Casale, Bob Mothersbaugh, Mark Mothersbaugh, Bob CasaleのDevoのメンバーに加えて、Josh Freese, Steve Bartek, Josh Hager, Geri Lynn, Alex Brown, Dave Schulzもメンバーとなっているようです(担当楽器は不明)。それで、2005年11月に、”Army Girls Gone Wild”がデジタル配信され、翌年8月にはらアルバムとして”Mine Is Not a Holy War”がiTuneで配信され、9月にはCordless Recordingsによってリリースもされています。更に、2021年7月には、新たなシングルとビデオ"I'm Gonna Pay U Back"もリリースされています。また、Casaleは、1987年作Joe Roth監督のコミカル映画”Revenge of the Nerds II: Nerds in Paradise”や1988年作Dimitri Logothetis監督のホラー映画“Slaughterhouse Rock”のサントラを担当していたり、Devo, The Cars, Rush, Foo Fighters, Soundgardenなどのミュージック・ビデオの制作も行なってきています。ソロアルバムとしては、現在までに、6枚制作しており、本作品”The Invisible Man”は、2023年現在では、最新作となっています。 そんな多才なGerald V. Casaleの最新作”The Invisible Man”について紹介していきます。先ず、今回のメンバーですが、Gerald V. Casale (Lead-Vo, B, Synth)の他に、Josh Freese (Synth, Programming, Perc), Jeep Jone (Ukulele, Organ, Others), Steve Bartek (G), Jade Hendrix (Back-Vo [A1-A3]), Peggy Gedeon (Back-Vo [B1-B3]), Sharon Hendrix (Back-Vo [A1-A3])が参加しています。 ★A1 [Single] "The Invisible Man" (2:46)は、流石にDevoのブレインだけもある、ちょっとの変なエレクトロ・ポップになっています。途中で出てくるギターソロもカッコ良い! ★A2 [De-Construction] "The Invisible Man" (4:36)では、先述のギターソロが更に長く続き、正に「脱構築」ヴォージョン!強力です。 ★A3 [Instru-mental] "The Invisible Man" (2:46)は、A2に続く連続インスト曲ですが、とにかく、直線的なシーケンスがカッコ良い。やっぱり、インストでも曲の良さは変わらない、いや倍増しています! ★B1 [Lounge] "I'm Gonna Pay U Back" (3:05)は、元曲を聴いていないので、よく分からないですが、ブラシでのドラム・ワークと、ヘンテコなサビは雰囲気爆発ですね。オルガンのフレーズで曲の良さがわかりますね。 ★B2 [E-Z Listening] "I'm Gonna Pay U Back" (3:05)では、ヴォーカルの音量が抑制されている所がE-Z listeningなのかな? ★B3 [E-Z Listening Instru-mental] "I'm Gonna Pay U Back” (3:05)も、B2に連続して収録されているインスト・ヴァージョンなのですが、インストの方が曲の良さが分かりますね。 と言う訳で、今回はDevoの左利きベーシストにしてブレインの1人でもあるGerald V. Casaleのソロアルバムを聴きましたが、アルバムと言うよりもリミックス集のような内容になっていました。しかしながら、彼がこんな良い曲を書けることを思い知らされました。内容が内容だけに一般のリスナーさんにはお勧めし辛いのですが、Devoのファンなら、是非とも聴かれることをお勧めします❗️ A1 [Single] "The Invisible Man" https://youtu.be/jC2UHmoeGko?si=pQFdLcWFZmbHAbez A2 [De-Construction] "The Invisible Man" https://youtu.be/YLWLI2F3CPI?si=BFRzCooiAGWORzex A3 [Instru-mental] "The Invisible Man" https://youtu.be/HDahmkRaouU?si=VCNjuWOi0Hw04RYQ B1 [Lounge] "I'm Gonna Pay U Back" https://youtu.be/n7j9OTsIVws?si=xnkPHRp0nzJ9J34T B2 [E-Z Listening] "I'm Gonna Pay U Back" https://youtu.be/LbYCTHkHv9U?si=ojm3FjQZSvU7vOrd B3 [E-Z Listening Instru-mental] "I'm Gonna Pay U Back” https://youtu.be/uJmO2g_0t2c?si=HyeqawmHtYdDOba7 #GeraldV.Casale #Devo #TheInvisibleMan #MVDAudio #MiniLP #SoloAlbum #RecordStoreDay #Electronic #Rock #Synthesizers #SingleVersion #DeconstructionVersion #InstrumentalVersion #LoungeVersion #E-ZListeningVersion #I’mGonnaPayUBack #JoshFreese #JeepJone #SteveBartek #JadeHendrix #PeggyGedeon #SharonHendrix
Rock / Electronic MVD Audio 748円Dr K2
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Pussy Galore “Live In The Red”
やっと引っ張り出しました!Pussy Galoreのライブ・アルバム”Live In The Red”です。暫く聴いていなかったのですが、ちょっとロックなアルバムが聴きたくて、探しました。先ず、Pussy Galoreのバイオグラフィーについて書いておきます。Pussy Galoreは、米国Washington D.C.で、1985年に結成されたガレージ/パンク/ジャンク・ロック・バンドで、1990年に解散しています。彼等は “Rolling Stones meet Einstürzende Neubauten”と呼ばれる特異な立ち位置にいました。もう少し詳しく書きます。元々は、Ivy League college Brownの学生だったJohn Spencer (G, Vo)とJulia Cafritz (G, Vo)が、1984年にJohn Hammill (Drs)を誘って結成したのが、最初で、シングル” Feel Good About Your Body”を出しています。その後に、Neil Hagerty (G)が加入し、EP”Groovy Hate Fuck”を自身のレーベルShove Recordsから出しています。SpencerとCafritzが大学を卒業後、彼等はNYCに活動の場を移し、そこで、16歳のCristina Martinezをギタリストとして加入させますが、彼女は単に7㌅シングルの写真のモデルとしてだけで、演奏はしていません。そうして、Hammillはクビになり、元Sonic YouthのドラマーだったBob Bert (Drs)が加入します。その時に、Sonic Youthの誘いで、Rolling Stonesの”Exile On Main Street”を丸々カバーした限定カセット・アルバムを出しています。 Pussy Galoreは、1987年1月には、EP”Pussy Gold 5000”を自身のレーベルから出しますが、この時には、既にメタル・パーカッションを使っており、メンツはJohn Spencer (Vo, G, Metal-Perc), Neil Hagerty (G, Vo, Organ), Julie Cafritz (G, Vo), Cristina Martinez (G, Organ), Bob Bert (Drs, Metal-Perc)です。その直後に、Martínezは脱退しています。1987年9月に、彼等はデビュー・アルバム”Right Now!”をCaroline Recordsから出しますが、直後に、Hagertyが脱退し、代わってKurt Wolf (G)が加入します。しかしながら、Hagertyは、EP “Sugarshit Sharp”の時に戻ってきて、逆にWolfはLoudspeakerに加入する為に脱退しています。このEPは、1980年代中期の曲”Yu-Gung”から続く、Einstürzende Neubautenのインダストリアル/ダンス・バンド的側面をガレージ・ロックの文脈で解釈した名盤と評されています。彼等は、Neubautenの音をサンプリングしたり、引用したりしており、その為、F.M. Einheitが”Yu-Gung”のカバーをいたく気に入っています。そして、このEPでは、彼等は新しいロゴYu-Gung Man(Neubautenのロゴに、Rolling Stonesの舌のトレードマークを加えたPussy Galoreのロゴ)をジャケに使っています。そうして、1989年に、彼等はセカンド・アルバム”Dial 'M' for Motherfucker”をリリースします。初めはアルバム・タイトルは”Make Them All Eat Shit Slowly”にしようとしたのですが、レーベル側から拒否されてしまいます。この作品はより明確な実験性みたいなものがありました。このアルバムを作製したことで、Cafritzは、よりバンドにのめり込むことになったようです。1989年には、彼等は、Black Flagの曲”Damaged I”のカバーを含むスプリット・シングルを出しており、また、これとは別に、Black Snakesとのスプリット・シングルを日本のSupernatural Recordsから出しています。その後、Cafritzは脱退しており、Spencer, Hagerty, Bertのトリオになって、最後のスタジオ・アルバム”Historia de la Musica Rock”を1990年に出して、バンドは解散しています。 それで、本作品ですが、これは、1989年8月5日に行ったCBGBでのライブ音源で、この時のメンバーは、Jon Spencer (G, Vo), Neil Hagerty (G, Vo), Kurt Wolf (G), Bob Bert (Drs)です。A1以外は全曲、Spencerが曲を書いており、A1はThe Twighlitersの曲のカバーです。それから、BurtのDrsセットのスネアはメタパーで、シンバル類は殆ど使っていません。また、編成を見て分かる通り、トリプル・ギターで、ベースレスです(Copass Grinderzみたいですね)。今回は各曲の紹介はしませんが、とにかく、ぶっ壊れていて、カッコ良いロックを聴きたければ、是非とも自分の手に取って、聴いてみて下さい‼️音質は決して良くはありませんが、かなり熱量の高い音楽なので、ご注意を❗️またこの手のロックは一時期、Junk (Rock)とも呼ばれてみたいですが、どうも日本だけみたいです。語感はピッタリなんですけどね。 A1 “Nothing Can Bring Me Down” (1:39) A2 “Adolescent Wet Dream” (1:23) A3 ”Sweet Little Hi-Fi” (2:36) A4 “Understand Me” (2:25) A5 “Pig Sweat” (1:58) A6 “1 Hour Later” (2:37) A7 “Dead Meat” (2:05) A8 “SM57” (2:39) A9 ”DWDA “(0:31) A10 “Wretch” (1:53) A11 “Kicked Out” (1:17) B1 “Evil Eye” (3:21) B2 “New Breed” (1:49) B3 “Undertaker” (2:22) B4 “Dick Johnson” (2:09) B5 “Hang On” (6:46) B6 “Kill Yourself” (3:06) B7 “Alright” (2:31) A5 “Pig Sweat” [live in London] https://youtu.be/0CBUmkopM8c?si=jOQ45O_ce2g_AIbn [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mqxWTfMQe8MMqU75DY76ce0tVzAkSzXwQ&si=Ihkcbz-ghgLrFMIW #PussyGalore #LiveInTheRed #InTheRedRecordings #LiveAlbum #CBGB #Yu-GungMan #JonSpencer #NeilHagerty #KurtWolf #BobBert #RollingStones #EinstürzendeNeubauten #MetalPercussions #GarageRock #Lo-Fi
Gaage / Punk In The Red Recordings 不明Dr K2
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Ric Ocasek “Beatitude”
皆さん、Ric Ocasekについてどんなイメージがありますか? The Carsのメンバー?それともSuicideのプロデューサー? まあ、どちらもありだとは思うのですが、個人的には、やっぱりSuicideのセカンド・アルバムのプロデュースの方が大きいですね。そんなRic Ocasekのファースト・ソロ・アルバムが、この”Beatitute”です。それで、先ず、彼のバイオグラフィーを書いておきます。本名Richard Theodore Ocasekのチェコ系米国人で、父親はNASAで働いていました。彼はAntioch College and Bowling Green State Universityに入学しますが、音楽にのめり込んで、ドロップアウトしてしまいます。Ocasekは、1965年に、The CarsのBenjamin Orr (B)のバンドThe Grasshoppersのライブをテレビ番組Big 5 Showで観て、OrrとClevelandで出会います。その2〜3年後、Ocasekは、Ohio州ColumbusでOrrを再会し、2人は、1968年に、ID Nirvanaと言うパンドを結成し、大学とかで演奏しています。その後、2人は色々な場所に移りますが、1970年代初頭にBostonにやってきて、Crosby, Stills & Nash調のフォーク・ロック・バンドMilkwoodを結成し、1973年初頭にアルバムを出しますが、全然売れませんでした。このアルバムに参加していたGreg Hawkes (Kbd)は後のThe Carsのメンバーになります。Ocasekは、OrrとHawkesらと共に、Richard and the Rabbitsと言うバンドを結成していますが、一方でOcasekとOrrはアコースティック・デュオとしても演奏しています。この時に作った曲が、後のThe Carsの曲の原型になっているようです。その後、2人は、Elliot Easton (G)と共に、Cap’n Swingなるバンドを結成。このバンドはWBCNラジオのDJが直ぐに興味を示し、デモテープをラジオで掛けますが、レーベルは見向きもしませんでした。それで、Ocasekは、ベースとドラムを交代させ、The Modern LoversのDavid Robinson (Drs)を加入させ、更にHawkes (Kbd)を呼び戻し、1976年末にThe Carsを結成します。この時のメンバーは、Ric Ocasek (Vo, Rhythm-G), Benjamin Orr (Vo, B), Elliot Easton (Lead-G), Greg Hawkes (Kbd), David Robinson (Drs)でした。The Carsは、1978年〜1988年に、沢山のヒット曲を出し、Ocasekは大部分のVoを担当しています。その後、2010年に、OcasekはThe Carsをオリジナル・メンバーで再結成し、アルバム”Move Like This”を2011年5月にリリースしますが、長続きせず、解散。また、2018年にも一度だけ再結成して、ライブを行い、それでロックの殿堂入りを果たします。それで、Ocasekは、The Cars時代には、様々なジャンルのバンドをプロデュースしており、Suicideは元より、Bad Brains, The Weezer, Romeo Void, Black 47, Bad Religion, Johnny Bravo, D Generation, Martin Rev, Jonathan Richman等々に関わっています。その一方で、Ocasekは、1982年に、最初のソロ・アルバムである本作品をリリースしています。内容的には、The Carsよりも幾分実験的なニュー・ウェーブ・サウンドになっており、Greg Hawkes (Kbd)は勿論、Richard and The RabbitsのFuzzbee Morse (G, Kbd)も参加しています。その後、1986年には、よりシンセに比重を置いたソロ・アルバム”This Side of Paradise”をリリース。The Carsが1988年に解散後、Ocasekは公の場からは消えましたが、1990年にソロ・アルバム”Fireball Zone”を出して、再び姿を現します。その後、1993年に”Quick Change World”を、1996年にはAlan Vegaとカナダの詩人Gillian McCainとのコラボ”Getchertiktz”を、1997年には”Troublizing”を、2005年には”Nexterday”を出していますが、余りファンには人気がありませんでした(ただし、評論家には良い評価を受けていました)。そんなOcasekは、2017年に妻Paulina Porizkovaと別居していましたが、元々、高血圧と冠不全があったこともあって、2019年9月15日にNYCの自宅で亡くなっているのを、彼女に発見されています。 大体、これが、Ric Ocasekの流れになります。私は、個人的にはThe Carsはそんなに好きではなかったのですが、唯一良く聴いていたのが、セカンド・アルバム収録の”Candy-O”と”Shoo Be Doo"の2曲だけでした。また、Suicideのセカンドのプロデュースは秀逸だと思っています。そんなこともあって、このソロ・アルバムを購入したのだと思います。それでは、本作品(両面5曲ずつ)を紹介したいきます。その前に、本作品に参加したメンバーは、Ric Ocasek (G, Kbd, Vo)の他に、Roger Greenawalt (G [A3, B3, B4]), Fuzzbee Morse (G, Kbd [A2, A3, B5]), Casey Lindstrom (G [A2]), Greg Hawkes (Kbd [A4, A5, B2]), Stephen Hague (Kbd [A1-B1]), Darryl Jenifer (B [A2-A4, B4, B5]), Miss Linn (Drs [A1, B1-B3]), Stephen George (Drs [A2-A5, B4, B5]), Akio Akashi (B [B1]), Deric Dyer (Sax [A3]), Steve Cataldo (Back-Vo [A3]), Jules Shear (Back-Vo [A3]), Antonia De Portago (Back-Vo [A1])となっています。 A1 “Jimmy Jimmy”は、やっぱりThe CarsっぽいUS産ニュー・ウェーブかつダンサブルな曲ですね。ただしギターよりシンセの比重が大きいです。ヴォコーダーも使用。 A2 “Something To Grab For”では、ゴリゴリのベースが使われていますが、もしかしてMiss LinnってLinn Drumのことかな? この曲ではギターが結構効いています。 A3 “Prove”は、これまたスラッピーなベースも聴けるファンキーな曲ですが、サビがしっとりしていたり、間奏でSaxソロが入ったりと表情豊かです。 A4 “I Can't Wait”は、シンセとギターのコード進行がソフトな曲で、Ocasekの声質に合っていますね。 A5 “Connect Up To Me”では、A1と同様にベース・シーケンスが走る曲で、シンセのアレンジがニュー・ウェーブっぽいです。 B1 “A Quick One”は、1980年初頭のニュー・ウェーブなラブソングです。Ocasekが、シンセのバックで、ちょい切々と歌い上げます。 B2 “Out Of Control”のイントロのシンセは面白いです。そこから、やや重めのテンポとシンセ・ベースが良い塩梅で流れていきます。ギターのアルペジオもグー! B3 “Take A Walk”は、細いシンセのリフと太いベース・シンセがカッコ良い曲で、変調Voもピッタリです。 B4 “Sneak Attack”は、幾何学的なシーケンスに、直角的ビートが混じり合う、これまた1980年初頭のニュー・ウェーブ調の曲で、かつミニマルです。 B5 “Time Bomb”は、B4から連続して、テクノなシンセから成る曲ですが、ドラムとかが入って来ると、US産のソフト・ロックっぽくなります。Ocasekは切々と歌い上げ、最後はギター弾きまくりです。 色んな所に顔を突っ込んでいるRic Ocasekが、1982年当時に吸収した音楽が見事にこなれて、血肉になっていると思います。彼のイメージは、器用貧乏なんですが、まあ、そう言われても仕方ないかもしれませんね。しかしながら、彼の嗅覚とソング・ライティング能は非常に高いので、このアルバムが生まれたのだと思います。なので、好き嫌いは別にして、一聴の価値はあるかと思いますよ‼️ B1. “A Quick One” https://youtu.be/WDi6yzrY6Ug?si=UsvouyeS18HfzDJ0 [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mdQAitA8qEqd5odPr3AoJIY-KBmYpfPO8&si=Bxgr_982PwWYwrwV #RicOcasek #Beatitude #GeffenRecords #FirstSoloAlbum #NewWave #SynthPop #TheCars #AmericanBand #Vocal #Guitar #Synthesizers #Keyboards #RogerGreenawalt #FuzzbeeMorse #CaseyLindstrom #GregHawkes #StephenHague #DarrylJenifer #MissLinn #StephenGeorge #AkioAkashi #DericDyer #SteveCataldo #JulesShear #AntoniaDePortago
New Wave / Synth Pop Geffen Records 不明Dr K2
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The Mummies “Running’ On Empty Volume Two”
やっと購入出来ました。The Mummiesの”Runnin’ On Empty Volume Two”です。毎度毎度で、すいませんが、まあ、大好きなので仕方ないと思って下さい。彼等のバイオグラフィーは既に書いてありますので、そちらのを参考にして下さい。”Volume One”は比較的入手し易かったのですが、この”Volume Two”も同じセルフ・コンピながら中々入手困難でした。そして、このアルバムの一番の目玉は、B1 “Uncontrollable Urge”〜B2 “Girl U Want”のDevoのロウ・パンク・カバーと、それからの名曲B3 “The Fly”へと流れでしょうね。因みにメンバーは、いつものTrent Ruane (Vo, Organ), Maz Kattuah (B), Larry Winther (G), Russell Quan (Drs)の鉄壁の4人です。 それでは、内容について紹介していきます。A1 “Down Home Girl“は、1993年にPin Up Recordsのアルバム”Part At Steve’s House”の為に録音されましたが、結局は収録されなかった未発表曲で、A2 “Food, Sickles, And Girls”とA3 “In And Out”はRekkid 005 “Food, Sickles, And Girls”の為に録音された曲で、A4 “(You) Can't Sit Down”は、シングルRekkid 001 “Skinny Minni”のB面です。A5 “I'm Gonna Kill My Baby Tonight”は欧州オンリーにリリースされた曲で、Superchargerとのスプリット・シングルに収められています。A6 “(I Should Better Be Lookin' For) Dangerman”は元々はPackの”Looking For Danger”なのですが、欧州ツアーで、お世話になったDangermanの為に作った曲らしいです。B1 “Uncontrollable Urge”とB2 “Girl U Want”はご存じDevoの名曲のカバーで、ライブ音源です。B3 “The Fly”は1994年初頭のJohn Peel Sessionの為にカルカッタで録音したヴァージョンです。B5 “Just One More Dance”とB6 “Babba Diddy Baby”は、Pin Up Recordsのアルバム”Party At Steve’s House”に収録された曲ですが、B4 “The Ballad Of Iron Eyes Cody”とB7 “High Heel Sneakers”については出所は不明です。 本作品は、比較的ちゃんと録音されているからか、今までのペラペラのLo-Fiな感じは余り無く、割と聴き易かったです。しかし、ここまで、The Mummiesに引き込まれてしまうとは‼️何処となく感じる荒削りな演奏が、初期パンクの香りとガレージ独特のカッコ良さを併せ持っていて、かつ、包帯・ボロ切れグルグル巻きで、4人が演奏している姿が余りにもカッコ良かったんだと思います(でもね、包帯の間から見える眼は澄んでいて、本当に可愛いんだよね)。それと、オルガンの響きが途轍もなくカッコ良いと言うのもありますね。あとは、お蔵入りなっていましたが、ブートレッグで出回って、その後、正規でもリリースされた”Fuck The Mummies”を入手したいです!(因みに、ジャケ写で4人が読んでいるのはゴジラとかの怪獣モノの雑誌!) A1 “Down Home Girl” A2 “Food, Sickles, And Girls” A3 “In And Out” A4 “(You) Can't Sit Down” A5 “I'm Gonna Kill My Baby Tonight” A6 “(I Should Better Be Lookin' For) Dangerman” B1 “Uncontrollable Urge” B2 “Girl U Want” B3 “The Fly” B4 “The Ballad Of Iron Eyes Cody” B5 “Just One More Dance” B6 “Babba Diddy Baby” B7 “High Heel Sneakers” [John Peel Session 1994] https://youtu.be/Qoy25TBR1J0 [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lORX3-IRDxndp-qM-9YYcY-sw0G-rrIbE&si=szp7DrZ2vTZxoOxc #TheMummies #Running’OnEmptyVolumeTwo #EstrusRecords #SelfCompilationAlbum #Garage #Lo-Fi #R&B #RawSound #Organ #PreviouslyUnreleasedVersion #LiveTracks #Devo #TrentRuane #MazKattuah #LarryWinther #RussellQuan
Garage Punk Estrus Records 7220円Dr K2
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Diamanda Galás “Broken Gargoyles”
今回は、Diamanda Galásの2023年夏時点での新作”Broken Gargoyles”を紹介します。彼女のバイオグラフィーは既に書いてありますので、そちらをご参照下さい。今回は彼女の名前しかクレジットされていませんが、実はコラボレーターとして、NYCのサウンド・デザイナーDaniel Neumannが全面的に協力しています。それと、本作品は、独逸の詩人Georg Heymの1911年の詩”Das Fieberspital”, ”Die Dämonen der Stadt”, “Der Blinde”, “Der Hunger”の4作品に基づいて、作製されており、それらに対してのDiamanda Galásの解釈と、それを具現化するのに、Neumannが携わってきたらしいです。なので、一種のコンセプト・アルバムですね。なので、内容もA面1曲“Mutilatus”とB面も1曲“Abiectio”と言う長尺の曲が収録されています。それで、本作品は、Diamanda Galás (All Vo :A面 “Das Fieberspital” [6’37”-7’25”と9’43”-9’56”]を除く)とDaniel Neumann (Sound Design, Mix, Electronic Processing, Edit)によって作製されていますが、ゲストとして、Robert Knoke (Vo :A面 “Das Fieberspital” [6’37”-7’25”と9’43”-9’56”]), Teagan Faran (Vln, Viola :B面), T.J. Troy (ジェット・エンジンのカバー, Astro Disc, Timpani, Thunder Sheet: B面), Daniel Neumann (Vermona Modular Synth: B面), Christopher McIntyre (Trombone: B面)も参加しています。また、豪華なブックレットが付いているのですが、Dr. Julia Meierが、”Die Kalte Blecherne Wüste Der Todesdämmerung: The Cold, Metal Desert Of The Twilight Of Death”と言うタイトルで、Luca Zanchiが、”Polyképhalos Nomos: A song Of Many Heads”と言うタイトルで、Thomáš Jirsaが、”Taken From Facing The Faceless: The Erased Face As A Figure: Aesthetic And Historical Experience”と言うタイトルで、それぞれの曲のコンセプトの解説やその具現化仕方について書いています。なので、聴く前の予習と聴いた後の復習をして下さい。そんな危険なアルバムです❗️ それでは、各曲(各面)を紹介していましょう。 A “Mutilatus”: その意味は、The Mutilated、即ち「切断されしもの」であるようです。そして、狂気の歌声を多重録音し、自らが弾くピアノの断片や内部演奏と「何か」を加工した抽象的な音、打撃音などが立ち現れる音(ノイズ)による一大絵巻物を聴いているように感じます。途中で男女の会話形式になる部分で、ゲストのRobert Knokeが出てきています。その後には、呪詛のようにやや潰れた声で、Diamanda Galásが語り掛けるのには、背中が震えました。またその後に聴こえてくるお経のような多層化した声や不吉なピアノの旋律、そして何かが現れるのを待っているかのような雰囲気はずっと続き、最終的にはピアノの音で終わります。全体として、Daniel Neumannのサウンド・クリエーションが素晴らしいです。 B “Abiectio”は、Abjection、即ち「失望」或いは「卑下」「投棄」と言う意味です。軋むような音に狂気を体現したかのような声。弦楽器をバックにDiamanda Galásの呪詛が続きます。その背後には値の知れない「音」(=気配)が白虎しています。やがて、声と気配が絡み合い、再び呪詛の語りが続きます。捨てられた「もの達」の恨み節、弦楽器の不協和音、何かのノイズ、ピアノの打撃音等々が入れ替わり、立ち上がってきて、空間はどんどん捻れていきます。そうして、漸く最後に、金属音らしき音で終わります。 正直、かなりヘビーな作品でした。それだけDiamanda Galásの表現したかった世界と言うのが、ヘビーだったのでしょう。これは、間違い無く、彼女の大傑作なので、是非聴くべきだと断言します‼️あと、このアルバム 作製時は、丁度、コロナ禍のパンデミックの最中で、Galásはサンディエゴに、NeumannはNYCに住んでいたのですが、それを物ともせずに、2020年7月23日にNYCのギャラリーで、2021年7月17日には独のハノーバーで、作製途中の作品としてサウンド・インスタレーションを行なっています。その想いも、この作品の完成度を後押ししていたのでしょう。マスト❗️ A “Mutilatus” https://youtu.be/Wlk2bbZWUUQ?si=BmioInxih-O65U3g B “Abiectio” https://youtu.be/9IC_PemiwZU?si=al5BdqWbJtdeHQre [BandcampのURLも貼っておきます] https://diamandagalas.bandcamp.com/album/broken-gargoyles #DiamandaGalás #BrokenGargoyles #IntravenalSoundOperations #Greek-AmericanFemale #Avant-Garde # #VoicePerformance #Mutilatus #Abiectio #DanielNeumann #Booklet #Photos #Text #RobertKnoke #TeaganFaran #T.J.Troy #ChristopherMcIntyre
Avant-Garde Intravenal Sound Operations 5400円Dr K2
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Cold Beat “War Garden”
これも謎物件です!Cold Beatって誰?ってところからして不明です。どうも、通販の説明文をちょっと読んで、思わずポチったものかと。なので、ちょっと調べてみます。Cold Beatとは、米国CAのSan Franciscoで結成された男女4人組だとか。そうして、2013年に、彼等の最初のレコードである12㌅EP ”Worms” c/w “Year 5772”をメンバー(Hannah Lew)が運営するレーベルCrime On The Moonから出していますので、結成は恐らくその前辺りと思われます。翌年には、ファースト・アルバム”Over Me”をやはり同じレーベルからリリースしていますが、この時は、LP, CD, カセットと言う3種類のフォーマットでリリースされています。その後、2018年には、Eurythmicsの曲のカバーを含むミニ・アルバム”A Simple Reflection”もリリースして、界隈では話題になっていたとか。その後も順調にアルバムなどをリリースしており、本作品”War Garden”は6枚目のアルバムになります。メンバーの変遷について明記している資料は無かったのですが、アルバム”War Garden”に関しては、Hannah Lew (Vo, B), Kyle King (G, Kbd), Sean Monaghan (G), Luciano Talpini Aita (Synth)が参加しています。その他には、Jackson Blumgart (G)やSusie Leni (Drs)も一時期、在籍していたようです。また、今回、彼等が影響を受けたバンド/事柄として、YMO (特にアルバム”BGM”), 仏のAir, A.C. Mariasやベルリンの壁の崩壊などを挙げています。以上が調べた範囲でのCold Beatの流れになります(もっと知っている方がいましたら、ご連絡下さい!)。 それで、本作品”War Garden”を紹介していこうと思います。内容は、A面5曲/B面6曲から成ります。その前に、このアルバム・タイトルについて紹介します。このタイトルは、第2次世界大戦中に国民が自分で野菜や果物を植え、自給自足を奨励した「勝利の庭園」にちなんだものとのことで、それはパンデミック間でも共通するものと彼等は考え、メンバー同士でネットを介して遠隔操作で本作品を作製した経緯によって付けられたものであるとのことです。このネット利用のやり方で、先行シングル”See You Again”を作り上げ、そこに希望を見出したとのことです。正にデジタル・ネイチャーらしい発想ですね。それと、映像作家でもあるVoのLewは、自宅の庭を使って、示唆的なミュージック・ビデオを作製し、庭の手入れが制作に直結する程、重要であったとの逸話もあり、本作品だは「庭」がキーワードとなっているようです。それで、本作品の全体の印象は、一言で言ってしまえば、ドリーミーなシンセ・ポップなんですが、単にシロップ漬けのポップ・ミュージックではなく、そのからはみ出すようなアイデアやコンセプトが感じられ、また、それが彼等の魅力にもなっています。思ったのは、BlondieやMy Bloody Valentine (MBV)なんかの影響もあるのかなぁと言うヴォーカル・スタイルですね。所謂、ウィスパー・ヴォイスなんですが、メロディなんかにもちょっと影響を感じますね。それと、シンセ・ベースの音色の選び方やギターなんかもキチンと要所要所で使っているのも印象的でした。 それでは各曲を紹介していきます。 A1 “Mandelbrot Fall”は小気味良いシーケンスと甘い女性ヴォーカルとコーラスが心地良い曲で、それにシンセ・ソロも良い感じです。 A2 “SOS”は疾走感のあるストレートなマシンビートとシーケンスにウィスパー・ヴォイスが気持ち良い曲で、何となくMBVを思い出しました。 A3 “Tumescent Decoy”のシーケンスやヴォーカルには、何となくチャイナ的メロディを感じます。 A4 “Weeds”はメリーゴーランドのようなシーケンスに乗って、控え目なギターも入ってきて、多重録音されたウィスパー・ヴォーカルが気持ち良いです。 A5 “See You Again”はややダウンテンポの電子バラードで、ギターとシンセとヴォーカルがトロトロに混ぜ合わさっていきます。 B1 “Arms Reach”では、やや強めのビートとシーケンスに乗って、ウィスパー・ヴォイスが流れていきます。 B2 “Year Without A Shadow”は、雰囲気は変わって、四つ打ちキックとイタロ・ディスコなシーケンスを背景に、LewがDebbie Harryのように歌っています。 B3 “Rubble Ren”では、変則的なシーケンスで始まり、そこにヴォーカルが乗る、ちょい実験的な曲です。 B4 “Part The Sea”は、疾走感のあるビートと叙情的なシンセの上で、ふんわりとLewが歌っています。 B5 “Leaves And Branches”は、正にドリーム・ポップの王道な曲ですね。シナ・ロケの”You May Dream”のようで、パーフェクト! B6 “New World”も四つ打ちで、キュートなシンセのリフとメロディアスなヴォーカルが印象的な曲です。 とまあ、こんな風に極上のシンセ・ポップなアルバムなんですが、これが、ネット利用だけで作られたとは思えない位、完成度が高いです。また、重いテーマを扱っているようですが、それを上手くオブラートに包んで提示している点も高評価です❗️ただし、ヴォーカルはシューゲイザー風なので、歌詞は聴き取り辛いです。でも、これからも伸びると思いますので、皆さん、要チェックですよ‼️ A5 “See You Again” https://youtu.be/EGQVoqsA8rw?si=kuQJNp4Apq-Z4h8f [full album] https://youtu.be/uwNfDtYvik0?si=b7qJeIfFU19P3tRy [BandcampのURLも貼っておきます] https://coldbeatsf.bandcamp.com/album/war-garden #ColdBeat #WarGarden #LikeLTDRecords #USUnderground #SynthWave #MinimalWave #Electronic #SynthPop #6thAlbum #Synthesizers #Vocal #HannahLew #KyleKing #SeanMonaghan #LucianoTalpiniAita #DigitalComposition
Synth Wave / Minimal Wave Like LTD Records 1100円Dr K2