モリモト アリオミ “ソニック”

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アナログ縛りの本美術館ですが、今回はモリモト・アリオミ氏のカセット作品を紹介したいと思います。モリモト氏は東京で活動する多彩なミュージシャンで、多くのバンドにギターやベースで参加したりしています。そんなモリモト氏が、「テクノポップ」を作ったと聞いたのは一昨年位でしょうか。その作品は”ピクニック”と題されており、すぐさま入手して聴きました。その作品は、モデュラーシンセとヴォーカルだけで作ったとのことで、それだけでも驚きなんですが,そこに封じ込められた音楽は、テクノポップの仮面を付けた「昭和な」フォーク・ミュージックではないのだろうかと確信しました。その後、モリモト氏はその路線で”クリニック”をカセットで出しております。その時に、モデュラーで弾き語りをやって貰えないだろうか?と企画を立てたのですが、丁度、コロナ禍が厳しい状態であった為、実現はしませんでした。それから、暫く、かの「ニック」シリーズはご無沙汰だったのですが、漸く第三弾”ソニック”が2021年11月にリリースされました。本作品も、インスト曲を含む15曲が丁寧な装丁で包まれています。今回は一部、ハードシンセも使ったとの事ですが、基本、モデュラーシンセとヴォーカルだけです。多くのモデュラー使いのアーティストがクラブ寄りでガンガン行くか電子音楽寄りでゴニョゴニョ行くのに対して、モリモト氏はあくまでメロディとハーモニー、そして小音量で録音されたモデュラーのリズムから成っており、モデュラーシンセの違った可能性を示してくれています。以前、尋ねたら、「ヴォーカルは一発録りです」とのことで、その不安定なVoと簡素な電子音からは、四畳半フォークの流れを感じてしまいます。その柔軟さ、危うさ、心地よさはモリモト氏の「ニック」シリーズの最大の特徴だと思います。十年後位にこれら3部作がレコード・リイシューされることを願って、今は大切に聴いてみたいと思います。

A1 “ソニック” (3:53)
A2 “シネマの夜” (3:56)
A3 “窓拭きのアルバイト” (4:44)
A4 “假想通貨” (3:10)
A5 “シネマの昼” (3:38)
A6 “マネキン” (3:24)
A7 “エレメント” (4:47)
A8 “シネマの朝” (2:14)
B1 “地方銀行“ (3:07)
B2 “都市銀行” (4:13)
B3 “潰れたスーパーマーケット” (4:13)
B4 “あの頃のバンドマン” (4:11)
B5 “毎日が行き止まり” (3:22)
B6 “ルイルイ2” (4:32)
B7 “救世主” (6:12)

[モリモト氏の”ピクニック”収録曲のエレキギター弾き語り]
https://youtu.be/cqHj8tJKwJo?si=D0Gg7geQMfRr7cKO

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