Merzbow/Kapotte Muziek “Continuum”

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本作は、まだネットでのデータのやり取りができなかった1980-1990年代に、日本のノイズ・オリジネーターであるMerzbowとオランダの実験音楽・ノイズシーンの先駆けであるKapotte Muziekとが、オランダのNijmegen で1989年行われたMerzbowのライブ音源(勿論デジタルでのライン録り)を素材にして、お互いで音を加工して出来た曲を更にお互いに郵便で送り合い、最終的にミックスして出来た作品とされています。なお、ファーストミックスはKapotte Muziek 側が行い、セカンドミックスはMerzbow側が行いましたが、本作品では後者のミックス・テイクが使われています。リリースはイギリスのCheeses Internationalと言う国際的なコラボ作品となっています。Merzbowについては、多くの方が知っているとは思いますが、元々は秋田昌美さんと水谷聖さんがやっていた宅録ノイズ・デュオだったのですが、その本質は秋田さん自身であると言えますし、今でもノイズ道をひた走る秋田さんその人自身が否応無くMerzbowであると言えるでしょう。一方、Kapotte Muziekは元々は、オランダで実験音楽/ノイズ・ミュージックに注力していたFrans de Waardのソロノイズ・ユニットでしたが、後にPeter DuimelinksやRoel Meelkopらが加わったトリオになりました。その始まりは1984年とされています。Kapotte Muziekは1990年代後半から現在に至るまでに、ハーシュノイズ・シーンからは遠ざかり、電子音響系の作風に変わっています。また、テクノ寄りユニットとしてGoemとしても活動しています。本作品はまだ郵便利用が国際的アングラ音楽活動の唯一の手段であった時代の産物であり、時間をかけて作られたものだと言えます。また、最終ミックスがMerzbow側によるので、ややラウドな仕上がりになっています。当時は、独逸のP16.D4やオランダのDe Fabriekを始め、このような郵便利用コラボがよく行われていました。因みにKapotte Muziekとはオランダ語で「壊れた音楽」と言う意味だそうです。

本作はYouTubeに上がっていなかったので、Kapotte Muziekの作品を。
https://youtu.be/gqbGy10-uSo

この頃のMerzbowの作品も。
https://youtu.be/xVxvYt1mcHM

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