Can “Live In Stuttgart 1975”

0

Can、「出来る」とも「缶」とも取れるネーミングを冠した独逸のプログレ・バンド。私は何故かこれまで余り好きにはなれなかった。大体、メンバー4人ともそれなりに音楽教育を受けてきたのに、ヴォーカルはいつも素人(ダモ鈴木やMalcolm Mooney)に歌わせてきた経緯と、その素人のVoが何となく気に入らなくて、どうも好きになれなかったんです。そんなCanのVo無しの4人組によるフリー・インプロヴイゼーションのライブ盤が出たと聞いて、何とか入手したいと思って、やっとヤフオクで競り落としたのが、この”Live In Stuttgart 1975”です。それで、まずは簡単にバイオグラフィーをちょっと(皆さんの方が良く知っていると思います)。Canは、Holger Czukay (B), Irmin Schmidt (Kbd, Synth), Jaki Liebezeit (Dr), Michael Karoli (G)による最重要なクラウトロックの一翼を担うバンドで、結成は1968年に、独逸ケルンにて。その始まりは、リーダーのIrmin Schmitが1966年に米国NYCを訪れた時、Steve ReichやLa Monte Young, Terry Rileyのようなアヴァンギャルドな音楽だけではなく、Andy WarholやHotel Chelseaに触れて、何が弾けたことからと言われてます。そこで、その年の終わりに、Irminは米国前衛作曲家のDavid C. Johnsonと音楽教師のHolgerとで、ロックの可能性を体現する為にバンドを組みます。この時点では3人ともクラシックの前衛音楽の素養を持っていました。事実、IrminとHolgerはかの独逸現代音楽界の巨人Karlheinz Stockhausenの教え子でした。取り敢えず、Irminはオルガンとピアノを、Holgerはベースを担当して、2チャンネルのテープマシンに録音してました。Holgerの教え子でもある19歳のMichael Karoliとフリージャズバンドで演奏していたJaki Liebezeitが加わり、Davidが抜けて、1968年によりロックに方向を定めたバンドが結成されました。最初はInner SpaceとかThe Canとか名乗ってましたが、最終的にはCANになります。Jaki曰くCANとはCommunism, Anarchism, Nihilismの略だとか。そして、その年には、米国人の彫刻家Malcolm MooneyをVoに入れて、”Prepared to Meet Thy Pnoom”と言うアルバムを作り上げますが、これは、どのレコード会社にも無視されます。それにへこたれず、1969年に記念すべきファーストアルバム”Monster Movie”がリリースされます。この作品は、ガレージやサイケ或いはファンクによる影響もありますが、後にハンマー・ビートと言われるように執拗なまでのベースとドラムの繰り返しから成り、そこにMalcolmの奇妙で催眠的雰囲気が塗された、画期的なものになりました。しかし、Malcolmは精神的に参ってしまい、米国に帰ります。その後、1970年にミュンヘンのカフェで「面そうなヤツがいる」とHolgerとJakiが目を付けたのが、ダモ鈴木で、いきなり「その夜のライブに出るかい?」と声をかけてメンバーとなりました。そして出来たのか、1970年のアルバム”Soundtracks”です。1971年にリリースされた”Tago Mago”は強力なリズムを纏ったジャジーなドラム、即興的ギター、効果的なキーボードソロ、そしてHolgerによるテープ編集に加えて、Damoによる不思議な言語感覚のヴォーカルからなり、一つの頂点に達しています。1973年にアルバム”Future Days”を出した後に、Damoはバンドを去ります。この作品はややアンビエントの要素があるようです(私は未聴)。その後もコンスタントにアルバムを出していき、英国のTop of the Popsにも出演しています。しかしながら、Holgerは、更なる前衛化を目指して、短波ラジオやモールス信号などを用いますが、他のメンバーがついて来れず、1977年に彼は脱退します。まあ、それで解散と再結成を繰り返すますが、今日はここまでにしておきます。
それで、本作品ですが、ヴォーカリスト不在の4人組での長尺の即興的な曲が十二分に収められています。先に言っておきましたが、私はそれ程Canのファンではないですが、これは買って正解でした。多分、ロックのイディオムで即興演奏を行なっているんだろうなと確信しました。こんな良い音源が残っていたなんて!まあ、基本的に皆さん、テクもあって演奏自体も上手いんですが、特筆すべきは、Holgerのベースがしっかり土台を支えていることです。なので、他のメンバーは割と自由に演奏ができているように聴こえます。私の苦手なヴォーカル(しつこくてすまん)が無いことが幸いしているとも思いました。それにIrminのキーボードの演奏も良く聴こえるし。ブルースじゃないロックのジャム・セッションってこう言うのを言うんだなあと思います。そんな白熱した演奏を是非聴いてみてください。オレンジ盤アナログは限定なので、お早めに❗️

A “Stuttgart 75 Eins”
B “Stuttgart 75 Zwei”
C “Stuttgart 75 Drei (Part 1)”
D “Stuttgart 75 Drei (Part 2)”
E “Stuttgart 75 Drei (Part 3)”
F1 “Stuttgart 75 Vier”
F2 “Stuttgart 75 Fünf”

F1 “Stuttgart 75 Vier”
https://youtu.be/uQntAMfeX9g?si=MiRuF6iVgde9G64O

[full album]
https://youtu.be/fdooNglw1cU?si=MZ8ywo6eULOC4Jxt

#Can #LiveInStuttgart1975 #SpoonRecords #Live #IrminSchmit #HolgerCzukay #JakiLiebezeit #MichaelKaroli #Improvisation #Session

Default