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The Wolfgang Press “Unremembered Remembered”
今回は、あの通好みのRema-Remaやその後のMassのメンバーが、1983年に立ち上げたバンドThe Wolfgang Pressを紹介します。Rema-RemaとMassについては、既にバイオグラフィーは書いてありますので、そちらをご参照下さい。Massを立ち上げた、元Rema-RemaのMichael Allen (Vo,B)とMark Cox (Kbd)は、たった1年の活動後、1981年に、The Wolfgang Pressを立ち上げ、2人でファースト・アルバム”The Burden of Mules”を4ADからリリースし、音楽誌からは「ダークで不協和音。それにポストパンクに残っていた薄暗さを怒りと緊張感で作り上げた作品」とか「気難しい面と激烈な面の境界でのセルフ・パロディ」とか言われています。この時に、ゲストで、Dif JuzのRichard ThomasやIn CameraのDavid Steiner及びAndrew Gray (G, Perc)が参加していますが、これを機にGrayはThe Wolfgang Pressに加入しています。そうして、彼等は、3枚のEP “Scarecrow”, “Water”, “Sweatbox”をRobin Guthrieのプロデュースでリリースしますが、割と好評でした。1986年には、The Wolfgang Pressとしてのファースト・アルバム”Standing Up Straight”を4ADからリリースしますが、このアルバムはインダストリアルとクラシックの強力な融合を試みています。音楽誌からは「実に挑戦的で容赦ないアルバムだ」と評されています。その後、1988年に、セカンド・アルバム”Bird Wood Cage”をリリース。音楽誌からは、「今回はダンス・ミュージックやファンクの要素を取り入れ始めた、最も重要なアルバムだ」と評されています。このアルバムの前にEP “Big Sex”がリリースされており、このアルバムのコンセプトを解き明かす鍵になっています。1991年にサード・アルバム”Queer”をリリースしますが、このアルバムは、1989年のDe La Soulのファースト・アルバム”3 Feet High and Rising”を聴いたことがキッカケになって作られました。つまり、よりファンク調で、よりポップな曲が多く、また、メンバーは皆が色んな楽器を演奏し、更にゲストとして参加したThrowing MusesのLeslie Langston (B)が殆どの曲で演奏しています。その後、1992年5月に、シングル"A Girl Like You"をリリースしますが、これが世界的ヒットとなり、ビルボードのモダンロック・チャートで2位になっています。その後、バンドは、自分達のスタジオを買い取り、2年間かけて作成したアルバム”Funky Little Demons”を1995年にリリースしています。音楽誌は、「このアルバムを全うなダンス・ミュージック・アルバムであり、彼等はもう一つの’White Post-New Wave Soulバンドだ」と評しており、実際、1995年2月の英国アルバムチャートでは、1週間75位を取っていました。しかしながら、このアルバムのリリース直後に、Coxがバンドを脱退し、残ったAllenとGrayは2人で米国ツアーを敢行しています。それで、2001年に、セルフ・コンピ・アルバム”Everything Is Beautiful (A Retrospective 1983–1995)”をリリースします。それで、Coxが脱退した後に、The Wolfgang Pressは、AllenとGrayのデュオになりますが、2020年のRecord Store Dayに合わせて、本作品でもある未発表曲6曲から成るミニ・アルバム”Unremembered Remembered”をリリースしており、これが最後のスタジオ・アルバムになります。The Wolfgang Pressの流れほここまでになります。 それでは、ラスト・アルバムでもある本作品”Unremembered Remembered”について紹介していきます。先述のように、Michael AllenとAndrew Grayのデュオで作成されたデモ音源6曲入りミニ・アルバムです(7曲目もあったようですが、アルバムに合わないと言う理由で収録されていません)。1995年10月〜1996年3月に、A1-A3はLondonのLimehouseにあったRewのアパートで、B1-B3はLondonのLimehouseにあったAndrew Greyのアパートで録音されたデモ音源で、全て未発表曲から成っています。それでは、各曲について紹介していきます。 A1 “You Say You Love Me”は重目のリズムと独特のシーケンスを含むシンセ音の組合せから来るソウルフルなノリが、結構カッコ良いです。A2 “God Let It Shine On”もボトムの低いリズムとエレピやシンセの音に、飄々としたヴォーカルが乗るノリの良い曲になっています。ギターのリフもフリーキーでカッコ良いです。A3 “My Mother Told Me”はノリの良いテンポで突き進む曲で、ギターのカッティングやシンセの使い方が上手くで、敢えて言えば、Stereo Totalのようなシャレ乙な雰囲気すら感じますね。ハツラツとしたヴォーカルもグーです! では、B面に行きます。B1 “Black Hole Star”は重いキックですが、ギラギラしたギターと軟らかいシンセに、呟くようなヴォーカルから成るホワイト・ソウルな曲です。B2 “Liar”では、シンセ・ベースとブレイク・コア的ドラムマシンとが曲をしっかり支えており、そこに語りに近いヴォーカルが乗っています。流石に今風ですね。B3 “Miss H.I.V.”はウネウネしたシンセベースが印象的なややダウンテンポな曲で、やはり語りかけるようなヴォーカルが特徴的です。 どちらかと言うと、A面はよりポップ・ミュージック寄りの曲で、B面はよりダンス・ミュージック寄りの曲かなと思いますが、今、聴き直してみると、想像以上に、The Wolfgang Pressの聴き易さやダンサブルな面が見られて、4ADでもこのような音楽を扱うのか⁈とビックリしました。ある意味、Stereo Total(こちらは最もスカスカですが)にも似ていますね。また、ジャケもカッコ良く、お得なミニ・アルバムですね。なので、未聴の方は一度、固定概念を取り払って聴いてみては如何でしようか‼️ “Christianity” single (1995) https://youtu.be/OTI-7e7oEBM [full mini-album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lNNiRAnHtGsSzxYvsv-19mYSmsOczV5XQ #TheWolfgangPress #UnrememberedRemembered #4AD #Mini-LP #LastStudioAlbum #LimitedEdition #1500枚 #2020RecordStoreDay #Funk #DanceMusic #ElectronicPop #PreviouslyUnheardTracks #Demo at #MichaelAllen #AndrewGray #Rema-Rema #Mass #MarkCox
Alternative Rock / Electronic 4AD 580円?Dr K2
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The Fall “The Rough Trade Singles”
割と私、デジタル配信ではThe Fallはよく聴いてた方なんですが、いざ、フィジカルとなると、あんまり持ってないんですよね。それで、他のアイテムを買う時に見つけたので、購入してみました(なので、今回、初めて聴いてみます)。これは所謂、セルフ・コンピみたいなもので、The FallがRough Trade自体にリリースしたシングル音源をコンパイルしたものです。ただし、この作品のオリジナルは、5枚の7㌅シングルから成るボックスセットでした。私の購入したのは、その再発で、シングル5枚分が、このLPにまとめられているものです。それで、先ず、The Fallのバイオグラフィーから紹介していきます。The Fallは1976年に英国マンチェスターのPrestwichで結成されたポストパンク・バンドで、メンバーチェンジが激しく、唯一、創設者でヴォーカルのMark E. Smithだけがコンスタントなメンバーです(ただ、彼も2018年1月24日に60歳の若さで他界しており、それを持ってThe Fallは解散となっています)。それで、先ず、1976年に、Mark E. Smith (Vo), Martin Bramah (G), Una Baines (プリキ缶, Kbd), Tony Friel (B)の4人は、各自が書いたものやドラッグをやる為に集まっていたことが、そもそもの始まりです。彼らの好きな音楽は、Can, Velvet Underground, Captain Beefheart, Stoogesなんかで、一方、Smithは、H.P. Lovecraft, Raymond Chandler, Malcolm Lowry等の作家もお気に入りでした。そんな中で、同年7月に、Sex Pistolsのマンチェスターでの2度目のギグを観て、ショックを受け、彼等はバンドを始めた訳です。最初はThe Outsidersと名乗っていましたが、Frielが持っていたカミューの小説から取ってThe Fall と改名しました。この時、Bainesはドラムを買うお金が無かったので、ビスケットの缶を叩いてました(後にKbdにスウィッチします)。音は酷くて、繰り返しだけでしたが、この「繰り返し」が、後々The Fallの特徴になります。1977年5月23日に最初のギグを行いますが、この時のドラムはSteve Ormrodでしたが、1回だけやって、政治的な考えの違いの為、直ぐに辞めています。そして、Nuclear Angelに居たKarl Burnsがドラムで加入。そんなThe Fallに注目したのが、BuzzcocksのマネジャーRichard Boonで、1977年11月に彼等に録音させて、The FallのデビューEP”Bingo-Master's Break-Out!”を、彼自身のレーベルNew Hormonesからリリースしようとしていましたが、結局、出せずに、マスターテープをバンドに返しています。1978年6月に、Virgin Recordsが、マンチェスターでのライブ・コンピ”Short Circuit: Live at the Electric Circus”をリリースしますが、そこで初めてThe Fallは2曲参加しています。1977-1978年に、メンバーチェンジが起こります。先ず、Bainesの友達のKay Carrollが新マネジャー兼バックVoとなりますが、Frielは彼女のやり方が合わず、1977年12月に脱退。とりあえず、Jonnie Brownが、その後に、交代にEric McGannに加入します。1978年2月13日に、Granada TV番組What’s OnにThe Fallは出演し、Smith (Vo), Bramah (G), Burns (Drs), Baines (Kbd), McGann (B)のメンツで演奏しています。しかしながら、1978年3月には、ドラッグによる神経障害で、Bainesが脱退。代わりにYvonne Pawlett (Kbd)が加入。また、McGannが、ヴァンのドライバーのSteve Davisがハワイアンシャツを着ていたことが気に食わないと言う理由で、やはり脱退。その時、Martin BramahもSmithのリーダーシップとその彼女がマネジャーをやっていることを問題視しています。それで、当時まだ16歳だったローディのMarc Rileyにベースを担当させます。それで、何とか持ち直し、1978年8月に、お蔵入りになっていたEP “Bingo-Master's Break-Out!”が、Step Forward Recordsからリリースされ、同年11月にはシングル"It's the New Thing"もリリース。更に1日で作ったとされるThe Fallのファースト・アルバム”Live at the Witch Trials”が1979年3月にリリースされます。このアルバム作製後、ドラムのBurnsは暫くして脱退し、代わりに、Rockin’ RickyのMike Leighが加入。しかし、1979年4月には、アルバムの殆どの曲を書いていたMartin Bramahが抜けます。それで、先述のRileyはベースからギターにスウィッチし、Craig Scanlon (G)とRileyのバンドメイトでもあるSteve Hanley (B)が加入します。特に、Hanleyは、そのメロディアスなベースラインで、以後約20年間に渡り、The Fallの音楽的根幹を支え、Smith自身も、彼に全服の信頼を寄せています。それで、1979年7月30日に、シングル”Rowche Rumble"をSmith (Vo), Scanlon (G), Riley (G), Hanley (B), Pawlett (Kbd), Leigh (Drs)のメンツで録音していますが、Pawlettはその直後に脱退しています。The Fallは、1979年8月に、RochdaleのCargo Studiosで、セカンド・アルバム”Dragnet”を作製、1979年10月26日にリリースしています。このアルバムはファーストと比して、よりスカスカで、より耳障りな音に仕上がっています。1980年1月13日に、4枚目のシングル"Fiery Jack"をStep Forward Recordsよりリリースしますが、同年3月に、Mike Leighが脱退してしまい、バンド活動が数週間停滞します。その間に、Smithは歌詞を書き溜めていましたが、Leighの代わりに、Steve Hanleyの弟で、当時16歳だったPaul Hanleyがドラマーとして加入します。この後に、The Fallは、Step Forwardを離れ、Rough Tradeと契約しています。それで、Rough Tradeでの最初のアルバム”Totale’s Turns”は1980年5月にリリースされていますが、2曲を除いて、1979年のライブトラックを集めたものとなっています。1980年11月には、フルアルバムとしてはサードアルバムに当たる”Grotesque (After the Gramme)”を、2枚のシングル"How I Wrote 'Elastic Man'"と"Totally Wired"をリリースしますが、アルバムは英国インディー・チャート1位まで行きます。ただ、このアルバムは、Rough TradeのGeoff TravisとRed KrayolaのMayo Thompsonが共同プロデュースしていますが、音作りを大胆に改善しようとした彼等の考えに、Smithは大いに不満でした。と言う事もあって、The Fallは、長過ぎず短過ぎない媒体として10インチEPを選び、それを£2.00ポッキリで発売する戦略で、1981年4月に10インチEP”Slates”をリリースしています。同年終わりに、バンドは、Rough Tradeを離れ、小さなインディーレーベルKameraと契約します。話が少し前後しますが、The Fallが、EP “Slates”の促販の為、米国ツアーに行こうとした時、Paul Hanley (Drs)が若過ぎるとの理由でビザが降りず、仕方なく、Smithは、Karl Burnsを代役としてツアーを行なっており、その時のライブ音源から、ライブアルバム”A Part of America Therein, 1981”を1982年にRough Tradeの米国部門Cottage Records よりリリースしています。ただ、英国に戻ってきても、Burnsは居座っており、バンドのセカンド・ドラムとして在籍、1981年11月に、2人のドラムで録音したシングル"Lie Dream of a Casino Soul"をRichard Mazdaのプロデュースで豪州及びNZにてリリースしています。 The Fallのバイオグラフィーを書き出すと切りがないので、今回はここまでとしておきます。 それで、Rough Trade在籍時代(主に1980年で、一部1983年)のThe Fallのシングルなどを集めたのが、本作品となる訳ですが、先ず、この時期のメンバーを再度、確認しておきます。Mark E. Smith (Vo), Steve Hanley (B), Paul Hanley (Drs), Craig Scanlon (G), Marc Riley (G)ですが、1983年録音のトラックではKarl Burns (Drs)も参加していたり、或いは1983年録音のトラックではMarc Riley (G)が参加していないものもあります。とにかく、内容は最高ーッ‼️ タイトなリズムとSmithのスポークン・ワードのようなヴォーカル、それと先述のように執拗な「繰り返し」。これだけでご飯3杯食べられますね。多分、初期のThe Fallとしても、一番脂が乗り始めた時期なので、もう痺れる程、カッコ良いです。A面6曲、B面4曲で、その内、B3 “Container Drivers”とB4 “New Puritan”は、1980年9月16日のJohn Peel Session用に録音した曲です。A5 “The Man Whose Head Expanded”, A6 “Ludd Gang”, B1 “Kicker Conspiracy”, B2 “Wings”は、1983年作で、その他の曲はいずれも1980年作です。取り敢えず、このアルバムに収録されている曲は下にURLを貼っておきましたので、何も言わずに聴いてみて下さい❗️これらの曲とかヴォーカルは唯一無比ですから。あとは楽しんで下さい❗️ A1 “How I Wrote ‘Elastic Man’” & A2 “City Hobgoblins“ https://youtu.be/aBUlf8THuNg A3 “Totally Wired” https://youtu.be/sk1TP5EkLS4 A4 “Putta Block” https://youtu.be/6oF-J-5HjyU A5 “The Man Whose Head Expanded” https://youtu.be/8jo5rzGRlH4 A6 “Ludd Gang” https://youtu.be/cqTK3nuepps B1 “Kicker Conspiracy” https://youtu.be/Ehoi2-rlmdI B2 “Wings” https://youtu.be/Wb6zdxd9phQ B3 “Container Drivers” https://youtu.be/TsaPuF8eji4 B4 “New Puritan” https://youtu.be/o5dMQNROQr0 #TheFall #RoughTradeSingles #SuperiorViaduct #CastleMusic #Reissue #1981 #1983 #Singles #PostPunk #Punk #MarkE.Smith #SteveHanley #PaulHanley #CraigScanlon #MarcRiley #KarlBurns #JohnPeelSession
Post Punk Superior Viaduct (Castle Music) 不明Dr K2
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Embryo “Opal”
今回は、ちょっと毛色の違うクラウトロック・バンド、Embryoを紹介します。Embryoは独のミュンヘンのバンドで、Christian BurchardとDieter Serfasが10歳の時に、即ち、1950年代にBavariaで出会っていたことが、元々の端を発するバンドです。1969年に、マルチ奏者Christian Burchard (Drs, Vibraphone, Santur, Kbd)とEdger Hofmann (Sax, Flute)が再び会って、Embryoが結成されました。メンバーの入れ替わりが激しく、Charlie Mariano, Trilok Gurtu, Ramesh Shotham, Marty Cook, Yuri Parfenov, Allan Praskin, X.Nie, Nick McCarthy, Monty Waters, Mal Waldronが在籍はしていましたが、最も長く続いたメンバーは、Edgar Hofmann (Sax, Vln), Dieter Serfas (Drs), Roman Bunka (G, Oud), Uve Müllrich (B), Michael Wehmeyer (Kbd), Chris Karrer (G, Oud, Vln, Sax), Lothar Stahl (Marimba, Drs), Jens Polheide (B, Flute)でした。因みに、KarrerはAmon Düül IIのメンバーでした。それで、彼等は、独のバンドTon Steine Scherbenと共に、1976年に、独逸発の自主制作レーベルSchneeballを作ります。1979年には、Embryoは、9ヶ月に渡るバスでのツアーを開始し、その様子を”Vagabunden Karawane”と言う映画にしています。また、彼らは、ジャズ・ロック的なクラウドロックか、ワールド・ミュージック・バンドへと変遷していきます。彼等は、4大陸制覇ツアーをしながら、各地でフェスに出演もしています。因みに、1991年には日本の和歌山でのフェスにも参加しています。これらのツアーの功績で、Embryoは、2008年のTFF Rudolstadt Festivalで、ドイツ・ワールド・ミュージック賞RUTH 2008を受賞しています。しかしながら、1981年に、Uve MüllrichとMichael Wehmeyerがバンドのやり方に反対を唱え、脱退し、Dissidenten(反体制派)と言うバンドを結成しています。その後、Christian Burchardがモロッコで心臓発作を起こし、その為、娘のMarja Burchard (Drs, Vibraphone, Vo, Trombone, Kbd)がバンドを率いることになります。なお、2018年1月17日に、Christian Burchardは71歳で、ミュンヘンにて他界しています。 大体のEmbryoの流れは上記のようになります。それで、彼等の本作品”Opal”について紹介したいと思います。この時のメンバーは、Christian Burchard (Drs, Vibraphone, Santur, Kbd), Edgar Hofmann (Sax, Vln, Flute), John Kelly (G) Ralph Fischer (B, Vo)の4人(正確な担当楽器は不明ですが)で、ゲストとして、Holger Trülsch (Bongos), Roberto Detrèe (MotoCello), Bettsy Alleh (Vo)も参加しています。両面とも4曲ずつ収録されていますが、B1 “Got No Time”なんかは1分半しかありません。それで、まだ、この作品ではワールド・ミュージック系ではないですが、とにかく各人のテクは凄いです。なので、敢えてジャンル分けをするならば、ジャズ・ロックと言うことになるでしょうか? 特に、A1 “Opal”やA2 “You Don't Know What's Happening”でのヴァイオリンとベースの掛け合いほ白熱していますね。A3 “Revolution”でのギターとドラムの掛け合いにフリーキーなサックスが絡むのも緊張感があって良いです。A4 “Glockenspiel”のベースのヘビーさもカッコいいです。B2 “Call”ではギターとドラムとサックスの掛け合いに、オルガンまで巻き込んで、トルネードのようです。フェイドアウトがちょっと残念。B3 “End Of Soul”では、男性のスポークン・ワードと唸りまくる太いベースが堪能できます。B4 “People From Out The Space”の異常なグルーヴ感は何なのだろうか? とまあ、最後の盛り上がりとか最高だな。いやー満腹です。今聴き直すと、意外と各々の個性がぶつかり合ってよいですねぇ。それで、個人的に思ったのが、ベースの録音仕方が上手いと言うこと。そこだけでも面白かったので、皆さんも聴いてみて❗️あと、ジャケのデザインも秀逸なので、是非アナログで! [lve in 1971 trailer] https://youtu.be/8x8tOgruU-4 [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lz6r3K6gnyxjhovhrlupKsmQQS8urWMfs #Embryo #Opal #Ohr #BreezeMusic #Krautrock #JazzRock #AmonDüülII #Dissidenten #ChristianBurchard #EdgarHofmann #JohnKelly #RalphFischer #HolgerTrülsch #RobertoDetrèe #BettsyAlleh
Krautrock / Jazz Rock Ohr / Breeze Music 3000円Dr K2
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Coil “Love's Secret Domain”
お恥ずかしいながら、私は、CoilとかCurrent 93とかDeath In June辺りの音楽は殆ど聴いたことがないんですよ。何故かは分かりませんが、、、なので、勉強と思って、買ったのが、本作品”Love’s Secret Domain”でした。まあ、そうは言っても、この前、Peter “Sleezy” Christophersonの3枚組は聴きましたが。それでは、先ず、Coilのバイオグラフィーを紹介しておきます。元々は、1982年にJohn BalanceよってLondonで始まりましたが、バンドメイトでもあったPeter ‘Sleezy’ ChristophersonがBalanceとパートナーとなって、活動を共にした1984年から、フルタイムのグループとして活動を始めました。Coilは、オカルト、セクシャリティ、錬金術、ドラッグと言ったテーマに深く関与しており、ゴス・ロックやネオ・フォーク或いはダーク・アンビエント等に大きな影響を与えた、ポスト・インダストリアル・バンドです。BalanceとSleezyがパーマネントなコアメンバーで、作品毎に他のアーティストが加わると言う形態を取っています。Balance (本名Geoff Burton)は1978年には、彼の同級生Tom CraigとSubmentalと言う英国の地下音楽を扱うファンジンをやっており、特にインダストリアル・ミュージックに興味を持っていました。特に、Throbbing Gristle (TG)のファンであったBalanceは直接、Genesis P-Orridgeに手紙を書いて、親交を深め、またTGのライブへも足を運びます。その頃にSleezyとも友達になっています。そして、1981年にTGが解散し、P-Orridge, SleezyとAlternative TVのAlex Fergussonは、Psychic TVを始め、Thee Temple ov Psychick Youth (TOPY)を組織します。その頃、Sussex大学に通っていたBalanceは、ロンドンに戻ってきて、彼等のライブに参加しますが、この頃にSleezyとパートナーになったらしいです。Psychic TVのメンバーとして、彼は最初の2枚のアルバムに参加しますが、1982年には、彼はサイド・プロジェクトとしてCoilを名乗ります。1983年に、彼は “The Price of Existence Is Eternal Warfare”と言うマニフェストと”On Balance”と言うテープを作製しています。同年8月4日に、CoilはBalanceとSleezyのデュオとなり、Cerith Wyn EvansやDerek Jarmanの映像をバックに、ロンドンで初ライブを行なっています。SleezyはP-Orridgeとの確執があったこともあり、Coilに専念する決意が固っていました。Balanceは、バンドメイトのJohn Gosling(その頃、新ユニットZos Kiaを始めていた)と一緒に作業するようになり、1983年には3人でCoilのライブを3回やっています。そして、Zos Kia/Coilのスプリット・アルバム”Transparent”を1984年2月にNekrophile Recordsからリリースしています。そうして、1984年1月にBalanceとSleezyはPsychic TVとTOPYを脱退し、Coilに専念します。そして、1984年4月20日に、ベルギーのL.A.Y.L.A.H. Antirecordsから、単独のEP”How To Destroy Angels”をリリース、このアルバムはノー・ウェーブ・バンドMarsに捧げられています。同年5月から、Coilは、JG Thirlwellを共同プロデューサーに迎え、「変容のアイデアとしての錬金術」をテーマに、Stephen Thrower, Alex Fergusson, Gavin Friday等のアーティストも参加して、ファースト・スタジオ・アルバム”Scatology”を作製します。このアルバムは1985年初頭に、彼等自身のレーベルForce & Formと、Some BizarreのサブレーベルK.422からリリースされます。その直後、Coilは、米国Four Prepsの”Talented Love”のカバーをリリースし、その売り上げをAIDS患者救済運動組織Terrence Higgins Trustに献金しています。1986年に、Coilはセカンド・アルバム”Horse Rotorvator”をリリースしますが、曲名がスカトロを想起させるもので、かつスロー・テンポな曲が多く、Balance曰く「よりダークなテーマ」とのことです。このアルバムのアートワークには、IRAによる軍楽隊パヴィリオンの爆破現場の写真が使用されています。その後、彼等はSome Bizarreを離れ、1987年にサード・アルバム”Gold Is the Metal (With the Broadest Shoulders)”を彼等自身のレーベルThreshold Houseからリリースしていますが、これは前作とは全く関係が無いとライナーノーツには記述されています。その後、ミニアルバムなどもリリースし、1991年に、本作品であるアルバム”Love’s Secret Demain (これを略するとLSDになる)”をリリースしますが、このアルバムでは、ポスト・インダストリアルの一つの方向性として、アシッド・ハウスを取り入れた、Coilの新しい音楽性を持った作品になっています。アップテンポの多いアルバムですが、Sleezyは、「これはダンス・ミュージックでは無い。もっとポジティブなものだ」とコメントしています。例えば、”Windowpane”はタイとビルマの間にある黄金の三角地帯についての曲であり、Balance曰く「そこで取れた麻薬をCIAが金に変えていることを歌っている」。Sleezyは、シングルカットされた”Windowpane”と”The Snow”のミュージック・ビデオを作っています。その後、1992年には、アルバム”Stolen & Contaminated Songs”がリリースされていますが、これは”LSD”のアウトテイクとデモトラックから作られています。今回のCoilのバイオグラフィーはここまでとします。なお、Balanceは、2004年11月13日に自宅で逝去しています。また、Sleezyも2010年11月24日にタイのバンコクで亡くなっています。 それで、本作品”LSD”の内容ですが、先ずはメンバーを紹介しておきます。BalanceとSleezyは勿論のこと、他にOtto AveryとStephan I. Throwerが参加しており、更に、Juan Ramirez (Spanish G), 元Strawberry SwitchbradeのRose McDowall (Back-Vo), Michael McEvoy (Kbd), Cyrung (Didgeridoo), 元Soft CellのMarc Almond (Vo), Audrey Riley (Cello) Jane Fenton (Cello), Julia Girdwood (Oboe), Jos Pook (Viola), Sue Dench (Viola), Andrew Davies (Vln), Clive Dobbins (Vln), Gini Ball (Vln), Sally Herbert (Vln), Billy McGee (Orchestral Arrangement), 元This HeatのCharles Hayward (Drs)が1〜2曲ずつゲスト参加しています。それで、全体の印象を言うと、確かに変な音やエフェクト処理等がそこかしこに施されているのですが、基本的にはハウスっぽい(?)ビートのあるダンサブルな曲は多い印象はあります。各曲を紹介すると、A1 “Disco Hospital”は、その曲名だけでもカッコいいですが、勿論、音の方もぐちゃぐちゃの音声の変態的混合物で始まり、鞭の音に合わせたビートでカッコいいです。A2 “Teenage Lightning”は重めのビートとガムランのようなパーカッションにエフェクト掛けまくりのロボット・ヴォーカルから成る曲で、間奏にゲストのRamirezによるSpanish Guitarが入ってきます。先述のA3 “Windowpane”も重めのダンサブルなビートの曲なんですが、歌詞が辛辣ですね。ここら辺の音がアシッド・ハウスからの影響なんでしようか? A4 “The Snow”もリミックス・ヴァージョンがシングルになっていますが、いきなりTGの時のGenesisのような声の逆回転で始まり、軽めのビートに4打ちのキックが入ってきて、かなり上手いMcEvoyのキーボード・プレイが聴取出来ます。A5 “Dark River”はスローな曲で、ガムランのような打楽器とシーケンスが絡む異色かつ不穏な曲です。それでB面に移ります。B1 “Further Back And Faster”は導入は早いビートなんですが、その後はやはりダンス・ミュージックのようなビートになり、そのバックにCyrungによるDidgeridoo(打楽器?)が並走し、押し殺したようなヴォーカルが囁き始める、アルバム中最も長い曲です。B2 “Titan Arch”は淡々としたリズムに粘っこいMarc Almondのヴォーカルが被る曲で、バックにはかなりノイズ要素が強いです。B3 “Chaostrophy”は短波ラジオのコラージュで始まり、徐々にオーケストラの音が変調されながらも混じってくるビートレスな曲です。オーボエ独奏が何故か物悲しい。そして、タイトル曲B4 “Love's Secret Domain”ですが、歌詞も暗喩的で、リズムはあるものの、一種、病的な雰囲気に溢れています。 このような内容となっていますが、Coilの歴史を振り返るには、このアルバムも重要なのですが、その前までの作品も聴かなきゃと思いました。ライナーノーツをNurse With WoundのSteven StapletonとD.H.なる人物が書いていますので、参考になるかもしれませんね。Coilに関しては、初期の音源を聴いてから、判断しようと思いますが、本作品はクラブ・ミュージックでも通用すると思いますので、そこら辺を掘っているDJやリスナーには受け入れ易いのではないでしょうか❗️ A3 “Windowpane” (music video) https://youtu.be/AnoqcyGWPEA [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_ngpLNSnVZTAfWA6tybq5VQ2NFWAU3L_ng #Coil #Love’sSecretDemain #Torso #KontaktAudio #LSD #Reissue #Remastering #Experimental #AcidHouse #Post-Industrial #JohnBalance #PeterSleezyChristopherson #OttoAvery #StephanI.Thrower
Post-Industrial / Experimental Kontakt Audio (TORSO) 不明Dr K2
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Ash Ra Tempel “Schwingungen”
入手してから、まだ聴いていなかったよー!独のAsh Ra Tempelのセカンド・アルバム”Schwingungen (振動)”を、今回は紹介します。私が購入したのは、本アルバム発売50周年記念として、180gの重量盤で見開きジャケと言う豪華な一品です。ええっと、ちょっとややこしいのですが、元々は、ギタリストのManuel Göttschingが中心となって西独で1970年〜1976年に活動していたのが、このAsh Ra Tempelで、バンドとして終わってからは、Göttschingは、Ashraの名前で活動していました。それで先ず、Ash Ra Tempelのバイオグラフィーを書いていきたいと思います。1970年に、Göttsching (G)は、Klaus Schulze (Drs)とHartmut Enke (B)とのトリオで、Adh Ra Tempelを結成します。この前に、SchulzeらはConrad Schnitzlerと短期間ではありましたが、Eruptionと言うバンドに参加していますし、その前に、SchnitzlerとSchulzeはTangerine Dreamで一緒でした。それで、1971年6月に、彼等はセルフ・タイトルのファースト・アルバムをリリースします。その後、Schulzeがソロ活動の為、脱退した為、続くアルバムでは非正式なドラマーWolfgang Müller (Drs)を入れて作製していくことになり、主導権はGöttschingが握ることになり、1972年に、セカンド・アルバム“Schwingungen”をリリース。更に、当時、スイスを放浪していたLSDのグルTimothy Learyとコラボして、サード・アルバム”Seven Up”を1973年にリリースします。どうもこのアルバム作製時には、同僚ミュージシャン達がLSD入りのセブン・アップを飲んで、セッションしていたらしいです。1973年2月28日に、オリジナル・メンバーでリユニオン・コンサートをケルンで行います。その年の後半には、オリジナルの3人とRosi Müller (Vo)で、4枚目のアルバム”Join Inn”をリリースしますが、Enkeが体調不良で脱退し、またSchulzeも脱退。2人がいなくなってから、GöttschingとMüllerで、アルバム”Starring Rosi”をリリースします。2人のクレジットしかありませんが、実は、Harald Grosskopf (Drs)とエンジニアのDieter Dierks (B)も参加しています。1975年にzは、Göttschingはソロとして、”Inventions for Electric Guitar”を出しますが、本来、このアルバムは"Ash Ra Tempel VI"と名付けられて、Ash Ra Tempelの6枚目のアルバムになる予定でした。その年末には、Göttschingは、Agitation FreeのLütz Ülbrichと共に、Philippe Garrel作の映像作品” Le berceau de cristal”のサントラを担当しており、これは最初のコマーシャルなリリースとなりましたが、この先、1993年までコマーシャルな仕事のオファーは来ませんでした。1976年に、次のアルバム”New Age of Earth”をリリースしますが、この作品もGöttschingのソロアルバム的なものであった為、再発盤にはAsh Ra Tempelではなく、Ashraとのグループ名が付けられ、それは2000年代初頭まで続くことになります。今回はここまでとしておきます。 それで、セカンド・アルバムでもある本作品”Schwingungen”の内容についてですが、A面は”Light And Darkness”と題されて2曲が収録されており、B面も”Schwingungen”と題されて2曲が収録されています。参加メンバーは、Manuel Göttsching (G, Organ, Electronics. Choir), Hartmut ‘Infra Roger’ Enke (G, B, Electronics), Wolfgang Müller (Drs, Vibraphone), Uli Popp (Bongos), John L. (Vo, Jew’s Harp, Perc), Matthias Wehler (Sax)で、この頃からRosi Müller (雑用)もいるようです。A1 “Light: Look At Your Sun”はややスローかつダルなテンポで、陰な気分になるような気怠い曲で、とても太陽の光など感じられない、と言うか薄曇りの中に靄と共にぼんやりした陽の光を見上げるような気分になります(サイケっちゃサイケなんですが)。A2 “Darkness: Flowers Must Die”は、手数の比較的多い走り抜けるようなドラムとベースにフェイザーとかを掛けまくったギター、吹き上げるサックス、それに絞り出すように叫ぶヴォーカルが渾然一体となって、聴く者の耳を襲ってくる、激しい曲ですね。B面はタイトル曲で、 “Suche”〜“Liebe”は、囁くようなビブラフォンの調べから始まり、キックの連打、そして不安を煽るようなオルガン、やがて再び闇のような時間を超えて、美しい歌声とハーモニーの光に照らし出される世界へと導いてくれるような至福の一大絵巻となっています。素晴らしい‼️聴き応え充分なアルバムです。クラウトロック云々の他に、至上の愛(或いは光)を感じる音楽です。マスト❗️ https://youtu.be/4VpdJt-eq0Q #AshRaTempel #Schwingungen #MG.ART #Ohr #Krautrock #Psychedelic #SecondAlbum #50thAnniversaryEdition #Reissue #Remastering #ManuelGöttsching #HartmutEnke #WolfgangMüller #UliPopp #JohnL. #MatthiasWehler
Krautrock / Psychedelic MG.ART (Ohr) 不明Dr K2
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Geography Of Hell “Verdun 1916”
素晴らしいネーミングのバンドだなあと、先ず感心してしまいました。「地獄の地図」だよ! しかも、国際的なメンバーによる完全なる覆面バンドで、メンバーは誰かは一切不明です。このGeography Of Hell (以下、GOHと表記)は、2008年に”Dresden 1945”と言うカセット作品をリリースして、2018年に名作ファースト・アルバム”Hiroshima 1945 / Nagasaki 1945”をリリース、ヴァイナルとしては、セカンド・アルバムに当たるのが、本作品”Verdun 1916”となります。一貫して、戦争と言う不毛の行為を描き出してきたGOHですが、今回は、第一次世界大戦をモチーフにした作品とのことで、ブックレットの方にも山のような当時の白黒写真が詰め込まれています。先述のように、GOHは正体不明で、唯一鍵となるのは、リリースが、米国テクノ〜ノイズ作家Dominick Fernow或いはPrurient主宰レーベルHospital Productionsからリリースされていると言う点と、Bandcampには仏と記載されている点です。それ以外の情報はありません。それで、本作品”Verdun 1916”の内容についてですが、曲名はなく、両面とも1曲ずつ長尺の曲が収録されています。その前に、このタイトルの”Verdun”について、少し解説しておきますと、第一次世界大戦の西部戦線で、フランス共和国内のヴェルダンを舞台に繰り広げられたドイツ軍とフランス軍の戦いのことです。そして、第一次世界大戦における主要な戦いの一つで、1916年2月21日に始まり、12月16日まで続いたこの戦いで、両軍合わせて700,000人以上の死傷者を出した凄まじくも陰惨な攻防戦であったとのことです。収められている曲はマーシャル系のリズムとパワ・エレ系ヴォーカルもあるのですが、どうも、メンバーは実際にVerdunに行き、そこに転がっているWWIの残骸(塹壕、要塞、ヘルメットなど)をフィールド・レコーディングしてきたらしく、そのような音も巧妙に加えられているみたいです。また、当時の無線通信やニュース音声等も加えられており、壮大な「戦争絵巻」となっています。また、一緒に ブックレットに掲載された夥しい戦時中の写真も視覚から訴えてきます。相乗効果ですね。中々、ヘビーな内容なので、心して聴かれるのが良いかと思われます‼️ https://youtu.be/XJ5OZqgfHac Bandcampも貼っておきました。 https://geographyofhell.bandcamp.com/album/verdun-1916 #GeographyOfHell #Verdun1916 #HospitalProductions #SecondAlbum #WorldWarI #Noise #Martial #PowerElectronics #FieldRecording #Verdun #France #HeavySound #Booklet
Industrial / Experimental Noise Hospital Productions 2500円Dr K2
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A Blaze Colour “Against The Park Trees Beyond”
これは完全に欧州物シンセ・ウェーブと言うことで購入しました。ベルギーのA Blaze Colourのセルフ・コンピ・アルバムです。彼等のバイオグラフィーを調べたのですが、殆ど情報がありませんでした。メンバーは、Karel ‘Bam’ Saelemaekers (Synth [Korg Polysix, MS20, M10, Casio VL Tone], Sequencer [SQ10] )とLudo Camberlin (Synth [Roland Jupiter 4, Roland SH2], Drum Machine [DR-55, TR808] )から成るデュオです。このデュオは現役時代には、カセット1本とシングル2枚(7㌅と12㌅)しか出しておらず、その詳細は不明です。その現役時代も、1981年〜1983年と言う短期間で、結成は1980年初頭にベルギーのLeuvenでと言われています。彼等がバンドを組んだ背景には、シンセが安価に入手できるようになったと言うことがあるみたいです。何でも、ライブトラックをコンパイルしたブートレッグがあるらしいのですが、これは本人達も確認できていないそうで、信ぴょう性に欠けるようです。それで、内容なんですが、多分、リズムボックスはBOSS DR-55と言う一番安価な物も使っていると思います。一応、シーケンサーと同期されていますが、簡素なシンセのリフやメロディから成る曲が多いです。ポップなことはポップなんですが、ん〜ひっかかりが無いと言うか、もう一つ個性的なところがあると良いなあと思います。でも、1980年代の欧州で流行ったシンセ・ウェーブの一端を知るには良いアルバムなので、聴いてみてはどうでしょうか❗️ https://youtu.be/rRsLkjHtiy4 #ABlazeColour #AgainstTheParkTreesBeyond #OnderStroomRecords #SynthWave #Belgium #Minimal #ElectroPop #Karel‘Bam’Saelemaekers #LudoCamberlin
Synth Wave OnderStroom Records 不明Dr K2
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Muslimgauze “Uzi”
また出ましたねー。PLOを支援していた英国人Bryn Jonesのイスラミック・インダストリアル・ユニットMuslimgauzeの初期のアルバム”Uzi”を、今回は紹介しましょう。元々は、1989年に独自主制作レーベルParade AmoureuseからLPで出されていた作品で、私が購入したものは、2021年にロシアに拠点を置く欧州レーベルOther Voices Recordsが、リマスターしてグレー盤として再発したものです。Muslimgauzeのバイオグラフィーについては以前に書いてありますので、そちらをご参照下さい。それで本作品の内容なのですが、その前に、本作品では、全ての曲がPart 1とPart 2の対になっているのが特徴ですね。例えば、A2 “Odour Of Semtex Part 1とA3 “Odour Of Semtex Part 2”と言うようになっています。今回は、リズムマシンと民族楽器(タブラなど)/シンバルなどの打楽器とが丁度良いバランスで配置されており、個人的には中々聴き応えがありました。A1 “Souq El Gharb Part 2”はシンバルがバシバシ叩かれる曲。A2 “Odour Of Semtex Part 1”はリズミックな曲で、対のA3 “Odour Of Semtex Part 2”はやや重いリズムの曲。A4 “Shroud Of Khomeini Part 1”は打楽器のリズムに逆回転の音が挿入される曲で単純なようで良く錬ってあります。それの対のA5 “Shroud Of Khomeini Part 2”もヘビーでリズミックな曲。A1の対のA6 “Souq El Gharb Part 1”は、静かな祈り声のようなイントロからシンバルをバシバシ叩くヘビーなリズムへ移行する曲で、A面を占めています。B1 “For Abu Jihad Part 1”は、ヘビーなキックの効いたリズムに薄ら電子音が絡む曲で、やがてシンバル乱れ打ちに、、、、対のB2 “For Abu Jihad Part 2”は珍しくイントロがあり、シンバルとキックが特徴的な曲で、後半には4つ打ちキックも。B3 “La Palestina Part 1”は電子音で始まり、ハンドクラップも入れたリズミックな曲で、対のB4 “La Palestina Part 2”はシンバルの逆回転から成り、低音ドローンも特徴的な曲。B5 “Obeid Part 1”は比較的テンポの早い曲でリズムも複雑。対のB6 “Obeid Part 2”はやや落ち着いたリズムの曲。とまあ、今回は割とシンバルを用いた曲が多い印象でしたが、リズムの構築はアラビックと言うか非西洋的/中東的で、緻密です。ただし、曲が3分台なので、不意に終わる曲もあり、もう少し聴きたいなあと思うこともありました。また、対になっている曲に、音楽的に何か共通点があるのか?と言うと、それ程無いようにも感じました。しかしながら、緻密さと大胆さを同居させたMuslimgauzeの魅力は充分に堪能できますので、Muslimgauzeのトライバルでインダストリアルな音楽を一度体験してみて下さい❗️ https://youtu.be/PuhqDnbKlq4 #Muslimgauze #Uzi #OtherVoicesRecords #KontaktAudio #ParadeAmoureuse #Reissue #Remastering #Tribal #Ethno #Industrial #BrynJones #PLO #RhythmMachine #打楽器 #民族楽器 #Cymbals #Electronics #対
Tribal / Ethno / Industrial Other Voices Records / Kontakt Audio (Parade Amoureuse) 不明Dr K2
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Interior “s/t”
今でも覚えているんですが、このInteriorってバンドが出た時に、ある雑誌の音楽評で「良くもこんな恥ずかしいバンド名を付けることができるなぁ。音も推して知るべし」みたいなことが書かれていて、それで、気にはなっていたんですが、その時に購入するのは止めました。それで、何も聴かずして文句を言うのも何だから、購入しようと思って買ったんです。やはり気になったのは、プロデューサーが細野晴臣氏だったこと。そして、ジャケのデザインが如何にも洒落乙で、自分には不釣り合いだなあと言うこと。まあ、それは置いておいて、先ず、Daisuke Hinata / 日向大介 (Synth-Kbd, Piano), Eiki Nonaka / 野中英紀 (Synth-Strings, Vo), Mitsuru Sawamura /沢村満 (Sax, Kbd), Tsukasa Betto / 別当司 (Drs, Perc)の4人です。Berklee音楽大学に留学していたメンバー4人はYMOの”BGM”に触発されて、日向を中心としていたバンドEyesやSnowを、Interiorの前身として組み、その発展解消する形で、Interiorを結成しています。その活動が、細野晴臣氏の目に留まって、サポートを受けて、本作品をYen Recordsからリリースしています。Yen活動期間後、1985年に、沢村と別当が脱退しましたが、New Ageの提唱者William Ackermanに見出され、彼のレーベルWindham Hill Recordsより、再度ミックスし直して、バンド名もInteriorsと複数形にして同名のアルバムを世界的にリリースしています。コンピ”Windham Hill Records Sampler '86”に参加して、収録された”Hot Beach”がグラミー賞のNew Age Producer Artist部門にノミネートされています。1987年に、セカンド・アルバム”Design”をリリースしますが、その後、自然消滅しています。なお、沢村はバンド脱退後も、高橋幸宏や立花ハジメなど様々なアーティストの作品に参加しています。 それで本作品の内容なのですが、一言で言うならば「癒し系」ですね。余計な音を排して、ミニマルで柔らかい電子音から成るインスト曲が主体を占めている作品です。このNew Age Musicなるモノが良く分からないのですが、アンビエントやミニマルとどう違うのか?その辺りの線引きで評価は分かれそうですね。私は、これを聴いて、復活直後のM.B.を思い出しました。確かに、彼の音楽はメロディもリズムも無いのですが、New Ageっぽいと言われて、低評価でした。ただ、そのような音楽とは形態は違うのですが、確かに心を落ち着かせそうな音楽ではあったと思います。逆に言うと、エッジの無い音楽と言っても良いかもしれません。そう言う意味では、このInteriorも何の毒もない音楽です。元々が、YMOの”BGM”に影響を受けたとして、このような音楽に行き着くのは、私にはちょっと理解し難いように思えます。”BGM”は各人の趣味を徹底的に押し出した、ある種実験的なアルバムだったからです。そこら辺に齟齬を感じますねぇ。それはそれとして、グループ名からもサティーの「家具の音楽」を目指したのかなあとも思います。まあ今となっては闇の中ですが。でも偶には、こう言う音楽を掛けっぱなしにしてもいいんじゃないでしょうか?そんなアルバムです。 https://youtu.be/qvCpWBVtYTI #Interior #YenRecords #WRWTFWWRecords #Reissue #NewAgeMusic #Electronica #Synthesizers #Drums #Sax #DaisukeHinata #EikiNonaka #MitsuruSawamura #TsukasaBetto
New Age / Electronica WRWTFWW Records (Yen Record) 3300円Dr K2
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Relief “The Gloaming” of
これは、本当に「謎物件」です。Discogsでも中々探せませんでした。どうも、独逸のC. Berkesのソロ・プロジェクトがReliefらしく、”The Gloaming”がアルバムタイトルみたいです。しかも、このReliefはまだアルバムはこれだけで、他に12㌅EP “Coagula”が1枚だけと言う寡作振り(或いは新人?)で、情報が殆ど無いです。 それで、彼の音楽ですが、全体的に茫漠とした音像で、派手さは無いのですが、それらの構成要素は、恐らくはフィールド・レコーディングした具体音で、それらをミュージック・コンクレートした音楽です。ここまで、抽象化した具体音は余り聴いたことがありませんが、癖になる中毒性を秘めてますね。A面B面各2曲づつなのですが、4曲とも同様の曲調で、徹底しています。あと、裏ジャケに、不思議な形の銀色のシール(?)が貼ってありますが、これが何かを紐解くヒントなのかどうが?不明です。そんな謎だらけのReliefですが、今後の展開が気になりますがね。今からチェックしておいても良いのではないでしょうか? YouTubeには無かったので、Bandcampから。 https://reliefmusic.bandcamp.com/album/the-gloaming #Relief #TheGloaming #Relict #German #C.Berkes #FirstAlbum #SoloUnit #MusiqueConcrete #Abstract #Experimental
Experimental / Musique Concrete relict 3047円Dr K2
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Cocteau Twins “Garlands”
今回は、またちょっと毛色の変わったバンドを紹介します。4AD (英国)からデビューアルバムを出したスコットランドのCocteau Twinsです。まあ、4ADから出たと言うだけで、ある程度、音が想像出来る方もいらっしゃるかも知れませんね。今回は、そのCocteau Twinsのファースト・アルバム”Garlands”です。先ずは、Cocteau Twinsのバイオグラフィーを簡単に紹介します(と言って、いつも長くなる)。Cocteau Twinsは1979年〜1997年に活動していたパンドで、最初は、Robin Guthrie (G, DrumMachine), Will Heggie (B), Elizabeth Fraser (Vo)でしたが、1983年からはHeggieに代わって、マルチ奏者のSimon Raymondeが加わっています。元々はGuthrieとHeggieが1979年にスコットランドのGrangemouthでバンドを組んだのが始まりで、The Hotel Internationalと言うディスコで、GuthrieがDJをやっていた時に、17歳のFraserに出会い、この縁で、彼女はVoとしてバンドに加入したのが、Cocteau Twinsの始まりです。それで、彼等は、1982年に、John Peelのラジオ番組BBC Radio 1の為に、”Wax and Wane”や”Garlands”を含む4曲を録音しています。その後、バンドは4ADレーベルと契約し、1982年7月にデビュー・アルバム”Garlands”を4ADからリリースしますが、このアルバムは英国インディー・アルバム・チャートで2位までいき、ちょっとした成功を収めます。この時に、音楽ライター達はSiouxsie & The BansheesやJoy Division及びBauhausからの影響を受けているとかゴス・ロックとかと評していますが、概ね良好な反応でした。1983年には、EP “Peppermint Pig”をリリース。この時のツアーの後で、Higgieが脱退し、残りの2人でセカンド・アルバム”Head and Heels”を作り上げます。この頃から、オペラチックなVoとエフェクトを掛けたヘビーなGと言う「Cocteau Twins節」とも呼ばれる音楽に変わっていきます。1983年末に、Drowning Crazeのマルチ奏者Simon Raymondeが加入します。1984年から、パンドは、サード・アルバム”Treasure”含む数枚のEPをリリース、1986年には4枚目のアルバム”Victorland”をリリースしていますが、RaymondeはThis Mortal Coilのアルバム作製に関わっていたので、このアルバムは残りの2人で作製されています。その為か、アコースティックなアルバムになっています。その後、1986年には3人は、Harold Buddとのコラボ・アルバム”Moon and The Melodies”もリリースしています。そして、1985年には米国進出の為、4ADは彼等にRelative Recordsと契約させ、また、国際的にも進出させる為、彼等は大手レーベルであるCapitol Recordsと契約。その年9月に、彼等は5枚目のアルバム”Blue Bell Knoll”をリリースし、シングルカットされた”Carolyn’s Fingers”は米国ラジオ局でかかりまくり、Billboardのオルタナ・ソング・チャートで2位になります。1990年末に、彼等は、最も商業的に成功したアルバム”Heaven Or Las Vagas”をリリース、すぐ様、英国アルバムチャートで7位となります。ただし、この時期には、彼等は、4ADのIvo Watts-Russellと揉めていましたし、Guthrieの薬物依存症の問題も抱かえていました。1993年になると、FraserとGuthrieの13年間のパートナーシップも終わりましたが、彼等には1989年生まれの娘Lucy Belleがいました。それでも、彼等は7枚目のアルバム”Four-Calendar Café”をリリースしていますが、このアルバムはGuthrieのアルコール/薬物依存症のリハビリの継続・中断の繰り返しとFraserが心理療法を受けていたと言う状況を反映したものであったようです。それでも、1995年に2枚のEPを出し、1996年には、以前に戻ったかのようなギターとヴォーカルを思わせた8枚目のアルバム”Milk & Kisses”をリリースしています。そうして、1997年に、9枚目のアルバムを作製しようとし、ある程度出来ていた曲もあったのですが、やはりGuthrieとFraserの関係が壊れたことで、とても録音出来る状態ではなかったようで、Cocteau Twinsは解散となります。 以上が、Cocteau Twinsのあらましですが、今回は、彼等のファースト・アルバム”Garlands”を紹介します。この時期は、まだ、Heggieが在籍していた頃で、フランジャーなどのエフェクトを掛けた、Guthrieの金属質なギターとHeggieのややドライブするベース、それに歌い上げるようやFraserヴォーカルと、恐らくはRoland TR-606と思われるリズムマシンが、彼等の構成であり、特徴でした。曲調は、ややスローなものが多く、耽美的な部分もあり、恐らくはそのような点がJoy Divisionなんかと比べられたのかなぁ、あとは、ギターの音色やリフが、如何にも1980年前後の音だなあと思います(良い意味でも悪い意味でも)。なので、どちらかと言うと、ベース・ラインが曲を支えている感じですが、それにしても、今の耳で聴くと、聴き易いなあと言う印象です。Siouxsie & the Bansheesとかが好きならば、ハマるでしょう❗️そんなCocteau Twinsのファースト・アルバムを一度は試してみて下さい!なお、私が購入した盤はリマスタリングされて、24bit HDになった再発盤なので、音は幾分良いのかな? A2 “Wax and Wane” https://youtu.be/Kv8Nbz2HMRg [full album & bonus tracks] https://youtube.com/playlist?list=PLfimnwaZdumhRSeUXHVR03_xMXvAeGOdC #CocteauTwins #Garlands #4AD #PostPunk #GothRock #RhythmMachine #FirstAlbum #Reissue #Remastering #24bitHD #RobinGathrie #WillHeggie #ElizabethFraser #SimonRaymonde
Post Punk / Goth Rock 4AD 3430円Dr K2
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Danielle Dax “Pop-Eyes”
アンダーグラウンド界の才色兼備の歌姫Danielle Daxのソロアルバム第一弾、その名も”Pop-Eyes”を紹介します。ただ、残念なことに、私の持っているのは、オリジナル・プレスのジャケじゃないことです。そう、あの人肉(?)のコラージュで、ヒトの顔を表現した、とても女性アーティストの作品とは思えない程、グロでポップなジャケではないんです❗️それが惜しいところですので、次回はそれを是非とも購入したいと思います。と言う訳で、オリジナルが出た2年後にリプレスされた盤で、Danielle Daxが、Vo, G, Drs, Kbd, Banjo, B, Flute, Tenor-Sax, Soprano-Sax, Trumpet, Tape, Drone, Drum Machine [Roland TR-808], Assorted-Perc, Toysを全部こなして、作り上げた、ホントの意味での「ソロ」アルバムなんです。しかも、4チャンネルのTeacのレコーダーで録音されており、1982年11月15-17日と言う3日間でミックスが終わり、マスタリングはGeorge Peckhamが担当しています。内容も素晴らしく、A1 “Bed Caves”やA3 “Everyone Squeaks Gently”では、中東風のメロディを披露しており、後のアルバムの方向性をしています。A2 “Everyone Squeaks Gently”ではドラムマシンではなく、プリペアード・ギターを叩いてパーカッション代わりにしているようです。A4 “The Stone Guest”はサックスが大活躍のインスト曲。A5 “Here Come The Harvest Buns”はユーモアのあるTR-808に合わせて朗々と歌っていますが、宅録感もあって親しみ易いです。B1 “The Shamemen”はカッコいいTR-808のHi-Hatの刻みから、これまたカッコいいベースラインになる小曲で、続くB2 “Kernow”は、TR-808とサックスが絡むインスト曲で、その天空をDaxのウィスパーヴォイスが舞っています。B3 “Numb Companions”では天使の様な声でDaxがオルガンに合わせて歌う「讃美歌」のようなビートレスな曲です。カッコいいシーケンスに合わせて、変幻自在な歌声で歌い上げるB4 “Tower Of Lies”に続きますが、ここでのシンセの使い方が興味深いです。そして、最後のB5 “Cutting The Last Sheaf”でも、金属質なシンセの間に独り言のような歌が聴こえてきますが、やはりトルコ辺りの民族音楽のようで、ビートレスに仕上がっています。とまあ、多彩な表現を一人でやってしまうDanielle Daxですが、プリミティブさと共に、曲によっては、その強さは違うのですが、どうも中東風のメロディやリフがそのここに散りばめられており、その後の彼女の方向性を示唆する出来であると言えるでしょう。嗚呼、それにしても、オリジナルのジャケ写の盤が欲しかったです。それだけが残念❗️ https://youtu.be/VohisjMjPSU #DanielleDax #Pop-Eyes #AwesomeRecords #TheInitialRecordingCompany #Re-Pressed #SoloAlbum #FirstAlbum #LemmonKittens #Multi-Instrumentalist #4ChannelRecorder
Experimental Pop Awesome Records (The Initial Recording Company) 2000円前後?Dr K2
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Amon Düül “Minnelied”
今回、漸く、独逸ロックの始祖的存在Amon Düül (Amon Düül IIではない)のファースト・アルバムを入手しましたので、紹介したいと思います。元々は、”Psychedelic Underground”と言うタイトルで、Metronomeよりリリースされていた作品ですが、Brainからの再発にあたって“Minnelied”とタイトルが変更になっています(内容は同じ)。それで、先ず、Amon Düül のバイオグラフィーについて書いていきます。Amon Düülは、1960年代に西独逸の政治的芸術コミューンから生まれたバンドで、フリーフォームな即興演奏で知られています。そして、そこから、Amon Düül (場合によってはAmon Düül Iとも表記)とAmon Düül IIに分かれます。その名前ですが、Amonと言うのはエジプトの太陽神のことで、Düülには意味がありません。それで、そのミュンヘンのコミューンの中で、1967年に、Ulirich Leopoldが、その兄弟Peter Leopoldとオーストリア人Rainer Bauer及びChris Karrerを誘って結成したのが始まりで、後にはBauerの妹EllaやHelge及びAngelika Filanda, Uschi Obermaier, Wolfgang Krischke, Falk Rogner, Renate Knaupも加わります。そこでは基本的に、自由な即興演奏、つまりジャムセッションが繰り広げられる訳ですが、所謂パプニングなどに基づいて行われており、また、このコミューンでは、芸術的にも自由で、その熱意だけを評価しており、音楽的技術とかについても一切不問であった為、参加メンバーは流動的でした。ただ、そのメンバーの中には、より音楽的な向上心を持ったメンバーもいたようで、その為、2つのグループAmon DüülとAmon Düül IIに分かれました。丁度、1968年9月に独逸初の地下音楽フェスInternationale Essener Songtageが行われ、その時に、先述の2つのグループは別々に参加しています。Amon Düülはよりオープンで熱狂的な試みを行なっていた為か、米国やブラジルのサイケデリック・ロックに共感しています。そうして、彼等はMetronomeと手堅く契約することになり、7年間、様々な紆余曲折を経て、活動していくことになります。1968年のジャムセッションが彼等のデビューアルバム”Psychedelic Underground”になりますが、これはプロデューサーのPeter Meiselがバンドの許可なしにリリースを決めたものらしいです。そうしたことを踏まえても、このアルバムは独逸ロック史の最重要作品であると認識されています。反対に、Julius Schittenhelmによってプロデュースされたアルバム”Paradieswärts Düül”は落ち着いたフォーク調のサウンドになっていますが、彼等の活動は1973年には弱まっていきます。それで、Amon Düülのメンバーなのですが、1968年〜1969年では、Rainer Bauer (G, Vo), Ulrich (Uli) Leopold (B), Helge Filanda (Congas, Vo, Anvil, Perc), Wolfgang Krischke (Drs, Piano), Eleonora Romana (Ella) Bauer (Shaker, Vo, Perc), Angelika Filanda (Perc, Vo), Peter Leopold (Drs: 後にAmon Düül IIに移籍), Uschi Obermaier (Maracas, Perc)からなっています。その後、1970年6月に録音されたシングル"Paramechanical World"でもメンバーは変わり、1970年に録音された最後のアルバム”Paradieswärts Düülでのメンバーは、Ella Bauer (Harp, Vo, Bongos), Lemur (Klaus Esser: Drs, Vo, G), Ulrich Leopold (B, Vo, Piano, G), Dadam (Rainer Bauer: G, Vo, B), Helge Filanda (Drs), Noam (Angelika Filanda: African Drs)にHansi Fischer, John Weinzierl, Christian 'Shrat' Thieleが客演しています。と言うのが、Amon Düülの略歴なのですが、1980年にAmon Düül IIのJohn WeinzierlとDave Andersonが 立ち上げたバンドは過去の2つのグループと区別する為、Amon Düül UKと表記されています。 それで、本作品であるAmon Düülのファースト・アルバム”Minnelied”こと”Psychedelic Underground” (しかしながら、このオリジナルのタイトルはカッコいいなあ)の内容について紹介します。A面B面とも3曲ずつ収録されています。どの曲も、執拗な反復とロウなジャムセッションによるトラックから成ります。もう少し録音が良ければなとも思えるのですが、逆に、ロウで荒っぽい演奏だからこそ、ドラッグによる高揚感を再現するのに良いのかもと推測してしまいます。それと不明瞭なヴォーカルと言うか呪文のような声もその効果に寄与しているようにも思われます。また曲の途中に別のフレーズを挟み込んだり、同じ曲の別録音を繋いだりと、ポスト・プロダクションも行なっています。ここら辺は、同じ独逸のFaustを想起させますね。B2の最後にもちょっとビックリするような仕掛けや、B3にも合唱団の音声を挿入したりとギミックもありますので、そこら辺も楽しめますね。ネタバレになるので、詳しくは書きませんが、実際に聴いてみて下さい❗️ A2 “Kaskados Minnelied” https://youtu.be/zEJ5WEpsaRc [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_msl6gdm-uoTSya-9CuGGvVpvkauveR5YY #AmonDüül #Minnelied #PsychedelicUnderground #Brain #Metronome #Krautrock #Psychedelic #反復 #Repetition #DrugCulture #Commune #RainerBauer #Ulrich(Uli)Leopold #HelgeFilanda #WolfgangKrischke #EleonoraRomana(Ella)Bauer #AngelikaFilanda #PeterLeopold #UschiObermaier
Krautrock psychedelic Brain 不明Dr K2
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Y Pants “Beat It Down”
皆さんは、この風変わりな名前のバンドを覚えてらっしゃいますか? Y Pantsは、米国NYCで、1979年に、写真家兼音楽家のBarbara Ess (B, Ukelele, Vo)と視覚芸術家のVirginia Piersol (Drs, Vo: 通称Virge Piersol)及びGail Vachon (Kbd, Vo)の女性3人で結成されたNo Waveバンドです。彼女達は、主に、おもちゃのピアノやウクレレ、ミッキーマウスのドラムキットなどの楽器とベースやカシオトーンなどのLo-Techな楽器を用いて、独自の音楽を、主に、マンハッタンのギャラリーなどで演奏していました。当時のNYCでのNo Waveの影響なのか、彼女達はやがてパンクの聖地CBGBなどでも演奏するようになっていきます。そして、Glenn Brancaの協力の元、1枚のアルバム(本作品です)と1枚のEPを出して、1982年に解散しています。また、Y Pantsの特徴は、フェミニズムな歌詞も特徴で、所謂、共用の洗濯場での危険や物質主義、家父長制度などについても歌っており、一方でBertolt Brechtの「3文オペラ」から"Barbara's Song" などもレパートリーにしています。そんな彼女達に呼応するのは、英国のThe Raincatsとも言われていますし、女流小説家のLynne Tillmanも彼女達の為に”Obvious”の歌詞を書いたりしています。彼女達は本作品であるアルバムをリリースして直ぐに解散していますが、その後は、毎年、メンバーの誕生日ごとに再結成(?一緒に演奏)していたようですが、Essは2021年に3月4日に76才で他界しています。 それで、内容なのですが、全体の印象としては、ドコドコしたドラムにスカスカなベースやおもちゃのピアノ或いはカシオトーンが乗っかり、更にウィスパーなヴォーカルが乗ることで、更にスカスカになっていくと言う簡素な音楽で、これが果たして「ロック」なのか?「No Wave」なのか?と考え込んでしまいそうです。スネアを余り使わないリズムは、No Wave的、特にDNAのような趣きもありますが、彼女達の音楽は明らかに空虚であるようです。歌詞が分かればもっと理解できるとは思いますが、多分Au Pairsのようなものではないかと想像します。その真骨頂がB6 “That's The Way Boy's Are”ですね。まあ聴いてみれば分かります(ちょっとショッキングだった)。彼女達の音楽はこの一枚のアルバムに凝縮されていますので、是非とも体験してみて下さい❗️因みに、後に、Y Pantsのセルフ・コンピも出ていますので、そちらの方が入手はし易いかもです。 https://youtu.be/mDyRn2Kg28c #YPants #BeatItDown #NeutralRecords #NoWave #ToyPiano #Casiotone #Ukelele #Bass #Drums #BarbsraEss #VirginiaPiersol #GailVachon #GlennBranca
No Wave Neutral Records 不明Dr K2
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Conrad Schnitzler “Grün”
またまた出ましたConrad Schnitzler先生のアルバム“Grün (Green)”です。まあ、私の場合、もう中毒と言うか強迫観念と言うか、取り敢えず、Schnitzler先生のは購入してしまうんですよね。もうバイオグラフィーは散々書いてきましたので、省略します。今回は「モノクローム」シリーズの第4弾「緑」(元々、このシリーズには正式なタイトルは付いていないので、通称です)です。一応、B面は331/3回転でも45回転でも可と書いてありますが、331/2回転で聴きました。A面1曲、B面1曲と長尺の曲が収められており、恐らくはPeter BaumannのParagon Studioで録音されたのではないかとのことです。共に、ミニマルなシーケンスやリズムボックスにシンセのメロディーが絡まっていると言う曲から成ります。単純な構造なんてすが、1970年代のSchnitzler 先生の音楽としては比較的典型的な音で、特にB面には、回転数を指定していないことからも、理に叶っていると言えましょう。もう少し詳しく紹介しますと、A面”Der Riese Und Seine Frau (The Giant and His Wife)”はリズムボックス駆動型の極めてミニマルな音楽です。これは1976年に録音されたもので、シンセの音色を含めて、無限廻廊のように続くような高揚感を感じ、この頃の彼の作風を良く表していると思います。一方、B面”Bis Die Blaue Blume Blüht (Until The Blue Flower Blooms)”は、1980年に録音されており、ミニマルなシーケンスが流れるように重層化し、そこに伸びやかなシンセのメロディーらしきフレーズが重なっていくと言う簡素ではありますが、解説のAsmus Tietchensの言葉を借りると、まるで「マントラ」のような音楽だと言うことです。念の為、45回転でも聴いてみました。かなり印象が変わり、ミニマルなシーケンス音は抑えられ、その分、スペース感がマシマシになりますね。そんなSchnitzler先生の初期作ですが、ミニマル・エレクトロニクスを考える時に体験して欲しい一枚ですね。因みに、A面は、後のThe Human Leagueのセカンドアルバムに収録されていた”Toyota City”の元ネタなのでは?と思いました、 https://youtu.be/RIv3pFEQ8qY #ConradSchnitzler #Grün #EditionBlock #BureauB #Reissue #Remastering #MonochromeSeries #Minimal #Electronic #Krautrock #回転数 #1976-1980年作 #Synthesizers #Sequencer #RhythmBox
Krautrock, Electronic Bureau B (Edition Block) 不明Dr K2
