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Die Tödliche Doris “Ohne Titel”
独の最大の「不思議」である致死量ドリスことDie Tödliche Dorisを紹介します。前回も書きましたが、正直言って、私は割とこう言う感じの音楽は避けてきました。あのWaveが出した2枚組は持っていますが、当時は、何故かピーンとはきませんでした。Die Tödliche Dorisのバイオグラフィーについては、前回もちょっと書きましたが、少しだけ復習を。グループは、1980年の西ベルリンの壁に設置されたTempodromで開催されていた、新しい表現を組合せたり、試みたりするイベントGeniale Dilletanten 運動 (ゲニアーレ・ディレタンテン[天才的好事家]; 本来の綴りはGeniale Dilettantenですが、意図的にスペルミスを入れて、そのままイベント名にしています)に参加していたWolfgang Müller(ヴォルフガング・ミューラー)とNikolaus Utermöhle (ニコラウス・ウーターメーレ)が中心となって、後に、Käthe Kruse (ケーテ・クルーゼ)、Dagmar Dimitroff (ダグマー・ディミトロフ)やTabea Blumenschein (タベヤ・ブルーメンシァイン)も加わり、Die Tödliche Dorisが結成されています。この時期には、コアメンバーの男性2人にDagmar Dimitroffの3人で活動していたようです。そのイベントには、他に、Einstrützende Neubauten, Frieder Butzmann (フリーダー・プッツマン)や Sprung Aus Den Worken (スプルンク・アウス・デン・ヴォルケン)なんかも参加しています。また、このイベントについてはドキュメント作品がありますので、そこで詳細を紹介することにします。 今回、取り上げたのは、Die Tödliche Dorisの1981年作の12㌅EP”Ohne Titel (オーネ・ティテール)”で、Die Tödliche Dorisにとっては初のヴァイナルです。これは、どう見ても”7 Tödliche Unfälle Im Haushalt(実際、A-1に収められている)”がタイトルになりそうなんですが、グループ側は、この作品のタイトルは”Ohne Titel (無題)”であると主張していますので、それに従うことにします。また、ジャケが素っ気ない感じなんですが、そこがまた彼等らしくもあり、好感が持てますね。内容的には、A面4曲/B面2曲が収録されています。それでは、各曲について紹介していきましょう。 ★A1 “7 Tödliche Unfälle Im Haushalt” (3:45)は、不安な響きのDrsとクラリネットに、男性Voが語り口調で乗る曲で、バックには怪し気なドローン音も聴取できます。多分、「家庭内における7つの死亡事故」について語っているものと思われます。 ★A2 “Tanz Im” (3:38)では、リズムマシンのビートに、男性の叫び声と何らかの空気音も聴こえ、途中からアコーディオンや囁き声も入ってきたりします。こう言う曲には「パンク」を感じますね。 ★A3 “Avon-Gard” (1:10)は、リズムマシンとDrsと木琴とアコーディオンに、男女語りVoが絡み合う、何とも忙しない小曲ですが、Voはダルダルになります。 ★A4 “Stop Der Information” (1:53)は、バシバシしたDrsにフリーキーなGと切羽詰まった男性Voから成る曲で、途中、短波ラジオノイズも聴取され、その成分は増えていきます。 ★B1 “Der Krieg Der Basen” (4:58)では、歪んだGカッティングと何かのノイズに、切羽詰まったように男性煽るVoが乗るのですが、時に別の女性?Voも挿入されてきて、それが更に不安を煽ります。そして最後には物音系な音も。 ★B2 “Der Astronaut Und Der Kosmos” (4:13)では、6/8拍子のリズムマシンと生Drsの単調なリズムに、リズムを刻むオルガン?と深いリバーブを掛けた語り口Voとコーラスが挿入されます。途中で音が変わって、クラリネットのフリーな演奏が不穏に鳴り渡り、再び男女のコーラスも復活します。 やはり、Die Tödliche Dorisは、LP位の長さでガッツリ聴いた方が良いですね。それにしても、彼等のぶっ飛び方は凄いです。それは、まるで「アート・パンク」のようです。何者にも縛られない発想と実践を、この最初の時点で既にやっていることに驚かされますね。12インチ45回転なので、音質も良好で、そこら辺も拘ったのか知りたいところです。それにしても、Die Tödliche Dorisの初期の魅力の詰まった、このミニ・アルバムは基本の基なので、是非とも聴いて欲しいです!「表現とは何か?」の発想の芽が感じられると思いますよ。 https://youtu.be/Prl3MzmqPS8?si=7GNPmuE6DyStYxiv #DieTödlicheDoris #OhneTitel #ZickZackPlatten #12inchEP #LimitedEditions #2000部 #FirstVinyl #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Avant-Grade #Experimental #FreeMusic #7TödlicheUnfälleImHaushalt #WolfgangMüller #NikolausUtermöhlen #KätheKruse #ChrisDreier #DagmarDimitroff #TabeaBlumenschein
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Avantgarde Zick Zack 8949円Dr K2
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S.Y.P.H. “Der Bauer Im Parkdeck”
ちょっと変則ですが、S.Y.P.H.の2枚組7㌅EP “Der Bauer Im Parkdeck (デア・バウアー・イム・パルクデック)”を紹介しましよう。この頃は、リズム隊の2人がメンバー・チェンジしており、オリジナル・メンバーはHarry Ragだけですが、7㌅EPに13曲入りとパンパンに詰め込まれています(しかも45回転!)。また、タイトル曲には、同名の映像作品があります。ただし、この2枚組の曲は、これの後にリリースされたアルバム”Harbeitslose”がCD再発された時に、ボーナストラックとして含まれたそうです。それで、この時のメンバーは、Harry Rag (Vo, G), Thomas Oberhoff (B), Gilbert Hetzel (Drs)の3人で、かつオリジナル・メンバーのUwe Jahnke (G)もゲスト参加していますがJahnkeは、Fehlfarben (フェルファーベン)での活動が忙しくなったので、ゲストとして参加しています。それでは、各曲についてご紹介していきましょう。 ◼️EP1 ★A1 “Der Bauer Im Parkdeck”は、タラタラと反復する演奏に、駄々漏れのような語り調のVoが被さる曲で、Gもヘロヘロです。 ★A2 “Falsche Freunde”は、わりと陽性の明るい曲で、S.Y.P.H.にしては珍しい曲調です。間奏のスライドGもカッコ良い! ★B1 “Alte Freundin”では、アコギの弾き語り(ハイハットとBもあり)にヘロヘロのコーラスが乗ります。如何にもS.Y.P.H.らしいです。 ★B2 “Knudelblues”では、バックに微かなGや物音が鳴る中、オフマイクでVoの語りが呟かれます。数10秒の曲です。 ★B3 “Traumraum”は、B2に連続して、掻き鳴らすGと重めのBとDrsのキックが入ってくる曲ですが、Voは語り調と叫び声と2人が担当しているようです。 ◼️EP2 ★C1 “Bekenntnisse Eines Knüppelträgers”は、掛け声一発で、アップテンポなツービートにコーラス(?)とGと言うハードコアも真っ青な曲です。 ★C2 “Masolinchen”は、フリーで歪んだG/Bとスネアをバックに、ひり出すような語り口Voが歌う小曲です。 ★C3 “Herrlich Anonym”も、アップテンポなツービートの曲で、早口なVoに捲し立てられていると、後半にはフリーキーなGも入ってきます。 ★C4 “Clean City”は、米アニメのような訳わからん声だけからなる数10秒のアカペラ曲です。 ★C5 “Hugo Hugh”は、掻き鳴らすGと早口独逸語Voを中心としたアップテンポの曲で、焦燥感も持って疾走する間に終わってしまいます。 ★D1 “Mit Das Leben Klar”は、ギクシャクしたDrsに微かなGと呟くような呪文的Vo流れ出す曲です。 ★D2 “Wo Ist Der Ausgang”では、各々が勝手に叫んだり、呟いたりしていますが、Gのアルペジオ(?)か中心になっているインスト(?)曲です。 ★D3 “Maschine Von Beruf”は、トイ楽器とGとつまずくようなDrsに、また各々勝手なVoを入ってくる曲です。この適当さがまた彼等には良く合います。最後はロックド・グルーヴになっています。 いやー、この短い尺の間に、S.Y.P.H.の魅力がたっぷり詰まっていますねぇ。どうも、ファンの間では、この2枚組シングルは、評価も高いようで、その気持ちも良く分かります。とにかく、ヘロヘロで、出鱈目で、それでいて独逸人らしいユーモアも待ち合わせいる実験的とも言い難い独特の試みが全編為されており、聴き応え充分です。また、この内容を敢えてシングル2枚組でリリースと言うのも、彼等らしいですね。それと、オリジナルメンバーがHarry Ragだけなのに、このS.Y.P.H.らしさを維持出来ているのも凄いです。脱力と先進性が共存していますので、このシングルは見つけたら、即買いですよ! [この時期のS.Y.P.H.の音源は余りYouTubeに上がっていませんので、見つけた分だけ貼っておきます] A1 “Der Bauer Im Parkdeck” https://youtu.be/F7AxW-ktWvM?si=JnJiScHsVX6P5pPr A2 “Falsche Freunde” (live 1985) https://youtu.be/GDv5GiFwmco?si=WBDV-Qx44Xv7mx74 B3 “Traumraum” https://youtu.be/thbArMBP4BY?si=L5OJck1nXWyj3jQU #S.Y.P.H. #DerBauerImParkdeck #PureFreude #7inchSingle2枚組 #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Experimental #PostPunk #脱力 #Progressiveness #Harbeitslose #CD #BonusTracks #GilbertHetzel #HarryRag #ThomasOberhoff #Guest #UweJahnke
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Experimental Pure Freude ¥3800Dr K2
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The New Blockaders & Nobuo Yamada “Prickle/Crevice”
久々にコラボ作品を!今回は、ArtBreakHotel名義でも活躍しているサウンド/ヴィジュアル・アーティストNobuo Yamada (以下 山田ノブオと表記)と英国金属王The New Blockaders (以下TNBと表記)とが、2004年に出した、山田氏によるコラボCDR作品”Empty Time Of TNB”に収録されていたトラックの内、1曲目を別作品として、今回、片面LPとしてリリースしたとのことです。なので、参加者は、山田ノブオ氏とTNBサイドはPhilip D. RupenusとRichard Rupenusの2人となつています。どうも両者ともメタルジャンク使いなので、当然ながら、結果も「金属ノイズ」となるものと予想出来ると思います。それで、TNBのバイオグラフィーは既に書いてありますので、省略させて頂きますが、山田ノブオ氏については、その活動を少し紹介したいと思います。山田氏は、1962年生まれ(私と同じですね)で、2000年過ぎ頃から、音響作品を作り始めたようです。彼は、身の回りの物音やフィールド録音、或いは自ら作製した金属製のオブジェからの音などを巧みに操り、操作・録音して、音作品を作っているようです。ただ、私には、本名名義とArtBreakHotel、更に最近始めたChin Mountainの使い分けは正直、良く分かりませんでしたが、個人的には、金属製のオブジェがどんな物なのかには興味が沸きました。山田氏の詳細なバイオグラフィーについては調べた限り、よく分かりませんでした(すまん!)。ただ、本作品及び本作品の元になったCDR”Empty Time Of TNB”は、元々、TNBのファースト・アルバム"Changez Les Blockeurs"を元音源として、各アーティスト/グループがそれぞれ変調・加工・分解・再構築してリミックス/リクリエイトした曲を国別にコンパイルしたシリーズ”Viva Negativa! A Tribute To The New Blockaders”に収録された、山田氏の曲だけを抜粋した作品であり、山田氏の言葉を借りれば、「製作した音源をさらに増強+再構築させた、明瞭で無意味なHard Organic Metal Junk Noise」であるとのこと。そんなリミックスやリクリエイトを通過した作品が本作となります。それでは、その弄くり回した曲を紹介しましょう。 ★A “Prickle / Crevice” (15:50)は、先述の通り、EP “Empty Time Of The New Blockaders”の一曲目なのですが、あらゆる方向から放射される、ガチャガチャとしたメタル・ジャンクの悲鳴が可聴空間を満たしていきます。そこには高揚も落胆も無く、フラットな時空で淡々と続けられており、途中、その中にフィードバック音らしき持続音も混じってきます。それと、メタル・ジャンクの音に、Saxらしき音も聴こえるのですが、これもまた金属音であるようです。徹底した「盛り上がりの欠如」こそが、TNBの音楽なので、このコラボでもその方向は変えてはいませんね。その意味で、禁欲的な作品だと思いました。そこら辺を分かって、ミックスなどをやっている山田氏の洞察力も素晴らしいです。片面だけなのが、惜しいところですが、元作品を聴いてみたくなりました。 [“Empty Time Of The New Blockaders” full album] https://youtu.be/S9ZjRhA_3_g?si=MDEpjT2-eYIfnu09 #NobuoYamada #TheNewBlockaders #Prickle/Crevice #PsychFormRecords #OneSideLP #CollaborationAlbum #Japan #UK #CollaborationThroughTheMail #RichardRupenus #PhilipD.Rupenus #Sound/VisualArtist #EmptyTimeOfTNB #VivaNegativa!ATributeToTNB
Noise / Experimental PsychForm Records 1650円Dr K2
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Fear Of God “As Statues Fell”
Fear Of God (以下FOGと表記)を覚えているかい? Napalm Deathと同じ時期(1980年代中盤に活躍していた)に、ブラスト・ビートを引っ提げて、欧州で初めてグラインドコアをやったグループとして、当時のシーンに現れ、その後も、グラインドコアを牽引していきます。1986年に、スイスZulichで、Erich Keller (Vo), Dave Phillips (B, Vo), Reto "Tschösi" Kühne (G), Franz "Osi" Oswald(Drs, Perc)によって結成され、1988年解散した短命なバンドでしたが、欧州のグラインドコアの発展に大きく寄与しています。その後、2002年中盤に一過性に再結成されたことがありますが、Erich Keller (Vo)とFranz Oswald (Drs)だけがオリジナル・メンバーで、他は、Hervé Geuggis (G), Gilles Geuggis (G), Massimo (B)から成っていたとのことです。そんな中でも、最も良く知られた作品は、1991年にAtrocious RecordsからでたEP ”Pneumatic Slaughter”とされています。また、オリジナルメンバーのDave Phillipsは、その後、スイスのアクショニズム集団Schimpfluch-Gruppe (シムフルッフ・グルッペ)に近づき、そこで、よりノイズ的な音楽に傾倒し、現在では、世界各地のフィールド録音を元にして、サウンドスケープを具現化したようなミュージシャンとして活発に活動しています。話しを元に戻しますと、本作品は、FOGのファースト・アルバムで、A面は、1988年10月1日に、スイスのFrinourgでライブ録音された音源であり、B面は、1988年7月1日に、独Hanauでライブ録音された音源を収録しています。オリジナル・メンバーによるLPとしては唯一のアルバムです(同年、オリジナルメンバーによるセルフタイトルの7㌅シングルも出ています)。グラインドコアのアルバムに有りがちで、曲は極端に短く、またアルバムには、目一杯詰め込まれていますので(A面12曲/B面14曲収録で、しかも45回転)、曲単位でのご紹介では無く、アルバム全体のご紹介をしたいと思います。 A1 “As Statues Fell” A2 “Controlled By Fear” A3 “Locked Away” A4 “Thy Beauty” A5 “Trouble Maker” A6 “Absolution” A7 “The Two Sides Of The Coin” A8 “Pneumatic Slaughter” A9 “A Life In Rigorism” A10 “Running Through The Blood” A11 “Which Way?” A12 “World Under My Fingernail” B1 “The Two Sides Of The Coin” B2 “Pharmageddon” B3 “1000 Ways To Die” B4 “Veil Of Oblivion” B5 “Under The Chainsaw” B6 “My Hands” B7 “Raise The Siege” B8 “Rubbish Planet” B9 “I've Seen” B10 “Pneumatic Slaughter” B11 “Ripping Apart” B12 “Running Through The Blood” B13 “Kill Miss Millie” B14 “First Class People A面は、とにかく速いのは分かりました!が、何如せん、各パートのバランスが悪い過ぎますね。VoとDrsだけが前面に飛び出ていて、GとBが引っ込んでいます。Voは勿論デスヴォイスですが、殆ど動物の咆哮のようです。恐らくPAのラインから録音したと思われるので、個々の音はクリアーですが、今ひとつ乗れなかったです。一方、B面は、エアーで録音されているようで、音質は悪く、もうグラインドコアを通り越して、ノイズコアになっています。もう全ての楽器の音やVoが一丸となって放射されており、こちらの録音の方が個人的には好みですねぇ。そして、14曲の演奏が、あっと言う間に終わります。これぞ、グラインドコアの真髄ですね。こう言う音楽のextremityこそ、当時は、新たな「プログレ」だったのかもしれませんね。先日、聴いた日本のSelf Deconstructionは、そこから更にフリースタイルに進化したのが、良く分かりました。特に、この作品では、より速く、よりうるさくが徹底しており、そこら辺が本作品の面白さだと思いました。すぐに終わるので、もう一度聴きたくなりますね❗️ https://youtu.be/2M6kC9ibNhE?si=zoemM9lQ0cAdH3Xs #FearOfGod #AsStatuesFell #OffTheDiskRecords #FirstAlbum #LiveAlbum #1988年 #Switzerland #Germany #EarlyGrind-Core #SwissUnderground #Grind-Core #ErichKeller #DavePhillips #Reto’Tschösi’Kühne #Franz’Osi’Oswald
Grind-Core Off The Disk Records 2920円Dr K2
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Chrome “Into The Eyes Of The Zombie King”
久々に入手しました!Chromeの8枚目のスタジオ・アルバム” Into The Eyes Of The Zombie King”です。これは、Damon Edgeが、Helios Creedと袂を分かって、渡仏し、そこでChrome名義で制作したアルバムですので、レーベルも仏のMosquitoになっており、またHelios Creedの名前もクレジットされていません。Chrome或いはDamon Edgeのバイオグラフィーは以前に書いてありますので、そちらをご参考にして下さい。それで、本作品の参加メンバーは、Damon Edge (Lead-Vo, Synth, Echo-G, T.V., Treatments [Effects]), Remy Devilla (G), Renaud Thorez (B, Fretless-B), Patrick Imbert (Drs, E-Drs), Fabienne Shine (Back-Vo, Vo)から成っております。因みにFabienne ShineはDamon Edgeの奥さんで、正式に1980年に結婚しており、Damon Edgeは、1983年から、渡仏してParisに居を移し、そこでChromeを名乗って、1995年にEdgeが亡くなるまで、欧州を中心に活動しています。本作品は、そんな中でのアルバムのひとつと言うことになります。ただ、EdgeはCreedと喧嘩別れした訳ではなく、米国CAのアパートで亡くなる前から、「俺が死んだら、お前がChromeの名で続けてくれ」と言っていたそうで、その後は、Helios CreedによるChromeの活動は続けられています。因みに、1996年に、雑誌Alternative Pressが公表した「過去20年間でインスピレーションを受けたアングラ・バンド100選」にChromeも入っていたそうです。また、別れた奥さんのShineは、1997年に、アルバム”No Mad Nomad”をリリースし、2004年には、CreedのChromeで一緒に活動し始めています。 それでは、本作品” Into The Eyes Of The Zombie King”の内容(両面4曲ずつ)について、各曲をご紹介していきますね。 ★A1 “And Then The Red Sun (The Story Of A Cyclops)” (4:50)は、Chromeらしいリズム隊のビートと音色に、エフェクトVoと捩れるようなGが乗ってくる曲で、ミニマル気味に続いた後、フェイドアウトします。 ★A2 “You Can't Do Anything” (3:50)は、強力なビートにGの単音弾き(ソロ?)と不明瞭なエフェクトVoが乗ってくる曲で、怪しさ満点/カッコ良さも満点です! ★A3 “Walking And Looking For You” (5:25)は、若干テンポダウンした重めの曲で、シンセのパルス音とGが曲を構成し、そこにエフェクトVoが乗っています。間奏のGソロ(?ノイズ?)がChromeらしいです。 ★A4 “Into The Eyes Of The Zombie King” (4:15)は表題曲ですが、強烈なビートに、ノイズらしき反復音が絡み、更にGがスパイスとして挿入され、Voは不明瞭で殆ど聴こえず、インスト曲っぽい仕上がりです。 ★B1 “Trip The Switch” (5:33)も、強靭なリズム隊を中心に、Gが思いっきり曲を牽引しており、強迫的なエフェクトVoが扇動しており、特にカッコ良い曲です。後半のShineのコーラスもバッチリです! ★B2 “It Wasn't Real” (4:52)は、捩じ切れるような電子音の中から、DrsとBとGが怪しげな雰囲気でフェイドインしてくる曲で、そこに呟くような不穏で聴き取り辛いエフェクトVoが絡んできます。 ★B3 “Humans In The Rain” (4:07)も、強力なリズム隊に不気味なGと粘着質なエフェクトVoが絡む曲で、この手の曲は初期の頃から聴くことができますね。 ★B4 “Don't Move Like That (Don't Dance Like That)” (3:30)は、性急なビートに単純化されたGとエフェクトVoが乗ると言うノリの良い曲で、本作品を締めています。 総じて、Chromeと言うバンドは、Damon EdgeとHelios Creedの化学反応によって、最大限の魅力を発揮するのだなぁと思いました。別に、この作品がつまらない訳ではなく、Damon Edgeの個性だけでは、ちょっと予定調和的になってしまうと感じた次第です。個々の曲自体の雰囲気等は、確かに「Chrome的」ではあるのですが、個人的には、Helios Creedの個性とぶつかることで、より魅力的になるように思われ、最後の〆がちょっと緩いと感じました。ただ、アシッドな感覚は充分に感じられますので、Chromeマニアの方はこの1枚、持っていて損はないですよ!後、その「Chrome的」と言うのは、恐らくリズム隊、特にDrsによるのではないかと今回、確信しました。 [original album: 曲順が異なります] https://youtu.be/BuHf0wzh44s?si=WEtVJdLv_-G2YPG5 [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kh4PzAWeOkeGRrzHHZZ_yuqJBk41cRcBM&si=SvWriER8gp_9EyX9 #Chrome #IntoTheEyesOfTheZombieKing #Mosquito #8ThAlbum #StudioAlbum #AcidRock #Psychedelic #EffectedVoice #France #USA #WestCoast #DamonEdge #RemyDevilla #RenaudThorez #PatrickImbert #FabienneShine
Acid Rock / Psychedelic Mosquito 2350円Dr K2
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Buzzcocks “Love Bites”
またまた来ましたよー。皆んな大好き、Buzzcocksの登場です!今回は、彼等のセカンド・アルバム”Love Bites”を紹介します。Buzzcocksのバイオグラフィーについては、前回、書きましたので、そちらをご参照下さい。因みに、バンド名の意味は、「唸るチ◯ポ」ではなくて、「Buzzとはステージ上の興奮を、Cockとは北英国のスラングで友達を表すことから、『ステージ上で熱狂する友人達』」のことですから。なお、Buzzcocksは、前回書きましたが、ちょっとだけ補足をしておきます。3枚目のアルバム”A Different Kind of Tension”を出した後、4枚目のアルバムのデモテープを制作中の1981年に解散してしまいましたが、1988〜1989年に、EMIがBuzzcocksの初期のアルバムのバックカタログをCDフォーマットで再発したことや、BBCのJohn Peel Sessionでの録音盤やボックスセット”Product”をリリースしたことで、Buzzcocksは、オリジナル・メンバーで世界ツアーを行うことになりますが、ドラムのJohn Maherは、The SmithsのMike Joyceにツアー中だけ代わってもらってます。そうして、彼等はリユニオンし、4曲入りEP”Alive Tonight”を新録で出し、本格的に復活します。I.R.S. Recordsが、1991年にセルフ・コンピ・アルバム”Operator's Manual: Buzzcocks Best”を出したことから、米国でも彼等への関心が高まります。その後もBuzzcocksは盛んにツアーやリリースで活動を続けています。その中でも、2002年には、ShelleyとHoward Devotoは、1976年以来初めて、コラボ・アルバム”Buzzkunst”を制作し、リリースしていますが、内容は、エレクトロ・ミュージックとパンクを合わせたものだそうで、個人的には是非聴いてみたい作品ですね。前回と書きましたが、Vo/GのPete Shelleyが、2018年12月6日にエストニアのTallinの自宅で、心臓発作で他界してしまいます。その後をことを少し。Buzzcocksは、Shelleyに捧げると言う意味で、様々なゲストVoを入れて活動を続けましたが、彼等はバンドを続ける為に、Steve Diggle (G)が全てのVoを担当することとし、そう言った新体制でのアルバム”Sonics in the Soul”を2022年9月にリリースし、現在も活動中です。 本作品は、ファースト・アルバム”Another Music In A Different Kitchen”のリリース後、6ヶ月後にリリースされたと言うと、「即席アルバム』と思われるかもしれませんが、曲自体の構想が既にあって、かつファーストの評判も良かったことから、このスピード感で、本作品がリリースされたのだと思います。そう言う忙しない行程でリリースされた本作品ですが、1978年のアルバム・チャートは13位を獲得し、26日間の英国ツアー後、シングルカットされた”Ever Fallen in Love (With Someone You Shouldn't've)"は、1978年10月の英国チャートで12位にまで昇り、また12月にリリースしたシングル”Promises”も英国チャートで20位にまで達しています。また、シングルB面の”Lipstick”は、Magazineのデビュー・シングル”Shot By Both Sides"と同じコーラス・パートを使っていたのは良く知られた事実です。それで、セカンド・アルバムである本作品録音時のメンバーは、Pete Shelley (Vo, G, Kbd), Steve Diggle (G, Vo), John Maher (Drs), Steve Garvey (B)です。では、本作品の内容(A面6曲/B面5曲)について、各曲を紹介していきましょう。 ★A1 “Real World” (3:29)は、GのリフとBのリフがソリッドで、Shelleyの独特の声質のVoが良く映え、メロも切ないです(Pere Ubuの曲とは同名異曲)。 ★A2 “Ever Fallen In Love (With Someone You Shouldn't 've?)” (2:40)は、もう何も言うことの無い名曲中の名曲ですね。スピード感もソリッドな音そしてShelleyのVoの魅力が一杯詰まっています。 ★A3 “Operators Manual” (3:30)も、ゴタゴタしたリズム隊にGのコード弾きが乗り、サビでは3拍子になると言った、彼等にしては珍しいアレンジの曲です。 ★A4 “Nostalgia“ (2:51)は、典型的はBuzzcocksサウンドです。スピード感も申し分も無く、Shelleyも歌いまくっており、ちょっと甘酸っぱいメロにも興奮します。 ★A5 “Just Lust” (2:57)も、正にBuzzcocksそのものな曲で、更に早いテンポでのパンクな演奏で痺れますね。メロディ・ラインもエクセレント! ★A6 “Sixteen Again” (3:14)も、最早、金太郎飴なんですが、ソリッドでカミソリのような演奏に、歌いまくるShelleyのVo、もう堪りません!ちょっと甘酸っぱいところもミソです。これは1st収録曲”Sexteen”へのアンサーソングでしょうか? ★B1 “Walking Distance” (1:58)も、MaherのタイトなDrsとスピード感溢れるBとG、これだけでご飯3杯お代わりできます。因みにインスト曲です。 ★B2 “Love Is Lies” (3:10)は、意外にアコギを使った曲で、英国らしいアンサンブルが感じられ、Shelleyもしっとり気味に歌っています。隠れた名曲ですね。 ★B3 “Nothing Left” (4:23)では、ロータムのDrs後、堰を切ったように、始まるソリッドな演奏とShelleyのVoがビンビンにパンク心を刺激します。間奏のGソロもフリーキーでカッコ良いです。 ★B4 “E.S.P.” (4:39)も、2本のGを上手く使ったアレンジで、パンキッシュでソリッドな演奏に、同じリフを弾き続けるGが心地良く、素晴らしいです! ★B5 “Late For The Train” (5:51)では、リズムマシンのようなMaherのタイトかつ変則的Drsに、BとGの刻みがマッチしており、途中で、逆回転Gソロが挿入されるところもちょいと実験的なインスト曲で、グッときますね。そしてブレイクも! 個人的には、このアルバムも楽しめましたねぇ。元々は、私はセルフ・コンピ”Singles Going Steady”CDで、Buzzcocksを聴いていたのですが、そうすると、如何にもパンクな曲しか収められてはおらず、個々のアルバムに含まれているちょっと変わった毛色/実験的な曲を聴き逃してしまってました。例えば、A3のアレンジ、B1やB5のインスト曲やB2でのアコギを使った曲等も、ちゃんと聴いてこなかったのは後悔しました。それから、今回、聴いてみて思ったのは、John Maherのドラムの凄さです。勿論、Buzzcocksの魅力はそのソリッドなアンサンブルなんですが、とにかくそれを支えているMaherのDrsは凄いです。そんな発見をしたアルバムです。パンクのオリジネーターの諸バンドは、やはりひと癖あるので、パンクだからと馬鹿にせずに聴いてみて下さい❗️ A2 “Ever Fallen In Love (With Someone You Shouldn't 've?)” [live version] https://youtu.be/rQgjLkVzd8A?si=zy7Fq-kZms04QIYb [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mYTm4eShV63LiQ11dQ2O-uzPqHlAa487E&si=yNIhQT747OrW-zYy #Buzzcocks #LoveBites #Fame #UnitedArtistsRecords #Reissue #SecondAlbum #Punk #PowerPop #1978年 #Manchester #Bisexuality #LoveSong #SolidSound #Vocal #PeteShelley #SteveDiggle #JohnMaher #SteveGarvey
Punk / Power Pop Fame (United Artists Records) 3800円Dr K2
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Devo “Oh, No! It's Devo”
またまた、ヤフオクで競り落としました。Devoの5枚目のスタジオ・アルバム”Oh, No! It’s Devo”です。ここら辺のDevoには当時、関心が薄れていたこともあって、買っていませんでしたので、まあ、Devoが私(達)にとって何者だったのか?も知りたくて、今更ながら聴くことにした訳です。前回、次のアルバム”Shout”を聴いていた訳ですが、その時に思ったのは、「漸く、時代がDevoに追い付いた」でした。これはDevoの歩みが遅くなったのか?それとも我々の歩みが早くなったのか?は分かりませんが、漸く、普段見聞きするポップスのレベルが、1980年代前半のDevoを理解可能なレベルまでになったのではないかと思いました。では、今回はどうでしようか?楽しみですね。後、1990年代に聞いた噂ですが、ある方が「Devoを日本に呼んでくれませんか?」と、あるプロモーターに尋ねた所、「Devoねぇ、、、う〜ん」と渋ったとか。この逸話もDevoの立ち位置らしいなぁと、その時は思いました。まあ、それは別として、2023年暮れには、Super Dommuneで、Devoの特集も組まれていましたので、Devoって、時代によって、その評価が変わり易いバンドなんだと思います。 本作品の参加メンバーは、変わらず、Mark Mothersbaugh (Vo, Kbd, Synth, G), Gerald Casale (Vo, B, Synth-B, Kbd), Bob Mothersbaugh (Lead-G, Vo), Bob Casale (Rhythm-G, Synth, Vo), Alan Myers (Drs)の5人で、その他にAnnerose Bücklers (Back-Vo [B6])がゲスト参加しています。内容的には、A面5曲/B面6曲となっており、前作からシンセを大々的に導入していますね。それでは、本作品収録の各曲について紹介していきます。 ★A1 “Time Out For Fun” (2:48)では、シーケンスと生Drsに合わせて、Devo流のシンセのリフとVoが乗ってきますが、コーラス部分はグーです。 ★A2 “Peek-a-boo!” (3:01)のタイトルは「いないいないばあ」は意味ですけど、そこら辺も含めて、Devoっぽいですね。やはり、シーケンスと生Drsに、ちょい変なアレンジのシンセとVoから成る曲です。 ★A3 “Out Of Sync” (3:34)でも、Bはシーケンスに取って代わられ、それに生Drsで、曲の殆どでシンセが使われていますが、コード進行がDevoっぽいですね。 ★A4 “Explosions” (3:01)では、アレンジがDevo的で、中々楽しめる曲です。GeraldはBを弾いているみたいですし、コーラスワークなんかも楽しいです。 ★A5 “That's Good” (3:23)は、如何にもDevo的なリズム隊と、簡素なシンセのリフと恐らくMarkの独特のVoで、前作との連続性を感じます。 ★B1 “Patterns” (2:57)は、曲の骨格とアレンジが中々Devo的なんですが、曲調はやや悲しげかな?ここで漸く、Gのリフを聴くこと出来て、嬉しい限りです。 ★B2 “Big Mess” (2:42)も、出だしからモロDevoの曲調で、往年のDevoの未発表曲と言っても通用しそうです。個人的には、こう言う曲を待っていた! ★B3 “Speed Racer” (2:38)でも、Voと濁声のコーラスの掛け合いは、往年のDevoを想起させる曲で、チープなシンセのリフも味わい深いです。 ★B4 “What I Must Do” (2:34)も、Devo的なアレンジをビンビンに感じる曲で、Drsとシーケンスによる同期演奏やシンセの音色及びVoのメロディラインが懐かしさすら感じます。 ★B5 “I Desire” (3:13)は、ちょっと正攻法で攻めているシンセポップのようですが、やっぱり一筋縄では行かないのがDevoで、間奏のGソロやコーラスワークなんかもそれっぽいんですよ。 ★B6 “Deep Sleep” (3:24)では、独特のシーケンスと曲調で押し切るDevo流のロックを聴かせてくれます。この曲は、このアルバム前後のMarkの不睡眠症用音楽(“Musik For Insomniaks”等)のアイデアから生まれたのかな?と深読みしてしまいます。 やはり、Devoのここら辺の曲は慣れ親しんでいないことや初期のようにロックのフォーマットでは無く、シンセバンド化している為、リスナーの方が、何だか不完全燃焼な気分になりますねぇ(私だけかもしれませんが)。やはり、初期の破天荒なシンセの使い方や曲の変態性からすると、物足りない感じは残ります。しかし、Devoらしさは、アレンジの細かい所なんかには発見出来ますので、ちょっとは安心します(特にB面)。しかし、どんどんマトモになっていくDevoにちょっと残念さを感じざるを得ません(或いは今回のユニフォームがイマイチだったのかな?)。でも、単にヒット曲が無いと言うだけで、この作品を聴かないのも勿体無いので、気になる方は一度は聴いてみてちょ❗️あと、私が「Devo的」とか言っているのは、一種の変態的アレンジなんかのことですが、ずっとDevoを聴いてきたリスナーさんには何となくわかるかな? B6 “Deep Sleep” [live version] https://youtu.be/rs1KZpFeOSs?si=pmiCKMNstYUf0kEy [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lLguIf2b4kjbqNgUZBX0rlaH6AITRZAxU&si=0XXtxSTqmcImb8Kv #Devo #OhNo!It’sDevo #WarnerBrothRecords #5ThStudioAlbum #ElectroPop #NewWave #SynthRock #Synthesizers #MarkMothersbaugh #GeraldCasale #BobMothersbaugh #Bob1号 #BobCasale #Bob2号 #AlanMyers #AnneroseBücklers
Electro Pop / Synth Rock Warner Broth Records 1000円Dr K2
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Devo “Shout”
最近、Devo熱がまた上がってきて、ついつい買ってしまいました。今回は、スタジオ・アルバムとしては6枚目”Shout”をご紹介します。実は、このアルバムは、出た時に、ちょっと気になっていたんですが、その時は「まぁ、Devoはもういいかぁ」と思ってスルーしていたんですよ。そんな訳で、久しぶりに、このアルバムをヤフオクで落札しました。Devoのバイオグラフィーは以前に書いてありますので、そちらをご参照下さい。 本作品でのメンバーは、Mark Mothersbaugh (Vo, Kbd, Synth, G), Gerald Casale (Vo, B, Kbd, Synth), Bob Mothersbaugh (Bob1号: Lead-G, Vo), Bob Casale (Bob2号: Rhythm-G, Kbd, Synth, Vo), Alan Myers (Drs)で、それ以外にEmulatorのプログラミングの補助として、Will Alexander (Programming Consultation), Al Horvath (Emulator Programs), Bill Wolfer (Emulator Programs)も加わっています。内容も両面とも5曲ずつと収録されています。それでは、各曲をご紹介したいと思います。 ★A1 “Shout” (3:15)は、かつての”Devo Corporation Anthem”を想起させるシンセで始まり、大胆なDrsとSynth-Bでノリの良い曲になります。シンセも大々的にフィーチャーされています。 ★A2 “The Satisfied Mind” (3:06)は、ヴォコーダーVoも使ったイントロから始まり、迫力あるリズム隊とシンセのリフから成る曲で、Voのメロディ・ラインは不変! ★A3 “Don't Rescue Me” (3:04)は、完全にシンセとシーケンスを使ったシンセポップになっていますが、飛び道具のシンセや唐突な終わり方はDevoですね。 ★A4 “The 4th Dimension” (4:26)は、ちょっと落ち込んだ雰囲気で始まりますが、曲としてはシーケンサーも使ったシンセポップです。如何にもDevoな変なアレンジは細かい箇所にちょっとだけ。 ★A5 “C'Mon” (3:16)は、生Drs(?)を使ったシンセポップですが、細かいアレンジやシーケンスの絶妙さ或いはGソロにDevoっぽさを感じます。 ★B1 “Here To Go” (3:15)は、イントロの変態さにDevoらしさを感じますが、ほぼ全部打ち込みなのかな?曲調やGソロやDrsソロはDevoっぽい。 ★B2 “Jurisdiction Of Love” (2:58)は、怪しい感じの打ち込みによるシンセポップですが、コーラスとか間奏のGの音色とかにDevoを感じます。 ★B3 “Puppet Boy” (3:08)も、出だしのVo等は、如何にもDevoっぽく、その後、ちょい変なシーケンスのシンセポップになっていきます。特にこの曲はDevoのイメージそのままな感じです。 ★B4 “Please Please” (3:00)も、一聴、シンセポップなんですが、細かい所がちょい変なんですよ。例えば、ヴォコーダーVoのコーラスとかサブ・シーケンスに乗ってくるシンセとか。 ★B5 “A U Experienced?” (3:08)は、Jimi Hendrixのカバーですね。その為、Gの比重が他曲より多いです。逆回転も含んだアレンジからは、完全にシンセポップ化してしまい、原曲は欠片しか残っていません。 本作品は一回聴いただけでは、その良さは分からないなあ。一聴すると、やたらDrsが大胆なシンセポップ或いはシンセをふんだんに使ったポップロックみたいな演奏にしか聴こえないし。しかしながら、デビュー当時のDevoの変態的アレンジや演奏が凄過ぎて、本作品では、それ程ズレている部分が目立たず、本当に細かいところに、そんなDevoっぽさを感じるだけなので、時代が彼等に追いついてしまったのではないだろうか?と考え込んでしまいました。でも、この作品がリリースされたのが1984年と言うことを考えると凄いのだけれども。まあ、再結成したDevoも、今では、初期の曲ばかり演奏しているみたいですし、仕方ないのかな?ちょっと寂しいな。なので、Devoの変態性を少しでも感じていたいと思うコアなファンの方だけにはお勧めします❗️ B5 “A U Experienced?” (MV) https://youtu.be/qonTIZGu27w?si=bhnQN6_FtVKtmtrK [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nTtIBRyH6k79Z2JAcPHyIZQQsz2W0cAtU&si=JIwvn3snMkl5cFmE #Devo #Shout #WarnarBrothRecords #6ThStudioAlbum #TechnoPop #ElectroPop #SynthRock #Synthesizers #Emulators #JimiHendrix #CoverSong #MarkMothersbaugh #GeraldCasale #BobMothersbaugh #BobCasale #AlanMyers
Electro Pop / Synth Rock Warner Broth. Records 550円Dr K2
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Bill Nelson “A Catalogue Of Obsessions”
ちょっと気になり出したBill Nelsonのソロ作品を集めようかなぁと思って、思わず、ポチりました。本作品”A Catalogue Of Obsessions”は、1985年にリリースされた4枚組ボックス・セット”Trial By Intimacy (The Book Splendours)”の1部として制作されています。その他3作品として、このボックス・セットは、”The Summer Of God's Piano”, “Chamber Of Dreams (Music From The Invisibility Exhibition)”, “Pavilions Of The Heart And Soul”から構成されており、この時点では、全て未発表曲から成っており、また、先述のボックス・セットは、Nelsonの写真集”The Arcane Eye”とパックになっています。彼自身の言葉によれば、これらの作品は「音のスケッチ・ブック」であり、未発表曲集ではないとのことです。多分、思い付いたメロディをそのまま、宅録で曲らしく録音していったものを集めたと言う意味だと思います。なので、音質や完成度は敢えて無視してリリースされていたのだと思います。Be-Bop DeluxeからRed Noiseそして、ソロと言う風に変遷してきたBill Nelsonの1980年代の活動において、このボックス・セットは一つのエポック・メイキングな作品であり、それ故に、このアルバムもその1/4を構成しているので、重要な作品であることが理解出来ると思います。まあ、Nelson本人は、「音のスケッチ」と言っているので、このような短い曲のオンパレードになっているのだとは思いますが。内容としては、本作品には、両面10曲ずつ収録されています。それでは、各曲について紹介していきましょう。あっ、因みに、Nelsonは、3回結婚しており、現在の妻はYMOの高橋幸宏の娘Emikoさんです(あんまり関係ないですね、すまん!)。 ★A1 “Sex Party Six” (4:44)は、ゆっくり走る機関車のような電子リズムとミニマルなシーケンスになだらかなメロディの曲で、時々インドっぽくて牧歌的。 ★A2 “Wider Windows For The Walls Of The World” (2:16)は、やや金属質なリズムマシンとマリンバによる異国情緒漂う曲です。打ち込みのセンスが良い。 ★A3 “Time In Tokyo” (3:05)は、ややスローで、日本的と言うよりチャイナ的なメロディのエレクトロな曲ですが、YMOの「駄目な」部分を感じてしまいます。 ★A4 “Happily Addicted To You” (1:03)は、ハープのようなシンセのアルペジオとアコギの組合せが斬新な曲です。 ★A5 “Snakes With Wings” (2:09)は、スローでやや重めの曲で、シーケンスの上のサブメロ・シンセが心地良い。タイトルは「龍」のことかな? ★A6 “The Boy Pilots Of Bangkok” (2:29)は、機械的な音色リズムマシンに何となくYMOチックなメロディがちょっと残念な曲。でも打ち込みのセンスは良い。 ★A7 “Erotikon” (1:49)は、重めのリズムとシーケンスに針のようなメロディと緩やかなメロディの攻めが合いが面白い曲です。 ★A8 “Birds In Two Hemispheres” (1:45)も、嗚呼、YMO的だなぁと思ってしまうような電子音楽です。シンセ・ソロは良いのにぃ! ★A9 “Windmills In A World Without Wind” (2:24)は、ノンビートのアンビエントな曲ですね。電子音系クラウトロックっぽいかな?潜水艦の中のような感じ。 ★B1 “Love's First Kiss” (1:41)も、ゆったりとしたアンビエントな曲ですが、リズムなあって、女性のナレーション入りです。 ★B2 “Initiation Of The Heart's Desire” (2:01)は、アルペジオ・シーケンスが心地良い曲で、ややアンビエント風かな? シンセのメロも良い。 ★B3 “Edge Of Tears” (1:49)は、ゆったりとしたアンビエント風アレンジの優しい曲です。流れるようなリズムが心地良いです。 ★B4 “Test Of Affection” (2:28)は、弦楽四重奏を思わせるようなシンセのダビング音に乗せて、くすぐったいようなシーケンスと晴れやかなメロが効いた曲。 ★B5 “Words Across Tables” (1:51)は、逆回転のリズムマシンとシーケンスに合わせての、シンセのメロディが印象的な曲です。 ★B6 “A Promise Of Perfume” (3:09)では、リズムマシンとシーケンスとアコギの絶妙な組合せを堪能できます。 ★B7 “This Dangerous Age” (2:05)では、波状の多層化したシーケンスに合わせて、なだらかなシンセがソロを弾きまくります。 ★B8 “The Glass Breakfast” (1:53)も、弦楽四重奏的シンセに、SE的電子音と優しいメロディのシンセから成る曲です。 ★B9 “Talk Technique” (2:12)では、コチャコチャしたリズムマシンとシーケンスに柔らかいシンセのメロディと男児と男性Voがハマります。 ★B10 “The Last Summer For Dancing” (2:10)でも、逆回転リズムマシン同期の正回転スネアとシンセのメロが冴えています。凝ってる曲だなあ。 ★B11 “View From A Balcony” (1:55)は、静かな波の如く湧き上がる電子持続音とメロから成るアンビエントな小曲で、これでアルバムを締めています。 聴いた感じの総合では、A面は大体がYMOの陰がチラチラ見えるリズミックな曲が多い印象で、A面最後辺りからB面は、ゆったりしていて、リズムマシンを余り使用しないアンビエントな雰囲気が強いですね。個人的には、アンビエントな曲にはYMOっぽさが無いので、安心できます(YMOファンのリスナーさん、ごめん!)。まあ、Nelson自身がスケッチ的なアルバムと言っているように、曲はあくまでも思い付いたメロとかシークエンスを試して、そこに肉付けしましたと言う感じなので、これらの短い曲(の素)を更に発展は出来ると言うことなのでしょう。その意味では、多彩なアレンジで面白かったです。他の3部作も聴いてみたくはなりますね❗️ クレジット曲順 A1 “Sex Party Six” (4:44) A2 “Wider Windows For The Walls Of The World” (2:16) A3 “Time In Tokyo” (3:05) A4 “Happily Addicted To You” (1:03) A5 “Snakes With Wings” (2:09) A6 “The Boy Pilots Of Bangkok” (2:29) A7 “Erotikon” (1:49) A8 “Birds In Two Hemispheres” (1:45) A9 “Windmills In A World Without Wind” (2:24) B1 “Love's First Kiss” (1:41) B2 “Initiation Of The Heart's Desire” (2:01) B3 “Edge Of Tears” (1:49) B4 “Test Of Affection” (2:28) B5 “Words Across Tables” (1:51) B6 “A Promise Of Perfume” (3:09) B7 “This Dangerous Age” (2:05) B8 “The Glass Breakfast” (1:53) B9 “Talk Technique” (2:12) B10 “The Last Summer For Dancing” (2:10) B11 “View From A Balcony” (1:55) https://youtu.be/aK1_63mkfxY?si=BimtgPbeK-KLUg6i #BillNelson #ACatalogueOfObsessions #CocteauRecords #SoloAlbum #TrialByIntimacyTheBookSplendours #BoxSet #NewWave #ExperimentalPop #AllInstruments #TheSummerOfGodsPiano #ChamberOfDreams #MusicFromTheInvisibilityExhibition) #PavilionsOfTheHeartAndSoul #PhotoBook #TheArcaneEye #SoundingTheRitualEcho #Multi-Instrumentalist
Synth Pop / Experimental Pop Cocteau Records 2574円Dr K2
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Conrad Schnitzler “Con ‘72”
ついつい買ってしまうんですよ、Conrad Schnitzler先生のレコード。本作品”Con ‘72”は、英国の独逸会館でのライブ音源のようです。しかも、まだカセット・コンサートではなく、EMSのSynthi Aでの実機でのライブのようです。取り敢えず、曲名は無く、両面共1曲ずつ収録されていますが、恐らくは一連の曲を無理に2つに分けたのだと思います。Schnitzler先生のバイオグラフィーは今まで散々書いてきましたので、そちらをご参照下さい。それでは、内容のご紹介をしたいと思います。 ★A “Untitled” (20:52)は、驚異の「変態シンセ」こと、EMS Synthi Aを使い倒して、変な電子音を次々と放出しています。メロディもリズムもハーモニーも無いです。ひたすら、純培養された電子音そのものです。時に、無音になっても構わず、演奏し続ける気迫が素晴らしい。 ★B “Untitled” (22:29)も、A面の続きみたいですが、途中で無音になって、「えっ、もう終わり?」と思っていたら、見事に復活。Schnitzler先生と言うと、カセット・コンサートが有名ですが、初期では、このように生演奏もやっていたんですね。そう言う意味では、貴重な記録だと思います。 とにかく、シンセ、触って、気持ちの良い音を探して、ノブやスイッチをこねくり回している姿は、まるで、子供が何かスイッチとかで動くおもちゃを最初に買ってもらった時の衝動そのもののようで、Schnitzler先生の満面の笑顔が直ぐに頭に浮かびます。そんな、貴重な記録が残っていたことに感謝ですね。Space Machineとか好きなリスナーさんはきっと気にいると思いますので、是非❗️ A “Untitled” (20:52) B “Untitled” (22:29) う [本作品はYouTubeには上がってなかったので、参考までに同じレーベルの他の動画を貼っておきます] https://youtu.be/A1pMhAKvmBQ?si=4MoAFG3-vTRszsEg #ConradSchnitzler #Con72 #Qbico #Krautrock #Electronic #LiveAlbum #London #1972年 #EMSSynthiA #Synthesizers #SynthSoloPlay
Krautrock / Electronic Qbico 2280円Dr K2
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The No Comments “Psychedelic ‘C’”
私は、このバンドの名前は聞いたことはあるんですが、どう言うバンドかは、全然知らなかったので、「まあ、一度、聴いてみよう」と思い、本作品”Psychedelic ‘C’”を買ってみました。(敬称略).The No Commentsは、関西のバンドで、元々はAunt Sallyの丸山孝 (Drs)と中岡義雄 (B)が、1979年に結成したバンドで、その時は、明石昌人(G)達を加えた4人編成で活動しています。INU、のいずんずり、ウルトラ・ビデ等と対バンして、日本語のオリジナル曲を演奏しています。リーダーの佐原一哉 (Kbd)は、「京都黒人会」と言う黒人に憧れている京都在住の若手音楽家の寄り合いサークルの発起人でもあり、その影響で、バンドはスカ・ニューウェーブへと傾倒していったようです。それで、1979年秋に中岡が脱退し(恐らく、丸山も脱退し、Drsは西岡潤一郎に)、野田達哉がVoからBにパート・チェンジし、佐原と野杁秀二が再加入、それを機に、Voとして山崎憲、川嶋晃教、中島律子も加入し、8人編成のバンドとなり、音楽性が変わります。そして、彼等は、日本初のスカ・ニューウェーブ・バンドとして名を馳せ、同年大晦日の京大西部講堂でのイベント”REVO ‘80”に出演、Friction、不正療法、グンジョーガクレヨン、突然段ボール等と対バンしています。1980年4月29日から5月2日の間、法政大学学館ホールにて行われたイベント”Imaging kids garage”に、ジグザグ、INU、だててんりゅう等の関西勢とともに出演し、S-KEN、ハルメンズ、イヤミ、CHACHA'82等とも対バンしています。同年6月には、来日したThe Specialsの前座も務めており、また同年、来日したMadnessの日比谷野外音楽堂ライヴでのオープニング・アクトも務めています。そうして、同年12月に、ビクター音楽産業傘下のInvitationより、ファースト・アルバム”No Comments”をリリースし、メジャー・デビューしています。このアルバムでは、”ひょっこりひょうたん島”のカバーをスカでやっています。1981年4月5日には、日比谷野外音楽堂でのイベント”100円コンサート”に出演し、ARB、アナーキー、ロッカーズ、ルースターズ、シルバースターズ等とも対バンしています。同年9月、大村憲司がプロデュースしたセカンド・アルバム”東京ガール”をリリースし、表題曲”東京ガール”はシングルカットされ、早過ぎたスカコア歌謡として再評価の声も高いらしいです。しかしながら、音楽性の違いにより、野田、山崎、明石、野杁が脱退してしまい、野田と山崎は、玉城宏志、安藤”アンディ”文雄、神田ヒデヒロ、望月ジュンコの4人と共に、アーバン・ニューウェイブ・ファンクをコンセプトとするノンカテリアンズを結成しています。1982年には、ノンカテリアンズが本格的に活動を始めますが、残ったThe No Commentsは、同年1月21日に、本作品でもあるサード・アルバム”Psychedelic ‘C’”をビクター傘下のInvitationからリリースしていますが、このアルバム制作時には、川嶋、西岡、野田、山崎、明石、野杁、山崎、会長、りつこがまだ在籍中でした。The No Commentsは、同年12月には大阪バラードでのイベント”千年王国の夜”に出演し、ゲルニカ、Spoil、佐藤薫(EP-4)、Animal-Z等と対バンしています。なお、The No Commentsにもノーカテリアンズにも入っていなかったメンバーは、ノカメ[NO, KA, ME]を結成し、後にコンフントココアーズと改称しています。1983年には、The No Commentsのリーダー佐原が河内家菊水丸と交流を深め、その内、河内音頭に傾倒し、菊水丸のバックバンドとして、1984年に結成した河内家菊水丸&エスノ・リズム・オールスターズでの活動に重点を置くうちに、The No Commentsは自然消滅しています。 以上が、The No Commentsのバイオグラフィーになります。先述のように、本作品は、分裂後にリリースされたものですが、アルバム制作時のメンバーは、Ken Yamazaki (山崎憲: Vo, Sax), Ritsuko Nakajima (中島律子: Vo, Sax), Atsunori Kawashima (川嶋晃教: Vo), Kazuya Sahara (佐原一哉: Kbd, Cho), Tatsuya Noda (野田達哉: B), Masato Akashi (明石昌人: G), Junichiro Nishioka (西岡潤一郎: Drs)で、ゲストとして、Shuji Noiri (野杁秀二: G), Hiroshi Muraji (Alto Sax, Tenor Sax), Kenji Sato (Tenor Sax, Bass Sax), Hideki Mitsumori (Kbd)も参加しています。内容はA面5曲/B面4曲が収録されています。それでは、各曲についてご紹介していきましょう。 ★A1 “Psychedelic Boogie (サイケデリック・ブギ)”は、ちょっとだけスカっぽいリズムに、何となく惚けた歌詞を女性Voが歌い、男性のコーラスが絡む曲です。 ★A2 “Pink Flamingos (ピンク・フラミンゴ)”は、ファンク調のドコドコしたDrsがダンス・ミュージックで、そこにスラップ奏法も魅せるBや多重化されたSaxが絡む曲で、やはりやや惚けた歌詞の女性Voを聴くことができます。 ★A3 “Radio Atlantis (ラジオ・アトランティス)”は、ダンサブルなリズム隊に、マンドリンらしき哀愁のメロディ及び感情たっぷりな男性VoとラジオDJのような女性Voの掛け合いが効果的な曲です。 ★A4 “Jungle Night (ジャングル・ナイト)”は、SaxやGやオルガンのイントロから、強力なリズムとコケティッシュな女性Voが続くスカっぽい歌謡曲です。 ★A5 “Oikimuchi March (オイキムチ・マーチ)”も、ダンサブルなスカっぽい歌謡曲で、焼肉応援な歌詞を男性Voが歌っています。リズムは基本的にスカなんですが、余りその影響を感じさせないですね。Saxも良い塩梅です。 ★B1 “Mezurashi (珍)”は、一転、スローでジャジーな曲かと思うと、いきなりアップテンポなスカっぽいリズムになります。「軽快な」とは、この曲の為の言葉ですね。 ★B2 “Dance Market”は、強力なリズム隊とSax隊から成るダンサブルな曲で、男性Voが割と真面目な(?)歌詞を歌っています。ノリノリですが、いきなり終わります。 ★B3 “Uwakina Sailor (浮気なセイラー)”も、スカっぽいリズムの上で、女性Voがニューウェーブな歌詞を歌っている曲です。アレンジもニューウェーブですね。 ★B4 “Seikimatsu Mania (世紀末マニア)”も、強力なリズム隊と男女のVoが活躍するダンサブルな曲ですが、所謂、ニューウェーブ歌謡曲的なノリですね。終わり方にピアノを使ったギミックが差し込まれています。 総じて、スカのリズムを日本語歌詞向けに上手くアレンジしたニューウェーブ歌謡曲と言った印象なのですが、当時はこう言うバンドあったよなぁ!と納得してしまいますね。まあ、サイケデリックではないですが、アレンジ力が卓越していて、英国Two Tonesの様な、もろスカと感じさせずに、ダンサブルなリズムを繰り出すのには驚きました。そんな1980年代のダンサブルなThe No Comments、如何ですか? A3 “Radio Atlantis” https://youtu.be/AVJ6ufgp5HE?si=RspbGf7YF167G1FD [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lO63Tit6kLAn0NgsfY8YZtVWoDL_Qjff0&si=45YX6nuID8-ctPxw #TheNoComments #PsychedelicC #Invitation #3RdAlbum #JapaneseBand #NewWave #Ska #DanceMusic #KenYamazaki #山崎憲 #KazuyaSahara #佐原一哉 #TatsuyaNoda #野田達哉 #RitsukoNakajima #中島律子 #AtsunoriKawashima #川嶋晃教 #MasatoAkashi #明石昌人 #JunichiroNishioka #西岡潤一郎 #Guest #ShujiNoiri #野杁秀二 #HiroshiMuraji #KenjiSato #HidekiMitsumori
New Wave / Pop Music Invitation 782円Dr K2
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After Dinner “s/t”
皆さんはもうご存知でしようか?今も関西のみならず、海外でもソロ活動を続けているHacoさんや音響のマッドサイエンティストとも呼ばれ、最新のマイクBAROm 1で”Utsunomia Mix”を支えている宇都宮泰さんが在籍していたバンドAfter Dinnerを! Wikiにも載っていませんでしたので、ちょっと調べてみました。結成は、1981年で神戸でHacoさんを中心に。そうして、1982年には、Hacoさんに、小森御幸(G, Drs), 志村学(Kbd), チャカ (B)を加えて、宇都宮泰さんのMUEスタジオにて、デビュー・シングル“After Dinner” c/w “夜明けのシンバル”を制作し、かげろうレコードからリリースしています。このシングルは、独逸国営放送で永久保存盤となったそうです。翌年、1983年には、MUEプロデュースにて、Hacoさんと小森御幸、志村学らの演奏に加え、管楽器/弦楽器の導入、前田笛風、川口雅明、奥田亮による民族楽器を用いた即興や、Hacoによるテープ構成作品など、アコースティックな音色と実験的なアナログ・テクノロジーが融合したファ-スト・アルバム”Glass Tube”をKang-Gung Recordsからリリースします。瞬く間に、Fred Frith, Chris Cutler, Robert Wayatt等の海外のアーティストから支持を得、Sounds誌では、「美味なヴォイスと共に伝統とエレクトロニクスがうまく落ち着いている」と好評価を得てます。1984年には、アルバム”Glass Tube”とファ-スト・シングルを合わせた構成の海外盤アルバム”After Dinner”を英国Recommended Recordsよりリリースしており、Marquee誌にて「日本の伝統的美意識をクリスタルのような結晶世界に封じこめたアフタ-・ディナ-の自主制作盤は、その音の魅力だけで海外リリースの壁を突破した」と高評価されています。After Dinnerは、Hacoさんの歌を核としながら、ニューウェイヴ、電子音楽、民族音楽、フィールド・ワークなど様々な要素が混ざりあう、独自の迷宮的音世界を構築しており、また、そのメンバー編成は、録音やライヴに応じて、自由自在に変わることがあったらしいです。そした、1987年には、仏MIMIフェスに参加を機に、初の欧州ツアーを、Haco (Vo), 横川タダヒコ (B, Vln), 井上一路(Perc, 和太鼓), 黒田清一 (B, 篳篥), 泉陸彦 (G), 山形秀行 (Drs), 宇都宮泰 (Tapes, Engineer), 林皇志 (Sub-Engineer)と言うメンバーで敢行しています。その際、英国Londonの現代芸術協会(ICA)でのライブを対して、英国Melody Maker誌は、「あいかわらず西洋ポップスべったりだった日本の音楽シーンを覆そうとする小さな底流を築いた」と評されています。1988年には、国内外でのライブ音源をHacoさんが自ら編集した作品”Souvenir Cassette”を日本のZero Recordsと英国Recommended Recordsからリリースしています。この時期、彼女達のライブでは、テープ同期やヴィジュアルの導入、ワイヤレス・ヘッドフォン、4スピーカー・システムによる実験的PAなどが話題のひとつでしたが、宇都宮さんが脱退した為、演奏形態や録音に新たな変化が生じています。1989年には、Hacoさんを軸にし、一色洋輔 (Kbd), 北田昌宏 (G: 元INU), 横川タダヒコ (B)の参加、及び多彩なゲスト・ミュ-ジシャンとの緻密な共同作業によって生みだされたセカンド・アルバム”Paradise of Replica”をスイスRecRec Musicと日本のZero Recordsからリリースします。RecRecの評では「明朗になったり、悲哀を感じたり、心象風景のチャンネルが瞬時に切りかわる航海のよう」とされ、そのポップで映像的なサウンドが各界で賞賛されています。同年、欧州19都市を巡るツア-をHaco (Vo), 横川タダヒコ (B), 一色洋輔 (Kbd), 福島匠 (Vln), 川崎義博 (Engineer)で行い、大評判だったとのこと。1990年には、Fred Frith主演のドキュメンタリー映画”Step Across The Border”(Nicolas HumbertとWerner Penzel監督作品)の中で、MUEスタジオでの録音風景やHacoさんのピアノの弾き語り等のシーンも含まれ、話題となっています。同年、フランス、ベルギー、イタリア、オーストリアの国際フェスに出演しており、メンバーは1989年と同じです。1991年には、カナダのヴィクトリアヴィル・フェスティヴァルに出演(Haco (Vo), 横川タダヒコ (B), 志村哲男 (笙), 川口雅明 (Drs, Banjo), 岡本大介 (Trombone, Kbd)と言うメンバーで参加しています。同年、アナログ盤”After Dinner”のCD再発の際、”Souvenir Cassette”の中から、5曲とライブ・トラック4曲を合わせた”After Dinner/Live Editions”を英国ReR Megacorpからリリースしています。このCDの国内盤は、Locus Solusが1997年から配給をしています。ただ、これを最後に、After Dinnerは活動に終止符を打っています。その後、Hacoさんや他のメンバーはソロや新しいプロジェクトで活躍していますが、2001年には、Hacoさんのプロデュースで、セカンド・アルバム”Paradise Of Replica”のリマスタリング盤と、ジョシュア・マッケイ (MACHA)、テリー・テムリッツ、SKIST、パスカル・プランティンガによるリミックス4作を加えた統合盤CD “Paradise Of Replica / Paradise Of Remixes”がBad News Recordsから国内で、米国Detector及び英国ReR Megacorpより海外でもリリースされています。また、2005年には、After Dinnerの1982年のデビューシングルと1984年の国内アルバムがリマスタリングされ、紙ジャケ仕様で復刻され、CD+mini CDセット”Glass Tube + Single”として、Disk Union傘下のレーベArcangelioから再発されています。 それで、今回は、彼女達の1984年作のファースト・アルバム”Glass Tube”と1982年作のセルフ・タイトルのシングルを統合したセルフ・コンピ・アルバム”After Dinner”をご紹介します。多分、この時の参加者は、Haco (Vo, Kbd, Synth, Perc, Tapes, Miniture-Koto, Taisho-Goto, Plastic Flute, Tape-Splicing), 小森御幸/Miyuki Komori (G, Fretless-G, B, Drs, Perc, Vo), 宇都宮泰/Yasushi Utsunomia (Tapes, Vo, Synth, Taisho-Goto, Drs, B, Glass Tube, Peros), Chaka (B, Perc, Vo), 横川タダヒコ/Tadahiko Yokoyama (B, Vln), Masaharu Ito (Marching Drs, Soprano Sax), 志村学:Manabu Shimura (Piano, Vo), Tanii Yokokawa(Vln), 川口雅明/Masaaki Kawaguchi (Snare, Surumondal), Yukio Fujimoto (Field-Playing of Sound Object), Toru Shimamura (Field-Playing of Sound Object), Yoko Inui (Field-Playing of Sound Object), Ayuma Torii (Field-Playing of Sound Object), Teppei Maeda (Indian Pipe, Vo), Ryo Okada (Tabra), Kaname Nakagawa (Alto Sax), 黒田清一 /Seiichi Kuroda (Tenor Sax)と思われます。内容は、A面5曲/B面4曲で、シングルの曲はA1とB1です。それでは、各曲を紹介したいきましょう。 ★A1 “After Dinner”は、太鼓と笙及びヴァイオリンをバックにHacoさんの初々しいVoが乗る曲で、途中にDrsや物音系Percが無骨に鳴り響く中、時々テープ音等の音も聴取できるパートもあります。 ★A2 “Sepia-Ture I”は、不思議なリズムの構成に、Hacoさんの優しく語るようなVoが乗っている曲で、良質なポップソングになっています。 ★A3 “An Accelerating Etude”は、虫の音のフィールド録音から始まり、不明瞭なリズムと自在なVoから成る不可思議な曲です。細部にまで凝りまくった録音になっており、それを気付かせることなく、聴かせるのは驚異です! ★A4 “Soknya-Doll”は、物音系PercとBに、HacoさんのコケティッシュなVoで子守唄のように歌う曲で、鉄琴や弦楽器等の色んな音が混じり合い、一聴、下手に聞こえるかもしれませんが、かなり緻密に作り込まれています。 ★A5 “Shovel & Little Lady”は、タンバリンの弾語り(?)から成る小曲で、物音系音も時に挿入されます。冒頭で、本曲がバイノーラル録音されていることがアナウンスされます。曲自体は何だか儚い感じですね。 ★B1 “Cymbals At Dawn”は、軽快なマーチのリズムから成るポップソングですが、朗々と歌うHacoさんのVoと男性Voの対比に時代を感じますが、時に逆回転等のギミックを入れており、単なるポップソングには終わりません。 ★B2 “Glass Tube”は、足踏みオルガンとアコギの爪弾きをバックに、HacoさんのVoが優雅に聴取でき、その後、物音系の音やフィールド録音にヴァイオリンも絡みますが、それすらも加工され、最後には、マーチっぽいポップソングへと再び変容していきます。 ★B3 “Dessertは、アコギとタブラや物音系PercにSaxが段々と絡み合って、盛り上がっていきます。一種の宅録的な発想の曲ですが、かなり緻密です。そして、唐突に終わります。 ★B4 “Sepia-Ture II”は、ワルツのリズムに乗って、輪舞のように踊る音やVoがなんとも優雅な一曲ですね。そして、当時の時代性に異議を唱えるべく、アコースティックな肌触りで、アルバムを締めています。 本作品を聴いて、先ず思ったのが、「難解」な音楽だと言うことでした。確かに、シングルの2曲(A1とB1)は、比較的聴き易いのですが、アルバム収録曲は、どれも複雑な構成や緻密な録音が為されており、素直に聴くには情報量が多過ぎると感じました。ただ、逆にそう言う緻密さ/難解さを有した音楽であることが、当時、海外からも評価された一因ではないかな?とも思います。また、HacoさんのコケティッシュなVoと複雑な曲構成の対比も面白く、色んな聴き方の出来るアルバムだと思います。日頃、私が思っている「ポップ・ミュージックこそが、一番難解な音楽である」を再確認できた作品でもあるので、その真意を知りたい方は、是非とも入手して、体験してみて下さい❗️ クレジット A1 “After Dinner” A2 “Sepia-Ture I” A3 “An Accelerating Etude” A4 “Soknya-Doll” A5 “Shovel & Little Lady” B1 “Cymbals At Dawn” B2 “Glass Tube” B3 “Dessert” B4 “Sepia-Ture II” https://youtu.be/3CahygtsXQE?si=qHpL0SXRtkbgPnek #AfterDinner #SelfTitled #RecommendedRecords #SelfCompilation #Album #GrassTube #AvantPop #Experimental #Haco #MiyukiKomori #YasushiUtsunomiya #Chaka #TadahikoYokoyama #MasaharuIto #ManabuShimura #TaniiYokokawa #MasaakiKawaguchi #YukioFujimoto #ToruShimamura #YokoInui #AyumaTorii #TeppeiMaeda #RyoOkada #KanameNakagawa #SeiichiKuroda
Experimental Pop / Alternative Recommended Records 4800円Dr K2
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Cindytalk “Camouflage Heart”
ついつい入手してしまいました。Cindytalkのファースト・アルバム”Camouflage Heart”です。Cindytalkについては、そのバイオグラフィーは前回、書いてありますので、そちらをご参照下さい。この時点でのメンバーは、Gordon Sharp (Vo, Instruments), David Clancy (Instruments), John Byrne (Instruments)の3人で、クレジット上、誰がどの楽器担当とは明記されていません。 それでは、各曲について、ご紹介していきましょう。 ★A1 “It's Luxury” (3:40)は、最初、ドラムマシンだけで、途中からGやBやVoが入ってきて、ダークで引き摺るようなゴスい曲になります。 ★A2 “Instinct (Backtosense)” (4:03)は、スローなリズムに時に呻き、時に叫ぶようなSharpのVoで持っていく闇落ちの曲で、陰惨さが漂います。 ★A3 “Under Glass” (1:57)は、カッコ良いGのリフと変則ドラムに、Peter MurphyのようなVoが乗ってきます。Saxも一味加えています。 ★A4 “Memories Of Skin And Snow” (5:42)では、何だかインダストリアルなリズムに、遠くで聴こえるフリーキーなGと単調なB、それにシアトリカルで語り、呟き、そして叫ぶVoが乗り、かなりダークでゴスいです。 ★A5 “The Spirit Behind The Circus Dream” (4:34)は、は、思わせ振りなBのリフと芝居がかったVoが印象的なダークな曲で、悪魔との密約を交わしているよう。最後のピアノも悲しげです。 ★B1 “The Ghost Never Smiles” (6:42)は、心臓の鼓動キック音にホーンのような音やバッキングVoと共に、抑揚の激しいシアトリカルなVoが自在に歌いまくる曲で、途中から歪んだGも入ってきます。 ★B2 “A Second Breath” (1:50)は、感電しそうなGと演劇的で語りのようなVoとディレイの聴いたホーンらしき音から成るノンビートな小曲です。 ★B3 “Everybody Is Christ” (4:08)は、ジワジワと迫る低音から、突然、自在に弾かれるGとリズムG、それらに叫ぶような苦悶のVoが痛々しいです。これまたダーク。途中のシンセも効いてます。 ★B4 “Disintegrate... “ (4:35)では、ポロンポロンと爪弾かれるリリカルなピアノで始まり、囁くような或いは朗々としたVoと共にパルス音も聴取でき、しっとりと終わります。 この時期のCindytalkは、結構、ゴス・ロックっぽいなと言う印象ですが、エキセントリックなVoと比較的簡素な演奏の組み合わせも相性良く、マッチしていますね。ただ、今一つパンチには欠けるような気もしますが、、、。それと思っていた程、実験的なことはやっておらず、返って、それが本作品のロック的なものを支えているのだと感じます。ゴス・ロック好きな方は、そんな彼等の原点を是非とも体験してみて下さい❗️ A3 “Under Glass” (MV) https://youtu.be/Q1B77fMns98?si=_GpRI9sCHXTM95_W [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLHX-EKRpHg2zvKPhOd3jMnHKNOkXSpnRl&si=ybpDe5jBA3w4D3b_ #Cindytalk #CamouflageHeart #MidnightMusic #FirstAlbum #UK #Dark #GothRock #Industrial #GordonSharp #DavidClancy #JohnByrne
Goth Rock / Industrial Midnight Music 1486円Dr K2
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Les Rita Mitsouko “The No Comprendo”
私は、このLes Rita Mitsouko (レ・リタ・ミツコ)の存在については、全く知りませんでした。また、名前だけ聞いても、仏のバンドなのか?個人名義なのか?も初めは分かりませんでした。ですので、ちょっと調べてみました。Les Rita Mitsoukoは、Catherine Ringer(カトリーヌ・ランジュ)とFred Chichin (フレッド・シシン)のデュオで、やはり仏で1979年の春に結成されていたそうです。もう少し詳しく調べてみました。仏パリのBelleville地区のスクワットしたビルにあったPali-Kapのような場で、2人は活動を始めています。それから、この奇妙なグループ名は、Ringerの幼馴染と2人が出会った地方のレストランの名前から取られてと言われていますが、Ritaには、南米音楽やその代表的女優Rita Hayworthと関係しているとか、Mitsuokoは、日本語ではMutsukoとなり、それは仏 Guerlain(ゲラン)の香水の名前から取ったとの意見もあります。彼等に興味を示したVirgin Rrcordsと契約し、1982年にデビュー・12㌅シングル”Midnight Dancing”と12㌅EP “Don’t Forget The Night”を出しています。そうして、1985年に、彼等は成功を手にします。と言うのも、彼等のアルバムからシングルカットした曲”Marcia baila (マルシア・バイラ)”が、その夏に、仏のレコードチャートで2位となり、Philippe Gautierが、彼等の音楽を気に入り、MVを作って、彼等を広めようとしたからだと思われます。その後、1984年に出したデビュー・アルバム”Rita Mitsouko”は、名匠Conny Plankがプロデュースしており、パンク、ロック!シンセポップ、ジャズの要素が混在した特異な音楽が収録されていました。1985年10月には、Velvetsのトリビュート・アルバム”Les Enfants du Velvet”に”All Tomorrow’s Parties”のカバー曲を提供しています。そうして、米国人プロデューサー兼音楽家のTony Viscontiが、彼等の本作品でもあるセカンド・アルバム” The No Comprendo”とサード・アルバム”Marc et Robert”をプロデュースし、音の面でも更に洗練され、英詩と仏詞の曲を加えることで、これらのアルバムからのシングルカット"C'est comme ça" ("That's the Way It Is")や"Andy"は成功を収めます。特に、サード・アルバムでは、米国バンドSparksともコラボした曲やRidley Scottの映画”Black Rain”のサントラに使われた曲も含んでいました。1980年代には、彼等のMVは全て Jean-Baptiste Mondinoが作っていますし、1987年のJean-Luc Godardの映画”Soigne ta droite”には、セカンド・アルバム”The No Comprendo”の録音風景も使われています。1991年には、Josiane Balasko監督の映画”My Life Is Hell”の音楽を担当しています。また、1993年には、5枚目のアルバム”Système D”に収録曲"Y'a d'la haine"がMTV Europeの年間賞を受賞していますし、このアルバム収録曲”My Love Is Bad”ではIggy PopとRingerのデュエットも披露されています。2007年には、Les Rita Mitsoukoは、10枚目のアルバム”Variéty”を仏語盤と英語盤をダブルで出しています。しかしながら、2007年11月28日に、Chichinが、癌で亡くなってしまい、その後、Ringerは、単名でツアーを行なっています。 以上が、Les Rita Mitsoukoの経歴ですが、セカンド・アルバムでもある本作品”The No Comprendo”は、色々な意味で重要な作品と言えるでしょう。なお、国内盤の内、CDには、B6として”Andy”の英語ヴァージョンが追加されています。LPでは、両面とも5曲ずつとなっています。因みに、Cathrine Ringer (Vo, Others)とFred Chichin (G, 12弦G, B, Synth [Oberheim, VCS3], Sampler, Drum Machine, Drs, Perc)の2人だけで制作されています。それでは、各曲をご紹介していきましょう。 ★A1 “Les Histoires D' A. (美しき愛の歴史)” (4:04)は、Gと軽いDrsを中心としたバックに、朗々とした仏語Voが頼もしい曲ですが、Vlnらしき弦楽器も聴かれ、単にニューウェーブよりフォークロックな趣きです。 ★A2 “Andy” (5:30)は、ダンサブルなディスコティックなリズム隊に、独特のシンセのリフと陽キャな仏語Voが冴えます。ハッピーなシンセポップで、トランペット・ソロも面白い! ★A3 “C'est Comme Ca (セ・コム・サ)” (4:41)は、軽めのノリのポップソングで、RingerのVoも明るく、カッコ良い。Gのコード進行は単純ですが、泣かせてくれます。 ★A4 “Vol De Nuit (夜間飛行)” (4:12)は、仏語歌詞の為か、妖しい雰囲気の構成がプンプンする落ち着いた曲で、Voも抑さえ気味、泣きのシンセも聴取可能。 ★A5 “Someone To Love” (3:04)は、ノリの良い軽快なポップソングで、少しディレイ処理されたVoも、バックで弾きまくるシンセもカッコ良いです。 ★B1 “Stupid Anyway (危険なレイジー・ガール)” (4:45)は、不思議なリズムにスライドGとシンセから成るバックの演奏に、やはり朗々と歌うVoが力強いです。間奏でのGとシンセ・ソロの絡みも渋いです。 ★B2 “Un Soir Un Chien (アン・ソワール、アン・チェン)” (5:44)は、コンガとピアノで始まります。ファルセット気味のVoで仏語歌詞だと、シャンソンっぽいですが、シンセも絡んできます。 ★B3 “Bad Days (最悪の日々)” (5:03)は、ソフトロックのような軽めのビートの曲で、Voもやや捨て鉢的。Gのリズムとシンセのアクセントがシャレ乙にカッコ良いです。最後の転調もグー❗️ ★B4 “Tonite” (5:11)は、極端にスローな曲で、ううーって言うコーラスや口笛と気怠く歌うVoが何だか退廃的ですが、やがてビートがアップしてくると、Voも朗々と歌い始めます。 ★B5 “Nuit D' Ivresse (酔いつぷれた夜)” (3:43)は、陽キャなダンサブルな曲で、Voも元気一杯です。バックにはコンガやトランペットなんかも使われており、エスノ・ポップな感もあり。 と言う訳で、シンセ・ウェーブとかと言うよりも、オシャレ系ニューウェーブと言った方がしっくりくる作品だと思いました。また、Ringerの表現力は、幅も広く、素晴らしいシンガーですね。そして、Chichinのバックも引き出しが多く、完璧ですね。この作品を聴き終わったら、何だか仏の映画を観た感覚に陥りました。良質なポップソングで、それ程、尖っていない所も、如何にもフレンチだなぁと。そう言った軽めでシャレ乙な音楽が聴きたい時は、是非この作品を聴いてみて下さい❗️ A3 “C'est Comme Ca” (MV) https://youtu.be/fGZRVGlGZ6A?si=r-1kZeKVsIPNEI2L [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kPPCpnLeN05PlmM2nR89o1ii8wEnLyeec&si=Sd4xbLjIh4uIc_SP #LesRitaMitsouko #TheNoComprendo #東芝EMI #VirginRecords #FrenchDuo #NewWave #SynthPop #Chanson #2ndAlbum #Producer #TonyVisconti #CatherineRinger #FredChichin #Multi-Instrumentalist #FemaleVocal
New Wave / Synth Pop / Chanson 東芝EMI (Virgin Records) 5300円Dr K2
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John Cale “Honi Soit”
前々から興味のあったVelvet Undergroundですが、ちょっと横道に逸れて、創設メンバーのJohn Caleを聴いてみようと思いましたので、ヤフオクでポチりました。Lou Reedの方は名(迷)作”Metal Machine Music”や”Berlin”で少しは聴いていたのですが、John Caleに関しては全くちゃんと聴いていなかったので、今回が初めてと言うことになります。Caleのバイオグラフィーについては、簡単に書いておきます。John Cale、本名John Davies Caleは、英国ウェールズCarmarthenshireのGarnantで、炭鉱夫の父親と学校教師の母親の間に生まれました。7歳の頃、聖公会の牧師と音楽教師から性的悪戯をされていますが、その頃には、Ammanford教会でオルガンを弾いています。それで、BBCは、彼が初めて作曲したアダム・カチャトリアン風のピアノ曲トッカータを録音しています。13歳になると、彼はViolaの才能に目覚め、ウェールズ国立青年オーケストラに参加、その後、ロンドン大学Goldsmiths校で、音楽を専攻し、学士を取得しています。また、彼は、1963年7月に、あるフェスで初期のFluxusのコンサートを企画したり、短編映画”Police Car”にも携わり、1963年7月には、新しく結成された前衛集団の為、”Fluxus Preview Review”の中に2曲を提供しています。また、同年には、英国て行われたJohn Cageのピアノとオーケストラと為の最初のコンサートで指揮をしています。それで、Aaron Coplandの勧めで、彼は音楽修行の為に米国、特にTanglewoodに行くことになります。それで、NYCに到着したCaleは、1963年9月に、John Cageによって企画された、Erik Satieの”Vexations”と言う18時間40分も掛かるピアノ「マラソン」に参加しており、その様子はTV番組I’ve Got A Secretで放映されています。後に、Caleは、John Cageの落ち着いた芸術的風貌が、 Cage自身の書籍にはよく表れていると述懐しています。一方で、Caleは、La Monte Youngの永遠音楽劇場でも演奏しており、この時の影響で、ドローンをThe Velvet Underground (以下、Velvetsと表記)にも活かされていると回想しています。Caleは、前衛音楽としてロック(The Who, Kinks, Small Faces等)を聴いて親しんだきたこともあって、その年にLou Reedと彼のルームメイトAngus MacLise及び同級生のSterling Morrisonと共に、Velvetsを結成しています。その後、MacLiseが直ぐに辞めた為、Moe Tuckerを正式メンバーとします。Velvetsの話しは過去にしていますので、そちらをご参照下さい。極々簡単に言いますと、Lou ReedとJohn Caleの音楽性の溝が大きくなり、Caleは、1968年に脱退しています。ただし、1970年にVelvetsが”Ocean”と言う曲を録音している時に、Caleはオルガンで参加しており、アルバム”Loaded”にこの曲は収録されています。それで、Velvets脱退後、Caleは、プロデューサーとして活動し、The StoogesのデビューアルバムやNicoの3部作”The Marble Index“ (1968年作), Desertshore (1970年作), The End... (1974年作)等をプロデュースしています。それ以外にも、ソロアーティストとしても活動しており、1970年に、ソロとしては、ルーツ・ロックなファースト・アルバム”Vintage Violence”を出していますが、1971年2月には、より実験的なアルバム”Church Of Anthrax”をミニマル・ミュージックの開祖Terry Rileyとのコラボで出しています。また、1972年には、後に映画のサントラとなる作品”The Academy in Peril”を映画の完成前に作っており、翌年には、アルバム”Paris 1919”を出しています。Caleはこの時期に、Jennifer Warnes, Modern Lovers等のプロトパンク・バンドのプロデュースや、更にはPatti Smith, Squeeze. Sham 69のプロデュースも行ったり、Island Recordsのスカウトもやったりしています。しかし、Caleは、1974年ロンドンに戻り、ダークでおどろおどろしい曲調が多いアルバム3部作”Fear” (1974年作), “Slow Dazzle” (1975年作), “Helen of Troy” (1975年作)を僅か1年間で出しています。この時には、ライブも再開したおり、有名なElvis Presleyの"Heartbreak Hotel"の強烈に歪んだカバーもやっています。そして、Kevin Ayers, Nico, Enoと共にライブアルバム”June 1, 1974”を出しています。その後、1977年には、ノルウェーの劇作家Henrik Ibsenによる演劇”Hedda Gabler"をベースにしたEP”Animal Justice”をリリースしています。そのラウドで荒々しく迎合しないライブは当時のパンク・ロック・シーンに受け入れられていきます。時に、彼は13日の金曜日のジェイソンのような被り物でライブをやったり、鶏の首を切ったりと過激な演出もしていますが、これは彼によると、コカインの大量接種によるものとされています。その後、彼は英国パンクバンドのプロデュースをやっていますが、1979年12月には、パンクロックへのオマージュとして、”Sabotage/Live”をリリースしますが、同年CBGBで行われた3回以上のライブ音源が使われており、そのアグレッシブなVoや演奏は、このアルバムを全くの「新曲」のように聴かせています。また、同年になると、Caleは、ピアノやARPシンセを使うようになり、4枚目のアルバム”You're Never Alone with a Schizophrenic”で披露しています。この時期には、DeerfranceやIvan Král及びJudy Nylonと一緒にライブをやっており、後に(1987年)、ライブ・アルバム”Even Cowgirls Get the Blues”をリリースします。1980年に、CaleはA&M Recordsと契約し、よりコマーシャルな方へ舵を切り、本作品でもある7枚目のソロアルバム”Honi Soit”を1981年にリリースし、Mike ThorneのプロデュースやAndy Warholのカバーアート等も得ますが、この音楽性では成功せず、A&M Recordsとの関係は終わります。その為、彼は、ZE Recordsと契約し、1982年にアルバム”Music for a New Society”を出しますが、これは、彼の初期の洗練された曲調とその後のおどろおどろしい曲調が上手くブレンドした作品となり、隠れた傑作とも評されます。その後、1984年に、9枚目のスタジオ・ソロアルバム”Caribbean Sunset”をZE Recordsから出しますが、これは前作よりもずっと受け入れ易い仕上がりとなっており、音楽評論家からは悪い反応でしたが、蘭アルバムチャートにもチャートインしています。その後、ライブアルバム”John Cale Comes Alive”を出して、1985年に商業的成功を狙ったアルバム”Artificial Intelligence”をBeggars Banquet Recordsからリリースします。このアルバムはシンセやドラムマシンをふんだんに使ったポップ志向の強いもので、編集者Larry "Ratso" Slomanともコラボしましたが、全く成功しませんでした。唯一の”Satellite Walk”が若干ヒットした位です。同年、Caleは、Kurt Vonnegutのショートショート”Who Am I This Time?”のドラマ化の際に音楽を付けたりもしています。そうして、Caleは再び、プロデュース業を始め、ベルギーのポップ歌手LioやHappy Mondays, Element Of Crime等のアルバムに携わっています。この時期、彼の下の娘のこともあって、録音やライブからは離れていましたが、1989年に、Enoの協力の元に復帰し、アルバム”Words for the Dying”をリリースしています。このアルバムでは、詩人Welshman Dylan Thomasが1982年に書いたフォークランド紛争に関する詩を用い、2つのオーケストラと2つのピアノソロが収録されています。まだまだ、彼の活動は続くのですが、一旦、ここまでとして1990年以降については、またの機会に書くことにします。 それで、本作品”Honi Soit”について紹介します。先述のように、John Caleがポップ路線に舵を切ったアルバムで、Mike ThorneがPC処理とプロデュースを行い、Andy Warholがジャケのコンセプトを出した作品でしたが、商業的には成功しませんでした。そんな作品ですが、これはCaleにとって7枚目のスタジオ・ソロアルバムで、参加者はJohn Cale (Lead-Vo, G, Viola, Kbd), Sturgis Nikides (G, Back-Vo), Jim Goodwin (Kbd, Synth, Back-Vo), Peter Muny (B, Back-Vo), Robert Medici (Drs, Back-Vo), John Gatchell (Trumpet)で、A面5曲/B面4曲が収録されています。それでは、各曲について紹介してしきましょう。 ★A1 “Dead Or Alive” (3:51)は、かなりポップ色が強く、意外にもJohn Caleが朗々と歌っています。またトランペットのメロディが心に残ります。 ★A2 “Strange Times In Casablanca” (4:13)は、ややしっとり系のポップスで、若干のVelvets感がありますが、バックのシンセの低音がちょっと不気味ですね。 ★A3 “Fighter Pilot” (3:10)では、いきなり女性コーラスで、ビックリしますが、そこだけ変拍子なんですね。曲自体はポップで、CaleのVoも良く通っています。 ★A4 “Wilson Joliet” (4:23)は、ややしっとりした落ち着いたバラード調のポップスで、CaleのVoも抑揚をあり、聴かせて、最後に「狂気」を垣間見ます。 ★A5 “Streets Of Laredo” (3:34)も、一聴、変拍子?と思われる譜割で、如何にもCaleらしいですが、間奏のViolaが中々良いです。 ★B1 “Honi Soit (La Première Leçon De Français)” (3:20)は、PercとスライドGのイントロがスリリングで、途中のトランペットも効果的な「アメリカン」な曲ですね。バックのコーラスも良い塩梅です。 ★B2 “Riverbank” (6:26)は、しっとりして落ち着いたピアノ中心のバラードで、気怠いVoもマッチしていますね。ただ曲構成は当たり前過ぎて、ちょっと残念です。 ★B3 “Russian Roulette” (5:15)は、ハードボイルドなカッコ良い「アメリカン」なロックで、Gのリフや歌い方やVoに、特に「アメリカン」を感じますね。 ★B4 “Magic & Lies” (3:26)では、ピアノの弾き語りで始まり、やがて曲の盛り上がりで他の楽器も入ってきます。曲自体は良いのですが、もう少しCaleっぽさが欲しかったですね。 と言う訳で、アルバムとしては、確かにポップ・ミュージック路線ですが、決してこれが駄目とは思えなくて、程良いポップネスを感じることが出来て、良く出来た作品であると思います。A面では、このポップネスにCaleっぽさも感じられますし。多分、Mike Thorne (この人はWireの最初の3枚のアルバムをプロデュースしています)のプロデュース力もあると思います。なので、John Caleのポップな面を堪能したい方にはお勧めします❗️ A3 “Fighter Pilot” https://youtu.be/CG9ohNojpPo?si=ODc1T0SdxCV-Fi_4 [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_m5W4g2nBwdxc08TCIjXMvkrFRB2xUzJ54&si=rhGcHqh_hJwNwnud #JohnCale #HoniSoit #A&MRecords #SoloAlbum #7ThStudioAlbum #ArtRock #PopRock #Commercial #SturgisNikides #JimGoodwin #PeterMuny #RobertMedici #JohnGatchell #MikeThorne #AndyWathol #TheVelvetUnderground
Art Rock / Pop Music A&M Records 1980円Dr K2