Les Rita Mitsouko “The No Comprendo”

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私は、このLes Rita Mitsouko (レ・リタ・ミツコ)の存在については、全く知りませんでした。また、名前だけ聞いても、仏のバンドなのか?個人名義なのか?も初めは分かりませんでした。ですので、ちょっと調べてみました。Les Rita Mitsoukoは、Catherine Ringer(カトリーヌ・ランジュ)とFred Chichin (フレッド・シシン)のデュオで、やはり仏で1979年の春に結成されていたそうです。もう少し詳しく調べてみました。仏パリのBelleville地区のスクワットしたビルにあったPali-Kapのような場で、2人は活動を始めています。それから、この奇妙なグループ名は、Ringerの幼馴染と2人が出会った地方のレストランの名前から取られてと言われていますが、Ritaには、南米音楽やその代表的女優Rita Hayworthと関係しているとか、Mitsuokoは、日本語ではMutsukoとなり、それは仏 Guerlain(ゲラン)の香水の名前から取ったとの意見もあります。彼等に興味を示したVirgin Rrcordsと契約し、1982年にデビュー・12㌅シングル”Midnight Dancing”と12㌅EP “Don’t Forget The Night”を出しています。そうして、1985年に、彼等は成功を手にします。と言うのも、彼等のアルバムからシングルカットした曲”Marcia baila (マルシア・バイラ)”が、その夏に、仏のレコードチャートで2位となり、Philippe Gautierが、彼等の音楽を気に入り、MVを作って、彼等を広めようとしたからだと思われます。その後、1984年に出したデビュー・アルバム”Rita Mitsouko”は、名匠Conny Plankがプロデュースしており、パンク、ロック!シンセポップ、ジャズの要素が混在した特異な音楽が収録されていました。1985年10月には、Velvetsのトリビュート・アルバム”Les Enfants du Velvet”に”All Tomorrow’s Parties”のカバー曲を提供しています。そうして、米国人プロデューサー兼音楽家のTony Viscontiが、彼等の本作品でもあるセカンド・アルバム” The No Comprendo”とサード・アルバム”Marc et Robert”をプロデュースし、音の面でも更に洗練され、英詩と仏詞の曲を加えることで、これらのアルバムからのシングルカット"C'est comme ça" ("That's the Way It Is")や"Andy"は成功を収めます。特に、サード・アルバムでは、米国バンドSparksともコラボした曲やRidley Scottの映画”Black Rain”のサントラに使われた曲も含んでいました。1980年代には、彼等のMVは全て
Jean-Baptiste Mondinoが作っていますし、1987年のJean-Luc Godardの映画”Soigne ta droite”には、セカンド・アルバム”The No Comprendo”の録音風景も使われています。1991年には、Josiane Balasko監督の映画”My Life Is Hell”の音楽を担当しています。また、1993年には、5枚目のアルバム”Système D”に収録曲"Y'a d'la haine"がMTV Europeの年間賞を受賞していますし、このアルバム収録曲”My Love Is Bad”ではIggy PopとRingerのデュエットも披露されています。2007年には、Les Rita Mitsoukoは、10枚目のアルバム”Variéty”を仏語盤と英語盤をダブルで出しています。しかしながら、2007年11月28日に、Chichinが、癌で亡くなってしまい、その後、Ringerは、単名でツアーを行なっています。

 以上が、Les Rita Mitsoukoの経歴ですが、セカンド・アルバムでもある本作品”The No Comprendo”は、色々な意味で重要な作品と言えるでしょう。なお、国内盤の内、CDには、B6として”Andy”の英語ヴァージョンが追加されています。LPでは、両面とも5曲ずつとなっています。因みに、Cathrine Ringer (Vo, Others)とFred Chichin (G, 12弦G, B, Synth [Oberheim, VCS3], Sampler, Drum Machine, Drs, Perc)の2人だけで制作されています。それでは、各曲をご紹介していきましょう。
★A1 “Les Histoires D' A. (美しき愛の歴史)” (4:04)は、Gと軽いDrsを中心としたバックに、朗々とした仏語Voが頼もしい曲ですが、Vlnらしき弦楽器も聴かれ、単にニューウェーブよりフォークロックな趣きです。
★A2 “Andy” (5:30)は、ダンサブルなディスコティックなリズム隊に、独特のシンセのリフと陽キャな仏語Voが冴えます。ハッピーなシンセポップで、トランペット・ソロも面白い!
★A3 “C'est Comme Ca (セ・コム・サ)” (4:41)は、軽めのノリのポップソングで、RingerのVoも明るく、カッコ良い。Gのコード進行は単純ですが、泣かせてくれます。
★A4 “Vol De Nuit (夜間飛行)” (4:12)は、仏語歌詞の為か、妖しい雰囲気の構成がプンプンする落ち着いた曲で、Voも抑さえ気味、泣きのシンセも聴取可能。
★A5 “Someone To Love” (3:04)は、ノリの良い軽快なポップソングで、少しディレイ処理されたVoも、バックで弾きまくるシンセもカッコ良いです。
★B1 “Stupid Anyway (危険なレイジー・ガール)” (4:45)は、不思議なリズムにスライドGとシンセから成るバックの演奏に、やはり朗々と歌うVoが力強いです。間奏でのGとシンセ・ソロの絡みも渋いです。
★B2 “Un Soir Un Chien (アン・ソワール、アン・チェン)” (5:44)は、コンガとピアノで始まります。ファルセット気味のVoで仏語歌詞だと、シャンソンっぽいですが、シンセも絡んできます。
★B3 “Bad Days (最悪の日々)” (5:03)は、ソフトロックのような軽めのビートの曲で、Voもやや捨て鉢的。Gのリズムとシンセのアクセントがシャレ乙にカッコ良いです。最後の転調もグー❗️
★B4 “Tonite” (5:11)は、極端にスローな曲で、ううーって言うコーラスや口笛と気怠く歌うVoが何だか退廃的ですが、やがてビートがアップしてくると、Voも朗々と歌い始めます。
★B5 “Nuit D' Ivresse (酔いつぷれた夜)” (3:43)は、陽キャなダンサブルな曲で、Voも元気一杯です。バックにはコンガやトランペットなんかも使われており、エスノ・ポップな感もあり。

 と言う訳で、シンセ・ウェーブとかと言うよりも、オシャレ系ニューウェーブと言った方がしっくりくる作品だと思いました。また、Ringerの表現力は、幅も広く、素晴らしいシンガーですね。そして、Chichinのバックも引き出しが多く、完璧ですね。この作品を聴き終わったら、何だか仏の映画を観た感覚に陥りました。良質なポップソングで、それ程、尖っていない所も、如何にもフレンチだなぁと。そう言った軽めでシャレ乙な音楽が聴きたい時は、是非この作品を聴いてみて下さい❗️

A3 “C'est Comme Ca” (MV)
https://youtu.be/fGZRVGlGZ6A?si=r-1kZeKVsIPNEI2L

[full album]
https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kPPCpnLeN05PlmM2nR89o1ii8wEnLyeec&si=Sd4xbLjIh4uIc_SP

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