Din A Testbild “Programm 1”

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皆さんは、Din A Testbild (ディン・ア・テストビルト)を知っていましたか?私は、名前こそ聞いたことはあれ、実際の音楽を触れたことはありませんでした。それで、「クラウトロック大全」の小柳カヲルさんが盛んに書いていたこともあり、丁度、海外通販する時に新品を纏めたサイトがあったので、大人買いしてしまいました。それで、ちょっと調べてみました。
 Din A Testbildは、1978年に、 Mark Eins, Gudrun Gut, Nutty Norman, Genee Romeeによって結成された西ベルリンのバンド(?)で、どうも最初はアヴァンギャルドな音楽をやっていたようで、よくジャムったりしており、その中には、何と!Klaus Schulzeもいたとか。もう少し詳しく書くと、1978年結成の時のコアメンバーは、俳優でもあるMark EinsとDin-A-4をやっていたGudrun Gutで、1979年にデビュー・シングル”Abfall Garbage / Glas Konkav”をリリースしていますが、その名の通り、ゴミ入りのパッケージでした。そして、1980年にファースト・アルバム”Programm 1”を、レーベルInnovative Communicationから出しています。そんなこともあって、このバンドは、NDWとBerlinアヴァンギャルドの時期に大いに影響しています。それで、西Berlinの有名なクラブSO36やDüsseldorfのクラブRatingen Hof、更には、1980年9月4日にベルリンのTempodromeで行われたGeniale Dilletantenフェスにも、Einstrutzende NeubautenやDie Tödliche Dorisらと共に、Satisfactory名義で、Din A Testbildは出演しています。その後、Klaus Schulzeの電子音楽レーベルInnovative Communicationと契約して、独国内と欧州ツアーを行っています。また、1980 年代に、Din A Testbild は、Rosa von Praunheims監督作の長編映画”Rote Liebe”やDavid Vostell監督作の短編映画”Ginger Hel”の映画のサントラを担当し、Einsは両方の映画で主人公を演じています。その後、2005年に、Din A Testbildは、Mark EinsとNutty Norman, Ralf Zimmermannの3人組となり、2006年には、インターネット系インディーズ・レーベルTestbildを立ち上げ、アーカイブや新録作品や友人の作品をリリースしています。このレーベルの第一弾は、”Programm 5 / Sample Attack”で、彼等が1980年代からやっていた”Programm”シリーズを継承しています。これは、ビート、シンセ、くだらないギターリフとVoが混ざり合って、高速シーケンスから成るデジタル・パンクで実験的な電子音楽と言ったサウンドです。ライブでも同様に豊かな表現力を押し出しており、常に新しいアイデアや側面を更新していきます。2009年には、ハンブルクのレーベルBureau Bと契約して、2010年に新録アルバム”Programm 6 / Collage”をリリースしています。この時には、Einsの他にNutty Norman, Ralf Zimmermann, Axel Brandも参加しており、更にゲストとし、ベルリンのパンクバンドPVCのGerrit Meijer (G)とBettina Schoch (Vo)も参加しています。また、多くのアナログ機材が使用されているのも特徴です。その後、2017年には、独レーベルMannequinがアルバム”Programm 4”をリリースしています。2018年には、Din A Testbild40周年記念に、日本のSuezan Studioが、Din A Testbildの”Programm”シリーズの特別版とデビューシングル”Abfall Garbage / Glas Konkav”を再発しています。2018年より、メンバーはEinsとTom Paschkeのデュオになっており、翌年には、高速リズムと高速コラージュから成る新録アルバム”Programm 7”を出しています。
 以上が、Din A Testbildの略歴となりますが、結構、息の長い活動をしており、その中心には常にMark Einsがいたことになります。それで、今回は、彼等のファースト・アルバム”Programm 1”をご紹介します。この時にメンバーは、Mark EinsとGenee Romeeで、プロデュースはKlaus SchulzeとK. D. Muellerが担当しています。内容的には、両面3曲ずつ収録されています。それでは、各曲についてご紹介ししていきましょう。

★A1 “Die Siebziger” (6:10)は、非常にカッコ良いビートに、スペーシーなシンセとミニマルなBから成る曲で、Einsと思われるVoが比較的自在に入っていますが、後半は呪文の様に反復しています。また、バックにはGらしき音も流れています。
★A2 “DNS Of Time” (4:55)では、パンに振られたハイハット?とシアトリカルなVoで始まり、徐々にシーケンスが入ってきますが、時にその音程はランダムになったりします。
★A3 “No Repeat” (3:00)は、逆回転のDrsに合わせて、反復するGのリフと、それらに乗るEinsのエコーVoが乗ってくる曲で、最後はSE的ホワイトノイズで終わります。
★B1 “Urwald-Liebe” (5:10)は、深いエコーのDrsに、簡素なBやGのリフやSE的シンセが乗り、そこでVoが結構自在に歌っている曲で、ゴシック調ですらあります。その奥で声のショートループが流れています。
★B2 “Age Is A State Of Mind” (4:26)は、宇宙空間を思わせる雰囲気の深いエコーの掛かった曲で、非常にゆったりとしています。勿論、EinsのVoも!そして曲の屋台骨も顕になります。
★B3 “She's So Nice” (5:55)は、変則Drsとシーケンスとシンセのリフから成る曲で、Voは多重録音しているようです。Percは生?それともシンセ?一種の電子擬似民族音楽なのでしょう。

 個人的には、Einsの音作りは割と好きな方ですが、打楽器は最後まで、生かマシンか分かりませんでした。EinsのVoは、歌詞はあると思いますが、割と自由奔放に歌っているようで、そこら辺も面白いところですね。後、Klaus Schulzeの影響なのか、全体的にエコー/リバーブの掛け方に特徴があり、時にスペーシーですらあります。そんな訳で、中々楽しめましたので、次作を鑑賞するのも、ワクワクしてしまいます!また、そのスペーシーさがクラフトロックっぽくもあり、往年のファンにも気に入られるかも!

https://youtu.be/UPfXdkcoOo0?si=imMlEuu_3rTiSpJy

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