Robert Görl “Night Full Of Tension”

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Robert Görl, 彼はDAF(Deutsch-Amerikanische Freundschaft)のドラマーです。しかしながら、解散・再結成を繰り返していたDAFの合間に、彼はソロ作品を作っています。本作品もその一つです。彼自身のバイオグラフィーは書いていませんでしたので、復習がてらちょっと紹介していきます。
 Robert Görlは、12歳の時、ジャスドラマーFreddie Brocksieperにドラムのレッスンを受けており、1974年には、ハプスブルクのLeopold-Mozart音楽院で、クラシック音楽のトレーニングも受けており、1976年からグラーツ大学で音楽を専攻しています。その頃、大学の授業と並行して、ジャズにものめり込んでいます。1978年には、一端休学してロンドンに渡り、そこてパンクの洗礼を浴びています。同年、Düsseldorfで、Gabi Delgado-Lopezと出会い、DAFを結成します。1979年〜2003年に、合計7枚のDAFのスタジオ・アルバムを作製し、リリースしています。1982年に、DAFは、アルバム”Alles Ist Gut”で、独レコード賞を受賞しますが、1983年には2人は袂を分かちます。Görlは1981年には、英Eurythmicsのアルバム”In The Garden”でドラムを叩いており、1984年のGörlのソロアルバム”Night Full Of Tension”には、EurhythmicsのAnnie Lennoxが参加して、”Darling Don’t Leave Me”でデュエットしています。1986 年に再結成した DAF は、初の英語アルバム”1st Step to Heaven”をリリースします。しかし、1989年に、Görlは重大な自動車事故に見舞われ、その後、彼は仏教徒となり、3年間アジアを旅して修行していました。 帰国後、1990年代にPeter Wachaのミュンヘンのテクノ・レーベルDisko Bから様々なソロ・アルバムやシングルをリリースしています。2000年〜2002年に、Görlは、DAFの再復活のことで、Gabiと話し合い、2003年初頭にアルバム”15 Neue DAF Lieder”が作製され、同年、DAFは初来日しています。しかし、2005年11月に、再びDAFは解散します。しかし2008年には、復活し、アニヴァーサリー・ツアー”30 Years Of DAF”を開催、2010年9月に、限定販売でシングル”Du Bist DAF”をリリースしています。しかしながら、Gabiは、DAFの新録アルバムを計画中の2020年に61歳の若さで他界してしまいます。Görlは、プロデューサーのSylvie Marksの協力を得て、Grönland Recordsから1980年代の未発表DAFサウンドシーケンスを使用して、”Nur Noch Eine”というタイトルでDAFのラスト・アルバムを2021年にリリースしています。
 以上が、Robert Görlの略歴となります。本作品も、先述のように、EurythmicsのAnnie Lennoxが参加している曲A1 “Playtime”やA3 “Charlie Cat”及びB3 ”Darling Don't Leave Me”も収録されており、両面4曲づつ入っています。それでは、各曲を紹介していきたいと思います。

★A1 “Playtime” (3:54)では、DAF風のシーケンスと生Drsのビートに、GörlとLennoxが輪唱のように歌い上げており、特にGörlのVoは優男風のセクシーさを感じさせますね。音数はやはり少な目です。
★A2 “I Love Me” (5:31)では、直線的なシーケンスと生Drsが生み出すビートに、投げつけるようなGörlのVoが意外に良く合っています。バックのマリンバが良い隠し味になっています。
★A3 “Charlie Cat” (3:40)は、キラキラしたシンセのリフとDAF風のシーケンスをバックに、LennoxがメインVoを取る曲で、普段は余り使われないシンセのリフ(音数)が多めに聴かれます。
★A4 “Gewinnen Wir Die Beste Der Frauen”(4:49)は、フェイドイン/フェイドアウトするスローでダークな曲ですが、DrsはやはりGörlのドラミングだなあと感心しました。また、GörlのVoはシリアスかつシアトリカルに歌っています。
★B1 “Queen King”(4:54)は、陽性のシーケンスと強靭な生Drsに、Görlが切々と歌い上げている曲です。シンセのリフも多めになっていますので、余り「DAFっぽくない」印象を受けますね。寧ろ「1980年代UKのエレ・ポップ調」です。
★B2 “Love In Mind”(4:45)でも、確かにシーケンスはDAF風なんですが、Görlが朗々と歌い上げており、寧ろDAFの呪縛から離れた「新境地」と言うところでしようか?にしてもGörlの声質は甘くてセクシーですね。
★B3 “Darling Don't Leave Me”(3:39)は、シングルカットされた曲で、2人、特にLennoxの多層化したVoがメインの部分を聴いていると、「これはひょっとしてEurhytmics?」と勘違いしてしまいそうです。
★B4 “Wind In Hair”(4:19)は、ある意味、DAF風の「可愛らしい」シーケンスと生Drsのビートに、またもやGörlが切々と歌っている曲なんですが、当たり前ですが、Gabiとは違う声質とか歌い方なんだなぁと感心してしまいます。

 元DAFと言うだけで、どうしても、Virgin3部作の「汗、筋肉、ゲイ・カルチャー、機械」と言った音楽と比べてしまい勝ちですのが、そう言うと、本作品は、確かにソフィストケートされた印象を受けるかもしれません。特に、Annie Lennoxがフィーチャーされた曲なんかは、「Eurhythmicsの曲」のようにも聴こえるかもしれませんね。でも、逆を言えば、それだけのポピュラリティーを持った曲でもある訳で、それだけの理由で捨てるのは勿体無いと思います。なので、ゴリゴリのDAFのファンには余りお勧めしませんが、強めのエレ・ポップ好きな方は一度聴いてみてはどうでしょう?ハマるかもよー。

[YouTubeに上がっていたのは以下の曲のみでした]
A1 “Playtime” (3:54)
https://youtu.be/DzvXFK5UlK4?si=2bfvTJJLxCsKCRUR

B2 “Love In Mind”(4:45)
https://youtu.be/A6x5SNs7ucA?si=OQLt9Gom8mgkKB0P

B3 “Darling Don't Leave Me” (3:39)
https://youtu.be/M95Dws35cKQ?si=Yn9LeYAcmAAxAtZf

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