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V.A. “Neuengamme”
このコンピは、元々は、かの有名な英ノイズ・レーベルBroken Flagが、1982年に限定でリリースした、当時のノイズ・ミュージック界を展望できるアルバムなんです。後に、非公式に再発されており、それが今回、ご紹介するアルバムです。ジャケ写はFaustのアルバムのように差し替えられていますが、内容はオリジナルと同じようです。因みにタイトルの”Neuengamme (ノイエンガムメ)ですが、これはハンブルクにあったナチスの強制収容所の名前で、如何にもBroken Flagらしいですね。大部分は英国のグループですが、Esplendor Geometrio (スペイン)やM. B. (イタリア)、P.16 D.4 (ドイツ)からの参加もあり、歴史的資料としても重要と考えられます。Broken Flagについては、Ramlehのところで書いてありますので、そちらをご参照下さい。 それでは参加グループと各曲の紹介をしていきます。 ★A1 “Fanfare” (0:18)は、文字通りのホーン(ラッパ)による開始の合図(ファンファーレ)です。 ★A2 Sutcliffe Jugendは元WhitehouseのKevin Tomkinsのユニットで、曲“Right To Kill” (4:00)は、頭に響くGのフィードバック音と叫び声(ちょっと裏返ったりもする)のようなVoから成る曲ですが、この曲はWhitehouseのカバーでしょうか? ★A3 Whitehouseは今やCut Handでも有名なWilliam Bennettを中心としたバンドで、この頃だとAndrew McKenzie (The Hafler Trio)とSteven Stapleton (Nurse With Wound)かPeter McKayが在籍していたのだと思われます。曲“Whore Cull / Action 5” (7:00)は、ホワイトノイズ多めなシンセによるノイズ音と聴き取りにくいWilliam Benetteの白痴的Voから成る曲ですが、途中からロングディレイ音やショートループ音が入ってきて、益々混乱していきます。 ★A4 KleistwahrはBroken Flagを運営しているGary Mundyのソロユニットで、曲“Flesh Razor” (2:26)では、地を這い回るような気持ち悪い電子音をひたすら奏で続けます。 ★A5 Esplendor Geometricoはスペインのテクノイズの源流となったバンドで、この頃はArturo LanzとGabriel Riaza(ひょっとするとJuan Carlos Sastreも)がメンバーで、曲“Untitled” (4:36)は、スペインの機械偏執狂で、意外にも四つ打ちキックとパルス音らしきシンセ音/シーケンス音から成る曲です。ちょっと大人しい印象です。 ★A6 Consumer Electronicsも元WhitehouseのPhilip Bestが中心になって作ったバンドで、この頃のメンバーとかは不明です。曲”Keloid” (3:50)は、TV音と共に不穏に動き回るシンセが鳴り響き、更には、フィードバック音も絡んできます。 ★A7 Ramlehはこの時期はGary MundyがBob Strudwickと組んでいたデュオで、曲“Koprolagnia / Circle Of Shit” (3:42)は、歪んで歪んだ電子音とデスVoから成る古典的パワエレな曲で、左右のパンとかに振ったりして、音的にも凝っていたりします。 ★A8 Phallus DeiはOliver Strahl Lingamが中心になって結成されたノイズ・バンドですが、この頃の他のメンバーは不明です。曲“Necrophilia” (2:40)は、頭が痛く成るようなGのフィードバック音と乱暴なデスVoから成る曲で、VoはやがてLFOの中に埋もれていき、ノイズ化してしまいます。ひょっとしてBも使っている? ★B1 Ramleh “Drancy” (4:00)も、いきなり強靭な電子音で始まり、それが時に引き攣れたり、雄叫びを上げたりする曲で、後半には通奏低音も聴取出来ます。 ★B2 M. B.は伊の本名Maurizio Bianchiのことで、宅録ノイズの創始者でもあります。曲“Acido Prussico (8:23)は、不安を煽るような浮遊すらシンセ音と、それに掛けたエフェクト(多分、ディレイ)から成る曲で、聴いていると鬱々とした気分になっていきます。 ★B3 P.16 D.4は独のPDが発展的解消して生まれた密室系実験ノイズ集団で、メンバーはRalf Wehowsky, Gerd Poppe, Roger Schönauer, Achim Szepanski或いはEwald Weberから成っていました。“Kühe In Halbtrauer” (5:38) は、彼等のファースト・アルバムの表題曲ですね。ヴァージョン違いのような気がします。この中では異質な緻密コラージュ・ノイズです。 ★B4 Krangも一時期、Whitehouseに在籍していた豪州出身のJohn Murphyのソロユニットで、曲“Krang Lives” (6:25)は、ライブ音源なのでしようか?前面には短波ラジオのチューニング音が出ており、バックで何やら不穏な電子音らしきノイズが蠢いていますが、段々と暴力的になっていきます。 ★B5 Consumer Electronics “Fuck The I.R.A.” (2:44)は、ナレーションから始まりますが、直ぐにエコーが掛けられ、G(? Vo?)らしき楽器のフィードバック音塗れになってしまい、突如終わります。 前から聴きたかったコンピですが、今聴くと、流石に「時代」を感じてしまいますね。パワ・エレって今でこそ、「強い」とか「怖い」イメージがありますが、最初はヘナチョコな女々しい感じだったんだよなぁと再確認できました。一つの音楽史上の流れを上手く切り取ったコンピだと思いますので、ノイズ・ミュージック、特にパワ・エレの歴史を探りたい方は、お得なので聴いておいた方が良いでしょう❗️ [original full album] https://youtu.be/5WRJwW9q3dI?si=ri_9ucl9SmKMW0pe #VariousArtists #Neuengamme #RemoteControlRecords #BrokenFlag #Reissue #Unofficial #Noise #Industrial #PowerElectronics #CompilationAlbum #UnknownArtist #SutcliffeJugend #Whitehouse #Kleistwahr #EsplendorGeometrico #ConsumerElectronics #Ramleh #PhallusDei #M.B. #P.16D.4 #Krang
Noise / Industrial / Power Electronics Remote Control Records (Broken Flag) 2980円Dr K2
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The Flying Lizards “The Secret Dub Life Of The Flying Lizards”
あの段ボールをドラム代わりに叩いて、無機質な女性ヴォーカルと覇気の無いギターのみで、一世を風靡したThe Flying Lizardsの4枚目の最終アルバム“The Secret Dub Life Of The Flying Lizards”を紹介します。The Flying Lizardsは、バンドではなく、寧ろちゃんと音楽教育を受けた作曲家David Cunninghamのでっちあげた、ロック/ポップへのアプローチをするプロジェクトみたいなものです。The Flying Lizardsのバイオグラフィーについては、以前にも紹介していますので、そちらをご参照下さい。それで、本作品では、自分達の曲をダブ処理して再構築した内容になっています。それで、Cunningham以外にジャマイカのレゲエ・ヴォーカリスト/DJ/プロデューサーであるJah Lloydと組んで、ダブ処理した作品を作り上げました。オリジナルは、1996年にCunningham自身のレーベルPiano RecordsからCDでリリースされていますが、私の持っているものは、独レーベルStaubgoldからの再発盤で、収録曲数が3曲少ないです。それで、元曲の作曲はDavid CunninghamとJah Lloydが行なってますが、その録音はJah Lloydがジャマイカで予め行なっています。それを元にDavid Cunninghamが、再構成やダブ処理を行なって、ミックスダウンをしているとのことです。内容はA面5曲/B面4曲となっています。そう言う手順なので、殆どの曲は、ファットなベースの存在感が目立ち、そのバックには、ダブ処理されたドラム(特にリムショットやスネア)の音が聴くことができます。音のバランスや音色などはレゲエ的ですが、曲調そのものには、余りレゲエを感じません。また、ダブ初期によるエフェクトの掛け方もエグいです。それらのことを鑑みると、かつてXTCのAndy Partridgeが作ったホワイト・ダブのソロ・アルバム”Take Away”とは、全く異なった出来になっているように感じます。因みに、今回は全曲、インストです。中々、David Cunninghamも一筋縄ではいかないアーティストですね。そんな訳で、The Flying Lizardsの最終作はダブで終わりを遂げました!彼はソロでは、エラーシステムによるミニマル・ミュージックをやっているのですが、この音源をThe Flying Lizards名義にしたのは、ダブがロック・リスナーにも浸透していたからかも知れませんね。この辺りのミックスやダブに興味がある方は一度聴いてみては如何でしようか‼️個人的には、特にB面は楽しめました。ダブにはまだまだ未知の可能性がありますね❗️ A1 “Shake” A2 “Lime And Salt” A3 “Mute” A4 “Skin And Stone” A5 “Crab Claw” B1 “Outside” B2 “Inside” B3 “Ash And Diamond” B4 “Flicker”” B4 “Flicker” https://youtu.be/mEtN4qhy5-s?si=R0lZV1ddR_Drnrkl [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_na4ltnIXC_YoOVsjWX_jlnXwNavfz4AvI&si=P9gQ11-KFknqUcZF #TheFlyingLizards #TheSecretDubLifeOfTheFlyingLizards #Staubgold #PianoRecords #Reissue #4thAlbum #FinalAlbum #Experimental #Dub #Reconstruction #UKUnderground #DavidCunningham #JahLloyd
Experimental / Dub Staubgold (Piano Records) 4000円?Dr K2
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Mixed Band Philanthropist ”The Impossible Humane”
もう古典と言っても良いかと思われる、TNB (The New Blockaders)のRichard Rupenusが率いたノイズ・ユニットMixed Band Philanthropist (以下MBPと表記)の再発ファースト・アルバムを紹介します。元々は独逸屈指の実験音楽/ノイズ・レーベルSelektionからリリースされた作品で、その後、Siren Records(日)よりCDで、更にHypnagogia (英)よりカセットで再発されていますが、ヴァイナルとしては初の再発ですね。この時点のMBPのメンバーは、上記のRichard Rupenusの他に、Douglas LucasとK. Jamesonの3人からなります。その後は、後者2人は抜けて、Allan ZaneとStan Reedが加入していますが、MBP自体、単発のユニットであったみたいで、単独作品は本作品とHypnagogiaからリリースされたシングルのみです。と言う訳で、オリジナルほ高価で取引されていますので、この再発はリスナーには大変嬉しいですね。MBPのコンセプトは、世界中のノイズ・グループやミュージシャンからの音源を集めて、それらを高速ジューサー・ミキサーで撹拌して、別の曲として成立させると言うもので、参加者は、A.O.T., Andrew Chalk, Architects Office, Asmus Tietchens, Bird Cage Walk, Controlled Bleeding, Dada Duo, Dan Froberg, Giancarlo Toniutti, H.N.A.S., Lorelei N. Schmidt, Manon, Merzbow, Mieses Gegonge, Mystery Hearsay, Nihilist Assault Group, Nurse With Wound, Orchestra Of The Obvious, Organum, P16.D4, Penis Art, Peter Catham, Swimming Behavior Of The Human Infant, Smegma, Sperm Culture, The Haters, New Blockaders, The Noise Perverts, Tom Recchion, Verdenskang, Vittore Baroni, Vortex Campaign, Etant Donnesとその手の実験音楽/ノイズ・グループ/ミュージシャンがほぼ網羅されていると言っても過言ではないでしょうか。また、今回の再発盤では、A1としてシングル曲”The Man Who Mistook A Real Woman For His Muse And Acted Accordingly”が、B5として”Bad Alchemy No5”コンピ収録曲で、シングルとしても再発されていた曲が含まれており、お得感があります。内容は前述しましたように、とにかく音楽/非音楽関わらず、高速で攪拌されて、繋ぎ合わされた音の連なりが物凄いスピードで展開されています。しかも、それらの再生速度も高速だったりして、曲の切れ目もよく分からないくらいです。もう難解を通り越して、ユーモラスですら感じる出来栄えで、思わず口をあんぐり開けている前に聴き終わる程のスピード感ですね。元々、Selektionからリリースされたことを考えて、P16.D4の”Distruct”と同様のコンセプトで作られたのだはないかとも思われますが、何せ、スピード感が違うので、もう何と言うかナンセンスの極み(ここら辺はRupenusの狙ったところでしようね)です。そんな内容ですが、本作品の高速コラージュは一聴に値すると思われますので、是非、この機会に体験してみて下さい❗️ https://youtu.be/C_x735iflf0 #MixedBandPhilanthropist #TheImpossibleHumane #Staubgold #Selektion #Reissue #RichardRupenus #DouglasLucas #K.Jameson #Collage #Experimental #CollaborationThroughTheMail #1987 #高速コラージュ #TheManWhoMistookARealWomanForHisMuseAndActedAccordingly
Noise / Experimental Staubgold (Selektion) MDr K2
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Palais Schaumburg “Hockey”
さあさあ、Palais Schaumburg (通称「パレ・シャン」の12㌅シングルですよー❗️Holger Hillerが抜けて、代わりにWalther Thielsch (Vo)とMoritz von Oswald (Multi-Instruments)が参加してからの作品で、メンバーは、Ralf Hertwig (Drs), Timo Blunck (B, Vo), Thomas Fehlmann (Synth, Trumpet), Walther Thielsch (Vo), Moritz von Oswaldの5人組体制です。バイオグラフィーは前回のを参考にして下さい。パレ・シャンのヘンテコなポップ感が更にポップにはなっているのですが、それでも、骨折したようなリズム(特にB面)とかストリングの挿入仕方とかは相変わらずです。あとSaxでChristian Kellersmannが参加しています。タイトル曲の”Hockey”は、in door mixなので、跳ねるようなリズムが特徴で、こちらはまだポップミュージックとしても成り立ちますね。しかしながら、B面の”Stan Kenton”は、やはりな「実験的ポップ・ソング」になっています。ここら辺からパレ・シャンはややメジャー志向にはなるのですが、持って生まれた実験性が顔を出してきて、そのせめぎ合いが絶妙にブレンドされた作品になっていきます。まあ、シングルなんで、パレ・シャンのファンの方はもう持ってますよね?それとも、敢えて買わなかったとか?とにかくファン・アイテムです。 A “Hockey” (4:02) B1 “Packt Die Herzen Aus” (5:58) B2 “Stan Kenton” (5:11) A “Hockey” https://youtu.be/vH3lnKa1iT4?si=diNDvL4AriSvNyxS #PalaisSchaumburg #Hockey #Phonogram #Warner #12inchSingle #NeurDeutscheWelle #GermanNewWave #ExperimentalPop #BizarrePop #RalfHertwig #TimoBlunck #ThomasFehlmann #WaltherThielsch #MoritzVonOswald
Neue Deutsche Welle (German New Wave) Phonogram / Warner 不明Dr K2
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Throbbing Gristle “Journey Through A Body”
第一期Throbbing Gristle (以下TGと表記)の最後の スタジオアルバムです。元々は、1993年に英国MuteのサブレーベルGrey Areaが正式にはリリースしていますが、このアルバムは独逸レーベルのWalter Ulbricht Schallfolienがアンオフィシャルに1982年にリリースしてしまったみたいです。メンバーは、Cosey Fanni Tutti, Chris Carter, Genesis P-Orridge, Peter Chistophersonといつもの4人です。火葬場を思い起こさせるジャケはまあいつものかとも思いましたが、ピアノなどのアコースティックな楽器音と録り貯めていたテープなどの具体音が中心となった、TGにしてはやや異色なアルバムです。また、A面はリバーブの掛け方が深いので、さながらホラー映画の一場面の不気味さもあります。また、後から気付いたのですが、Genesisのヴォーカルが殆どないのも異質ですね(今までのTGっぽいのはA2 “Catholic Sex (For Paula)”だけですね)。それで、伊ローマでの録音になっていますが、そう言う「場」の違いもあるのでしょうか? テープ音は如何にもTGらしい女性の叫び声などが中心になつており、B3” Oltre La Morte / Birth And Death”ではメロディアスなピアノの独奏に、ひと塩塗すように電子音などが少しだけミックスされています。こんなリリカルなTGの曲は聴いたことないので、貴重な音源だと思います。生楽器中心なので、余計に女性の叫び声などのテープ音が生々しく感じられますが、曲名も、A2 “Catholic Sex (For Paula)”とか、扇情的な面も持っています。レコードでの入手は困難かもしれませんがらです、一度、第一期TGの最後に相応しい「意味あり気な」終末的インダストリアル・ミュージックの最終形態を聴取できると思いますよ。是非! “Oltre La Morte / Birth And Death” https://youtu.be/aAaO1UijRlg “Catholic Sex (For Paula)” https://youtu.be/xf5SScgvXoQ #ThrobbingGristle #JourneyThroughABody #WalterUlbrichtSchallfolien #IndustrialMusic #AcousticMusic #Tapes #Rome #Final #GenesisP-Orridge #CoseyFunniTutti #ChrisCarter #PeterChristopherson
Noise / Experimental Walter Ulbricht Schallfolien 不明Dr K2
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The Vibrators “Pure Mania”
皆さん、知ってますかね?The Vibratorの存在を。1976年に結成された英国パンク・バンドです。先ずはバイオグラフィーを紹介しておきますね。結成時のメンバーは、Ian 'Knox' Carnochan (Vo), Pat Collier (B), John Ellis (G), John 'Eddie' Edwards (Drs)です。彼等の最初のライブは、1976年に、Chris Speddingのサポートで100 Clubで行なわれています。彼等は、Chrisの勧めで、Mickie Mostと彼自身のRAK Recordsと契約します。そのMostのプロデュースでファーストシングル”We Vibrate”をリリースします。また 1976年10月、1977年6月、1978年2月にJohn Peel のラジオ番組BBC Radio 1用に録音しています。彼等はパンクのパイオニアとして、1977年にはRoxy Clubでヘッドライナーとしてライブを行っています。その時はThe Dronesがサポート。それ以外にもIggy Popの英国ツアーのサポートや元Mott the HoopleのIan Hunterのバックも務めています。そうして、1977年初頭にEpic Recordsと契約し、本作品でもあるファースト・アルバム”Pure Mania”をDavid Bowieの”Ziggy Stardust”ショーのサウンド・エンジニアを務めたRobin Mathewと共にプロデュースしてリリースします(私の持っているのは再発盤です)。このアルバムは英国アルバムチャートの50位に輝き、またThe Guinness Encyclopedia of Popular Musicでは常にベストパンクアルバムの50中1位に輝いています。それに続けてセカンドアルバム”V2”をリリース、この作品も英国アルバムチャート30位となり、シングルカットされた”Automatic Lover"はバンドとしては、初の英国トップ40の35位になっています。その頃、TV番組Top of Popsにも出演しています。その後、音楽界ではThe Flying Lizardsや999等のニューウェーブが台頭してきたのもあり、チャートインしたのが1回だけなので、一発屋的にみられていました。1980年代になると、John Ellis (G)はPeter Gabrielの録音に参加したり、Peter HammillのツアーのサポートやThe Stranglersのサポート→加入しています。Pat Collier (B)はSoft Boysに協力して、アルバム作製に関与しています。 Phil RamはAble Ramを結成し、2枚のシングルを出していますが、チャートインはしていません。このようにメンバーはコロコロと替わったりして、オリジナルメンバーは”Eddie”だけになり、トリオ編成になりますが、ツアーは続けています。それで、2020年になると、最初のオリジナルメンバーが再集結し、Chris Speddingの協力の元、アルバム”Mars Casino”をリリースしています。2022年1月に、Vibratorsは新シングル”He’s A Psycho”をリリース。更に7月には、Knox, Pete Honkamaki, Nigel Bennet, Eddieと言うメンツでVibrators最後のアルバム”Fall Into The Sky”リリースしたとのことです。 それで、本作品の内容ですが、全編、アゲアゲのパワー・ポップな曲で、小気味良いナンバーが詰め込まれています。また曲名からしか分かりませんが、政治的と言うよりももっとポップで日常的な内容と思われます。しかしながら、あの時期独特の閉塞感を破ろうとするかのようなアップ・テンポな曲が多いのも、未だに色褪せない魅力だと思います。なので、もし、皆さんが極上のパワー・ポップを聴きたいのであれば、この作品はお勧めしますよ。是非是非、聴きてみて下さい。 クレジット曲順 A1 “Into The Future” (2:17) A2 “Yeah Yeah Yeah” (1:17) A3 “Sweet Sweet Heart” (2:37) A4 “Keep It Clean” (2:55) A5 “Baby Baby” (3:40) A6 “No Heart” (1:50) A7 “She's Bringing You Down” (2:23) B1 “Petrol” (2:06) B2 “London Girls” (2:30) B3 “You Broke My Heart” (3:30) B4 “Whips & Furs” (2:11) B5 “Stiff Little Fingers” (2:16) B6 “Wrecked On You” (1:29) B7 “I Need A Slave” (1:42) B8 “Bad Time” (1:57) https://youtu.be/nyk2rMKBlvk?si=FN4u_ik76tXS56qt #TheVibrators #PureMania #EpicRecords #Repertoire #FirstAlbum #Punk #PowerPop #Knox #PatCollier #JohnEllis #JohnEddieEdwards #SecondWaveOfPunkRock
Punk Rock / Power Pop Repertoire / Epic (CBS) 不明Dr K2
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Clock DVA “2nd”
やっぱり探しちゃうよね。と言う訳で、Clock DVAの再登場です。これ、Discogs見ると、6枚組LPなんですが、私が入手したのは2枚組でした。これはレーベルが特別にプレスし直した作品みたいです。Clock DVAについては、前回、紹介しましたので、ここでは簡単に。1978年に英国Sheffieldにて、Adolphus "Adi" NewtonとSteven "Judd" Turnerによって結成されています。この時のメンバーはAdiに加えて、Judd Turner (B), David J. Hammond (G), Roger Quail (Drs), Charlie Collins (Sax, Clarinet)でした。Adiらは元々実験的電子音楽をやりたかったので、当初よりテープループやEMS Synthi Eなども使ってました。前回紹介したアルバム”Thirst”の後、彼等はミュージック・コンクレートも取り入れ、インスト・シングル”4 Hours”をリリースしますが、1981年に、Juddがドラッグのオーバードーズで死亡しています。それで、バンドはその年に一度解散しています。Adiは再度メンバーを集めて、1983年に、アルバム”Advantage”をリリース。音楽評論家からは「最もパワフルなダンスミュージックだ」と肯定的な評価を得ます。1983年に欧州ツアー後、Adiはより実験的な音楽を目指す為に、The Anti-Groupを結成します。1987年に、AdiはClock DVAを再活性化する為に、Dean DennisとPaul Browseを加入させて、The Anti-Groupで得たサンプリングを使う為にPCを使用し始めます。批評家は「Cyberpunkの先駆者」と評しています。そうして、1989年にアルバム”Buried Dreams”をリリース。一方で、DeanとPaulが脱退しましたので、Robert E. Bakerが加入し、1992年に、アルバム”Man-Amplified“をリリース。Adi Newton, Robert E. Bakerに加えて、Andrew McKenzie (Haflar Trio)とAri Newtonと共に欧州ツアーをやっています。独逸のVinyl On Demandがアンソロジー・アルバム”Collective”とボックスセットを1994年にリリースしています。この頃、Adiは、Brian Williams, Graeme Revell (SPK)とPaul Haslingerとコラボし始めますが、Clock DVAやAdiの名前は音楽シーンで一時期聞かれなくなります。2008年に、AdiはまたもやClock DVAを再活性化する為に彼のパートナーJane Radion Newtonと共に活動を始めます。2011年になると、Adi, Maurizio "TeZ" MartinucciとShara Vasilenkoと言うラインナップで、欧州の様々な電子音楽フェスやライブハウスでライブ活動を始めます。その一方で、独逸のVinyl On Demandが、2012年1月に、1978-1980年のClock DVAの曲をコンパイルした”Horology”をリリースするとアナウンスしました。そして、今でも、Clock DVAは活動中です。 やっとここまできました。そのVinyl On Demandは確かに6枚組をリリースしていますが、本作品は、その中の2枚のLPを抜粋したもので、オフィシャル・リリースです。この時のメンバーは、Adi Newton (Vo, Tapes, EMS Synth), Steven J. Turner (B), David J. Tyme (G), Simon E. Kemp (Synth, Electronic Perc)となっています。単調なリズムボックスと言うかパルスに合わせて、ベースとシンセ或いはギターがつま弾かれ、それにAdiの焦燥感溢れるVoが乗ると言う構成で、当時としてはシンセが前面に出ていたり、シンセのパルス音に合わせての演奏は珍しかったのでは?と思いますね。まあ工業都市Sheffieldのバンドで、かつCabsとも関係があったり、AdiがThe Futureのメンバーだったりしたこともあると考えると、地味ながら、こう言う音楽を作ることになったのも分かりますね。そう、ちょうど初期Human Leagueと初期Cabsの良いとこ取りみたいな(こう言っちゃうと元も子もないないんですが)。両者と比べると、ギターやベースも使っているので、その分、「人間味(?)」と言うか「慕情(?)」を感じるんですが、それでもAdiのVoは覚め切ってるようで、時代と言うか当時の状況を感じさせられます。そんなClock DVAの初期の音楽を聴いて、1980年前後のSheffieldの音楽シーンを想像してみて下さい。 A面のみ https://youtu.be/0trGVy6EefE #ClockDVA #2nd #VinylOnDemand #Industrial #AdiNewton #JuddTurner #TheFuture #CabaretVoltaire #Experimental
Post Punk / Experimental Vinyl on Demand 不明Dr K2
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Throbbing Gristle “Dimensia In Excelsis (Live In L.A. 22.5.1981)”
漸く辿り着きました。インダストリアルの始祖TGことThrobbing Gristle(「脈打つ男根」の意)の登場です。しかもあのパワ・エレの総本山Tesco Organisationからです。でもこれはTG側からはアン・オフィシャル扱い、つまりブート扱いです。TGのバイオグラフィーは長いですし、私が語るのも憚られますが、少しだけ紹介しておきます。1975年に、パフォーマンス集団COUM Transmissionを母体に、Genesis P-Orridge (Vo, B, violin, G), Cosey Fanni Tutti (G, Cornet, Vo, Tapes) Peter “Sleezy” Christopherson (Tapes, Sampler, Cornet, Electronics) 及びChris Carter (Synth, Tapes, Electronics, Programming) の4人で、Kingston upon Hullで結成されました。もう少し正確に言うと、1976年10月に「売春展」と名付けられたCOUMの展覧会(公費を使って、Coseyの使用済みタンポンを陳列した問題展)をやった時が、正確なデビューと成ります。そして1978年にファーストシングル "United/Zyklon B Zombie"とファーストアルバム“The Second Annual Report”を1977年に自身のレーベルIndustrial Recordsよりリリースしました(その前に”The Best of …vol.1”と”The Best of …vol.2”と言うカセット作品を出しています)。その歌詞や内容は、神秘主義、極端な政治的思考、セクシャリティ、社会の暗部や地下組織/文化及び言語の象徴的操作などで埋め尽くされていました。あと、音楽的にも、ドラムレスで、しかもテープ操作だけ担当するメンバーがいるなどかなり変わっており、また”24 Hours”と言う26本組みカセットからなる途方もない限定50部・アタッシュケース入りの作品も1982年に出しています(この後に ”TG24”なる24枚組みCDを2002年にMuteの傘下のGray Areaから出しています)。1981年に一度、解散しますが、2004年に復活しましたが、Sleezyが2010年11月24日に亡くなったことで、その年をもってTGを終了し、また、復活に際して、肉体改造を行っていたGenesisも2020年3月14日に亡くなってしまいました。これで半分のメンバーがいなくなり、TGは永遠に封印されてしまいました。今回はバイオグラフィーはここまでにしておきます。 本作品は、TGが初めてアメリカで行ったライブ音源からなります。そのライブは、L.A.のVeterans Auditriumで、1981年5月22日で行なわれました。マスタリングの所為か音は生々しくて、怪しげな雰囲気がプンプンしますね。個人的にはTGはライブ音源の方が良いと思っているので、このリリースはナイスですね。正しく「TG、アメリカを占拠する」です。流石、Tesco Org.ですね、このアメリカ初ライブに目をつけたのは。正しくカオスを体現しています。インダストリアルからパワ・エレが分派してきた訳ですから、パワ・エレの始祖はインダストリアルになりますし、そのまた始祖はTGになると言うことでしょう。そんな生々しくもカオスなライブ音源を聴くことをお勧めします。 https://youtu.be/iw4tgz_lM-k #ThrobbingGristle #DemensiaInExcelsis #Live #LA #米国初ライブ #Industrial #TescoOrganisation
Industrial Tesco Organisation 不明Dr K2