Nikolaus Utermöhlen “Karlsbad”

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君は、Die Tödliche Doris (「ディー・テードリッヒェ・ドーリス」と発音、「致死量」と「ドリス(女の子名前)」を組み合わせた造語「致死量ドーリス」とも言われる。以下Dorisと表記)を知っているか? と始まる訳ですが、このDorisの創設者にしてメンバーだったのが、今回、ご紹介するNikolaus Utermöhlen (「ニコラウス・ウーテンメーレン」と発音)で、作品”Karlsbad”で、唯一のソロアルバムです。先ず、その前に、Dorisを含めたUtermöhlenのバイオグラフィーをご紹介しておきます。先ず、Dorisは、Wolfgang MüllerとNikolaus Utermöhlenによって、1980年に西Berlinで結成されたパフォーマンス&音楽集団で、1987年に解散しています。メンバーは当初、Chris Dreierもいましたが、Käthe Kruse, Dagmar Dimitroff, Tabea Blumenscheinも加わったりしますが、最終的には、Wolfgang MüllerとNikolaus UtermöhlenとKäthe Kruseのトリオに落ち着きます。しかしながら、元々は、ダダイスト集団Die Geniale Dilletanten (「天才的ディレタント」の意味で、スペルミスもありますが、それで良しとしてそのまま使われている)の一部と、彼等は、ニューウェーブとポスト・パンクの合体を目指して活動をしていた訳です。その中から、Dorisを始め、Einstürzende NeubautenやMalaria!と言うバンドが出来てきた訳です。ここら辺の経緯などは、Dorisのリーダー/著者/音楽家/アーティストであるWolfgang Müllerが、Merve出版から”Geniale Dilletanten”の本を書いていますので、参考にしてみて下さい。それで、Dorisは、どちらかと言うと、パフォーマンス・グループで、音楽自体はアヴァンギャルドなものが多いですが、中にはポップなものもあります。観客達は、次のパフォーマンスでは、Dorisがどうやって、彼等を期待を裏切ってくれるのか?を楽しみにしていたと言う噂がある程です。また、レコード作品も特異なものがあり、例えば “Chöre & Soli(「合唱とソロ」の意味)”は8枚の小さなソノシートと再生機械がセットとなって売られており、また、"Unser Debüt (「我々のデビュー」の意味)" と "Sechs (「第六作品」の意味)" は独立した作品であるのですが、同時に再生することによって別のアルバムとして成立するようになっており、これらは2枚組として日本盤もリリースされています。1988年11月に来日しており、その来日記念盤が、それに当たります。Utermöhlenについてですが、Dorisでは、彼はベース、クラリネット、アコーディオンを担当していましたが、それ以外にも、実験的なオープンリールの使用や壊れたカセットテープ或いはプリペアード楽器なども担当していました。彼は、音楽活動以外にも、視覚芸術にも11年間程携わってきており、彼の作品一覧として、Vice Versa社より"Hier zu sein ist so viel weiter Weg als hier zu sein - Bilder 1989 - 1995"と言う本が出版されています。1987年にDorisは解散しますが、その後、彼は絵を描いたり、映像作家Heinz Emigholzの映像作品の為に音楽を作ったりしています。そんな才能溢れるUtermöhlenですが、1996年5月17日に、38歳と言う若さで、AIDSにより他界しています。大体、これが、Utermöhlenの略歴となります。
それで、今回、ご紹介するUtermöhlenのソロアルバム”Karlsbad”ですが、Doris自身のレーベルから1989年にリリースされていますが、私のは再発盤で、2023年にベルギーのレーベルLa Scie Doréeから再発されたものです。ここでは、Utermöhlenは、Tania StöcklinとCyrille Rey-Coquaisの映画”Georgette Meunier”の為に作られた作品として、クラリネット、アコーディオン、パーカッション、ドラム、リコーダー、ヴァイオリン、ギター、オルガンを使ったアコースティックな音から成る奇妙なウィットを感じることができる23曲を作製・録音しています。当然、「まとも」な音楽ではありませんが、サントラと言うこともあって、「雰囲気」の音楽と言う感じで、まとめています。それでも、中には、如何にもな「楽曲」と呼べそうなものも含まれてはいます。しかし、何ともテクが無いのがモロ分かる程の演奏なんですが、そこが、また面白いと言うか、味があると言うか、如何にもDorisっぽいと言うかで、評価は分かれるでしよう。そんなUtermöhlenのソロアルバム、一度は聴いてみては如何ですか❗️きっと、今の世の中(現代)では無くなった音楽を聴くことが出来ますよ❗️再発してくれたベルギーのLa Scie Doréeに大大大感謝です!因みに、このレーベルはAf Ursin名義でも活躍しているTimo Van Luijkが2000年に設立したものです。なので、音響派のリスナーさんは要注目ですよ!

N.Utermöhlen, Max Müller, 3xDimitroff “Das Leben des Sid Vicious” (1981)
https://youtu.be/BZU4AVMjVsU

Bandcampにフルアルバムがありましたので、URLを貼っておきます。
https://nikolausutermohlen.bandcamp.com/album/karlsbad

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