Minimal Compact “Raging Souls”

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さあさあ、来ましたよー。ベルギーの優良自主制作レーベルCrammed DiscsからリリースされていたイスラエルのバンドMinimal Compactを紹介します。今回は手持ちのサード・アルバム”Raging Souls”です。その前に、先ず、Minimal Compactのバイオグラフィーを書いていきたいと思います。1980年から1987年の間に、欧州のロックシーンで重要な立ち位置にあったのがこのMinimal Compactです。最初、Malka Spigel (B, Vo), Samy Birnbach (Vo, Lyrics), Berry Sakharof (G, Kbd, Vo)は、イスラエルのTel Avivで音楽を始めますが、1981年には、彼等自身の街の雰囲気(多分、殺伐としていたのかも?)から逃れるようにして、蘭Amsterdamに移住します。ただ、この3人の中で、音楽がまともに出来たのはSakharofだけで、Spigelはベースを練習中で、Birnbachは、DJ Morpheusとしてはまだ有名でしたが、作詞に漸く手を出した音楽ファンと言う感じでした。そんな彼等が家で2曲入りのデモテープを作り、ベルギーのCrammed Discsに送ります。Crammed Discにとっても最初に契約したグループの一つとなります。それで、彼等はベルギーの片田舎の小さなスタジオで、7㌅シングルの録音をやっている時に、自分達の可能性に目覚め、セルフ・タイトルのミニ・アルバムを作り上げてしまいます。このミニアルバムは、中近東的なテイストとポスト・ニューウェーブな音楽であり、非アングロ・アメリカン的なスタイルのヴォーカルが特に目立っていました。それは、異なる系統のダンスミュージックと後に熱狂させられるワールド・ミュージックの両方を兼ね備えていました。そして、1982年には、蘭のバンドMecanoのDirk PolakとCrammed DiscsのMarc Hollanderのプロデュースによって、Londonのスタジオで、セカンド・アルバム”One By One”を作製し、リリースします。その時に、Amsterdamの蘭人Mac Franken (Drs)が加わり、漸く、バンドらしくなります。つまり、ライブが出来るようになり、よりツアーを充実させるように活性化します。1984年には、Gilles MartinとTuxedomoonのPeter Principleをプロデューサーに迎え、アルバム”Deadly Weapons”を録音しますが、この作品は最も実験的なアルバムになります。この作品の”Next One Is Real”は、Guerilla labelのDick O’Dellによるリミックスで、クラブヒットとなります。更に、このアルバムからは、5人目のメンバーとして、Rami Fortis (G, Vo)が加わりますが、彼は既にイスラエルのTel Avivでは、最も革新的なポストパンク・ミュージシャンとしてアルバム”Plonter”も出している実力者です。それで、実は、Fortisは最初、Spigelと2人でコラボ・カセット”7 Codes”を宅録し、Amsterdamのインディー・ショップで売っていたそうです。英国では、NMEでの良好なレビューが載ったり、John Peel Sessionに出たりはしたものの、決して成功してはいませんでしたが、彼等は、Palermoから京都までとありとあらゆるところにツアーで回っています。1985年には、本作品であるアルバム”Raging Souls”を元WireのColin Newmanをプロデューサーに迎えて、リリースしています。なお、アートワークはRussel Millsによるものです。その結果、本作品は最もポップなアルバムに仕上がり、ライブでも良く演奏される曲が多いです。この時、Minimal CompactはベルギーBrusselsで活動しており、「国際的インディー・シーンのハブ」としても機能していました(Tuxedomoon, Bel Canto, Colin Newman, Sonoko, Gilles Martin, Benjamin Lewなどを仲を取り持ったらしい)。この後、彼等はLed Zeppelinの”Immigrants Songs “のカバーをイスラエルのUri Batakと共に12㌅EPでリリース。そして、1987年に最後のスタジオ・アルバム”The Figure One Cuts”をCocteau TwinsやDepeche Modeなどを手掛けていたJohn Fryerのプロデュースで作製します。また、Crammed Discsのインスト・アルバム"Made To Measure"シリーズにアルバム”The Lowlands Flight”で参加しています。彼等は米国での成功を望んでいましたが、結局は米国では、ビザの関係などで色々な障害があり、成功はしなかったです。それで、彼等は、1987年に、ライブ・アルバム”Minimal Compact Live”をリリースし、1988年に解散します。この後に再結成もするのですが、今回はここまでにします。
それで、本作品”Raging Souls”の内容ですが、先ず、参加メンバーを紹介します。Samy Birnbach (Vo), Malka Spigel (Vo, B, Kbd), Rami Fortis (Vo, G)
Max Franken (Drs), Berry Sakharof (G, Kbd, Cello)がバンドメンバーで、それに加えて、Luc Van Lieshout (Brass, Melodica, Glockenspiel), Colin Newman (G, Kbd), Marc Hollander (Perc)もゲストで参加しています。それで、基本は骨太のビートを持ったダンサブルな音楽なのですが、そこに中近東風メロディのヴォーカルやシンセが乗ると言う音楽が何ともユニークです。特に、Birnbach が書いた曲で、A1 “The Traitor”, A3 “This World”やB3 “Sananat”(この曲はイスラエル語の歌詞?)なんかはその傾向が強いです。タイトル曲であるB1 “Raging Souls”なんかは、後の新生Wireを想起させるような良質なポップ・ミュージックになっていますし、他の曲でも、ダンサブルなベースラインがあり、そこら辺はNewmanのプロデュースの影響かなとも思います。A2 “My Will (Is Stronger Than Me)”も女性コーラスと柔らかいシンセの音が効果的なダンス・ミュージックですね。A4 “When I Go”のしっとりとしたスローなバラードも良いです。最後の曲B4 “Shouts & Kisses”はインスト曲なんですが、コーラスとかはちょっぴり中近東風ですね。また、曲自体もイスラエルの街角の情景を想起させる雑然とした仕上がりになっています。そんなMinimal Compactの魅力の詰まった作品ですので、欧州のロック/ポップ・シーンに興味のある方は聴いてみて下さい❗️

https://youtu.be/KzVbTWKbVDU

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