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Hermine “The World On My Plates”
今回は、ベルギーの歌姫Hermine (「エルミーネ」或いは「エルミン」と発音?)のファースト・ミニアルバム”The World On My Plates”をご紹介しましょう。これも発掘ものです。先ずは、彼女のバイオグラフィーから書いてみたいと思います。Hermineの本名はHermine Demorianeで、仏語シンガー/作家で、その前には綱渡り師でもあります。もう少し詳しく書きます。1960年代には、彼女は、ヒッピー・マガジンInternational Timesに記事を投稿しており、1970年代初頭には、サーカスとかで綱渡りをする仕事をしており、COUM Transmissionsとかとも共演していたり、演劇Copi作の演劇”Goodbye Mister Freud”では、Chaosの役で、出演し、歌ったりしています。彼女が公で初めて歌ったのは、1974年で、綱渡り中に歌ったNick Loweの"I Won't Make It Without You"らしいです。また、1978-1980年には、彼女は、3作の演劇の台本を書いています(“Lou Andréas Salomé”と“He Who Is Your Lord Is Your Child Too”及び”The Knives Beside the Plates”)。1976年には、彼女はThe Subterraneans (Nick KentとプレThe Damnedメンバー)と共に2回程、コンサートで競演して、更にNick KentとPeter Perrett (The Only Ones)と一緒に録音までして、その音源はシングル盤としてもリリースされています。このシングルに興味を持ったのが、David Cunningham (Flying Lizards)で、それが縁で、彼女のファースト・シングル”Torture”を出しています。また、1980年10月〜1981年まで、Sohoでの老舗カフェシアターThe Comic Stripで幕間の音楽を担当したりもしており、それに加えて、彼女は、パフォーミング・アートを企画したり、出演したりしています。1982年には、John Maybury作”Court of Miracles (奇跡の宮殿)”に出演、また1986年にもLondonの映像作家Anna Thew作”Hilda Was a Goodlooker”にも出演しています。その一方で、ベルギーのレーベルCrammed Discsが、彼女の6曲入りミニアルバムで本作品でもある”The World On My Plates”をリリースしていますが、ジャケには、Richard Rayner-Canhamによる有名な写真が使われています。その後2年間は、彼女はツアーをしており、1984年7月に、セカンド・アルバム”Lonely at the Top”を自身のレーベルSalomé Recordsよりリリース。これと対になるアルバム”Who'll Come Walking”は、スイスで録音をし直して、2008年にリリースされています。1984年以来、彼女は殆ど録音の時間が取れませんでしたが、TV番組French & SaundersとAbsolutely Fabulousの視聴者は、彼女が仏語アクセントで語るのを聞いたり、観たりしていたとのこと。また、2008年5月の仏のl'Oiseでの自転車レースの時や同年6月のLondonのGlassHouseでのAndrew Loganのサマーセールの時に、彼女が歌ったとのことです。 Hermineの活動歴は以上ですが、調べてみると、意外とアクティブで自由奔放な方でしたね。それでは、彼女のファースト・ミニアルバム”World On The Plates”の収録曲を紹介したいと思います。なお、この作品は、同時に日本盤もリリースされており、また、2006年に英国のLTM RecordingsによってCDとして再発された際には、大幅に未発表曲が追加されています(下記のcomplete full albumはそう言う意味です)。この作品には、Hermine (Vo)の他に、Graham Painting (Cello, B, Perc [A2,A3,B1]), Simon Brint (Piano, Organ [A2, B1]), Ian Kane (Piano, Organ, G, Perc [A1, A3]), Ellie Ling (Cello [A1]), Rod Melvin (Piano [B1, B2]), Dave Brooks (Sax [A2]), Max Paddison (Piano [B3])が参加しています。 ★A1 “Happy Holidays”は、ややエスノチックなパーカッションと繊細なピアノの調べに、Hermineの生の仏語訛りのVoが乗る心地良い曲です。 ★A2 “The Thrill Is Gone”は、シャレ乙な雰囲気のSaxとピアノから成る「大人」な曲で、シャンソン風にHermineが歌い上げています。 ★A3 “Waiting”では、教会音楽風のオルガンをバックに、Hermineがシアトリカルに歌っています。後半はピアノやチェロのバックになります。 ★B1 “I Won't Make It Without You”でも、リリカルなピアノとチェロをバックに、不安定なHermineが歌う歌が返って沁みますね。ベルギーのNico? ★B2 “Too Many Men In My Life”も、遊び心のある、やや陽気なピアノとHermineのシアトリカルな歌が堪能できます。 ★B3 “Blue Angel”は、ピアノとHermineの歌から成りますが、敢えてホワイトノイズを入れて不鮮明に録音している為、終戦直後のラジオを聴いているようです。 Hermine自身は、決して歌が上手いと言う訳ではなく、何か聴き入ってしまうようなマジックが彼女にはあるように思えます。多分、それまでに、彼女が経験したことが影響しているのでは?と思います。それと、彼女の声質がややハスキーなのも魅力だと思います。なので、偶には、こう言ったラウンジっぽい音楽も良いのではないでしようか❗️ A1 “Happy Holidays” A2 “The Thrill Is Gone” A3 “Waiting” B1 “I Won't Make It Without You” B2 “Too Many Men In My Life” B3 “Blue Angel” B2 “Too Many Men In My Life” https://youtu.be/5pRoABoA3e8?si=Bl8f_KWhlDszwC0L [complete full album from reissued CD] https://youtube.com/playlist?list=PLMc2YZl8J2147Cwei9ykF4odq4ks6L0iq&si=vCPpuU1iULBtiDpl #Hermine #TheWorldOnMyPlates #CrammedDiscs #FirstAlbum #Mini-Album #Belgium #Lounge #NewWave #FemaleVocal #Singer #Actress #Writer #TightropeWalker #LondonBohemian #GrahamPainting #SimonBrint #IanKane #EllieLing #DaveBrooks #RobMelvin #MaxPaddison #HermineDemoriane
Lounge / New Wave Crammed Discs 不明Dr K2
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Minimal Compact “Raging Souls”
さあさあ、来ましたよー。ベルギーの優良自主制作レーベルCrammed DiscsからリリースされていたイスラエルのバンドMinimal Compactを紹介します。今回は手持ちのサード・アルバム”Raging Souls”です。その前に、先ず、Minimal Compactのバイオグラフィーを書いていきたいと思います。1980年から1987年の間に、欧州のロックシーンで重要な立ち位置にあったのがこのMinimal Compactです。最初、Malka Spigel (B, Vo), Samy Birnbach (Vo, Lyrics), Berry Sakharof (G, Kbd, Vo)は、イスラエルのTel Avivで音楽を始めますが、1981年には、彼等自身の街の雰囲気(多分、殺伐としていたのかも?)から逃れるようにして、蘭Amsterdamに移住します。ただ、この3人の中で、音楽がまともに出来たのはSakharofだけで、Spigelはベースを練習中で、Birnbachは、DJ Morpheusとしてはまだ有名でしたが、作詞に漸く手を出した音楽ファンと言う感じでした。そんな彼等が家で2曲入りのデモテープを作り、ベルギーのCrammed Discsに送ります。Crammed Discにとっても最初に契約したグループの一つとなります。それで、彼等はベルギーの片田舎の小さなスタジオで、7㌅シングルの録音をやっている時に、自分達の可能性に目覚め、セルフ・タイトルのミニ・アルバムを作り上げてしまいます。このミニアルバムは、中近東的なテイストとポスト・ニューウェーブな音楽であり、非アングロ・アメリカン的なスタイルのヴォーカルが特に目立っていました。それは、異なる系統のダンスミュージックと後に熱狂させられるワールド・ミュージックの両方を兼ね備えていました。そして、1982年には、蘭のバンドMecanoのDirk PolakとCrammed DiscsのMarc Hollanderのプロデュースによって、Londonのスタジオで、セカンド・アルバム”One By One”を作製し、リリースします。その時に、Amsterdamの蘭人Mac Franken (Drs)が加わり、漸く、バンドらしくなります。つまり、ライブが出来るようになり、よりツアーを充実させるように活性化します。1984年には、Gilles MartinとTuxedomoonのPeter Principleをプロデューサーに迎え、アルバム”Deadly Weapons”を録音しますが、この作品は最も実験的なアルバムになります。この作品の”Next One Is Real”は、Guerilla labelのDick O’Dellによるリミックスで、クラブヒットとなります。更に、このアルバムからは、5人目のメンバーとして、Rami Fortis (G, Vo)が加わりますが、彼は既にイスラエルのTel Avivでは、最も革新的なポストパンク・ミュージシャンとしてアルバム”Plonter”も出している実力者です。それで、実は、Fortisは最初、Spigelと2人でコラボ・カセット”7 Codes”を宅録し、Amsterdamのインディー・ショップで売っていたそうです。英国では、NMEでの良好なレビューが載ったり、John Peel Sessionに出たりはしたものの、決して成功してはいませんでしたが、彼等は、Palermoから京都までとありとあらゆるところにツアーで回っています。1985年には、本作品であるアルバム”Raging Souls”を元WireのColin Newmanをプロデューサーに迎えて、リリースしています。なお、アートワークはRussel Millsによるものです。その結果、本作品は最もポップなアルバムに仕上がり、ライブでも良く演奏される曲が多いです。この時、Minimal CompactはベルギーBrusselsで活動しており、「国際的インディー・シーンのハブ」としても機能していました(Tuxedomoon, Bel Canto, Colin Newman, Sonoko, Gilles Martin, Benjamin Lewなどを仲を取り持ったらしい)。この後、彼等はLed Zeppelinの”Immigrants Songs “のカバーをイスラエルのUri Batakと共に12㌅EPでリリース。そして、1987年に最後のスタジオ・アルバム”The Figure One Cuts”をCocteau TwinsやDepeche Modeなどを手掛けていたJohn Fryerのプロデュースで作製します。また、Crammed Discsのインスト・アルバム"Made To Measure"シリーズにアルバム”The Lowlands Flight”で参加しています。彼等は米国での成功を望んでいましたが、結局は米国では、ビザの関係などで色々な障害があり、成功はしなかったです。それで、彼等は、1987年に、ライブ・アルバム”Minimal Compact Live”をリリースし、1988年に解散します。この後に再結成もするのですが、今回はここまでにします。 それで、本作品”Raging Souls”の内容ですが、先ず、参加メンバーを紹介します。Samy Birnbach (Vo), Malka Spigel (Vo, B, Kbd), Rami Fortis (Vo, G) Max Franken (Drs), Berry Sakharof (G, Kbd, Cello)がバンドメンバーで、それに加えて、Luc Van Lieshout (Brass, Melodica, Glockenspiel), Colin Newman (G, Kbd), Marc Hollander (Perc)もゲストで参加しています。それで、基本は骨太のビートを持ったダンサブルな音楽なのですが、そこに中近東風メロディのヴォーカルやシンセが乗ると言う音楽が何ともユニークです。特に、Birnbach が書いた曲で、A1 “The Traitor”, A3 “This World”やB3 “Sananat”(この曲はイスラエル語の歌詞?)なんかはその傾向が強いです。タイトル曲であるB1 “Raging Souls”なんかは、後の新生Wireを想起させるような良質なポップ・ミュージックになっていますし、他の曲でも、ダンサブルなベースラインがあり、そこら辺はNewmanのプロデュースの影響かなとも思います。A2 “My Will (Is Stronger Than Me)”も女性コーラスと柔らかいシンセの音が効果的なダンス・ミュージックですね。A4 “When I Go”のしっとりとしたスローなバラードも良いです。最後の曲B4 “Shouts & Kisses”はインスト曲なんですが、コーラスとかはちょっぴり中近東風ですね。また、曲自体もイスラエルの街角の情景を想起させる雑然とした仕上がりになっています。そんなMinimal Compactの魅力の詰まった作品ですので、欧州のロック/ポップ・シーンに興味のある方は聴いてみて下さい❗️ https://youtu.be/KzVbTWKbVDU #MinimalCompact #RagingSouls #CrammedDiscs #PostPunk #PopMusic #Hub #Israel #Amsterdam #Brussels #Middle-EastTaste #Danceable #SamyBirnbach #MalkaSpigel #RamiFortis #MaxFranken #BerrySakharof #ColinNewman
Post Punk Crammed Discs 不明Dr K2
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Zazou, Bikaye and CY1 “M’Pasi Ya M’Pamba”
これも謎物件。いつ買ったか?何故買ったか?よく分からないブツです。それで色々調べました。先ず、これはHector Zazou (ZNRの片割れにして、仏人プロデューサー), そしてコンゴ人ヴォーカリストのBony BikayeそしてCY1ことGuillaume Loizillon (仏の音楽マッドサイエンティスト?)によるワールドミュージック・アルバム”Noir Et Blanc”に収録されている曲のリミックス盤であると言うこと、そして、A面”M'Pasi Ya M'Pamba”にはMarc Holland & Gilles Martinが、B1“Eh! Yaye“にはVicent Kenisが、そしてB2”Dju Ya Feza”にはSimon Boswellがリミキサーとして名を連ねていたと言うことがやっと理解できました。がしかし、元のアルバムを聴いていないので、こりゃあ、ダメだとも分かってしまいました。因みに、元のアルバムは、Marc Hollander (Clarinet), CY1 (Electronics), Vincent Kenis (G), Chris Joris (Perc), Fred Wallich (Sax), Fred Frith (Vln)が参加しており、Hector Zazouもアレンジなどで参加しています。またB2の元曲ではJean-François Jones Jacobがドラムで参加していました。Zazouはアヴァン・ポップ・デュオZNRで2枚のアルバムを出した後、ワールド・ミュージック方面にシフトしていき、1990年代以降は、コンセプト・アルバムとして作品をリリースしています。その一連の流れとして、本作の元アルバムが作られたのであろうと思います。残念ながら、元のアルバムを私は未聴なので、余り参考にならない紹介しかできませんが、簡単に感想を書いておきたいと思います。A面はタイトル曲ですが、アフリカ系リズムにシンセによるベースラインが盛り上げていて興味深いです。Zazouらはこう言う、土着的なダンス曲にシンセなどを組み合わせていたのかな?と想像します。またVoの処理がダブとは言えないですが、ディレイを噛ましているのもポイント高いです。あとハーモニカ(?)の挿入もアクセントになっています。B1でも独特のリズムとアフリカン・ソウルな字余りなVoにシンセがバックを固めています。B2はシーケンサーと生パーカッションとの絡みが面白いです。こう言う音楽を聴いていると、アフリカン・バンバータがKraftwerkを「ファンキー」と言ったのが分かる気がしますね。今度は元のアルバム”Noir Et Blanc”を聴いてみたくなりました。因みに、リリースはベルギーのプログレ・ポップの総本山Crammed Discsです。 ”M'Pasi Ya M'Pamba” https://youtu.be/lioAfXZ8Oyo #HectorZazou #BonyBikaye #CY1 #M’PasiYaM’Pamba #Eh!Yaye #DjuYaFeza #Remix #NoirEtBlanc #MarcHolland&GillesMartin #VicentKenis #SimonBoswell #CrammedDiscs #WorldMusic #Electronics
Remixed World Music Crammed Discs 不明Dr K2