包帯の巻き方図解@昭和初期の看護教科書

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最近、割と身近で外科手術を受けた方があった。そろそろやらねばならない時期で、ご商売もCOVID-19パンデミックのあおりでお休み中、ということもあってちょうどよいタイミングでの施術、ということだったようだが、でも夏至も前から30℃超えの暑さに見舞われている最中に包帯ぐるぐる巻きだなんて、考えただけで気が遠くなる。

さて、今回は日本赤十字社傘下の病院などで働く看護師のために編まれた、昭和10年代の看護法の本に載っている包帯の巻き方図解をちょこっと眺めてみることにしよう。ひと口に「包帯」といっても円柱状に巻いてある細長いヤツだけじゃなくて三角巾とか、副え木やギプスなどを使ったのとかいろいろあるわけだが、最も基本の「卷軸帶」、つまりガーゼや木綿布を細く切って巻いたものについて解説した章の中からいくつか拾ってみた。巻軸包帯は患部を固定するのが目的だから伸縮性のある材料は使えず、巻き方がまずいと血行が停まってしまったり、緩んできてしまったりしてたちまち困ったことになる。きちんと巻けるようになるのに習熟を要するのは今も昔もかわりない。しかし当時は伸縮包帯とか網包帯とか粘着テープとかはなかったから、はるかに限られた材料でいかにそのときの状況にあわせて巻くか、という判断も含めて、今以上に難しい部分があったに違いない。

現在使われている巻き方やその呼び名などと見較べてみると、ほぼ変わっていないことがわかる。
https://www.kango-roo.com/learning/5601/
http://www.jhpia.or.jp/pdf/news69.pdf
こうした巻く順番などの細かい要領は、今でこそ誰にでも容易にアクセスできるけれども、かつてはこうした医療関係者向けの専門書でもなければ見られなかった。それはさておき、この手の教科書で最も早いものは明治22年(1889年)初版の看護教程書だが、巻き方は違わないように見えるもののここまで細かくは解説されていない。そしてモデルになっている実演さん方にしても、いかにも当時の洋書にあった挿し絵を引き写してきたような西洋人(の男性)ばかりなのだが、この本ではモダンな日本人男女風に変わっている。日赤のはじまりは西南戦争の傷痍兵の惨状をみるにみかねて、という経緯だったから当初は近代戦にかかわる軍人だけが対象だったのが、だんだんと一般人へも間口がひろがっていった、という移り替わりを端的にあらわしているようにもおもえる。

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