Ruins “New Record”

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今回、ご紹介するのはRuinsです。でも、あの超絶ドラマー吉田達也氏の方ではなくて、伊の2人組の方です。このバンドは、 1978年9月にAlessandro Pizzin (Kbd)によって結成されたバンドです。その時のメンバーは、Alessandro Pizzin (Kbd)に加え、Franco Moruzzi (Drs)とGirogio Salvedego (B)及びAlex Masi (G)でしたが、その編成に、時々、マルチ奏者Alessandro Montiが加わっていました。バンドは直ぐに伊地下音楽界に参入していきます。1979年春に、Masiが脱退し、1980年初頭に、Piergiuseppe Cirannaが新たに加入します。この頃、CirannaとPizzenの中心に、実験的電子音楽バンドRuinsが活動し始めます。彼等は、Gianni VolpatoとAlessandro Rigatoによる写真やファインアートからの着想で、電子楽器とメディアミックスに焦点を当てて、オリジナルな非ダンスミュージックやダークなポスト・プログレと言ったポップソング傾倒していきます。1981年5月に、Ruinsは”Elegant Shout”や”Short Wave”と言った新曲を録音しますが、これらが彼等の丁度分岐点になります。同年6月初旬に、Ruinsは、”Restless House”と言う短編映画の劇中歌や”Short Wave”と言うビデオ作品や16mmフィルムに集中しますが、結局、これらの映像作品はうやむやになってしまいます。1980年9月4日にArt Retro Ideasが、伊のコンピ・アルバムに彼等の曲を加えたり、同年11月21日には、Ruinsのファースト・シングル”Short Wave” c/w “You’re Like A Cigarette”をリリース、共に良い評価を得ます。それで、1981年に、彼等は新曲の為にオーディションを行い、1982年初頭には、CirannaとPizzinに、Franco Moruzzi (Drs), Massimo Bertatto (B), Moreno Barbazza (Perc, Back-Vo)を加えた新ラインナップで活動します。1983年にはバンドはメジャーレーベルと契約し、シングル”Fit of Nerves” c/w “Stoll of Girls”をの同年1月に録音、リリースしています。一方、PizzinとCirannaはサイドプロジェクトを始動し、伊のプログレバンドLe Ormeのアルバム”Ad Gloriam”のカバーをやっています。しかしながら、5人体制だったバンドは突如解散してしまい、CirannaとPizzinのデュオになります。1983年に、Fricchetti Productionは、限定版のテープとブックレット作品”Side Raids”をリリースしますが、これには彼等の実験的な面とよりポップな面/未発表ソロなどの面が含まれています。その後、バンドは、2つのプロジェクトを開始します。一つはDevoやThe Residentsに影響を受けたもの、もう一つはラテン・アメリカン・ソングを電子楽器で演奏するものです。Ruinsの方はPippo Monaro (B)がヘルプで加入しますが、あくまでもデュオの形は崩しません。その後、Ruinsはドラムマシンとシーケンサーを導入し、ヘビーなKorg MS20 シンセのベースラインがリズムセクションを担当します。バンドは、independent management company (BSR)とコンタクトを取って、Ruinsをプッシュしてもらい、彼等のフィースト12㌅EPをリリースします。そんな中、ヴェネチアの画家Luigi Violaの作品とのタイアップなリリースの機会を得、アルバム”Merea / Tide”を1984年11月にリリース、BSRはこの中の”Fire!”と言う曲を米国ビデオ会社にプッシュし、ビデオが製作されます。1985年9月に全国O.I.L.協会の25周年祭の際、最早、デュオとしては演れなくなり、Ruinsは同年10月1日に解散しています。Alessandro Pizzinはその後、プロの音楽家としてHakkah and Hexのようなバンドもやりつつ、1980年代後半に新しいRuinsをも立ち上げています。Piergiuseppe Cirannaもまた違った方向性でプロとして活動してしています。
ちょっと長くなりましたが、これが伊のRuinsの略歴です。今回、ご紹介するのは、Ruinsとしては、カセットアルバムを含めると、5枚目にして最後のアルバム”New Record”です。ここでは、先述のように基本的には、CirannaとPizzinのデュオの形態を取っています。Piergiuseppe Ciranna (G, ARP Synth, B, Casiotone, Vo, Tapes, Drum Machine)とAlessandro Pizzin (Kbd, Fender Rhodes 88 e-Piano, Korg MS-20, Pizzynth, Tapes, Drum Machine)が参加しており、B5ではFranco Moruzzi (Drs)、A4ではClaudio Cerroni (Vo), B2では、Francisco Calabro (B)が客演しています。ここに収録された曲は1981年初頭〜1983年初頭に録音されたもので、その一部はかつて”Side Road”と言う限定版でもリリースされています。なお、B2 “The Try”は1981年1月のライブ音源です。全体の印象は、所謂、1980年代の欧州で見られたシンセ・ウェーブなんですが、何ともチープなところに味がありますね。ドラムマシンって言っていますが、これは一番安いDR-55でしょ(私もずっと愛用してました)? Voパートはあるものの、どちらかと言うとインスト曲が中心なのかな? それとあんまり音を重ねていないようで、スカスカなシンセウェーブですね。まあ、録音が初期のものだからと想像します。それと基本的にミニマルですが、シンセ音だけでなく、ギターやベースなんかの音も効果的に使っています。また、インスト曲が多いこともあって、シンセによるSE的な曲や、B2 “The Try”などの即興演奏的な曲(特に冒頭のピアノなど)も含まれており、全体的に短い曲が多くても、飽きさせません。どちらかと言うとA面は習作的で、B面は実験的な印象も持ちますが、世界中に溢れていたシンセ・ウェーブの一端を担っていたRuinsも聴いてみませんか❗️

A7 “I Love You”
https://youtu.be/c2fHFG__T4U

A5 “New Record”
https://youtu.be/3i9YvMGqBq0

B5 “Freak Song”
https://youtu.be/p28FpLZyWl0

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