- Kinky Musik Museum
- 2F Underground music: Germany
- Foyer Des Arts “Von Bullerbü Nach Babylon”
Foyer Des Arts “Von Bullerbü Nach Babylon”
今回は、ベルリンの鬼才デュオFoyer des Arts (フォイアー・デス・アルツ; 芸術のホアイエ)をご紹介します。Foyer des Artsは、マルチ奏者のMax Goldt (マックス・ゴルト)とGerd Pasemann (ゲルド・パーゼマン)のデュオで、両名とも、Aroma Plus (他のメンバーはSimone Mack [Kbd], Günther Donday [B], Peter Pasch [Drs])と言うバンドのメンバーでした。
それでは、Foyer des Artsのバイオグラフィーをもう少し振り下げてみます。1978年に、Max GoldtとGerd Pasemannは、ベルリンの市の雑誌の広告(メンバー募集?)を介して出会い、Aroma Plusを結成し、ライブハウスにも何度か出演して、2枚の自主制作盤(アルバム”Liechtenstein”とシングル”Jokes” / “We Don't Need Rock'n'Roll”)をリリースしています。まだこの頃は、英語の歌詞でした。それで、1981年に、Aroma Plusが解散すると、2人は、Foyer des Artsと言う「プロジェクト名」で、完全即興で制作されたファースト・ミニ・アルバム”Die Seltsame Sekretärin (ゼルトザーメ・ゼクレテリン;「奇妙な秘書」の意)”をAORからリリースします。シングル”Eine Königin mit Rädern untendra”はベルリンではちょっとしたヒットになり、これに目をつけた大手レーベルWEAが、Neue Deutsche Welleの流行りに乗っけて売り出そうし、彼等は、WEAと不当な契約を結んでしまいます。因みに、Foyer des Artsは、基本的には、Max Goldt (Vo. 作詞)とGerd Pasemann (楽器)と言う担当でしたが、アルバムによって、ゲストを沢山入れたりしています。それで、本作品でもあるセカンド・アルバム”Von Bullerbü Nach Babylon (フォン・ブラーブュ・ナッハ・バビロン;「ブラーブュ(スウェーデンの作家アストリッド・リンドグレーンによる児童書に出てくる『騒音村』のこと)からバビロンへ」の意)”をリリースし、社会現象まで引き起こした2枚目のシングル”Wissenswertes über Erlangen (ヴィッセンズヴェルテス・ウーバー・エルランゲン;「エルランゲンの興味深い事実」の意)”がチャート36位まで達し、彼等の最大のヒットになります。しかしながら、その後は、商業的な成功に中々恵まれなかったことで、2人は ZDFヒット・パレード等の、本人達には不愉快なプロモーション活動に出演せざるを得ない状況になりますが、やはり売上は改善せず、 WEA側は最終的に、1986 年までレコード・リリースを拒否、Foyer des Arts の活動を凍結しました。その一方で、WEAは、バンドとの契約を解除することはなかったので、ほぼ完成していたアルバム”Guter Reisewind (グッター・ライズヴィント)”は結局、リリースされませんでした。丁度その頃、Max Goldtはソロ活動も活発化しています。1986年にWEAとの契約が終わると、すぐさま、Foyer des Artsは、アルバム”Die Unfähigkeit Zu frühstücken (ディー・ウンフェーイッヒカイト・ツー・フリューシュトゥッケン;「朝食を食べられない」の意)”のインディー・レーベルFünfundvierzig (フュンフントフィアツィッヒ)からリリースし、再び、また高評価を得られ、1988年に、アルバム”Ein Kuss In Der Irrtumstaverne”と2枚組ライブ・アルバム”A Was Ist Super?”をリリースした後に、2010年と2011年には英国ラジオBBCのJohn Peel sessionに招待されていますが、1989年から長い間、バンドは 音信不通でした。そうして、1995年に「別れのアルバム」とされるアルバム”Die Menschen”がリリースされて、デュオとしてのFoyer des Artsは終わっていますが、その後にも2000年に、ベストアルバム”Könnten Bienen Fliegen - Das Beste Von Foyer Des Arts”がリリースされたり、Max Goldtは2019年に6枚組CDセットのセルフ・コンピレーション“Draußen die herrliche Sonne“をリリースしたりしています。因みに、1990年代には、Max Goldtは、ユーモラスな文章を書く作家として成功しています。
以上がFoyer des Artsのバイオグラフィーになります。それで、メジャー契約第一弾のセカンド・アルバム”Von Bullerbü Nach Babylon”の内容について、少しご紹介します。確認したら、英語の歌詞も数曲混じっていますね。
A面は、女性Voから始まったと思ったら、シンプルなドラムにアコースティックな楽器とBをバックに、Goldtが何か不思議な感じで歌い、途中に劇が繰り広げられるA1で始まり、Drsと言うよりも大太鼓のリズムにトロンボーンのリフや弦楽器のミニマルな旋律をバックに、Goldtがシアトリカルに歌うA2では、逆回転が所々に差し込まれています。これまたミニマルかつ朴訥としたアコースティックな演奏をバックに、女性コーラスと共に、Goldtがダルそうに歌い、やがて熱を帯びて歌うA3, 殆ど弦楽器四重奏のような演奏をバックに、段々と熱を帯びて歌うA4ですが、時にノリが良くなったりして、その差異がまた堪りません。アコースティックな直線的ビートの上で、Goldtが歌い、演じるA5はシンプルながら聴かせてくれます。ダルシマーのような音色の演奏に微かに馬の走るが如きビートが重なり、そこにGoldtが優しく歌うA6では、最後の鉄琴が良いスパイスです。
B面は、ズルズルした音のイントロから、ミニマルなリズムに乗って、弦楽器の軽やかな演奏が繰り広げられ、それと同時にGoldtも歌い上げる芝居がかったB1で始まります。ドラマチックな演奏に呼応するかのようなGoldtのVoも切ないB2ですが、間奏のティンパニ風打楽器の連打が盛り上げています。ちょっと変拍子っぽいDrsに、語り合うように歌うGoldtが楽しそうで、またサビではロッケンロー風にノリも良くなるB3, ブリキを叩いているようなリズムに時々入るリズムマシン、またその上でエキセントリックなVoと寸劇が繰り広げられるB4, そして唐突に始まる縦ノリリズムのノリの良い曲B5ですが、間奏のオルガンとかVlnがポイント高いですし、Goldtも思いっきり歌ってます。シンプルなキックに合わせて、様々な声色で、寸劇的に歌いまくるB6で本作品を締めています。
何と言っても、このアルバムは、当時ならエレクトロニクスを使う所を、敢えて使わずに、メジャーとの契約を良いことに、大胆にアコースティック楽器の演奏者を使って、自分達の音楽をやっている所でしよう。また、エキセントリックなMax Goldtの表現力もさることながら、Gerd Pasemannの作曲能力にももっと注目すべきではないかと感じました!とにかく、シンプルな曲展開なので、一度聴いたら、また聴きたくなるような中毒性を持った曲が本作品には詰まっています。久しぶりに感激したアルバムです!! 寸劇の内容までは分かりませんでしたが、「NDWなんて、どうせシンセ使って、適当に演奏しているだけでしょ?」と思っている方にこそ、聴いて欲しいアルバムです!アコースティックと言っても、トラッドとかフォークロアとは全く違うので、逆に、全電子音楽ファンにこそ聴いて欲しいです!
★A1 “Wissenswertes Über Erlangen” (4:43)
Max Goldt (Voice Actor [Reiseleiter, Touristinnenchor, Einzelne Dame], Kaffeebüchsen),
Marion Deu Ssing (Voice Actor [Schwatzende Damenwelt]), Miko Lay Czak (Voice Actor [Schwatzende Damenwelt]), Gerd Pasemann (B, G, Voice Actor [Die Wolfsburgerin] ), Turhan Gezer (Congas, Perc), Klaus Walter (Drs [Bums-klatsch Bums-klatsch]), Boris Ballin (Steel-Drs), Jürgen Scheele (Trumpet), Agnes Stein Von Kamienski (Vln), Jan Van Schaik (Vln), Ulrike König (Vln)
★A2 “Steps Into The Ministry” (3:35)
Max Goldt (Vo), Gerd Pasemann (G), Marion Deu Ssing (Back-Vo), Miko Lay Czak (Back-Vo, Timbales), Günter Gasi Friedenberg (B), Klaus Walter (Drs), Paul Gebauer (Trombone), Agnes Stein Von Kamienski (Vln), Jan Van Schaik (Vln), Ulrike König (Vln)
★A3 “Komm In Den Garten” (4:45)
Max Goldt (Zither, Perc, Vo), Gerd Pasemann (G-Solo), Marion Deu Ssing (Back-Vo), Miko Lay Czak (Back-Vo), Günter Gasi Friedenberg (B)
★A4 “Toulouse-Lautrec” (4:18)
Max Goldt (Vo), Gerd Pasemann (G), Marion Deu Ssing (Back-Vo), Miko Lay Czak (Back-Vo), Günter Gasi Friedenberg (B), Michael Krayer (Cello), Klaus Walter (Drs), Agnes Stein Von Kamienski (Vln), Jan Van Schaik (Vln), Ulrike König (Vln)
★A5 “Wolfram Siebeck Hat Recht” (1:58)
Max Goldt (Drs, Perc, Voice Actor [Frau Urban, Jens]), Gerd Pasemann (Voice Actor [Frau Dr. Biermann]).
★A6 “Little Girls” (3:12)
Max Goldt (Vo, Pixiephon, Flute), Gerd Pasemann (G, Pixiephon, Quäkophon), Turhan Gezer (Perc), Michael Krayer (Cello)
★B1 “Eine Königin Mit Rädern Untendran” (3:52)
Max Goldt (Vo, Zither), Gerd Pasemann (B, G), Harry Lyth (Conductor), Matthias Wildenhof (Cello), Michael Brehm (Clarinet), Klaus Walter (Drs), Claudia Barthel (Handclaps), Irmgard (Handclaps), Donder (Handclaps), Petra Leupold (Handclaps), Simone Mack (Handclaps), Dinah Backhaus (Vln), Jan Van Schaik (Vln)
★B2 “Olympia” (4:32)
Max Goldt (Vo), Gerd Pasemann (G, Xylophone), Günter Gasi Friedenberg (B), Klaus Walter (Drs, Timbales), Wolfgang Loos (Piano), Agnes Stein Von Kamienski (Vln), Jan Van Schaik (Vln), Ulrike König (Vln)
★B3 “Trends” (3:24)
Max Goldt (Vo), Gerd Pasemann (G), Nino Hiemann (B), Hans Schumann (Drs), Agnes Stein Von Kamienski (Vln), Jan Van Schaik (Vln), Ulrike König (Vln)
★B4 “Familie Und Beatmusik” (1:45)
Max Goldt (Voice Actor [Vater, Sohn], Perc), Gerd Pasemann (G, Voice Actor [Mutter]), Günter Gasi Friedenberg (B, RhythmMachine), Klaus Walter (Drs)
★B5 “Schön Bunt” (5:00)
Max Goldt (Vo), Gerd Pasemann (G), Nino Hiemann (Fretless-B), Hans Schumann (Drs), Joachim Strieben (Organ), Agnes Stein Von Kamienski (Vln), Jan Van Schaik (Vln), Ulrike König (Vln)
★B6 “Hubschraubereinsatz” (1:50)
Max Goldt (G, Grundbeat, Vo), Hans Schumann (Bass-Dr, Synth-Dr)
B2 “Olympia” (4:32)
https://youtu.be/pFt6crdWJbU?si=JZoVZ7LGEgmcHRdF
[full album (remasteringも含む)]
https://youtube.com/playlist?list=PLVT6eUQesofFh7o7dRboUta5GBlQQoSnz&si=8SqYWMYrkHDR7LBu
#FoyerDesArts #VonBullerbüNachBabylon #WEA #SecondAlbum #Berlin #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #ExperimentalPop #AcousticSounds #TheatricalVocal #VoiceActors #MaxGoldt #GerdPasemann #Guests #MarionDeuSsing #MikoLayCzak #TurhanGezer #KlausWalter #BorisBallin #JürgenScheele #AgnesSteinVonKamienski #JanVanSchaik #UlrikeKönig #GünterGasiFriedenberg #PaulGebauer #MichaelKrayer #HarryLyth #MatthiasWildenhof #MichaelBrehm #ClaudiaBarthel #Irmgard #Donder #PetraLeupold #SimoneMack #DinahBackhaus #WolfgangLoos #HansSchumann #NinoHiemann #JoachimStrieben
