- Kinky Musik Museum
- 2F Underground music: Germany
- Spliff “The Spliff Radio Show”
Spliff “The Spliff Radio Show”
君は、Spliff(スプリフ)を知っているか?! まぁ単純に言えば、Nena Hagen BandからNena Hagenが脱退した後に残ったバンドのことです(少々、乱暴な言い方ですね)。これだけでは、良く分からない部分もありますので、彼等のバイオグラフィーを書いておきます。
元々、政治的なロックバンドで、Embryoのメンバーも関わっていたLokomotiv Kreuzberg (ロコモーティフ・クロイツベルク)と言うバンドを介して、SpliffのメンバーになるHerwig Mitteregger (ヘルヴィッヒ・ミッテレガー), Bernhard Potschka (ベルンハルト・ポチュカ), Manfred Praeker (マンフレット・プレカー)は知り合いとなり、当時、ジャズ・バンドBakmak(バクマク)で活動していたNena HagenとReinhold Heil (ラインホルト・ハイル)と共に、新たにNena Hagen Bandを立ち上げることになります。そして、2枚のアルバムをリリースした後に、Nena Hagenと別れ、残った4人は、マネージャーのJim Rakete(ジム・ラケテ)の提案で、シンガーのKlimaxことAlf Klimek(アルフ・クリメック)と独系米国人DJ Rik De Lisle (リック・デ・リスル), それにシンガーのLisa Bialac (リサ・ビアラック)とLyma Russel (ライマ・ラッセル)を加えて、ロックオペラSpliff Radio Showをやろうと言うことになります。このロックオペラは、1980年5月24日にベルリンのKant-Kinoで初演されています。これは「架空のロックスターRocko J. Fonzoを取り巻く音楽業界に対する痛烈な風刺」であり、彼の栄枯盛衰を描いたものとなつています。英語版で、パリ、チューリッヒ、アムステルダム、ストックホルム、ロンドンなどで演奏され、1980年にCBSからアルバムとしてリリースされました。それが、本作品です。ジャケではSpliffという語がバンド名として明確に示されておらず、単にアルバム名の一部として使用されていますが、ライナーノーツには、”Spliff are”として、4人のバンドメンバーの名前が記載されています。Alf Klimekは、”主演”として、Lisa BialacとLyma Russel及びRik De Lisleは、”featuring”として記載されています。これは、Spliffのメンバーが、Nena Hagenとの最悪の経験を繰り返したくなかったので、フロント・パフォーマー達から距離を置きたかったのだそうです。そうして、1982年の初めに、彼等の最初の独語アルバム”85555”がリリースされます。これは、彼らの新しいバンド名Spliff名義でリリースされています。バンド名ジョイントの別名を指し、アルバム”Nina Hagen Band / Unbehagen”に収録されている曲”Heiß”に出てくるフレーズspliffに基づいています。このアルバムはカタログ番号にちなんで名付けられられています(1年後に出たYes のアルバム”90125”と同様)。Spliffはその後、所謂「NDW」の一部に分類されますが、バンドは、その中では何もできなかったとのこと。このアルバムは、”85555 International Version”として英語版でもリリースされており、ジャケが違っています。バンド・メンバーが写っており、Reinhold Heilが独逸版のアルバム・ジャケを持っているのがミソです。この時期の彼等の最大のヒット曲は”Heut’ Nacht”と”Carbonara””でしたが、他のアルバム”85555”からのシングル・カット“Déjà vu”と1982年末にリリースされた独語アルバム“Herzlichen Glückwunsch“からのシングル・カット”Das Blech”も、独チャートでは成功を収めています。“Herzlichen Glückwunsch“のビデオは、後にトランス・ミュージックのプロデューサーとなるPaul Schmitz-Moormann(ポール・シュミッツ=ムールマン)の協力の下に撮影されています。1984年には、Spliffの最後のアルバム”Schwarz auf Weiß”がリリースされ、そこから“Radio“がシングル・カットされています。このアルバムでは、Curt Cress(クルト・クレス)がドラムを担当し、ツアーを行ったが、余り成功しませんでした。1985年に、Spliffは、メンバー間の音楽性の相違と様々なソロ・プロジェクト活動を理由に解散しています。その後の経緯はまた別の機会に書くことにします。
と言う訳で、本作品は一種のコンセプト・アルバムで、Spliffとしても特殊な内容であった訳です。それで、先述のように、メンバーは、Bernhard Potschka (G, Vo), Reinhold Heil (Kbd, Vo), Manfred Praeker (B, Vo), Herwig Mitteregger (Drs, Vo)で、「主演」がAlf Klimax (Lead-Vo)で、ゲストが、Rik deLisle (DJ), Lyma Russel (Lead-Vo [A2, B3]), Lisa Bialac (Lead-Vo [A8])となっている訳です。これがロック・オペラとは、私も知らなかったです!そんなことを念頭に置いて、内容をご紹介していきましょう。
先ずは、ラジオのチューニング音のA1から始まり、ラジオDJの語りと共にパブロック調のリズムに乗って、Lymaが朗々と歌い、バッチリとGソロも入ったA2, 細かいGの刻みと太いベースシンセにドカドカしたDrsが絡むA3では超テクのシンセソロも聴取出来ます。間髪入れずに、強迫的かつミニマルなディスコ調のリズムに、呟くような男性Voと女性コーラス、そしてシンセの使い方が冴えるA4, ラジオDJの語りから成るA5, アップテンポで、ちょっとだけSex PistolsとかSham 69っぽい雰囲気もあるA6はUKパンクのパロディなのかな? そうして、ホワイトノイズとDJの語りから始まり、哀愁たっぷりのGが鳴り響き、UKプログレ的な複雑な展開ながらも落ち着いた雰囲気のA7では、当然、速弾きGソロやコーラスによるVoも聴取できます。お次は、ノリの良いアップテンポのゴージャスな曲に、LisaのキュートなVoが乗るA8で、やはり凄いGソロが披露されています。そしてA9は、またまたラジオDJの語りです。
それでB面ですが、バタバタしたDrsとホンキートンクなピアノをバックに、絶妙のコーラスワークとやや自嘲気味なVoから成るB1で始まりますが、最後は混沌になります。ムーディーなピアノをバックにコーラスとラジオDJの語りから成るB2を挟んで、力強いリズムに分厚いGのカッティングが冴えるサウンドをバックに、Lymaが力強く歌い上げるB3, そして、一転、もろレゲエ調の曲で、全員で歌っているような明る目のB4ですが、歌詞の途中に「ピー」とか入っていたりして、曲構成には凝っています。AOR調のGから成るB5を挟んで、正に1970年のUKハードロックを彷彿とさせる王道なロックナンバーっぽいB6, そして、リリカルなピアノと語りから始まり、Alfがピアノをバックに独り語りのように歌い、やがて激しく疾走する「ロック」サウンドに変貌し、Alfの吐き捨てるようなVoが乗る、凝った展開の大曲B7で、本作品は締められています。
正直、音楽としてはちょっと古臭いなとは思いましたが、それは彼等の出自を考えれば当然であり、また、本作品がロックスターの栄枯盛衰を描いた、ある種コンセプト・アルバムであることを考えれば、当然かもしれませんね。そう言う理由もあって、私は今までこのバンドに手を出して来ませんでしたので、これを聴いてカッコ良いと思えるリスナーさんとそうでないリスナーさんに分かれるのではないかと思います。全曲、英詞なので、独っぽさもないですし、寧ろUKロックっぽいですね。まぁ、好みは人それぞれですので、気に入った方は、本当の彼等自身のアルバム(セカンド・アルバム)を聴いてみてはどうでしょうか!?
A1 “Spliff-Jingle” (0:25)
A2 “Sweet As Radio” (3:56)
A3 “Gravy” (4:20)
A4 “Disco-Kaine” (4:50)
A5 “Stoned Airlines (Jingle)” (0:24)
A6 “Baby I'm Bored” (2:56)
A7 “Gooroo” (5:03)
A8 “Jive” (3:00)
A9 “Spliff-Jingle” (0:19)
B1 “Cheap Chicks” (4:13)
B2 “Wysocki College (Jingle)” (0:50)
B3 “Deep In The City” (4:23)
B4 “Producers” (4:27)
B5 “Keep Your Feet On The Ground (Jingle)” (0:24)
B6 “Jet Set Star” (4:16)
B7 “Rock Is A Drug” (7:55)
A7 “Gooroo” (5:03)
https://youtu.be/QWu2EvxTbAY?si=Fj94_RpqhgHBpSSx
[full album]
https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nnNahaLz_X4NJni08kttorNAQsadyEu8w&si=jmpkwVGJkME2n-T4
#Spliff #TheSpliffRadioShow #CBS #FirstAlbum #RockOpera #RockStar #RockoJ.Fonzo #ロックスター #栄枯盛衰 #EnglishAlbum #JimRakete #Manager #LokomotivKreuzberg #Bakmak #NenaHagenBand #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #HardRock #BernhardPotschka #ReinholdHeil #ManfredPraeker #HerwigMitteregger #Starring #AlfKlimex #Klimax #Featuring #RikDeLisle #LymaRussel #LisaBialac
