Lilli Berlin “Süss Und Erbarmungslos”

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これまた、何故か、ジャケにそそられて、全然知らないのに、購入したアルバムです。なので、いつもの如く、ちょっと調べてみました。1980年に、ベルリンで、女優のUschi Lina (ウシィ・リナ)が、Jürgen Barz(ユルゲン・バルツ)とバンドを結成し、その後、Uschi Linaは自らをLilli Berlinと呼ぶようになったのが、このバンド(?)の始まりです。彼女らに加えて、 元MetropolisのManfred Opitz (Kbd; マンフレット・オピツ)や Harald Grosskopf (Drs;ハロルト・グロスコッフ)がメンバーとなります。歌詞は、後に夫になり、録音ディレクターにもなったJürgen Barzが殆ど書いていたそうです。1982年にシングル”Ostberlin-Wahnsinn”をリリースすると、エアプレイチャートにランクインしています。フロントのLilli Berlinの生意気な態度と風変わりな声、そして良いメロディーのおかげで、このバンドは、当時、出てきたバンドの中で目立つことが出来たそうです。1982年以降は、Frank Lüdecke (Sax; フランク・リューデッケ), Gerry Bowen (Trumpet; ゲリー・ボーヴェン), Jürgen Scheele (Trumpet; ユルゲン・シェーレ)も参加しています。1982年リリースのセカンド・アルバム”Süß und Erbarmungslos(ジュス・ウント・エルバールムングズロス;「甘くて容赦ない」の意)”からのセカンド・シングル”Liebe ist was große(リーベ・イシュト・ヴァズ・グロッセ;「愛は素晴らしいもの」の意)”も、チャート入りを含め、ラジオでのエアプレイも良好でした。 1983年に、サード・アルバルにしてラストアルバム”Huh Huh”をリリースしました。このアルバムには、ケルンのZeltinger BandのJürgen Zeltinger (ユルゲン・ツェルティンガー)とのデュエット曲”True Love”(シングルカットされます)も収録されています。1983年末に、バンドのメンバーは其々の道を歩むことになり、バンドとしては解散します。先述のように、LilliはJürgen Barzと結婚します。1994年に、Jack Wiebers Recordsが、セカンドとサード・アルバムを1000枚ずつCD再発しますが、全曲が収録されていないようです。Lilliは現在ファッション業界でデザイナーとして働いており、Jürgen Barzはテレビ番組のコピーライティング等を行っています。 Harald Großkopf はプロデューサーおよびミュージシャンとして音楽業界で活動を続けています。Manfred Opitzは現在、映画音楽や舞台音楽を作曲しているそうです。
 以上が、Lilli Berlinのバイオグラフィーとなります。本作品セカンド・アルバムでの参加者は、Lilli Berlin (Vo), Harald Grosskopf (Drs, Synth, Vo, Painting), Manfred Opitz (Kbd, Vo)に加えて、先述のように、Frank Lüdecke (Sax), Gerry Bowen (Trumpet), Jürgen Scheele (Trumpet)も参加しており、Micky Wolfがプロデュースしています。
 それで、内容ですが、A面は、いきなり、奔放なLilliのVoが、シーケンスと生Drsのニューウェーブ風の軽快なビートにばっちり合っているA1で始まり、アップテンポで電子カントリー調とも言える演奏をバックにLilliのVoや間奏のシンセが炸裂するA2, 直線的なシーケンスと軽やかなビートに、甘いシンセとキッチュなVoが乗るA3ですが、サビの所の崩し方が何とも粋です。バネのある跳ねるような打ち込みリズムに押し殺したようなLilliのVoが乗る、シリアスな雰囲気のA4は後半、明るくなっていきます。原爆の音を挟んで、カクカクしたシーケンスとシンプルな生Drsに、呪文のようなVoとコーラスが乗るA5ですが、突然のLilliのはっちゃけたVoやFrankによるSaxソロも聴取できます。軽めのシャンソン風の演奏をニューウェーブ鍋で煮込んだような軽妙なA6では、仰々しいVoや間奏での高揚感のあるシンセソロも聴取でき、中々、ドラマチックです。
 B面は、シンプルかつミニマルなシーケンスと生Drsのビートに乗って、Lilliが演じるように歌うB1で始まりますが、唐突にトランペットやPercが入ったりしますが、独逸語が分かるともっと楽しめそうです。そして、ドンカマのようなリズムマシンに、男性コーラスとLilliのVoが乗る、ちょっと実験的でミニマルなB2へと続きます。スパイ映画のサントラのようなシーケンスと指パッチンをバックに、LilliのVoが炸裂するB3も、ちょっとした仕掛け(=アレンジの妙)があり、後半では生Drsも入って、生き生きとしてきます。一風変わったシーケンスと呪文のようなVoで始まり、強力なスネアや鉄琴風シンセやスケールの大きなホーン等が加わってくるB4, またまた、軽妙なビートに、優雅なシンセと、シアトリカルなLilliのVoと男性コーラスとの掛け合いが乗るヒット曲B5で、本アルバムは締められています。
 所謂、「独の戸川純」的立ち位置なのではなかったのかと思います(戸川純程の破壊力は無いですが)。ちょっと変わった女性Voとシンセを中心とした、ギターレスのバック演奏が、どうしてもそんなことを思い出させくれます。時期的にも同じような時期ですし。しかしながら、Lilliの自由奔放なVoスタイルだけではなく、バックの男性コーラスとな対比や演奏のアレンジなんかは聴いていて、面白いですし、また、ニューウェーブ的な軽快さも心地良いです。なので、1980年代初頭のニューウェーブで、女性Voモノが好きなリスナーさんにはお勧めします!! また、B面前半のミニマルな曲は、彼女達なりの実験精神の現れのようにも思えて、それがまた好感度をアップしていますね!

A1 “Liebe Ist Was Grosses (Naja Wa)” (3:25)
A2 “Flottmann” (1:45)
A3 “Lächerlich” (2:15)
A4 “R.R. Bombasto” (5:17)
A5 “Atomkraftteddy” (4:05)
A6 “Freunde” (4:43)
B1 “Dumdidum” (5:40)
B2 “Handtaschencomputer” (2:53)
B3 “Verpiss Dich” (4:18)
B4 “Freizeit” (4:19)
B5 “Ostberlin-Wahnsinn” (3:45)

A1 “Liebe Ist Was Grosses (Naja Wa)” (3:25)
https://youtu.be/1IcrudKHpR0?si=H8Kt6yXn3P-UeoMk

A3 “Lächerlich” (2:15)
https://youtu.be/1S9ftkb2-ms?si=lO35nUro6B3jYlQi

A5 “Atomkraftteddy” (4:05)
https://youtu.be/ESMIuus-zrs?si=zdmwNfTSwD0JyGVc

A6 “Freunde” (4:43)
https://youtu.be/7i2IEctuOzU?si=Hw7wwud3_VWi4NP1

B4 “Freizeit” (4:19)
https://youtu.be/KZ2Czk-o9Yg?si=pjo8pkqO-3LUWDFd

B5 “Ostberlin-Wahnsinn” (3:45)
https://youtu.be/BUnzv6cgFb0?si=pd4fsid5QdnB-IPi

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