Swans “Holy Money”

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Swans、言わずと知れたヘビー・ロックの開拓者にして王者❗️初め”Cop”を聴いた時はビックリしたんですよ。こんな遅くて重い音楽があるのか⁉️って。それまではノリの良い曲が好きだったんですが、Swansで目醒めましたね、スラッジ愛が。そのSwansですが、簡単に紹介したおきましょう。1982年にVoでマルチ奏者のMichael Giraが、米国NYCで結成したポスト・ノーウェーブな実験的バンドがSwansです。Swansは最初は音響的暴力とアンチヒューマニズムな歌詞で良く知られていますが、1986年に、VoでKbdのJarboeが加入してからはメロディや複雑な構成の曲をやり始めました。GiraとNorman Westbergを除きJarboeは、1997年に一度解散するまで、ずっとコンスタントなメンバーとして君臨しています。2010年に、Giraがバンドを再結成する時にはJarboe無しで、安定したメンバーで世界中をツアーできるバンドとして作り直した訳です。Michael Gilaは、Swansと言う名前に拘っていた理由として「白鳥って本当に美しくてエレガントな鳥だよね。でも、本当は酷い気性もあるんだよな。」と言うことらしいです。それで一番最初のメンバーはGila (B, Vo), Jonathan Kane (Dr), Sue Hanel (G), Mojo (Perc, Tape Loop)で、Thurston MooreかDan BraunかJonathan TesslerがセカンドBとして入ることがあったみたいですが、Jonathanがメタパーとテープループも使えたことから、Gila (B), Moore (G), Kane (Dr)のライナップもあったようで、その時の音は”Body To Body, Job To Job”に収められてます。SueはそのギタープレイはJonathanらによって絶賛されていましたが、バンドに居られなくなってBob PezzolaがGで加入します。更に、JonathanとデュオをやっていたDaniel Galli-Duani (Sax)も加入します。それで、デビューEP”Swans”をLaborからリリースしますが、その後の感じとは全然違うものです。しかしながら、ワンコードで押していく曲はブルースのようでもありましたが、彼等のルーツは1970年代末のNo Waveシーンでした。1984年のアルバム”Cop”で見事にルーツを壊してしまいます。この時期のSwansはHowlin’ WolfことChester Burnett(ブルースのイコン)に近いこともあります。単純なリフを催眠効果が出るほど繰り返す演奏はまるで彼等の「ブルース」だったのかもしれません。Swansの初期は、スローかつグラインドするギターノイズ、叩きつけるようなドラム、それにGiraの病的な程暴力的な歌詞(Jean GenetやMarqui de Sadeからインスパイアされてものが多い)を吠えるように叫ぶように歌う、そのスタイルで特徴付けられています。正に筆舌に尽くしがたいアグレッシブさですね。1983年にファーストアルバム”Filth”をリリースしますが、ドライブするようなリズムやザラついたドラムを入れ、初期のNo Wave特にMarsのようにも聴こえますが、一方でSonic Youthの”Confusion Is Sex”や”Kill Yr Idols”の現代的解釈とも捉えられる音楽になっています。そして、このアルバムには、長い付き合いとなるNorman Westberg (G)が初めて参加しています。それで、1984年に彼等はセカンドアルバム”Cop”とEP”Young God”をリリースしますが。後者は両A面だったので、色んな呼び方をされています。この時の音楽は、”Filth”の路線を辿り、再び、極端にスローにしたヘビー・メタル・ミュージックとも取れる音楽がおさめられています。この時のメンツはGira (Vo), Norman(G), Harry Crosby (B), Roli Mosimann (Dr)で、Gilaのヴォーカルは少しばかりスローでメロディアスになっています。とは言え、この頃のライブは大音量で、観客と喧嘩したりして無茶苦茶だったそうです。それで、1986年に、Swansはアルバム”Greed”をリリースしますが、この時からVo/KbdのJarboeが加入しますが、それまでの乱暴でエネルギーに満ち溢れていた初期のSwansの音楽性はゆっくりと解凍されていきます。このアルバムの対になっているアルバムが、本作品”Holy Money”ですが、この時に、長い付き合いになるAigis Kizysが加わり、以前のような暴力的で、ノイジーな作風ではなく、不吉でダークな作風に変わったいきます。”Holy Money”では初めて、Jarboeをリード・Voに据えたアルバムで、アコースティックな要素も加わっており、特に”Another You”などの曲はブルースっぽいハーモニカなども使っています。更に言うならば、この頃のSwansのテーマはより宗教的なものになっていきます。”A Hanging”と言う曲ではJarboeのゴスペル調のバックヴォーカルも聴くことが出来ます。その後、1987年にリリースされた”Children of God”では、Jarboeの役割は更に大きくなり、苦悩や拷問や屈辱と言ったGiraのテイストは隠され、すぐ傍にあっとしても普通は気がつかない宗教的想像力と隣り合わせのテーマが取り上げられるようになってきます。この方向性は別に馬鹿にしている訳ではなく、かつ宗教を抱擁する類いのものではなく、宗教的リーダー達のメッセージや偽善の本質への力を試す一種の実験であったようです。この後のことは省略しますが、GiraとJarboeはSkin(欧州でのバンド名)/World of Skin (米国でのバンド名)と言うユニットを結成して、活動することになります。Swans自体は1998年に一旦解散しますが、2010年に再結成され、現在も活動中です。
それで、本作品”Holy Money”ですが、これはこれで十二分にヘビーです。全てをすり潰すような重量級のベースとドラムで、ザラザラしたフリーキーなギターとGiraの咆哮にも似たヴォーカルはこの世のものとは思えない位、ヘビーです。確かにA2: “You Need Me”でのJarboeのヴォーカルは鎮魂歌のように美しいので、丁度息付くにはいい位です。このアルバムに参加したメンツは、Aigus Kizys(B: A1, A4), H. Crosby(B: A3, B1, B2), Ivan Nahem (Dr: A3), Ronald Gonzalez (Dr: A1, B1-B3), Ted Parsons (Dr: A1, A4), Norman Westberg (G), M. Gira (Sampler, Vo: A1,A3-B3), Jarboe (Vo, A1, A2)となっています。まるで重戦車のような音が鳴り響いてます。これで、メロディアスと言うのであれば、かつての”Cop”とかほどうなるのか?まあ、そんなことは心配しないで、この作品も結構、重いので、楽しめると思いますようぅ。未聴の方は是非とも❗️

https://youtu.be/44OIjFEjeq4

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