Muslimgauze “Abu Nidal”

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やってきました。エスニック・インダストリアル(?)と言う独自の路線を開拓した、孤高の英国人アーティストBryn JonesのソロプロジェクトMuslimgauze (本当は「ムスリムゴーズ」なんですが、日本では「ムスリムガーゼ」と呼んでいる)の登場です❗️エスノ・エレクトロニカとかとも形容される彼の音楽は中東のイスラムの紛争、特にイスラエルとパレスチナ自治区での紛争に影響を受けているようです。ただし、彼自身はイスラム教徒でもなく、また中東を訪れたこともないらしいです。実は、彼は1999年1月14日に肺真菌症で亡くなっているのですが,それまでにリリースされた作品は96作にも及び、さらにその後も同じくらいの作品数がリリース(リイシューを含む)されています。彼のMuslimgauzeとしての曲は様々なヴァージョン違いがあるらしく,そのような事態になっています。ここでそれを解説するのは無理なので、2014年に出版されたIbrahim Khider著の”Muslimgauze: Chasing The Shadow Of Bryn Jones”をきっちり記載されているとのことです(CD付きの208頁の本)。Muslimgauzeの名前の由来はムスリムの人が羽織る、薄いガーゼのような生地の服muslinとムスリムとをかけて作った造語です。一方、Jonesは一貫してポリティカルで、パレスチナ自由運動に賛同し、作品を作っていたとのこと。彼の音楽には歌詞がなかったので、彼は、作品や曲に、明らかにそれを意図するタイトルが付けていたようです。また、彼は通常、毎週録音を続けており、通常なら1000枚でもリリースするところを、会員制にして超限定の作品も出しています。また最初期にはカセット、レコードEPやLPの区別なく、リリースしていました。実は彼は、1982年よりE.g Oblique Graph名義で、自身の作品をDIYレーベルから出しており、その後、1984年から暫くは、自身のレーベルLimited Editionsから出しています。それは他のレーベルがロイヤリティーを払ってくれなかったと言う背景もあるみたいです。その後は、StaalplaatやExtreme Records、Soleilmoon Recordingsなどの大手の実験音楽レーベルが、その才能を評価して、CDフォーマットでコンスタントに作品をリリースされていきます。その一方で、小さなDIYレーベルからも出していました。死後もこんなに評価されるアーティストは珍しいですね。
それで、本作品についてですが、これはJonesのレーベルからリリースされており、もうジャケ写からしてMuslimgauze色全開で、音の方もドラムマシーンとタブラなどのパーカッションの連打が催眠効果を催し、更にそこに少しばかりの電子音とアラビックなテープ或いはサンプルレコード音が挿入されると言う音構造は、最早、Muslimgauze以外の何者でもないですね。中東風〜東南アジア風のリズムはもう鉄板です。言い方に語弊があるかも知れませんが、擬似エスニック・ヒプノティック・ミュージックと言えるのではないでしょうか? また、本作品でも、先述のように、政治色の強い曲名が並んでおり、A面は”Gulfwar (Part One, Two, Three)”の3曲が、B面は、タイトル曲B1 “Abu Nidal”から始まり、B2 “Green Is The Colour Of The Prophet”, B3 “Fatwa (Religious Decree Giving Recourse To Terrorism)“となっています。特にA面は辛辣ですね。1990年に湾岸戦争か勃発しているので、時代を先取りしているようです。また、タイトル/タイトル曲のAbu Nidalはパレスチナのテロリストの名前です。Muslimgauzeは作品数が多いので、選ぶのも大変ですが、本作は割と入門編としては分かり易いと思いますので、どうでしょう、聴いてみては❗️

https://youtu.be/147uCwagqSQ

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