-
a.P.A.t.T “We”
a.P.A.t.T.と聞いて、ピーンとくるリスナーさんは少ないかと思います。私自身も、何でこのアルバム、買ったのか?良く覚えていません。まぁ謎物件な訳です。それでちょっと調べてみました。a.P.A.t.T.というのは、どうも、英国リバプールで、2002年に結成されたアヴァン・ポップとマルチメディアの為のアンサンブルのことみたいです。このアンサンブルには、Kling KlangやZombinaのメンバーが関わっているようです。詳しい結成までの経歴やメンバー等は良く分かりませんが、失敗と成功を繰り返しながら、凡ゆる方向へ向かって成長してきたらしいです。なので、音楽だけではなく、映像やその他の表現分野に渡る活動をしてきており、単にアヴァンギャルドや現代音楽というだけではなく、ライブ・バンドとしての活動にも重きを置いています。そのような背景もあるのか?関係あるかどうか分かりませんが、2016年〜2022年間のメンバーは、Ana Crusis, Boss A Nova, Boss DR-5, Col Legno, Commodore 6/4, Dorothy Wave, Ed Room Dyasono, Empress Play, General MIDI, Mic Lead, Mr Phil, Oscar Later, Private Dancer, Relative Minorと言うように偽名(しかも機材の名前を文字っているお茶目さ)だらけで、曲によって、その組合せは変わることもあり、リスナーや観客を困惑させ続けてきており、チャートとは無関係な立ち位置で活動していたらしいです。ただ、メンバーの中で、General MIDIなる人物がメインに作曲を担当しているので、この人が恐らくリーダー的存在ではないかと思われます。それで、彼等は、1970年代のアートロック~1980年代のシンセポップ〜ポストロック〜硬派なチェンバー・ミュージックまで取り込んで、最終的にモダン・サイケでコーティングされたようで、どこか人を食った様相も見せるキッチュでストレンジなぶっ飛びポップ・サウンドを毎回、作品に刻み込んできました(人を食った様相は、メンバーの名前からも想像できると思います)。特に、2008年にリリースしたアルバム” Black & White Mass”は、ポップ・ミュージックのギリギリの線で留まったアヴァンギャルドな作風として名を馳せ、BBC Radio 1では「今週のアルバム」として毎日放送されていたとのこと。そんな意味で、彼等は、The Beatles, Pink Floyd, Cardiacs, Radioheadと同様の大いなるアイデアを持って、それを実践できるバンドであると評価されています。彼等は、主にBandcampで作品を発表していますが、その中でも、本作品は、フィジカルになった作品の内、6作目に当たります。そして、今回は、米国CA出身女性シンガーDyasonoをゲストとして迎えて、a.P.A.t.T.流の捻くれスウィートな女性ポップス曲”It Keeps Going”を筆頭に、これまでに無かった新味も加わって、端から端まで自由に行き来しています。そんな彼等の”We”は前作から8年振りでリリースされました。そんなa.P.A.t.T.の各曲を紹介していきたいと思います。 ★A1 “The Great Attractor” (7:50)は、BとDrsで始まり、そこにエレピが乗ってきて、ヒステリックなVlnやGが絡んできます。途中で雰囲気が変わり、複数のVoによる歌物になりますが、レコメン系に近い音作りをしていますね。マーチのリズムや性急なテンポやらに代わっていく複雑な曲構成がスリリングです。 <General MIDI作> Bossa Nova(Drs), Private Dancer (Vln), Boss DR-5 (Fretless-B, E-Piano, Vo), General MIDI (Vo, G, Distorted-B, E-Piano, Synth), Dorothy Wave (Vo), Empress Play (Sax, Piccolo) ★A2 “It Keeps Going” (3:01)は、バックはGeneral MIDIが演奏していますが、軽快なポップスになっており、DyasonoのキュートなVoを上手く活かしています。 <General MIDI&Dyasono作> Dyasono (Vo), General MIDI (All Instruments) ★A3 “I Sigh: You Sigh” (3:37)は、逆回転で始まり、正確無比なDrsとシーケンサーとBがイントロとなって、クラリネットも加わり、変調男性VoやVlnが入ってくる複雑な曲です。最後にダレますが、直ぐ復活します。 <Dorothy Wave, General MIDI, Bossa Nova, Mark Greenwood作> Dorothy Wave (Synth), Bossa Nova (Drs), General MIDI (Synth, Vo), Empress Play (Clarinet), Ana Crusis (Vln), Mark Greenwood (Vo) ★A4 “Porca” (2:53)は、ブローするSaxやVlnなんかも含む欧州ラテン系の熱い演奏で、スパニッシュな女性Voが乗っていると思ったら、急に曲調が代わり、ピアノとストリングス・シンセのしっとりとした演奏になります。 <General MIDI&a.P.A.t.T.作> Bossa Nova (Drs), Boss DR-5 (B), Private Dancer (Vln), General MIDI (Vo, Piano, Farisa-Organ, 5-String-B), Empress Play (Vo, Sax), Dorothy Wave (Clarinet) ★A5 “Solipsisim” (3:04)は、語り調のVoのイントロから、クラリネットとアコーディオン様のシンセの合奏になったり、エレピや女性Voのパートに代わったり、戻ったりと忙しない複雑な曲です。最後にはVlnも絡んできます。 <Oscar Later&General MIDI作> Oscar Later (Vo), General MIDI (Drs, Upright-B, Synth), Dorothy Wave (Clarinet), Col Legno (Vln), Relative Minor (Vo) ★B1 “Cigarettes And Margerine” (4:05)は、一聴すると、エレポップのようなシンセを多用した曲で、メジャー級女性Voをメインにしている為か、かなり本格的な雰囲気で、可愛らしい出来になっていますが、SE的シンセ音も散見されます。 <Empress Play作> Empress Play (Vo, Synth), Bossa Nova (Drs), General MIDI (Vo, Synth), Boss DR-5 (G) ★B2 “Study/Relax To Mid-Fi Chill/4am Beats To” (1:36)は、一転して、指パッチンのリズムとピアノの弾き語りから成る小曲で、何となく物憂げで寂しげです。 <General MIDI作> General MIDI (Synth) ★B3 “Plump In The Mud” (3:17)は、シンセBと生ドラムとストリングス・シンセのバックに、朗々と歌う男性Voが乗る大らかな曲ですが、後半には、SE的シンセ音やGソロも聴取できますが、いきなりアップテンポに変わります <Boss DR-5&General MIDI 作> Bossa Nova (Drs), General MIDI (Vo, Synth, Perc), Boss DR-5 (G, Synth), Dorothy Wave (Vo), Empress Play (Synth) ★B4 “Walking Around Proper Looking At Things” (0:18)では、アップテンポのリズム隊にシンセとGを合わせた短い曲ですが、何だかCardiacsっぽい喧騒を感じます。 <Boss DR-5 作> Bossa Nova (Drs), Boss DR-5 (G, Bass-Synth), General MIDI (Synth), ★B5 “Titus The Bellows” (1:54)では、SP盤のような音質のジャジーな曲で、アコーディオンやクラリネットが小気味良い雰囲気を出しています。 <Boss DR-5作> Boss DR-5 (G), General MIDI (Drs, Upright-Bass, Accordion), Empress Play (Clarinet) ★B6 “Young People Are Old People From The Future” (2:45)は、締め殺された鶏(?)で始まる落ち着きの無い曲で、ストリングスを多用していますが、突然、曲調がアップテンポに変わったり、楽器も度々変わり、疾走していき、やがて変拍子の曲調に変わり、目まぐるしい展開になっています。 <General MIDI 作> General MIDI (Vo, Drs, Philicordia, Synth, Glockenspiel, Tape wriggles), Empress Play (Clarinet, Piccolo, Flute), Ana Crusis (Vo, Vln) ★B7 “The People You Know” (2:13)では、ピアノとリズム隊に合わせて、朗々と歌う男性Voがゴージャス感を醸し出しています。しかし、Gの伴奏やピアノも時に崩れるのが面白いところです。 <General MIDI&Boss DR-5 作> Bossa Nova (Drs), Boss DR-5 (G, B, Stylophone, Vox Continental), General MIDI (Vo, Piano) ★B8 “Doom II: Hell On Earth” (3:37)は、デスVo入りのストーナーロックで、やがて阿鼻叫喚な音地獄へと落ちていきます。これには、ビックリしました! <Col Legno&General MIDI 作> Bossa Nova (Drs), Boss DR-5 (G), General MIDI (Vo, B, Synth), Empress Play (Synth), Commodore 6/4 (Sax) 曲自体の構成が非常に複雑で、転調やテンポの変換或いは使用楽器等が一曲の中で頻繁に変わるので、初め聴いた時には、曲間が良く分かりませんでした。しかしながら、そんなこととは無関係に、プログレっぽい展開、特に、レコメン系プログレをポップ・ミュージックの領域に反映させていますので、次はどう来るのかな?と中々楽しめます。メンバー名が全て偽名であることなんかも加味すると、The HomosexualsやEtron Fou Leloublan辺りに近いのかなあとも思いますが、a.P.A.t.T.の方が、これらのバンドの音楽よりももっとポップネスを感じますし、最後にストーナーロックまで持ってきたのには驚きました。そうですねー、一番、近いのが、初期のCardiacsですかね。難解と言うよりも、寧ろ凄く面白くてユーモアのある音楽なので、これは皆さんに是非聴いて欲しい1枚です❗️ B7 “The People You Know” (2:13) https://youtu.be/1JQ1fPRdw5k?si=XbY1i_tNc9aFn37b [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mJ73tnG1p1I-qaV9GhLnZtiOwminEbric&si=hyQgARpiO9SdQxqm [BandcampのURLを貼っておきます] https://apatt.bandcamp.com/album/we #a.P.A.t.T. #We #NineXNine #Postmusic #DurEtDoux #UKUnderground #6ThAlbum #AvantRock #Experimental #AlternativeRock #Electro #AnaCrusis #BossANova #BossDR-5 #ColLegno #Commodore6/4 #DorothyWave #EdRoomDyasono #EmpressPlay #GeneralMIDI #MicLead #MrPhil #OscarLater #PrivateDancer #RelativeMinor
Avant-Rock / Experimental Nine x Nine 2640円Dr K2
-
Skullflower “IIIrd Gatekeeper”
私は何故か、Broken Flag関係のノイズ・ミュージックってリアルタイムでは聴いてこなかったんですよ。でも、まぁ、そろそろ聴いてみたいなと思って購入したのが、今回、ご紹介するSkullflower なんです。しかも、このバンド(?)、首謀者Matthew BowerがノイズGを弾きまくると言うノイズ・ロック的音楽をやり続けており、どうもそこら辺が、以前紹介したRamlehとの差異がありそうです。そして、今回、選んだ作品は、”IIIrd Gatekeeper”です。 先ずは、Skullflowerについて少しご紹介したいと思います。Skullflowerは、1987年に、即興ノイズ・ロック・バンドとして、Matthew Bowerを中心に、英国Londonで結成されています。そうして、彼等のデビューEP “Birthdeath”は、1988年にBroken Flagからリリースされています。以降、数十年に渡って、Matthew Bauer (G)はStuart Dennison (Drs)とのデュオで数多くの作品をリリースしております。それは、1996年のアルバム”This is….”をリリースして、一旦、バンドは活動休止するまで続きます。なお、バンドの基本的ラインナップは、先述のMatthew Bauer (G)に、Stuart Dennison (Drs, Vo)とStefan Jaworzyn (B)を加えた形態ですが、他には、RamlehのGary Mundy、Alex Bonnie (B), CoilのStephen Thrower (B, Drs)の他にもAnthony Di Franco (B, G, Drs)もヘルプで入っています。そうして、2003年に、再びSkullflowerは、新録アルバム”Exquisite Fucking Boredom”をリリースして、復活しますが、その後は時々、Matthew Bowerのソロとして、Samantha DaviesやCulverことLee Stokoeをヘルプを入れたりして、現役現在も活動しています。 以上が、Skullflowerの略歴になりますが、今回、ご紹介するアルバム”IIIrd Gatekeeper”は、彼等のサード・アルバムで、メンバーは、Matthew Bower (G), Anthony Di Franco (B), Stuart Dennison (Drs, Vo)の3人です。それで、私が購入したのは、2LPsとしての再発盤なので、B1-C1は、オリジナルのCDに入っておらず、これらの曲はボートラとなっています。また、この再発作品の中では、これらのボートラが入っているなはDirter Promotionsの再発盤のみです。それでは、本作品(A面4曲/B面3曲/C面3曲/D面2曲)の各曲について、ご紹介していきましょう。 ◼️LP1 A1 “Can You Feel It”は、ドゥーム・メタルのように、スローでシンプルなリズム隊に、ダレきったような粘着質なGとギュルギュル弾きまくっているGが絡みつき、その合間に、極めて不明瞭なVoが時に入ると言う曲から成っています。 A2 “Black Rabbit”では、フィードバックGとBから始まり、Bはそのままリズムを刻み、更にDrsもビートを叩き始めます。Gは唸りながら強迫的ノイズを放射しています。 A3 “Larks Tongues”は、エコーGが延長する中、重たいリフのリズム隊が熱狂的Voと共に入ってきますが、所々でブレイクが入ります。 A4 “Center Puss”は、とんでもないエフェクトGに、やはり重めのリズム隊が底を支える曲で、時に呪文のようなVoも重なり、次第にテンポアップしていきます。 B1 “Stars And Bars”では、激的なBとしっかりしたDrsのリズム隊と荒れ狂う強靭なGが爆発しています。背後に持続シンセ音が聴こえ、時間感覚が麻痺してきます。 B2 “Wand”は、重めのリフとテンポのリズム隊が特に凄いです。勿論、Gも弾くまくって、グチャグチャに荒らしています。 B3 “Pelt”では、リズム隊が一定のパタンを演奏しており、そのバックで延長し切ったGがハウリながら強烈に主張しています。 ◼️LP2 C1 “Evil Twin”は、フィードバックGと対照的に、疾走するDrsが叩き出されますが、途中、ダウンテンポしたりします。相変わらず、Gはあらゆる隙間を塗り潰しています。 C2 “Saturnalia”は、延長して伸び切ったフィードバックGの中で、漸くDrsが乱打され、スロー〜ミディアムなビートが、刻まれていきます。最後もフィードバックノイズだらけに! C3 “Vanadis”では、杭を打つようなリズム隊が、フィードバックGによるノイズフィールドを容赦なく更なるノイズの杭を打ちつけます。 D1 “Godzilla”では、伸び切ったフィードバックGとこれまたサスティーンの効いたBで始まりますが、途中でDrs、特にキックか入ってきて、曲を支えています。Gはエフェクト掛けまくってますね。最後もかなり良い! D2 “Spoiler” も、スローなスラッジ・コアなインスト曲で、これはロックなのか?ノイズなのか?混乱してしまいそうです。終わり方はまるでKhanatのよう。 全編、The Melvins のようなスラッジ・コア・バンドのアルバムを聴いているようです。もっとフリーにBとかDrsも弾くのかと思っていたら、意外にちゃんとしたリフやパタンを弾いており、バンドっぽいサウンドになっています。これではWhitehouseが当初、提唱した「ホワイト」な音楽とは言えないのでは?と思ってしまいます。しかしながら、ノイズの文脈ではなく、ロックの文脈で捉えれば、インストのドゥーム・メタルやスラッジ・コアとも捉えられるので、そう言う音楽が好きな方には受け入れ易いでしょう。そう言った心構えで聴くことをお勧めします! https://youtu.be/5NDxtjMURy0?si=ohTGZ2rxst6iwfOy #Skullflower #IIIrdGatekeeper #DirterPromotions #Reissue #2LPs #2024年 #hEADdIRtRecordings #1992年 #NoiseRock #Feedback #GuitarNoise #Bass #Drums #DoomMetal #SludgeCore #Instrumental #MatthewBower #AnthonyDiFranco #StuartDennison #BrokenFlag
Guitar Noise / Experimental Dirter Promotions (hEADdIRt Recordings) 5610円Dr K2
-
Vintage Crop “Serve To Serve Again”
Vintage Cropって知ってますか? これまた、謎物件です。取り敢えず、届いたものは聴いてみます。その前に、このバンドのことを調べてみました。Vintage Cropは、豪州Geelongの「バンド」で、元々はJack Cherryの宅録ソロユニットとして始まっており、その時は、主にSoundCloudに曲をアップしたりしていたようです。その後2016年に、Tyson Harper (G)及びTylerとLuke O’Brien兄弟が加入して、通常のバンド形態となり、同年11月に、Cherry自身のレーベルWeather Vane RecordsよりリリースしたEP “Coming Up”でデビューします。このEPは、メルボルンのポストパンク・バンドTotal ControlのMikey Youngがマスタリングしているのですが、その後もYoungが協力していくことになります。あと、Jack Masseyと言う人物もメンバーであったようですが、詳細は不明です。その後、2017年4月14日に、バンドは、ファースト・アルバム”TV Orange”をリリースしていますが、このアルバムは、2018年に、仏のPolska Recordsがリイシューしています。また、2018年には、豪州GeelongのAnti Fade Recordsから、セカンド・アルバム”New Age”をリリースし、欧州ツアーを敢行しています。この後、2020年には、本作品でもあるサード・アルバム”Serve To Serve Again”を豪州のAnti Fade Recordsと英国Upset! The Rhythmとの共同でリリースしています。2022年3月に、NME Australiaは、Vintage Cropが、ニュー・シングル”Double Slants”をリリースしたと発表、更に、2022年に6月24日には、彼等の4枚目のアルバム”Kibitzer”もリリースするとアナウンスしていますが、このアルバムは、1日で録音を終わり、Mikey Youngがマスタリングを担当しています。因みに、バンド名は、英国の競走馬の名前から取ったらしいです。 以上が、Vintage Cropの略歴ですが、バンドメンバーは、Jack Cherry (Vo, G) Tyler O'Brien (Drs), Tyson Harper (G, Vo), Luke O'Brien (B, Vo)となっています。それで、本作品”Serve To Serve Again”ですが、内容的にも、両面6曲ずつ収められています。それでは、各曲について紹介していきましょう。 ★A1 “First In Line” (3:19)は、一聴、変拍子のようなリズムとフレーズで突き進む曲で、その風変わりなアレンジが如何にもポスト・パンクらしく捻くれています。 ★A2 “The Ladder” (3:14)は、スローでダルなイントロから次第に力強いビートの曲調に変わり、力強いVo 共に、GとDrsで中々イカした曲になります。 ★A3 “The North” (2:49)では、不思議なGのリフで始まり、シンセも加えてはいますが、あくまでもGを中心としたクールな曲をキープしています。 ★A4 “No Praise” (0:57)は、ややアップテンポな曲なんですが、なんか脚がもつれたまま走っているようなリズムのアレンジが秀逸です。 ★A5 “Jack's Casino” (1:52)も、更にアップテンポでハードコアらしくなりますが、途中で、Gと共に重めのBが効いて、落ち着きさを一時的に取り戻しますが! ★A6 “Streetview” (6:29)は、一癖も二癖もある変わったフレーズを弾くアンサンブルで、Voもやや変です。また、不協和音の使い方も秀逸です。 ★B1 “Serve To Serve Again” (2:19)は、初期Wireっぽい飾り気の無いで、懐かしいと言うかカッコ良いタイトル曲で、間奏のシンセもシンプルかつ絶妙です。 ★B2 “Gridlock” (2:53)は、パンキッシュな演奏ですが、不協和音を挟み、焼けっぱちに飛ばしています。 ★B3 “Life and Times” (3:41)は、ゾクゾクするようカッコ良い曲で、アレンジ自体はシンプルですが、コード進行の妙なのでしょう。私的にはNo.1曲です。 ★B4 “Just My Luck” (2:10)は、またもやアップテンポでロック魂を感じさせる曲です。初期Wireの香りを感じますが、もう少しユーモアもあり、最後のGソロにも痺れます。 ★B5 “Tension” (2:42)も、シンコペーションの効いたGを中心に急かされるように進む、ドカドカした曲ですが、曲全体には哀愁すら感じられます。 ★B6 “Everyday Heroes” (3:05)では、シンプルなアンサンブルなんですが、何故か味があり、更に不安定なGのリフや合唱も加わり、不思議な落下感があります。 総じて、凄く突出するような派手さは無いのですが、シンプルな構造の中に、色んなアイデアやアレンジ、不協和音などが散りばめられており、聴けは聴く程、味が出ると言う「うまみ」成分のある音楽を奏でています。前述のように、初期Wireにちょっとガレージっぽさを加えたと言えば一番近いかな?。でも決してモノマネで終わっていない所に、このバンドの良さがありますし、音もポストパンクなので、好きな方はハマると思いますね。なので、そんなリスナーさんは一度体験してみて下さい❗️ A3 “The North” (2:49) https://youtu.be/bF71bqtOEXU?si=Lttt9vt4zOoYANX3 [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLwNPma6jY99rHIZbbs1isKTjpawzvq4xQ&si=GHnmkuL4ZeArTPmc [BandcampのURLも貼っておきます] https://vintagecrop.bandcamp.com/album/serve-to-serve-again #VintageCrop #ServeToServeAgain #Upset!TheRhythm #ThirdAlbum #Australia #PostPunk #GarageRock #JackCherry #TylerO'Brien #TysonHarper #LukeO'Brien #Wire
Post Punk / Garage Upset! The Rhythm 1100円Dr K2
-
Swell Maps “Mayday Signals”
やっぱり買っちゃうよねー、Swell Mapsの秘蔵音源!パンクの前に既に「ポスト」パンクであったSwell Maps。その1976年〜1979年の間に、自分達のガレージやベッドルームやらスタジオやらで録音された曲(或いは曲の素)を、メンバーだったJowe Headがコンパイルした2枚組のセルフ・コンピ・アルバムが、今回ご紹介する”Mayday Signals”です。殆どが短い曲で、これらが今後、曲になっていくのだとすると、結構、スリリングな内容になっているようです。因みに、Swell Mapsのバイオグラフィーは既に書いてありますが、多少、付け加えることもありますので、そこら辺だけ少し。ちょっと復習になりますが、先ず、メンバーはNikki Sudden (本名Adrian Nicholas Godfrey), Phones Sportsman (本名David Barrington), Jowe Head (本名Stephen John Bird), Epic Soundtracks (本名Kevin Paul Godfrey)で、John CockrillやBiggles Books (本名Richard Earl)も加わります(因みに、NikkiとEpicは本当の兄弟です)。結成は1972年、英国Birminghamでとなっていますが、Nikki Suddenに寄れば、彼が、実際に音楽(T. Rex “Telegram Sam”)を意識的に聴き始めたのが、1972年初頭で、彼は直ぐに同級生から中古アコギを購入し、翌週には、Phones Sportsmanと意気投合して、演り始めます。彼の弟Epic SoundtracksはDrsがやりたくて、手作りのドラマキットを組み立てており、その1年後、漸くスネアを購入します。この3人は、最初、Sacred Mashroomと名乗っていますが、EpicとPhonesでは、CalicoとかOdysseyと名乗ったり、NikkiとPhonesでは、MithrilとかThe Black Ridersとか名乗ったりしています。そこに、1973年に、Nikkiの親友Jowe Head(彼もこの時に同級生から中古Gを購入)が、その直ぐ後にEpicの友達のJohn Cockrillが加わって、再びSacred Mushroomとなります。Joweに言わせると、Johnは、ちゃんとGレッスンを受けているように思えたらしいです。しかしながら、NikkiとJoweで、Cardboard Giantになったり、彼等にEpicを加えて、Fall of Eaglesを名乗ったり、Epic, Phones, JohnとPhonesの同級生David WrightではCivil Serviceを名乗ったりして、他にもThe Sheep PoliceとかCirkusとかIncredible HulkとかFountain HeadとかIronとかを色々な組合せで名乗って、ちょこちょこセッションしたり録音したりしています。そうして、最後に、Phonesの友達でKing Edward VI学校出身のBigglesが加わり、1974年夏に、NikkiとJoweは漸く学校を卒業し、Nikkiは数ヶ月、Gを練習した後に、Londonに出稼ぎに行きます。そこで、新しい音楽(パンクなど)とそのムーブメントの熱量に当てられたNikkiは、地元に戻り、Bigglesの親のガレージで演奏・録音を本格的に始めます(その時も、The Nozels, The Himalayas, Sacred Mushroom, The Sausage Rolls等と名乗っています)。それで、NikkiとEpicとJoweで、Swell Maps名義で最初にギグを演ったのは、1977年だそうで、ライブ・デビューは意外と遅かったのだなと思います。そして、Swell Mapsの最初の録音の時には、この3人とPhonesがGで参加しています。また、彼らはSwell Mapsのレコードがリリースされるまでは、それ以降一度もライブをやってはいないのです。彼等をLondonに呼ぶような話もあったらしいのですが、彼等にはプロになるだけのお金が無く、また機材も小さなラジオ付きアンプとスピーカー、中古のGやB、スネアとハイハットだけのDrs、そこら辺にある物を録音する古びたマイクがあっただけだったので、彼等はずっとBirminghamで活動を続けていましたが、1980年に、ベルギー、蘭、伊とツアーを敢行し、その後、バンドは解散してしまいます。その直後の1981年に、2枚組のアーカイブ・アルバム”Whatever Happens Next...”がリリースされていますが、これは再発はされていません。解散後、NikkiやEpic等は、ソロ活動をしていますが、Epic Soundtracksは、1997年に、38歳と言う若さで亡くなっており、死因は不明です。また、Nikki Suddenも2006年3月に、NYCのホテルの部屋で他界しており、49歳と言う若さでした。一方、Phonesは、1980年代から地質学者として働いており、音楽界からは脚を洗っていますが、2008年から数枚のCDR作品を出しています。 以上が、今回、分かったSwell Mapsのバイオグラフィーの一部ですが、本作品では、LP1は、1976年〜1977年に、西Mudlandsの地元のガレージやベッドルーム、リビングで録音された音源から編集・収録されており、LP2は、C1が1977年にCambridgeのSpaceward studioで、C2-D5が1978-1979年にLeamington温泉のWoodbine studioで録音された音源となり、それぞれ、Mike KempとJohn Riversがエンジニアとして付いての録音となっています。D6, D7については、クレジットされておらず、出所不明です。それでは、各曲についてご紹介していきましょう。 ◼️LP1 ★A1 “Intro / Sweet And Sour Extract” (0:10)は、ピアノソロの断片です。 ★A2 “Almost Grown” (1:21)は、アコギとBとガラクタDrsによるMaps流ロッケンローな曲ですが、実はChuck Berryのカバーです。 ★A3 “City Boys (Dresden Style)” (2:23)は、Mapsの代表曲の元曲で、やっぱりこのぶっ壊れ方はイカしてます。 ★A4 “Sahara” (2:11)は、ディレイを掛けたGと物音系Percに、チャルメラのようなFluteが吹き荒れる曲です。 ★A5 “One Of The Crowd” (2:15)は、G, B, DrsによるMaps流ロッケンローなノリの良い曲で、ヘロったVoもイカしてます! ★A6 “Wireless” (3:38)は、ラジオノイズと反復するピアノの合奏で、Gらしき音も微かに聴取可。 ★A7 “Ripped And Torn” (1:55)も、Maps代表曲の原曲で、ぶっ壊れており、最後のGもイカしています。 ★A8 “God Save The Queen” (0:33)は、Sex Pistolsの曲ではなく、アコギとGのせめぎ合いで、意味不明! ★A9 “Platinum Blind” (1:02)は、Drsと物音系Percの乱れ打ちから成る曲で、Lo-Fiな録音により面白さ倍増です。 ★A10 “Harvist” (0:38)は、反復するGに自在に上下するBの一騎打ちですね。訳分からん! ★A11 “Gramofonica” (1:43)は、鼻歌付き、タンテの誤用と物音系Percの合奏で、もう意味不明です。 ★B1 “Read About Seymour” (1:36)も、Maps代表曲の演奏なんですが、このヘナヘナさがサイコー!名曲ですね。 ★B2 “Shubunkin” (1:09)では、変拍子のリズム隊&Gに、更に歪んだGを弾きまくってます。 ★B3 “Trade Kingdom” (2:20)では、アコギとハーモニカとハイハットをバックに、Nikkiが音痴に歌っており、もう大抵の事では怒りません。 ★B4 “Pets’ Corner” (2:24)は、スローテンポの怪しげな曲で、ワウGやJoweの抑制的なVoも不穏な雰囲気を醸し出しています。 ★B5 “Fashion Cult (Opaque)” (2:12)も、Maps流ロッケンローな曲で、痺れます!敢えてLo-Fiと言うより元々がそうしか出来なかったと言う意味で元祖ですね。 ★B6 “Plankton” (1:29)は、Gの単音弾き、ホワイトノイズ、コーラスとB、そしてB, G, ,Drsによる合奏。これってMusique Concreteじゃないか? ★B7 “Johnny Seven” (1:32)は、Maps流サーフ・ロックとも言うべき曲で、何故か泣けてきます。 ★B8 “Below Number One” (3:43)では、Gらしき持続音に微かな物音系Percが絡んでいますが、縦笛のようなFluteや歪みまくったGに移行していきます。 ★B9 “Plumbing / Radio Ten / Here’s The Cupboard” (1:06)は、Drsや物音系Perc、缶ドラム、エコーの掛かった叫び声(?)の狂演で、何でもありですね。 ★B10 “Organism” (1:08)では、悲しげな足踏みオルガンの調べに、微かに唸るようなVoが聴こえます。 ★B11 “Sweet And Sour Reprise” (2:02)は、アコギで始まったかと思うと、G, B, DrsによるMaps流GSロッケンローをぶちかましてきて、最高! ◼️LP2 ★C1 “Vertical Slum” (1:13)も、Maps代表曲の演奏で、音も良く、また元気一杯です。サイコー! ★C2 “Avalanche Prelude” (2:44)は、スローテンポのDrsと通奏低音にシタール様のGが乗っかっているインスト曲で、心地良いです。 ★C3 “International Rescue” (2:27)も、Maps代表曲ですが、VoはJoweがやっており、印象が違いますね。 ★C4 “Deliverous Mistail” (4:09)は、執拗に反復するアルペジオGとリズム隊が変拍子で不穏な空気を出しているダークな曲で、Mapsにしては珍しいです。なお、Mayo Thompsonが独白で参加。 ★C5 “Armadillo” (3:41)も、これぞMapsと言う代表曲の演奏で、コーラスも含めて最高にして最強! ★C6 “Avalanche Part 2” (1:33)は、単調なDrsに不穏なフレーズのBと呟くJoweのVoから成る曲です。 ★C7 “Off The Beach” (2:22)は、これぞMaps流ロックとも言うべきノリのよい曲で、やはりNikkiのVoだと安心できます。最後にStylophoneが聴こえます。 ★D1 “Drop In The Ocean” (2:13)は、ドラムマシンとSynth-Bを使ったウエスタン調の曲で、Mapsにしては珍しい曲調です。 ★D2 “Whatever Happens Next (Acoustic)” (3:00)では、アコギとハイハットとピアノを使った伴奏に、バラライカも入り、3人でのVoも良く映えています。 ★D3 “Elegia Pt.2” (1:57)では、重めのハンマービートに弾きまくるGが、何となくCanを想起させます。 ★D4 “Bandits 1-5” (2:44)は、Wireの”Pink Flag”を想起させるMaps流ミニマル/ハードコアパンクな曲ですが、JoweのVoはヘナヘナです。 ★D5 “Secret Island Choir” (0:38)は、代表曲のアカペラ・ヴァージョンで、貴重。 ★D6 “Big Cake Over America” (1:55)は、シェイカーとBが何となくアメリカンですが、2人のVoは馬鹿にしているようで、Mapsにしては珍しくシンセも使用。 ★D7 “Tibetan Bedsprings” (3:19)は、ワウGと反復するBとハイハット、その間を埋める柔らかいシンセ音から成る曲で、シンセはJ.G. Thirlwellが担当。 確かに、Swell Mapsは最初から自由であったと分かる音源が揃っています。噂で言われているように、彼等がT. RexとCan等のGerman Rockから影響を受けたと言うのも納得です。特にLP1の内容は、彼等の初期衝動による破壊的作曲/演奏の萌芽が含まれており、非常に面白かったです。それに対して、LP2は音質も良好で、機材的にも新たなことに挑戦しており、彼等の許容量の大きさを実感できました。まあ、マニア向けかもしれませんが、この作品には、Swell Maps誕生/成熟の秘密があるように思えますので、そこら辺を知りたい方、或いは宅録のアイデアを模索している方には是非とも聴いて頂きたいですね。そうじゃなくてもマスト❗️な作品。 C4 “Deliverous Mistail” (4:09) https://youtu.be/aFvTzpoZrc8?si=SOJPo_8A0n6ShMzR [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lIrkpy_8jNmUwo5SodAbDlDAGFun4LOm8&si=7f94cSpT9fmhUQPr #SwellMaps #MaydaySignals #EasyActionRecords #SelfCompilationAlbum #2LPs #1976-1977年 #宅録 #StudioRecording #1977-1979年 #PostPunk #Experimental #DIYPunk #NikkiSudden #PhonesSportsman #JoweHead #EpicSoundtracks #JohnCockrill #BigglesBooks #Guests #MayoThompson #J.G.Thirlwell #Cover #ChuckBerry
Post Punk / Experimental Easy Action Records 3740円Dr K2
-
Throbbing Gristle “20 Jazz Funk Greats”
Throbbing Gristle (以下TGと表記)の名盤の一つ、ジャズでもファンクでもないアルバム”20 Jazz Funk Greats”を、今回はご紹介します。TGのアルバムの中でも、このアルバムは中々中古市場に出ず、また出ても結構高額なことが多く、私は何年も買いそびれていました。それで、去年、やっと購入できました。TGのバイオグラフィーについては、今までも紹介してきましたし、メンバーのCosey Fanni Tuttiの自叙伝なども出ていますので、そちらをご参照下さい。メンバーを一応、書いておきますと、Genesis P-Orridge (B, Vln, Vibes, Synth, Vo), Cosey Fanni Tutti (G, Synth, Cornet, Vo), Chris Carter (Roland Synth, Sequencer, Drum Machine, Vo), Peter “Sleezy” Christopherson (Tapes, Vibes, Cornet, Vo)の鉄壁の4人です。また、ジャケ写は、一見爽やかに見えますが、英国の自殺の名所(東サセックス州の南端にある通称Beachy Head)が使われています。本作品は、LPとしては、3枚目のアルバムになり、また、TGのアルバムの中では「最も聴き易い」作品とも言われています。今回の再発では、緑盤となっており、ブックレットも付いています。また、内容については、A面6曲/B面5曲となっています。それでは、各曲について紹介していきましょう。 ★A1 “20 Jazz Funk Greats” (2:51)は、如何にもTGらしいダウナーなリズムを刻む曲で、勿論、ジャズでもファンクでもないです。シンセとコルネットでとにかく憂鬱な気分にさせられます。 ★A2 “Beachy Head” (3:42)も、リズムレスで、更にダウナーな曲です。自殺する人の頭の中の諦念を見事に描写しています。 ★A3 “Still Walking” (4:56)は、パンで左右に振られたリズムマシンとノイズGやVlnの軋む音から成る曲ですが、囁く様な男女Voの絡みに反吐が出そうです。 ★A4 “Tanith” (2:20)では、ワウを掛けたBと鉄琴のフリーな絡みから成るリズムレスな曲で、地縛霊のように飛び跳ねることが出来ない。 ★A5 “Convincing People” (4:54)は、ライブでも良く演奏されている曲で、6/8拍子の独特のリズムマシンとシークエンスに、暗雲たるノイズが被さって、抑制的なGene-PのVoも冴えてます。 ★A6 “Exotica” (2:53)は、また鉄琴の演奏で、浮遊する魂がふらふらしているようなリズムレスな曲で、逆に陰鬱。 ★B1 “Hot On The Heels Of Love” (4:24)は、後のChris & Coseyの原型になる様な四つ打ちキックとシーケンスにCoseyの囁くようなVoが乗る曲で、ポップなトラックです。しかし鉄琴の音は虚ろです。 ★B2 “Persuasion” (6:36)も、ライブで良く演奏される曲で、単調なBとGene-Pの邪悪なVo、それにSleezyのテープ音やGノイズから成り、これまた鬱々としています。 ★B3 “Walkabout” (3:04)は、またもやChrisの打ち込みが冴えるシンセポップな曲で、TGってアルバムに、こう言う曲を混ぜるから困ります。 ★B4 “What A Day” (4:38)は、テープによる単調な反復リズムにGene-Pの叫び声から成る強力な曲です。憤怒の唄! ★B5 “Six Six Sixties” (2:07)は、ライブ録音と思われる粗いリズムマシンとB?G?によるノイズ、それにGene-Pの呪詛のようなVoから成る曲です。 まあ、あんまりメンタル弱っている時に聴く音楽ではないですが、それでも当時の一種の閉塞感みたいなものが詰め込まれており、しかも、B1やB3の様なハッピーエンドを伺わせる曲も混じっているのが救いですかね。本作品は、ジャケ写のように、何気ない景色/風景の中に鬱屈した薄寒い「負の何か」があるような事象を的確に掴んで、それを抽出・増幅しており、その意味ではTGのアルバムの中でも傑作なのではないでしょうか?ブックレットの軍服姿の4人はそれを差し引いても、カッコ良いですが、、、ただ、内容は良いので、2枚組とかでじっくり聴きたい一枚ではあります! https://youtu.be/EEsjrg9j2c4?si=tpBQ0eJAVSPEecf2 [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_miBdBiuGRWWq6kDf2jruN6lmf6wMDNpkg&si=ttTOlAt3CBpM6R6Z #ThrobbingGristle #20JazzFunkGreats #MuteRecords #IndustrialRecords #Reissue #Remastering #1979年 #2017年 #GreenVinyl #Industrial #Electro #Synthesizers #DrumMachine #Bass #Guitar #Tapes #GenesisP-Orridge #CoseyFanniTutti #ChrisCarter #PeterChristopherson #Sleezy
Industrial / Electro / Noise Mute Records (Industrial Records) 不明Dr K2
-
Buzzcocks “Love Bites”
またまた来ましたよー。皆んな大好き、Buzzcocksの登場です!今回は、彼等のセカンド・アルバム”Love Bites”を紹介します。Buzzcocksのバイオグラフィーについては、前回、書きましたので、そちらをご参照下さい。因みに、バンド名の意味は、「唸るチ◯ポ」ではなくて、「Buzzとはステージ上の興奮を、Cockとは北英国のスラングで友達を表すことから、『ステージ上で熱狂する友人達』」のことですから。なお、Buzzcocksは、前回書きましたが、ちょっとだけ補足をしておきます。3枚目のアルバム”A Different Kind of Tension”を出した後、4枚目のアルバムのデモテープを制作中の1981年に解散してしまいましたが、1988〜1989年に、EMIがBuzzcocksの初期のアルバムのバックカタログをCDフォーマットで再発したことや、BBCのJohn Peel Sessionでの録音盤やボックスセット”Product”をリリースしたことで、Buzzcocksは、オリジナル・メンバーで世界ツアーを行うことになりますが、ドラムのJohn Maherは、The SmithsのMike Joyceにツアー中だけ代わってもらってます。そうして、彼等はリユニオンし、4曲入りEP”Alive Tonight”を新録で出し、本格的に復活します。I.R.S. Recordsが、1991年にセルフ・コンピ・アルバム”Operator's Manual: Buzzcocks Best”を出したことから、米国でも彼等への関心が高まります。その後もBuzzcocksは盛んにツアーやリリースで活動を続けています。その中でも、2002年には、ShelleyとHoward Devotoは、1976年以来初めて、コラボ・アルバム”Buzzkunst”を制作し、リリースしていますが、内容は、エレクトロ・ミュージックとパンクを合わせたものだそうで、個人的には是非聴いてみたい作品ですね。前回と書きましたが、Vo/GのPete Shelleyが、2018年12月6日にエストニアのTallinの自宅で、心臓発作で他界してしまいます。その後をことを少し。Buzzcocksは、Shelleyに捧げると言う意味で、様々なゲストVoを入れて活動を続けましたが、彼等はバンドを続ける為に、Steve Diggle (G)が全てのVoを担当することとし、そう言った新体制でのアルバム”Sonics in the Soul”を2022年9月にリリースし、現在も活動中です。 本作品は、ファースト・アルバム”Another Music In A Different Kitchen”のリリース後、6ヶ月後にリリースされたと言うと、「即席アルバム』と思われるかもしれませんが、曲自体の構想が既にあって、かつファーストの評判も良かったことから、このスピード感で、本作品がリリースされたのだと思います。そう言う忙しない行程でリリースされた本作品ですが、1978年のアルバム・チャートは13位を獲得し、26日間の英国ツアー後、シングルカットされた”Ever Fallen in Love (With Someone You Shouldn't've)"は、1978年10月の英国チャートで12位にまで昇り、また12月にリリースしたシングル”Promises”も英国チャートで20位にまで達しています。また、シングルB面の”Lipstick”は、Magazineのデビュー・シングル”Shot By Both Sides"と同じコーラス・パートを使っていたのは良く知られた事実です。それで、セカンド・アルバムである本作品録音時のメンバーは、Pete Shelley (Vo, G, Kbd), Steve Diggle (G, Vo), John Maher (Drs), Steve Garvey (B)です。では、本作品の内容(A面6曲/B面5曲)について、各曲を紹介していきましょう。 ★A1 “Real World” (3:29)は、GのリフとBのリフがソリッドで、Shelleyの独特の声質のVoが良く映え、メロも切ないです(Pere Ubuの曲とは同名異曲)。 ★A2 “Ever Fallen In Love (With Someone You Shouldn't 've?)” (2:40)は、もう何も言うことの無い名曲中の名曲ですね。スピード感もソリッドな音そしてShelleyのVoの魅力が一杯詰まっています。 ★A3 “Operators Manual” (3:30)も、ゴタゴタしたリズム隊にGのコード弾きが乗り、サビでは3拍子になると言った、彼等にしては珍しいアレンジの曲です。 ★A4 “Nostalgia“ (2:51)は、典型的はBuzzcocksサウンドです。スピード感も申し分も無く、Shelleyも歌いまくっており、ちょっと甘酸っぱいメロにも興奮します。 ★A5 “Just Lust” (2:57)も、正にBuzzcocksそのものな曲で、更に早いテンポでのパンクな演奏で痺れますね。メロディ・ラインもエクセレント! ★A6 “Sixteen Again” (3:14)も、最早、金太郎飴なんですが、ソリッドでカミソリのような演奏に、歌いまくるShelleyのVo、もう堪りません!ちょっと甘酸っぱいところもミソです。これは1st収録曲”Sexteen”へのアンサーソングでしょうか? ★B1 “Walking Distance” (1:58)も、MaherのタイトなDrsとスピード感溢れるBとG、これだけでご飯3杯お代わりできます。因みにインスト曲です。 ★B2 “Love Is Lies” (3:10)は、意外にアコギを使った曲で、英国らしいアンサンブルが感じられ、Shelleyもしっとり気味に歌っています。隠れた名曲ですね。 ★B3 “Nothing Left” (4:23)では、ロータムのDrs後、堰を切ったように、始まるソリッドな演奏とShelleyのVoがビンビンにパンク心を刺激します。間奏のGソロもフリーキーでカッコ良いです。 ★B4 “E.S.P.” (4:39)も、2本のGを上手く使ったアレンジで、パンキッシュでソリッドな演奏に、同じリフを弾き続けるGが心地良く、素晴らしいです! ★B5 “Late For The Train” (5:51)では、リズムマシンのようなMaherのタイトかつ変則的Drsに、BとGの刻みがマッチしており、途中で、逆回転Gソロが挿入されるところもちょいと実験的なインスト曲で、グッときますね。そしてブレイクも! 個人的には、このアルバムも楽しめましたねぇ。元々は、私はセルフ・コンピ”Singles Going Steady”CDで、Buzzcocksを聴いていたのですが、そうすると、如何にもパンクな曲しか収められてはおらず、個々のアルバムに含まれているちょっと変わった毛色/実験的な曲を聴き逃してしまってました。例えば、A3のアレンジ、B1やB5のインスト曲やB2でのアコギを使った曲等も、ちゃんと聴いてこなかったのは後悔しました。それから、今回、聴いてみて思ったのは、John Maherのドラムの凄さです。勿論、Buzzcocksの魅力はそのソリッドなアンサンブルなんですが、とにかくそれを支えているMaherのDrsは凄いです。そんな発見をしたアルバムです。パンクのオリジネーターの諸バンドは、やはりひと癖あるので、パンクだからと馬鹿にせずに聴いてみて下さい❗️ A2 “Ever Fallen In Love (With Someone You Shouldn't 've?)” [live version] https://youtu.be/rQgjLkVzd8A?si=zy7Fq-kZms04QIYb [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mYTm4eShV63LiQ11dQ2O-uzPqHlAa487E&si=yNIhQT747OrW-zYy #Buzzcocks #LoveBites #Fame #UnitedArtistsRecords #Reissue #SecondAlbum #Punk #PowerPop #1978年 #Manchester #Bisexuality #LoveSong #SolidSound #Vocal #PeteShelley #SteveDiggle #JohnMaher #SteveGarvey
Punk / Power Pop Fame (United Artists Records) 3800円Dr K2
-
Bill Nelson “A Catalogue Of Obsessions”
ちょっと気になり出したBill Nelsonのソロ作品を集めようかなぁと思って、思わず、ポチりました。本作品”A Catalogue Of Obsessions”は、1985年にリリースされた4枚組ボックス・セット”Trial By Intimacy (The Book Splendours)”の1部として制作されています。その他3作品として、このボックス・セットは、”The Summer Of God's Piano”, “Chamber Of Dreams (Music From The Invisibility Exhibition)”, “Pavilions Of The Heart And Soul”から構成されており、この時点では、全て未発表曲から成っており、また、先述のボックス・セットは、Nelsonの写真集”The Arcane Eye”とパックになっています。彼自身の言葉によれば、これらの作品は「音のスケッチ・ブック」であり、未発表曲集ではないとのことです。多分、思い付いたメロディをそのまま、宅録で曲らしく録音していったものを集めたと言う意味だと思います。なので、音質や完成度は敢えて無視してリリースされていたのだと思います。Be-Bop DeluxeからRed Noiseそして、ソロと言う風に変遷してきたBill Nelsonの1980年代の活動において、このボックス・セットは一つのエポック・メイキングな作品であり、それ故に、このアルバムもその1/4を構成しているので、重要な作品であることが理解出来ると思います。まあ、Nelson本人は、「音のスケッチ」と言っているので、このような短い曲のオンパレードになっているのだとは思いますが。内容としては、本作品には、両面10曲ずつ収録されています。それでは、各曲について紹介していきましょう。あっ、因みに、Nelsonは、3回結婚しており、現在の妻はYMOの高橋幸宏の娘Emikoさんです(あんまり関係ないですね、すまん!)。 ★A1 “Sex Party Six” (4:44)は、ゆっくり走る機関車のような電子リズムとミニマルなシーケンスになだらかなメロディの曲で、時々インドっぽくて牧歌的。 ★A2 “Wider Windows For The Walls Of The World” (2:16)は、やや金属質なリズムマシンとマリンバによる異国情緒漂う曲です。打ち込みのセンスが良い。 ★A3 “Time In Tokyo” (3:05)は、ややスローで、日本的と言うよりチャイナ的なメロディのエレクトロな曲ですが、YMOの「駄目な」部分を感じてしまいます。 ★A4 “Happily Addicted To You” (1:03)は、ハープのようなシンセのアルペジオとアコギの組合せが斬新な曲です。 ★A5 “Snakes With Wings” (2:09)は、スローでやや重めの曲で、シーケンスの上のサブメロ・シンセが心地良い。タイトルは「龍」のことかな? ★A6 “The Boy Pilots Of Bangkok” (2:29)は、機械的な音色リズムマシンに何となくYMOチックなメロディがちょっと残念な曲。でも打ち込みのセンスは良い。 ★A7 “Erotikon” (1:49)は、重めのリズムとシーケンスに針のようなメロディと緩やかなメロディの攻めが合いが面白い曲です。 ★A8 “Birds In Two Hemispheres” (1:45)も、嗚呼、YMO的だなぁと思ってしまうような電子音楽です。シンセ・ソロは良いのにぃ! ★A9 “Windmills In A World Without Wind” (2:24)は、ノンビートのアンビエントな曲ですね。電子音系クラウトロックっぽいかな?潜水艦の中のような感じ。 ★B1 “Love's First Kiss” (1:41)も、ゆったりとしたアンビエントな曲ですが、リズムなあって、女性のナレーション入りです。 ★B2 “Initiation Of The Heart's Desire” (2:01)は、アルペジオ・シーケンスが心地良い曲で、ややアンビエント風かな? シンセのメロも良い。 ★B3 “Edge Of Tears” (1:49)は、ゆったりとしたアンビエント風アレンジの優しい曲です。流れるようなリズムが心地良いです。 ★B4 “Test Of Affection” (2:28)は、弦楽四重奏を思わせるようなシンセのダビング音に乗せて、くすぐったいようなシーケンスと晴れやかなメロが効いた曲。 ★B5 “Words Across Tables” (1:51)は、逆回転のリズムマシンとシーケンスに合わせての、シンセのメロディが印象的な曲です。 ★B6 “A Promise Of Perfume” (3:09)では、リズムマシンとシーケンスとアコギの絶妙な組合せを堪能できます。 ★B7 “This Dangerous Age” (2:05)では、波状の多層化したシーケンスに合わせて、なだらかなシンセがソロを弾きまくります。 ★B8 “The Glass Breakfast” (1:53)も、弦楽四重奏的シンセに、SE的電子音と優しいメロディのシンセから成る曲です。 ★B9 “Talk Technique” (2:12)では、コチャコチャしたリズムマシンとシーケンスに柔らかいシンセのメロディと男児と男性Voがハマります。 ★B10 “The Last Summer For Dancing” (2:10)でも、逆回転リズムマシン同期の正回転スネアとシンセのメロが冴えています。凝ってる曲だなあ。 ★B11 “View From A Balcony” (1:55)は、静かな波の如く湧き上がる電子持続音とメロから成るアンビエントな小曲で、これでアルバムを締めています。 聴いた感じの総合では、A面は大体がYMOの陰がチラチラ見えるリズミックな曲が多い印象で、A面最後辺りからB面は、ゆったりしていて、リズムマシンを余り使用しないアンビエントな雰囲気が強いですね。個人的には、アンビエントな曲にはYMOっぽさが無いので、安心できます(YMOファンのリスナーさん、ごめん!)。まあ、Nelson自身がスケッチ的なアルバムと言っているように、曲はあくまでも思い付いたメロとかシークエンスを試して、そこに肉付けしましたと言う感じなので、これらの短い曲(の素)を更に発展は出来ると言うことなのでしょう。その意味では、多彩なアレンジで面白かったです。他の3部作も聴いてみたくはなりますね❗️ クレジット曲順 A1 “Sex Party Six” (4:44) A2 “Wider Windows For The Walls Of The World” (2:16) A3 “Time In Tokyo” (3:05) A4 “Happily Addicted To You” (1:03) A5 “Snakes With Wings” (2:09) A6 “The Boy Pilots Of Bangkok” (2:29) A7 “Erotikon” (1:49) A8 “Birds In Two Hemispheres” (1:45) A9 “Windmills In A World Without Wind” (2:24) B1 “Love's First Kiss” (1:41) B2 “Initiation Of The Heart's Desire” (2:01) B3 “Edge Of Tears” (1:49) B4 “Test Of Affection” (2:28) B5 “Words Across Tables” (1:51) B6 “A Promise Of Perfume” (3:09) B7 “This Dangerous Age” (2:05) B8 “The Glass Breakfast” (1:53) B9 “Talk Technique” (2:12) B10 “The Last Summer For Dancing” (2:10) B11 “View From A Balcony” (1:55) https://youtu.be/aK1_63mkfxY?si=BimtgPbeK-KLUg6i #BillNelson #ACatalogueOfObsessions #CocteauRecords #SoloAlbum #TrialByIntimacyTheBookSplendours #BoxSet #NewWave #ExperimentalPop #AllInstruments #TheSummerOfGodsPiano #ChamberOfDreams #MusicFromTheInvisibilityExhibition) #PavilionsOfTheHeartAndSoul #PhotoBook #TheArcaneEye #SoundingTheRitualEcho #Multi-Instrumentalist
Synth Pop / Experimental Pop Cocteau Records 2574円Dr K2
-
Be-Bop Deluxe “Drastic Plastic”
またまた出ましたよ!Be-Bop Deluxeの5枚目にして最後のスタジオ・アルバム”Drastic Plastic”です。今回の参加メンバーも、Bill Nelson (Vo [A1-B3, B5, B6], G), Charles Tumahai (B [A1 to B3, B5, B6], Back-Vo [A1-A3, B3]), Andy Clark (Mini-Moog [A1; A3, A4, B1, B5], Poly-Moog [A1-B1, B5]), Simon Fox (Drs [A5-B3, B5, B6])で、プロデュースもBill NelsonとJohn Leckieです。なお、ジャケのデザインはHipgnosis(ヒプノシス)が担当しています。と言う訳で、この次に、Bill Nelsonは、Andy Clarkを誘って、Bill Nelson’s Red Noiseへとシフトしていきますが、Nelson自身が語っているように、このアルバム収録曲とRed Noiseのアルバム収録曲は、同じような時期に作られていますので、それ程の断絶は無く、一連の流れとなっています。Red Noiseへの移行のことは、以前にも書きましたので、そちらをご参照下さい。あと、Clarkは、本作品では、シンセだけを弾いており、恐らく当時のエレ・ポップの走りを意識したのではないかと思われます。それでは、本作品の各曲を紹介していきたいと思います。 ★A1 “Electrical Language” (4:48)では、エフェクトを掛けたVoやポリシンセを前面に押し出したアレンジは明らかにニューウェーブ路線ですね。間奏もMini-Moogだし。ただもう少しVoをハッキリさせて欲しかった! ★A2 “New Precision” (4:29)は、Fischer-Zにも少し似た曲調ですが、まだこちらの方が間奏のGソロなんかはプログレ的/ギターロック的ですね。しかし、ビートのパタンがモダーンですし、泡ブクブクの音も。 ★A3 “New Mysteries” (4:44)は、ややファンク調のリズムですが、それ程「黒い」訳ではなく、やはりポストパンク的なノリに近いかも知れません。またこの曲ではGのリフがやや目立ちます。 ★A4 “Surreal Estate” (5:00)は、リリカルなピアノで始まる可愛らしい曲で、Percが楽しげです。まだ、Red Noise程ではないですが、シンセ音が散りばめられています。 ★A5 “Love In Flames” (4:08)は、いきなりアップテンポのDrsで始まる疾走感のあるニューウェーブな曲で、切迫感のある曲調も含めてカッコ良く、オルガンらしき音のリフやGソロも最高です! ★B1 “Panic In The World” (5:03)は、古めかしいブギ的曲調なんですが、シーケンサーやシンセ音も加わわり、全体としては「ニュー」な印象となっています。 ★B2 “Dangerous Stranger” (3:05)は、アコギを使っていますが、パンク/ニューウェーブな曲で、少しだけブギの要素も入っていて、カッコ良いです。 ★B3 “Superenigmatix (Lethal Appliances For The Home With Everything)” (2:10)は、B2から連続しており、この曲もニューウェーブ的な曲で、ピアノと共にシンセも使われており、Voスタイルも新鮮です。 ★B4 “Japan” (2:34)は、それ程東洋趣味な曲ではありませんが、Percの音色が多少そんな感じでしようか?それっぽくしようとしているのは分かります。 ★B5 “Possession” (2:33)も、Voスタイルと歌詞及び曲調もニューウェーブ的な曲ですね。サビはややプログレ的な印象も多少あるかな?後半のシンセはグー! ★B6 “Islands Of The Dead” (3:44)は、アコギの弾き語りから始まるしっとり、まったりした曲で、この曲で締めるかあ!と思わず叫びたくなりますね。 前回、紹介したアルバム”Sunburn Finish”よりも、ずっとニューウェーブな曲調が感じられますが、後のRed Noise程ではないので、1978年当時の流行り(パンク〜ニューウェーブ)を取り込もうとしていることや、プロデューサーにJohn Leckieも加わっていることも含めて、随分モダンなアルバムに仕上がっているとおもいます。この傾向は特にB面で顕著ですね。なので、1970年初期から出てきたバンドが、1970年代後半当時の音楽からどんな影響を受けたかを知る上で、重要なアルバムです❗️皆さんも聴いてみましょう! B5 “Possession” https://youtu.be/jGPUBoVN_Wk?si=M3Hoazeljv1nEPq8 [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nSvLfqKEpLrjmtlEvNUP3q7iEh1qChYQI&si=9wcisImcccUa_uH4 #Be-BopDeluxe #DrasticPlastic #HarvestRecords #5ThStudioAlbum #GlamRock #NewWave #BillNelson #CharlesTumahai #AndyClark #SimonFox #Producer #JohnLeckie #Hipgnosis #Synthesizers
Glam Rock Harvest Records 不明Dr K2
-
Bill Nelson “The Love That Whirls (Diary Of A Thinking Heart) / La Belle Et La Bête (Beauty And The Beast)“
今回は、Be-Bop Deluxe〜Red Noiseと良質なポップ・ミュージックを作り続けてきたBill Nelsonのソロ作品として4作目”The Love That Whirls (Diary Of A Thinking Heart) / La Belle Et La Bête (Beauty And The Beast)“をご紹介します。どうも調べてみると、前者単体1枚だけのものと、2枚組み仕様のものがあるようです。今回は、後者の2枚組みの方をご紹介します。その前に、Bill Nelsonのソロ・アーティストとしてのバイオグラフィーについて、ご紹介しておきます。Bill Nelsonは、英国YorkshireのWakefield出身で、弟Ian Nelsonとは、Be-Bop Deluxeの名曲”Ships In The Night”を共作し、Flat Lux成るバンドも結成しており、1979年には、Ian Nelsonは、Red Noiseの”Sound On Sound”にも参加して、更に、2004年のBill Nelson & The Lost Satellitesのツアーにも参加しています。話しを戻しますと、Bill Nelsonは、地元のWakefield College of Artに通っていましたが、その時には、詩人で映像作家でもあるJean Cocteauに興味を持っており、同時に、ミュージシャンとしては、ギタリストDuane Eddyに影響を受けていました。Nelsonの最初のレコードは、Brian Calvert, Chris Coombs, Ted Hepworth, Mike Levon and Brian Wilsonと制作したアルバム”A-Austr: Musics from Holyground”です。その後、1971年にAstral Navigations のアルバム”Lightyears Away”にも参加、このアルバムで、アシッド・ロック・スタイルでの演奏で、重要な役割を果たします。Nelsonは、1973年に、ファースト・ソロ・アルバム”Northern Dream”を自身のレーベルSmileからリリースし、BBCラジオのDJ John Peelの気を引いたこともあって、彼のバンドBe-Bop Deluxeは、EMIの傘下Harvest Recordsと契約し、1974年に、Be-Bop Deluxeのアルバム”Axe Victim”をリリースしています。翌年には、オリジナル・メンバーを入れ替えて、セカンド・アルバム”Futurama”をリリースします。この時のメンバーBill Nelson (G), Andrew Clark (Kbd), Charlie Tumahai (B), Simon Fox (Drs)で、1976年にアルバム”Sunburst Finish”と”Modern Music”の2枚を、1977年には、ライブ・アルバム”Live! In The Air Age”をリリースし、1978年には、このメンバーでの最後のアルバム”Drastic Plastic”を出しています。Nelsonは、固定メンバーでの演奏や録音に困難さを覚え、アルバム”Drastic Plastic”のインスト曲では、Foxの叩いたDrsをループさせて、Nelson (A-G)とClark (Kbd)だけが演奏すると言う実験的な録音も行っています。また、以降のソロ作品ではアンビエント調になっていきます。1983年のInvisibility Exhibitionツアーでは、こうやって作ったバックトラックに合わせて、Bill Nelson (G)とIan Nelson (Sax)が演奏する形態で行っており、後にアルバム”The Chamber of Dreams”としてもリリースしています。この方法は、2003年作と2015年作のソロアルバム”Painting With Guitars”シリーズや2007年作”And We Fell into A Dream”でも使われています。そうして、1978年秋には、TumahaiとFoxを解雇し、Be-Bop Deluxeを解散します。そして、新バンドRed Noiseを結成し、1979年2月にアルバム”Sound On Sound”をリリースします。ただ、Harvest側は、Red Noiseのセカンド・アルバム”Quit Dreaming And Get on the Beam”のリリースには難色を示し、お蔵入りしてしまいます。その頃、Nelsonは、プロデューサーのJohn Leckieと知り合い、またパンクバンドThe SkidsのStuart Adamson (G)とRichard Jonson (Vo)とも親交を深めています。マネージャーのMark Ryeは、Harvestと話合い、Nelsonの未発表曲を一部を、RyeとNelson自身のレーベルCocteau Recordsからリリース出来るようにしており、シングル”Do You Dream in Colour?"をリリース、BBC1ラジオもこれを掛けまくって、英国シングル・チャートで52位まで行きます。それで、大手のPhonogramが版権を買い取り、1981年にアルバム”Quit Dreaming And Get on the Beam”をMercury Recordsから出しています。このアルバムは宅録された実験的アンビエントのインスト曲”Sounding The Ritual Echo (Atmospheres for Dreaming)”もボートラで収録されています。そして、次のアルバム”The Love That Whirls”を出しますが、このアルバムには、Jean Cocteauの1946年作映画”La Belle et la Bête/Beauty and the Beast”のサントラ盤も付いています(これが、本作品となります)。同時に、Cocteauの”Das Kabinet”のサントラや、Robert Wieneの映画”The Cabinet of Dr. Caligari”のサントラも制作しています。その後、Nelsonは、この時期に膨大な数のシングルやアルバムをCocteau Recordsより出しています。そうして、Nelsonは、実験的エレクトロ・ミュージックから成る4枚組みLPsボックス”Trial by Intimacy (The Book of Splendours)”やアンビエントの2枚組みアルバム”Chance Encounters in the Garden of Lights”を、更には、1989年にも4枚組みCDボックス”Demonstrations of Affection”も出しています。この頃には、英国ニューウェーブにも、彼の名が知られ、Gary Numanは好きなギタリストとして、Nelsonを名を挙げており、また、David Sylvianの1986年作アルバム”Gone to Earth”にもゲスト参加したり、1987年放映のTVドラマ”Brond”にも曲を提供しています。また、1980年代には、CBS Records傘下のPortrait Recordsは契約上のミスから、アルバム”Getting the Holy Ghost Across” (米国題名 “On a Blue Wing”)を出し損ねたりした為か、Nelsonは、1980年代後半は、Enigma Recordsと契約していますが、1980年代には、彼は、離婚や印税問題、マネージャーとのシビアな著作権問題、またはマネージャーが勝手に未発表アルバムをメールオーダーで売っていた問題等で、精神的にも参ってました。しかし、1992年になると、4本のギターと2台のドラムで作ったデモ音源からアルバム”Blue Moons”と”Laughing Guitars”をVirgin Recordsからリリースしています。そうして、宅録ワークから4CDs+2CDs作品”My Secret Studio”と6CDs “Noise Candy”をリリース、同時に、彼は、Rodger EnoとプロデューサーのKate St Johnとで、アルバム”The Familiar”を制作。これがキッカケで、アンビエントのスーパー・グループChannel Light Vesselを結成しています。1995年に、Nelsonは、2枚の趣向の異なるアルバムを出します。一つは、インスタレーションに使うようなアルバム”Crimsworth (Flowers, Stones, Fountains And Flames)”を、もう一つは、ギターでのインスト・アルバム”Practically Wired, or How I Became... Guitarboy! ”です。そして、翌年には、NelsonはBとDrsと共に、David Bowieから影響を受けたアルバム”After The Satellite Sings”を制作しています。翌年1996年までに、先述のマネージャーとのトラブルは解決し、晴れて、アルバム”Simplex”を2001年と2012年にリリースすることができました。また、1990年代後半に、Nelsonは、レーベルPopuluxeを立ち上げ、Robert FrippのDiscipline Global Mobileと配給を協力しますが、次第に低迷していきます。それで、1998年に、彼の新レーベルでは最後になったアルバム”Atom Shop”をリリースしています。まだまだ、2000年以降も活動しているのですが、長くなり過ぎるましたので、この位で辞めておきます。 それで、本作品なのですが、LP1 “The Love That Whirls (Diary Of A Thinking Heart)”では、ほぼ全ての楽器をBill Nelsonが演奏しています(Casio MT 30, Synth [Casio VL-1, Mini-Moog, ARP Omni String Machine], Marimba, Autoharp, Drum Machine [Roland TR808], Effects [Fostex 3050 Digital Delay, Eventide 910 Harmonizer, Marshall Time Modulator, MXR Phase 100])。そうして、両面とも6曲ずつ収録されています。それでは、各曲について紹介していきましょう。 LP1: The Love That Whirls (Diary Of A Thinking Heart) ★A1 “Empire Of The Senses”は、リズムマシン(通称「ヤオヤ」)を用いたノリの良い曲で、ファルセットも混じえたVoが程良いスパイスになっています。マリンバのフレーズも小気味良い! ★A2 “Hope For The Heartbeat”は、やや中華風のメロディの曲で、正直、YMOなんかよりも良い感じに仕上がっています。ベースラインはミニマルです。 ★A3 “Waiting For Voices”は、ゆったりしたシンセの波から成るインストの小曲です。 ★A4 “A Private View”も、良質なポップ・ミュージックで、シンセやドラムマシンのアレンジが秀逸です。間奏のギターソロも伸び伸びしていて良い感じです。 ★A5 “Eros Arriving”は、疾走感あるドラムマシンで始まる曲ですが、途中で中華風のサビやファルセットVoも挟んで、飽きさせないですね。 ★A6 “The Bride Of Christ In Autumn”は、目一杯シンセとかエレピなどを使った豪華なインストの小曲で、リズムに逆回転のパルスを用いてます。 ★B1 “When Your Dream Of Perfect Beauty Comes True”は、カッコ良いリズムマシンとシーケンスに、軽やかなマリンバが踊るインスト曲で、それに絡むシンセもまた良いです。意外とミニマル。 ★B2 “Flaming Desire”は、重めで強力なリズムマシンを中心に、NelsonのVoも良くマッチしており、また脇を固めるシンセも捨て難いリフで、カッコ良いです。 ★B3 “Portrait Of Jan With Flowers”では、如何にもなリズムマシンの音と、2台分のピアノの絡みが美しいインストの小曲に仕上がっています。 ★B4 “The Crystal Escalator In The Palace Of God Department Store”も、独特のパターンのリズム隊に、ギターとシンセが乗って、バックを固め、そこに乗る落ち着いたVoも効いています。 ★B5 “Echo In Her Eyes (The Lamps Of Oblivion)”も、ゆったりしたシンセによる小曲で、これはアンビエントと言ってもよいのでは? ★B6 “The October Man”は、スケールのデカい曲で、テンポ、ギター、打ち込み、シンセ、Vo、どれを取っても完璧で、心地よいポップ・ミュージックです。 この1枚を聴くだけで、如何にBill Nelsonが音楽好きかがよく分かります❗️そして、それを具現化するだけのテクとセンスと機材を持っていたと言うのも重要な点です。それと、音が結構詰まっているようにも思えるのですが、聴いている時は、そんなゴチャゴチャな感じは無く、スッキリと聴くことが出来るので、彼のアレンジ力も侮れないなと思いました。と言う訳で、この1枚だけでも、是非聴いてみて下さい‼️ では次に、本作品の付録的な2枚目よサントラ・アルバム”La Belle Et La Bête (Beauty And The Beast/ 美女と野獣)”を紹介していきましょう。こちらは、C面9曲/D面18曲が収録されていますので、1曲ずつの紹介ではなくて、全体の紹介をしていきたいと思います。The Residentsの”The Commercial Album”の如く、短いけれどもメロディやハーモニーのある曲や小鳥の鳴き声や馬の足音等がバックで聞こえる曲が詰まっています。メロディのあるものが多いですが、中には一瞬で終わるSE的な曲(?)もあります。ここら辺のコンパクトでもちゃんと聴かせるセンスが流石としか言いようがありませんね。音楽の方もそうですが、これがサントラとして使われた映像作品の方も観たくなりますね。 LP2: La Belle Et La Bête (Beauty And The Beast) C1 “Overture” C2 “The Family” C3 “Sisters And Sedan Chairs” C4 “In The Forest Of Storms” “The Castle” C5-A “The Gates” C5-B “The Corridor” C5-C “The Great Hall” C5-D “Dreams (The Merchant Sleeps)” C5-E “Fear (The Merchant Wakes)“ C6 “The Rose And The Beast” C7 “Magnificent (The White Horse)” “Beauty Enters The Castle” C8-A “The Door” C8-B “The Mirror” C8-C “Candelabra And Gargoyles” C9 “Beauty And The Beast” D1 “Transition No. 1” D2 “Transition No. 2” D3 “The Hunt” D4 “The Gift” D5 “The Garden” D6 “Transition No. 3” D7 “Transition No. 4” D8 “The Tragedy” D9 “Transition No. 5” D10 “The Enchanted Glove” D11 “Tears As Diamonds (The Gift Reverses)” D12 “The Beast In Solitude” D13 “The Return Of Magnificent” D14 “Transition No. 6 (The Journey)” D15 “The Pavilion Of Diana” D16 “Transformation No. 1” D17 “Transformation No. 2” D18 “The Final Curtain” と言う訳で、音楽に取り憑かれた天才Bill Nelsonの4作目のアルバム”The Love That Whirls”と、映画「美女と野獣」のサントラを聴き直してみましたが、やはり彼の才能には当てられてしまいました❗️Be-Bop DeluxeやRed Noiseも良いですが、ソロ作品も彼独自の「美学」があって良いです。なので、皆さんも是非とも聴いてみて下さい❗️ [LP1: full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_l45KW5UxyIppGrMRu-G06X_orG7qFl2RE&si=wZjLsLnySJQRiRBK C5 “The Castle” https://youtu.be/Xi8nfST_cDY?si=wuvz8lR8xTckC3Fj D17 “Transformation No. 2” https://youtu.be/fNx0iz-UBb4?si=iSXotIBXHI7UtxZJ D18 “The Final Curtain” https://youtu.be/ts9WcfN9Jpo?si=uO57Nxjblbq0Qztd #BillNelson #TheLoveThatWhirls #DiaryOfAThinkingHeart #LaBelleEtLaBête #BeautyAndTheBeast #MercuryRecords #SoloAlbum #4ThAlbum #CompleteSolo #Multi-Instrumentalist #PopMusic #Electro #Soundtrack #Guitar #Synthesizers #DrumMachine #Vocal #Instrumental
Electro Pop MERCURY Records 不明Dr K2
-
XTC “Drums And Wires””
そう言えば、XTCの初期のアルバムは集めてたなと思って発掘しました。4枚目のスタジオ・アルバム”Drums And Wires”を今回はご紹介します。ある意味、ごく初期のテクノポップをやっていたXTCから、英国的ポップ・ミュージックの道に進路転換した作品でもありますね。と言うのも、Barry Andrews (Kbd)が脱退して、Kbdも弾けるギタリストDave Gregoryが加入したからです。つまり、Kbd奏者を代わりに入れてテクノポップを進化させるのではなく、ギタリスト兼Kbd奏者を加入させることで、よりテクノポップの文脈から逸脱しようとしたからです。そう言う背景で制作された、最初のアルバムが、この”Drums And Wires”です(アルバム・タイトルも洒落が効いてますね(要するにバンドってことかな?)。それでは、各曲について紹介していきましょう。 ★A1 “Making Plans For Nigel” (4:13)は、シングルカットもされた名曲で、細部にまでエフェクトや音色に注意が払われており、正にポップスの極み! ★A2 “Helicopter” (3:54)も、少し奇妙な転調や譜割りもしますが、軽快なビートに乗せたPartridgeのセンスが光ります。 ★A3 “Life Begins At The Hop” (3:45)は、次のアルバム”Black Sea”に繋がることを予見させるようなメロディラインがワクワクさせてくれる曲です。コーラスも完璧! ★A4 “When You're Near Me I Have Difficulty” (3:20)は、何処かセカンド”Go2”からの作風を引っ張っていますが、それ程、専属Kbdが居ないことを意識させないです。 ★A5 “Ten Feet Tall” (3:12)は、この頃の彼等にしては珍しく、アコギを使ったソフトなポップネス全開な曲で、間奏のGやサビのコーラスも絶妙!染みるなぁ。 ★A6 “Roads Girdle The Globe” (5:11)は、結構大胆な音作りで、Drsの録り方にも一工夫施されています。ちょっとだけ使われているシンセとかがボディブローのように効果的に効いてきます。 ★B1 “Real By Reel” (3:46)でも、効果的なシンセと強力なDrsが活きているポップ・ソングです。やはり”Black Sea”への布石のような曲調。 ★B2 “Millions” (5:37)では、ややファットなBに、2本のGが上手く絡み合っている曲で、ちょっと実験的なスパイスも感じられる。最後の絡みは意外だった! ★B3 “That Is The Way” (2:56)は、ちょっと変わった構成から成る曲で、ハワイアンのようなスライドGや、はたまた間奏のトランペットが活かしています。 ★B4 “Outside World” (2:40)は、アップテンポで、元気一杯な曲で、少しだけだが、パンクっぽいけれど、ポップネスは保持しています。 ★B5 “Scissor Man” (3:59)も、ひと癖のある曲調ですが、上手くポップソングに昇華していますし、それが故に、唯一無比です。サビのDrsは彼等しか思いつかないなと思う。また、ダブ的なミックスも光る❗️ ★B6 “Complicated Game” (4:53)は、出だしからしてやや実験的だが、いざ本番の演奏が始まると、Partridge節のVo(段々とエコーが深くなっていく)が炸裂します。 個人的には、PartridgeのVoよりもMouldingのVoの方が好きなので、自ずと後者の曲の方に魅了される訳ですが、それでも、XTCのキモは、2人の作曲能力とかアレンジ能力とかが見事な化学反応を起こすことで、独自のポップネスを手に入れていることだと思います。過渡期的作品ですが、だからこそ、皆さんにも一度は聴いて頂きたいアルバムです‼️あと、”XTC節”みたいな曲調がビシビシ感じられて、その点も良いですねー! “Sleepyheads” (Outtake) https://youtu.be/HrQ7G5hPf-M?si=lLjHcA2Ea-TSIBjQ [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kNh7p2arge_vvDWZ0BWeG7Bn2A32t4zKQ&si=o4qXUTv1ecD_KoOH #XTC #DrumsAndWires #VirginRecords #4ThAlbum #PopMusic #NewWave #BritishRock #AndyPartridge #ColinMoulding #TerryChambers #DaveGregory #GuitarAndKeyboards #脱TechnoPop
Pop, New Wave Virgin Records 不明Dr K2
-
Alien Sex Fiend “Ignore The Machine”
この12㌅EPも、勉強の為に購入したのだと思いますが、余り聴いていなかったので、復習がてら、聴き直してみました。とその前に、Alien Sex Fiend (以下、ASFと表記)のバイオグラフィーを簡単に書いておきます。ASFは、1982年に英国Londonで、Nik Fiend (Vo, Perc: 本名:Nicholas Wade), Yaxi Highrizer (G: 本名:David James), Mrs. Fiend (Synth: 本名: Christine Wade), Johnnie Ha Ha (Drs: 本名: Johnny Freshwater)によって結成されたポジ・パン(ポジティブ・パンク)バンドで、その年後半に、Fiendが働いていたクラブBadcaveでライブ・デビューしています。当時から、ダークでエレクトロ・インダストリアルなサウンド、更にはサンプラーやループ、ダブ・ミックス、躁状態のVoで、ゴス・シーンでは有名になっていました。ASFは、Killing JokeのYouthと、カセット作品”The Lewd, the Mad, the Ugly and Old Nick”を作り、英国の音楽雑誌に持ち込んでいます。その中の”R.I.P.”と言う曲は、クラブのコンピ・アルバム”The Batcave: Young Limbs and Numb Hymns 1983”に収録されています。それで、彼等は、Cherry Red Recordsの傘下のAnagram Recordsと契約し、1983年8月に、ファースト・シングル”Ignore The Machine”をリリース、すぐさま、このシングルは英国インディーズ・チャートの6位まで上がり、ファースト・アルバム”Who's Been Sleeping in My Brain”を1983年11月に、セカンド・アルバム”Acid Bath”を翌年にリリースしています。彼等は、1984年には、BBC Radio 1のJohn Peel Sessionの為に、5月と8月の2回分を録音しています。そうして、ASFは、1885年10月に、サード・アルバム”Maximum Security”をリリースし、またもや英国アルバム・チャートで100位まで上がっています。また、彼等は、1985年3月に、シングル”Ignore The Machine”を録音し直して、リリースし、99位まで上がっています。ASFは日本でも人気が出て、1985年には、ライブ・アルバム”Liquid Head in Tokyo”を出していますが、その年末に、Johnnie Ha Ha (Drs)が脱退し、トリオで活動し続けます。1986年10月には、アルバム”’It’ The Album”を出しますが、今度は、Yaxi Highrizer (G)が脱退し、1987年にはデュオでアルバム”Here Cum Germs”をリリースしています。その後、1988年初頭には、Dynamic Duo名義で、12㌅シングル”Batman Theme”を録音しますが、再びASFとして、1988年11月に、エレクトロニクスやサンプリングをふんだんに使ったアルバム”Another Planet”を出しています。1989年には、Turnpike CruisersにいたRat Fink (Drs/G: 本名Andrew Wilson)とSimon “Doc’ Milton (Kbd/G)が加入し、再び4人組みになり、2枚組ライブ・アルバム”Too Much Acid?”を、1990年10月には7枚目のスタジオ・アルバム”Curse”をリリースします。しかしながら、FinkとMiltonは、1992年に脱退し、残った2人でアルバム”Open Head Surgery”を出しています。その後、Fiendの2人は、ゲーム音楽やMTV用のビデオを制作していますが、1996年から、自身のレーベル13th Moonより、コンスタントにアルバムをリリースし、2018年11月には、Cherry Red Recordsより、ASFとしてアルバム”Possessed”を出し、現在に至ります。 以上が、ASFの流れですが、今回、ご紹介するのは、彼等のヒット・シングル”Ignore The Machine”の録り直したヴァージョンです。では、各曲を紹介していきましょう。 ★A “Ignore The Machine”は、リズムマシンと生ドラムも使ってのノリの良い曲で、それ程、ダークとかゴスな雰囲気はないですね。ギターやシンセは割とメロディアスに弾かれていますが、バリバリ前面には出てないです。 ★B1 “The Gurl At The End Of My Gun”は、アップテンポな曲で、ギターのカッティングとパンキッシュなVoがカッコ良いです。ただ、パンクとは違うのは、3コードじゃなくて、曲の構成がそれなりに複雑と言う点ですね。 ★B2 “I'm Not Mad”は、ディスコティックでダンサブルなリズムに、シンセのリフとギターで持っていくような曲で、Voも相変わらずカッコ良いです。 このEPの3曲だけで、ASFを語ることは些か早計ですが、少なくとも、ゴスロックの陰鬱さやダークさは余り無く、どちらかと言うと、ポジティブ・パンクと言った方がしっくりくる作品ですね。なので、ゴス・ロックを期待しないようにして下さい❗️なので、逆に私は次回は如何にもゴスな彼等のアルバムも聴いてみたいと思うようになりました! A “Ignore The Machine” https://youtu.be/fv2PjbEmJV4?si=Y6DAAmU89HHBdxle B1 “The Gurl At The End Of My Gun” https://youtu.be/oSOsRthiVUQ?si=jLecC4xo6fFL-yOu B2 “I'm Not Mad” https://youtu.be/M20iQmVe9KM?si=UJJWGQqX2wvrKnJS #AlienSexFiend #IgnoreTheMachine #TheGurlAtTheEndOfMyGun #I'mNotMad #AnagramRecords #PositivePunk #GothRock #UK #12inchEP #Reissue #NikFiend #YaxiHighrizer #Mrs.Fiend #JohnnieHaHa
Goth Rock Anagram Records 不明Dr K2
-
Depeche Mode “Violator”
今回は、Depeche Modeのアルバム”Violator (冒涜者)”を紹介したいと思います。まあ、初期の頃も大好きだったのですが、段々と人気が出て、アリーナ・クラスのバンドにまで成長しましたから、ちょっと避けていました。オリジナルは、1990年作ですが、世界中で再発されたり、各国のヴァージョンかあったりと約150種類のヴァージョン/フォーマット違いがあるようてす。Depeche Modeのバイオグラフィーについては、以前に書いてありますか、補足を少ししておきます。本作品はスタジオ・アルバムとしては7作目なのですが、私が購入したのは、それの再発盤で、リマスタリングされています。オリジナルは1990年にリリースされています。その時のメンバーは、Alan Wilder, Andy Fletcher, Dave Gahan, Martin Goreの4人です。Dave Grahaは1980年にDepeche Modeの結成時からVoであり、バンドのフロントマンで、曲も書きます。Martin Goreもバンドの創設期からのメンバーで、G/Kbd/Synthを担当、曲も書き、時にはリードVoも取ります。Alan Wilderは、最初期にVince Clarkが脱退した後、ツアーメンバーでありましたが、正式なメンバーとなり、1982-1995年の期間、Depeche Modeのメンバーとして、Kbd/Synth/Piano/Drs/B/G/Flute等を担当しています。Andy Fletcherは通称Fletchとも呼ばれ、バンド創世期からのメンバーで、ずっとKbd/Synth/Bを担当してきましたが、2022年5月26日に、60歳の若さで他界しています。 と言う訳で、本作品”Violator”を紹介します。A面5曲/B面4曲が収録されていますので、各曲について紹介していきますね。 ★A1 “World In My Eyes”は、複雑な打ち込みリズム隊に憂いのあるVoと抒情的なボリシンセが乗っています。流石、”Depeche”節とも言えるメロディラインが一貫していますね。 ★A2 “Sweetest Perfection”は、しっとりしたスローな曲ですが、打ち込みでこのテンポの曲作りは意外と難しいんですよね。間奏での「室内楽」がワンポイントです。 ★A3 “Personal Jesus”は、6/8拍子のリズムを採用した、ノリは良いがややヘビーな曲です。スライドGも使っていらのかな?ちょっとアメリカンな風味もありますが、基本は極めて「英国的」ですね。 ★A4 ”Halo”は、シンセ・オケを上手く使った壮大な曲で、GahanのVoが切ないです。この曲も”Depeche”節全開です。 ★A5 “Waiting For The Night”は、ポツポツとしたシーケンスを基本にした電子バラード調の曲で、やはりGahanのVoが良く映えていますね。 ★B1 “Enjoy The Silence”は、四つ打ちリズムに乗せて、絶妙なシンセやGが絡むヒット曲ですね。モロ”Depeche”節が炸裂です。最後に”Crucified”と言う隠しトラックが入っています。 ★B2 “Policy Of Truth”は、シーケンスとGの刻みで始まりますが、8ビートでちょっと物悲しい曲になります。ここら辺もブレませんね。やっぱり、曲作りも表現力も良いんでしよう。 ★B3 “Blue Dress”でも、凝ったリズムの打ち込みに、優しげなってGahanのVoが切々と歌うのは、堪らないです。また、Gも前面には出ていませんが、要所要所で効いています。 ★B4 “Clean”は、シーケンスと重いリズム(ロータム)のコンビネーションに、ストリング・シンセと歌い上げるVoが乗る曲で、ここでも”Depeche”節が炸裂しています。 やはり、Depeche Modeは、Goreの曲作りが”Depeche”節を担っているのと、それをGahanのVoが上手く歌い上げているところが、最大の魅力でしようね。多分、私が”Depeche”節と呼んでいるのは、一種の英国の持つ物悲しさのような節回しで、これを聴くと、一発で「嗚呼、Depeche Modeだなあ」と分かる雰囲気なんですよね。暗いとも悲しいとも言えるような複雑な感情を、機械的なマシンリズムとシーケンスに乗せて歌い上げるのが、その真骨頂ですね。まあ、メジャーバンドだとか抜きにして、一度、この”Depeche”節を堪能してみて下さい❗️ A3 “Personal Jesus” https://youtu.be/u1xrNaTO1bI?si=Ui6_5eEBZW6HYay9 [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLo8SRTJOJ2EZWCZKfAVLhjDPBgUO_FRg2&si=34SbNnxj7V5I3HAj #DepecheMode #Violator #MuteRecords #SonyRecords #Reissue #Remastering #180g #Gatefold #7ThStudioAlbum #ElectroPop #PopMusic #Synthesizers #AlanWilder #AndyFletcher #DaveGahan #MartinGore
Electro Pop Mute Records / Sony Records 4500円Dr K2
-
Lene Lovich “Stateless”
皆さんは覚えていらっしゃいますか? Lene Lovich (リーナ・ラヴィチのことを❗️私、この方のことを、当時、東欧から亡命してきたと思っていたんですよ。それで、ちょっと調べてみました。Lena Lovich、本名Lili-Marlene Premilovichは、米国ミシガン州Detroitの出身で、英国人の母親とセルビア系米国人の父親との間に生まれましたが、13歳の時に、英国東ヨークシャー州Hullに移住しています。その時に、Les Chappell (G/Songwriter)と出会い、長い間、彼女の公私に渡る協力者/パートナーとなります。1968年に、彼女は、アートスクールに通う為、Londonに移ります。その時に髪の毛をドレッド(?)にして、以降、彼女のトレードマークになります。そこから、彼女は、アートスクールに通いながら、地下鉄で大道芸をしたり、キャバレーで東欧系ダンサーをしたり、また、スペインに行ってSalvador Daliに会っていたりもしています。この頃、彼女はフォーク・ロックを演奏しており、Royal Albert HallでQuintessenceと呼ばれるショーで合唱団に参加したり、Arthur Brownのショーで兵士を演奏したり、Radio One Roadshowでゴーゴー・ダンサーとして働いたりしています。また西インドのソウルバンドでイタリアにツアーしたり、Bob Flag's Balloon & Banana BandやガールズバンドThe SensationsでSax を吹いたり、ホラー映画での叫び声や仏のディスコ・スターCerroneに仏語の歌詞を書いたり、その他にも色々な劇団とも仕事をしています。1975年には、彼女はThe Diversionsに参加して、3枚のシングルと1枚のアルバムもPolydor Recordsから出しています。翌年1976年に、彼女はLene Lovichの名前で、3曲入りシングルを英国で出していますが、これはクリスマス向けの音楽でした。1977年には、彼女は、エンジニアAlain Wisniakの意見に沿って、仏人打楽器奏者/ディスコ・パフォーマーCerroneが書いた曲”Supernature”に歌詞を付けています。そして、1978年には、ラジオDJ/ 作家Charlie Gillettが、Lovichが録音した"I Think We're Alone Now"のカバー曲に注目して、Stiff RecordsのボスDave Robinsonに進言、すぐさま、シングルを出すことになり、LovichとChappellは曲を書いて、録音します。このシングルが彼女の出世作”Lucky Number”だった訳で、英国シングルチャートでトップ3になります。そうして、Robinsonの誘いを受けて、1978年のBe Stiff Route 78 Tourに参加しています。そして、直ぐに、彼女なりのパンクとかニューウェーブとかの解釈が詰め込まれた、本作品でもあるファースト・アルバム”Stateless”を作り上げます。その後数年で、彼女は、2枚のアルバム”Flex”と”No-Nan’s-Land”及びEP “New Toy”を制作しており、後者は、ツアー・メンバーでもあったThomas Dolbyによる曲です。また彼女は、The Residentsの”Picnic Boy”にVoで参加していたりもします。Lovichは、ChappellとChris Judge Smithと共に曲を書き、1982年10-11月に、LondonのLyric Hammersmithで、”Mata Hari”と言うミュージカルを行いますが、この頃に、Stiff Recordsとは離れ、米国のEpicと契約しています。その時に、Lovichは、映画”Cha Cha”でサントラを一緒に作ったNina Hagenと一緒にシングル"Don't Kill the Animals”をリリースしています。そうして、家族が出来たことで、暫く休業していましたが、1989年に、アルバム”March”をPathfinder Recordsよりリリース。このアルバムでは、Chappellと共に、エレクトロ・デュオTanz Waffenも参加して制作されており、1991年には、彼女は、オペラ”The Fall of the House of Usher”にも曲提供をしていますが、ここで、一旦、Lovichの音楽活動は、理由は不明ですが、停止しています。次にLovichが姿を現すのは2005年で、Hawkwindのアルバム”Take Me To Your Leader”と彼女の新作アルバム”Shadows And Dust”となりますが、今回は、ここまでとします。なお、彼女は今も現役で活動しているようです。 それで、ファースト・アルバム”Stateless”について紹介します。ここでは、Lene Lovich (Vo, Sax, Tuned-Perc)の他に、Les Chappell (G, EMS Synth, Synth, Perc, Vo), Ron Francois (B, Perc, Vo), Bobbi Irwin (Trap Drs, Perc, Vo), Nick Plytas (Organ, Piano), Jeff Smith (Synth, Solina), Roger Bechirian (Remix [A1-B3, B6])が参加して、A面5曲/B面6曲が収録されており、シングルカットされた”Lucky Number”や”Say When”もあります。それでは、各曲を紹介していきます。 ★A1 “Home”は、シンセやオルガンが使われたニューウェーブな曲で、正直カッコ良いです。直線的なベースラインが特にカッコ良いし、LovichのVoもキュート! ★A2 “Sleeping Beauty”は、アコギも使われた「青春」な曲です。独特のしゃくり上げるLovichの唱法がよく活かされています。 ★A3 “Lucky Number”は、ご存知のキャッチーでニューウェーブな曲ですね。やっぱりLovich独特のVoがキュート! ★A4 “Too Tender (To Touch)”は、リリカルなピアノに、切ないVoと言う悲しげなしっとりした良曲です。 ★A5 “Say When”も、LovichのVoが存分に活かされた、アップテンポな曲で、マカロニ・ウエスタン調にアレンジされています。 ★B1 “Writing On The Wall”は、一転、ジャジーな曲調で、Saxが悲しげです。語りも入っていますが、サビでは元気が出てきますね。 ★B2 “Telepathy”も、ニューウェーブっぽい曲ですが、LovichのVoも元気一杯ですね。 ★B3 “Momentary Breakdown”も、オルガンとシンセが程良いスパイスになった曲で、Lovichの個性と相性バッチリですね。 ★B4 “I Think We're Alone Now”では、イントロのGにやられますが、オルガン等のバックの演奏とLovichのVoが上手く絡んでます。ちょい「青春」っぽい。 ★B5 “One In A 1,000,000”でも、ウエスタン調のアレンジがカッコ良い曲で、こう言うアップテンポの曲にLovichのVoは映えますね。 ★B6 “Tonight”も、イントロのシンセとその後に切々と歌うLovichとが良くマッチしている、ちょい悲しげな曲です。 全体としては、Lovichの独特の唱法が良く映えるような曲作りやアレンジが為されており、彼女なりの「ニューウェーブ」を堪能出来ますね。また、ピアノやオルガンを中心としたアレンジも、1979年の当時を想起させます。いやー、今回聴き直してみて、LovichとChappellの曲の良さに改めて気が付きました❗️そんなお茶目なLovichのファースト・アルバムを一度は堪能してみて下さい‼️ A1 “Home” A2 “Sleeping Beauty” A3 “Lucky Number” A4 “Too Tender (To Touch)” A5 “Say When” B1 “Writing On The Wall” B2 “Telepathy” B3 “Momentary Breakdown” B4 “I Think We're Alone Now” B5 “One In A 1,000,000” B6 “Tonight” A5 “Say When” https://youtu.be/RqOg8fMMf8Q?si=65ubG9k-tUi18V-j [full album (曲順が違います)] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nhybTHzNx17YAzAEmkQUnms-4czGsZCJc&si=xNVGBlI-u2-_D6tC #LeneLovich #Stateless #Stiff-Epic #StiffRecords #UK #FirstAlbum #Sax #FemaleVocal #NewWave #Left-Field #LesChappell #RonFrancois #BobbiIrwin #NickPlytas #JeffSmith #RogerBechirian #LuckyNumber
Left-Field / New Wave Stiff-Epic (Stiff Records) 不明Dr K2
-
The Danse Society “Seduction”
掘り返していたら、こんなのも出てきました。英国のポスト・パンク・バンドThe Danse Societyのファースト・アルバム”Seduction”です。何で購入したのか?は忘れてしまいました。多分、勉強しようと思って、安かったので購入したのではないかと思われます。それで、彼等のバイオグラフィーを書いてみたいと思います。The Danse Societyは、1980年に英国Barnsleyで結成されたポスト・パンク/ゴス・ロック・バンドで、本作品でもあるファースト・アルバム”Seduction”は彼等自身のレーベルDanse Recordsからリリースされています。このアルバムは英国インディー・チャートで高評価だったこともあり、彼等はArista と契約を結びます。この時のオリジナル・メンバーは、Steven Victor Rawlings (Vo), Paul Nash (G). Lyndon Scarfe (Kbd), Tim Wright (B), Paul Gilmartin (Drs)です。セカンド・アルバム”Heaven Is Waiting”をリリースした 1983年以降に、Scarfeが脱退し、代わって元Music For PleasureのDavid Whitaker (Kbd)が加入し、Aristaの元で、2枚のシングル”Say It Again"と"Hold On"をリリースしています。そうして、彼等は古い曲をよりダンサブルでラジオでかかり易い曲にアレンジして再度、録音して、アルバムを制作するとアナウンスしますが、これは作製されませんでした。そして、彼等はAristaを去って、1986年には、Arista最後のアルバム”Looking Through”のリリースの為に、新曲を書いていますが、このアルバムは再び、自身のレーベルSociety Recordsから出しています。その時に、Steve Victor Rawlings (Vo)は、新バンドSocietyを始めますが、他のメンバーは、Johnny In The Cloudsとして活動を続けますが、レコード・リリース等には至っていません。そうして、長い間、The Danse Societyは活動休止していましたが、2009年末に、Paul Gilmartin (Drs), Paul Nash (G), David Whitaker (Kbd)は24年振り会って、The Danse Societyの再結成を約束し、Steve Victor Rawlings (Vo)も賛同しています。その後、9ヶ月以上も掛けて、楽器パートの録音を行なっていますが、2010年10月に、Rawlingは1曲だけヴォーカル・パートを入れただけで、米国に戻ってしまいます。そんなこともあって、残ったメンバーは、2011年1月に、元Blooding MaskのMaethelyiah (Vo)が誘い、全13曲に歌入れを行い、正式にメンバーとして彼女が加入して、アルバム”Change Of Skin”を2011年5月にリリースしています。その後、Martin Roberts (B)が加入して、2013年2月には、アルバム”Scarey Tales”をリリースしています。その1年後に、Gilmartin (Drs)とRoberts (B)が突如、脱退した為、ツアーをキャンセルしています。残ったメンバーは、Iain Hunter (Drs)とJack Cooper (B)を誘い、6枚目のアルバム”IV”を2015年9月にリリースします。その後、Hunterの代わりに、Josh Rylance (Drs)が加入し、EP “FUTUR1ST”を2018年にリリース。その後、Rylanceが脱退したので、代わりにTom Davenport (Drs)が加入、7枚目のアルバム”Sailing Mirrors”を2020年9月にリリース、同年11月には、過去の曲のライブ音源を集めたA-Zアンソロジー・アルバム”40 Years of Danse”もリリースして、2021年には英国ツアーも敢行し、現在も活動しているようです。 それで、今回のアルバム”Seduction”を紹介したいと思いますが、先述のように、このアルバムは彼等のファースト・アルバムで、A面4曲/B面2曲という内容になっています。一応、この時期のメンバーは、Steven Victor Rawlings (Vo), Paul Nash (G). Lyndon Scarfe (Kbd), Tim Wright (B), Paul Gilmartin (Drs)というオリジナル・メンバーです。では、各曲について紹介していきます。 A1 “Godsend”は、ゆっくりとフェイドインしてくるシンセから、Joy Divisionのような16ビートの曲が始まり、曲調もややダークで、モノクロな音楽です。 A2 “My Heart”では、印象的なシンセとエレピに導かれて、サビのドコドコなDrsを含んで、Voは切々と歌い上げています。サビの急かされる感じは良いです。 A3 “Falling Apart”もまた、静謐なイントロから始まり、呪詛のようなVoが聴こえてきて、割とアップテンポな曲が始まります。ディレイを掛けたGやドコドコなDrsが特徴的な曲になっています。 A4 “Danse/Move”は、シンプルなビートに低音シンセが乗ってくる、ダーク・テイストな曲となっています。やはり、DrsとGは印象的です。特にDrsの存在感は凄いです。 B1 “Ambition”は、イントロからしてダークなシンセで始まり、ここだけ聴いたら、ダーク・ウェーブみたいだと思ってしまいます。そうして、タムを多用するドコドコなDrsが始まり、朗々と歌うVoが雰囲気を盛り上げます。 B2 “In Heaven (Everything Is Fine)”も、ピアノの弾き語り調でしっとり始まり、やがて、ディレイを掛けたGをバックに呟くようなVoが入ってきますが、単調なスネアが続いた後で、フェイドアウトして、曲も終わります。 全体を通して感じたのは、タムを多用するDrsと16ビートを刻むハイハットで、これはJoy DivisionのDrsに似ているなと言う点と、Kbdがメンバーになっていますので、その部分についてはやはり強みだと言う点ですね。あと、Voにもう少し個性があったら、良かったかも?と思ってしまうのは、贅沢でしようか? まあ、曲調もダークなので、ゴスの元になったバンドと言われるのも納得です❗️それと、後にVoは、Steven Victor Rawlings (男性)からMaethelyiah (女性)に替わりますが、そこら辺の違いも聴いてみたいですね。Joy Divisionの”Closer”辺りが好きなリスナーさんにはお勧めします❗️ [John Peel Session 1982] https://youtu.be/SaesbzSZqLc?si=DI0A5O4jSyHk69Ta [BandcampのURLも貼っておきます] https://dansesociety.bandcamp.com/album/seduction [full album (complete)] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nlSVDVfhroArrYhY0c8QdG3SM7nIzKOJc&si=o9CzisEF4s_O1A69 #TheDanseSociety #Seduction #SocietyRecords #FirstAlbum #PostPunk #GothRock #1982年 #JoyDivision #SocietyRecords #StevenVictorRawlings #PaulNash #LyndonScarfe #TimWright #PaulGilmartin
Post punk / Goth Rock Society Records 不明Dr K2
-
Mystery Plane “Still Life”
Mystery Planeって知ってる人いますか?まあ、多分、知らないと思いますし、私も全然知りませんでした。ただ、ちょっと調べものをしていて、つい視聴して気に入ったので、購入した訳です。それで、ちょっと調べてみました。Mystery Planeは、1970年代に活動していたニュー・ウェーブ・バンド3D5が解散して、1980年に結成されています。その時の3D5のメンバーは、1978年の時点では、Mark Harvey, Gerald O'ConnellとPorl Thompsonだったとのこと。そうして、3D5はRAK Recordsから1枚シングルを出して、その1〜2年後に、Thompsonは脱退して、The Cureに加入しています。残った2人は、先ず、リズムマシンとしてBOSS DR-55を買いましたが、音は最悪だったと。また、その時にシンセも購入したそうです。それで、キーボードが弾けて、歌も上手かったCatherine O'Connellをバンドに誘います。因みに、Geraldは、Ash Ra TempelのManuel Gottschingの大ファンだったそうで、それで、彼等は、オープン・リールを使って録音をしていたそうです。そうしていると、マネージャーが1981年夏に、The MarqueeとかRock Gardenでのライブの予定を入れてきます。その時には、オープン・リールにリズム・セクションを録音しておいて、4番目のメンバーのようにステージで使っていました。一方、Geraldは、教員として働き始めましたが、その生徒の当時17歳のGary Ramonに、音楽の才能を見出して、Ramonをバンドに誘います。そうして、1982年に、漸くMystery Planeの曲が何とか出来るようになったのですが、Geraldは、よりサイケな方向にバンドの指向を変えようとしていました。最終的には、Mark Harveyは、GeraldとNigel Lackeyとを仲介させて、Lackeyにも数曲演奏させて、Mystery Planeは、1983年にカセット作品”The Dead Presley Tapes”をリリースしています。その後、どうも1988年迄は、カセット作品をポツリと出していますが、それらに記載されているクレジットはあやふやで、信憑性も怪しいのですが、一応、書いておくと、メンバーは、Missile (B, Vo, G), Curse (Drs, Kbd), Mark Harvey (G, Vo), Zero (Vo, G)で、Gary Ramonが曲をコンパイルしたとなっています。多分、Zeroと言うのが、Gerald O'Connellじゃないかなぁとは思いますが、確認できませんでした。ただ、Geraldは、Lives Of Angels と言うバンドを作って、よりシンセ・ウェーブな音楽作品”Elevator To Eden"を1983年にColor Tapesから出したりもしています。後、Mystery Planeは、他のシンセ・ウェーブとは異なり、クラウトロックからの影響が強く、特に、Neu!, Amon Düül II、それにUltravoxの”Vienna”の辺りからの影響が強かったそうです。一応、まとめると、今回の参加メンバーは、Gerald O'Connell, Mark Harvey, Catherine O'Connell, Gary Ramon, Nigel Lackeyと言うことになると思います。そうして、オリジナルは1981年に作られたデモテープを、Color Tapesが後に100部限定でリリースしたものなのですが、今回は、ちゃんとリマスターしてLP/CD化して出したものになります。それでは、各曲について紹介していきます。 A1 “Telephone”は、Neu!っぽいハンマービートの疾走感に、ギターとシンセが上手く乗っており、クラウトロックからの影響がよく分かるインスト曲です。 A2 “This Is Your Life”も、マシンリズムながらも、ややミニマルな構造で、男性Voと女性コーラスが掛け合うポップな曲です。 A3 “Something To Prove”は、割とシンセ・ウェーブな曲ですが、懐かしのメロディ・ラインが素晴らしいです。ここら辺はニューウェーブっぽいかな? A4 “Tightrope”は、DR-55のリズムとシンセのリフに乗って、如何にも英国的なVoのメロディが絶妙な曲ですが、シンセとギターの不協和音が効果的! A5 “Someone Else”では、マシンリズムとシンセとギターが組んず外れず絡み合い、Voもありますが、ブレイクがカッコ良いです! A6 “Poor John”でも、1980年代のニューウェーブ調の曲をシンセ・ウェーブで演っているような曲ですね。サビでのシンセにテクノ・ポップ味を感じます。 B1 “Crying Again”も、ニューウェーブっぽい曲ですが、使っているシンセやリズムマシンからして、やはりちょっと違うな!と思います。Voとコーラスは絶妙! B2 “Death Sentence”は、ギターとマシンリズムがカッコ良い曲ですが、安っぽいシンセの音色には捻りは無く、Voは歌いまくってます。 B3 “(Do The) Shah Of Iran (Twist)”は、チープでファニーなリズムマシンと、ギターによるエセ中近東風(にもなっていない?)曲となっています。 B4 “Still Life”では、珍しく女性コーラスとマシンリズムで始まるニュー・ウェーブチックな曲で、アップテンポでカッコ良いです。 B5 “Silence After Midnight”ではまた、DR-55のリズムに合わせて、1980年代っぽい歌が郷愁を誘います。 総じて、この作品は、単にシンセ・ウェーブと言うよりも、宅録ニュー・ウェーブな印象が強いですね。こう言うバンドって中々無かったた思うので、是非ともニュー・ウェーブ・ファンの方は聴いてみて下さい‼️やっぱり、欧州のシンセ・ウェーブとは違いますね。また、B面はそれ程ではないですが、A面とかはクラウトロックっぽい部分もあり、そこら辺のファンにも需要があるかも❗️ [アルバムとしてまとまった動画はYouTubeには無かったので、全曲を1曲ずつ貼っておきます] A1 “Telephone” https://youtu.be/DWJbUM0terg?si=g5pZaTjieuYZ_RRt A2 “This Is Your Life” https://youtu.be/7d7skW1ZDJQ?si=FNuRXMivY2l9pJlc A3 “Something To Prove” https://youtu.be/xyA5zalxTtk?si=cYAAELzMkteOFbka A4 “Tightrope” https://youtu.be/08eVBOqe4i8?si=hQZFR5lWRMK2tiiI A5 “Someone Else” https://youtu.be/iuiHU_5Po6E?si=lz6zjNNN1uGLC29e A6 “Poor John” https://youtu.be/E9186fDN03A?si=GWju7FbNtRE2VHTU B1 “Crying Again” https://youtu.be/B2ZnLC0GSK4?si=o2ytR0DZEEk3DsAa B2 “Death Sentence” https://youtu.be/eGai6IypUdA?si=julwU3Ty4NkWwYPrThank B3 “(Do The) Shah Of Iran (Twist)” https://youtu.be/cp6w5OmYCpw?si=nDO_S6IXtWZklLZa B4 “Still Life” https://youtu.be/PxbPbLLoKB0?si=aSuNK00uLjpGn2K9 B5 “Silence After Midnight https://youtu.be/1kcjCvp1wm4?si=KteBnExnpWSLbd87 #MysteryPlane #StillLife #AColorTapesProduct #1981年 #DemoTape #LimitedEditions #500部 #NewWave #SynthWave #Krautrock #Neu! #AmonDüülII #Ultravox #Synthesizers #Guitar #RhythmMachine #DR-55 #CatherineO'Connell #GaryRamon #MarkHarvey #GeraldO'Connell #NigelLackey
Synth Wave / New Wave A Color Tapes Product $25.99Dr K2