Throbbing Gristle “20 Jazz Funk Greats”

0

Throbbing Gristle (以下TGと表記)の名盤の一つ、ジャズでもファンクでもないアルバム”20 Jazz Funk Greats”を、今回はご紹介します。TGのアルバムの中でも、このアルバムは中々中古市場に出ず、また出ても結構高額なことが多く、私は何年も買いそびれていました。それで、去年、やっと購入できました。TGのバイオグラフィーについては、今までも紹介してきましたし、メンバーのCosey Fanni Tuttiの自叙伝なども出ていますので、そちらをご参照下さい。メンバーを一応、書いておきますと、Genesis P-Orridge (B, Vln, Vibes, Synth, Vo), Cosey Fanni Tutti (G, Synth, Cornet, Vo), Chris Carter (Roland Synth, Sequencer, Drum Machine, Vo), Peter “Sleezy” Christopherson (Tapes, Vibes, Cornet, Vo)の鉄壁の4人です。また、ジャケ写は、一見爽やかに見えますが、英国の自殺の名所(東サセックス州の南端にある通称Beachy Head)が使われています。本作品は、LPとしては、3枚目のアルバムになり、また、TGのアルバムの中では「最も聴き易い」作品とも言われています。今回の再発では、緑盤となっており、ブックレットも付いています。また、内容については、A面6曲/B面5曲となっています。それでは、各曲について紹介していきましょう。
★A1 “20 Jazz Funk Greats” (2:51)は、如何にもTGらしいダウナーなリズムを刻む曲で、勿論、ジャズでもファンクでもないです。シンセとコルネットでとにかく憂鬱な気分にさせられます。
★A2 “Beachy Head” (3:42)も、リズムレスで、更にダウナーな曲です。自殺する人の頭の中の諦念を見事に描写しています。
★A3 “Still Walking” (4:56)は、パンで左右に振られたリズムマシンとノイズGやVlnの軋む音から成る曲ですが、囁く様な男女Voの絡みに反吐が出そうです。
★A4 “Tanith” (2:20)では、ワウを掛けたBと鉄琴のフリーな絡みから成るリズムレスな曲で、地縛霊のように飛び跳ねることが出来ない。
★A5 “Convincing People” (4:54)は、ライブでも良く演奏されている曲で、6/8拍子の独特のリズムマシンとシークエンスに、暗雲たるノイズが被さって、抑制的なGene-PのVoも冴えてます。
★A6 “Exotica” (2:53)は、また鉄琴の演奏で、浮遊する魂がふらふらしているようなリズムレスな曲で、逆に陰鬱。
★B1 “Hot On The Heels Of Love” (4:24)は、後のChris & Coseyの原型になる様な四つ打ちキックとシーケンスにCoseyの囁くようなVoが乗る曲で、ポップなトラックです。しかし鉄琴の音は虚ろです。
★B2 “Persuasion” (6:36)も、ライブで良く演奏される曲で、単調なBとGene-Pの邪悪なVo、それにSleezyのテープ音やGノイズから成り、これまた鬱々としています。
★B3 “Walkabout” (3:04)は、またもやChrisの打ち込みが冴えるシンセポップな曲で、TGってアルバムに、こう言う曲を混ぜるから困ります。
★B4 “What A Day” (4:38)は、テープによる単調な反復リズムにGene-Pの叫び声から成る強力な曲です。憤怒の唄!
★B5 “Six Six Sixties” (2:07)は、ライブ録音と思われる粗いリズムマシンとB?G?によるノイズ、それにGene-Pの呪詛のようなVoから成る曲です。

 まあ、あんまりメンタル弱っている時に聴く音楽ではないですが、それでも当時の一種の閉塞感みたいなものが詰め込まれており、しかも、B1やB3の様なハッピーエンドを伺わせる曲も混じっているのが救いですかね。本作品は、ジャケ写のように、何気ない景色/風景の中に鬱屈した薄寒い「負の何か」があるような事象を的確に掴んで、それを抽出・増幅しており、その意味ではTGのアルバムの中でも傑作なのではないでしょうか?ブックレットの軍服姿の4人はそれを差し引いても、カッコ良いですが、、、ただ、内容は良いので、2枚組とかでじっくり聴きたい一枚ではあります!

https://youtu.be/EEsjrg9j2c4?si=tpBQ0eJAVSPEecf2

[full album]
https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_miBdBiuGRWWq6kDf2jruN6lmf6wMDNpkg&si=ttTOlAt3CBpM6R6Z

#ThrobbingGristle #20JazzFunkGreats #MuteRecords #IndustrialRecords #Reissue #Remastering #1979年 #2017年 #GreenVinyl #Industrial #Electro #Synthesizers #DrumMachine #Bass #Guitar #Tapes #GenesisP-Orridge #CoseyFanniTutti #ChrisCarter #PeterChristopherson #Sleezy

Default