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Nacht’Raum / Bande Berne Crematoire “Expanded LP 1982-1984”
これも謎物件です!何でこれを購入したのか?全く記憶にありません。それで、ちょっと調べて見ました。すると、どうもこの作品と言うのは、Nacht’Raum (ナハトラウム。「夜」と「夢」を合わせた造語?)とBande Berne Crematoire(バンデ・ベルネ・クレマトール。以下BBCと表記)のスプリットで、1980年代初頭の発掘音源かと思ってました。それでもう少し深掘りすると、両者とも、スイスのシンセ奏者Michael Antener関係のユニットと言うことが分かりました。Nacht’Raumは、Michael AntenerとMichael Stämpfliのデュオで、BBCはMichael Antenerのソロユニットであり、両者共、1980年代初頭にスイスのシンセ・ウェーブ〜インダストリアル辺りのシーンで活躍、と言うか宅録してのカセット作品とかの流通で活動していたユニット/アーティストであった訳です。それで、本作品はNacht’RaumとBBCのセルフ・コンピ・アルバムなんですが、Nacht’Raumは、1984年にリリースしたセルフ・タイトルのファーストLPから、A2, A5, A6, B1, B3, B5の6曲を、BBCは、1985年にリリースしたセルフ・タイトルのカセット作品から、A1, A3, A4, B2, B4の5曲を抜粋して、コンパイルされた一種のセルフ・コンピに近いアルバムです。ただ、B2はかなり短く編集されており、また、B6は、Nacht’Raumが、1983年リリースのカセット・コンピ・アルバム”It's My (The) Age 7 “に提供した曲とのことです。また、Nacht’Raumでは、オリジナルの作品には、Dani (G)とSara! (Vo)がゲスト参加しているのですが、肝心のメンバーのMichael Stämpfliに関しては、何を担当していたかは、不明です。そうして、Nacht’RaumもBBCもオリジナル作品としては、前述の作品以外には1〜2作位しか出していません。なので、今回のリイシューは大変貴重な音源と言えるでしよう。またNacht’Raumは、2006年に、B6を除いて、セルフ・タイトルでLP再発していますが、その前までは殆ど活動していないようです。1〜2回再発をしていますが、その度毎に曲順が変わったりしています。そんなスイス・アングラ・シーンの徒花Nacht’RaumとBBCのセルフ・コンピ収録の各曲をご紹介していきましょう。
★A1 BBC “Viva España”では、最初のインダストリアルな盗聴音から、薄らシンセ音が聴こえる。
★A2 Nacht'Raum “Tiere Schreit”では、重いキックにカッコ良いシーケンスと微かな囁くようなVoが呪文のように乗ってきます。
★A3 BBC “Kranzø Røses”では、ホワイトノイズからスローな機械音なリズムに移行し、単純な持続電子音と抑制的で不明瞭なVoが不穏な呪詛を唱えています。
★A4 BBC “Rosa Bernet”では、ちょっと忙しないリズムマシンのビートに、シンプルなシーケンスと深めのエコーVoで焦燥感溢れています。
★A5 Nacht'Raum “Sahel Passe”は、スローテンポな粗いリズムマシンに、不穏な電子持続音とモゴモゴしたVoが乗る怪しげな曲で、最後で叫び声も聴ける!
★A6 Nacht'Raum “Ich Muss”は、重めでスローなリズムマシンに引き攣るGと大声で煽る女性Voが特徴的な曲で、ヒステリックなGの切れ味は抜群!
★B1 Nacht'Raum “Maria Tanz-Maria Flieg”は、ミドルテンポのリズムマシンに、SE的シンセと不明瞭な呪文Voが乗る曲で、シーケンスはちょっとポップ?
★B2 BBC “Consume”では、破壊的リズムマシンに持続電子音と仰々しいVoが乗って、ライフルみたいなSEも味わい深く、狩猟的音楽とも思える?
★B3 Nacht'Raum “Menschwirtschaft”は、モロ「機械」なリズムマシンとシーケンスに、電子Percと不明瞭なVoや宇宙音が乗るインダストリアルな曲です。
★B4 BBC “Ende”は、スローなリズムと終末感漂うシーケンスと不明瞭なVoから成り、時にホワイトノイズのスネアが曲を引き締めています。
★B5 Nacht'Raum “Plastikträume”も、金属質な打ち込みリズムの下で、優しいシンセ音が流れますが、切り裂きGとヒステリックな女性Voも入り、焦燥感を煽ります。
★B6 BBC “Nächstes Jahr”のリズムマシンには存在感がありますが、シーケンスもVoも敢えて不明瞭にしている悪意を感じます。時に咆哮もグレイト!
今までの再発モノと、比較すると、曲順が替わっていたりしますが、総じて、Nacht’RaumもBBCもその音楽性に大差は無いようです。寧ろ、ゲスト参加によっては、大きく雰囲気が変わる感じで、Nacht’RaumもBBCも敢えて録音を不明瞭にしている為か、ダウナーな音と言う印象が強く、シンセ・ポップ調と言うよりも、EGが鬱屈したようなインダストリアル或いはダーク・ウェーブに近いと思います。これもMichael Antenerの性(さが)なのかもしれませんね。そう考えると、ジャケの禍々しさも納得です。しかしながら、Mannequin Recordsは毎回、面白い音源を発掘しますね。このレーベルは要注目ですよ!
[Nacht'Raum]
A2 “Tiere Schreit”
https://youtu.be/FA1fWQIBfvQ?si=LG9ndyEibk2D3YLc
A5 “Sahel Passe”
https://youtu.be/ddl4CmNPKdg?si=0fjgVsz6pzfffZC9
A6 “Ich Muss”
https://youtu.be/1o3D8dsCE6k?si=gDMCL3VgznsmWQ7f
B1 “Maria Tanz-Maria Flieg”
https://youtu.be/Xbt0LgexSFg?si=RjdFiBgL_k6KwubF
B3 “Menschwirtschaft”
https://youtu.be/kOvLEZana3k?si=KDSXBVFlQ3q5kVYb
B5 “Plastikträume”
https://youtu.be/yo8yLYSPgqc?si=r63E4YRcOXQWkvTT
[Bande Berne Crematoire “Bande Berne Crematoire (1985)”]
https://youtu.be/mOdA1A_PVhs?si=2aiDfUnCQHzxOkUI
B6 “Nächstes Jahr”
https://youtu.be/VIY6R_Z227s?si=baAoq3O4aycbnkmr
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