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Nacht’Raum / Bande Berne Crematoire “Expanded LP 1982-1984”
これも謎物件です!何でこれを購入したのか?全く記憶にありません。それで、ちょっと調べて見ました。すると、どうもこの作品と言うのは、Nacht’Raum (ナハトラウム。「夜」と「夢」を合わせた造語?)とBande Berne Crematoire(バンデ・ベルネ・クレマトール。以下BBCと表記)のスプリットで、1980年代初頭の発掘音源かと思ってました。それでもう少し深掘りすると、両者とも、スイスのシンセ奏者Michael Antener関係のユニットと言うことが分かりました。Nacht’Raumは、Michael AntenerとMichael Stämpfliのデュオで、BBCはMichael Antenerのソロユニットであり、両者共、1980年代初頭にスイスのシンセ・ウェーブ〜インダストリアル辺りのシーンで活躍、と言うか宅録してのカセット作品とかの流通で活動していたユニット/アーティストであった訳です。それで、本作品はNacht’RaumとBBCのセルフ・コンピ・アルバムなんですが、Nacht’Raumは、1984年にリリースしたセルフ・タイトルのファーストLPから、A2, A5, A6, B1, B3, B5の6曲を、BBCは、1985年にリリースしたセルフ・タイトルのカセット作品から、A1, A3, A4, B2, B4の5曲を抜粋して、コンパイルされた一種のセルフ・コンピに近いアルバムです。ただ、B2はかなり短く編集されており、また、B6は、Nacht’Raumが、1983年リリースのカセット・コンピ・アルバム”It's My (The) Age 7 “に提供した曲とのことです。また、Nacht’Raumでは、オリジナルの作品には、Dani (G)とSara! (Vo)がゲスト参加しているのですが、肝心のメンバーのMichael Stämpfliに関しては、何を担当していたかは、不明です。そうして、Nacht’RaumもBBCもオリジナル作品としては、前述の作品以外には1〜2作位しか出していません。なので、今回のリイシューは大変貴重な音源と言えるでしよう。またNacht’Raumは、2006年に、B6を除いて、セルフ・タイトルでLP再発していますが、その前までは殆ど活動していないようです。1〜2回再発をしていますが、その度毎に曲順が変わったりしています。そんなスイス・アングラ・シーンの徒花Nacht’RaumとBBCのセルフ・コンピ収録の各曲をご紹介していきましょう。 ★A1 BBC “Viva España”では、最初のインダストリアルな盗聴音から、薄らシンセ音が聴こえる。 ★A2 Nacht'Raum “Tiere Schreit”では、重いキックにカッコ良いシーケンスと微かな囁くようなVoが呪文のように乗ってきます。 ★A3 BBC “Kranzø Røses”では、ホワイトノイズからスローな機械音なリズムに移行し、単純な持続電子音と抑制的で不明瞭なVoが不穏な呪詛を唱えています。 ★A4 BBC “Rosa Bernet”では、ちょっと忙しないリズムマシンのビートに、シンプルなシーケンスと深めのエコーVoで焦燥感溢れています。 ★A5 Nacht'Raum “Sahel Passe”は、スローテンポな粗いリズムマシンに、不穏な電子持続音とモゴモゴしたVoが乗る怪しげな曲で、最後で叫び声も聴ける! ★A6 Nacht'Raum “Ich Muss”は、重めでスローなリズムマシンに引き攣るGと大声で煽る女性Voが特徴的な曲で、ヒステリックなGの切れ味は抜群! ★B1 Nacht'Raum “Maria Tanz-Maria Flieg”は、ミドルテンポのリズムマシンに、SE的シンセと不明瞭な呪文Voが乗る曲で、シーケンスはちょっとポップ? ★B2 BBC “Consume”では、破壊的リズムマシンに持続電子音と仰々しいVoが乗って、ライフルみたいなSEも味わい深く、狩猟的音楽とも思える? ★B3 Nacht'Raum “Menschwirtschaft”は、モロ「機械」なリズムマシンとシーケンスに、電子Percと不明瞭なVoや宇宙音が乗るインダストリアルな曲です。 ★B4 BBC “Ende”は、スローなリズムと終末感漂うシーケンスと不明瞭なVoから成り、時にホワイトノイズのスネアが曲を引き締めています。 ★B5 Nacht'Raum “Plastikträume”も、金属質な打ち込みリズムの下で、優しいシンセ音が流れますが、切り裂きGとヒステリックな女性Voも入り、焦燥感を煽ります。 ★B6 BBC “Nächstes Jahr”のリズムマシンには存在感がありますが、シーケンスもVoも敢えて不明瞭にしている悪意を感じます。時に咆哮もグレイト! 今までの再発モノと、比較すると、曲順が替わっていたりしますが、総じて、Nacht’RaumもBBCもその音楽性に大差は無いようです。寧ろ、ゲスト参加によっては、大きく雰囲気が変わる感じで、Nacht’RaumもBBCも敢えて録音を不明瞭にしている為か、ダウナーな音と言う印象が強く、シンセ・ポップ調と言うよりも、EGが鬱屈したようなインダストリアル或いはダーク・ウェーブに近いと思います。これもMichael Antenerの性(さが)なのかもしれませんね。そう考えると、ジャケの禍々しさも納得です。しかしながら、Mannequin Recordsは毎回、面白い音源を発掘しますね。このレーベルは要注目ですよ! [Nacht'Raum] A2 “Tiere Schreit” https://youtu.be/FA1fWQIBfvQ?si=LG9ndyEibk2D3YLc A5 “Sahel Passe” https://youtu.be/ddl4CmNPKdg?si=0fjgVsz6pzfffZC9 A6 “Ich Muss” https://youtu.be/1o3D8dsCE6k?si=gDMCL3VgznsmWQ7f B1 “Maria Tanz-Maria Flieg” https://youtu.be/Xbt0LgexSFg?si=RjdFiBgL_k6KwubF B3 “Menschwirtschaft” https://youtu.be/kOvLEZana3k?si=KDSXBVFlQ3q5kVYb B5 “Plastikträume” https://youtu.be/yo8yLYSPgqc?si=r63E4YRcOXQWkvTT [Bande Berne Crematoire “Bande Berne Crematoire (1985)”] https://youtu.be/mOdA1A_PVhs?si=2aiDfUnCQHzxOkUI B6 “Nächstes Jahr” https://youtu.be/VIY6R_Z227s?si=baAoq3O4aycbnkmr #Nacht’Raum #BandeBerneCrematoire #ExpandedLP1982-1984 #MannequinRecords #Reissue #1982-1984年 #LPFormat #CassetteFormat #LimitedEditions #500部 #Switzerland #SwissUnderground #Industrial #ColdWave #Dark #Minimal #MichaelAntener #MichaelStämpfli #Guests #Dani #Sara!
Industrial / Cold Wave Mannequin Records 990円Dr K2
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V. A. “Magnetband: Experimenteller Elektronik-Underground (DDR 1984-1989)”
もうタイトルだけで、買っちゃいそうですよね?と言う訳で、いつもお世話になっているSuezan Studioの小柳カヲルさんの個人輸入品をポチりました(いつも有難うございます)。ここで言うDDRとは旧東独逸のことで、1984年〜1989年に東独で作製された音源のコンピと言うことになります(大昔、メールアートをやっていた時に、東独の方と交流がありました)。1989年と言うのはベルリンの壁が壊されて、翌年に東西独逸が統一された年です。流石、Bureau Bはやってくれますね!ほぼ全部、名前も聞いた事も無いバンド/アーティストばかりなので、聴くのが楽しみです。内容は、A面8曲/B面6曲が収録されています。それでは、各曲と各バンドを紹介していきましょう。 ★A1 A. F. Moebius “Erika”は、1986年2月17日にKarl-Marx-StadtのStudio Sonnenklangで録音され、スプリット・カセット作品Heinz & Franz / A.F. Moebius ”Alle Aufnahmen”/“Eine Auswahl”から抜粋で、この作品に参加しているメンバーは、数学をやっていて思い付いたFrank Bretschneider (Tapes, Rhythm-Machine, Synth)で、彼のソロ・プロジェクトと言うことです。物音ノイズとシーケンスとチープなリズムマシンによる曲ですが、ブレイクがあったり、電子宇宙音が絡んできたりと遊び心一杯です。 ★A2 Kriminelle Tanzkapelle “Klatschmohn”は、1085年4月4〜5月に、Karl-Marc-Stadtで録音され、Kriminelle Tanzkapelleのカセット作品”Glückliche Jahre”より抜粋で、Frank Bretschneider (Synth, G, Tapes, Drs-Machine)とFritz-Hendrik Melle (Sax, Vo)のデュオです。シンセのパルス音に合わせて、テープによる語りが続く中、本当のVoも混ざってくる曲で、シーケンスがミニマル極まりないです。 ★A3 Heinz & Franz “Immer”もA1と同じスプリット・カセットから抜粋で、Frank Bretschneider (G, PC Programming)とHeinz Havemeister (G)のデュオです。6/8拍子のマシンリズムとシーケンスに、ややブルージーなGが爪弾かれる曲で、独逸ならではの「電子ブルース」ですね。 ★A4 Magdalene Keibel Combo “Er Hat’s Geschafft”は、BerlinのBergstrasseのFrank Trögerのアパートで録音され、1989年発行の雑誌"Verwendung第6号の付属カセットより抜粋で、Paul Landers (G, 後にヘビメタバンドRammsteinに加入)とChristian Lorenz (Kbd, 後にRammsteinに加入)のデュオです。何とも奇妙な変則打ち込みで、その内ディレイを掛けたVoも出てきて、やや重厚なシンセも被ってきます。とても彼等がRammsteinに加入するのは思えません。 ★A5 Choo Choo Flame “Nein”は、Metzer通りのSchwarzer Raumで録音されており、メンバーはBo KondrenとKoren Mattingのデュオで、Supertrack 24, EMAXも使っています。サンプリングした具体音等を使いながらも、ゆったりとしたベースラインが楽曲を奏でていて、ダークな雰囲気です。 ★A6 Stoffwechsel “Fly, Fliege, Fly”は、1989年11月に、Insel Studioで録音され、Frank Tröger (Sequential Prophet 2000 Synth)とFlugzeug (同上)が当時のメンバーで、この2人のカセット作品”Le Petit Orkos”から抜粋です。なお、Frank TrögerはChristian Lorenzの別名義でもあります。結構凝ったダウンテンポなリズムの打ち込みで始まり、重厚なシンセ音も入ってきたり、また逆回転やパンニング或いはダブ処理されたりと凝りまくった曲で、打ち込みの適度な緊張感が心地良いです。 ★A7 Corp Cruid “37 °C”は、1988年にZionskirchplatzのRonald LippokのアパートでUHER 4-トラック・レコーダーで録音され、Corp Cruidのカセット作品”Corp Cruid I”より抜粋で、この時のメンバーはRobert Lippok (Clarinet, Kbd, Drs-Machine), Ronald Lippok (Vo, Kbd, Tapes, Brass), Alexander Wolf (Perc, Services), Erik Huhn (Kbd, Drs-Comp, Mix), Detlef Pegelow (G, B), Jogey (Vo, Perc, Drs-Comp), Bert Hidrbrandt (Clarinet)です。オルガンらしき重厚な音と反復する民族打楽器とテープの語りで持っていく曲で、最後はそれまでの音が無くなり、ドローン音となり終わります。 ★A8 Taymur Streng / Ornament & Verbrechen “Das Sentimentale Ufo”は、1985年にMahlsdorfのHeimstudioで録音されており、Robert Lippok (Kbd), Ronald Lippok (Kbd), Taymur Streng (Kbd)のトリオてす。何だか不安定で不明瞭なKbdのアンサンブルで、あっと言う間に終わってしまう小曲です。 ★B1 Der Demokratische Konsum “Die Kuh”は、1989年初頭に、Fehrbelliner通りのアパートで録音、Metzger 通りのSchwarzer Raumでミックス・編集されており、この時のメンバーは、Deo Buschkowski (G), Wolfram Ehrardt (Drs), Ralf Haupert (Casio), Heiko Roder (Vo, Coffee-mill), Ralf Scheff (Pauker), Stefan Schröter (B)です。絶叫型エレクトロ・パンクな曲です。勿論、GやDrsも入ってますよ。 ★B2 A. F. Moebius “Böser Traum”は、A1と同じスプリット・カセット作品より抜粋で、Frank Bretscheifer (Synth, G, Delay, Sample, Vo)のソロユニットです。Gで刻んでリズムを作り、ヒソヒソ声のVoで歌うスタイルの曲ですが、当然、シンセやリズムマシンも使用。 ★B3 Gesichter “Sk 8 Gesichter”も、B1と同じ、1989年発刊の雑誌Verwendung第6号付属のカセットより抜粋で、メンバーは、Paul Landers, Christian ‘Flake’ Lorenz (Casio SK, B)とBo Kondren (EMAX)のデュオです。ホールのような所で生録したような音とスタジオ録音のキックの対比が面白い。前者には延々と繰り返すサンプリングされたVoが含まれています。 ★B4 Ihr Arschlöcher “Urtramp”は、1988年4月11日にMetzer通りのSchwarzer Raumで録音され、1989年発刊の雑誌Verwendung第6号付属のカセットより抜粋で、メンバーはBo KondrenとAlexander Krieing (Drs-Pad, EMAX, Arpeggiotor, Roland Delay)のデュオです。単調なマシンリズムとエコーの効いた場所で録音されたスネアや電子拡散音などが混ざってきますが、テンポアップした後に、音塊になります。最後は民族音楽調のマシンリズムで終わります。 ★B5 Aponeuron “Jab Gab Hej”は、Weißensee Art Collegeのアシッドパーティで作られた曲で、1989年発刊の雑誌Verwendung第6号付属のカセットから 抜粋で、メンバーはBo Kondren, Paul Lander, Ronald Lippok (Supertrack 24. EMAX)です。始めの咆哮からの四つ打ちテクノで、シーケンスもかっこ良いんですが、後半変態的なフレーズになっています。 ★B6 Robert Linke “Musik Zum Weltuntergang”は、1987年5月28日に、Volksbühne Berlinで初演のLother Trolle作/指揮Jürgen Verdofskyによる演劇"Weltuntergang Berlin II - Szenen Und Berichte Aus Der Geschichte Der Stadt"の譜面から起こして作成された曲で、持続電子音がメインで、そこに金属音と思わしきパルス音が入ってくると言う単純にしてストイックな曲です。 東独の地下音楽については、それ程期待はしてませんでしたが、このアルバムは楽しめました。キュレーションをしてくれたBernd Jestram, Bert Papenfuß, Bo Kondoren, Ronald Lippokの努力とセンスが光りますね(ほぼほぼ身内みたいな感じがしないでもないが、、、)❗️もし、旧東独の音楽に興味が有れば、このアルバムは良いサンプルになりますので、是非とも聴いてみて下さい! A1 A. F. Moebius “Erika” (2:37) A2 Kriminelle Tanzkapelle “Klatschmohn” (2:50) A3 Heinz & Franz “Immer” (1:36) A4 Magdalene Keibel Combo “Er Hat’s Geschafft” (2:33) A5 Choo Choo Flame “Nein” (1:34) A6 Stoffwechsel “Fly, Fliege, Fly” (5:12) A7 Corp Cruid “37 °C” (3:24) A8 Taymur Streng / Ornament & Verbrechen “Das Sentimentale Ufo” (1:02) B1 Der Demokratische Konsum “Die Kuh” (2:36) B2 A. F. Moebius “Böser Traum” (1:46) B3 Gesichter “Sk 8 Gesichter” (2:30) B4 Ihr Arschlöcher “Urtramp” (4:05) B5 Aponeuron “Jab Gab Hej” (2:27) B6 Robert Linke “Musik Zum Weltuntergang” (8:59) [B10 A. F. Moebius “Böser Traum“] https://youtu.be/knGpv2tD6zo?si=yl-ntwbcsRba0S0- [full album] https://youtu.be/Zf1RUI08pmY?si=vRJUaNWj5eKm8uQj #VariousArtists #Magnetband #ExperimentellerElektronik-Underground #東ドイツ #1984年-1989年 #BureauB #Zonic #CompilationAlbum #Electro #Experimental #Left-Field #A.F.Moebius #KriminelleTanzkapelle #Heinz&Franz #MagdaleneKeibelCombo #ChooChooFlame #Stoffwechsel #CorpCruid #TaymurStreng #Ornament&Verbrechen #DerDemokratischeKonsum #Gesichter #IhrArschlöcher #Aponeuron #RobertLinke
Experimental / Electro / Primitiv Bureau B / Zonic 3490円Dr K2
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Claudio Rocchetti “Goldberg Variations”
なんで、これ、買ったんだろう?謎物件です。どうも、伊出身の現代音楽家Claudio Rocchettiの作品らしいです。しかも、ヨハン・セバスチャン・バッハの「ゴールドベルク変奏曲」で、曲数が両面共16曲ずつと言う狂ったような短い曲がたんまり詰め込まれています。先ず、その前に、作者のClaudio Rocchettiについて調べました。Rocchettiは、欧州の前衛音楽界で最も活動的な音楽家の一人で、近年はソロ・プロジェクトから離れて、TricoliとPiliaと共に3/4HadBeenEliminatedやヴィジュアル・アーティストRiccardo BenassiとのデュオOlyvettyをやっており、 また、同時に、彼等2人とノイズ・ファンク・デュオであるG.I.JoeとStefano Piliaと共にZaineカルテットもやっています。それだけではなく、Jooklo Duo共にHypnoflash名義で演奏したり、コントラ・バス奏者Klaus Janekとのとデュオの他にも、 Mattin, Bowindo, Fabio Orsi, MB(❗️)ともコラボを行なっています。しかも、Rocchettiの作品は、PCによるライブでの変調操作音やターンテーブルのフィードバック或いは予め録音された音源や物音を、彼の手元で即座に繋ぎ合わせてのライブ・コンクレートから成ります。Rocchettiは多くのレーベルから作品をリリースしていますが、同時に、彼は、Kam Hassahと共に、Musica Modernaなるレーベルも運営し、 フィールド録音や音響詩或いはサウンドアートの作品を主にリリースしています。また、彼の作品は、より深い部分での作業をする為、分厚いサウンドへの飛び込んでいくようなもので、通常、彼はタンテやカセット、サンプラー、ラジオ、マイクロフォン、更には非楽器や伝統的な楽器等を使って、複雑な手技、物体、衝撃として「音」を操作して、全く新しい構造を構築しているとのこと。現在、Rocchettiは独Berlinに居を構えていますが、伊Bolognaとの間を頻繁に行き来しているそうです。 それで、本作品についてですが、先述のように、これは、ヨハン・セバスチャン・バッハの「ゴールドベルク変奏曲」に準えており、A1 “Aria”で始まり、A2 “Variation 1 (第1変奏)”からB31 “Variation 30 (第30変奏)”への続き、最後はB32 “Aria Da Capo”で終わります。原曲は「2段鍵盤付きクラヴィチェンバロのためのアリアと種々の変奏」と題された作品で、バッハらしいカノンとギミックが散りばめられています。それに負けず劣らず、Rocchettiは、それぞれの変奏をグラインド・コアのようにぶつ切りにして、1分も無い曲にし、そこに、速度の変化やテープの捻れ、逆回転の挿入などのテープ操作、ラジオの音、会話やフィールドバック音、ディレイやイコライジング或いははリング・モデュレーションなどの過剰エフェクトなどを加え、まるで全体が一つの曲であるかのように変調・配置しています。確かに各曲にはピアノらしい音が聞こえてきますが、全くピアノなどの楽器音ではない音から成る曲も含まれています。多分、これを、『普通の』バッハの「ゴールドベルク変奏曲」として購入したクラシック・リスナーさんは怒り心頭になってしまうのでは?と心配してしまう程、いじくり回しています。兎に角、個々の「変奏」曲をじっくり聴くのも良いですが、流れるままにボーっと全体を聴いてみるのもお勧めします❗️最終的には、中々、面白い作品でしたね。こう言う狂ったことをする現代音楽家は今後も要注目ですね! A1 “Aria” A2 “Variatio 01” A3 “Variatio 02” A4 “Variatio 03” A5 “Variatio 04” A6 “Variatio 05” A7 “Variatio 06” A8 “Variatio 07” A9 “Variatio 08” A10 “Variatio 09” A11 “Variatio 10” A12 “Variatio 11” A13 “Variatio 12” A14 “Variatio 13” A15 “Variatio 14” A16 “Variatio 15” B1 “Variatio 16” B2 “Variatio 17” B3 “Variatio 18” B4 “Variatio 19” B5 “Variatio 20” B6 “Variatio 21” B7 “Variatio 22” B8 “Variatio 23” B9 “Variatio 24” B10 “Variatio 25” B11 “Variatio 26” B12 “Variatio 27” B13 “Variatio 28” B14 “Variatio 29” B15 “Variatio 30” B16 “Aria Da Capo” A3 “Variation 2” https://youtu.be/nhEc88CuHBc?si=xg9qBq0Y81X6eRHi [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nRR47sxoE3D_neBTQksUFzGpuMsXrUZO8&si=z_8gaSX03zHT9zRg #ClaudioRocchetti #GoldbergVariations #Kohlhaas #ModernClassic #JohannSebastianBach #Avant-Garde #SoundCraft #TapeManipulation #SoloAlbum #Berlin
Modern classic / Avant-Garde / Tape Music Kohlhaas 不明Dr K2
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Bellows “Strand”
今回、紹介するのは、伊の電子音響作家 Giuseppe IelasiとNicola RattiのデュオBellowsの2017年リリースの作品”Strand”です。といきなり言われても困ると思いますので、先ずはBellowsについて紹介します。その正体はGiuseppe IelasiとNicola Rattiのデュオで、Ielasiは、ミラノ在住のギタリスト/作曲家で、1998年にFringes Recordingsと言うレーベルを立ち上げ、後には、BowindoやSenufo Editionsレーベル以外にもFrancesco Tenagliaと共にSchoolmapレーベルを運営しています。Rattiもミラノ在住の伊人ギタリスト/エレクトロニクス奏者です。両者は2007年にコラボ作”Bellows”を出しており、恐らくそこから、グループを取ったものと思われます。Rattiは1992年からギタリストとなり、マス・ジャズ・コア・トリオPin Pin Sugarに参加して、2003年にアルバム”Latex Duellos”を出しています。余りまとまった情報が無いのですが、このような伊実験音楽界の2人のギタリストが結成したのが、Bellowsと言うことになります。 それで、本作品”Strand”ですが、最初のコラボ作品を含めて、5枚目のアルバムになります。そしてその内容なのですが、曲名は全て無く、またクレジットで誰が何を担当しているのか?と言う情報もありません。唯一の情報は、このアルバムは、2016年2月にミラノのStandardsスタジオで、先述の2人によって録音されたと言うことだけです。それで内容なのですが、両面とも4曲ずつで、その殆どが、音の点描のように静かでスカスカな音から成っています。しかも、微妙にミニマル。モデュラー・シンセやテープ、エフェクター、サンプラーで作った音だとは思いますし、どうも4日間で即興的に録音したようですので、2人のスキルとセンスの高さが良く分かります。そんなスカスカの音の中にも、「ビート感」があって、聴けば聴く程、新たな発見があります‼️多分、最低2〜3回聴かないと、その良さがよく分からないタイプの音楽ですね。解説には「アコースマティックなサウンドとフラクタルなビートの間に生まれた複雑な音のパレット」と書いてありますので、強ち間違いではないと思います。それから、Amsterdam在住のアーティストLouis Reithが、ジャケ写などを行なっているのですが、収録されたBellowsの音楽を聴いていると、Reithのモノクロの写真との相性も良いと確信します。また、ある種のアンビエンスも含まれていますので、その手のリスナーさんにもお勧めします。そんな多角的に楽しめるアルバムですので、是非とも購入して楽しんで下さい❗️ A4 “Untitled part 4” https://youtu.be/3OwlJznEimI?si=Cs0v4ulf2b6trvUb [BandcampのURLを貼っておきます] https://shelterpress.bandcamp.com/album/strand #Bellows #Strand #ShelterPress #Italy #Experimental #Conceptual #点描 #Guitar #ModularSynthesizers #Tapes #Effectors #物音 #Glitch #GiuseppeIelasi #NicolaRatti #LouisReith
Modern classic / Experimental Shelter Press 不明Dr K2
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Conrad Schnitzler “Filmmusik 2”
前回に続いて、Conrad Schnitzler先生の未発表音源”Filmmusik 2”を紹介します。今回もSchnitzler先生が生前、特に1975年に録音していた曲を集めたもので、B面には”Lichtepunkte Und Schwarze Zeichen”と題された長尺のビデオ用の曲が、収められています。それで、元々はこのアルバムは”Filmmusik 1”と同時発売の予定だったのですが、途中で色々あって、最終的に、別作品としてリリースされました。と言うのも、Bureau BのThomas Worthmannが、最初、仮に”02/1980”と呼んでいたトラックの一つが、元々は”Gute Fahrt (Nice Journey)”と言うビデオ作品の曲だったことに端を発します。それで、”Filmmusik 1980B”とした曲群は間違いで、”1975B”であり、本来、”02/1975B”と呼ぶべきであったとのこと。その後になって”Gute Fart”が見つかったことも大きかったようです。そして、”Filmmusik 1”がリリースされた時に、Schnitzler先生の音源を管理していたJin Kawaiから連絡があり、2009年に彼が、Conrad Schnitzler先生の全てのビデオ作品をネットにアップした時に、”Gute Fahrt”が一曲ではなく、数曲から成る作品群であったことが判明し、それで、今回、1975年録音未発表シリーズとして、本作品”Filmmusik 2”がリリースされることになりました。一方、本アルバムB面の曲” Lichtepunkte Und Schwarze Zeichen”は元から、ビデオ作品の為に、1978年に書かれた曲であり、2015年に見つかったものです。と言う、ややややこしい変遷の経て、リリースされた作品では、ありますが、内容は、”Filmmusik 1”を踏襲するように、簡素ながらも素晴らしい構成力と音色を持った電子音楽です。通奏低音のようなドローンやリズムボックスのチープな音によるミニマルな展開と、それに乗る上物のシンセ音で、全てを過不足なく表現し切っています。特に、B面一杯を占める曲は、その構成の巧みさもあり、一気に聴き通すことができます(実際、どんなビデオ作品であったかは不明ですが、、、)。それから、Schnitzler先生が、ビデオ等の映像作品に手を出し始めるキッカケは、先ずは、1968年に、彼とHans-Joachim RoedeliusとBoris Shaarkで作った西ベルリンのZodiak Free Arts Lab.で、24時間ラジオ放送をやっていたことに端を発し、”Totally free music. Everyone join in”と表明したことでしょう。その後、彼は、DüsseldorfでJoseph Beuysに師事して、米国のポップ・アートに触れ、そこで、活動していたKapitalistischer Realismusの”Akustische Raume”と言うインスタレーションに参加したこと、それと、Nam June PaikのTVとビデオを使ったインスタレーションを観て、友達になったことが大きかったようです。当然、Fulxus運動とも繋がっていきます。例えば、Schnitzler先生は、VHS以前のフィルムの時代に、Mike Steinerとコラボして、Steinerのギャラリーで、既にビデオ・ミュージックを録音・演奏(?)しています。そんなダダイスト達との交流で、Schnitzler先生はビデオ作品に関わったり、また自ら作製したりしていたようです。そんな彼のビデオ作品を妄想しながら聴いてみても良いのではないでしょうか‼️ A4 “14/1975A” https://youtu.be/BSsfQdnZ4aE Side B “Lichtepunkte Und Schwarze Zeichen” https://youtu.be/ypVlcoldu2o #ConradSchnitzler #Filmmusik2 #BureauB #Krautrock #Electronic #VideoMusic #1975作 #GuteFahrt #PreviouslyUnreleasedTracks #EMSSynti #Synthesizers #Organ #RhythmBox #Mastering #LichtepunkteUndSchwarzeZeichen #JosephBeuys #NumJunePaik #Fulxus #VideoWorks
Krautrock, Electronic Bureau B 不明Dr K2
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Wire “Silver/Lead”
今回、入手したのは、あのポスト・パンクと言うか何と言うか、新生Wireのトータル16枚目のスタジオ・アルバム”Sliver/Lead”です。Wireについてはこれまでも書いてきましたが、ここで「新生Wire」と言ったのは、1999年にそれまで抜けていたオリジナルメンバーだったRobert Grey (Drs: Gotobedの本名)が戻ってきて、2004年にオリジナルメンバーのBruce Gilbert(G)が脱退し、代わって、2010年にIt Hugs BackのMatthew Simms (G)が加入してきてからのアルバムだからです。なので、現在のWireは、Colin Newman (Vo, G), Graham Lewis (Vo, B), Robert Grey (Drs), Matthew Simms (G)のラインナップで活動しています。それで内容ですが、上記のメンバーの内、Greyを除く3人は、基本的なパートは勿論、それ以外にもSynthやSampler, Mandela, Kbd, Modular Synthなど多彩な楽器を曲によって使い分けており、出来上がった曲はストレートでシンプルながらも、豊かな表現となっています。またGreyのドラマはタムを使わないシンプルで禁欲的なビートを刻んでいるので、それに乗っかる3人の音もストレートで、聴き応えのあるアンサンブルになっています。初期の3作の内、”Chairs Missing”辺りに近いかも知れませんが、ギターやベース、更にシンセなどの上物を、自分達でコントロールしている点で、よりナチュラルなアレンジになっているのかも? 因みに、このアルバムはWire結成40周年としてリリースされています。個人的には、先行シングルカットされた”Diamonds In Cups”とかが好みです。Newmanの落ち着いたVoが心地良いですね。そんな「新生Wire」の長い活動の一つの区切りアルバムを是非体験して下さい❗️ B3 “Brio” https://youtu.be/Aozaizo7dKA [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_l39lCY4-Q3oqoYL-2aKKNife4rdrOhPAQ #Wire #Silver/Lead #Pinkflag #PostPunk #AlternativeRock #The40thAnniversary #ColinNewman #GrahamLewis #RobertGrey #MatthewSimms #Simple #Arrangement
Post Punk / Alternative Rock Pinkflag 2010円Dr K2
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Conrad Schnitzler & Pole “Con-Struct”
さてさて、今度のConrad Schnitzler 先生ほ、ダブ・マスターのPoleことStefan Betkeとのコラボです。”Con-Struct”シリーズ第5弾に当たります。Conrad Schnitzlerについては既に色々書いていますので、ここでは彼のバイオグラフィーは省略しますが、Poleについて少し補足しておきます。PoleことStefan Betkeは、1967年にDüsseldorf生まれで、バンドではキーボードとシンセを担当していました。また、彼は1999年から2010年の間には、Barbara Preisinger と共同で~scapeというレーベルも運営し、自分自身の作品を出す為に、2011年9年にPoleと言うレーベルを運営するようになり、それが彼のソロユニットにもなっています。その一方でScape Masteringスタジオでダブ・ミックスやマスタリングなどの作業も続けています。彼の肩書きは多く、ダブソニック/グリッチアーティストだけではなく、プロデューサー、マスタリング・エンジニアなどとしても活動しています。元々はDüsseldorfで活動していましたが、1996年にBerlinに移り、活動を続けています。Pole名義のアーティストとしては、”1”, “2”, “3”などをリリースしており、同時に、ダブ処理された再発版”Waldgeschichten”, “Waldgeschichten 2”, “Waldgeschichten 3”も出している多作家です。それで、今回は、Conrad Schnitzlerが選んだ相手が、このPoleです。この”Con-Struct”シリーズというのは、元々はSchnitzlerが作った作品を他のアーティストが再構築(リミックスではない)するプロジェクトであったとのことです。なので、今回は、Poleが Schnitzler の過去音源をダブ処理しつつ、再構築しています。簡素なリズムはあるものの、全体的に低音重視の曲になっているのが特徴でしょうか? しかも全曲、歌詞なしのインストで、一応、リズムとかはありますが、BPMは低目で、スローな曲に仕上がっています。Schnitzlerの作品としては、やや暗目のトーンになっており、異色な出来栄えです。そんなConrad Schnitzlerの作品も中々異種格闘技戦みたいで面白いので、ファンの方は聴いてみると良いでしょう。 “Wiegenlied Für Katzen” https://youtu.be/JGReNnQvM30 #ConradSchnitzler #Pole #Con-Struct #BureauB #ElectronicMusic #DownTempo #Dub #ClubMusic #Experimental #Synthesizers #DrumMachine
Electronic Experimental Music / Dub Bureau B 1200円Dr K2
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Ryoko Ono, Hiroki Ono & Yuko Oshima (学生実験室) “碧山 (Hekizan)”
これは、先日、ライブで知り合った小野浩輝さんとの交換で入手したレコードでありますが、この「学生実験室」と言う名称はちょっと前からSNS上で聞いていたので興味を持っていたのです。この「学生実験室」と言う名称で、Discogsでは違うものが出てきますので、類似品に注意です。それでメンバーは小埜涼子 (Sax), 小野浩輝 (Electronics), 大島祐子 (Drs)から成ります。詳細な情報は殆どありませんが、1998年結成の名古屋のパンドと言うこと、他にこのバンド名でのリリースは無いと言うことです。大島さんのサイトに少しだけでありました。結成当初は、3人でスタジオに入ったりして、ライブもやっていたとのことですが、2000年以降、大島さんが渡仏してからはライブは他のアーティストを誘って時々やっていたようです。そして、2006年に活動ストップ宣言をしています。しかしながら、2014年に、当初のメンバーで学生実験室として録音物を作製しようと言うことになって、2016年にアルバムを1枚出しています。それがこの「碧山」です。バンドは日本ツアーや欧州ツアーを2017-2018年に計画していたみたいですが、本当にやっているのかどうかは確認できませんでした。なお、メンバーの小埜さんは、ドラマーの吉田達也さんのデュオSaxRuinsやインキヤパ/非常階段のT.美川さんのとのデュオなどでも有名な日本屈指のサクソニストでもあります。 それで内容ですが、SaxとDrsだけなら、まあ、よくある即興演奏になるところを、小野さんのelectronicsが加わることで、単なる即興演奏以上のメタ・インプロの如く、異化作用を及ぼしています。また恐らくはミックスやマスタリングを担当したいる小埜さんのポスト・プロダクトしたと思われる部分もあることから、単に即興演奏の実録ではないなぁとも思います。今や、録音の編集も可能になってはいるので、今までの「即興」以上の領域にじわじわと広がって行っている証だと思います。ドレミの音階のあるのにフリーキーに吹かれるSaxとビートを刻まない自由なDrs、それに加えて、色々な音を生成していく電子音、どれもが違う方向を向いている方向は違うのに、出来た音楽に一体感のあるようになっているところは流石だと思います。ここら辺のアイデアは東西の間に位置する名古屋独特の文化と言うか折衷性と言うか、自由度の高い発想だと感じます。いま、名古屋が熱い❗️そう確信させる1枚だと思います。大変面白い音楽なので、是非是非、聴いてみて下さい。新しい「即興演奏」を発見できるでしよう!因みにジャケのアートワークは小埜さんによるものです。またCDもあるので、レコードプレーヤーがなくても、CD、プレーヤーでも聴くことができますよ。 “AAN” https://youtu.be/VAWnFUS-xkg #RyokoOno #HirokiOno #YukoOshima #GakuseiJikkenShitsu #学生実験室 #碧山 #Hekizan #BamBalamRecords #Sax #Drums #Electronics #Improvisation #PostProduction #Nagoya
Experimental music / Improvisation Bam Balam Records 不明。Dr K2
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The New Blockaders & The New Movement “Man's Usefulness Ends Not In Death”
これは掘り出し物。英国の1980年初頭より活動しているTNBことThe New Blockadersと、そのTNBの意思に2015年頃から賛同しているスウェーデンのTNMことThe New Movementほコラボ・アルバムです。今回は、TNBの方は、Richard & Philip D. Rupenus兄弟のデュオで、TNMはKenny JohanssonとTony Erikssonとのデュオでの参加となります。なお、英国のPhil Julianがマスタリングをやっています。TNBについては、以前にバイオグラフィーは書いていますので、そちらを参考ににして下さい。TNMについてバイオグラフィーを少し書いておきます。KennyとTonyがコア・メンバーであるTNMは、Marcel Duchamp, Luigi Russolo 或いはTNBと言った反芸術家によってインスパイアされ、ノスタルジックな感覚を持ちながらも、反芸術の新しい在り方の中から現れている。そのノスタルジーはすぐさま、「無」の哲学へと導かれて、そこで、彼等はTNMの名の下に何かを録音する前に、既に「X宣言」を表明しています。その「X宣言」によると、TNMは「無」の哲学に従い、その武器/手段に寄らず、全てを拒絶し、破壊する立場にあるとのこと。また、その「X宣言」から抜粋すると、「…既に世界は破壊されるべき存在である。…これが、生を拒絶し、死を復活させる理由なのである。」とのことですが、これはTNBのマニフェストと同様な思想の焼き直しのようにも思えますね。そう言う意味では、TNMほTNBの正統な後継者と言うところでしようか? それで、本作品ですが、両面1曲づつの長尺で、曲のタイトルもありません。そして、内容的にもほぼほぼ同様な音感触から成ります。ガラガラと打つかり合い、擦られ、叩き潰されるメタル・ジャンクの音が前面に立っており、何だかTNB単独の曲の様にも聞こえます。寧ろTNMは、その音素材に手をつけず、そのまま最終的に最終コラボ作業を終えたのは?とも考えられる程です。そんな作品なので、TNBファンもTNMファンもすんなり聴けると思います。正しく「無」の哲学ですね。どちらのファンや気になっている方も聴いてみて下さい。ただし、100部限定なので、入力は困難かも知れません。 本作品はなかったのでTNB&TNMのライブ動画を! https://youtu.be/6kzWl7kTkc8 #TheNewBlockaders #TheNewMovement #Man'sUsefulnessEnd NotInDeath #T.I.C.X. #Noise #Collaboration #Anti-Artists #MetalJunks #HarshNoise #PhilosophyOfNothingness #ManifestoX #RichardRupenus #PhilipDRupenus #KennyJohansson #TonyEriksson #PhilJulian
Noise T.I.C.X. 不明。Dr K2
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Grim “Discharge Mauntain”
Grim、それは小長谷淳氏のソロ・ユニットです。元々は1980年代にWhite Hospitalと言うインダストリアル・ユニットで、桑原氏と共に活動してきた小長谷氏が.同時期にソロをやりたいと言うことで、1985年に始動したユニットのことです。1986年に自身のEskimo Recordsより”アルバムFolk Music”をリリースするも、その後、沈黙。そして、26年の冬眠期間を経て、2013年に突如、Grimは、”Love Song”と”Psycho Sun”2作品を国内及び国外のレーベルからリリース、リスナーの度肝を抜きました。それからの怒涛の進撃は、多分私よりも詳しい方々がいらっしゃるとは思いますので、割愛させて頂きます。その音楽のスタイルは、単にインダストリアルとかパワー・エレクトロニクスと言うのとは異なり、個人的には、寧ろリチュアルと言った方が良いかと思います。今まで日本に無かったタイプのノイズ・ミュージック(ノイズと言うのが正しいかとうかはよく分かりません、取り敢えずその文脈で)であると思います。ある種、修験道者のような意味合いでの「リチュアル」です。そして、少し調子がズレていますが、気合一発のVoがグリム語で歌われていますライブではギターの方やメタパーのLinekraft大久保君が参加しているようです。基本的にはライブとレコードなどの録音物は別物なのかもしれませんね。録音物では、より構築的な曲を作っているようです。それで本作品ですが、アートワークも秀逸なだけではなく、音の内容もよく練られたホーンの響き、グリム語のヴォイス及び鈴の音。神聖なる邪教の宴が垣間見られます。日本ではこのスタイルの音楽は希少だと思いますが、それ故にGrimは突出しているとも言えますね。一言で言うと「ジャパニーズ・リチュアル・インダストリアル」と言う感じでしょうか? 個人的には、神道やチベット仏教を想起しました。10㌅なので、ちょっと物足りないかもされませんが、それ故にまた聴きたくなる仕様です。皆さんもGrimの録音物に触れてみて下さい。きっと何か発見がありますよ! https://youtu.be/1XQ2Dr_MQ-8 #Grim #JunKinagaya. #DischargeMountain #Athanor #Japanese #Noise #Ritual #Industrial #WhiteHospital
Industrial / Ritual Athanor 不明。Dr K2
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Pere Ubu “20 Years In A Montana Missile Silo”
連投、失礼します。またまたPere Ubuの登場です。もうトータル何枚目かはよくわかりませんが、このアルバムの前にちょっとした事件がありました。2003年にPere Ubuの前身バンドRocket from the Tombsが再結成して、2017年5月にClevelandで、コンサートをやったと言うのです。勿論、David Thomasもメンバーでしたから参加はしていますが、Peter Laughnerは参加はしていなかったので、代わりにRichard Lloyd(後にTelevisionに加入)が参加して、2017年までバンドは続いたみたいです。それで、その年の9月末に、Pere Ubuは本作品をリリースします。この時のメンバーはDavid Thomas (Vo), Keith Molinè (G), Gary Siperko (G), Kristof Hahn (Steel G: The Swansのメンバーでもある), Darryl Boon (Clarinet, その他), Robert Wheeler (analog Synth, Thermin), Gagarin (Digital Synth), Michele Temple (B), Steve Mehlman (Drs, その他)で、Roshi Nasehiが1曲Backing-Voで参加しています。この頃はDavidはPere UbuとRocket From The Tombsの二足草鞋を履いていた訳ですが、そのヴァイタリティとクリエイティヴィティには驚かされます。そして、本作品ですが、初心に帰ったような、スピード感のあるノリの良い曲が収められています。一言で言うと「カッコいい」曲が満載ですね。多分、David以外のメンバーが若返ったからだとは思いますが、それでもDavidがそれに付いていくだけでない、リードしている感すらあります。近年では、Davidは椅子に座って歌うことが多いようですが、MCとかも含めて、その存在感は相当なものと思いますね。そんな訳で、決して守りに入らず、常に攻めで言ってるPere Ubuを聴いてみて下さい。その意味で、この作品はお勧めですよ。 A1 “Monkey Bizness”’(2:18) A2 “Funk 49” (1:57) A3 “Prison Of The Senses” (2:11) A4 “Toe To Toe” (1:34) A5 “The Healer” (3:18) A6 “Swampland” (1:50) A7 “Plan From Frag 9” (3:18) B1 “Howl” (2:59) B2 “Red Eye Blues” (1:51) B3 “Walking Again” (4:36) B4 “I Can Still See” (4:10) B5 “Cold Sweat” (3:39) B2 “Red Eye Blues” (1:51) https://youtu.be/LnMdI_qLTX0?si=09eAB-2nvt-7BYHQ [full album] https://youtube.com/ playlist?list=OLAK5uy_ncZ26rE_EbJuWzaICkOjjcp2bZVeRyg5E&si=26euluvaEl372EBY #PereUbu #20YearsInAMontanaMissileSilo #CherryRedRecords #17ThStudioAlbum #AvantRock #ArtRock #DavidThomas #KeithMolinè #GarySiperko #KristofHahn #DarrylBoon #RobertWheeler #Gagarin #MicheleTemple #SteveMehlman #Guest #RoshiNasehi
Avant-Rock / Art Rock Cherry Red Records 不明Dr K2
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The New Movement & KH 12 Quartet “Nichts Für Nitsch”
常にTNBことThe New Blockadersに尊敬の念を払うスウェーデンのTNMことThe New Movement (TNM)とKH 12 Quartetのスプリットなのかな?エグくて酷いアートワークで登場したのが、この作品”Nichts Für Nitsch”で、裏ジャケには「Herman Nitschに捧ぐ:」とありますが、それでこの作品のアートワークが理解できるでしょう。まあ、ウイーン・アクショニズムで、レコードを作ったなら、こうなるでしょうね。メンバーを紹介しておきます。TNMの方は、スウェーデン人Kenny JohanssonとTony Erikssonから成り、KH12 Qualtetはドイツ人Matthias HornとPhilip Zimmermannから成ります。それでそれぞれのバンドの特徴を紹介したおきます。スウェーデンのTNMは最初、マルセル・デュシャンやルイジ・ルッソロそしてTNBのアンチ・アートに影響を受けたそうですが、直ぐに「無の哲学」にたどり着き、「X」と言う宣言を行ってから、TNMとしての音楽活動を始めています。内容はまあ「関係する全てを拒絶し、ぶっ壊せ!選択すると言う武器には意味はない」と言うものらしいです。そして、誰もがTNMのメンバーになり得るとも。いやはや、TNBの上を行こうと言う訳ですかね? 一方の独逸のKH 12の片割れMattias HornはPsych KGと言うハンドメイド包装で有名なるレーベルをやっており、670以上のアイテムをリリースしてきています。そんなバックボーンを持った2組ががっぷり四つに組んだ作品が本作品になります。A面には2曲(Pt.1 & Pt.2)が、B面は1曲 (Neulich)が収められています。A面はガダガダ、ゴドゴドした崖崩れのような音と共に時折、何かを引っ掻く音やラジオらしき音も混じっており、それは流石にTNBのエピコーネンやろ?と疑いたくなります。曲としてはよく出来ていると思いますので、ここら辺は大目に見ておきましょう。一方、B面も物音系なんですかがより音響系っぽい曲で、恐らくは何かの微音をコンタクトマイクで録音した物だと思います。それに金属質な持続音が絡みついてくると言う曲になっており、こちらの方がより静謐な印象を与えます。ジャケ写含めて、アートワークはヘルマン・ニーチェのパフォーマンスを励起するような血みどろシーンのようなものですが、これはこれでアリかなぁとちょっと納得しました。まあこのようなコンセプトを知らないで、音だけも充分に楽しめますので、ご安心を。それでも聴いてみたい方はどうぞ! https://youtu.be/jUPvI0zoMNo #TheNewMovement #LH-12Quartet #PsychKG #NichtsFürNitsch #PictureRecord #Anti-Music #Noise #ContactMic #Nihilism
Noise PsychKG 不明Dr K2
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Smegma and Black Leather Jesus “Smegma VS Black Leather Jesus”
これはちょっと意外な組み合わせですね。脱力系アヴァンギャルドのSmegmaとハーシュ・ノイズ・ウォールのBlack Leather Jesus(BLJ)によるSmegma Studioでのセッションと思われるスプリットアルバムです。Smegmaについては以前に紹介しましたので、ここでは割愛しますが、BLJについて少々説明しておきます。アメリカのヒューストンで結成されたハーシュ・ノイズ・ウォールを演るユニットで、その核となっているのは、自らも本人名義でハーシュ・ノイズを演るRichard RamirezとそのパートナーでもあるSean E. Matzusがフロントを務め、色んな人を引き込んで演奏するバンドです。結成は1989年。Richard自体も公式な活動は1989年なので、ほぼほぼ同時に活動を始めているようです。彼らは戦争や暴力、ゲイ・ポルノグラフィー及びSMなどのイメージ戦略を行っており、また,一方で、Richardの本職は前衛ファッション・デザイナーで、その時はRichard Saenzの名前で活動しています。それだからこそ、そのような「ノイズミュージックの使いまわされたモチーフ」を全く持たないスローライフ・アヴァンギャルドなSmegmaとどんな関係で、このスプリットの話しが出てきたのかが興味深いところではありますね。 それで内容的なことですが、片面1曲づつ長尺の曲が収められていますが、どうも、SmegmaっぽいトラックとBLJっぽいトラックから成っており、完全なスプリットではなく、両者のコラボ・スプリットではないかと思われます。割とスカスカで、色んな音が無秩序に配置されたSmegma優位サイドと分厚い電子ドローン音に時折、咆哮が入るBLJ優位サイドから成っており、それぞれが元テイクを録っているのではないでしょうか?(これはファクトチェックしてませんが) 割と異種格闘技戦っぽいですが、出来上がったトラックは,どちらのテイストも楽しめて、凄く面白いと思います。なので、ノイズでもフリーでもない音楽とも言えますが、興味を持たれた方は聴いてみて下さい。因みに、ジャケの絵はJu Suk Reet Meateがやっています。 https://youtu.be/8A_jDWS4n3c https://youtu.be/8ovbixC3ios #Smegma #BlackLeatherJesus #Collaboration #Split #FreeMusic #NoiseMusic
Experimental Noise Axis Mundi 不明Dr K2
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Aaron Dilloway “The Gag File”
本作は、Aaron Dillowayの作品で、Dais Recordsよりクリア盤で400枚限定で2017年に発表されたアルバムで、Wolf Eyes等でも知られているAaronのソロ作品です。ソロとしては2012年以来らしいです。Aaronは米国ミシガン出身の実験音楽家で、自身のレーベルHanson Recordsを運営しながら、GalenとかUniversal Indiansと言ったバンド活動を行って来ていますが、やはりThe Wire誌にも掲載されたWolf Eyes(1998-2005年)での活動が有名でしょう。2004年には、彼はネパールに移住し、現地の音楽などのフィールドレコーディングをやっているようで、2007年にオハイオに戻ってきて、活動しています。彼の音楽は、基本的に8トラックテープによるループやテープのヒスノイズ等を用いたテープ操作によるノイズミュージックなんですが、本作では、更にフィールド録音やシンセも使用する独特のアブストラクトな音楽となっており、比較的ノイジーな感触が強いかもしれません。因みに、Aaron Dillowayが今回使った機材は、Tape Loops, Yamaha CS-5 Synth, Wheelbarrow, Earase Heads, Radio Shack Piezos, Lips, Schoeber Reverbatape, Wind Licked Dirt, Shitty Drumset, Fancy Piano, Realistic Mixer, Taser, Moog Rogue, kLem Baby, Scissors, Plastic Table, Metal Chair, Hidden Tape Recorder, Rattle, Birds, CTA 102, Echo Chamber, Cyborg Simulatorだそうです。当然、これも専門店の通販サイトで購入したが、盤がクリア盤(クリア盤は100枚限定で、青盤が400枚限定で、白盤が350枚限定で、これら以外は通常盤となっています)だったので,ちょっと高かったかな? A1 “Ghost” (4:49) A2 “Karaoke With Cal” (6:13) A3 “Inhuman Form Reflected” (4:16) A4 “Born In A Maze” (4:47) B1 “It's Not Alright” (2:21) B2 “No Eye Sockets (For Otto & Sindy)” (4:26) B3 “Switch” (5:05) B4 “Shot Nerves” (3:41) B2 “No Eye Sockets (For Otto & Sindy)” https://youtu.be/lqDKbTWOWqQ?si=frqezA1_-U3oxVNr [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lftv361-G9ZsP9I88kf-XgAPlHyN40-IA&si=PiJSMcPdOKjwYMzS #AaronDilloway #TheGagFile #DaisRecords #Experimental #Abstract #Noise #TapeManipulation #HissNoise #FieldRecording #Synthesizers
Experimental / Abstract / Noise Dais Records ¥2500位Dr K2