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Motörhead “Orgasmatron”
パンクスからもヘビメタからも好かれていたバンド、それがMotörheadです。私は、以前にベスト盤のCDを買って、気に入って聴いていたのですが、どうしてもLPが欲しくなって、今回、購入したのが、彼等の8枚目のスタジオ・アルバム”Orgasmatron”でした。まぁ、普通はこのアルバムから入るリスナーは少数派だとは思いますが、前述のベスト盤でお気に入りだったのが、タイトル曲”Orgasmatron”だったので。
それでは、先ず、Motörheadのバイオグラフィーを書いていきたいと思います(まぁ、私が紹介するよりも詳しい方はいるとは思いますが、ご勘弁を)。皆さん、知っていると思いますが、Lemmyは、英国サイケバンドHarkwindに在籍していましたが、1975年5月に、薬物強迫症の為、バンドを抜けてカナダで静養しています。その時に、自分のバンドをやりたいと決意し、自分がHarkwind時代に書いた曲からMotörheadと新バンド名を決め、MC5のように、速くてダーティなロックを目指し、Pink FairiesのLarry Wallis (G)とその紹介でLucas Fox (Drs)を誘い、Motörheadを始めます。1975年7月に英国Roundhouseにて、Greensladeのサポートでライブデビューし、同年10月には、Hammersmith Odeonで、Blue Öyster Cultのサポーティング・アクトを務めています。それで、彼等は、United Artists Recordsと契約し、スタジオでセッションを始めますが、Foxがイマイチ頼りにならないと言うことで、ドラムをPhil "Philthy Animal" Taylorに代えます。その後、1976年3月に、もう1人ギタリストが必要と考えで、 "Fast" Eddie Clarke (G)が加入します。WallisはPink Fairiesのツアーを続けていたこともあり、Clarkが新Gに決まった途端、脱退します。結果として、Lemmy/Clarke/Taylorと言う、今では良く知られている古典的Motörheadのラインナップが完成します。それで、デビューアルバムをどこから出すかで揉めて、結局、Chiswick Recordsから、6月にシングル”Motorhead”を、8月にアルバム” Motörhead”を出し、UKアルバムチャートは43位となります。1978年には、全英ツアー後、カバー曲"Louie Louie"を出し、またこの時期に、BBC Radio 1 John Peel Session用に録音し、また同年10月にはBBCのTV番組Top of the Popsにも出演しています。この番組での新曲の演奏が良い反応だったことで、バンドは1979年3月からスタジオに入り、3月24日にセカンド・アルバム”Overkill”を出します。これはUKアルバムチャートで24位まで上がります。同年10月12日にはサードアルバム”Bomber”をリリース、UKアルバムチャートで12位になり、ツアーでは爆撃機の巨大模型を使った大掛かりなステージを披露しています。1980年5月8日に、レーベルは、初のライブEP”The Golden Years”を出し、UKシングルチャート8位までいきます。同年夏にスタジオ入りし、10月27日にシングルを、11月8日に、4枚目のアルバム”The Ace of Spades”を出し、UKアルバムチャートは4位とバンド史上最高の評価を受けます。また、アルバムのジャケ写の「砂漠のガンマン」姿はリスナーを釘付けにしています。1981年にあは、GirlschoolとのコラボEP”St. Valentine's Day Massacre”を出し、UKシングルチャート5位に、また、ライブアルバム”No Sleep 'til Hammersmith”も出し、これはUKアルバムチャート1位になります。同年4〜7月は、USツアーで、Ozzy OsbourneのバンドBlizzard of Ozzのゲスト出演をしています。1982年1月にバンドは自己プロデュースで録音を行い、シングル”Iron Fist”を4月に出し、更に5枚目のアルバム”Iron Fist”もリリースして、UKアルバムチャートは6位になっています。ただし、これがLemmy/Clarke/Taylorの最後のリリースとなり、5月の北米ツアーでClarkeは脱退します。LemmyとTaylorは、新たなGとして、Thin LizzyのBrian Robertsonをリクルートし、6枚目のアルバム”Another Perfect Day”とシングル2枚を制作。それで、6月〜11月まで日本、欧州、米国ツアーを敢行しますが、Robertsonの服装のお陰で、観客に困惑を招いた為、1983年11月のベルリンでのライブを最後に、彼は脱退します。そして再び、ギタリスト選びにかかりますが、その中からWürzelことMichael Richard BurstonとPersian RiskのPhil Campbellを選ばれます。それで、1984年2月に、Lemmy/Campbell/Taylorで、TV番組用に”The Ace of Spades”を録音をしますが、おふざけが過ぎた為が、その直後にTaylorが脱退します。それで、CampbellはSaxonのPete Gill (Drs)を誘ってみます。GillはOKして、ロンドンにやって来ますが、レーベル側から「もう腰を落ち着けてやってくれ」と言われます。それで、Lemmyも引き継ぎをして、1985年5月にスタジオ入りします。そうして、9月1日にシングル ”Killed By Death”を、9月15日に2枚組アルバム”No Remorse”をリリース、アルバムはUKチャートで14位になり、シルバーディスクを取っています。しかしながら、レコード会社は、バンドが適切な手続きを取っていないと裁判を起こし、録音スタジオを2年間使用禁止にしてしまいます。その為、バンドは、ツアーとTV出演などに注力します。それで、1986年に、漸く、レコード会社との裁判で、概ねバンドが勝訴し、その事もあって、彼等は自身のレーベルGWRで自分達のマネージメントをしていくことにします。Motörheadは、ロンドンのMaster Rockスタジオを借り、シングル”Deaf Forever”を7月5日に、本作品でもあるアルバム”Orgasmatron”を8月9日にリリースします。アルバムは、UKチャートで21位となります。この後、Lemmyは、第二次世界大戦の独軍爆撃機を使うパフォーマンスを辞めています。また、1987年に、映像”Ear The Rich”の撮影が行われますが、その間にGillは脱退してしまい、代わりにTaylorが戻ってきます。その撮影では、Lemmyは他のコメディアンとかと同じように、有名人らしく振る舞っていました。それでバンドは、映像の為に新曲”Eat The Rich”を特別に書き上げ、サントラにも収められています。その後、同年9月5日にGWRとしてはセカンドに当たるアルバム”Rock ‘n’ Roll”を出しています。1988年にフィンランドでコンサート後、この時の音源をライブアルバム”Nö Sleep at All”として出していますが、シングルカットの問題が拗れて、「店頭にはシングルは渡さない、全部引き上げる。もし欲しいなら、ツアーを観に来るか、公式ファンクラブを通して買うかだ」と言う事態になり、1989年〜1990年の間、バンドはライブを続けざるを得ない状態になり、更にGWRとも裁判沙汰になり、1990年代中盤まで続くことになります。この裁判が和解した後に、バンドは、Epic/WTGと契約します。とまあ、この先も話題てんこ盛りにあるのですが、今回はここら辺までとしますが、Motörheadの最後だけちょっと書いておきます。2015年12月28日に、Lemmyは、70歳の誕生日の4日後に、前立腺癌と不整脈で他界しており、同年11月12日にTaylorは肝不全で61歳で他界しています。残ったメンバーのMikkey Dee (Drs)が、Lemmyの死によって、Motörheadは終わった、もう復活することはないと宣言して、バンドは終焉を迎えました。
とまあ、Motörheadを語ろうとしたら、まだまだ足りませんが、今回は、1990年までと言うことでご勘弁願いたい。それで、本作品”Orgasmatron”なのですが、このアルバムのメイン・プロデューサーは何と!あとBill Laswellなんですよ。私が、このアルバムを選んだ理由の1つではありますね。あと、意外にこのアルバムはヤフオク等の中古市場に出回らないんです。なので、思い切って海外通販で買いました。まあ、そんなことはどうでも良いのですが、この時期のMotörheadのラインナップは、Lemmy Kilmister (B, Vo), Michael "Würzel" Burston (G), Phil "Wizzö" Campbell (G), Pete Gill (Drs)の4人編成なんです(しかも、MotörheadでのPete Gillのアルバムの録音はこれだけなんよ)。これは聴くのが楽しみですね。それでは、各曲を聴いていってみましょう。
★A1 “Deaf Forever” (4:26)は、独特のドライなスネアから繰り広げられる力強いビートとザクザクとリズムを刻むGと共に、Lemmyの酒焼けしたVoが堪らんです。ベスト盤とヴァージョンが違うのかな?
★A2 “Nothing Up My Sleeve” (3:11)は、スラッシュ気味のアップテンポの曲で、一種のミニマリズムすら感じますね。Gが2本なので、音が分厚いです。
★A3 “Ain't My Crime” (3:42)も、Gが2本なのを活かしたイントロから始まり、爆走していきます。正にジャケ写の通りです。
★A4 “Claw” (3:31)は、Drsの乱打から始まり、ドコドコしながらも、スラッシュ・メタルのように激走していきます。サビの盛り上がりや間奏のGソロもカッコ良いです。とにかくDrsが凄い!
★A5 “Mean Machine” (2:57)は、A4と連続して始まり、速いテンポで一丸となって暴走するタンクのような鉄の塊りを想起させます。痺れます!
★B1 “Built for Speed” (4:56)は、ややテンポを緩めてますが、「Rock’n’Rollの為に俺は生まれた」と歌うLemmyの心意気をビンビン感じます。2人のGソロの掛け合いも絶妙!
★B2 “Ridin' with the Driver” (3:47)も、スラッシュな疾走感と鋼の重量感のある曲ですね。刷り込みかもしれませんが、この曲も、やっぱりジャケ写のイメージそのものです。最後の雄叫びもカッコ良いです。
★B3 “Doctor Rock” (3:37)は、やや跳ねるような腰のあるリズムですが、重量感もある演奏とLemmyのVoは冴えまくってます。また、間奏のGが変わったフレーズを弾いています。
★B4 “Orgasmatron” (5:26)は、タイトル曲ですが、先ず逆回転から始まり、ミニマリズムを極めたような分厚い音の壁が、押し殺したようなLemmyのVoと共に強迫的に胸ぐら掴んできます。この曲には、特にBill Lawellのプロデュース・センスを感じますね。シンプルでミニマルでヘビーな名曲だと思います!終わり方も秘密兵器のように消えていきます、
Motörheadと言うと、どうしても、最初の3人のラインナップで、”The Ace of Spades”で爆走するイメージが強いですが—— Lemmy自身もそれにうんざりしていた——、本作品で聴くことのできるシンプルさとそれをミニマルに演奏すると言うロックンロールの鉄拳と、そのエキスを抽出したような曲が詰め込まれたアルバムも、個人的には大好きですね(因みに、Phillは、Laswellが初期ヒップホップのリズムを融合させるんじやないかと思っていたらしいですが、結果的にそれはできませんでした。特にB4のタイトル曲は全てのロックファンに聴いて欲しいです❗️丁度、パンクで言うところのThe Ramones初期とかWireの”Pink Flag”とかにも通じると思うんですよね。なので、皆さんもこのアルバム、一回は聴いてみて下さい!
https://youtu.be/19vwnAD8ssA?si=I58UXvxubDQzbObu
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