-
Motörhead “Orgasmatron”
パンクスからもヘビメタからも好かれていたバンド、それがMotörheadです。私は、以前にベスト盤のCDを買って、気に入って聴いていたのですが、どうしてもLPが欲しくなって、今回、購入したのが、彼等の8枚目のスタジオ・アルバム”Orgasmatron”でした。まぁ、普通はこのアルバムから入るリスナーは少数派だとは思いますが、前述のベスト盤でお気に入りだったのが、タイトル曲”Orgasmatron”だったので。 それでは、先ず、Motörheadのバイオグラフィーを書いていきたいと思います(まぁ、私が紹介するよりも詳しい方はいるとは思いますが、ご勘弁を)。皆さん、知っていると思いますが、Lemmyは、英国サイケバンドHarkwindに在籍していましたが、1975年5月に、薬物強迫症の為、バンドを抜けてカナダで静養しています。その時に、自分のバンドをやりたいと決意し、自分がHarkwind時代に書いた曲からMotörheadと新バンド名を決め、MC5のように、速くてダーティなロックを目指し、Pink FairiesのLarry Wallis (G)とその紹介でLucas Fox (Drs)を誘い、Motörheadを始めます。1975年7月に英国Roundhouseにて、Greensladeのサポートでライブデビューし、同年10月には、Hammersmith Odeonで、Blue Öyster Cultのサポーティング・アクトを務めています。それで、彼等は、United Artists Recordsと契約し、スタジオでセッションを始めますが、Foxがイマイチ頼りにならないと言うことで、ドラムをPhil "Philthy Animal" Taylorに代えます。その後、1976年3月に、もう1人ギタリストが必要と考えで、 "Fast" Eddie Clarke (G)が加入します。WallisはPink Fairiesのツアーを続けていたこともあり、Clarkが新Gに決まった途端、脱退します。結果として、Lemmy/Clarke/Taylorと言う、今では良く知られている古典的Motörheadのラインナップが完成します。それで、デビューアルバムをどこから出すかで揉めて、結局、Chiswick Recordsから、6月にシングル”Motorhead”を、8月にアルバム” Motörhead”を出し、UKアルバムチャートは43位となります。1978年には、全英ツアー後、カバー曲"Louie Louie"を出し、またこの時期に、BBC Radio 1 John Peel Session用に録音し、また同年10月にはBBCのTV番組Top of the Popsにも出演しています。この番組での新曲の演奏が良い反応だったことで、バンドは1979年3月からスタジオに入り、3月24日にセカンド・アルバム”Overkill”を出します。これはUKアルバムチャートで24位まで上がります。同年10月12日にはサードアルバム”Bomber”をリリース、UKアルバムチャートで12位になり、ツアーでは爆撃機の巨大模型を使った大掛かりなステージを披露しています。1980年5月8日に、レーベルは、初のライブEP”The Golden Years”を出し、UKシングルチャート8位までいきます。同年夏にスタジオ入りし、10月27日にシングルを、11月8日に、4枚目のアルバム”The Ace of Spades”を出し、UKアルバムチャートは4位とバンド史上最高の評価を受けます。また、アルバムのジャケ写の「砂漠のガンマン」姿はリスナーを釘付けにしています。1981年にあは、GirlschoolとのコラボEP”St. Valentine's Day Massacre”を出し、UKシングルチャート5位に、また、ライブアルバム”No Sleep 'til Hammersmith”も出し、これはUKアルバムチャート1位になります。同年4〜7月は、USツアーで、Ozzy OsbourneのバンドBlizzard of Ozzのゲスト出演をしています。1982年1月にバンドは自己プロデュースで録音を行い、シングル”Iron Fist”を4月に出し、更に5枚目のアルバム”Iron Fist”もリリースして、UKアルバムチャートは6位になっています。ただし、これがLemmy/Clarke/Taylorの最後のリリースとなり、5月の北米ツアーでClarkeは脱退します。LemmyとTaylorは、新たなGとして、Thin LizzyのBrian Robertsonをリクルートし、6枚目のアルバム”Another Perfect Day”とシングル2枚を制作。それで、6月〜11月まで日本、欧州、米国ツアーを敢行しますが、Robertsonの服装のお陰で、観客に困惑を招いた為、1983年11月のベルリンでのライブを最後に、彼は脱退します。そして再び、ギタリスト選びにかかりますが、その中からWürzelことMichael Richard BurstonとPersian RiskのPhil Campbellを選ばれます。それで、1984年2月に、Lemmy/Campbell/Taylorで、TV番組用に”The Ace of Spades”を録音をしますが、おふざけが過ぎた為が、その直後にTaylorが脱退します。それで、CampbellはSaxonのPete Gill (Drs)を誘ってみます。GillはOKして、ロンドンにやって来ますが、レーベル側から「もう腰を落ち着けてやってくれ」と言われます。それで、Lemmyも引き継ぎをして、1985年5月にスタジオ入りします。そうして、9月1日にシングル ”Killed By Death”を、9月15日に2枚組アルバム”No Remorse”をリリース、アルバムはUKチャートで14位になり、シルバーディスクを取っています。しかしながら、レコード会社は、バンドが適切な手続きを取っていないと裁判を起こし、録音スタジオを2年間使用禁止にしてしまいます。その為、バンドは、ツアーとTV出演などに注力します。それで、1986年に、漸く、レコード会社との裁判で、概ねバンドが勝訴し、その事もあって、彼等は自身のレーベルGWRで自分達のマネージメントをしていくことにします。Motörheadは、ロンドンのMaster Rockスタジオを借り、シングル”Deaf Forever”を7月5日に、本作品でもあるアルバム”Orgasmatron”を8月9日にリリースします。アルバムは、UKチャートで21位となります。この後、Lemmyは、第二次世界大戦の独軍爆撃機を使うパフォーマンスを辞めています。また、1987年に、映像”Ear The Rich”の撮影が行われますが、その間にGillは脱退してしまい、代わりにTaylorが戻ってきます。その撮影では、Lemmyは他のコメディアンとかと同じように、有名人らしく振る舞っていました。それでバンドは、映像の為に新曲”Eat The Rich”を特別に書き上げ、サントラにも収められています。その後、同年9月5日にGWRとしてはセカンドに当たるアルバム”Rock ‘n’ Roll”を出しています。1988年にフィンランドでコンサート後、この時の音源をライブアルバム”Nö Sleep at All”として出していますが、シングルカットの問題が拗れて、「店頭にはシングルは渡さない、全部引き上げる。もし欲しいなら、ツアーを観に来るか、公式ファンクラブを通して買うかだ」と言う事態になり、1989年〜1990年の間、バンドはライブを続けざるを得ない状態になり、更にGWRとも裁判沙汰になり、1990年代中盤まで続くことになります。この裁判が和解した後に、バンドは、Epic/WTGと契約します。とまあ、この先も話題てんこ盛りにあるのですが、今回はここら辺までとしますが、Motörheadの最後だけちょっと書いておきます。2015年12月28日に、Lemmyは、70歳の誕生日の4日後に、前立腺癌と不整脈で他界しており、同年11月12日にTaylorは肝不全で61歳で他界しています。残ったメンバーのMikkey Dee (Drs)が、Lemmyの死によって、Motörheadは終わった、もう復活することはないと宣言して、バンドは終焉を迎えました。 とまあ、Motörheadを語ろうとしたら、まだまだ足りませんが、今回は、1990年までと言うことでご勘弁願いたい。それで、本作品”Orgasmatron”なのですが、このアルバムのメイン・プロデューサーは何と!あとBill Laswellなんですよ。私が、このアルバムを選んだ理由の1つではありますね。あと、意外にこのアルバムはヤフオク等の中古市場に出回らないんです。なので、思い切って海外通販で買いました。まあ、そんなことはどうでも良いのですが、この時期のMotörheadのラインナップは、Lemmy Kilmister (B, Vo), Michael "Würzel" Burston (G), Phil "Wizzö" Campbell (G), Pete Gill (Drs)の4人編成なんです(しかも、MotörheadでのPete Gillのアルバムの録音はこれだけなんよ)。これは聴くのが楽しみですね。それでは、各曲を聴いていってみましょう。 ★A1 “Deaf Forever” (4:26)は、独特のドライなスネアから繰り広げられる力強いビートとザクザクとリズムを刻むGと共に、Lemmyの酒焼けしたVoが堪らんです。ベスト盤とヴァージョンが違うのかな? ★A2 “Nothing Up My Sleeve” (3:11)は、スラッシュ気味のアップテンポの曲で、一種のミニマリズムすら感じますね。Gが2本なので、音が分厚いです。 ★A3 “Ain't My Crime” (3:42)も、Gが2本なのを活かしたイントロから始まり、爆走していきます。正にジャケ写の通りです。 ★A4 “Claw” (3:31)は、Drsの乱打から始まり、ドコドコしながらも、スラッシュ・メタルのように激走していきます。サビの盛り上がりや間奏のGソロもカッコ良いです。とにかくDrsが凄い! ★A5 “Mean Machine” (2:57)は、A4と連続して始まり、速いテンポで一丸となって暴走するタンクのような鉄の塊りを想起させます。痺れます! ★B1 “Built for Speed” (4:56)は、ややテンポを緩めてますが、「Rock’n’Rollの為に俺は生まれた」と歌うLemmyの心意気をビンビン感じます。2人のGソロの掛け合いも絶妙! ★B2 “Ridin' with the Driver” (3:47)も、スラッシュな疾走感と鋼の重量感のある曲ですね。刷り込みかもしれませんが、この曲も、やっぱりジャケ写のイメージそのものです。最後の雄叫びもカッコ良いです。 ★B3 “Doctor Rock” (3:37)は、やや跳ねるような腰のあるリズムですが、重量感もある演奏とLemmyのVoは冴えまくってます。また、間奏のGが変わったフレーズを弾いています。 ★B4 “Orgasmatron” (5:26)は、タイトル曲ですが、先ず逆回転から始まり、ミニマリズムを極めたような分厚い音の壁が、押し殺したようなLemmyのVoと共に強迫的に胸ぐら掴んできます。この曲には、特にBill Lawellのプロデュース・センスを感じますね。シンプルでミニマルでヘビーな名曲だと思います!終わり方も秘密兵器のように消えていきます、 Motörheadと言うと、どうしても、最初の3人のラインナップで、”The Ace of Spades”で爆走するイメージが強いですが—— Lemmy自身もそれにうんざりしていた——、本作品で聴くことのできるシンプルさとそれをミニマルに演奏すると言うロックンロールの鉄拳と、そのエキスを抽出したような曲が詰め込まれたアルバムも、個人的には大好きですね(因みに、Phillは、Laswellが初期ヒップホップのリズムを融合させるんじやないかと思っていたらしいですが、結果的にそれはできませんでした。特にB4のタイトル曲は全てのロックファンに聴いて欲しいです❗️丁度、パンクで言うところのThe Ramones初期とかWireの”Pink Flag”とかにも通じると思うんですよね。なので、皆さんもこのアルバム、一回は聴いてみて下さい! https://youtu.be/19vwnAD8ssA?si=I58UXvxubDQzbObu #Motörhead #Orgasmatron #BMG #SanctuaryRecords #GWRRecords #1986年 #Reissue #2015年 #Rock’n’Roll #HardRock #ThrashMetal #Producer #BillLaswell #LemmyKilmister #MichaelWürzelBurston #PhilWizzöCampbell #PeteGill
Hard Rock / Rock’n’Roll BMG / Sanctuary (GWR Records) 5430円Dr K2
-
The Fear Merchants “Mental”
これも謎物件。どうも、英国レーベルIt’s War BoysからAmos and Sara名義で、カセット作品を出していた、Amos (エイモス)ことJim WaltonとSara (サラ)ことSara Vaughanが、1983年に同レーベルより出した、The Fear Merchants名義のカセット作品”Mental”を、米国レーベルEmotional Responseが2019年になって、LPで再発したのが、本作品です。それ以上の情報は不明です。何故、名義を変えたのか?それまでとどう違うのか?全て謎のままです(カセット作品は私は未聴)。因みに、Amos & Saraと言うデュオは、超Lo-Fiサウンドで、一聴するとDaniel Johnstonのようにピュアネス全開のようでありながら、古めかしいJazzやJag Band風、Mondo Music~Exoticaにトライバルなビート、テープループの実験要素まで飛び出すと言う引き出しの多い2人であったとのことです。ある書評では、Amos & Saraの作品が、天然で生み出されたとすればまさに奇跡ですし、すべて計算ずくだったとしたらあまりにもパンクだとも言えるでしよう。何はともあれ、最高に変で、愛すべき目から鱗な音楽というべきもので、The Raincoats~Daniel Johnston~The Shaggsまで通じる無邪気さで、昔のJazzやExoticaをポストパンク風に料理した的な味わいの無気力サウンドと評されています。それらを踏まえると、本作品は、その延長線上にあり、1980年代の北ロンドンのDIYシーン、即ちDIY-スクワット・シーンの一端を、The Fear Merchantsと言う超短命のバンドを通して伺い知ることが出来るものであると言うことです。それと、このバンド或いはカセット・レーベルは、どうも、1983年時点のThe Homosexialsと何らかの関係があったようです。そんなカセット・カルチャーやDIY-スクワット・シーンに興味を持ったのが、米国のEmotional Responseであったと言う訳です。本作品では両面6曲ずつ収録されていますが、まぁ、とにかく、各曲を聴いていきましょう。 ★A1 “Un Choix Du Mal Song”は、最初のホーンや子供の声或いは会話の音風景は”Act One”と言うMC曲でもあり、それに続いて、ワルツのリズムに乗ったアコーディオンとBの弾語りになって、時にGも入ります。 ★A2 “U - Boat Captain”は、MCの後、モンドなGとDrsと自在なVoとSE的シンセ音の絡む曲です。 ★A3 “The Uzbeck Connection 9”も、MCの後に、子供らしきVoが、引っ込んだDrsとVlnと簡素なBの上で自在かつ元気一杯に歌っています。時々入るSEシンセ音も良きかな。 ★A4 “Industrialist's Dirge”では、MCの後に、ウッドBと深いディレイの掛かったVinと極めてスカスカなPerc、それにやる気無さげなVoから成る曲で、中身が無さそうな曲です。 ★A5 “Reflection In Psychiatrist's Spectacles Theme”は、ウッドBとトランペットとVlnと物音系Percから成る小曲です。 ★A6 “Fiasco”は、モンドな雰囲気のミニマルPercとBと弾きまくっているVlnに合わせて、さも仰々しいVoが乗っている曲です。 ★B1 “Ya Habibi”は、MCの後、男女の掛け声のようなVoが、似非民族音楽の演奏に上に乗っている曲です。でも女声の方がメインかな? ★B2 “Aristocratic Hunchback Out-cast Song”は、MCの後、ヘロヘロの女性Voが、VlnとBとアコーディオンをバックに歌いまくっています。 ★B3 “Absolute Misery Theme”は、Celloのような音から成る小曲です。 ★B4 “Doctor's Orders”は、女性Voと会話調の男性Voが、ノリの良いジャジーな演奏に乗っている曲で、ダルと言うよりも怪しげです。 ★B5 “When She Weighs Eighty-Six Stones”は、ジャジーなウッドBとDrsに女声合唱被り、更に男性の声やトランペットなんかも挿入されます。 ★B6 “Mental Theme”は、マリンバとPercとトランペットから成る小曲です。 と言う訳で、曲間が非常に分かり難く、切れ目が良く分からないので、ちゃんとリアルタイムで聴けたかどうかも心許ないですが、Bandcampと合わせて確認しました。全体の雰囲気は、Lo-Fiなラウンジみたいな環境ですね。誰がどの楽器を担当しているかなんてどーでも良いくらいはちゃめちゃです。この手のヘタウマは1980年代に流行っていたことを考えると、時代性をしっかり感じていたのではないでしようか?その意味では、同時代性があったと思いますし、また、今の若いリスナーさんには、逆に新鮮に聴こえるかも?どうでしょうか、一度聴いてみては? https://youtu.be/OYSypqyHWsI?si=XM8zMZO6MYYSg6tK [BandcampのURLも貼っておきます] https://emotional-response-recs.bandcamp.com/album/mental #TheFearMerchants #Mental #EmotionalResponse #It’sWarBoys #OnlyOneAlbum #Reissue #LimitedEditions #Lo-Fi #Experimental #Mondomusic #Amos #HermannNuldstafer #LeadSingers #JimWelton #SaraHopHop #SaraVaughan
Experimental / Lo-Fi / Mondo Music Emotional Response (It’s War Boys) 2420円Dr K2
-
B.C. Gilbert & G. Lewis “3R4”
久しぶりですねー、あのWireのGだったBruce C. GilbertとBのGraham Lewisが、Wireの解散後、またDomeの結成前に制作したのが、pre-Domeとも言える本作品”3R4”です。実は、Domeは大体好きだったのですが、本作品はすっかり買い忘れており、後に、何とか入手したのです。ただし、Superior Viaductがリリースした再発盤なんですけど。そこら辺の契約については詳細が不明ですが、何せ、このレーベルは過去の名作と言われるアイテムを結構、再発していますので、要注目です。GilbertとLewisについては、WireやDomeの項目で、既にバイオグラフィーについては書いていると思いますので、そちらをご参照下さい。 本作品の参加者は、B. C. Gilbert (Perc [A1,A2], G&B [B1, B2]), G.Lewis (G&Synth&Tape [A1,A2], Perc)の他、Davyd Boyd (B, Voice&Others [B1,B2]), Russell Mills (Perc [A1,A2]), John Fryer (Tape [B1, B2])がゲスト参加しています。その後のGlibertとLewisが、あの硬質で無機質のDomeを結成したことを考えると、本作品は、まだそこまでの冷徹さは感じませんが、逆にWireがファースト・アルバム”Pink Flag”で1〜2分の短い曲を連射していたことを考えると、長尺の曲に挑戦しているだけで、興味深いじゃありませんか? なお、本作品は、MuteのBlackwing Studioで、1980年9月2日〜7日と言う短い期間で制作されています。それでは、本作品の各曲をご紹介していきましょう(ただ、A1とB1とは同名異曲です)。 ★A1 “Barge Calm” (1:11)は、プリペアード弦楽器を用いた擬似民族音楽のような小曲です。 ★A2 “3.4 ...” (17:03)は、不明瞭な反復音から始まり、徐々に硬質なインダストリアル音が混在して、やがて、大きなテープ音等が聴こえたかと思うと、不明瞭なBのリフの反復へと変化し、リズミックな電子音や打楽器音も加わり、延々と繰り返される「工場での祝祭」へと変貌していき、フェイドアウトしていきます。 ★B1 “Barge Calm” (1:08)は、インダストリアルな演奏が擬似民族音楽を演奏しているような小曲で、既にDome的ですね。 ★B2 “R” (20:03)も、硬質な音質の様々な音が、まるで工場の機械のようにミニマルに演奏されていますが、唐突にそれらは終わり、伸長した声へと、それから無機質なBとGも加わりますが、またもや工業的なフレーズ/リズムを奏で始め、最終的には、擬似アンビエントに変化して、音の祭儀は終焉に向かいます。 この盤に刻まれているのは、所謂「工業神秘主義的音楽」ではなかろうかと思います。そうして、ここに収録されている音楽は、確かに硬質で冷ややかなインダストリアルなのですが、何故か、民族音楽的な雰囲気を纏っており、その辺りの音作りがDomeへと繋がっていくのではないかと確信させてくれます。また、独特の「間」と言うか「空間」も彼等ならではだと思います。このインダストリアルな冷徹さと反復による祝祭性の同居がGilbert&Lewisの最大の特徴ですね。今、聴いても新鮮です❗️なので、1人でも多くの方に聴いて欲しい1枚ですね。 A1 “Barge Calm” https://youtu.be/rgrgR8H5FCo?si=x-yWUzQq5Kzd2-K- A2 “3.4 ...” https://youtu.be/gaQfoGZ4kS0?si=ps_wg2DfHgK3qIAE B2 “R” https://youtu.be/EN4aK6DhtmQ?si=KYK18FabBl1-IuMN #BruceCGilbert #GrahamLewis #3R4 #4AD #SuperiorViaduct #Reissue #FirstAlbum #Wire #Dome #Collaboration #Experimental #Industrial #Folklore #工業神秘主義的音楽 #Repetition #Guests #DavydBoyd #RussellMills #JohnFryer
Experimental / Industrial 4AD (Superior Viaduct) 不明Dr K2
-
Fischer-Z “Going Deaf For A Living”
このバンドは、以前にファースト・アルバム”Word Salad”を紹介していますが、この作品は当時のテクノ・ポップな作品として非常に優れており、当時は愛聴していました。しかしながら、本作品でもあるセカンド・アルバム”Going Deaf For A Living”では、Kbdが抜けて、レゲエになったとの噂が流れていたので、当時は手を出しませんでした。随分後になって、偶々、中古レコード屋で餌箱を漁っていた時に見つけて、何の気無しに買ったと言う経緯があります。それで、気が付いたのですが、KbdのSteve Skolnikはまだ在籍していますし、ファーストよりはテクノ色は薄らいたものの、ニューウェーブとしてはまだまだ全然イケましたので、良く聴いていました。Fischer-Zのバイオグラフィーについては、前回、ここら辺までは書いてありますので、1回目の解散までを極簡単に書いておきます。元々は、1977年に、John WattsがStephen Skolnikと共に結成したのが始まりで、最初のライブは英国パンククラブで行われたそうです。そして、1979年に、ファースト・アルバム”Word Salad”をUnited Artists Recordsより出しており、The BuzzcocksとThe Stranglersと同時リリースだったとか。それで、シングルカットされた”Remember Russia”をBBCのRadio 1のDJJohn Peelが何度も何度も放送したこともあって、TV番組The Old Grey Whistle Testにも出演し、欧州でも人気が出ました。そして、セカンド・シングル”The Worker”に至っては、1979年にTV番組Top of the Popsにも出演しています。そうして、本作品でもあるセカンド・アルバム”Going Deaf For A Living”をリリースします。Wattsは、突拍子の無いポップ・ソングが、世界的な政治的テーマを捉えることが出来ることを可能であると考え、次のシングル”So Long”を1980年に出していますが、これが、新しく導入されたMTVでも取り上げられています。その為、翌年1981年に、最も商業的に成功したサード・アルバム”Red Skies Over Paradise”をリリース、2枚のシングル”Marliese"と"Berlin"も、このアルバムに収録されています。これらのアルバムのヒットから、1980年〜1981年の期間に、英国、北米、欧州で、200回ものライブをこなしていますが、Wattsは、このメンツでは、当初のパンクな理想からどんどん離れていってしまうと考えて、1982年にバンドを解散します。その後、Wattsはソロ活動などにしていましたが、1987年に、Wattsは、メンツを全く替えて、Fischer-Zを再開します。アルバムもコンスタントに出して、現在も活動中です。ただし、2004年に、25周年記念アルバム” Fischer-Z Highlights 1979-2004”の制作過程で、Garden Party DVDの撮影の為、オリジナルメンバーで、1回だけ再結成したことがあります。 と言うのが、Fischer-Zの大体の経歴なのですが、本作品では、まだKbdのSteve Skolnikも在籍していますが、ファーストのような如何にもテクノポップなイメージとは随分異なりますね。因みに、本作品でのメンバーは、John Watts (Vo, G), David Graham (B), Steve Skolnik (Kbd), Steve Liddle (Drs)のオリジナルメンバーです。それでは、各曲について紹介していきたいと思います。 ★A1 “Room Service” (3:42)は、ややレゲエ調の曲ですが、Wattsは、珍しくファルセットでは歌っていません。サビの所はカッコ良いですが、柔らかいトーンのシンセが使われています。 ★A2 “So Long” (5:00)は、最もヒットした曲で、Wattsはファルセットで歌っており、シンセもナチュラルなフレーズを奏でており、タイトなリズム隊はダンサブルなビートを叩き出しています。 ★A3 “Crazy Girl” (4:28)は、メロディアスなBが特徴的な曲で、洗練されたパワーポップと言った感じです。シンセは間奏のみですが、如何にもSkolnikなフレーズです。 ★A4 “No Right” (2:38)は、激し目のパンキッシュな曲ですが、Fischer-Zっぽいアレンジが施されていますし、シンセやGソロなんかも聴取できます。 ★A5 “Going Deaf For A Living” (3:31)は、表題曲で、ドタドタした性急なビートに軽快なフレーズで、WattsのファルセットVoも良く映えています。また、泣きのポリシンセやコーラスワークも絶妙です。 ★B1 “Pick Up / Slip Up” (2:37)も、パンキッシュなノリの曲ですが、ファルセットVoと分厚いKbdが曲を異化しています。サビのレゲエ調のアレンジも秀逸! ★B2 “Crank” (3:07)も、性急なビートがバリバリのパワーポップですが、途中の戯けたようなシンセがこの曲のキモですね。カッコ良いです! ★B3 “Haters” (4:07)は、一転、レゲエ調の落ち着いた雰囲気の曲となっていますが、Wattsは抑制的に歌っています。ファーストの”Remember Russia”風のシンセが泣かせます。因みに、GXがやっているノイズバンドThe Hatersとは無関係です(当たり前か)。 ★B4 “Four Minutes In Durham” (4:05)は、陽キャなアレンジが冴えるパワーポップな曲で、Wattsはそれ程ファルセットでは歌っていません。リズム隊がタイトで心地良く、シンセも独特のアレンジ/使い方です。 ★B5 “Limbo” (2:15)も、性急で激し目の曲で、もう何を歌っているのかも良く分からない程ですが、シンセが結構、活躍しています。Bもタイトでカッコ良いです。 本作品は、ファースト・アルバムに比べると、それ程テクノポップな感じはしませんが、得意のレゲエ調アレンジやWattsのファルセットVoも聴けますし、シンセも効果的に使われていますので、よりパワーポップな印象を受けますね。なので、ファーストを期待すると、ちょっと落胆するかも知れませんが、意外とFischer-Zの本質を現出している作品かも知れません。また、リズム隊のタイトな録音が素晴らしく、そこら辺も聴き所と思います。パワーポップとしてのFischer-Zを聴いてみて下さい❗️ A2 “So Long” (MV) https://youtu.be/Ejy7L64lFWM?si=NccNN2Qk6dXSQ01X [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nZ23etMlABVnWv_KOSdHPjyJihSc13dUs&si=szDl0XwOfBtboX9l #Fischer-Z #GoingDeafForALiving #UnitedArtistsRecords #2ndAlbum #NewWave #PowerPop #Keyboards #JohnWatts #DavidGraham #SteveSkolnik #SteveLiddle
New Wave / Power Pop UNITED ARTISTS Records 不明Dr K2
-
Alien Sex Fiend “Acid Bath”
またまた、ポジ・パンのAlien Sex Fiendの登場です。今回は、彼等のレコードとしては2枚目の”Acid Bath”です。強烈なジャケのアートワークで、嫌でも眼を惹きますよね。多分、それで買ったんだと思います。Alien Sex Fiendのバイオグラフィーについては、前回書きましたので、そちらをご参考にして下さい。なお、私の買ったのは米国盤で、オリジナルより1年遅れで発売されており、”Smoke My Bones”の代わりに B4 “Boneshaker (Baby)”に替わっており、A2 ”Dead And (Re-)Buried”とB2 “E.S.T.”はオリジナルとは違うヴァージョンとのことです。また、裏ジャケは、アメコミっぽくで、意外です。それと、インサートには、森脇美貴夫の書いた日本語ライナーに英語で落書きやイタズラがされています。それで、この時のメンバーは、Nik FiendことNicholas Wade (Vo), Mrs FiendことChristine Wade (Kbd), Yaxi HighrizerことDavid James (G), Johnnie Ha HaことJohnnie Freshwater (Drs)の4人組です。それでは、各曲についてご紹介していきましょう。 ★A1 “In God We Trust (In Cars You Rust?)”は、テンポの早い曲で、直線的なシーケンスとバリケードに電流を流したようなGに、やや投げやりで調子外れなVoがパンキッシュでカッコ良いです。 ★A2 “Dead And Re-Buried”は、低音の効いたDrs(ひょっとしてドラムマシン?)と歪んで伸長したGをバックに、NikのVoが乗る曲で、時に入るシンセ音が何故かユーモラスです。 ★A3 “She's A Killer”は、ダークで不穏な雰囲気の曲で、Nikのエコー深めなVoとMrs Fiendのリリカルなピアノがその不穏さを増強しています。 ★A4 “Hee-Haw (Here Come The Bone People)”は、ミドルテンポで、シアトリカルなNikのVoとメンバーによるコーラスが冴える曲で、時に刻んだり弾き伸ばしたりするGも低音シンセも良い塩梅です。最後にちょっと驚かせられます。 ★B1 “Breakdown And Cry (Lay Down And Die - Goodbye)”は、ドラムマシンも使ったダークな曲で、これだけ聴くと、ポジ・パンと言うよりもゴス・ロックですね。またBも使っているようですね。Voの表現力も鬼気迫りくる感じですし、シンセも良いフレーズです。 ★B2 “E.S.T. (Trip To The Moon)”では、B1と連続して始まり、割と単純なベースラインとパンキッシュなVoが引き立ちます。勿論、GもDrsも重要ですが。最後がきもですね。 ★B3 “Atack!!!!!! part 2”は、ややテンポアップした曲で、どちらかと言うとパンク調で、ノリノリです。この手の曲では、Drsの凄さが目立ちますね。勿論Voも! ★B4 “Boneshaker”は、スペーシーなシンセと共に、ロッケンローな曲が始まり、ちょっと意外でしたが、考えてみれば、サイコビリーもパンクから派生しているので、そう考えると当たり前かな? と言う訳で、Alien Sex Fiendの”Acid Bath” US盤でしたが、彼等の引き出しの多さに正直、驚きましたね。確かにVoとかはパンクの影響下にあるのですが、ベースレスであることから、シンセでBの代わりをしたり、シーケンサーを使ったりと工夫しており、また、自分達のルーツにも敬意を払ったアレンジをしたりと音楽性の豊かさを感じ取れました。このバンドを単にゴスロックの源流と見做すよりも、ダーク・ウェーブとかの源流とも思えました。見かけに騙されず、一回聴いてみて下さい❗️ [“Dead And Buried” live at Tsubaki House] https://youtu.be/a3DClbS-zLQ?si=iklqtrBiyRNKPCiH [original full album + live tracks] https://youtube.com/playlist?list=PLCCvuZzilzmoVLdf7JZgh8XDHkTTXxEuz&si=FSj9tvaD0aIcINGz #AlienSexFiend #AcidBath #Epitaph #1985年 #US盤 #AnagramRecords #1984年 #2ndAlbum #PositivePunk #GothRock #Industrial #Bassless #NikFiend #NicholasWade #MrsFiend #ChristineWade #YaxiHighrizer #DavidJames #JohnnieHaHa #JohnnieFreshwater
Positive Punk / Industrial Epitaph 不明Dr K2
-
Getting The Fear “Death Is Bigger 1984-85”
これは謎物件!こんなの通販で購入したのかなぁ?と思いつつも、Discogsを見たら、何と!Vo(BeeことPaul Hampshire)以外はThe Southern Death Cultのメンバーとのこと!ビックリしましたよ。こりゃゴスか!と思い、取り敢えず、Getting The Fear (以下、GTFと表記)を少し調べてみました。Discogsによれば、正規のアルバムは無く、シングルを1枚出しているだけのようです。このバンドを語る上では、The Southern Death Cultを話さないと進まないので、先ず、そちらの方の紹介をしておきます。1979年に、Yorkshire州Bradfordで活動していたViolationが母体になっています。その時には、Barry Jepson (B)とHaq Nawaz ‘Aki’ Qureshi (Drs)が、Mick (G)なる人物とやっており、たっぷりとリハをやって、ライブ・デビューもしています。また、1981年1月には、4曲入りデモテープを録音していますが、その後でしょうか、Mickが脱退し、代わりに、Ian Astbury (Vo)とDavid "Buzz" Burrows (G)が加入し、バンド名をThe Southern Death Cultと改名します。そして、1981年10月29日に、BradfordのQueen’s Hallで、ライブ・デビューを飾り、当時はポジティブ・パンク(通称「ポジ・パン」)とも呼ばれ、後にゴス・ロックとも呼ばれる存在になります。英国ツアーを積極的に行い、シングルのプロモートもやっています。また、1982年終わりには、BauhausやTheater Of Hateのオープニング・アクトも務めていますが、1983年2月26日のマンチェスターでのライブを最後に解散しています。同年4月には、VoのAstburyは、元Nosebleeds/元Theatre of HateのBilly Duffy (G)と一緒にDeath Cult、そしてThe Cultと名前を変えて、活動していきますが、Death Cult/The Cultは、単なるメジャーなハードロックバンドになってしまい、全くの別物扱いになります。それで、他の3人のメンバーは、Paul Hampshire (Vo)を加えて、GTFを結成、1984年にシングル"Last Salute"をRCA Recordsから出して、1985年に解散しています。と言う訳で、GTFは短命なバンドであったのですが、何故か、米国のインディーレーベルDias Recordsから、デモトラックを含むセルフ・コンピ・アルバムでもある本作品が、2021年にリリースされることになりました。盤の方も、通常の黒盤以外にも、Purple/Clear Splatter盤が200部、 Bone White盤が400部、Clear Purple盤が600部、Clear盤が800部と限定盤が沢山出ています(私の購入したのはClear Purple盤です)。一応、メンバーを書いておくと、BarryJepson (B), David ‘Buzz’ Burroughs (G), Haq ‘Aki’ Nawaz Qureshi (Drs), Paul ‘Bee’ Hampshire (Vo)の4人がGTFとなります。 それでは、本作品の各曲を紹介していきます。 ★A1 “Rise (demo version)”は、デモトラックですが、音は良いです。The Southern Death Cultとは違って、良質なポスト・パンクな曲になってますね。 ★A2 “Dune Buggy Attack”は、Gの弾き語り的なしっとりとバラード調に始まり、やがてマーシャル調の曲調に転化していきます。オーボエらしき木管楽器がアクセントになっています。 ★A3 “Last Salute (demo version)”は、シングルにもなったGTFの曲のデモトラックですが、上下するBが特徴的な元気一杯の曲です。サビのコーラスも良きかな。 ★A4 “Against The Wind”は、Joy Divisionのようなハイハットの刻みで、この時期の多くのバンドの流行のアレンジだったのでしょうか?Gのカッティングもファンク調ですね。 ★A5 “We Struggle”も、全体的にスローなバラード調の曲で、Hampshireの表現力豊かなVoもグーです。 ★B1 “Sometimes”は、アコギやヴァイオリン等の弦楽器も使った良質なポップソングで、もうバックがゴスとかポジ・パンとか関係ないですね。 ★B2 “Yurune (demo version)”でも、アコギから始まり、バネのあるファンク調の曲で、Voも中々聴かせてくれます。また、後半のテンポの崩しも良いです。 ★B3 “Fatal Date”も、しっとり目の曲ですが、Gの細やかさに痺れます。途中のクラヴィコードも良い感じです。 ★B4 “Getting The Fear”は、バンド名にもなった曲ですが、Gの多重録音とBラインの絡みがカッコ良いポスト・パンクな曲です。Voも中々上手く聴かせてくれます。 ★B5 “Swell (demo version)”は、一瞬、ネオアコか?とも思わせるようなGのカッティングが効いている良曲です。途中、珍しくGソロっぽいパートもあります。 聴き通してみますと、ポジ・パンとかゴスロックの片鱗は無く、どちらかと言うと、ネオアコ系に近いのかなと感じました。Gも歪んでいませんし、Voもどちらかと言うと歌い上げるスタイルなので、個人的には安心しました。確かに、突出したものは無いのですが、英国的な仄暗さを持ったバンド・サウンドで、そこら辺が好きな方はハマるかもしれません❗️なので、そこら辺に興味のあるリスナーさんはチェックしてみてはどうでしょうか! B5 “Swell (MV version)” https://youtu.be/Fsu7Uuyn31A?si=TAXceZcY45cnFGlN [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nqxBVBujB0sp0UdrfJ_zX1xJ19ZOheyn4&si=NEuzGQH7vr1Y95Qu #GettingTheFear #DeathIsBigger1984-85 #DaisRecords #SelfCompilation #OnlyOneAlbum #PostPunk #NeoAcoustic #TheSouthernDeathCult #BarryJepson #David’Buzz’Burroughs #Haq’Aki’NawazQureshi #Paul’Bee’Hampshire
Post Punk / Neo-Acoustic Dais Records 1900円Dr K2
-
David Cunningham “Grey Scale”
今まで散々紹介してきたFlying LizardsのコンポーザーDavid Cunninghamのソロとしてはファーストに当たるのが、このアルバム”Grey Scale”です。今回は2023年に再発された盤を紹介しますが、これが最初にリリースされたのは、約45年前の1977年でした。彼は、既に、Flying Lizardsでポップ・ミュージック界ではある程度の成功を収めていましたが、ソロも結構、ぶっ飛んだ内容になっています。簡単に彼のバイオグラフィーを書いておきます。Cunninghamはアイルランド生まれで、Londonで育ち、Flying Lizardsのシングル”Money”で大ヒットを記録していますが、現在は、ニューキャッスル芸術大学で、ファイン・アートのAHRB研究員をやっています。彼の作品は、スタジオでの作業及びループと音の加工に特化しており、それはポップ・ミュージックから画廊でのインスタレーション(TV, 映像、現代ダンス)までに及び、数多くのヴィジュアル・アーティストとのコラボもやっています。1976年に、Cunninghamは、本作品でもあるファースト・ソロ・アルバム”Grey Scale”をリリースして以来、作曲家/プロデューサーとして活動してきており、それは、ロック・グループ(This HeatやOwada)から即興演奏家(David ToopやSteve Beresford)或いはPeter Greenaway作の映像作品のMichael Nymanによるサントラとかまで、多種多様で、Ute Lemperともコラボしたりしています。また、 Ian Spinkから依頼された”Canta”は、1980年代を通して、彼がやってきたダンスとパフォーマンスの一連のシリーズてあり、またそれ以降もGoro Namerikawaからも同様の依頼をされています。Bill T. JonesとArnie Zaneやフィンランドの振付師ともTiina Huczkowskiともコラボをやっており、同様に、John Cage, Kathy Acker, Michael Nyman, Peter Gordon, Pan sonic, Michael Giles, Scannerともコラボを行なっています。映像やテレビの音楽では、Ken McMullenによる”Zina”とか”Ghost Dance”では、Michael GilesとJimie Muirともコラボをやっています。更に、テレビ番組でのヴィジュアル・アーティストとのコラボでは、John Latham, David Hall, Stephen Partridge, Bruce McLeanらと一緒に作業しています。それに関係する作品には、インスタレーション用のサウンドの作製や加工もやっており、特に、Sam Taylor-Wood, Susan Hiller, João Penalva, Gillian Wearingらとのコラボも行なっています。1993年以降、Cunninghamは、1998年のシドニー・ビエンナーレでの作品”The Listening Room”のように、リアルタイムで音響を操作する一連のインスタレーションを開発してきており、またロンドンの確立美術館でのThe Tate Triennial of Contemporary British Artでの2つのインスタレーション作品"Days Like These"や、もっと最近では、東京ICCやバーミンガムIkonでのインスタレーションも手掛けています。 と言うのが、David Cunninghamのバイオグラフィーになりますが、その最初のソロ・アルバムである”Grey Scale”では、エラー・システムと言う手法を用いています。これは、演奏者が反復するフレーズを弾き続けて、もし、ミスをしたら、そのミスをそのまま直さないで弾き続けると言う手法で、これによって、演奏者自身が制御不能になるまで、演奏される音を変化されていくと言うコンセプトに基づいています。つまり、故意にミスをして音を変化させる訳でないとのことです。一言で言うと、エラーをし続けると言うことです。この作品ては、水とギターの音は、この演奏過程によく似ているが、それは自動的で、使用される機器によって固有の音像を作り出せるとのことです。しかしながら、このエラーシステムは、実際に演奏してみると、意外に難しかったようです。B面のB1“Ecuador”とB6”Bolivia”では、11221111223332112222331112332233331122232 と言う数のシーケンスを3回繰り返します。また B2”Water Systemised”とB4”Guitar Systemised”では、ロング・テープ・ディレイも使われており、意図的にミスを誘発する曲になっています。なお、このエラーシステムは、1976年にMaidstone College of Artに在学中に思い付いたらしいです。まあ、そんな難しいことは考えずに聴いてみていきましょう。楽曲の紹介には、演奏者のクレジットも書いておきます。 A1 “Error System (BAGFGAB)” : David Cunningham (Piano, Glockenspiel, Synth, Perc): ここでは1人で多重録音していることもあって、どんどんミスが起こり、更にはテンポまでズレていきます。 A2 “Error System (C Pulse Solo Recording)”: David Cunningham (Vln, Piano, B, Glockenspiel): ここでは、更に単純なCの音だけを演奏しての多重録音であり、最早合っているかどうかも不明です。 A3 “Error System (C Pulse Group Recording)”: Stephan Reynolds (Glockenspiel), Alan Hudson (B), Derek Roberts (Piano), David Cunningham (Vln): A2を各パート別の演奏者でやっていますが、やはりテンポとかは合いませんね。どんどんズレていく様が面白いです。 A4 “Error System (E Based Group Recording)”: Alan Hudson (Perc), Michael Doherty (Perc), Derek Roberts (Glockenspiel), Stephan Reynolds (Piano): これまた、合っていません!が、しかし、途中で合っているようにも聴こえるから不思議です。 A5 “Error System (EFGA)”: David Cunningham (G, Synth, Glockenspiel): これまた1人での多重録音なので、テンポはバラバラですが、何となく「曲」っぽく聴こえますね。 B1 “Ecuador”: David Cunningham (Perc, Glockenspiel, Synth, Recorder): この曲も1人多重録音ですが、先述のように多少の規則性があるようですが、やはり崩れていきます。 B2 “Water Systemised”: David Cunningham (Tape Recorder, Water): テープに録音した様々な水の音を重ねており、具体音である為か、不自然な感じはしませんが、何だか生き物のような音楽になっています。 B3 “Venezuela 1”: David Cunningham (Piano, Vln, G, Perc): 何とも「下手」な演奏になっています。それぞれのパートは、固有のフレーズがあるようです。 B4 “Guitar Systemised”: David Cunningham (Tape Recorder, G): これも、全く同期していない「ヘタウマ」な曲のようにも聴けますね B5 “Venezuela 2”: Derek Roberts (Glockenspiel), Stephan Reynolds (Synth), David Cunningham (Perc)も同様ですが、Percが何とかテンポ・キープしていますが、その他はバラバラと散らばっていきます。 B6 “Bolivia”: David Guitar Systemised (Piano, Perc, Synth, Strings, others): もピアノが比較的しっかりしているので、何か1人だけ上手いピアニストがいるグループの演奏のようにも感じます。 と言う訳で、David Cunninghamのソロ・アルバムでしたが、あの1980年代のヘタウマと言われた日本の漫画、特にガロとかの作品を思い浮かべました。それと、大阪のスーパーボールって言うバンドとか。どうしてもテンポとかが合わないのですが、それがその時代の「新たな価値観」みたいなものを現出させているようで、時代背景などを考えると興味深いです❗️あと、全体の雰囲気は、Flying Lizardsとも共通点があるように感じました。 A1 “Error System (BAGFGAB)” A2 “Error System (C Pulse Solo Recording)” A3 “Error System (C Pulse Group Recording)” A4 “Error System (E Based Group Recording)” A5 “Error System (EFGA)” B1 “Ecuador” B2 “Water Systemised” B3 “Venezuela 1” B4 “Guitar Systemised” B5 “Venezuela 2” B6 “Bolivia” [original full album] https://youtu.be/NYEIjLj85oM?si=aEsbElXSJoRToMwK #DavidCunningham #GreyScale #SuperiorViaduct #PianoRecordings #Reissue #FirstSoloAlbum #MinimalMusic #Experimental #ErrorSystem #StephanReynolds #AlanHudson #DerekRoberts #MichaelDoherty #Piano #Glockenspiel #Percussions #Synthesizers #Guitar #Bass #Violin #TapeRecorder #Water
Minimal Music / Experimental Superior Viaduct (Piano Recordings) 2926円Dr K2
-
The Fall “Totale’s Turns (It’s Now Or Never)”
またまた出ました、The Fallの5枚目のアルバム”Totale’s Turns (It’s Now Or Never)”を紹介します。落書きのようなジャケですが、如何にもThe Fallらしいと言えばらしいですよね。The Fallのバイオグラフィーについては、ここら辺までは書いてあると思いますので、以前の紹介をご参照下さい。この作品も何度も再発されているようですが、私の購入したSuperior Viaductの版が、一番新しい再発盤ということになります。初期のThe Fallはライブ録音をそのままレコードにすると言う荒技に繰り出していましたので、ご多分に漏れず、本作品もライブ録音或いはスタジオでのカセット録音で、音質もブートレッグ並にペナペナですが、そんなことすらも、The Fallらしいです。しっかりと初期の名曲A2 ”Rowche Rumble”も収められています。なお、この時のメンバーは、Mark E. Smith (Vo), Craig Scanlon (G), Marc Riley (G), Mike Leigh (Drs), Steve Hanley (B)と言う初期最強の布陣です。The Fallの一つの特徴として、A2 “Rowche Rumble”やA3 “Muzorewi's Daughter”のように、テンポ・チェンジが目立つ曲が多いとも言えるでしょう。なので、それで良くメンバーが合わせて演奏しているなぁと感心してしまいます。また、B1 “Spectre Vs. RectorでのマシンガンのようなSmithのヴォーカルも堪能できますし、B4 “New Puritan”の下手くそなギターとSmithの音程の無いヴォーカルの掛け合い(?)も聴けますよ(DD. Recordsの月本正くんようです)❗️まだ、この頃はガチャガチャした曲が多くて、B5 “No Xmas For J. Quay”やA5 “Choc-Stock”にその萌芽を嗅ぎ取ることが出来ますが、中期のようなタイトな「反復」は余り聴くことができません。それでも、The Fallにしか出来ない超B級のポスト・パンクを聴くことが出来ます。折角、再発されたのですから、この機会にThe Fallのイカした「駄目さ加減」を堪能してみては如何しようか‼️ハマるかもよー! A1 “Intro / Fiery Jack” A2 “Rowche Rumble” A3 “Muzorewi's Daughter” A4 “In My Area” A5 “Choc-Stock” B1 “Spectre Vs. Rector” B2 “Cary Grant's Wedding” B3 “That Man” B4 “New Puritan” B5 “No Xmas For J. Quay” B5 “No Xmas For John Quay” https://youtu.be/cRpbj-MPjSU?si=HGYHGPy7IG14WdmR [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kdXvuOkI-Unc9mEG53p98p-yxhjmLSj0w&si=9RVBusNyVI1nmkx9 #TheFall #Totale’sTurns(It’sNowOrNever) #SuperiorViaduct #RoughTrade #Reissue #PostPunk #LiveRecordings #Lo-Fi #CraigScanlon #MarcRiley #MarkE.Smith #MikeLeigh #SteveHanley #TempoChange
Post Punk Superior Viaduct (Rough Trade) 2800円Dr K2
-
Naked Roommate “Do The Duvet”
これは完全に「ジャケ買い」に相当するものです。多分、ちょっとだけ試聴して買っちゃったブツだと思います。Naked Roommateなんて、全然知らなかったですから。それで、先ず彼等のバイオグラフィーを調べてみました。メンバーは、Amber Sermeño (Lead-Vo), Alejandra Alcala (B, Back-Vo), Andy Jordan (Drum Programming, Synth, Perc, Back-Vo), Michael Zamora (G, Synth, Sampler, Back-Vo, Perc, Cowbell)の4人組で、現在は、米国CAのBerkeleyで活動しています。元々は、2010年中盤に、オークランドで、ファンク風のポストパンク・バンドThe WorldをやっていたAmber SermeńoとAndy Jordanは、もっと融合的で映画的で影のある何かを加えることで、The Worldの有機的でダンサブルなエネルギーをもう一度作り直したいと考えていて、別ユニットとしてNaked Roommateを2018年に始めています。しかしながら、2020年1月に、The Worldの方が解散してしまい、その解散からNaked Roommateのフル・アルバムである本作品のリリースまでに数ヶ月の間が空いてしまいます。それでバンドメイトのMichael ZamoraとAlejandra Alcalaの協力もあって、曲に程良いアレンジを加えることが出来たそうです。彼等はこのアルバム1枚とカセットEP1本しかまだ出していませんが、英国のレーベルUpset! The Rhythmがわざわざ、黄盤も限定で出していることからも、有能なバンドと認めているのでしょう。ん〜調べても、これくらいしか分かりませんでした(すまん!)。 それで内容の方なんですが、両面5曲ずつ収録されています。A1 “Mad Love”は、ファンク調のリズムで、ぶっきらぼうな女性Voに、ミュートしたギターやシンセの伸びやかなリフが加わったクールなダンス・チューンです。A2 “We Are The Babies”でも四つ打ちのリズムにスラッピーなベースと宇宙的なシンセも絡む、これまた気持ちの良いダンス曲です。タイトルを連呼するVoもグー! A3 “Fondu Guru”では、変調させたドラムマシンと不明瞭なベースラインにコケティッシュなVoが何とも映える。サックスまで入ってくるけど、これはサンプラー? A4 “Credit Union”は、ベースの弾き語りに呟き声のVoという一風変わった小曲で、A5 “Je Suis Le Bebe”では、マシンの四つ打ちリズムと腰のあるファンキーなベース及びシーケンスが曲を構成し、上物は控え目です。ウィスパーなVoも良い感じです。それではB面に行きます。B1 “Fake I.D.”は、よりロック的なリズムとホーンのようなサンプラーとシンセに、女性Voと言う、割とスカスカな曲ですが、途中で分厚いシンセも鳴り響きます。B2 “Fill Space”もそれ程ファンキーでは無いリズムで、やはりホーンのようなシンセが鳴っています。ネオ・アコ・バンドのように浮遊するVoが新鮮です。B3 “(Do The Duvet Pt. 2)”は会話のサンプリングを色々弄って、リズムに乗せた小曲。 B4 “Repeat”では、久しぶりに四つ打ちのリズムに乗って、ファンキーなアレンジが冴えるシンセやギターと共に、女性Voも朗々と歌ってます。元気の出る曲で、ダンサブルですねー。B5 “(Re) P.R.O.D.U.C.E.”は突進するようなリズムが特徴的で、ベースはシンセ・ベースかな? シンセのリフもシグナルのようで、サンプラー音も効果的です。終わり方がまたカッコ良いです! 総じて、割とファンキーでダンサブルな曲が多いのですが、それを規定しているのは、ドラムマシンとベースで、上物はどちらかと言うと何でもござれですね。あと、Sermeñoのヴォーカルは、基本的にはコケティッシュな感じがしますが、彼女のVoは色んな局面に対応出来そうです。ファンク調が強いと、ESG, Liquid Liquid, Lizzy Mercier Desclouなんかも思い浮かびますね。しかしながら、ミックスが超絶上手いです。と言う訳で、Berkeleyにも、このようなノー・ウェーブを通過したファンクなバンドがいるのですね。また、1980年代のファンク/ダンスミュージックとは違う匂いがしますが、これは単にマシンドラムを使っていると言うだけでは無さそうです。ここら辺はまた、もう少ししたら、考察してみたいです。いゃ〜、それにしても面白かった❗️機会があったら、皆さんも聴いてみて下さい。何か発見があるかもよ。 https://youtu.be/tVFsnkR8Kwk #NakedRoommate #DoTheDuvel #Upset!TheRhythm #USA #CA #Berkeley #PostPunk #Funk #MachineFunk #DanceMusic #PopMusic #AfterNoWave #AmberSermeño #AlejandraAlcala #AndyJordan #MichaelZamora #TheWorld
Post Punk / Dance Music Upset! The Rhythm 1000円Dr K2
-
The Fall “The Rough Trade Singles”
割と私、デジタル配信ではThe Fallはよく聴いてた方なんですが、いざ、フィジカルとなると、あんまり持ってないんですよね。それで、他のアイテムを買う時に見つけたので、購入してみました(なので、今回、初めて聴いてみます)。これは所謂、セルフ・コンピみたいなもので、The FallがRough Trade自体にリリースしたシングル音源をコンパイルしたものです。ただし、この作品のオリジナルは、5枚の7㌅シングルから成るボックスセットでした。私の購入したのは、その再発で、シングル5枚分が、このLPにまとめられているものです。それで、先ず、The Fallのバイオグラフィーから紹介していきます。The Fallは1976年に英国マンチェスターのPrestwichで結成されたポストパンク・バンドで、メンバーチェンジが激しく、唯一、創設者でヴォーカルのMark E. Smithだけがコンスタントなメンバーです(ただ、彼も2018年1月24日に60歳の若さで他界しており、それを持ってThe Fallは解散となっています)。それで、先ず、1976年に、Mark E. Smith (Vo), Martin Bramah (G), Una Baines (プリキ缶, Kbd), Tony Friel (B)の4人は、各自が書いたものやドラッグをやる為に集まっていたことが、そもそもの始まりです。彼らの好きな音楽は、Can, Velvet Underground, Captain Beefheart, Stoogesなんかで、一方、Smithは、H.P. Lovecraft, Raymond Chandler, Malcolm Lowry等の作家もお気に入りでした。そんな中で、同年7月に、Sex Pistolsのマンチェスターでの2度目のギグを観て、ショックを受け、彼等はバンドを始めた訳です。最初はThe Outsidersと名乗っていましたが、Frielが持っていたカミューの小説から取ってThe Fall と改名しました。この時、Bainesはドラムを買うお金が無かったので、ビスケットの缶を叩いてました(後にKbdにスウィッチします)。音は酷くて、繰り返しだけでしたが、この「繰り返し」が、後々The Fallの特徴になります。1977年5月23日に最初のギグを行いますが、この時のドラムはSteve Ormrodでしたが、1回だけやって、政治的な考えの違いの為、直ぐに辞めています。そして、Nuclear Angelに居たKarl Burnsがドラムで加入。そんなThe Fallに注目したのが、BuzzcocksのマネジャーRichard Boonで、1977年11月に彼等に録音させて、The FallのデビューEP”Bingo-Master's Break-Out!”を、彼自身のレーベルNew Hormonesからリリースしようとしていましたが、結局、出せずに、マスターテープをバンドに返しています。1978年6月に、Virgin Recordsが、マンチェスターでのライブ・コンピ”Short Circuit: Live at the Electric Circus”をリリースしますが、そこで初めてThe Fallは2曲参加しています。1977-1978年に、メンバーチェンジが起こります。先ず、Bainesの友達のKay Carrollが新マネジャー兼バックVoとなりますが、Frielは彼女のやり方が合わず、1977年12月に脱退。とりあえず、Jonnie Brownが、その後に、交代にEric McGannに加入します。1978年2月13日に、Granada TV番組What’s OnにThe Fallは出演し、Smith (Vo), Bramah (G), Burns (Drs), Baines (Kbd), McGann (B)のメンツで演奏しています。しかしながら、1978年3月には、ドラッグによる神経障害で、Bainesが脱退。代わりにYvonne Pawlett (Kbd)が加入。また、McGannが、ヴァンのドライバーのSteve Davisがハワイアンシャツを着ていたことが気に食わないと言う理由で、やはり脱退。その時、Martin BramahもSmithのリーダーシップとその彼女がマネジャーをやっていることを問題視しています。それで、当時まだ16歳だったローディのMarc Rileyにベースを担当させます。それで、何とか持ち直し、1978年8月に、お蔵入りになっていたEP “Bingo-Master's Break-Out!”が、Step Forward Recordsからリリースされ、同年11月にはシングル"It's the New Thing"もリリース。更に1日で作ったとされるThe Fallのファースト・アルバム”Live at the Witch Trials”が1979年3月にリリースされます。このアルバム作製後、ドラムのBurnsは暫くして脱退し、代わりに、Rockin’ RickyのMike Leighが加入。しかし、1979年4月には、アルバムの殆どの曲を書いていたMartin Bramahが抜けます。それで、先述のRileyはベースからギターにスウィッチし、Craig Scanlon (G)とRileyのバンドメイトでもあるSteve Hanley (B)が加入します。特に、Hanleyは、そのメロディアスなベースラインで、以後約20年間に渡り、The Fallの音楽的根幹を支え、Smith自身も、彼に全服の信頼を寄せています。それで、1979年7月30日に、シングル”Rowche Rumble"をSmith (Vo), Scanlon (G), Riley (G), Hanley (B), Pawlett (Kbd), Leigh (Drs)のメンツで録音していますが、Pawlettはその直後に脱退しています。The Fallは、1979年8月に、RochdaleのCargo Studiosで、セカンド・アルバム”Dragnet”を作製、1979年10月26日にリリースしています。このアルバムはファーストと比して、よりスカスカで、より耳障りな音に仕上がっています。1980年1月13日に、4枚目のシングル"Fiery Jack"をStep Forward Recordsよりリリースしますが、同年3月に、Mike Leighが脱退してしまい、バンド活動が数週間停滞します。その間に、Smithは歌詞を書き溜めていましたが、Leighの代わりに、Steve Hanleyの弟で、当時16歳だったPaul Hanleyがドラマーとして加入します。この後に、The Fallは、Step Forwardを離れ、Rough Tradeと契約しています。それで、Rough Tradeでの最初のアルバム”Totale’s Turns”は1980年5月にリリースされていますが、2曲を除いて、1979年のライブトラックを集めたものとなっています。1980年11月には、フルアルバムとしてはサードアルバムに当たる”Grotesque (After the Gramme)”を、2枚のシングル"How I Wrote 'Elastic Man'"と"Totally Wired"をリリースしますが、アルバムは英国インディー・チャート1位まで行きます。ただ、このアルバムは、Rough TradeのGeoff TravisとRed KrayolaのMayo Thompsonが共同プロデュースしていますが、音作りを大胆に改善しようとした彼等の考えに、Smithは大いに不満でした。と言う事もあって、The Fallは、長過ぎず短過ぎない媒体として10インチEPを選び、それを£2.00ポッキリで発売する戦略で、1981年4月に10インチEP”Slates”をリリースしています。同年終わりに、バンドは、Rough Tradeを離れ、小さなインディーレーベルKameraと契約します。話が少し前後しますが、The Fallが、EP “Slates”の促販の為、米国ツアーに行こうとした時、Paul Hanley (Drs)が若過ぎるとの理由でビザが降りず、仕方なく、Smithは、Karl Burnsを代役としてツアーを行なっており、その時のライブ音源から、ライブアルバム”A Part of America Therein, 1981”を1982年にRough Tradeの米国部門Cottage Records よりリリースしています。ただ、英国に戻ってきても、Burnsは居座っており、バンドのセカンド・ドラムとして在籍、1981年11月に、2人のドラムで録音したシングル"Lie Dream of a Casino Soul"をRichard Mazdaのプロデュースで豪州及びNZにてリリースしています。 The Fallのバイオグラフィーを書き出すと切りがないので、今回はここまでとしておきます。 それで、Rough Trade在籍時代(主に1980年で、一部1983年)のThe Fallのシングルなどを集めたのが、本作品となる訳ですが、先ず、この時期のメンバーを再度、確認しておきます。Mark E. Smith (Vo), Steve Hanley (B), Paul Hanley (Drs), Craig Scanlon (G), Marc Riley (G)ですが、1983年録音のトラックではKarl Burns (Drs)も参加していたり、或いは1983年録音のトラックではMarc Riley (G)が参加していないものもあります。とにかく、内容は最高ーッ‼️ タイトなリズムとSmithのスポークン・ワードのようなヴォーカル、それと先述のように執拗な「繰り返し」。これだけでご飯3杯食べられますね。多分、初期のThe Fallとしても、一番脂が乗り始めた時期なので、もう痺れる程、カッコ良いです。A面6曲、B面4曲で、その内、B3 “Container Drivers”とB4 “New Puritan”は、1980年9月16日のJohn Peel Session用に録音した曲です。A5 “The Man Whose Head Expanded”, A6 “Ludd Gang”, B1 “Kicker Conspiracy”, B2 “Wings”は、1983年作で、その他の曲はいずれも1980年作です。取り敢えず、このアルバムに収録されている曲は下にURLを貼っておきましたので、何も言わずに聴いてみて下さい❗️これらの曲とかヴォーカルは唯一無比ですから。あとは楽しんで下さい❗️ A1 “How I Wrote ‘Elastic Man’” & A2 “City Hobgoblins“ https://youtu.be/aBUlf8THuNg A3 “Totally Wired” https://youtu.be/sk1TP5EkLS4 A4 “Putta Block” https://youtu.be/6oF-J-5HjyU A5 “The Man Whose Head Expanded” https://youtu.be/8jo5rzGRlH4 A6 “Ludd Gang” https://youtu.be/cqTK3nuepps B1 “Kicker Conspiracy” https://youtu.be/Ehoi2-rlmdI B2 “Wings” https://youtu.be/Wb6zdxd9phQ B3 “Container Drivers” https://youtu.be/TsaPuF8eji4 B4 “New Puritan” https://youtu.be/o5dMQNROQr0 #TheFall #RoughTradeSingles #SuperiorViaduct #CastleMusic #Reissue #1981 #1983 #Singles #PostPunk #Punk #MarkE.Smith #SteveHanley #PaulHanley #CraigScanlon #MarcRiley #KarlBurns #JohnPeelSession
Post Punk Superior Viaduct (Castle Music) 不明Dr K2
-
Swell Maps “A Trip To Marineville”
出ました!漸く紹介できます、それは英国Swell Mapsのファースト・アルバム” A Trip To Marineville”です。この作品は、CDでは持っていたのですが、どうしてもLPで欲しくて、探していたところ、丁度、米国Secretly Canadianから再発盤が出たと聞きつけ、即ポチりって入手したものです。しかも、7㌅シングルもオリジナルと同様に付いていました。Swell Mapsのバイオグラフィーは既に買いてありますので、そちらをご参照してください。もう何度も書いてありますが、Swell Mapsは元々、パンクとかよりも早く活動を開始しているので、パンク〜ポスト・パンクではないです。また、活動は主にホーム・スタジオ(要するに自宅)での宅録であったこととメンバーの多くがマルチ奏者で、皆んなが揃わなくても録音していたことも特徴です。メンバーは、Nikki Sudden (主にG, Toy Piano, Vo), その兄弟のEpic Soundtracks (主にDrs, Piano, G, B, Vo, Sax, Synth, Xylophone, Vln, Perc), Jowe Head (主にB, Organ, Perc, Sax, Vo), Biggles Books (主にG, Piano, Xylophone, Organ, Vo), Phones B. Sportsman (主にB, G, Perc, Vo), Golden Cockrill (主にVo, B)で、担当楽器は曲でまちまちだったり、上記の他にも、風船の音やおもちゃの音或いは家電製品なども使っています。ここら辺の自由度の高さが、アイデア満載の曲によく現れています。誰かが昔、言っていたのは、「Swell Mapsの音楽とは、ひ弱な理系学生が無理矢理、体育会系のサークルに入っているかのようなもの」と評していましたが、これには成程と感心しました。それと、繰り返しになりますが、色んなアイデアを片っ端から試して、とにかく録音してみるのが、彼等の基本姿勢だと思い、それを実践できる(ある程度の)テクを持っているのも凄いと思います。このファースト・アルバムは名作中の名作なので、未聴の方は是非とも聴いてみて下さい‼️きっと何かの発見がありますよ! あっ、それから、Nikki SuddenもEpic Soundtrackも亡くなっているのですが、どうもSwell Mapsの残党メンバーが活動しているみたいで、Swell Mapsの曲も演奏しているみたいです。 *このアルバムはYouTubeには上がってませんでしたので、収録曲を集めてみました。 B1 “Full Moon In My Pocket” https://youtu.be/DdNz2q6q4mc B2 “Blam!”〜B3 “Full Moon (reprise)” https://youtu.be/GYAR36BILIw A1 “H. S. Art” (live version) https://youtu.be/C2WTrG2Y01s A2 “Another Song” https://youtu.be/LMPSVnYIuI0 A3 “Vertical Slum”〜”Forest Fire”(アルバム未収録) https://youtu.be/r8-LLiBHnlk A4 “Spitfire Parade” https://youtu.be/J10PfFptvR8 A5 “Harmony In Your Bathroom” https://youtu.be/LG5nfuL1kMw A7 “Midget Submarine” https://youtu.be/TOz7OEtaY90 C2 “Doctor At Cake” https://youtu.be/ejLKeTJGNds D1 “Steven Does” https://youtu.be/82LOyYDIQ5U #SwellMaps #ATripToMarineville #SecretlyCanadian #RoughTrade #RatherRecords #FirstAlbum #Reissue #LP+7”Single #ExperimentalPop #AlternativeRock #宅録バンド #Multi-Instruments #NikkiSudden #EpicSoundtracks #JoweHead #BigglesBooks #PhonesB.Sportsman #GoldenCockrill
Experimental Pop / Alternative Secretly Canadian (Rough Trade / Rather Records)) 不明Dr K2
-
Swell Maps “....In ‘Jane From Occupied Europe’”
また、欲しくなって買っちゃいました。Swell Mapsのセカンド・アルバム “....In ‘Jane From Occupied Europe’”です。彼等のバイオグラフィーは既に書いてありますので、そちらをご参照下さい。このアルバムのメンバーは、Epic Soundtracks (本名Kevin Paul Godfrey), Nikki Sudden (本名Adrian Nicholas Godfrey), BglsことBiggles Books (本名Richard Earl), Jowe Head (本名Stephen John Bird)に加えて、Barryこと元XTCのBarry Andrews, PhonesことPhones B. Sportsman (本名David Barrington), Golden Cockrillも客演しています。もう皆さんも知っている通り、彼等は、基本的に宅録バンドで、かつほぼ全員がマルチ奏者なので、曲によって参加メンバーや担当楽器が変わっています。また、このアルバムも何回も再発されており、私の購入したものもリマスタリングした再発盤で、米国盤です。リマスタリングされて音質は良くなっているとは言え、彼等特有のおもちゃ箱をひっくり返したようなプリミティブな演奏と録音は唯一無比ですね。その独自性って、多分、Epic Soundtracksのドラムが曲を引っ張っているからなのでしようか?とにかく、私は、このような「味わい (オリジナリティとはちょっと違うような?)」を持ったバンドは他には知りませんので、いつでもフェイヴァリットですね。あと特定のヴォーカルが決まっていなかったり、インスト曲が結構あったりと、彼等が出てきた時期からすると、その立ち位置は、パンクやニューウェーブ、更にはポスト・パンクですら違うんですよね。確かにビートもあって、それなりにギターやベースなどもコードなんかを弾いているのですが、そこにパンクとかポスト・パンクっぽさをあんまり感じず、曲によっては「実験的」とさえ言える要素もありますね。そこら辺が彼等の大きな魅力だと思います。このアルバムもそんな彼等の魅力が詰まっていますので、必聴ですね‼️ A5 “Helicopter Spies” https://youtu.be/2ciqXTu7qts [partly selected album] https://youtube.com/playlist?list=PLax7wEgEfuk_L4XJjymu1oI0cNje7WVNS #SwellMaps #In‘JaneFromOccupiedEurope’ #RoughTrade #SecretlyCanadian #SecondAlbum #Reissue #Remastering #Experimental #Pop #AlternativeRock #宅録バンド #EpicSoundtracks #NikkiSudden #BigglesBooks #JoweHead #BarryAndrews #PhonesB.Sportsman #GoldenCockrill
Experimental Pop / Alternative Secretly Canadian (Rough Trade) US$ 28.27Dr K2
-
Pere Ubu “Trouble On Big Beat Street”
早速、入手しました、Pere Ubuの2023年最新作”Trouble On Big Beat Street”です。もう何作目(デジタル入れて37枚目のアルバム?)でしょうか? 息の長いバンドです。今回のメンバーは、David Thomas (Vo, Analog-Synth), Alex Ward (G, Clarinet, Back-Vo), Keith Moliné (G, Electronics, Back-Vo), Michele Temple (B, Piano, Tambourine), Gagarin (Digital Synth, Drs, Bongos), Jack Jones (Thermen, Back-Vo), Andy Diagram (Trumpet, Electronics)と大所帯になっています。初期ー中期のバイオグラフィーについては書いてありますが、2000年以降のことは余り書いていないので、ちょっと補足しておきます。2000年には、David Thomasは、Andy DiagramとKeith Moliné共に、Thomas and Two Pale Boys或いはThe Pale Orchestraと言うサイドプロジェクトでツアーなどの活動に注力していますが、その年にPere Ubuの方はクリーヴランドのロックの殿堂入りを果たしており、2000年9月にWayne Kramerの客演を迎えて、”55 Years of Pain”のパフォーマンスをやっています。Pere Ubuの方は少しお休みになりますが、2002年5月20日に、アルバム”St. Arkansas”をリリースします。この時のメンバーはDavid Thomas, Tom Herman, Robert Wheeler, Michele Temple, Steve Mehlmanで、Jim Jones (G)も客演しています。その後、2002年後半に、Tom Hermanが脱退し、代わりにKeith Molinéが加入します。また、2002年2月1日に.前身のRocket From The Tombs (RFTT)のオフィシャルなアルバム・リリースをしています。2004年にはPere Ubuのライブ映像の撮影が開始されます。この時期(2004-2006年)には、Pere UbuとTwo Pale BoysとRFTTのツアー等以外にも映画音楽や劇伴などで多忙を極めています。そうして、2006年9月19日に、Pere Ubuのアルバム”Why I Hate Women”がリリースされていますが、その時のメンバーはThomas, Moliné, Wheeler, Temple, Mehlanで、その後、このアルバムのリミックス・アルバム”Why I Remix Women”もリリースされます。2007年もツアーと劇伴で終わりますが、2008年2月には、ギタリストだったJim Jonesがアパートで亡くなっているのが発見されます。2009年9月14日には、アルバム”Long Live Père Ubu!,“がリリースされ、また、ポーランドでのフェスで、”Bring Me The Head of Ubu Roi”が、生演奏されています。更に、2010年には、デビューアルバム”Modern Dance”の再演がクリーヴランドとシカゴで行われます。その後、Thomasは、伊で開かれた詩のフェスにも参加。2011年にも、オリジナル・メンバーTom Hermanが加わって、アルバム”The Modern Dance”が再び演奏され、2011年には、1962年作のホラー映画”Carnival of Souls”の劇伴をやっています。その合間に、Two Pale BoysやRFTTの作業にも着手しています。2013年1月7日に、Pere Ubuの新作”Lady from Shanghai”がリリースされますが、この時のメンバーは、David Thomas, Keith Moliné, Michele Temple, Robert Wheeler, Steve Mehlman, Gagarinです。その後も色々ゴタゴタがありましたが、2014年9月8日に、漸く”Carnival of Souls”がアルバムとしてリリースされます。この時のメンバーは、David Thomas, Keith Moliné, Michele Temple. Robert Wheeler, Steve Mehlman, Gagarin, Darryl Boonから成りますが、Thomasは、このアルバムとは別に、このアルバムに関係した内容のエッセイも発刊しています。その時期にPere Ubu (Moon Unit)を結成し、2種類のボックスセットを出しています。その後も、ライブはやっていますが、2022年4月1日に、リマスターしたボックス・セット”Nuke The Whales: 2006-2014”をリリース。この後の動向は、Wikiにも詳しくは掲載されてはいませんので、詳細は不明ですが、本作品は、名門Cherry Red Recordsから、2023年にリリースされています。 それで、本作品の内容についてですが、一言で言えば「難解」です。アヴァンギャルドとも言えず、ポップとも言えず、何とも形容し難い難解さがあります。先ず、曲間が非常に分かりにくい。また、理解不能な曲、例えば、A5 “Nyah Nyah Nyah”(単に「にゃーにゃー」って猫の真似して言ってるだけ?)やB5 “Uh Oh” (何だ、このタイトル?)と言った意味不明さやらB4 “Crazy Horse”でのOsmondsのダンサブルだけど不明瞭なカバー曲なんかが最たるものです。ただ、色んな音が鳴っているのですが、お互いに干渉していないと言うか?どれ一つ抜けても成立しないような曲構造になっている点は正にミラクルです❗️米国のバンドと言うこともありますが、Captain Beefheart & His Magic Bandとの共通点(特にカントリーやブルースなどの音楽要素)も感じられ、そこがまたPere Ubuと言うかDavid Thomasの凄いところだと再認識させられました。舐めて掛かると、ヤラれるぞ❗️ A1 “Love Is Like Gravity” (5:43) A2 “Moss Covered Boondoggle” (4:07) A3 “Crocodile Smile” (6:16) A4 “Movie In My Head” (2:44) A5 “Nyah Nyah Nyah” (2:30) B1 “Worried Man Blues” (7:16) B2 “Let's Pretend” (2:51) B3 “Satan's Hamster” (2:33) B4 “Crazy Horses” (3:11) B5 “Uh Oh” (3:51) B4 “Crazy Horse” https://youtu.be/cHgHm0W-Jlk [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_n6IiAGe1c87gzo7P1Oe0KmR_dyXpJ_4fU&si=YOuCPuWMJWhcVxoY #PereUbu #TroubleOnBigBeatStreet #CherryRedRecords #DifficultMusic #Album #Avant-Garde #Cover #DavidThomas #AlexWard #KeithMoliné #MicheleTemple #Gagarin #JackJones #AndyDiagram
Alternative Rock / Avant-Garde Cherry Red Records 不明Dr K2
-
The New Blockaders “Live At Hinoeuma”
久々に出してきました。そうです、メタル・ジャンク・ニヒリストの巨人The New Blockaders (TNB)の英国ヴェニューHinouemaでのライブ盤です。しかも、Richard Rupenusのコラージュ・アートワークを使ったピクチャー盤で、400枚限定と言うレア・アイテムです。TNBについては以前にも紹介していますので、そちらを参考にして下さい。今回は、RichardとPhilip D.のRupenus兄弟による演奏(?)で、anti-performanceとして、英国Ashtray NavigationのPhil Toddのクレジットも見受けられます(何をしたかは不明)。なお、録音、ミックス及びマスタリングはAnomliことPaul Coatesが担当しています。当時としては鉄壁の布陣ですね。内容の方も、素晴らしい出来です。恐らくRupenus兄弟が発生させるメタル・ジャンクの音を加工した、それを大音量で放出するのが、眼に見えるようです。その「音」の豊穣さが故に、LP両面一気に聴いても、全然疲れませんよ❗️ガチャガチャ、キーキーと言う音以外にも、正体不明なノイズが入り込んできたりして、時々「この音はどのようにして出してるんだろう?」とすら思ってしまいます。また、時にはホワイトノイズだけにしか聴こえない点もあり、そこら辺にTNBのマジカルな面も堪能できますね。それと、ジャケのアートワークも如何にもTNBらしくてグーですね。このように、ピクチャー盤であることも踏まえて、トータルに「ライブ」な作品となっています。入力は困難が知れませんが、一家に一枚、常備しておくべきアルバムですね❗️ 本作品はYouTubeに上がっていないので、TNBの他のライブ音源を貼っておきます。 https://youtu.be/K_HUNSAyVxA #TheNewBlockaders #LiveAtHinoeuma #RRRecords #PictureDisc #Noise #MetalJunks #Manipulation #Anti-Performance #RichardRupenus #PhilipD.Rupenus
Noise / Experimental RRRecords 不明Dr K2
-
This Heat “Live 80-81”
久しぶりに聴いてみました。This Heatのライブ音源アルバム”Live 80-81”です。私はこれと、以前に紹介したセカンド・アルバム”Deceit”以外にはアナログ (勿論、CDでは持っている)は持っていないんですが、今は、ファースト・アルバムは結構高価で取り引きされてますね。彼等のバイオグラフィーは以前に書いていますので、ここでは省略させて頂きます。このアルバムはタイトル通り、This Heatの1980年4月〜1981年6月に、カセットレコーダーで録音したライブトラックで、場所はTilburg, Nijmegen, Arthus, Apeldoorn, Vienna及びRheimsから成り、1980年12月のオランダツアーも含まれています。一応、メンバーは、Charles Bullen (G, Clarinet, Vo, Tapes), Charles Hayward (Drs, Kazoo, Melodica, Vo, Tapes), Gareth Williams (Organ, Tapes, G, B, Tapes)と言う鉄壁のトリオから成ります。曲もファース・トアルバム〜セカンド・アルバム辺りの曲で占められています。そんな完璧主義者のライブはどんなものかと思い、購入した次第です。オリジナルは2006年にリリースされていますが、購入したのは2018年の再発盤です。ライブ音源なのですが、その緊張感や曲の再現性は素晴らしく、ライブであるが故の荒々しさが余計にテンションを上げているように感じます。特に、A面の”Paper Hat”~”S.P.Q.R.”辺りやB面の”Makeshift Swahili”や”A New Kind Of Water”辺りの曲の流れはその再現性(要するに彼等は完璧主義者なのです)と相まって、聴き応え充分ですね。これがカセットレコーダーで録音されているとは思えないですね。そして、そんなスリリングな演奏を実際に体験できたら、凄いことだと想像しますね。その意味でも、このアルバムは一聴に値すると確信しました。今は、Gareth Williamsが2001年に亡くなったので、その後、ゲストメンバーも増員し、This Is Not This Heatとして活動していますが、当時(1980-1981年)のインタープレイも是非お楽しみください❗️ A5 “Rough With The Smooth” https://youtu.be/w44XCjX_fyA [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kI-a8qiZABEIi2f0f5Ut-roxH1oCuNQg4 #ThisHeat #Live80-81 #ModernClassicalRecirdings #ExperimentalRock #Avant-Rock #CharlesBullen #CharlesHayward #GarethWilliams #Trio #LiveAlbum #1980-1981 #DutchTour #CassetteRecorder
Experimental Rock Modern Classical Recordings 2800円位?Dr K2