Tot Onyx “Senno I”

0

独で活動していた日本人女性2人によるGroup AのTommi Tokyoのソロ名義が、このTot Onyxと言う訳であります。今回、そのデビュー・アルバム”Senno I”を入手しましたので、紹介してみたいと思います。因みに、リリース元のiDEAL Recordingsは、2000年頃から北欧のアーティスト/グループに関わらず、広く世界中の実験音響派やエレクトロなどをリリースし続けている優良レーベルなので、気になる方は要チェックですよ❗️それで、Group Aとしての活動は、2012年にデビューCDR”A”を出してから、2021年に最後のカセット作品”No Recording III”を出すまででしたので、その後に、Tommi Tokyoはソロとして、Tot Onyxを名乗ってBerlinに残って活動を続けて来たのだろうと思います。あんまり有用な情報は無いので、これ位しか分かりませんでした(すまん!)。因みに、相方のSayaka Botanicは現在、東京に戻ってきて、ソロ活動をしています。
それでは、Tot Onyxとしての初の作品”Senno I”を紹介したいと思います。両面4曲ずつ収録されています。
A1 “Voice Calling”は、彼女のウィスパーヴォイスに導かれて、民族楽器風の打楽器のリズムで始まりますが、声は段々と変調・加工された唸り声のようになっていきます。
A2 “A Leaf Laughs”では、コンタクト・マイクでのフィールド録音した音を左右に振り、そこに重低音が忍び寄ってきます。そうしている間にも、謎の打楽器音も混在してきます。空間の使い方が秀逸です!
A3 “Inhabitants Of Brain”では、非常にゆっくりとした脳波のような音が流れる中、会話する声や物音が聴き取りにくい音量で混入してきます。David Rosenboomのようですが、やがてグリッチ音が表に現れてくる、強迫症的な曲です。 
A4 “A/H5N1”は、変調した日本語ナレーションとJean Tinguelyの作品のような機械音とが混じり合い、やがて、低音のパルス音が心音のように聞こえてきます。タイトルの抽象性と良くマッチしている。
B1 “Ishi Rhythm”は、ガラクタ打楽器のギクシャクしたリズムと規則的なキックから成る短い曲です。
B2 “Maggots”では、不思議なフィールド録音らしき音と不明瞭な呪詛のようなヴォイスとが絡み合い、時間と共に、周囲にノイズや重低音も忍び寄ってきます。絶妙な構成力で、思わず唸ります。
B3 “Plague”は、一定の強力なリズムを中心に、様々な音(或いはノイズ的な音)が加工されて挿入される曲で、本作品の中では唯一「踊れる」曲かもしれませんね。最後は逆回転します。 
B4 “The Me, That Is Not Me, That Is Me”は、テンポダウンなキック音に、得体の知れない音(サンプリング音)が乗っかる、ややダークな曲で、「自己」との対峙を思わせます。
 総じて、各曲は一種の抽象性を保持しており、それ故に、緻密なミキシングや加工或いは空間の使い方が秀逸で、Tot Onyxとしての彼女の脳内を覗き見たような印象を受けました。ベースには、やはりクラブ・ミュージック的なものがあるのは、当たり前に現代的で、テクノロジーの使い方には特筆すべきものがあります。なので、現行最新の「音楽」に興味があるリスナーさんは、是非とも本作品を体験してみて下さい‼️中毒性もあり❗️それにしても、アルバム・タイトルは「洗脳」のことだろうか? また、因みに、Tommi Tokyoは、EnxinことHiro Kone(米国人で本名 Nicky Mao)とコラボ・カセットEPを2023年に出しており、それが現時点での最新作です。

A4 “A/H5N1”
https://youtu.be/qwzidZAku-8?si=C1MSwCA5O6vCbiGY

B4 “The Me, That Is Not Me, That Is Me”
https://youtu.be/YIVUqXtCXhg?feature=shared

[BandcampのURLを貼っておきます]
https://groupa.bandcamp.com/album/tot-onyx-senno-i

#TotOnyx #SennoI #iDEALRecordings #GroupA #TommiTokyo #FirstSoloAlbum #Experimental #Electronic #Abstract #Technology #JapaneseFemale #Berlin

Default